JP4359682B2 - 複数の蛋白質の間の相互作用を測定する方法 - Google Patents

複数の蛋白質の間の相互作用を測定する方法 Download PDF

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Description

発明の背景
1.本発明の分野
本発明は、蛋白質の間の相互作用、特に抗体可変領域のVH断片とVL断片の間の相互作用を測定するための方法に関する。更に本発明は本方法に使用するために構築されたベクターに関する。
2.背景技術
本発明者らは、抗体のVH/VL間の相互作用を測定することで間接的に抗原濃度を測定する新規免疫測定法である、オープンサンドイッチELISA法を開発し、特開平10−78436において開示した。抗原・抗体反応の特異性を利用した様々な免疫測定法によって、混合物中の微量の物質を高感度で検出することができるが、このオープンサンドイッチELISA法は、従来のサンドイッチELISA法に比べて操作が簡便であり、また単価抗原の測定が可能であるといったメリットを有する。
図1にサンドイッチELISA法(A)と、本発明者が提案したオープンサンドイッチELISA法(B)の概念を示す模式図を示す。サンドイッチELISA法(A)においては、測定対象の抗原に対する1次抗体を固相上に固定し、抗原を含む溶液と酵素標識した2次抗体を順次添加して洗浄し、酵素活性により抗原濃度を定量する。一方、オープンサンドイッチELISA法(B)においては、対象の抗原に対する抗体のVLを固定化し、抗原溶液と酵素標識したVHを同時に添加して酵素活性により定量する。本方法においてはサンドイッチELISA法と比較して洗浄操作が一回短縮できる。
オープンサンドイッチELISAに用いる抗体断片VH,VLには、i)抗原に対して高い親和性を持つ、ii)抗原非存在下でVH,VLは相互作用が弱い、等の条件が必須である。よって、測定対象の抗原に対してこの条件を満たす抗体断片を調製することが必要となる。将来的にオープンサンドイッチELISAを測定法・検出系として確立するには、本方法は広範囲の抗原にわたって測定可能な系である必要がある。よって、あらゆる抗原に対して上に述べた条件を満たすものを、膨大な抗体ライブラリーから迅速・簡便にスクリーニングすることができる系を確立することができるならば、オープンサンドイッチELISAを実用化するために役に立つと思われる。
即ち、オープンサンドイッチELISAの実用化にあたり、抗体の抗原結合能と、抗原の存在下、非存在下でのVH/VL相互作用を迅速に測定できる系を利用することが極めて望ましく、本発明はこれを可能とする。本発明はまた、ライブラリー中から応答性のより高い抗体の選択を可能にすることも目的としている。
一方、ファージ提示技術がこれまでに複数提案されている。ファージ提示技術は、各種抗体の可変領域のVH断片とVL断片を繊維状ファージの粒子上に同時に提示し、これと抗原との結合能をもって抗体の抗原結合能を評価し、さらに結合能の高い抗体を選択する技術である。ファージディスプレイ法において多くの場合には、M13,fdなどの繊維状ファージのコートタンパク質であるpIIIあるいはpVIIIの表面にライブラリーを、融合タンパク質として発現・提示させる。
pIIIを用いたファージディスプレイ法の概略を図2に示す。ファージのコート蛋白質pIIIをコードするgeneIII上流にランダムな配列を導入したファージミドベクターを構築する。大腸菌を形質転換してヘルパーファージでレスキューすることにより、pIIIにランダムな配列を含む蛋白質を提示したファージが得られる。この様に作製したファージライブラリーから標的分子のスクリーニングを行い、特異的に結合するものを選択することができる。標的分子を固定化した系についてライブラリーを投入し、結合、洗浄、溶出の操作(パニング,panning)を行うことで高い結合活性を持つファージを選択できる。回収したファージについては大腸菌(E.coli)に感染させ増幅して次のサイクルに投入する。スクリーニングを繰り返すことにより、ライブラリー中の結合性ファージの比率を効果的に高めていくことができる。
この選択系のメリットとしては、表現型と遺伝子型がリンクしているために、選択したタンパク質の配列決定が容易であること、スクリーニング中に増幅の過程が入るため効率的に目的タンパク質を濃縮できること、感染宿主を替えることによってタンパク質の切り離しが可能であることなどが挙げられる。また提示されるタンパク質としては、短い数残基のランダムペプチド、抗体断片、プロテアーゼ、ヒト成長ホルモン、核酸結合性タンパク質など多種多様なものが挙げられる。
一般的には、ファージディスプレイにおいて抗体断片を提示する場合には、VH、VLをリンカーで繋げたscFv(一本鎖Fv:single chain Fv)の形を用いる。ところが近年新たなファージ提示提示技術として、VHにgVII proteinを、VLにgIX proteinを提示させることにより、VH断片とVL断片を別々に提示させる新規な方法が報告された(Kim D.Jandaら、WO00/71694A1)。図3に従来の抗体断片を一本鎖の形で提示させる方法(A)と、上記のVH・VL断片を別々に提示させる方法(B)の模式図を示す。
ファージディスプレイに用いられる抗体のライブラリーとして、免疫をしていない動物のV遺伝子から作製したナイーブ・ライブラリー(Naive library)、ナイーブ・ライブラリーの超可変部領域に人工的に変異を導入した合成ライブラリー(Synthetic library)、そして目的の抗原で免疫した動物を用いて作製した免疫ライブラリー(Immunized library)が主に挙げられる。
ナイーブ・ライブラリーは抗原刺激によって親和成熟(affinity maturation)が起こる以前のIgM抗体のV遺伝子を用いているために、原理的には様々な抗原に対する抗体が選択可能であること、免疫操作を必要としないためヒト型抗体のライブラリーの構築が可能であること、などのメリットがある。一方、アフィニティーを向上させるためにライブラリーのサイズを大きくすることが必要不可欠であるために、作製に手間がかかることや、不要な要素を多く含むなどのデメリットがある。合成ライブラリーはナイーブ・ライブラリーのCDRに部位特異的変異導入やPCRの手法により変異を導入したもので、これにより多様性を制御することができる。
免疫ライブラリーはあらかじめ目的の抗原で免疫したマウスから抗体遺伝子を採取するため、非常に抗原特異性・結合活性の高いライブラリーが得られるメリットがある。しかし免疫に長い期間(1〜3ヶ月)を要する、免疫応答が不可能な毒性分子・自己分子に対する抗体の取得が困難である、ヒト型の抗体が調製しにくいなどのデメリットも挙げられる。
上記で述べたように、これまでに、繊維状ファージの粒子上に各種抗体の可変領域のVH断片とVL断片を同時に提示させ、抗体断片を提示させた繊維状ファージと抗原の間の結合能によって抗体の抗原結合能を評価することにより、結合能の高い抗体を選択する技術(ファージ提示技術)が複数提案されている。しかしこれらの提示法では、VH断片とVL断片の両者を含む抗体可変領域全体の抗原結合能は評価できるが、VH/VL間の相互作用を評価することはできなかった。また、前記のオープンサンドイッチELISAに適した抗体断片を取得するためには、抗原非存在下で相互作用の弱いVH・VLのペアを選択することが必要である。
発明の概要
本発明は上記の課題を解決するための第1の手段として下記の、(1)一の蛋白質又はその断片をコードするDNA配列、(2)当該一の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列、(3)他の蛋白質又はその断片をコードするDNA配列、(4)ホストによる提示切り替えを可能とする終止コドン、及び(5)当該他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列、の少なくとも上記5つのDNA配列を、当該ベクターの5’方向から3’方向にかけて、(1)(2)(3)(4)(5)の順番に又は(3)(4)(5)(1)(2)の順番に備える構造を有し、当該ホストによる提示切り替えを可能とする終止コドンが存在することにより、当該ベクターをサプレッサー変異体宿主に導入した際には、当該一の蛋白質又はその断片と当該他の蛋白質又はその断片の両者をその上に提示する2蛋白質提示型のファージを提供し、かつ、当該ベクターを非サプレッサー株宿主に導入した際には、当該一の蛋白質又はその断片のみをその上に提示する1蛋白質提示型のファージ及び当該非サプレッサー株宿主から培養上清中に分泌された当該他の蛋白質又はその断片を提供することを特徴とするベクターを提供する。
また本発明は上記の課題を解決するための第2の手段として下記の、一の蛋白質又はその断片と他の蛋白質又はその断片との間の相互作用を測定する方法であって、
(1)上記のベクターを用いて非サプレッサー株宿主の形質転換を行うことにより、当該一の蛋白質又はその断片のみをその上に提示した1蛋白質提示型のファージと、当該非サプレッサー株宿主から分泌された当該他の蛋白質又はその断片を含む培養上清を取得し、
