JP4357008B2 - 電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、宇宙往還機等に搭載される電源装置に関し、特に、燃料及び酸化剤をエネルギ源として電力を発生する電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の宇宙往還機等に搭載されている電源装置としては、主に搭載電子機器類に電力を供給する燃料電池と、帰還時等に使用する操舵翼類の駆動源に電力を供給する補助電源とを備えている。この燃料電池は、例えば、酸素と水素とにより発電を行うものであり、比較的に低電流を長時間に亘って必要とする場合に使用されるものである。一方、補助電源は、例えば、燃料と酸化剤とを燃焼器で混合燃焼させ、その燃焼ガスでタービンを回転させると共に発電機を駆動させて発電を行うガスタービン発電機であり、比較的に高電流を短時間に必要とする場合に使用されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電源装置においては、燃料電池に対する燃料等の供給系と補助電源に対する燃料等の供給系とが、各々独立して設けられていたため、構造が複雑であり、装置の大型化あるいは信頼性等の面で問題があった。
【0004】
また、ガスタービン発電機そのものが、発電能力に対して重量物であり、又、構造が複雑でコストが高い等の問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて達成されたものであり、その目的とするところは、全体としての構造の簡略化を図りつつ、軽量化、低コスト化等を図れる電源装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る電源装置は、燃料及び酸化剤をエネルギ源として電力を発生するものであり、前記燃料と酸化剤との触媒による水素を含むガスを生成する部分酸化反応により高温のガスを発生するガス発生器と、前記ガス発生器により得られた水素を含む高温のガスを用いて外部を加熱することにより発電する熱電池と、前記熱電池内に設けられた複数の温度センサと、それら複数の温度センサにより検出される温度信号を処理するとともに、熱電池の温度設定信号に基づいて、流量調節器に、これの駆動手段を作動させる作動信号を出力する制御器と、制御器から出力された作動信号により、熱電池に向けて供給される水素を含む高温のガスの流量を、発電を安定した状態で行えるように調節する流量調節器とを備えたことを特徴としている。
【0007】
本発明の請求項2に係る電源装置は、燃料及び酸化剤をエネルギ源として電力を発生するものであり、前記燃料と前記酸化剤との触媒による水素を含むガスを生成する部分酸化反応により高温のガスを発生するガス発生器と、前記ガス発生器により得られた水素を含む高温のガスと前記酸化剤のガスとにより発電する燃料電池と、前記ガス発生器により得られた水素を含む高温のガスを用いて外部を加熱することにより発電する熱電池と、前記熱電池内に設けられた複数の温度センサと、それら複数の温度センサにより検出される温度信号を処理するとともに、熱電池の温度設定信号に基づいて、流量調節器に、これの駆動手段を作動させる作動信号を出力する制御器と、制御器から出力された作動信号により、熱電池に向けて供給される水素を含む高温のガスの流量を、発電を安定した状態で行えるように調節する流量調節器とを備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明の請求項3に係る電源装置は、請求項1又は2に記載した流量調節器が、前記ガス発生器により得られた水素を含む高温のガスを前記熱電池に供給する通路を開閉する弁体を有する構成となっている。
【0009】
本発明の請求項4に係る電源装置は、前記制御器が、前記熱電池の温度情報に基づいて前記弁体の弁開度を制御する構成となっている。
【0010】
本発明の請求項5に係る電源装置は、請求項3又は4に記載した制御器が、前記熱電池に供給される水素を含む高温ガスの温度及び/又は圧力の情報に基づいて前記弁体の弁開度を制御する構成となっている。
【0011】
本発明の請求項6に係る電源装置は、前記燃料としてメタノールを用い、前記酸化剤として酸素ガスを用いる構成となっている。
【0012】
