JP4356332B2 - 浮揚体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浮揚体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、乗用同軸二重反転式の浮揚体、例えば、ヘリコプタ(例えば、特許文献1)は、この浮揚体の重心点よりほぼ垂直方向に上下に配置された2つの回転翼を互いに逆方向に回転させることにより、揚力の発生と反動トルクの相殺を同時に実現するような構造を有している。このような乗用同軸二重反転式ヘリコプタの方位回転制御では、2つの回転翼のピッチ角を可変し、あるいは、2つの回転翼の回転数を可変することにより、発生する反動トルクを相殺するように構成されている。
【0003】
ところで、2つの回転翼を有する2つのロータを回転させて空中に浮揚する浮揚体として、例えば、玩具(ヘリコプタの玩具)などの小型の浮揚体も知られている。このような小型浮揚体における機体(基部)の方位回転姿勢制御方法やその制御装置、あるいは、方位回転検出装置などについては、従来、上述の乗用の浮揚体に用いられているものを流用していた。
【0004】
特に、無人ヘリコプタや車両などで利用される方位回転検出装置は、角速度センサを使用して機体(基部)などの角速度を検出するとともに、GPS信号(GPS信号を利用しているものとして、例えば、特許文献1参照)、PHS信号、あるいは、地磁気センサの出力信号等の絶対方位信号を利用して、角速度センサのオフセットやオフセットドリフトの補正を行う補正手段を用い、精度の高い方位回転を検出している。
【0005】
また、上記のような補正手段を有さない浮揚体では、角速度センサで検出された方位回転信号(角速度データ)を特殊な(複雑な)フィルタを用いて常に角速度センサのオフセットやオフセットドリフトの補正をしている。あるいは、補正手段を有さない車両等では、この車両の停止状態を検出して、そのタイミングで角速度センサのオフセットの補正を行っている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−167871号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の無人ヘリコプタや車両などに用いられているような角速度センサと、GPS信号等の絶対方位信号を利用する補正手段とを組み合わせて方位回転を検出する方位回転検出手段を小型の浮揚体(飛翔玩具)や飛翔ロボットに適用した場合には、GPS信号やPHS信号を利用する補正手段では、回路が複雑になるとともに、無線用の部品やアンテナなどの構成要素が多く必要であり、小型、軽量化することが困難であるという問題があった。
【0008】
また、角速度センサの出力信号と特殊フィルタで常時補正する方法を小型の浮揚体に適用する場合には、オフセットやオフセットドリフトの補正のための演算処理が複雑となり、小型の浮揚体に組み込まれたシステムにおいて方位回転を検出し、安定的に浮揚することは極めて困難であるという問題もある。また、車両等の停止状態を検出し、そのタイミングで角速度センサのオフセットを補正する方法を小型の浮揚体に適用する場合には、浮揚中(飛翔中)のオフセットドリフトの補正を行うことができず、角速度センサのオフセットドリフトを保証することができないという問題がある。さらに、地磁気センサを用いる方法を小型の浮揚体に適用する場合には、確かに地磁気センサ自体は小型であるが、周りの環境(地場)の影響を受けやすく、浮揚体を安定して浮揚させることが困難であるという問題もあった。
【0009】
したがって、上記課題を解決するために、本発明の目的は、浮揚体の方位回転検出手段として角速度センサのみを用いて、浮揚体の着陸時又は静止時に常時角速度センサのオフセット及びオフセットドリフト補正を実行し、浮揚時には所定の誤差が生じた場合のみオフセット補正などを実行することにより、浮揚体の軽量化を実現するとともに、安定的な浮揚を可能とする浮揚体、その方位回転検出装置及び方位回転検出方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の一態様において、本発明の浮揚体は、
基部と、