(2)培養上清中の当該他の蛋白質又はその断片を適切な担体に固定化し、
(3)固定化された当該他の蛋白質又はその断片と、当該1蛋白質提示型のファージ上に提示された当該一の蛋白質又はその断片とを反応させて、当該一の蛋白質又はその断片と当該他の蛋白質又はその断片とを結合させ、
(4)標識された抗ファージ抗体を用いた免疫測定法により、ファージの固体化量を測定することにより、当該一の蛋白質又はその断片と当該他の蛋白質又はその断片との結合能を評価する;
上記の過程よりなる、一の蛋白質又はその断片と他の蛋白質又はその断片との間の相互作用を測定する方法を提供する。
また本発明は上記の課題を解決するための第3の手段として下記の、抗原が存在することによりVH断片とVL断片の間の相互作用が変化する抗体可変領域を得るための方法であって、
(1)抗体可変領域のVH断片及びVL断片をコードするDNA配列を含む上記のベクターを用いてサプレッサー変異体宿主の形質転換を行うことにより、当該ベクターをサプレッサー変異体宿主に導入した際にはVH断片とVL断片の両者をそのファージ上に提示する、VH/VL提示型のファージを取得し、
(2)上記(1)において取得された当該VH/VL提示型のファージと抗原との結合能を確認し、
(3)上記(2)においてVH/VL提示型のファージを提供することが確認された上記のベクターを用いて非サプレッサー株宿主の形質転換を行うことにより、あるいは上記(1)において取得されたVH/VL提示型のファージを用いて非サプレッサー株宿主の形質導入を行うことにより、当該VH断片のみをその上に提示したVH提示型のファージと当該非サプレッサー株宿主から培養上清中に分泌された当該VL断片を含む培養上清、あるいは当該VL断片のみをその上に提示したVL提示型のファージと当該非サプレッサー株宿主から培養上清中に分泌された当該VH断片を含む培養上清、のいずれかを取得し、
(4)培養上清中の当該VL断片又は当該VH断片を適切な担体に固定化し、
(5)抗原の存在下及び非存在下で、固定化された当該VL断片とファージ上に提示された当該VH断片、又は固定化された当該VHとファージ上に提示された当該VL断片を反応させ、
(6)標識された抗ファージ抗体を用いた免疫測定法により、ファージの固体化量を測定することにより、当該VH断片と当該VL断片の間の結合能を評価し;
(7)抗原の存在下における当該VH断片と当該VL断片の間の結合能が、抗原の非存在下における当該VH断片と当該VL断片の間の結合能の2倍以上である場合に、抗原が存在することによりVH断片とVL断片の間の相互作用が変化する抗体可変領域が得られたと判定する過程よりなる、上記方法を提供する。
以下の記載と図面を用いて本発明を更に詳細に説明するが、いかなる意味でも本発明の範囲を限定するものではない。
図1は、サンドイッチELISAと、オープンサンドイッチELISAの原理を示す模式図である。
図2は、ファージディスプレイ法の原理を示す模式図である。
図3は、抗体断片を一本鎖の形で提示させる方法と、VH・VL断片を別々に提示させる方法の原理を示す模式図である。
図4は、ファージミドベクターpKSの配列を示す模式図である。
図5は、ELISAにより抗体提示の検討を行った結果を示すグラフである。
図6は、ELISAにより抗原結合活性の検討を行った結果を示すグラフである。
図7は、HyHEL10を提示したscFv型とspilitFv型のファージにおいて、1010cfu/mlのファージ濃度で、ELISAによりHEL結合活性の検討を行った結果を示すグラフである。
図8は、HyHEL10を提示したscFv型とspilitFv型のファージにおいて、10cfu/mlのファージ濃度で、ELISAによりHEL結合活性の検討を行った結果を示すグラフである。
図9は、pKS1(HyHEL10)/sup+について、オープンサンドイッチELISAを行った結果を示すグラフである。
図10は、この実験系における提示切り替えのしくみを示す模式図である。
図11は、HyHEL10とD1.3を用いたオープンサンドイッチELISAの結果を示すグラフである。
図12は、パニングを行った際の陽性クローンの割合を示すグラフである。
図13は、HyHEL−10型又はD1.3型のsplit Fv断片の作製の過程を示す模式図である。
図14は、ファージライブラリーの作製からHEL結合能の高いクローンの選択までの過程を示す模式図である。
図15は、HELに対する結合能とオープンサンドイッチへの適性の関係を示す図である。
図16は、HELに対する結合能とV/V相互作用の関係を示す図である。
好適形態の詳細な説明
本発明は、抗体のVH/VL間の相互作用を測定することを可能とする新規な方法である。本発明の方法は、オープンサンドイッチELISA法に用いる目的により適した抗体の選択を可能とする。本発明は、抗体cDNA断片を組み込むためのファージミドベクター、当該ベクターによって形質転換したサプレッサー大腸菌あるいは非サプレッサー大腸菌、これにヘルパーファージを感染させて作製したファージおよび可溶性抗体断片を含む培養上清から構成される。
目的物質(抗原)との結合能を有する抗体可変領域cDNAとVH、VL断片を組み込んだファージミドベクターを作製し、当該ファージミドベクターをアンバーサプレッサー大腸菌に形質転換し、ヘルパーファージで感染させることにより常法でファージを作製する。このファージはその粒子上にVH、VLの両者を提示しており、可変領域(VH+VL)の抗原結合能を確認することができる。同じファージを非アンバーサプレッサー大腸菌に形質転換してファージを調製すると、下記において詳細に述べる提示切り替えによってVL断片は培養上清に分泌され、VH断片のみがファージ上に提示された形で同様に培養上清に得られる。
菌体培養液を遠心し、培養上清をVL断片結合性を持つプロテインLをコートしたマイクロプレートに注ぐ。このとき、VL断片は固相化されるのでVH/VL断片相互作用の強弱に応じて、ファージのマイクロプレートへの固定化量が変化する。これをペルオキシダーゼ標識抗ファージ抗体を用いた酵素免疫測定法(ELISA)で測定すれば、簡単にVH/VL断片間の相互作用を測定することができる。よって本方法により、従来より飛躍的に簡便に抗体VH/VL相互作用を評価することが可能となる。また本発明の方法によって抗原結合性の高い抗体断片を選択することができる。
また測定の際に抗原を共存させることによって、抗原によってVH/VL間の相互作用が大きく変化するクローンを迅速にスクリーニングすることができる。VH/VL間の相互作用が弱い抗体断片においては、担体上に固定化されたVL断片とファージ上に提示されたVH断片が直接に結合することは少なく、そのために担体上ファージが結合することはほとんどない。しかし、一部の抗体では抗原が存在する場合にはVH断片とVL断片が共に抗原と結合し、複合体が安定化するために、抗原を介してファージが担体に結合することができる。よって、担体に結合しているファージの量を、例えば抗ファージ抗体を用いて定量することにより、抗原の存在によりファージ結合量が大きく変化する抗体断片を選択することができる。その様な抗体断片はVH/VL間の相互作用が抗原の結合により大きく変化すると考えられ、オープンサンドイッチELISAを行うのに際して好適である。なお、抗原の存在により抗体可変領域のVH断片とVL断片の間の相互作用が2倍以上変化するならば、そのような抗体断片は本目的のために使用することが可能である(Suzuki et al.,Anal.Biochem.,286,238−246(2000))。
なお本方法を実施するにあたり、ファージミドベクターを使用することは好適である。ファージミドベクターは繊維状ファージゲノムの一部を含むようにして作製されたプラスミドであるために、ファージミドベクターを用いて大腸菌を形質転換した後、更にヘルパーファージに感染させる必要がある。これによって粒子形成のためのコート蛋白質が供給されて、ヘルパーファージ粒子とファージミド粒子が混合したファージが得られる。この際に使用するヘルパーファージは下記の実施例において使用しているM13KO7ヘルパーファージは特に好ましいが、それに限定されるものではない。またより簡便な方法として、必要なDNA配列を含むファージベクターを利用することもまた可能である。ファージベクターの場合には、当該ファージベクターを大腸菌に感染させることによって直接ファージを得ることが可能であり、ヘルパーファージを使用する必要はない。
本願明細書において「提示切り替え」とは、サプレッサー変異体宿主に導入された時には前記「一の蛋白質」と前記「他の蛋白質」の両蛋白質をファージ上に提示するが、非サプレッサー株宿主に導入された時には一つの蛋白質をファージ上に提示し、他のもう一つの蛋白質を分泌するという切り替えの現象を意味する。なお本願明細書中において、両蛋白質を提示しているファージを「2蛋白質提示型のファージ」と、一つの蛋白質をファージ上に提示するファージを「1蛋白質提示型のファージ」と称する。「1蛋白質提示型のファージ」が取得された場合には、「1蛋白質提示型のファージ」の上に上記「一の蛋白質」が提示されると共に、上記「他の蛋白質」をコードする遺伝子が大腸菌内で発現して菌体外へ分泌される。