本発明の請求項1に係る電源装置によれば、燃料と酸化剤との触媒による水素を含むガスを生成する部分酸化反応により、ガス発生器において発生した水素を含む高温のガスを用いて、熱電池を加熱することにより活性化させて、電力を得ることができる。
【0013】
また、流量調節器及び制御器の作用により、熱電池に供給される水素を含む高温のガスの流量をコントロールして、熱電池の発電時期、発電量等を調節することができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る電源装置によれば、請求項1の効果に加えて、燃料と酸化剤との触媒による水素を含むガスを生成する部分酸化反応により、ガス発生器において発生した水素を含む高温のガスと酸化剤のガスとにより、燃料電池を駆動させて定常的にも電力を得ることができる。
【0015】
そして、熱電池により得られた電流は、例えば、宇宙往還機打ち上げ時の空気中の飛翔、大気圏への再突入、あるいは着陸時等の際の姿勢制御、すなわち操舵翼等の駆動のような高電流を短時間要する場合に用いることができ、一方、燃料電池により得られた電力は、宇宙往還機が空気抵抗のない宇宙空間にある場合等において、搭載電子機器等を駆動させるような低電流を長時間要する場合に用いることができる。
【0016】
すなわち、共通のエネルギ源である燃料と酸化剤とを用いて、熱電池と燃料電池の両方を作動させることができ、熱電池と燃料電池に対する水素を含むガスの供給系を共通のものとすることで、構造の簡略化を達成することができ、又、従来のガスタービン発電機を用いるものに比べて、重量にして約1/10以下という大幅な軽量化と共に、低コスト化をも達成することができる。さらに、構造の簡略化により、装置全体の機能上の信頼性を向上させることができる。
【0017】
本発明の請求項3に係る電源装置によれば、弁体の弁開度を調節するだけで、容易に高温ガスの流量をコントロールすることができる。これにより、熱電池の加熱時期すなわち発電時期、あるいは、熱電池の加熱温度等を容易にコントロールすることができる。
【0018】
本発明の請求項4に係る電源装置によれば、弁体の弁開度が、熱電池の温度情報に基づいて制御されることから、フィードバックされる熱電池の温度により、熱電池が異常に加熱されて許容温度を超えるような状態となった場合は、即座に弁体を作動させて高温ガスの流れを抑制あるいは停止させることにより、熱電池の破損等を未然に防止することができる。
【0019】
また、熱電池の温度を監視することで、高温ガスの流量を制御して、常に安定した状態で効率良く発電させることができる。
【0020】
本発明の請求項5に係る電源装置によれば、弁体の弁開度が、高温ガスの温度及び/又は圧力の情報に基づいて制御されることから、高温ガスの流量を高精度に制御することができる。
【0021】
また、熱電池の温度情報と併せて弁体の弁開度が制御される場合は、熱電池をより安定した状態で発電させることができ、一層効率良く電力を得ることができる。
【0022】
本発明の請求項6に係る電源装置によれば、酸素ガスを酸化剤としかつメタノールを燃料とする主動力源を備えた宇宙往還機への適用が可能であり、この酸素ガス及びメタノールをエネルギ源として、熱電池及び燃料電池をも作動させることができ、エネルギ源が統合されたシステムを実現することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、宇宙往還機等に搭載される場合の本発明に係る電源装置の概略構成を示す説明図であり、この電源装置は、図1に示すように、メタノール等の燃料1と酸素ガス等の酸化剤2とを触媒反応させて高温のガスを発生するガス発生器3と、ガス発生器3により得られたガス(例えば水素ガス)及び酸化剤のガス(例えば酸素ガス)と電解質との化学反応により起電力を生じて発電を行う燃料電池4と、ガス発生器3により得られた高温ガスを後述の熱電池に導くにあたりその流量を調節する流量制御器5と、流量調節器5を経て供給された高温ガスで外部を加熱することにより起電力を生じて発電を行う外部加熱型の熱電池6と、熱電池6の温度情報,電力制御システムからの熱電池起動/停止指令等を受信して流量調節器5を制御するコントローラ等を備えた制御器7等により構成されている。
【0025】