前記基部に対し回転可能に概ね同軸的に設置され、互いに反対方向に回転する2つのロータであって、それぞれのロータが少なくとも2枚の回転翼を備えている2つのロータと、
前記基部に設置され、圧電素子を備えた2つの振動体であって、該圧電素子に交流電圧を印加することにより振動する2つの振動体と、
前記2つの振動体にそれぞれ当接し、かつ、前記基部に対し回転可能に設置され、前記振動体の振動により、前記ロータと連動して回転駆動される2つの被駆動体と、
前記基部の方位回転を検出して、オフセット成分を除去する方位回転検出手段と、
前記基部の挙動を予測制御するために予め設定されたモデルと、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとに基づいて、全状態観測器を用いて、前記基部の方位回転を予測及び予測誤差を補正する制御手段と、
前記制御手段によって得られた前記基部の方位回転データから得られた制御量と、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとの差分データに基づいて、PID制御により速度差制御信号を生成して出力する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された前記速度差制御信号と、前記2つのロータを回転駆動するために入力された前記2つのロータの回転数データとを比較して、前記2つのロータをそれぞれ回転駆動するための回転数データを演算する演算手段とを備え、
前記ロータは、前記演算手段によって演算された回転数で回転されて浮揚することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の実施形態における浮揚体は、
基部と、
前記基部に対し回転可能に概ね同軸的に設置され、互いに反対方向に回転する2つのロータであって、それぞれのロータが少なくとも2枚の回転翼を備えている2つのロータと、
前記2つのロータを回転駆動する2つのアクチュエータと、
前記基部の方位回転を検出して、オフセット成分を除去する方位回転検出手段と、
前記基部の挙動を予測制御するために予め設定されたモデルと、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとに基づいて、全状態観測器を用いて、前記基部の方位回転を予測及び予測誤差を補正する制御手段と、
前記制御手段によって得られた前記基部の方位回転データから得られた制御量と、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとの差分データに基づいて、PID制御により速度差制御信号を生成して出力する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された前記速度差制御信号と、前記2つのロータを回転駆動するために入力された前記2つのロータの回転数データとを比較して、前記2つのロータをそれぞれ回転駆動するための回転数データを演算する演算手段とを備え、
前記ロータは、前記演算手段によって演算された回転数で回転されて浮揚することを特徴とする。
なお、前記アクチュエータは、超音波モータであってもよい。
【0012】
また、好ましくは、前記方位回転検出手段は、
前記基部の角速度をアナログ電圧信号として検出する角速度センサと、
前記角速度センサによって検出されたアナログ電圧信号をアナログ/デジタル変換するADコンバータと、
前記ADコンバータの出力信号を平均化し、所定のタイミングで初期電圧値オフセットとしてADコンバータの出力信号から減算、除去する第1のオフセットキャンセル手段と、
前記第1のオフセットキャンセル手段から出力される電圧信号を前記基部の角速度データに変換する角速度変換手段と、
を備えている。
【0013】
さらに、好ましくは、前記方位回転検出手段は、
前記基部の角速度データを所定の時間で積分して、角度データを出力する積分器と、前記積分器によって積分された角度データを微分して微小角速度データを出力する微分器と、前記微分器から出力される微小角速度データを格納する記憶手段とを含み、前記角速度変換手段から出力される角速度データから前記微分器から出力される微小角速度データを減算、除去する第2のオフセットキャンセル手段を更に備えている。
【0014】
