JP4357063B2 - 液体ポンプの吐出能力制御方法とポンプシステム - Google Patents

液体ポンプの吐出能力制御方法とポンプシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変吐出能力特性を有する液体ポンプを含むポンプシステムとその制御方法、及び該液体ポンプシステムの応用に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体吸入口と流体吐出口、及びそれらの間に延びる流体の流路を設けられたハウジングと、該流路に対応して形成された複数個の羽根を有すると共に前記ハウジング内に回転可能に取り付けられたインペラ(羽根車)と、流体吸入口及び流体吐出口の間に配置されてそれらの間を流体が直接に流れるのを制限する仕切部(ストリッパブロック)と、前記流路の断面積を変化させるように該流路内で移動可能な隔壁部材とによって構成される可変吐出能力型の渦流式ポンプ(再生ポンプ)が提案されている(特開平8−177777号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述の渦流式ポンプは吐出能力を減少させることは可能であるが、吐出能力を零にすることはできない。渦流式ポンプを駆動するために消費される動力の量は一般に回転数の3乗に比例して増大するため、自動車のエンジンのように、回転速度が自動車の走行条件という渦流式ポンプに対する要求吐出量とは直接関係のない要因に応じて大幅に変動する原動機によって渦流式ポンプを駆動する場合には、エンジンが高速で回転していても渦流式ポンプの運転は不要となるような状態がしばしば起こる。従って、そのような状態に対応するためには渦流式ポンプに電磁クラッチのような吐出能力の制御手段を併設する必要があり、それによって渦流式ポンプが大型化するとか、高価なものになるという問題があった。
【0004】
本発明は、従来の渦流式ポンプ、或いはそれに類する液体ポンプにおける前述のような問題に対処して、コストの大幅な上昇や体格の大型化を伴うことなく、簡単な構成によって液体ポンプの吐出能力を実質的に零まで変化させ得る新規な手段を提供し、それによって、液体ポンプを駆動するエンジンの高回転時や液体ポンプの運転が不要となった状態において、液体ポンプの過剰な吐出能力を効果的に抑制し、液体ポンプを駆動するための無駄なエネルギー消費を防止することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された液体ポンプの吐出能力制御方法を提供する。この方法によれば、液体ポンプのポンプ能力、即ち吐出能力や昇圧能力、或いは動力消費量等を制御するために、運転の途中において液体ポンプ内から液体を排除することによって運転状態を実稼働状態から空転状態まで変化させる第1の段階と、液体が排除された液体ポンプ内へ運転の途中において液体を補給することによって運転状態を空転状態から実稼働状態まで変化させる第2の段階が択一的に実行される。
【0006】
それによって、液体ポンプの駆動機構に電磁クラッチを設けて断続駆動する必要がなく、液体ポンプを常時回転する連続運転状態におき、液体の吐出能力を必要としない運転状態においては、液体ポンプの内部から液体を排除して空転状態とすることにより、実質的に動力消費量を零に近い値としてエネルギーの浪費を防止する。また、高価で大きなスペースを必要とする電磁クラッチを使用しないので、液体ポンプシステム全体が小型化し、安価なものとなる。
【0007】
請求項1に記載の液体ポンプの吐出能力制御方法は、リザーバタンクを備えている液体ポンプシステムに適用される場合であり、前述の第1の段階が、液体ポンプ内にある液体をリザーバタンク内へ導くとともに、リザーバタンク内の気相空間から気体を液体ポンプ内へ導くことによって実行され、また、第2の段階が、リザーバタンク内の液相空間から液体を液体ポンプ内へ導くとともに、液体ポンプ内の気体をリザーバタンク内へ導くことによって実行される。それによって、液体ポンプはリザーバタンクとの間で液体と気体をやりとりすることになり、液体によって満たされた実稼働の運転状態から、気体によって満たされた空転状態まで、ポンプ能力を容易に且つ自由に変化させることができる。
【0008】
請求項2に記載の液体ポンプの吐出能力制御方法、別の液体ポンプによって加圧された液体を受け入れて更に加圧する液体ポンプシステムに適用され、且つそのシステムがリザーバタンクを備えている場合であり前述の第1の段階が、吸入側から液体ポンプ内へ供給される加圧された液体を遮断すると共に、リザーバタンク内の気相空間から気体を液体ポンプ内へ導くことによって実行され、第2の段階が、加圧された液体を吸入側から液体ポンプ内へ導くと共に、液体ポンプ内で更に加圧された液体をリザーバタンクを介して吐出側へ導くことによって実行される。この場合は、液体ポンプはリザーバタンクから気体を受け入れて空転状態を実行するが、実稼働の運転状態では、加圧された液体を供給する吸入側から液体を受け入れる点が異なる。
【0009】
請求項3に記載の液体ポンプの吐出能力制御方法は、リザーバタンクを設けない液体ポンプシステムの場合であり前述の第1の段階として、液体ポンプの吐出側の流路が開放している状態で液体ポンプの吸入側の流路を遮断し、液体ポンプ内を負圧とすることにより内部に残っている液体を気化させて、その後に吐出側の流路をも遮断することによって実行される。そして第2の段階は、吐出側の流路を遮断している状態で吸入側の流路を開放し、液体ポンプ内へ液体を導入することにより負圧が解消した後に、吐出側の流路を開放することによって実行される。従って、液体ポンプの吸入側と吐出側にそれぞれ設けられた開閉弁等によって吸入側の流路と吐出側の流路を開閉することによって、簡単に液体ポンプを実稼働の運転状態から動力消費量の少ない空転状態まで制御することができる。
【0010】