そして、上記構成からなる電源装置においては、熱電池6により得られる電力は、宇宙往還機打ち上げ時の空気中の飛翔、大気圏への再突入、あるいは着陸時等の際の姿勢制御を行うための操舵翼等の駆動に利用される。すなわち、数秒ないし数十秒という短時間に高電流を要する場合に利用される。
【0026】
一方、燃料電池4により得られた電力は、宇宙往還機が宇宙空間の軌道上に位置するような場合において、搭載電子機器等を駆動させるのに利用される。すなわち、長時間に亘って低電流を要するような場合に利用される。
【0027】
図2は、本発明に係る電源装置の一実施例における具体的な構成を示す図である。この電源装置は、図2に示すように、液体メタノール1を蓄えた燃料タンク10、酸化剤としての液体酸素2を蓄えた酸化剤タンク11を備えると共に、ガス化した酸素およびメタノールの触媒反応により高温のガスを発生するガス発生器3、ガス発生器3で発生した高温のガスにより加熱されて発電を行う熱電池6、ガス発生器3で得られる水素ガスと酸化剤タンク11から導かれる酸素ガスとにより発電を行う燃料電池4等を備えている。
【0028】
また、この電源装置は、熱電池6に供給される高温ガスの流量を調節する流量調節器5、流量調節器を制御する制御器7、水素ガス及び酸素ガスを燃料電池4に個別に供給するためのデュアルレギュレータ12、燃料電池4に対する加湿系13及び冷却系14等を備えている。
【0029】
上記燃料タンク10及び酸素タンク11には、図外のタンクに蓄えられたヘリウムガスを供給する供給管15a,15bが接続してあり、ヘリウムガスの圧力によってメタノール1及び液体酸素2をガス発生器3や燃料電池4側に加圧供給するようになっている。
【0030】
上記燃料タンク10には、ガス発生器3に液体メタノール1を供給する燃料供給管16が接続されている。そして、この燃料供給管16には、その途中に、主動力源である推進装置(不図示)に液体メタノール1を供給する分岐管16a及び調整バルブV1と、並列配置にした2つの流量制御バルブV2,V3とが設けられている。
【0031】
上記酸化剤タンク11には、ガス発生器3及び燃料電池4に酸素を供給する酸化剤供給管17が接続されている。この酸化剤供給管17には、宇宙往還機の主動力源である推進装置(不図示)に液体酸素2を供給する第1分岐管17a及び調整バルブV4と、流量調整バルブV5と、液体酸素2をガス化する熱交換器18と、熱交換器18によりガス化された酸素ガスを蓄える酸素ガスタンク19が順に設けられている。
【0032】
また、酸化剤供給管17は、酸素ガスタンク19よりも下流の部分に、並列に配置された2つの流量制御バルブV6,V7を介してガス発生器3に至る第2分岐管17bと、流量制御バルブV8を介してガス発生器3の下流に位置する酸化器22に至る第3分岐管17cと、デュアルレギュレータ12の酸素ガス用調整バルブ12bを介して燃料電池4に至る第4分岐管17dを備えている。
【0033】
上記ガス発生器3は、ガス化した酸素及びメタノールを触媒反応させて高温のガスを発生させるものであり、このガス発生器3の下流には、得られたガス中の一酸化炭素を除去するシフトコンバータ2が設けられている。
【0034】
上記ガス発生器3は、その内部に、プラチナやパラジウム等の触媒を担持したベースを備えている。シフトコンバータ21は、水によりガス中の一酸化炭素をシフト反応させるものであって、シフト反応後の微量の一酸化炭素をも完全に除去するために酸化器22を備えている。
【0035】
この酸化器22には、デュアルレギュレータ12の水素ガス用調整バルブ12aを介して燃料電池4に至るガス供給管23が設けられている。
【0036】
また、ガス発生器3には、熱電池6に向けて高温のガスを供給するガス供給管31と、シフトコンバータ21に高温のガスを供給するガス供給管32とが設けられており、これら両ガス供給管31,32には遮断弁V9,V10がそれぞれ設けられている。
【0037】
また、上記の燃料タンク10からガス発生器3に至る燃料供給管16の中間部分には、酸化器22及びガス発生器3の内部を通過する熱交換部16b、16cが設けられており、又、熱交換部16cを経て一旦ガス発生器3の外側に出た部分に対してはヒーター24が設けられている。
【0038】