この場合、好ましくは、前記第2のオフセットキャンセル手段は、前記減算、除去された前記基部の角速度データの高域成分を除去するローパスフィルタと、該ローパスフィルタの出力信号を平均化し、その平均化データと所定の閾値を比較する比較器と、前記平均化データが前記所定の閾値よりも大きいときに、前記微小角速度データに前記平均化データを加算して前記微小角速度データを補正する補正手段とを更に備えている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図25を参照して本発明の浮揚体、浮揚体の方位回転検出装置及び方位回転検出方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態は例示として挙げるものであり、これにより本発明の内容を限定的に解釈すべきではない。
図1は、本発明の浮揚体の第1実施形態を示す斜視図(細部は省略)、図2は、図1に示す浮揚体におけるロータを示す側面図、図3は、図1に示す浮揚体における中空中心軸付近を拡大して示す断面側面図、図4は、図1に示す浮揚体における振動体の斜視図、図5は、図1に示す浮揚体における振動体が被駆動体を駆動する様子を示す平面図、図6は、図1に示す浮揚体における振動体の凸部が楕円運動する様子を示す平面図、図7は、図1に示す浮揚体における姿勢変更手段のx軸方向移動手段のy軸に対して垂直な面での断面図、図8は、図1に示す浮揚体における姿勢変更手段のx軸方向移動手段の側面図(フレームや錘要素等は図示省略)、図9は、図1に示す浮揚体における姿勢変更手段のy軸方向移動手段のx軸に対して垂直な面での断面図、図10は、図1に示す浮揚体における振動体の斜視図、図11及び図12は、それぞれ、図1に示す浮揚体における振動体が被駆動体を駆動する様子を示す側面図、図13は、図1に示す浮揚体の回路構成を示すブロック図である。なお、以下では、図2、図3、図7、図8及び図9中の上方を「上」、下方を「下」として説明する。
また、図1、図7、図8及び図9において、図示のように、互いに直交するx軸、y軸及びz軸(x−y−z座標)を想定する。この場合、z軸は、ロータの回転中心線(軸)と一致又は平行になるように想定される。
【0022】
これらの図に示す浮揚体1は、基部2と、基部2に対し回転可能に設置され、回転翼34を備えたロータ(第1のロータ)3と、ロータ3を回転駆動する振動体4と、基部2に対し回転可能に設置され、回転翼54を備えたロータ(第2のロータ)5と、ロータ5を回転駆動する振動体4と、重心の移動により浮揚体1の姿勢を変更する姿勢変更手段16とを有している。ロータ3と、ロータ5とは、互いに反対方向に回転し、かつ、同軸的に設けられている。すなわち、この浮揚体1は、2重反転ロータを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0023】
図2及び図3に示すように、基部2は、ほぼ平板状をなす基板21と、基板21から上方に向かって突設(突出形成)された、中空の(ほぼ円筒状の)中空中心軸24と、振動体取付部23及び25とを有している。なお、基部2には、地面(床面)に安定的に接地するための接地脚(図示せず)が設けられていてもよい。
中空中心軸24には、ロータ3が回転可能に設置されている。このロータ3は、図示しない平面視で時計回りに回転する。
【0024】
図3に示すように、ロータ3は、ほぼ円筒状をなす筒状部材31と、筒状部材31の外側(外周)にそれぞれ固着(固定)された回転翼固定部材32及び被駆動体33と、回転翼固定部材32にそれぞれ固着された2枚の回転翼34とで構成されている。
図2及び図3に示すように、このロータ3は、筒状部材31の内腔、すなわち軸孔35に中空中心軸24が挿入した状態で基部2に設置されている。中空中心軸24と、軸孔35の内面との間には、2つの軸受け11、11がそれぞれ設けられており、これにより、ロータ3は、基部2に対し中空中心軸24(回転中心線36)を中心として滑らかに回転可能になっている。
軸受け11は、滑り軸受けで構成されているが、転がり軸受け(ベアリング)であってもよい。
中空中心軸24の上端部外周には、フランジ部材26が固着されており、これにより、ロータ3が中空中心軸24から離脱しないようになっている。
【0025】