なお上記の蛋白質が抗体可変領域断片である場合には特に、VH断片とVL断片の両者を提示しているファージを「VH/VL提示型のファージ」と称する。また、VH断片をファージ上に提示してVL断片は大腸菌より培養上清中に分泌する場合を「VH提示型の培養上清」と、VL断片をファージ上に提示してVH断片を培養上清中に分泌する場合を「VL提示型の培養上清」と、それぞれ称する。
上記の提示切り替えは、提示切り換えを可能とする終止コドンが存在することによって可能となる。提示切り換えを可能とする終止コドンとして、下記の実施例で使用しているアンバーコドンは特に好ましい。なおアンバーコドンは、タンパク質合成終止コドンの一つであるTAGのコドンである。しかし本発明で使用される終止コドンはそれに限定される訳ではなく、それ以外の終止コドンであるオパールコドン(TGA)やオーカーコドン(TAA)もまた同じ目的において使用することができる。
アンバーコドンを有しているベクターが大腸菌のアンバーサプレッサー株に導入された時には、当該終止コドンの読み違い(アンバーサプレッション)が一定の割合で起こって菌体内で融合蛋白質が発現するために、上記の2蛋白質提示型のファージを得ることができる。一方非サプレッサー株宿主に導入された場合にはアンバーサプレッションを起こさないので、アンバーコドンは正確に終止コドンとして認識されて融合蛋白質は発現せず、アンバーコドンの下流に存在する遺伝子がコードするタンパク質は分泌されて提示切り換えが起こる。なおオパールコドンをオパールサプレッションを起こすサプレッサー変異体宿主に導入することにより、またオーカーコドンをオーカーサプレッションを起こすサプレッサー変異体宿主に導入することによっても、提示切り換えを起こすことが可能である。
本発明の目的でサプレッサー変異体宿主として使用することができるのはsupEあるいはglnVを持つ菌であり、その例としては大腸菌TG1株、XL1−Blue株、DH5a株、JM109株およびNM522株などを挙げることができる。なお、非サプレッサー宿主としては大腸菌JM105株、NV1184株やHB2151株などを挙げることができる。しかし本発明において使用するサプレッサー変異体宿主と非サプレッサー宿主は、繊維状ファージが感染可能なF’プラスミドを保持している必要はあるが、上記に述べたものに限定されるものではなく、同等に機能を有する他の宿主に変更することができる。
本発明の方法において使用するベクターは、(1)一の蛋白質又はその断片をコードするDNA配列、(2)当該一の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列、(3)他の蛋白質又はその断片をコードするDNA配列、(4)ホストによる提示切り替えを可能とする終止コドン、及び(5)当該他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列からなる。当該ベクターは(1)(2)(3)(4)(5)をその順番に、又は(3)(4)(5)(1)(2)の順番に備えることができる。
この様な構成を有するベクターは、上記「一の蛋白質」をファージ上に提示する。一方、「他の蛋白質又はその断片をコードするDNA配列」と「当該他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するためのDNA配列」の間に提示切り替えを可能とする終止コドンが存在するために、非サプレッサー株宿主に導入した際には「他の蛋白質」は融合蛋白質としてファージ上に発現せず、提示切り替えによって培養上清中に分泌される。
上記の「蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列」として使用することが可能なDNA配列は、好ましくは繊維状ファージの表面蛋白質をコードするDNA配列である。その例として繊維状ファージの表面蛋白質をコードするDNA配列であるpVII蛋白質、pIX蛋白質、pIIIおよびpVIIIをコードしているDNA配列を挙げることができるが、特に好ましいのは下記の実施例で使用している繊維状ファージのpVII蛋白質あるいはpIX蛋白質をコードしているDNA配列である。しかしそれらに限定されるものではなく、他のファージ表面蛋白質をコードするDNA配列も、当該DNA配列が目的とする蛋白質と融合蛋白質を作製することが可能であって本発明の目的のために使用できる蛋白質をコードする限り、適宜選択して使用することができる。
本発明の方法は、抗体のVH断片とVL断片の間の相互作用を測定する目的において特に優れている。しかし本発明の方法は理論的には、抗体の可変領域断片以外の、ヘテロダイマーとして存在している多量体蛋白質において、当該多量体蛋白質を繊維状ファージの上に提示してダイマーを構成しているモノマー間の相互作用を評価する目的で使用することが可能である。例えばある特定のモノマーである「一の蛋白質」と、それとは異なるモノマーである「他の蛋白質」の相互作用を測定することは基礎研究の現場のみならず、臨床的な診断の目的においても重要である。本発明において「一の蛋白質」と「他の蛋白質」は限定されるものであるとは解されるべきではなく、本発明の方法は、蛋白質相互間の相互作用を測定することを可能とする新規な技術を提供するものである。
本発明の方法によって得られた、抗原非存在下でVH/VL相互作用が弱く、かつ抗原存在下でVH/VL相互作用が強い抗体を用いて、例えば以下のような測定キットを作製することが可能である。
1)VL断片をビオチン・アビジン相互作用を利用して、または物理的吸着を利用してチューブあるいはマイクロプレートに固定化する。
2)VH断片とレポーター酵素(例えばアルカリフォスファターゼ)との融合蛋白質を作製しておき、これをサンプルと共にVLを固定化した固相と一定時間接触させる。
3)洗浄後、固相化された酵素活性を測定し、サンプル中の抗原濃度の指標とする。
また、以下の測定キットを作製することがもまた可能である。
1)VH断片とVL断片を互いに吸収・蛍光スペクトル重なる二種類の蛍光色素(例えばフルオレセインとローダミン)で標識しておく。
2)これらをサンプルと混合し、5分程度おいて短波長側の蛍光色素のみを励起光で励起する。二種類の蛍光色素由来の蛍光強度を測定することで、VH/VLの会合による蛍光エネルギー移動現象を検出することができる。二つの蛍光強度の比をサンプル中の抗原濃度の指標とする。この方法では前の方法に比べて、短時間で洗浄操作なしに抗原濃度が測定できる。
また、以下の測定キットを作製することもまた可能である。
1)VH断片とVL断片を、それぞれ単体では活性がないか、低いが近接させると活性の増大する二種類の酵素断片(例えばLacZ△αおよびLacZ△ω)との融合蛋白質として大腸菌で発現させ、精製しておく。
2)二種類の融合蛋白質とサンプルを混合し、一定時間おいたのち基質(例えば発光基質Galacton Plus)と混合し、融合蛋白質複合体の活性を測定することでサンプル中の抗原濃度の指標とする。この方法では、前の2つの方法に比べてはるかに高感度に抗原濃度を測定することが可能であり、また洗浄操作を含まない(Yokozeki et al.,Anal.Chem.74(11),2500−2504,2002)。
本発明方法によって測定する対象としては、第一に臨床検査における血清中の特定蛋白質、ペプチド、各種ホルモン、麻薬あるいは治療用薬物等が考えられる。また、環境水中のダイオキシン、ビスフェノールA、ノニルフェノール等の毒性が疑われる化学物資や農薬類もまた本発明によって測定される対象となる。
下記の実施例において、提案した非サプレッサー株によるVL提示切り替えが適切に行われているかどうかについて検討を行った。より具体的には、本発明者らによってオープンサンドイッチELISAが可能であることが既に示されている抗HEL(Hen Egg−White Lysozyme,ニワトリ卵白リゾチーム)抗体のHyHEL−10を用いてスクリーニングのモデル系を構築し、提案した系が機能することを実験的に証明した。構築したgIX proteinにVH、gVII proteinにVLを別々に提示(split Fv)させるファージミドベクターpKS1について、ホストのE.coliの代替によるVL提示の切り替えをオープンサンドイッチELISAにより確認した。
下記の実施例の選択の第1段階において、VH・VL提示型のファージを用いた。作製したベクターによりE.coli TG1,XL1−Blueなどのアンバーサプレッサー株を形質転換した場合には、アンバーコドンは一定の割合で読み違いが起こりグルタミン酸に置換される。菌体内ではpIX−VH、pVII−VLの融合タンパク質が発現し、ヘルパーファージの感染によってVH・VL提示型のファージを得ることができる。