上記燃料電池4に対して設けられた加湿系13は、水25を蓄えた水タンク26と、水タンク26からポンプP1を介してシフトコンバータ21に至る水供給管27と、水タンク26からポンプP2及び燃料電池4を介して再び水タンク26に戻る水循環管28を備えている。また、冷却系14は、ポンプP3及び燃料電池4に対する熱交換部29aを有する冷却液循環管29と、冷却液循環管29に対する熱交換器30を備えている。
【0039】
上記の構成を備えた電源装置において、燃料電池4を作動させる場合には、ガス発生器3からシフトコンバータ21に至るガス供給管32の遮断弁V10を開いて、液体酸素2を熱交換器18でガス化すると共に、初期においてヒーター24で液体メタノール1をガス化する。そして、ガス化した酸素及びメタノールをガス発生器3に供給して触媒反応(部分酸化反応)させることにより水素ガスを得る。この反応は次の通りである。
【0040】
CHOH→CO+2H−21.7kcal/mol(吸熱)
CO+1/2O→CO+66.1kcal/mol(発熱)
よって、ガス発生器3での反応は発熱(+46.4kcal/mol)となる。
【0041】
このガス発生器3で得られたガスには、水素ガスの他に一酸化炭素が含まれているため、シフトコンバータ21において水を供給することにより、この一酸化炭素の酸化による除去が行われる。この反応は次の通りである。
【0042】
CO+HO→CO+H+9.8kcal/mol
よって、シフトコンバータ21での反応は発熱である。
【0043】
ここで、シフトコンバータ21では、一酸化炭素の酸化反応が進行すると、水素ガスによる還元反応が活性化して一酸化炭素濃度が上昇に転じることがある。そこで、酸化器22において酸素ガスにより一酸化炭素を酸化させ、水素ガス中に残留した微量の一酸化炭素を完全に除去する。
【0044】
以上のように、ガス化したメタノールは、ガス発生器3、シフトコンバータ21及び酸化器22を通ることにより、所定温度(120℃程度)の水素ガスおよび二酸化炭素に完全に変化し、デュアルレギュレータ12の水素ガス用調整バルブ12aにより規定圧(5〜6kgf/cm)に調整されて燃料電池4に供給される。なお、得られた二酸化炭素については、水に吸収させて除去するか、あるいは、外部に排気する。
【0045】
また、燃料電池4には、上記の水素ガスに加えて、デュアルレギュレータ12の酸素ガス用調整バルブ12bで規定圧(5〜6kgf/cm)に調整されかつ所定温度(120℃程度)に制御された酸素ガスを供給する。
【0046】
これにより、燃料電池4は、その内部に設けられた電解質と水素ガス及び酸素ガスとの電気化学反応により、起電力を生じて発電を行うことになる。
【0047】
尚、上記電源装置では、燃料電池4の作動開始後においてはヒーター24の作動を停止し、ガス発生器3の自己発熱により熱交換部16cで液体メタノール1のガス化を継続する。つまり、液体メタノール1をガス化するための別の熱源が不要になり、その分エネルギを節約し得るものとなっている。
【0048】
また、燃料電池4において発生した水は、気水分離器(酸素ポンプ)により酸素から分離して水タンク26に貯蔵され、シフトコンバータ21における一酸化炭素の除去等に用いられる。
【0049】
次に、外部加熱型の熱電池6を作動させる場合には、ガス発生器3から熱電池6に至るガス供給管31の遮断弁1V9を開いた状態にし、燃料電池2のみを作動させる場合に比べて大流量のガスを熱電池6に供給する。ここで、ガス発生器3は、メタノール1と酸素2との触媒反応により高温・高圧のガスを発生し、この高温・高圧のガスは、ガス供給管31を通り、流量調節器5による流量の調節を経て、熱電池6の外部に供給され、熱電池6を加熱することになる。
【0050】
ここで、上記流量調節器5、熱電池6、及び制御器7について、詳細に説明する。
【0051】
図3は、上記流量調節器5、熱電池6、及び制御器7により構成される熱電装置の一実施例を示す構成図である。この熱電装置は、図3に示すように、外部からの加熱により活性化されて起電力を生じる熱電池6と、この熱電池6を収容するガスマニホールド34と、このガスマニホールド34内に高温ガスを導く連結管40と、通路の一部を形成すると共に高温ガスの流量を調節する流量調節器5の一部としての弁体70,この弁体70を駆動する駆動手段80等を収容する保持部材50と、ガス発生器3から伸びるガス供給管31に接続される接続管60と、流量調節器5の動作を制御する制御器7等により構成されている。
【0052】