回転翼固定部材32は、ほぼ円筒状に形成された筒状部321と、筒状部321の上端部からロータ3の回転中心線36とほぼ垂直な方向に突出形成された2つの固定部322とで構成されている。回転翼固定部材32は、筒状部321の内側に筒状部材31が挿入した状態で、例えば圧入により、筒状部材31に固着されている。
【0026】
2つの固定部322は、互いに反対方向に突出している。2つの固定部322の上面には、それぞれ、回転翼34の基端部(根元部)が固着されている。
2枚の回転翼34は、回転中心線36から互いに反対側に延びるように設けられている。すなわち、2枚の回転翼34は、ほぼ180°間隔で設けられている。また、回転翼34は、回転中心線36に対しほぼ垂直な姿勢で設置されている。
【0027】
ロータ3が後述する振動体4の駆動により平面視で(図2中上側から見たとき)時計回りに回転すると、回転翼34には、揚力(回転中心線36にほぼ平行で上向きの力)が作用する。
なお、ロータ3に設けられた回転翼34の枚数は、2枚に限らず、3枚以上設けられていてもよい。
【0028】
筒状部材31の下端部外周には、被駆動体33が設けられている。すなわち、被駆動体33は、回転翼固定部材32の下側に位置している。
被駆動体33は、ほぼリング状(円環状)をなしており、その内側に筒状部材31の下端部が挿入した状態で、例えば圧入により、筒状部材31に対し固着されている。
【0029】
なお、筒状部材31、回転翼固定部材32、被駆動体33は、一体的に(一部材で)形成されていてもよい。また、これらに回転翼34が一体的に形成されていてもよい。
基部2の上側には、このようなロータ3を回転駆動する振動体4が被駆動体33の外周面331に当接するようにして設置されている。
【0030】
ロータ5は、中空中心軸24内に挿通(挿入)された回転軸51と、回転軸51の上端部に接続部材52を介して連結(固定)された回転翼固定部材53と、回転翼固定部材53にそれぞれ固着された2枚の回転翼54と、回転軸51の下端部に固着された被駆動体55とを有しており、ロータ3と同軸的(同心的)に設置されている。
【0031】
回転軸51と、中空中心軸24の内面との間には、2つの軸受け13、13がそれぞれ設けられており、これにより、ロータ5は、基部2に対し滑らかに回転可能になっている。
回転軸51の上端部は、中空中心軸24から突出している。回転軸51の上端部には、接続部材52が固着されている。
接続部材52は、ほぼ円筒状をなし、その下端部の内側に回転軸51の上端部が挿入した状態で、例えば圧入により、回転軸51に固着されている。
【0032】
回転翼固定部材53は、ほぼ円筒状に形成された筒状部531と、筒状部531の上端部から回転軸51とほぼ垂直な方向に突出形成された2つの固定部532とで構成されている。回転翼固定部材53は、筒状部531の下端部の内側に接続部材52の上端部が挿入した状態で、例えば圧入により、接続部材52に固着されている。
【0033】
固定部532は、前記固定部322と同様に形成されており、その上面には、回転翼54の基端部(根元部)が固着されている。
2枚の回転翼54は、回転中心線36から互いに反対側に延びるように設けられている。すなわち、2枚の回転翼54は、ほぼ180°間隔で設けられている。また、回転翼54は、回転軸51に対しほぼ垂直な姿勢で設置されている。
このような構成により、回転翼54は、回転翼34より上側に位置している。また、回転翼34と回転翼54とは、ともに、基板21の上側に位置している。
【0034】
図3に示すように、回転軸51の下端部は、基板21の下面から突出している。回転軸51の下端部には、ほぼ円盤状をなすハブ56が固着されている。
被駆動体55は、被駆動体33と同様にほぼリング状(円環状)をなしており、被駆動体55の内側にハブ56が挿入した状態で、例えば圧入により、ハブ56に対し固着されている。すなわち、被駆動体55は、基板21の下側に位置している。なお、被駆動体55とハブ56とは、一体的に(一部材で)形成されていてもよい。
基部2の上側には、このようなロータ5を回転駆動する振動体4が被駆動体55の外周面551に当接するようにして設置されている。
【0035】
次に、振動体4について、代表的に、ロータ3を回転駆動する振動体4を説明する。