選択の第2段階において、上記において得られた結合活性の高いファージを、E.coli HB2151のような非サプレッサー株に感染させ、ヘルパーファージによるレスキューで、VH提示のファージと遊離のVL断片を培養上清に得る。この場合はアンバーコドンが正確に終止コドンとして認識されるため、得られるファージはいずれもVHのみを提示している。VLの上流には分泌シグナルであるompA配列を配置しており、ファージ粒子と同様に菌体外へ分泌される。
以下において実施例を示し、さらに詳しくこの発明の実施の形態について説明する。
(a)抗リゾチーム抗体HyHEL−10遺伝子をg7g9上に提示するファージミドベクターの構築
ポリメラーゼ連鎖増幅(PCR)法により必要となる断片を作製し,これらを連結させて目的ファージミドベクターを作製した.PCRの条件は下の表1にまとめた。なお、表1において反応条件はいずれも94℃で5min.x1,(94℃ 30sec,55℃ 30sec,−72℃ 1min.)x35,72℃ 8min.x1であり、DNAポリメラーゼはいずれも2.5unit/100μl KODポリメラーゼ(Toyobo,Osaka)である。
Figure 0004359682
OmpA−FLAGのクローニング
プラスミドpFLAG−ATS(Sigma−Aldrich)を鋳型とし、VLのN末端に配置する大腸菌ompA分泌シグナル配列およびFLAGタグ配列をPCR法により増幅した。プライマー配列には増幅断片5’側および、3’側にそれぞれ制限酵素部位Xba I、Sal Iが導入されるよう設計した。クローニングベクターpHSG397(TakaraBio,Otsu,Japan)へクローニングした後、蛍光DNAシーケンサーSQ−5500(Hitachi,Tokyo)、Thermosequenase sequencing kit(Amersham Bioscience,Tokyo)を用いてシーケンスを確認した(以下pHSG397/ompA−FLAG)。
Figure 0004359682
gene IX,gene VIIのクローニング
ヘルパーファージM13KO7(TakaraBio)から一本鎖DNAを調製し、これを鋳型にしてPCR法によりgene VII,gene IXの配列を増幅した。それぞれの5’および3’側に、制限酵素切断部位としてgene VIIではKpn IおよびEcoRI、gene IXではXho IおよびXba Iを導入するため以下のプライマーを用いた。
Figure 0004359682
増幅されたgene VII断片はEcoRIおよびKpnIで切断してpBlueScript II KS+(Toyobo)へ、gene IX断片はXhoIおよびXbaIで切断してpHSG397/ompA−FLAGへクローニングし、そのシーケンスを確認した(以下pBS−g7およびpHSG397/ompA−g9)。
リンカーの作製
オーバーラップ−イクステンジョン(Overlap−extension)PCRによるVH−linker−VL(HyHEL−10)の作製
VH,VL,Linkerを以下のプライマーを用いてそれぞれPCR増幅した後、VH−linker、linker−VLの各断片をオーバーラップ−イクステンジョンPCRにより増幅した。さらにVH−linker、linker−VLのオーバーラップ−イクステンジョンPCRによりVH−linker−VLの断片を得た。この断片を両端のNco I、Not Iで制限酵素切断した。
Figure 0004359682
Figure 0004359682
ファージミドベクターpKS1の構築
ファージミドベクターpKS1はpK1(Kristensen,P.,and Winter,G.(1998)Folding & Design 3,321−328)を改変したpScFv3上に構築した。まずPCR法により抗ウシ血清アルブミン(BSA)一本鎖抗体(scFv)をコードするファージミドベクターpIT(13CG2)(de Wildt,R.M.,Mundy,C.R.,Gorick,B.D.,and Tomlinson,I.M.(2000)Nat Biotechnol 18,989−994)をテンプレートとし,プライマーM13RVおよびMycAKpnFor(5’−CCGGGTACCTATGCGGCCCCATTCAGATC−3’)で抗BSA scFvおよびHis−MycタグをコードするDNA断片を増やし,これをSfi Iで切断後T4 DNAポリメラーゼを用いて平滑化したのちKpn Iで処理し精製した。
次にこれをファージミドベクターpK1をgIII遺伝子5’近傍のPst Iで処理した後T4 DNAポリメラーゼで平滑化しKpn Iで処理した断片とライゲーションさせた。この,抗BSA scFv遺伝子−His−Mycタグを持つベクターpScFv3をKpnI、EcoRIで処理し,これにKpnI、EcoRIで処理したpBS−g7から得たgene VII断片を挿入した(pScFv/g7)。続いてNco I,Not Iで処理したVH−linker−VLをpScFv/g7へ挿入し、pKS1を得た。ファージミドベクターpKS1の配列を図4に示す。
ファージの作製(VH・VL提示型、VH提示型)
構築したファージミドpKS1(アンピシリン耐性)により形質転換した大腸菌を対数増殖期に達するまで37℃で2TYAG培地(2TY+アンピシリン:100μg/μL,グルコース:2%)100mLで培養し、O.D.600=0.5の時点で培養液中の10mLへ、菌体量に対し20当量のヘルパーファージM13KO7を加えた。37℃で30min.静置した後、グルコースを含む培養上清を除去し、100mLの2TYAK培地(2TY+アンピシリン:100μg/mL,Km:25μg/mL)で再懸濁し30℃で終夜培養した。次に培養液を4000g,15min遠心し、上清を回収して20% PEG6000・2.5M NaClを1/5vol.加え氷上で1h静置し、4000g,15min遠心して沈殿物を2mlのTE(10mM Tris−HCl,1mM EDTA,pH8.0)で再懸濁した。再び遠心して上清を回収し、ファージ溶液を得た。得られたファージについてはタイターを測定(後述)し、ファージ粒子の濃度をコロニー形成能(タイター,cfu,colony forming unit/mL)により決定した。
i)サプレッサー株
プラスミドpKS1により大腸菌アンバーサプレッサー株TG−1及びXL−1Blueを形質転換し、pIXにVH、pVIIにVLを提示したVH,VL両者提示型のファージを得た。
ii)非サプレッサー株
pKS1により大腸菌非サプレッサー株HB2151を形質転換し、pIXにVHを提示しVLを提示していないファージ、及び遊離のVL断片を含むファージ溶液を得た。このファージについてはPEG NaClによる沈殿の過程を省き、培養上清をそのまま用いた。
ファージタイターの測定
ファージの濃度の目安としてタイターを測定した。対数増殖期まで2TY培地で培養した大腸菌TG1 100μL〜1mLに、原液をPBSで1000倍希釈したファージ溶液1μLを入れ、37℃で30min.静置して感染させた。その後2TY培地で希釈し、各希釈溶液から10μLを2TYAGプレート上にスポッティングした。終夜放置後に各スポットで形成されたコロニー数を数えて、ファージ原液1mLから何個のコロニーが形成されたかを計算しファージ濃度の指標とした。
ファージELISA
ポリスチレン製96穴マイクロプレートの各ウェルに1〜10μg/mLの一次抗体または抗原の溶液を100μL入れ、4℃で一晩固定化した。次にウェルの水分を除去した後、各wellに200μLの1%スキムミルクを含むPBS(MPBS)を入れ、2h.室温で静置しブロッキングした。続いてプレートを0.1% Tween20を含むPBS(PBST)で3回洗浄し、1011〜1012cfu/mLのファージ溶液(MPBS中)を100μL入れて37℃で1h.静置した。マイクロプレートを3回洗浄し、MPBSで5000倍希釈したHRP標識抗ファージ抗体(マウス抗−M13 HRP,アマシャムバイオサイエンス)を各ウェルへ100μLずつ添加し室温で1h.静置した。
マイクロプレートをPBSTで3回洗浄し、あらかじめ調製した酵素反応溶液(50mL 100mM酢酸ナトリウムpH6.0,TMBZ(in DMSO)500μL,H 10μL)を各wellへ添加して反応を開始した。暗所で10〜30min.反応させた後3.2N HSOを50μLずつ添加して反応を止め、プレートリーダーで吸光度を測定した(450nm,対照は650nm)。
オープンサンドイッチELISA
基本的な操作は上述のファージELISAと同様に行った。タグを付加したVLを固定化する一次抗体(aFLAG−M2またはamyc 9E10)をマイクロプレート上に固定化しブロッキングした後、濃度既知の抗原(HEL,0.6〜10μg/mL)をあらかじめ混ぜたファージ溶液(1%MPBS中)を100μL入れ37℃で1h.静置した。以降ファージELISAと同様にHRP標識抗ファージ抗体の酵素活性を吸光度により測定した。
VL断片提示の確認
ファージに提示されたVLのN末端にはmyc tagが、C末端にはFLAG tagが組み込まれており、抗体断片の提示を確認するためにこれらのtagに対する抗体を用いてファージELISAを行った。この結果、少なくともVL断片は充分に提示が行われていることが示唆された。提示の確認の結果を図5に示す。