これらの制御方法において、液体ポンプが容積式のポンプであれば、空転状態においてポンプの内部から液体を完全に排除することができ、吸入側を遮断する場合には真空状態にすることもできるので、空転状態における動力消費量が一層小さくなる。また、液体ポンプが渦流式ポンプである場合には内部を真空にすることはできないものの、液体ポンプシステムを暖房システムとして利用する場合には、渦流式ポンプを補助熱源として利用することができる。
【0011】
本発明は、また、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項6乃至17に記載された液体ポンプシステムを提供する。請求項6に記載の液体ポンプシステムは、液体を圧送することができる液体ポンプと、内部へ流入する液体によって液相空間とその液面上の気相空間とを形成するリザーバタンクと、吸入側及び吐出側と液体ポンプ及びリザーバタンクを接続する流路に設けられた少なくとも1個の流路切換弁と、この流路切換弁を切り換える手段とから構成されており、液体ポンプのポンプ能力、即ち吐出能力や昇圧能力、或いは動力消費量等を制御するために、流路切換弁によって、液体ポンプ内にある液体をリザーバタンク内へ導くとともに、リザーバタンク内の気相空間から気体を液体ポンプ内へ導く段階と、リザーバタンク内の液相空間から液体を液体ポンプ内へ導くとともに、液体ポンプ内の気体をリザーバタンク内へ導く段階とを切り換えて実行することができる。それによって、液体ポンプはリザーバタンクとの間で液体と気体をやりとりすることになり、液体ポンプが液体によって満たされた実稼働の運転状態から、気体によって満たされた空転状態まで、ポンプ能力を容易に且つ自由に変化させることができる。
【0012】
流路切換弁が2個設けられる場合には、第1の流路切換弁によってリザーバタンクの液相空間と気相空間とを切り換えて択一的に液体ポンプの流体入口へ接続すると共に、第2の流路切換弁によって吸入側と液体ポンプの流体出口とを切り換えて択一的にリザーバタンクへ接続するように構成することができる。この場合に、前者の流路切換弁を二位置三方弁とし、後者の流路切換弁を二位置四方弁とすることができる。また、流路切換弁が1個だけ設けられる場合は、その流路切換弁を吸入側とリザーバタンクの気相空間とを切り換えて択一的に液体ポンプの流体入口へ接続するように構成することができる。この場合、液体ポンプの流体出口はリザーバタンクを介して吐出側へ接続されることになる。またこの場合には、望ましい形として、吸入側には別の液体ポンプによって加圧された液体が供給されており、吸入側と吐出側との間には逆止弁を含むバイパス通路が設けられている。
【0013】
本発明の請求項11に記載の液体ポンプシステムは、リザーバタンクを用いないで構成したものである。即ち、請求項11の液体ポンプシステムは、液体ポンプと、吸入側及び吐出側と液体ポンプとを接続する流路にそれぞれ設けられた一対の開閉弁と、これら開閉弁をON−OFFさせる手段とから構成されるので、構成がきわめて簡単になる。2個の開閉弁はいずれも二位置二方弁とすることができる。この場合、まず、液体ポンプの吐出側の流路に設けられた開閉弁を開放すると共に吸入側の流路に設けられた開閉弁を閉じて、液体ポンプ内を負圧とすることにより内部に残っている液体を気化させた後に、吐出側の開閉弁をも閉じることによって液体ポンプを空転状態とすることができる。空転状態においては液体ポンプの内部が真空に近い状態になっているので、液体ポンプが仕事をすることがなく、動力消費量が零に近くなる。言うまでもなく、吸入側及び吐出側の流路に設けられた2個の開閉弁を共に開くことによって実稼働の運転状態になり、液体が加圧されて吐出側から吐出される。
【0014】
本発明の液体ポンプシステムに使用される液体ポンプを遠心クラッチ機構を介して回転駆動すると、駆動回転速度が所定の値を越えるまでは液体ポンプが回転しないので、空転状態においても僅かながら動力を消費する場合に、その動力消費量を更に低減することができる。遠心クラッチ機構は電磁クラッチに比べて構造が簡単で安価であり、必要とするスペースも比較的に小さい。また、この遠心クラッチ機構は、液体ポンプを回転駆動するためのプーリの内部に設けると更にスペースを節減することができる。
【0015】
本発明の液体ポンプシステムは、自動車のヒータコアへエンジンの冷却水を循環させて車室内の暖房に利用する暖房システムとして利用することができる。それによって、ポンプを自動車のエンジンによって回転させながら、冷却水の循環の程度を制御して暖房効果を調節することができる。また、液体ポンプとして渦流式ポンプを用いる場合には、渦流式ポンプを補助熱源として作動させることができるので、厳寒時にも暖房能力が不足することがない。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に示す本発明の第1実施例は、液体ポンプとしてそれ自体は公知の渦流式ポンプ1を用いた、可変吐出能力型のポンプシステムの1つの例である。従って、第1実施例の説明に先立って、それに使用されている渦流式ポンプ1の構造を図4〜図6を用いて説明することにする。
【0017】
図5に示す2はフロントハウジング、3はリアハウジングであって、これら前後のハウジング2,3の少なくとも一方の内部には、図4に示すように概ねC形の溝としての流体通路4が形成される。図5から明らかなように、流体通路4の大部分は半円形の断面形を有する。5はインペラ(羽根車)であって、ハウジング2,3内において自由に回転することができるように軸支されたシャフト6に取り付けられており、シャフト6の一端に取り付けられたプーリ7によって自動車のエンジンのような動力源から回転動力を受け入れて駆動される。
【0018】
8はハウジング2,3に形成された流体入口、9は同じく流体出口であって、それらはそれぞれ流体通路4の一方の端部に接続している。ハウジング2,3の一部として形成された高低圧仕切部10がそれらの流体入口8と流体出口9との間を隔てており、それによって流体通路4の流体入口8側には空間としての低圧部11が形成されると共に、流体通路4の流体出口9側には空間としての高圧部12が形成される。