図4に示すように、振動体4は、ほぼ、長方形の板状をなしている。振動体4は、図4中の上側から板状の電極41と、板状の圧電素子42と、補強板43と、板状の圧電素子44と、板状の電極45とをこの順に積層して構成されている。なお、図4では、厚さ方向を誇張して示している。
【0036】
圧電素子42、44は、それぞれ、長方形状をなし、電圧を印加することにより、その長手方向に伸長・収縮する。圧電素子42、44の構成材料としては、特に限定されず、例えば、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。
【0037】
これらの圧電素子42、44は、補強板43の両面にそれぞれ固着されている。補強板43は、振動体4全体を補強する機能を有しており、振動体4が過振幅、外力等によって損傷するのを防止する。補強板43の構成材料としては、弾性材料(弾性変形し得るもの)であれば特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金、銅又は銅系合金等の各種金属材料であるのが好ましい。
この補強板43は、圧電素子42、44よりも厚さが薄い(小さい)ものであることが好ましい。これにより、振動体4を高い効率で振動させることができる。
【0038】
補強板43は、圧電素子42、44に対する共通の電極としての機能をも有している。すなわち、圧電素子42には、電極41と補強板43とによって交流電圧が印加され、圧電素子44には、電極45と補強板43とによって交流電圧が印加される。すなわち、図13に示すように、振動体4は、後述する駆動制御回路9に接続されており、その駆動制御回路9により交流電圧が印加されるようになっている。
【0039】
圧電素子42、44は、交流電圧が印加されると長手方向に繰り返し伸縮し、これに伴って、補強板43も長手方向に繰り返し伸縮する。すなわち、圧電素子42、44に交流電圧を印加すると、振動体4は、図4中の矢印で示すように、長手方向に微小な振幅で振動(縦振動)し、凸部46が縦振動(往復運動)する。
【0040】
補強板43の図4中の右端部には、凸部46が一体的に形成されている。この凸部46は、補強板43の幅方向中央(中心線49)からずれた位置(図示の構成では角部)に設けられている。この凸部46は、図示の構成では、ほぼ半円形状に突出するように形成されている。
また、補強板43の長手方向ほぼ中央からは、腕部48が長手方向とほぼ垂直な方向に突出するように設けられている。この腕部48には、ボルト12が挿入する孔481が形成されている。
【0041】
図2、図3及び図5に示すように、このような振動体4は、凸部46にて被駆動体33の外周面331に当接するように設置されている。すなわち、本実施形態では、振動体4は、被駆動体33に対し被駆動体33の半径方向外周側から当接して設置されている。
なお、図示の構成では、外周面331は、平滑になっているが、全周に渡り溝を形成し、この溝内に凸部46が当接することとしてもよい。
【0042】
図2、図3及び図5に示すように、基板21から上方に向かって突設された振動体取付部23には、ネジ穴が形成されており、振動体4は、腕部48の孔481に挿入されたボルト12によって、この振動体取付部23に固定されている。
このように、振動体4は、腕部48によって支持されている。これにより、振動体4は自由に振動することができ、比較的大きい振幅で振動する。また、振動体4は、腕部48の弾性によって、凸部46が外周面331に圧接された状態で設置されている。
また、振動体4は、回転中心線36にほぼ垂直な姿勢(回転翼34にほぼ平行な姿勢)で設置されている。これにより、振動体4が占めるスペースが上下方向に小さく、浮揚体1は、薄型化(回転中心線36方向の寸法の小型化)に特に有利である。
【0043】
凸部46が被駆動体33の外周面331に当接した状態で、圧電素子42、44に交流電圧を印加して振動体4を振動させると、被駆動体33は、振動体4が伸長するときに凸部46から摩擦力(押圧力)を受ける。
すなわち、図5に示すように、凸部46の振動変位Sの径方向成分S1(被駆動体33の径方向の変位)によって、凸部46と外周面331との間に大きな摩擦力が与えられ、振動変位Sの周方向成分S2(被駆動体33の円周方向の変位)によって、被駆動体33に図5中の時計回りの回転力が与えられる。
【0044】