抗原結合活性の確認
抗体断片VH・VLがファージに充分提示されているか、またファージに提示されたVH・VLが充分な結合活性、抗原特異性を保持しているかどうかを確認するため、HELを固定化したマイクロプレートを用いてファージELISAを行った。この結果、ファージ濃度10(cfu/mL)以上において抗原に対する特異的な結合が確認でき、このことからVHの提示も充分に行われていることが明らかになった。抗原結合活性の確認の結果を図6に示す。
scFvとsplitFvの比較
HyHEL−10をscFv型及びsplitFv型で提示した各ファージについて、抗原(HEL)を固定化したELISAを行い抗原結合活性を比較した。SplitFv型においてもscFvと同様に充分な結合活性を示していることから、従来と同様の選択条件により結合性ファージのスクリーニングが可能なことが示された。なお図7は1010cfu/mlにおける結果であり、図8は10cfu/mlにおける結果である。
VH提示型ファージの作製
大腸菌HB2151:非サプレッサー株の形質転換
構築したベクターpKS1について、非サプレッサー株である大腸菌HB2151の形質転換を行い、M13KO7ヘルパーファージでレスキューしてファージを作製した。得られたファージにはVHのみが提示され、VLはファージと共に培養上清に分泌される。同様にタイターを測定し以降の実験に用いた。
非サプレッサー株による提示切り替えの確認
非サプレッサー株によって、アンバーによる提示の切り替えが充分に行われているかどうかを確認するため、培養上清を直接用いて抗原(HEL)濃度0〜10μg/mLの範囲においてオープンサンドイッチELISAを行った。ファージ濃度1x1011(cfu/mL)においてHELに特異的な濃度依存的なシグナルの上昇が見られたことから、切り替えは充分に起こっていると考えられた。またVLの分泌についても充分量行われていることが示唆された。結果を図9に示す。また、この実験系における提示切り替えのしくみを示す模式図を図10に示す。
また実際にスクリーニングを行う時には、VH/VL提示型のファージライブラリーから選択した抗原に強い結合を示す各クローンについて96穴プレートで培養を行いファージを作製するが、96穴プレートにおける培養上清のファージタイターはウェルのどの位置においてもそれほど差異はなくおよそ1012のオーダーであることから、直接オープンサンドイッチELISAによりスクリーニングが行えることが示唆された。
ファージミドベクターpKS2の作製
前項で作製したpKS1は,抗体クローニングのための制限酵素部位としてVH上流に6塩基認識NcoIサイトしか持って居らず,内部にNcoI切断部位をもつ遺伝子断片の挿入は難しいという欠点があった。これを改良するため,NcoIに加えて8塩基認識SfiIをクローニングに用いることのできるベクターpKS2を作製した。
具体的にはPKS1(HyHEL−10)をNcoIおよびEcoRIで切断し,0.8kbの挿入断片をNcoIおよびEcoRIで切断したファージミドベクターpCantab5E(アマシャムバイオサイエンス)にライゲーションさせ組み込んだ。
ターミネーターを組み込んだファージミドベクターの作製
挿入する抗体遺伝子によっては発現誘導前の融合蛋白質発現が大腸菌の生育に有害となり,挿入した遺伝子が高率で欠損する現象が見受けられた。これを防ぐため,転写開始信号の前と,融合遺伝子下流にグルタミンパーメアーゼ(glutamine permease)オペロン由来の転写終結配列(ターミネーターtHP,Nohno,T.et al.,Mol.Gen.Genet.(1986)205:260−269)を挿入した。これにより,非誘導時にファージミドベクター中に存在するプロモーター様配列から転写開始されるmRNAからの融合蛋白質発現を減少させることが出来ると期待された。
ファージミドベクターpKS2をLacプロモーター上流のSapI部位で切断し,ここに以下の4種のオリゴヌクレオチドをリン酸化後アニールさせて作製したターミネーター遺伝子を挿入した。
Figure 0004359682
組み換えたファージミドは,そのシーケンスを決定し設計通りの配列となっていることを確認した(pKS2T)。
次に,pKS2Tを融合遺伝子下流にあるEcoRI部位で切断し,以下の2つのプライマーおよびtHP2,tHP3をアニールさせて作製したターミネーター遺伝子を挿入した。
Figure 0004359682
遺伝子の挿入されたファージミドのシーケンスを決定したところ,EcoRI部位にターミネータ遺伝子が2個タンデムに挿入されていた。これをpKST2とした。
オープンサンドイッチ法に適した抗体の判別
このシステムを用いてある抗体がオープンサンドイッチ法に適しているかどうかを判別可能かどうか検討した。抗体遺伝子として,抗ニワトリ卵白リゾチーム抗体HyHEL−10およびD1.3を用いた。D1.3はVH−VL相互作用が抗原結合の有無にかかわらず強い事が知られている。D1.3 Fv遺伝子をテンプレートとし,上記と同様にPCRでsplit Fv遺伝子を作製し,pKST2に組み込んだ。非サプレッサー株であるHB2151を形質転換し,ヘルパーファージM13KO7を用いてVH提示ファージおよび分泌型VLを含む培養上清を調製した。
この上清および抗原を抗FLAGタグ抗体を固定化したマイクロプレートに注ぎ,ファージ結合の抗原濃度依存性を調べた結果,D1.3を用いた場合,サンプル中のリゾチーム濃度を変えてもVL断片を介して固相化されるファージの量は殆ど変化しなかった。これに対し,HyHEL−10を用いた場合,サンプル中のリゾチーム濃度に応じてVL断片を介して固相化されるファージ量が顕著に増加した。このことから,この系がオープンサンドイッチ法に適した抗体の簡便なスクリーニング法として機能することが確かめられた.結果を図11に示す。
モデルパニング
このシステムを用いて特異的結合抗体を提示するファージの選択が可能であることを証明するため,二種の特異性の異なるファージ抗体の混合液から目的の特異性を持ったファージ抗体をパニング法で濃縮することを試みた。
ファージミドとして,HyHEL−10をコードするsplit Fvを提示可能なpKST2−H10(H10)および抗フルオレセインsplit Fvを提示可能なpKST2−31IJ3(IJ3)を用いた。これらを形質転換した大腸菌TG−1にヘルパーファージM13KO7を感染させ,split Fv提示ファージを作製した.これらをMPBS 100μl中のtiterがH10:IJ3=10:1011あるいは10:1011となる様に混合したファージ液を調製し,ニワトリ卵白リゾチームHELを固定化したマイクロプレートに注いで37℃1時間置き,PBS−Tで2回,PBSで2回洗浄し100μLの0.2MGlycine−HCl(pH2.2),1mg/mlウシ血清アルブミンを注ぎ溶出されたファージを6μlの2M Trisで中和し対数増殖期の大腸菌TG−1に感染させた(一回目のパニング)。これをYTAGプレートにまいて37℃一晩おき,コロニーを48個回収してそれぞれを培養し,ファージを調製した(モノクローナルファージ)。これと共に残りのコロニーを集めてこれから同様にファージを調製し,再度HELを固定化したマイクロプレートを用いたパニングを行った。そして48クローンからモノクローナルファージを調製し,それぞれについて,HELへの結合能をELISA法で測定した。
この結果,1:10および1:10のどちらの混合比でも1回目のパニングで顕著なHEL結合クローンの濃縮が見られ,全クローン中結合クローンの割合はそれぞれ37.5%および50%となった。また2回目のパニングにより,どちらの混合比の場合も80%以上が陽性クローンとなることがわかった(図12)。
同じHELに対する抗体でもHyHEL−10はオープンサンドイッチ法に適するが、VH/VL相互作用の強いD1.3は適していない。VH/VL相互作用に関与する残基を特定することができれば、その残基をオープンサンドイッチ法が適用可能な抗体のアミノ酸に置換することにより、オープンサンドイッチ法をより多くの抗体に適用することが可能となると期待される。また、これまでに、VH/VL相互作用および抗原結合能と抗体フレームワーク領域の配列との関係が系統的に調べられた例はない。そこで、VH/VL界面に存在する2番目のフレームワーク領域(FR2)に着目し、HyHEL−10のVHおよびVLのFR2領域の各残基をD1.3型のものにしたとき、オープンサンドイッチ法による測定が可能であるか、また、VH/VL相互作用がそれぞれの野生型(WT)と比較してどのように変化するか、検討した。またそれにより、オープンサンドイッチ法が適用可能なクローンの割合を調べ、オープンサンドイッチ法の適用に必要な2つの条件を満たすには、どの残基が重要なのか検討した。
split Fv断片の作製