【0019】
第1実施例の渦流式ポンプ1における円板形のインペラ5は図6に示すような正面形状を有する。即ち、インペラ5の表面には、ハウジング2,3の流体通路4に対応して、シャフト6を中心として均等に花びらのように外方に向かって延びる多数の溝13が形成されている。それぞれの溝13は、深さが連続的に変化することによって図5に示すような半円形の、全て同じ断面形状を有する。インペラ5は、ハウジング2,3内に形成された同じ形の空間に軸方向及び半径方向に僅かな隙間を残して挿入され、シャフト6によって支持されているので、ハウジング2,3に接触しないで自由に回転することができると共に、その隙間から流体が洩れ出ることが実質的に防止される。
【0020】
渦流式ポンプ1はこのような構造を有するので、インペラ5がシャフト6とプーリ7等を介して自動車のエンジンのような外部の動力源によって回転駆動されると、インペラ5の溝13内にある流体はインペラ5に連れ回りをするために、遠心力を受けて中心部から外方に向かって放射状に移動する。その結果、それぞれの溝13内からハウジング2,3の流体通路4内にかけて旋回する多数の渦流が発生するが、それらの渦流はインペラ5にまとわりつく形で流体通路4内をインペラ5の回転方向に、即ち、流体入口8から流体出口9に向かって移動するので、流体通路4内の流体の全てに同じ方向の流れが発生して、流体が流体入口8から流体通路4を通って流体出口9へ圧送される。それによって流体通路4の両端の各空間が低圧部11と高圧部12になり、後続の流体が低圧部11の負圧によって流体入口8から吸入されると共に、加圧された流体が高圧部12から流体出口9を通って外部へ吐出される。
【0021】
第1実施例は、このような渦流式ポンプ1を図1に示したような構成のポンプシステム21に使用したものである。ポンプシステム21は、何らかの液体を圧送するシステム、例えば自動車用エンジンにおける冷却水循環システム、潤滑油供給システム、或いは電気自動車やハイブリッド駆動の自動車におけるインバータの冷却システムのように、冷却水や潤滑油のような液体を圧送するポンプを含むシステムに、なかでも、そのポンプが自動車用のエンジンやモータのように回転速度が大幅に変動する動力源によって回転駆動されると共に、要求吐出量に応じて吐出能力を変化させることが望ましい液体供給システムに適用することができる。このような用途は、本発明の他の実施例にも共通のものである。
【0022】
図1は第1実施例のポンプシステム21の構成と、その渦流式ポンプ1が液体を加圧して吐出する渦流式ポンプ1の実質的な稼働時(これを渦流式ポンプ1或いはシステムのON時という)におけるシステム21の運転状態を示している。これに対して、図3は、渦流式ポンプ1が運転(回転)されてはいるものの実質的に液体を吐出することがない空転時(これを渦流式ポンプ1或いはシステムのOFF時という)の、システム21の運転状態を示している。また、図2は図1と図3の中間の運転状態、即ち移行段階を示すもので、第1実施例のポンプシステム21がON時の運転状態からOFF時の運転状態へ移行する時、或いはそれと反対にOFF時の運転状態からON時の運転状態へ移行する時の途中の段階を示している。
【0023】
第1実施例のポンプシステム21においては、渦流式ポンプ1に関連するものとして、流体を貯溜するためのリザーバタンク26と、流路切換弁としての二位置三方弁32と、同じく流路切換弁としての二位置四方弁34がそれぞれ1個ずつ設けられている。リザーバタンク26内には液体(作動流体)28が供給されるが、その液面の上部の空間(気相空間)は空気のような気体30によって満たされている。リザーバタンク26は気相空間に連通するように上部に2個の出入口(開口)26a,26bを備えていると共に、液面の下部の空間(液相空間)に連通するように底部に1個の出入口(開口)26cを備えている。
【0024】
この場合、渦流式ポンプ1の流体入口8とリザーバタンク26を接続するために二位置三方弁32が使用されている。それを手動或いは適当な制御装置によって自動的に回転させて弁位置を切り換えることにより、図1に示すように渦流式ポンプ1の流体入口8がリザーバタンク26の底部の開口26cによって液体28がある液相空間に連通するか、或いは図3に示すように流体入口8がリザーバタンク26の上部の開口26bを介して気体30がある気相空間に連通する。それによって、渦流式ポンプ1の流体入口8は、リザーバタンク26から液体28或いは気体30を択一的に吸入することができる。
【0025】
第1実施例のポンプシステム21においては、渦流式ポンプ1の流体出口9に接続するように二位置四方弁34が設けられている。そして、前述のON時には二位置四方弁34を図1に示す位置へ移行させることによって、渦流式ポンプ1の運転によって発生するリザーバタンク26内の負圧により、吸入側から吸入された液体が開口26aを介してリザーバタンク26内へ補給される。また、渦流式ポンプ1によって加圧された液体は、二位置四方弁34を通って吐出側へ吐出される。それによって、渦流式ポンプ1は実質的な稼働状態となる。
【0026】
OFF時へ移行する必要が生じた場合には、第1実施例のポンプシステム21は、二位置四方弁34を切り換えることによって先ず図2に示すような中間の状態となる。この状態においては、リザーバタンク26から渦流式ポンプ1へ吸入されて加圧された液体は、再び開口26aを経てリザーバタンク26内へ戻るので吐出側へ液体が吐出されることはない。また、吸入側から液体或いは気体をシステム21内へ吸入することもない。しかしながら、渦流式ポンプ1は気体よりも密度の高い液体を圧送して循環させることにより無視することができない程の大きな動力を消費する。この動力は熱エネルギーに変わって循環する液体の温度を上昇させることにより蓄積される。従って、この熱を補助暖房のような目的に利用する場合を除いて、図2に示すような運転状態は動力の無駄遣いとなる。