ここで、上記熱電池6は、図4に示すように、径の異なる2つの同心状の円筒61a,61b及び上面61c,下面61dにより形成される金属製外部ケース61の内部空間に、複数個の発電セル62を積層し、これら積層された発電セル62のまわりを電気絶縁層63で覆うと共に、上端の発電セルと下端の発電セルとから、それぞれリード線64a,64bを引き出して、外部ケース61の下面から突出する正極端子65a,負極端子65bにそれぞれ接続した構成となっている。
【0053】
また、上記発電セル62は、図5に示すように、薄板の円環形状をなしており、負極と正極との間に電解質層62dを挟んだ構造からなっている。ここで、負極は、鉄製カップ62aにリチウムシート62bを挿着した後、鉄粉62cを充填し、鉄製カップ62aの外周縁を内側に向けてかしめ成形し、次いで約550℃の熱板に挟んでリチウムを溶融し鉄粉成形体に含浸させたものである。
また、電解質層62dは、塩化カリウムと塩化リチウムの共融塩を無機吸着材の酸化マグネシウム粉末に吸着させたものを成形したものであり、共融塩すなわち電解質と無機吸着材との混合比は重量比で1:1である。
さらに、正極は、活物質の二硫化鉄に、上記電解質と無機吸着材とを混合し成形したものに、鉄製の正極集電板62fを貼着したものであり、活物質と電解質との混合比は重量比で7:3である。
【0054】
上記ガスマニホールド34は、上記熱電池6を収容するような円柱状の輪郭をなし、側壁に高温ガスを流入させる流入口34aが形成され、又、底面に開口34bが形成されている。従って、開口34bから熱電池6の本体部分をガスマニホールド34内に挿入し、熱電池6の下面61d外周部分をガスマニホールド34の底面に当接させて、ボルト等の締結手段(不図示)により締結することで、熱電池6はマニホールド内に完全に収容された状態で固定されることになる。
【0055】
また、図3及び図6に示すように、上記ガスマニホールド34の内部でかつ熱電池6のまわりを取り囲む領域には、ガスマニホールド内に流れ込んだ高温ガスを分散させて流れを調整する流れ調整部材35が配置されている。この流れ調整部材35は、円筒状をなし、その壁面には複数の孔35aが設けられている。
【0056】
このような流れ調整部材35を設けることで、ガスマニホールド34の一側部にある流入口34aから流れ込んできた高温ガスは、熱電池6の一側部にのみ衝突するのではなく、流れ調整部材35に形成された孔35aを通って、熱電池6の外周全域から均一に熱電池6に接するようになる。これにより、熱電池6は、斑なく均一に加熱されることになり、内部の発電セル62全体が効率良くスムーズに活性化されることになる。
【0057】
上記流れ調整部材としては、上述実施例の他に、流入口30aから遠ざかるにつれて、孔の径を大きくしたり、又、孔の数を多くしたり、あるいは、孔の形状を適宜変化させて流入抵抗を減らすようにすることも可能である。
【0058】
上記連結管40は、図3に示すように、両端に取り付け用のフランジ部をもち、高温ガスを通す内部通路40aを形成するものである。この内部通路40aの略中央部には、オリフィス部40bが形成されており、このオリフィス部40bには、高温ガスの温度を検出するための温度センサ100が設けられており、又、オリフィス部40bを挟んだ両側には、高温ガスの圧力を検出するための圧力センサ101,102がそれぞれ設けられている。
【0059】
そして、これら温度センサ100,及び圧力センサ101,102により検出された高温ガスの温度情報及び圧力情報は、後述のコントローラへ送られて、流量調節手段の制御等に用いられる。
【0060】
上記保持部材50は、図3に示すように、高温ガスが流入する流入室50aを形成して、通路の一部を形成すると共に、高温ガスの流量を調節する弁体70をその軸方向に往復動自在に案内する案内通路50b、及び弁体70を駆動する駆動手段80を収容する駆動手段収容室50c等を形成している。
【0061】
ここで、高温ガスの流量を調節する流量調節器5としての弁体70及び駆動手段80について説明すると、図3に示すように、弁体70は、略長尺な円柱形状をなし、その一端部に円錐形状の弁部70aが設けられ、他端側領域に雄ねじ部分70bが設けられて、中間領域が保持部材50の案内孔50bに往復動自在に支持されている。
【0062】