HyHEL−10を鋳型とし、以下の方法でPCRを行った。プライマーに混合塩基を入れることでFR2領域をHyHEL−10型か、D1.3型にした、VHのN末端からVLのCDR2領域に位置する55番目のGly(H55)までのDNA断片(以下:VH FR2と称し、リバースプライマーにMH2BackSfi、フォワードプライマーにH10VHframe2を使用)、VLのCDR1領域に位置する30番目のGly(L30)からVLのN末端、gVIIまでのDNA断片(以下:VL FR2)(リバースプライマーにH10VLframe2、フォワードプライマーにg7EcoFRを使用)を増幅した。
PCR反応の鋳型には、pKST2のFLAG tagをVLのN末端からVHのC末端に移動させたHyHEL−10のsplit Fv断片を持つファージミド(pKST2 HyHEL−10A)を用いた。また、同様にこの2つのDNA断片をsplit Fv断片にするためのリンカーも増幅した。この場合もpKST2 HyHEL−10Aをテンプレートにし、VHのCDR2領域に位置する49番目のGly(H49)からVHのC末端、FLAG、gIX、OmpA、VLのCDR1領域に位置する37番目のGln(L39)までのDNA断片(以下:linker(FR2))(リバースプライマーにH10linkRV、フォワードプライマーにH10linkFRを使用)を増幅した。いずれの場合も、DNAポリメラーゼとしてEx Taq(宝バイオ)を用い、反応は94℃、5分間で開始し、94℃30秒間、55℃30秒間、72℃1分間を35サイクル行い、72℃5分間反応させた後、4℃で終了した。
次に、VH FR2、VL FR2、リンカー(FR2)をオーバーラップエクステンジョンPCRにより1つのDNA断片にアセンブリーさせた。まず、プライマーを加えず、VH FR2、VL FR2、リンカー(FR2)をPCR反応液に入れ、94℃、5分間で開始し、94℃30秒間、55℃30秒間、72℃1分間を7サイクル行い、4℃で反応を終了させた。次に、MH2BackSfiをリバースプライマー、g7EcoFRをフォワードプライマーとして加え、94℃30秒間、55℃30秒間、72℃1分間を30サイクル行い、4℃で反応を終了させた。ポリメラーゼは、Ex Taqを用いた。
Figure 0004359682
Figure 0004359682
FR2領域のランダム化の確認
このようにして増幅したsplit Fv断片をNco I、Not Iで処理し、Nco I、Not Iで処理されたベクターpKST2に組み込み、大腸菌TG−1sup+に形質転換した。反応溶液をYTAGプレート(Ap:100μg/mL、Glucose:1%)に塗布し、30℃で一晩培養した。生じたコロニーからコロニーPCRを行った。split Fv断片の挿入が確認されたクローンをレプリカプレートから植菌し、37℃で一晩振盪培養した。得られた菌体溶液からアルカリ−SDS法でプラスミド精製を行った。ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems)、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems)で配列の確認を行った。プライマーは、M13RV、OmpARV(OmpA signal配列の一部に相補的なリバースプライマー)を用いた。また、ファージディスプレイ、続いて抗原のHEL、blank、VH、および、VLの提示を確認するため、それぞれ、anti FLAG M2、9E10を固定化し、ファージELISAを行った。なお、HyHEL−10のFR2領域の各残基をHyHEL−10型か、D1.3型にしたsplit Fv断片の作製を示す模式図を図13に示す。
Figure 0004359682
ライブラリーの作製
まず上記のsplit Fv断片を大量に調製した。その後、ベクター(pKST2)2.13pmolと挿入DNA断片(HyHEL−10のFR2領域に変異を導入したsplit Fv断片)21.3pmolを混合し、そこへ全量の1/2vol.のLigation High(Toyobo)を加え、16℃で2時間静置し、ライゲーションを行った。次に、エレクトロポレーション法により形質転換を行う前に、エタノール沈殿により脱塩を行った。具体的には、ライゲーション反応液の全量の1/10vol.の3M酢酸ナトリウム、2μLのPellet Paint Co−Precipitant(メルク、東京)、2vol.の100%エタノールを加え、ボルテックスミキサーにより混合し、室温で2分間静置した。静置後、15000rpm、室温で5分間遠心し、上清を除去した。70%エタノール、続いて100%エタノールでリンスし、15000rpm、室温で5分間遠心し、上清を除去、遠心乾燥した後、沈殿を20μLのmilli−Q水に溶解し、2等分した。
脱塩を行ったDNA溶液10μLと大腸菌100μL(TG−1sup+)を混合し、キュベットに移し、Easyject(EquiBio)を用いて電圧を加えた。その後、2YT液体培地900μLをキュベットに加え、懸濁し、マイクロチューブに移し、37℃で30分間培養した。残りの脱塩を行ったDNA溶液10μLについても、同様の操作を行った。培養を行った後に、培養液1μLを2YT液体培地99μLで希釈し、このうち10μLを2YT液体培地90μLで10倍希釈、この操作を2回繰り返した。それぞれの希釈液のうち10μLずつをYTAG(Ap:100μg/mL、グルコース:1%)プレートにスポッティングし、30℃で一晩培養した。それぞれのスポットに生じたコロニーの数を数え、ライブラリのサイズを算出した。残りの培養液は、YTAG(Ap:100μg/mL、グルコース:1%)プレート(バイオトレイ)(住友ベークライト)に塗布し、30℃で一晩培養した。
ファージライブラリーの調製
コロニーの生えたバイオトレイに2YT液体培地5mlを注ぎ、コンラージ棒を用いてコロニーを回収し、1/2vol.の50%グリセロールを加えグリセロールストックを作製し、−80℃で保存した。回収した菌体溶液50μLを2YT液体培地(Ap:100μg/mL、グルコース:1%)100mLに添加し、37℃で振盪培養した。O.D.600=0.5に達したとき、培養液10mLに菌体の20当量のヘルパーファージM13K07を加え、37℃で30分間静置した。その後、2000rpm、15分間遠心、培養上清を除去し、2YT液体培地(Ap:100μg/mL、Km:50μg/mL)5mLで再懸濁した。これを2YT液体培地(Ap:100μg/mL、Km:50μg/mL)45mLの入ったバッフル付三角フラスコに加え、30℃で20時間、毎分250回転で振盪培養した。培養後、培養液を6500g、10分間遠心し、培養上清を回収、そこへ20%PEG6000、2.5M NaClを1/5vol.加え、氷上で1時間静置した。その後、6500g、4℃、30分間遠心し、沈殿物として得られたファージを1mLのTE(10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)で再懸濁し、再度15000rpm、4℃、20分間遠心し、上清を回収、ファージライブラリーを得た。
バイオパニングとモノクローナルファージELISA
抗原のHELに対してバイオパニングを1回もしくは2回行った。バイオパニングによって得られたHELに対する結合能の高いファージ集団から、HELに特異的に結合するクローンを取得するため、モノクローナルファージELISAを行った。合計1536クローンにつき、ファージ培養上清を用いてELISAを行い、HELを固定化したウェルの吸光度が0.3以上でかつ、その吸光度がブランクの吸光度の5倍以上である72クローンを、HELへの結合が特異的であるか更に検討することにした。
上記においてライブラリーを作製する際に、約7×10個のコロニーが生じた。コロニーPCRによりインサートが挿入されていないもの、また、PCRの際、遺伝子の過不足が起こっているものの割合を差し引くと、ライブラリーの多様性は約5×10と推定される。1回、バイオパニングを行い、得られた1536クローンにつき、96穴プレートで調製したファージ培養上清を用い、ELISAを行った。HELを固定化したウェルの吸光度が0.3以上でかつ、その吸光度がブランクの吸光度の5倍以上である72クローンにつき、5mLスケールでファージを再度調製し、ELISAを行い、HELへの結合が特異的であるか、VH、VLが提示されているか、検討を行った。
ファージクローンのHELに対する特異性
モノクローナルファージELISAでHELへの結合能があると判断したクローンの特異性を確認するため、それぞれのクローンについて、グリセロールストックから植菌し、5mLスケールでファージディスプレイをし、ファージELISAを行った。このとき、抗原のHEL、ブランク、VH、および、VLの提示を確認するため、それぞれ、anti FLAG M2、9E10を固定化したウェルを用意した。VH、VLの両方が提示されていて、HELに充分特異的に結合すると判断されるクローンが得られたので、これらのクローンにつき、グリセロールストックから植菌し、37℃で一晩振盪培養した。得られた菌体溶液からアルカリ−SDS法でプラスミド精製を行った。ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kitで配列の確認を行った。プライマーは、M13RV、OmpARVを用いた。