【0027】
そこで、システム21のOFF時には前述の二位置三方弁32を切り換えることによって図3に示すような状態とする。OFF時においては、渦流式ポンプ1の流体入口8はリザーバタンク26の上部の開口26bに接続するから、渦流式ポンプ1は液体28を吸入することができなくなり、リザーバタンク26の上部の気相空間から気体30のみを吸入し、流体出口9から開口26aを介して再びリザーバタンク26の上部の気相空間へ送り返すようになる。この場合の気体の循環にも渦流式ポンプ1は若干の動力を消費するが、気体の密度は液体の密度の1000分の1程度であるから、気体を圧送して循環させる仕事により渦流式ポンプ1が消費する動力は無視し得る程度の大きさである。
【0028】
従って、本発明の第1実施例のポンプシステム21によれば、OFF時には、二位置三方弁32及び二位置四方弁34を図1の位置から図3の位置へ切り換えることによって、渦流式ポンプ1による液体(作動流体)の吐出能力を実質的に零とすることができる。それによって電磁クラッチのような高価で体格の大きいものを使用する必要がなくなる。しかも、図3に示すOFF時における渦流式ポンプ1の動力消費量は無視し得る程度に小さい。更に、ポンプシステム21全体を閉じたものとして、OFF時にリザーバタンク26内の気体30が外部へ流出するのを防止することができる。また、リザーバタンク26は、通常の液体圧送システムにおいてしばしば設けられている既存のリザーバタンクを利用することができるので、大抵の場合はリザーバタンク26を新設する必要がない。
【0029】
次に、第1実施例のポンプシステム21に使用し得る渦流式ポンプ1の1つの変形例として、図7に示した渦流式ポンプ1’について説明する。図4〜図6を用いて説明した基本的な構造の渦流式ポンプ1に対して、変形例としての渦流式ポンプ1’の構造上の特徴は、低圧部11と高圧部12との間を仕切る高低圧仕切部10に、それをバイパスし得るリリーフ弁14を設けたことである。リリーフ弁14は高低圧仕切部10に穿孔された通路15と、通路15の高圧部12側に形成された弁座を閉塞し得るボール16と、ボール16をそれが弁座を閉塞する方向に付勢するスプリング17とからなっている。
【0030】
このリリーフ弁14は、シャフト6の回転速度が異常に高くなって高圧部12の圧力が所定値を越えたときに、自動的に開弁して高圧の流体を低圧部11側へ逃がすので、高回転時に高圧部12に異常な高圧が発生した場合に、渦流式ポンプ1’自体やポンプシステム21全体の配管等を保護することができる。この例ではリリーフ弁14を最も高圧となる高圧部12と最も低圧となる低圧部11との間に設けているが、リリーフ弁14の設置位置がそれ以外の高圧部と低圧部との間であってもよいことは言うまでもなく、また、リリーフ弁14は他の形式のものであってもよい。
【0031】
前述の変形例と同様な効果を奏することができる第1実施例の変形例を図8に示す。この変形例の特徴は、渦流式ポンプ1のシャフト6とプーリ7との間に遠心クラッチ機構18を設けた点にある。この変形例の特徴は渦流式ポンプ1の駆動機構にあるので、渦流式ポンプ1自体は前述の例のように図4〜図6に示したものと同様なものでよいし、また、図7〜図9に示したものと同様なものであってもよい。更に、その他の形式の渦流式ポンプを用いることもできる。
【0032】
この変形例における遠心クラッチ機構18は、従来からよくポンプに付設されるている電磁クラッチの代わりに設けられたものであって、前述のように、電磁クラッチは高価で且つ大きなスペースを占めるという問題を有することから、この変形例においては電磁クラッチの代わりに遠心クラッチ機構18を採用して構成を簡略化すると共に、低コスト化及び軽量化を図ったものである。
【0033】
即ち、図8に示すように、この変形例においては図5に示す例とは異なって、シャフト6の端部に対して回転可能に支持されるプーリ7の内部に、シャフト6の周囲に対して摩擦係合をすることができる円筒状の摩擦筒19の基端(左端)を取り付けている。摩擦筒19は例えばバネ鋼板のような弾性のある材料から製作され、軸方向に数条のスリットが形成されることにより複数個の摩擦片に分かれていて、それぞれの摩擦片の自由端には比較的重量の大きい遠心錘19aが形成されている。なお、図中の7aは摩擦片の可動(拡開)範囲を制限する筒状のストッパであって、外面が円筒面、内面が円錐面を形成しており、プーリ7の円筒形の内面に固定されているが、プーリ7と一体化していてもよい。
【0034】
図8に示す遠心クラッチ機構18はこのように構成されているので、シャフト6の低回転時(例えば1000rpm以下)には、摩擦筒19の摩擦片が破線によって示したようにシャフト6の軸端の外面に摩擦接触して、プーリ7の回転をシャフト6へ伝達し、渦流式ポンプ1を回転駆動する。従って、渦流式ポンプ1は前述のように液体28を加圧して流体出口9から圧送する。
【0035】
これに対して、シャフト6の回転速度が所定値を越えて上昇すると、遠心錘19aに作用する遠心力が大きくなるので、摩擦筒19の摩擦片は図8に実線によって示したようにストッパ7aの内面に抵触するところまで拡開してシャフト6の表面から離れるので、遠心クラッチ機構18は自動的に遮断状態となって、プーリ7は回転していてもシャフト6及びインペラ5は回転しない。従って、渦流式ポンプ1が液体28を吐出することもなく、シャフトの回転速度が異常に高くなった時に電磁クラッチを遮断するのと同様な効果が得られて、高圧部12に異常な高圧が発生するのを防止することができる。また、二位置三方弁32や二位置四方弁34のための制御装置も簡素化することができる。
【0036】
第1実施例のポンプシステム21に使用され得る渦流式ポンプ1或いは1’には図5及び図6に示したような形状のインペラ5を使用することができるが、その変形として、図9に示すような形状のインペラ5’、或いは図10に示すようなインペラ5''を用いることもできる。その他、第1実施例のポンプシステム21に使用され得る渦流式ポンプのインペラの形状は、図示実施例以外のものとすることもできる。
