JP4356657B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
従来から、燃料噴射装置は、例えば、燃料を高圧化して供給する燃料供給ポンプ、燃料供給ポンプから供給された燃料を高圧状態で蓄圧するコモンレール、コモンレールに蓄圧された燃料をエンジンの気筒内に噴射するインジェクタ、燃料供給ポンプやインジェクタの作動を制御する制御手段を備える。
この従来の燃料噴射装置では、噴孔が閉鎖されると、図7(c)、(f)に示すように、閉孔圧および開孔圧に脈動が発生する。そして、短時間で噴孔の開閉が繰り返される場合、この脈動が収束する前に噴孔が開放される。つまり、先行する噴射によって生じた圧力脈動が収束する前に、後行する噴射が開始される。このため、後行する噴射では、ソレノイドコイルへの通電開始時期および通電期間を一定にしても、圧力脈動の状況に応じて実噴射量が変動する。
請求項1に記載の燃料噴射装置は、インジェクタによる燃料の噴射を行う際に、制御弁体とは別に背圧室を開放し、閉孔圧を減圧することができる減圧機構を備える。
これにより、閉孔圧に脈動が発生しても、減圧機構により閉孔圧を調整し早期に閉孔圧の脈動を収束させることができる。このため、閉孔圧の脈動に伴う実噴射量の変動を抑えることができる。
インジェクタによる燃料の噴射を少なくとも2段階に分けて実行させるマルチ噴射では、後段噴射において、実噴射量に対する圧力脈動の影響が顕著である。よって、マルチ噴射を行う燃料噴射装置において、減圧機構により閉孔圧を調整して早期に閉孔圧の脈動を収束させれば、後段噴射における実噴射量の変動を効率的に抑えることができる。
このような課題に対し、アクチュエータの作動間隔を、噴射インターバルの最小値に対応する限界値、つまりインジェクタの仕様から定まる限界値に設定し、さらに後段噴射の実行のためにアクチュエータを作動させる時に減圧機構により背圧室を開放させる。
参考例1の燃料噴射装置1の構成を、図1を用いて説明する。
燃料噴射装置1は、例えば、燃料タンク2から燃料を吸入するとともに加圧して吐出する燃料供給ポンプ3と、燃料供給ポンプ3から吐出された燃料を蓄圧するコモンレール4と、エンジン(図示せず)の各気筒に搭載されるとともに、コモンレール4から燃料の分配を受け、燃料を気筒内に噴射するインジェクタ5と、インジェクタ5の背圧室6を開放し背圧室6の燃料の圧力を減圧する減圧機構7と、燃料供給ポンプ3、インジェクタ5および減圧機構7等の作動を制御する制御手段8とを備える。
参考例1の燃料噴射装置1の作用を、図2を用いて説明する。
前段噴射用の指令信号に基づき、ソレノイドコイル30への通電が始まると磁気吸引力が発生し(時間t0参照)、この磁気吸引力により制御弁体29が着座位置から上昇を開始する(時間t1参照)。これにより、背圧室6が開放され閉孔圧が低下を開始すると、閉孔付勢力が開孔付勢力よりも弱くなる。このため、噴射弁体28が着座位置から上昇を開始し、噴孔27が開放されて噴射率が上昇を開始する(時間t2参照)。
参考例1の燃料噴射装置1は、制御弁体29とは別に背圧室6を開放し、閉孔圧を減圧する減圧弁7を備える。そして、マイコン9は、前段噴射と後段噴射との間に、減圧弁7により減圧配管52を開放させ閉孔圧を低下させる。
これにより、前段噴射によって閉孔圧に脈動が発生しても、減圧弁7により閉孔圧を調整し、早期に閉孔圧の脈動を収束させることができる。このため、後段噴射における実噴射量の変動を抑えることができる。
実施例の燃料噴射装置1によれば、マイコン9は、前段噴射におけるソレノイドコイル30の通電期間と後段噴射におけるソレノイドコイル30の通電期間との間隔(以下、「ソレノイド作動間隔」と呼ぶ)を、インジェクタ5の仕様から定まる限界値に設定する。
実施例の燃料噴射装置1の作用を、図3を用いて説明する。
まず、前段噴射用の通電期間が終了し、さらに、設定されたソレノイド作動間隔に相当する時間が経過したら、後段噴射用の通電期間が開始する(時間t0’参照)。つまり、後段噴射用の指令信号がマイコン9からインジェクタ駆動回路14に出力され、ソレノイドコイル30への通電が再開する。この通電再開により磁気吸引力が発生し、制御弁体29が、再度、着座位置から上昇を開始する(時間t1’参照)。これにより、背圧室6が制御弁室45に対して開放され、再度、閉孔圧が低下を開始する。
実施例の燃料噴射装置1によれば、マイコン9は、ソレノイド作動間隔をインジェクタの仕様から定まる限界値に設定し、後段噴射を実行するためソレノイドコイル30に通電を行っている時に、減圧弁7により背圧室6を開放させ、閉孔圧の低下速度を増大させる。