anti FLAG M2、9E10を固定化したウェルで、充分に大きな吸光度が示されVH、VL共に提示されていることが確認され、かつ、HELを固定化したウェルの吸光度がブランクの吸光度の8倍以上で、充分特異的に結合していると判断される64クローンを得た。本来保存されているフレームワーク領域に変異を加えたために、非特異的な結合を示すクローンが多くなったと考えられる。これらのクローンにつき、提示されているVH、およびVLのアミノ酸配列を調べ、アンバーコドンに置換されているクローン、VH、VL両方ともWTと全く同じアミノ酸配列を持つクローンを除いた36クローンにつき、更に解析することにした。なお図14に、ファージライブラリの作製から、HELへの結合能の高いクローンの選択までの流れを示す。
この36クローンにつき、ファージのタイターを2.5×10、1×10、4×10(cfu/ml)にそろえ、HEL、ブランクに対しELISAを行ったところ、いずれのクローンもHELに特異的に結合していて、その結合能はWTと比較して、弱いものから、同等、強いものまで多種多様であった。HELへの結合能の指標に、1×10cfu/mlでELISAを行ったときの、HELを固定したウェルでの吸光度からブランクの吸光度を引き、WTのその値で割った値を用いることにした。
オープンサンドイッチELISAによるVH/VL相互作用の測定
HELに充分特異的に結合すると判断され、かつ、アンバーコドンによる置換が起こっていなかった36クローンにつき、ファージをHB2151sup−に感染させ、VHのみが提示されたファージと可溶性VL断片を含む上清を調製した。VLに結合させたtagのmyc tagに対する抗体9E10を固定化したプレートに、この培養上清をアプライし、いくつかの抗原濃度で(HEL=0、0.1、1、10μg/mL)、Open Sandwich ELISAを行った。この際、プレートへの非特異的吸着による吸光度上昇がどの程度であるか検討するため、ブランクのウェルも用意した。その他の操作は、実施例1において述べたオープンサンドイッチELISAと同様の方法で行った。
HEL=10μg/mLでの吸光度をHEL=0μg/mLでの吸光度で割った値をオープンサンドイッチ法による測定への適性の指標として用いた。この値が1.2未満のものをオープンサンドイッチ法による測定が不可能である、1.2以上のものをオープンサンドイッチ法による測定が可能であると分類した。すると、VHの39番目の残基であるH39がオープンサンドイッチ法による測定が可能であった14クローン中、13クローンでKであり、オープンサンドイッチ法による測定が不可能であった22クローン中、20クローンでQであった。
次にHB2151sup−をホストとし調製したVHのみが提示されたファージと可溶性VL断片を含む上清を用い、抗原非存在下でのVH/VL相互作用の測定を行った。VL側のtagのmyc tagに対する抗体9E10を4℃、一晩静置、固定化したプレートを2%MPBS200μLを加え、室温で2時間静置した。ブロッキング後、プレートをPBS−Tween(0.1%Tween20)で3回洗い、この培養上清10μLと1% MPBS 90μLを混合した溶液100μLを加え、37℃で1時間静置した。プレートをPBS−Tween(0.1% Tween20)で3回洗い、5000倍希釈したマウス由来HRP標識抗ファージ抗体100μLを各ウェルへ加え、室温で1時間静置した。プレートをPBS−Tween(0.1% Tween20)で3回洗い酵素反応を行った。
9E10を固定したウェルの吸光度からブランクの吸光度を引いた値をVH/VL相互作用の強弱の指標として用い、この値の小さいクローンから順に並び替え、そのFR2領域のアミノ酸配列と比較した。この値が0.5以上のものをVH/VL相互作用が強い、0.5未満のものをVH/VL相互作用が弱いと分類した。この場合でも、H39のアミノ酸配列が大きな影響を及ぼしていて、H39が、VH/VL相互作用が強いと判断された19クローン中、17クローンでD1.3型のQであり、VH/VL相互作用が弱いと判断された17クローン中、13クローンでHyHEL−10型のKであった。すなわちこの実験により、VH39位のアミノ酸残基(H39)がオープンサンドイッチ法による測定の可否、およびVH/VL相互作用の強弱決定に深く関与していることが示唆された。
HELへの結合能とオープンサンドイッチ法による測定への適性、次にVH/VL相互作用の強弱との関係をプロットした。HELに対する結合能とオープンサンドイッチへの適性の関係を図15に示す。また、HELに対する結合能とVH/VL相互作用の関係を図16に示す。なお図15と図16において、黒丸はH39がHyHEL−10型(K)のものを、白四角はD1.3型(Q)のものを、黒三角は野生型(WT)を、それぞれ示す。36クローンについてプロットを行い、H39がK,Qで分類した。
この結果、やはりVHの39番目がVH/VL相互作用の強弱、オープンサンドイッチ法による測定への適性に深く関与していて、HyHEL−10型のKでは、VH/VLV相互作用が弱く、オープンサンドイッチ法による測定に適していて、D1.3型のQでは、VH/VL相互作用が強く、オープンサンドイッチ法による測定に適さない傾向があることが示された。これは、主にVLの38番目(L38)のQとの間に水素結合を形成できるか否かによるものと考えられる。
実際に、H39がKのHyHEL−10、H39がQのD1.3についてH39近傍の立体構造を調べた。すると、HyHEL−10では、H39のKとL38のQの間には、水素結合が形成されないが、D1.3では、H39のQとL38のQの間に2本の水素結合が形成されることがわかった。それゆえ、H39がKの場合、L38のQと水素結合を形成することができないため、VH/VL相互作用が弱く、一方、H39がQの場合、L38のQと2本の水素結合を形成するため、VH/VL相互作用が強くなる傾向があるものと考えられる。
以上のことから、split Fvシステムを用いてランダム化した抗体Fvライブラリの選択を行い、野生型より抗原親和性の高いもの、オープンサンドイッチ法により適したものを含めた多数のクローンを得られることが示された。また、この結果からオープンサンドイッチ法に適した抗体の特徴が明らかになった。
本発明により、抗体可変領域のVH断片とVL断片の間の相互作用を測定するための新規な方法が与えられた。本発明の方法は蛋白質の間の相互作用を検出する目的で、広く使用することが可能である。本発明の方法に従って、アンバーコドンを有するファージミドベクターによってアンバーサプレッサー株大腸菌を形質転換してファージを調製すると、VH・VL断片の両者がファージ粒子上に提示される。一方非アンバーサプレッサー株大腸菌を形質転換してファージを調製した際には、アンバーコドンが存在するために、VH断片のみがファージ粒子上に提示されて、VL断片は培養上清中に分泌されるという提示切り替えが起こる。培養上清中に分泌されたVL断片を固相に固定化し、ファージ上に提示されたVH断片との相互作用を定量化することにより、VH断片とVL断片の間の相互作用を測定することが可能である。

Claims (20)

  1. ベクターであって、(1)一の蛋白質又はその断片をコードするDNA配列、(2)当該一の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列、(3)他の蛋白質又はその断片をコードするDNA配列、(4)ホストによる提示切り替えを可能とする終止コドン、及び(5)当該他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列、の少なくとも上記5つのDNA配列を、当該ベクターの5’方向から3’方向にかけて、(1)(2)(3)(4)(5)の順番に又は(3)(4)(5)(1)(2)の順番に備える構造を有し、当該ホストによる提示切り替えを可能とする終止コドンが存在することにより、当該ベクターをサプレッサー変異体宿主に導入した際には、当該一の蛋白質又はその断片と当該他の蛋白質又はその断片の両者をその上に提示する2蛋白質提示型のファージを提供し、かつ、当該ベクターを非サプレッサー株宿主に導入した際には、当該一の蛋白質又はその断片のみをその上に提示する1蛋白質提示型のファージ及び当該非サプレッサー株宿主から培養上清中に分泌された当該他の蛋白質又はその断片を提供することを特徴とする、ベクター。
  2. 前記一の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVH断片であって、前記他の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVL断片である、請求項1記載のベクター。
  3. 前記一の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVL断片であって、前記他の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVH断片である、請求項1記載のベクター。