【0037】
また、図示実施例においては、インペラ5或いは5’或いは5''の両面に溝13或いは13’或いは13''を設けると共に、前後のハウジング2及び3のいずれにも流体流路4を形成しているが、第1実施例のポンプシステム21をはじめとして、本発明の各実施例のポンプシステムにおいては、渦流式ポンプ1又は1’のインペラ5又は5’又は5''の両側にそれらを設ける必要はないので、取り扱う液体(作動流体)の流量が少ない場合は、インペラ5或いは5’或いは5''の一側にのみ溝13或いは13’或いは13''を形成すると共に、それに対応して前後のハウジング2,3のいずれか一方にのみ流体通路4を設けることも可能である。
【0038】
なお、本発明の図示実施例においては、いずれも実施例のポンプシステムに使用する液体ポンプとして好適な渦流式ポンプを取り上げているが、本発明においては、液体ポンプとして渦流式ポンプ以外の形式のポンプ、例えば、歯車式、往復動式、遠心式等のポンプを使用することも可能であり、それによって実施例の場合と類似の作用、効果をあげることができる。
【0039】
次に、本発明の第2実施例として、図11及び図12に示したポンプシステム22について説明する。第2実施例のポンプシステム22は、液体(作動流体)が別のポンプ等の加圧手段によって加圧されて圧送されるように構成されている液体供給システムにおいて、運転状態に応じて液体の供給圧力を更に高める必要があるような場合に、補助的に付設するのに適したポンプシステムである。
【0040】
このような場合は補助的な加圧手段が不要になる運転状態が生じるが、その場合は補助的な加圧手段を電磁クラッチのような手段によって不作動にする必要があるので、前述のようにコストの面及びスペースの面における問題が生じる。また、補助的なポンプを不作動にして空転させることにより単なる液体通路とした場合には、そのポンプが液体の流れに多少とも抵抗を与えるので、主たるポンプの運転効率が低下する。この点、第2実施例のポンプシステム22は、補助的な加圧手段を必要としない運転状態において、その加圧手段が無駄な動力消費をしないという利点がある。また、このように既存の加圧手段を利用することができる場合は、第2実施例のポンプシステム22を採用することによって、第1実施例のシステム21よりも構成を簡素化することが可能になる。
【0041】
図11は第2実施例のポンプシステム22の構成を示すと共に、図示しない既設の加圧手段とは別に特設された渦流式ポンプ1が、吸入側から加圧されて供給された液体(作動流体)を更に加圧して吐出側へ供給している状態、即ち渦流式ポンプ1の実質的な稼働時(ON時)におけるシステム22の運転状態をも示している。これに対して図12は、渦流式ポンプ1が運転(回転)されてはいるものの実質的に液体28を吐出していない時(OFF時)のシステム22の運転状態を示している。OFF時においては、液体28は図示しない遠心式ポンプ等からなる別の加圧手段のみによって圧送される。なお、第2実施例以下の各実施例においては第1実施例と実質的に同じ構成部分に対して同じ参照符号を付すことにより、説明を簡略化することにする。
【0042】
第2実施例のポンプシステム22においては、第2段階の加圧を行うポンプの例としての渦流式ポンプ1の他に、それに関連するものとして流体を貯溜するリザーバタンク26と、流路切換弁としての二位置三方弁32と、バイパス弁としての逆止弁36がそれぞれ1個ずつ設けられる。リザーバタンク26の気相空間に連通している上部の2個の開口26a,26bは、それぞれ二位置三方弁32と渦流式ポンプ1の流体出口9に接続されており、液相空間に開口する開口26cは吐出側に直接に接続している。また、図示しない他のポンプ等から加圧された液体28が供給される吸入側から、液体28の供給先である吐出側に向かって、渦流式ポンプ1を迂回して液体28を流すために、吸入側と吐出側との間には逆止弁36を備えたバイパス通路37が設けられている。従って、図12に示すように、渦流式ポンプ1のOFF時においては、吐出側と吸入側との圧力差によって逆止弁36が自動的に開弁して、液体28を吸入側から吐出側へバイパスするが、吐出側から吸入側への流体の逆流は防止される。
【0043】
第2実施例のポンプシステム22はこのように構成されているから、渦流式ポンプ1を実質的に稼働させるON時には、二位置三方弁32が図11に示す位置へ移動される。それによって、図示しない別の加圧手段によって加圧されて吸入側へ供給された液体28は、二位置三方弁32を通って渦流式ポンプ1の流体入口8へ吸入され、渦流式ポンプ1によって追加的に加圧されて流体出口9からリザーバタンク26内へ流入し、リザーバタンク26の液相空間から開口26cを経て吐出側へ圧送される。この場合は、渦流式ポンプ1の作用により吸入側よりも吐出側の圧力が高くなって逆止弁36は閉じているので、バイパス通路37を介して液体28等の流体が逆流する恐れはない。また、リザーバタンク26内の気相空間には一定量の空気のような気体30が保持される。
【0044】
ON時からOFF時へ移行する場合及び定常的なOFF時には、二位置三方弁32が図12に示す位置へ移動される。それによって、渦流式ポンプ1内にあった液体28は全て開口26bを経てリザーバタンク26内へ吐出され、その代わりに、リザーバタンク26内の気相空間にあった空気のような気体30が、開口26aを介して渦流式ポンプ1へ吸入され、開口26bから再びリザーバタンク26内へ吐出される。このようにして、渦流式ポンプ1が気体30を循環させるようになると、渦流式ポンプ1が連続的に回転していても動力消費量は無視し得る程度に小さくなる。この状態では、図示しない別の加圧手段によって吸入側の圧力が吐出側の圧力よりも高くなっているから、逆止弁36が自動的に開弁して液体28はバイパス通路37を通って吐出側へ直接に流れる。リザーバタンク26内の液面は釣り合う位置まで移動するので、リザーバタンク26内の液体28や気体30の全量が吐出側へ流出することがないように、渦流式ポンプ1、リザーバタンク26及び配管系の容量等を設定する。