これにより、従来よりも早期に閉孔付勢力を開孔付勢力よりも弱くすることができるので、後段噴射において噴射弁体28が着座位置から上昇を開始する時間、つまり後段噴射の開始時期を早めることができる。この結果、前段噴射と後段噴射との間隔、つまり前段噴射において噴孔27が閉鎖されてから後段噴射において噴孔27が開放されるまでの期間(噴射インターバル)の最小値を、インジェクタの仕様から定まる従来の値よりも、さらに短縮することができる。以上により、排気ガス中のNOx低減の効果をさらに高めることができる。
参考例2の燃料噴射装置1の構成を、図4を用いて説明する。
参考例2の燃料噴射装置1は、減圧機構(減圧弁7)に替わり、ノズル室33に供給される燃料を増圧して開孔圧を増圧する増圧機構58を備え、減圧機構駆動回路15に替わり、車載電源から増圧機構58に給電させる増圧機構駆動回路59を備える。
参考例2の燃料噴射装置1の作用を、図5を用いて説明する。
参考例1と同様に噴孔27が閉鎖されると(時間t5参照)、図5(c)、(f)に示すように、閉孔圧および開孔圧に脈動が発生する。この脈動に対し、マイコン9は、レール圧の検出値を監視することで閉孔圧および開孔圧を監視する。そして、マイコン9は、脈動によるレール圧の低減速度に応じて増圧期間を算出し、レール圧の検出値が目標レール圧よりも小さくなったら、指令信号を合成し増圧機構駆動回路59に出力する。
参考例2の燃料噴射装置1は、ノズル室33に供給される燃料を増圧して開孔圧を増圧する増圧機構58を備える。そして、マイコン9は、前段噴射と後段噴射との間に、増圧機構58の電磁弁75により排出側調圧配管69を開放させ開孔圧を増圧させる。
これにより、前段噴射によって開孔圧に脈動が発生しても、増圧機構58により開孔圧を調整し、早期に開孔圧の脈動を収束させることができる。このため、後段噴射における実噴射量の変動を抑えることができる。
参考例3の燃料噴射装置1によれば、マイコン9は、ソレノイド作動間隔を、インジェクタ5の仕様から定まる限界値に設定する。また、マイコン9は、後段噴射を実行するためソレノイドコイル30に通電が行われている時に、増圧機構駆動回路59に指令信号を出力して、電磁弁75により排出側調圧配管69を開放させる(図4参照)。
参考例3の燃料噴射装置1の作用を、図6を用いて説明する。
参考例3のマイコン9は、制御弁体29が着座位置から上昇を開始する時(時間t1’参照)とほぼ同時に、増圧機構駆動回路59に増圧機構58を作動させるための指令信号を出力する。つまり、マイコン9は、実施例で定義した遅延時間が経過した時に、増圧機構駆動回路59に指令信号を出力する。
参考例3の燃料噴射装置1によれば、マイコン9は、ソレノイド作動間隔をインジェクタ5の仕様から定まる限界値に設定し、後段噴射を実行するためソレノイドコイル30に通電を行っている時に、増圧機構58によりノズル室33に供給する燃料を増圧し、開孔圧を増圧させる。
これにより、実施例と同様の効果を得ることができる。
実施例の燃料噴射装置1は、燃料噴射を2段階に分けて実行するマルチ噴射に適用され、後段噴射の実噴射量の変動を抑えるために用いられていたが、このような適用例に限定されない。すなわち、マルチ噴射に限らず、単独の噴射で必要な燃料を全量噴射する場合でも噴射インターバルが短いときには、実施例の燃料噴射装置1を適用することで、後行する噴射における実噴射量の変動を抑えることができる。
5 インジェクタ
6 背圧室
7 減圧弁(減圧機構)
8 制御手段
27 噴孔
28 噴射弁体
29 制御弁体
30 ソレノイドコイル(アクチュエータ)
33 ノズル室
Claims (1)
- 噴孔を開閉する噴射弁体を収容するとともに、この噴射弁体に対し前記噴孔を開放する方向に圧力を及ぼす燃料の供給を受けるノズル室、および、前記噴射弁体の反ノズル室側に形成され、前記噴射弁体に対し前記噴孔を閉鎖する方向に圧力を及ぼす燃料の供給を受ける背圧室を有し、この背圧室を開閉する制御弁体を所定のアクチュエータにより駆動することで前記背圧室を開放し、前記背圧室の燃料の圧力を減圧して前記噴射弁体に前記噴孔を開放させ燃料を噴射するインジェクタと、
前記インジェクタによる燃料の噴射を行う際に、前記制御弁体とは別に前記背圧室を開放し、前記背圧室の燃料の圧力を減圧することができる減圧機構と、
前記アクチュエータを2回以上作動させることで、前記インジェクタによる燃料の噴射を少なくとも2段階に分けて実行させるとともに、先行する前段噴射と後行する後段噴射との間に、前記減圧機構により前記背圧室を開放させ、前記背圧室の燃料の圧力を調整する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記前段噴射を実行するために前記アクチュエータを作動させる期間と、前記後段噴射を実行するために前記アクチュエータを作動させる期間との間隔を、前記インジェクタの仕様から定まる限界値に設定し、
前記後段噴射を実行するため前記アクチュエータを作動させる時に、前記減圧機構により前記背圧室を開放させることを特徴とする燃料噴射装置。
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