そして、この弁体70の雄ねじ部分70bには、雌ねじが形成されかつ外周部に環状のモータロータ82が一体的に設けられたボールナット81が螺合されている。このボールナット81は、弁体70の軸線方向への移動が規制される一方で、ベアリング83により軸まわりに回動自在に支持されている。さらに、モータロータ82の外周には、所定間隔をおいて、モータステータ84が対向するように配置されている。
【0063】
従って、後述のコントローラ及びモータドライバを介して、所定電流がモータステータ84に流されると、発生した磁界により、モータロータ82すなわちボールナット81が所定方向に回転し、このボールナット81と螺合関係にある弁体70は、その軸線方向に移動することになる。
【0064】
上記ボールナット81、モータロータ82、モータステータ84等により、弁体70を駆動する駆動手段80が構成されている。尚、上記駆動手段80は、高温ガスの流れを止める際には、弁部70aの円錐表面が流入室50aの通路縁部50dに当接するように駆動されて、弁体70を図3中右向きに移動させ、逆に高温ガスを流す際には、弁部70aが通路縁部50dから離脱するように駆動されて、弁体70を図3中左向きに移動させる。
【0065】
また、上記のように弁体70が案内通路50bに沿って移動しても、案内通路50bとの接触面にシール部材71が設けてあるため、流入室50aに流入してきた高温ガスが案内通路50bと弁体70の外周部との狭間を通って洩れでるのを防止することができる。
【0066】
さらに、上記弁体70の他端側には、その変位を検出する変位センサ103が設けられており、この変位センサ103により検出された弁体70の変位情報すなわち弁開度情報は、後述のコントローラに送られる。
【0067】
上記流量調節器5を制御する制御器7は、図3に示すように、上記温度センサ100、圧力センサ101,102により検出される信号を処理するシグナルコンディショナ91、熱電池6内に設けられた複数の温度センサ104により検出される温度信号を処理して熱電池6の平均温度、最大温度等を出力するシグナルコンディショナ92、駆動手段80への作動信号を出力するモータドライブ93、上記シグナルコンディショナ91,92、変位センサ103等からの情報信号、又、熱電池の起動(活性化)指令,停止(冷却)指令、熱電池の温度設定信号等に基づいて種々の計算を行い、駆動手段80を駆動するための信号をモータドライブ93へ出力するコントローラ94等により構成されている。
【0068】
上記のような構成からなる装置においては、ガス供給管31の遮断弁V9を開けた状態で弁体70を移動させて内部通路を開くと、ガス発生器3で発生した高温ガスは、ガス供給管31、接続管60、保持部材の流入室50aから、連結管40を通って、ガスマニホールド34内に流れ込む。そして、流れ調整部材35により、高温ガスの流れが分散調整されて、熱電池6の外周面61aに均一に接触し、さらに、空洞部61bを通って、排出ノズル36からガスマニホールド34の外部に流出する。
【0069】
これにより、熱電池6は加熱されて活性化状態となり、所定の電力を発生することになる。一方、熱電池6による発電を停止させる場合は、熱電池停止(冷却)指令により弁体70を移動させて内部通路を閉塞し、ガスマニホールド34内への高温ガスの流入を止める。
【0070】
尚、上記排出ノズル36内に絞り弁(不図示)を設けて、所望の弁開度にコントロールすることで、ガスマニホールド34内のガスの圧力等を調節するような構成を採用することも可能である。
【0071】
これによれば、ガスマニホールド34内のガスの温度を調節することができ、効率良くエネルギを取り出すことができる。
【0072】
以上述べた実施例において、弁体70を移動させて高温ガスの流量を制御する制御方法としては、熱電池6の温度を監視して制御を行う温度レギュレータ型制御系、あるいは、熱電池6に導かれる高温ガスの流量を監視して制御を行うガスフローレギュレータ型制御系等を採用することができる。
【0073】
また、上記実施例では、高温ガスの流量を調節する弁体として、往復動する形式のものを示したが、これに限定されるものではなく、回動動作あるいはスライド動作により、内部通路を横断して開閉するようなものであってもよい。
【0074】