【0045】
第2実施例のポンプシステム22においてOFF時からON時へ移行する場合は、二位置三方弁32を再び図11の位置へ移動させることによって、図示しない別の加圧手段によって加圧された液体28が吸入側から渦流式ポンプ1内へ流入する。その液体28は渦流式ポンプ1によって更に加圧されてリザーバタンク26へ吐出されるので、以後は定常的なON時の作動状態となる。
【0046】
図13及び図14に本発明の第3実施例としてのポンプシステムを示す。第3実施例のポンプシステム23は、自動車のエンジンの冷却水を利用した自動車用の暖房システムにおいて、冷却水を圧送する既存の遠心式冷却水ポンプに、システムの暖房能力を高め得る渦流式ポンプ1を併設したものである。形式的に見ると、第3実施例のシステム構成は、エンジンの冷却水を利用した通常の自動車用の暖房システムに、前述の第1実施例のポンプシステム21を追加したものと言うことができる。第3実施例において補助熱源として使用される渦流式ポンプ1の実稼働時(ON時)は図13に示されており、渦流式ポンプ1の非稼働時としての空転時(OFF時)は図14に示されている。この場合もOFF時において渦流式ポンプ1の動力消費量を電磁クラッチを用いないで簡単に低減させることができる。
【0047】
図13及び図14において、40は自動車のエンジン、42は既設の遠心式冷却水ポンプ、44は冷却水を冷却するラジエータ、48は車室内に設けられた暖房用のヒータコア、50は冷却水温度60°C前後で開閉するサーモスタット弁を示しており、いずれも通常使用されているものである。リザーバタンク26、二位置三方弁32及び二位置四方弁34は、前述の第1実施例のシステム21におけるものと同様なものであるが、通常の自動車用エンジンの冷却システムには冷却水の補給・調整のためにリザーバタンクが設けられているので、それをリザーバタンク26として利用することができる。リザーバタンク26に設けられた開口26a,26b,26cも第1実施例のそれと同様である。なお、第3実施例においては、ラジエータ44の圧力を適正な範囲内に保持するために、リザーバタンク26の液相空間に設けられた開口26dとラジエータ44のアッパータンクとの間に圧力調整弁46が接続されている。また、渦流式ポンプ1の吐出側には、高い吐出圧力を維持して暖房能力を高めると共に、その吐出圧力を減圧してヒータコア48を保護するための絞り38が設けられている。
【0048】
図13に示す第3実施例の渦流式ポンプ1のON時は、冬季において暖房システムでもあるポンプシステム23の暖房能力を向上させたいときに、二位置三方弁32と二位置四方弁34を図示の位置へ移動させた状態である。通常、このような状態ではサーモスタット弁50は閉じているので、液体28即ち冷却水はラジエータ44へは流れない。従って、冷却水28は、既設の遠心式ポンプ42、エンジン40の冷却水套、二位置四方弁34、リザーバタンク26、二位置三方弁32、図4〜図6に示したものと同様な渦流式ポンプ1、絞り38、二位置四方弁34、ヒータコア48、再び遠心式ポンプ42という順序で流れる。その間に冷却水28はエンジン40の冷却水套から熱を吸収するだけでなく、渦流式ポンプ1が仕事をすることによって発生する熱も吸収し、双方の熱をヒータコア48によって車室内へ放出するので、暖房能力が一段と向上する。
【0049】
図14に示す第3実施例の渦流式ポンプ1のOFF時には、第1実施例の場合と同様に二位置三方弁32と二位置四方弁34を図示の位置へ移動させる。それによって、夏季等においてサーモスタット弁50が開いている場合は、冷却水28の大部分が、既設の遠心式ポンプ42、エンジン40の冷却水套、ラジエータ44、サーモスタット弁50を通って遠心式ポンプ42へ戻る。この場合、冷却水28の一部は二位置四方弁34を通ってヒータコア48へも流れるが、ヒータコア48の通水抵抗がラジエータ44のそれよりも大きいので、ヒータコア48へは殆ど流れない。しかし、冬季でも補助熱源としての渦流式ポンプ1は不要な時や、エンジン40の始動直後の未暖機状態等では、サーモスタット弁50が閉じているので、冷却水28はヒータコア48を通って流れる。図14はこのような運転状態を示したものである。
【0050】
図14に示した渦流式ポンプ1のOFF時には、渦流式ポンプ1は、リザーバタンク26の開口26bから気相空間にある空気のような気体30を吸入して、それを開口26aから再びリザーバタンク26の気相空間内へ送り返すだけであるから、前述の各実施例の場合と同様に、渦流式ポンプ1の動力消費量がきわめて僅かなものとなる。従って、高価で必要なスペースを増大させる電磁クラッチ等を設けて渦流式ポンプ1の駆動系統を遮断する必要はなく、空転させておいても何ら問題は生じない。このように第3実施例の場合は、リザーバタンク26として既存のものを利用することができるほか、電磁クラッチを使用する必要もなく渦流式ポンプ1の吐出能力を零まで低減させることができ、しかも無駄な動力消費を生じないという利点がある。
【0051】
図15〜図18に本発明の第4実施例としてのポンプシステム24の構成と、その各作動状態を示す。即ち、図15はON時を、図16はON時からOFF時への移行状態を、図17はOFF時を、図18はOFF時からON時への移行状態をそれぞれ示している。
【0052】
第4実施例のポンプシステム24の構成は、図1から図3に示す前述の第1実施例のポンプシステム21の構成におけるリザーバタンク26、二位置三方弁32、及び二位置四方弁34の代わりに、渦流式ポンプ1の入口側に電磁式の簡単な開閉弁である二位置二方弁52を設けると共に、出口側にも同様な構造の二位置二方弁54を設けている点に特徴がある。二位置二方弁52及び54は、図示しない制御装置によって連通或いは遮断の2位置を択一的にとる。
【0053】