  4. 前記ベクターが大腸菌のファージベクター又はファージミドベクターである、請求項1ないし請求項3のいずれか1つの請求項記載のベクター。
  5. 前記一の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpIX蛋白質をコードするDNA配列であって、前記他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpVII蛋白質をコードするDNA配列である、請求項1ないし請求項4のいずれか1つの請求項記載のベクター。
  6. 前記一の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpVII蛋白質をコードするDNA配列であって、前記他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpIX蛋白質をコードするDNA配列である、請求項1ないし請求項4のいずれか1つの請求項記載のベクター。
  7. 前記ホストによる提示切り替えを可能とする終止コドンがアンバーコドンである、請求項1ないし請求項6のいずれか1つの請求項記載のベクター。
  8. 一の蛋白質又はその断片と他の蛋白質又はその断片との間の相互作用を測定する方法であって、
    (1)請求項1ないし請求項7のいずれか1つの請求項記載のベクターを用いて非サプレッサー株宿主の形質転換を行うことにより、当該一の蛋白質又はその断片のみをその上に提示した1蛋白質提示型のファージと、当該非サプレッサー株宿主から分泌された当該他の蛋白質又はその断片を含む培養上清を取得し、
    (2)培養上清中の当該他の蛋白質又はその断片を適切な担体に固定化し、
    (3)固定化された当該他の蛋白質又はその断片と、当該1蛋白質提示型のファージ上に提示された当該一の蛋白質又はその断片とを反応させて、当該一の蛋白質又はその断片と当該他の蛋白質又はその断片とを結合させ、
    (4)標識された抗ファージ抗体を用いた免疫測定法により、ファージの固体化量を測定することにより、当該一の蛋白質又はその断片と当該他の蛋白質又はその断片との結合能を評価する;
    上記の過程よりなる、一の蛋白質又はその断片と他の蛋白質又はその断片との間の相互作用を測定する方法。
  9. 前記一の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVH断片であって、前記他の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVL断片である、請求項8記載の方法。
  10. 前記一の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVL断片であって、前記他の蛋白質又はその断片が抗体可変領域のVH断片である、請求項8記載の方法。
  11. 前記ベクターが大腸菌のファージベクター又はファージミドベクターである、請求項8ないし請求項10のいずれか1つの請求項記載の方法。
  12. 前記一の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpIX蛋白質をコードするDNA配列であって、前記他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpVII蛋白質をコードするDNA配列である、請求項8ないし請求項11のいずれか1つの請求項記載の方法。
  13. 前記一の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpVII蛋白質をコードするDNA配列であって、前記他の蛋白質又はその断片をファージ上に提示するための蛋白質をコードするDNA配列が繊維状ファージのpIX蛋白質をコードするDNA配列である、請求項8ないし請求項11のいずれか1つの請求項記載の方法。
  14. 前記ホストによる提示切り替えを可能とする終止コドンがアンバーコドンである、請求項8ないし請求項13のいずれか1つの請求項記載の方法。
  15. 前記サプレッサー変異体宿主が、大腸菌アンバーサプレッサー株である、請求項8ないし請求項14のいずれか1つの請求項記載の方法。
  16. 前記大腸菌アンバーサプレッサー株が大腸菌TG1株であり、かつ前記非サプレッサー株宿主が大腸菌HB2151株である、請求項15記載の方法。
  17. 抗原が存在することによりVH断片とVL断片の間の相互作用が変化する抗体可変領域を得るための方法であって、
    (1)請求項2記載のベクターを用いてサプレッサー変異体宿主の形質転換を行うことにより、当該ベクターをサプレッサー変異体宿主に導入した際にはVH断片とVL断片の両者をそのファージ上に提示する、VH/VL提示型のファージを取得し、
    (2)上記(1)において取得された当該VH/VL提示型のファージと抗原との結合能を確認し、
    (3)上記(2)においてVH/VL提示型のファージを提供することが確認された請求項2記載のベクターを用いて非サプレッサー株宿主の形質転換を行うことにより、あるいは上記(1)において取得されたVH/VL提示型のファージを用いて非サプレッサー株宿主の形質導入を行うことにより、当該VH断片のみをその上に提示するVH提示型のファージと、当該非サプレッサー株宿主から培養上清中に分泌された当該VL断片を含む培養上清を取得し、
    (4)培養上清中の当該VL断片を適切な担体に固定化し、
    (5)抗原の存在下及び非存在下で、固定化された当該VL断片とファージ上に提示された当該VH断片を反応させ、
    (6)標識された抗ファージ抗体を用いた免疫測定法により、ファージの固体化量を測定することにより、当該VH断片と当該VH断片の間の結合能を評価し;
    (7)抗原の存在下における当該VH断片と当該VL断片の間の結合能が、抗原の非存在下における当該VH断片と当該VL断片の間の結合能の2倍以上である場合に、抗原が存在することによりVH断片とVL断片の間の相互作用が変化する抗体可変領域が得られたと判定する過程よりなる、上記方法。
  18. 抗原が存在することによりVH断片とVL断片の間の相互作用が変化する抗体可変領域を得るための方法であって、
    (1)請求項3のベクターを用いてサプレッサー変異体宿主の形質転換を行うことにより、当該ベクターをサプレッサー変異体宿主に導入した際にはVH断片とVL断片の両者をそのファージ上に提示する、VH/VL提示型のファージを取得し、
    (2)上記(1)において取得された当該VH/VL提示型のファージと抗原との結合能を確認し、
    (3)上記(2)においてVH/VL提示型のファージを提供することが確認された請求項3記載のベクターを用いて非サプレッサー株宿主の形質転換を行うことにより、あるいは上記(1)において取得されたVH/VL提示型のファージを用いて非サプレッサー株宿主の形質導入を行うことにより、当該VL断片のみをその上に提示するVL提示型のファージと、当該非サプレッサー株宿主から培養上清中に分泌された当該VH断片を含む培養上清を取得し、
    (4)培養上清中の当該VH断片を適切な担体に固定化し、
    (5)抗原の存在下及び非存在下で、固定化された当該VH断片とファージ上に提示された当該VL断片を反応させ、
    (6)標識された抗ファージ抗体を用いた免疫測定法により、ファージの固体化量を測定することにより、当該VH断片と当該VL断片の間の結合能を評価し;
    (7)抗原の存在下における当該VH断片と当該VL断片の間の結合能が、抗原の非存在下における当該VH断片と当該VL断片の間の結合能の2倍以上である場合に、抗原が存在することによりVH断片とVL断片の間の相互作用が変化する抗体可変領域が得られたと判定する過程よりなる、上記方法。
  19. 抗体可変領域のVL断片を得る方法であって、
    (1)請求項2記載のベクターを用いて非サプレッサー宿主の形質転換を行うか、あるいは当該ベクターを有するVH/VL提示型のファージを用いて非サプレッサー株宿主の形質導入を行い、
    (2)当該非サプレッサー株宿主から当該VL断片を培養上清に分泌させ、
    (3)当該培養上清から当該VL断片を精製する、
    上記過程よりなる、抗体可変領域のVL断片を得る方法。
  20. 抗体可変領域のVH断片を得る方法であって、
    (1)請求項3記載のベクターを用いて非サプレッサー宿主の形質転換を行うか、あるいは当該ベクターを有するVH/VL提示型のファージを用いて非サプレッサー株宿主の形質導入を行い、
    (2)当該非サプレッサー株宿主から当該VH断片を培養上清に分泌させ、
    (3)当該培養上清から当該VH断片を精製する、
    上記過程よりなる、抗体可変領域のVH断片を得る方法。
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