さらに、上述実施例では、弁体を駆動する駆動手段として、電気式のものを示したが、これに限定されるものではなく、機械式のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電源装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】 本発明に係る電源装置の一実施例を示す構成図である。
【図3】 本発明に係る電源装置の一部をなす流量調節器、熱電池、及び制御器を示す構成図である。
【図4】 本発明に係る電源装置の一部をなす熱電池を示す断面図である。
【図5】 図4に示す熱電池の発電セルを示す断面図である。
【図6】 図3中のA−A部における断面図である。
【符号の説明】
1 燃料(メタノール)
2 酸化剤(液体酸素)
3 ガス発生器
4 燃料電池
5 流量調節器
6 熱電池
7 制御器
10 燃料タンク
11 酸化剤タンク
12 デュアルレギュレータ
13 加湿系
14 冷却系
16 燃料供給管
17 酸化剤供給管
18 熱交換器
19 酸素ガスタンク
21 シフトコンバータ
22 酸化器
23 ガス供給管
24 ヒーター
25 水
26 水タンク
27 水供給管
28 水循環管
29 冷却液循環管
30 熱交換器
31,32 ガス供給管
34 ガスマニホールド
35 流れ調整部材
36 排出ノズル
40 連結管
50 保持部材
60 接続管
70 弁体
80 駆動手段
91,92 シグナルコンディショナ
93 モータドライブ
94 コントローラ
100 温度センサ
101,102 圧力センサ
103 変位センサ
104 温度センサ

Claims (6)

  1. 燃料及び酸化剤をエネルギ源として電力を発生する電源装置であって、
    前記燃料と酸化剤との触媒による水素を含むガスを生成する部分酸化反応により高温のガスを発生するガス発生器と、
    前記ガス発生器により得られた水素を含む高温のガスを用いて外部を加熱することにより発電する熱電池と、
    前記熱電池内に設けられた複数の温度センサと、
    それら複数の温度センサにより検出される温度信号を処理するとともに、熱電池の温度設定信号に基づいて、流量調節器に、これの駆動手段を作動させる作動信号を出力する制御器と、
    制御器から出力された作動信号により、熱電池に向けて供給される水素を含む高温のガスの流量を、発電を安定した状態で行えるように調節する流量調節器とを備えたことを特徴とする電源装置。
  2. 燃料及び酸化剤をエネルギ源として電力を発生する電源装置であって、
    前記燃料と前記酸化剤との触媒による水素を含むガスを生成する部分酸化反応により高温のガスを発生するガス発生器と、
    前記ガス発生器により得られた水素を含む高温のガスと前記酸化剤のガスとにより発電する燃料電池と、
    前記ガス発生器により得られた水素を含む高温のガスを用いて外部を加熱することにより発電する熱電池と、
    前記熱電池内に設けられた複数の温度センサと、
    それら複数の温度センサにより検出される温度信号を処理するとともに、熱電池の温度設定信号に基づいて、流量調節器に、これの駆動手段を作動させる作動信号を出力する制御器と、
    制御器から出力された作動信号により、熱電池に向けて供給される水素を含む高温のガスの流量を、発電を安定した状態で行えるように調節する流量調節器とを備えたことを特徴とする電源装置。
  3. 前記流量調節器は、前記ガス発生器により得られた水素を含む高温ガスを前記熱電池に供給する通路を開閉する弁体を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
  4. 前記制御器は、前記熱電池の温度情報に基づいて前記弁体の弁開度を制御することを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
  5. 前記制御器は、前記熱電池に供給される水素を含む高温ガスの温度及び/又は圧力の情報に基づいて前記弁体の弁開度を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の電源装置。
  6. 前記燃料がメタノールであり、前記酸化剤が酸素ガスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電源装置。
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