まず、図15に示すON時においては、二位置二方弁52及び54を図示の位置に置くことによって、双方共に開弁させると、作動流体(液体)は吸入側から二位置二方弁52を通って渦流式ポンプ1へ吸入され、加圧されて二位置二方弁54を通って吐出側へ吐出される。
【0054】
図16に示すON時からOFF時への移行状態においては、吸入側の二位置二方弁52を図示の位置へ移動させて閉弁させる。この時、吐出側の二位置二方弁54は開弁したままであるから、渦流式ポンプ1内の作動流体(液体)は吐出されるが、吸入側の二位置二方弁52が閉じているために、渦流式ポンプ1内の圧力は負圧となり、液体の作動流体は蒸発・気化して気体となる。もし、渦流式ポンプ1の代わりに更に昇圧能力が高い容積型のポンプを使用すると、ポンプ1内が真空となるので更に良い。これと反対に、昇圧能力の低い遠心式ポンプ等を使用すると、負圧の程度が低いために気化する液体の量が少なく液体の残量が多くなることから、遠心式のような形式のポンプを第4実施例のポンプシステム24に使用することは不適当である。
【0055】
図16に示す状態において、ポンプ1内が十分に高い負圧になった後に、二位置二方弁54を図17に示す位置へ移動させる。それによってポンプ1内には負圧が保持されると共に、作動流体が気化した気体によって満たされている。この場合、ポンプ1が渦流式ポンプであれば、渦流式ポンプ1内は真空(−101325パスカル)にはならないで、液体と気体が混在した状態となるが、ポンプ1内が全て液体によって満たされている場合に比べて、ポンプ1を駆動するための動力消費量は大幅に抑制される。
【0056】
再びON時へ復帰させる場合は、二位置二方弁52を図18に示す位置へ移動させて開弁させる。作動流体(液体)は二位置二方弁52を通ってポンプ1内へ流入するので、ポンプ1内の圧力が上昇する。その後、二位置二方弁54も開弁させると、図15に示すON時に戻って、通常の運転状態として液体が吸入側からポンプ1を通って吐出側へ圧送されるようになる。
【0057】
なお、本発明の一部において使用するリザーバタンクは、関連する渦流式ポンプ1等のポンプと一体的に設けられてもよいし、勿論、それとは別体のものとして設けられてもよい。また、このリザーバタンクは、前述のように自動車用のエンジンの冷却システムに設けられているものとか、電気自動車やハイブリッド駆動の自動車におけるインバータの冷却システムに設けられているもののように、別の目的でもリザーバタンクを既に備えているシステムにおいては、既存のものを利用することができ、それによってコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成とON時の運転状態を示す断面図である。
【図2】第1実施例において運転状態の移行時を示す断面図である。
【図3】第1実施例においてOFF時の運転状態を示す断面図である。
【図4】本発明に使用し得る渦流式ポンプを例示する横断正面図である。
【図5】図4に示す渦流式ポンプの縦断側面図である。
【図6】渦流式ポンプのインペラを例示する正面図である。
【図7】本発明に使用し得る渦流式ポンプの他の例を示す横断正面図である。
【図8】第1実施例の変形例を示す縦断側面図である。
【図9】渦流式ポンプのインペラの他の例を示す正面図である。
【図10】渦流式ポンプのインペラの他の例を示す縦断側面図である。
【図11】本発明の第2実施例の構成とON時の運転状態を示す断面図である。
【図12】第2実施例においてOFF時の運転状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施例の構成とON時の運転状態を示す断面図である。
【図14】第3実施例においてOFF時の運転状態を示す断面図である。
【図15】本発明の第4実施例の構成とON時の運転状態を示す断面図である。
【図16】第4実施例においてON→OFFの運転状態の移行時を示す断面図である。
【図17】第4実施例においてOFF時の運転状態を示す断面図である。
【図18】第4実施例においてOFF→ONの運転状態の移行時を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1’…渦流式ポンプ
5,5’,5''…インペラ(羽根車)
6…シャフト
8…流体入口
9…流体出口
10…高低圧仕切部
11…低圧部
12…高圧部
13,13’,13''…溝
14…リリーフ弁
16…ボール
18…遠心クラッチ機構
19…摩擦筒
21…第1実施例のポンプシステム
22…第2実施例のポンプシステム
23…第3実施例のポンプシステム
24…第4実施例のポンプシステム
26…リザーバタンク
28…液体(作動流体)
30…気体
32…二位置三方弁
32…二位置四方弁
36…逆止弁
38…絞り
40…エンジン
42…既設の遠心式ポンプ
44…ラジエータ
46…圧力調整弁
48…ヒータコア
50…サーモスタット弁
52,54…二位置二方弁

Claims (17)

  1. 液体を圧送することができる液体ポンプに可変吐出能力特性を与えるために、運転の途中において前記液体ポンプ内から液体を排除することによって運転状態を実稼働状態から空転状態まで変化させる第1の段階と、液体が排除された前記液体ポンプ内へ運転の途中において液体を補給することによって運転状態を空転状態から実稼働状態まで変化させる第2の段階とを択一的に実行する液体ポンプの吐出能力制御方法であって、
    前記第1の段階が、前記液体ポンプ内にある液体をリザーバタンク内へ導くとともに、前記リザーバタンク内の気相空間から気体を前記液体ポンプ内へ導くことによって実行され、前記第2の段階が、前記リザーバタンク内の液相空間から液体を前記液体ポンプ内へ導くとともに、前記液体ポンプ内の気体を前記リザーバタンク内へ導くことによって実行されることを特徴とする液体ポンプの吐出能力制御方法。
  2. 液体を圧送することができる液体ポンプに可変吐出能力特性を与えるために、運転の途中において前記液体ポンプ内から液体を排除することによって運転状態を実稼働状態から空転状態まで変化させる第1の段階と、液体が排除された前記液体ポンプ内へ運転の途中において液体を補給することによって運転状態を空転状態から実稼働状態まで変化させる第2の段階とを択一的に実行する液体ポンプの吐出能力制御方法であって、
    前記第1の段階が、吸入側から前記液体ポンプ内へ供給される加圧された液体を遮断すると共に、リザーバタンク内の気相空間から気体を前記液体ポンプ内へ導くことによって実行され、前記第2の段階が、前記吸入側から加圧された液体を前記液体ポンプ内へ導くと共に、前記液体ポンプ内で更に加圧された液体を前記リザーバタンクを介して吐出側へ導くことによって実行されることを特徴とする液体ポンプの吐出能力制御方法。
  3. 液体を圧送することができる液体ポンプに可変吐出能力特性を与えるために、運転の途中において前記液体ポンプ内から液体を排除することによって運転状態を実稼働状態から空転状態まで変化させる第1の段階と、液体が排除された前記液体ポンプ内へ運転の途中において液体を補給することによって運転状態を空転状態から実稼働状態まで変化させる第2の段階とを択一的に実行する液体ポンプの吐出能力制御方法であって、
    前記第1の段階が、前記液体ポンプの吐出側の流路が開放している状態で前記液体ポンプの吸入側の流路を遮断し、前記液体ポンプ内を負圧とすることにより内部に残っている液体を気化させた後に、前記吐出側の流路をも遮断することによって実行され、前記第2の段階が、前記吐出側の流路を遮断している状態で前記吸入側の流路を開放し、前記液体ポンプ内へ液体を導入することにより負圧が解消した後に、前記吐出側の流路を開放することによって実行されることを特徴とする液体ポンプの吐出能力制御方法。
  4. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記液体ポンプが容積式のポンプであることを特徴とする液体ポンプの吐出能力制御方法。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記液体ポンプが渦流式ポンプであることを特徴とする液体ポンプの吐出能力制御方法。
  6. 液体を圧送することができる液体ポンプと、内部へ流入する液体によって液相空間とその液面上の気相空間とを形成するリザーバタンクと、吸入側及び吐出側と前記液体ポンプ及び前記リザーバタンクを接続する流路に設けられた少なくとも1個の流路切換弁と、前記流路切換弁を切り換える手段とから構成されていて、
    前記液体ポンプ内にある液体を前記リザーバタンク内に導くとともに、前記リザーバタンク内の気相空間から気体を前記液体ポンプ内へ導く段階と、前記液体ポンプ内の気体を前記リザーバタンク内へ導く段階とを、前記流路切換弁の切り換えによって実行でき、前記液体ポンプが液体によって満たされた実稼動の運転状態から、気体によって満たされた空転状態までポンプ能力を変化させることができるようにしたことを特徴とする液体ポンプシステム。
  7. 請求項において、前記流路切換弁が2個設けられ、第1の流路切換弁が前記リザーバタンクの前記液相空間と前記気相空間とを切り換えて択一的に前記液体ポンプの流体入口へ接続するように構成されていると共に、第2の流路切換弁が前記吸入側と前記液体ポンプの流体出口とを切り換えて択一的に前記リザーバタンクへ接続するように構成されていることを特徴とする液体ポンプシステム。
  8. 請求項において、前記第1の流路切換弁が二位置三方弁であると共に、前記第2の流路切換弁が二位置四方弁であることを特徴とする液体ポンプシステム。
  9. 請求項において、前記流路切換弁が1個設けられ、該流路切換弁が前記吸入側と前記リザーバタンクの前記気相空間とを切り換えて択一的に前記液体ポンプの流体入口へ接続するように構成されていると共に、前記液体ポンプの流体出口が前記リザーバタンクを介して前記吐出側へ接続されていることを特徴とする液体ポンプシステム。
  10. 請求項において、前記吸入側には別の液体ポンプによって加圧された液体が供給されており、前記吸入側と前記吐出側との間には逆止弁を含むバイパス通路が設けられていることを特徴とする液体ポンプシステム。
  11. 液体を圧送することができる液体ポンプと、吸入側及び吐出側と前記液体ポンプとを接続する流路にそれぞれ設けられた開閉弁と、前記各々の開閉弁をON−OFFさせる手段とから構成されていて、
    前記液体ポンプの吐出側の流路に設けられた前記開閉弁を開放すると共に吸入側の流路に設けられた前記開閉弁を閉じて、前記液体ポンプ内の内部に残っている液体を気化させた後に、吐出側の前記開閉弁を閉じることによって、前記液体ポンプを空転状態にすることができると共に、吸入側及び吐出側の前記各々の開閉弁を共に開くことによって、前記液体ポンプを実稼動の運転状態にでき、前記液体ポンプのポンプ能力を変化させることができるようにしたことを特徴とする液体ポンプシステム。
  12. 請求項11において、前記開閉弁がいずれも二位置二方弁からなることを特徴とする液体ポンプシステム。
  13. 請求項ないし12のいずれかにおいて、前記液体ポンプが遠心クラッチ機構を介して回転駆動されることを特徴とする液体ポンプシステム。
  14. 請求項13において、前記遠心クラッチ機構が前記液体ポンプを回転駆動するためのプーリの内部に設けられていることを特徴とする液体ポンプシステム。
  15. 請求項ないし14のいずれかにおいて、前記液体ポンプが容積式のポンプであることを特徴とする液体ポンプシステム。
  16. 請求項ないし14のいずれかにおいて、前記液体ポンプが渦流式ポンプであることを特徴とする液体ポンプシステム。
  17. 請求項ないし16のいずれかにおいて、前記液体ポンプシステムが、自動車のヒータコアへエンジンの冷却水を循環させて車室内の暖房を行う暖房システムであることを特徴とする液体ポンプシステム。
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