振動体4が振動すると、このような力が被駆動体33に繰り返し作用し、被駆動体33は、図5中の時計回りに回転する。これにより、ロータ3は、図5中の(図2中上側から見たときの)時計回りに回転する。
なお、ロータ5を回転駆動する振動体4については、前記ロータ3を回転駆動する振動体4と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
図2に示すように、基板21からは、前記振動体取付部23と同様の振動体取付部25が下方に向かって突設されており、この振動体取付部25にロータ5を回転駆動する振動体4が図示しないボルトで固定されている。この振動体4は、その凸部46にて、被駆動体55の外周面551に当接するように設けられている。
【0046】
ロータ5は、振動体4の駆動により、ロータ3と反対方向、すなわち、図示しない平面視で(図2中上側から見たときの)反時計回りに回転する。
ロータ3が図5中の時計回りに回転すると、回転翼34に揚力が作用し、また、ロータ5がロータ3と反対方向に回転すると、回転翼54に揚力が作用し、これらの揚力により、浮揚体1は、空中に浮揚(飛行)する。
【0047】
なお、ロータ3側には、ロータ3の回転数(回転速度)を検出する回転数検出手段を設けるのが好ましく、ロータ5側には、ロータ5の回転数(回転速度)を検出する回転数検出手段を設けるのが好ましい。
このように、振動体4は、構造が簡単で、小型(特に薄型)・軽量である。また、通常の電磁モータのように磁力で駆動する場合と異なり、前記のような摩擦力(押圧力)によって被駆動体33、55を駆動することから、駆動力が大きい。
【0048】
本発明の浮揚体1は、このような振動体4を用いてロータ3、5を回転駆動するようにしたことにより、小型化(特に薄型化)に極めて有利である。また、軽量化にも有利であり、浮揚体1のペイロード(荷重)を大きくとることができる。また、製造コストの低減も図ることができる。
また、本実施形態では、前述したように、被駆動体33が筒状部材31に固着され、被駆動体33は、ロータ3と一体になっている。すなわち、振動体4は、ロータ3を直接に回転駆動するようになっており、動力伝達機構や変速機構等が設けられていない(不要である)。ロータ5側も同様に、振動体4は、ロータ5を直接に回転駆動するようになっており、動力伝達機構や変速機構等が設けられていない(不要である)。これにより、浮揚体1は、特に簡単な構造、かつ軽量になっており、小型化・軽量化(ペイロード確保)に特に有利になっている。
【0049】
なお、前述したように、振動体4は、駆動力が大きいため、本実施形態のように、変速機構(減速機構)を介さなくてもロータ3、5を十分なトルクで回転することができる。
また、本実施形態では、振動体4の面内振動をロータ3、5の回転(面内回転)に直接変換するので、この変換に伴なうエネルギーロスが少なく、ロータ3、5を高い効率で回転駆動することができる。
【0050】
また、本実施形態では、凸部46が被駆動体33に及ぼす摩擦力(押圧力)の方向は、回転中心線36に対しほぼ垂直な方向であるため、ロータ3を傾斜させるような力が作用することがなく、ロータ3がより円滑かつ確実に回転する。同様に、ロータ5もより円滑かつ確実に回転する。
なお、図示の構成と異なり、ロータ3を回転駆動する振動体4は、回転中心線36に平行な方向から被駆動体33の上面又は下面に当接するように設置されていてもよく、また、ロータ5を回転駆動する振動体4は、ロータ5の回転中心線に平行な方向から被駆動体55の上面又は下面に当接するように設置されていてもよい。
【0051】
また、本実施形態の浮揚体1では、ロータ3を回転駆動する振動体4と被駆動体33とは、基板21の上側に設けられており、ロータ5を回転駆動する振動体4と被駆動体55とは、基板21の下側に設けられている。これにより、基板21の上側と下側とに各部材を分散して設置することができ、小型化に特に有利である。
また、ロータ3とロータ5との2つが揚力を発生するので、大きな揚力が得られる。
【0052】
また、ロータ3とロータ5とが互いに反対方向に回転することにより、基部2が受ける反力が相殺され、基部2が回転するのを防止することができる。
特に、ロータ3に対する振動体4と、ロータ5に対する振動体4とを別個に設けたことから、ロータ3の回転数(回転速度)と、ロータ5の回転数(回転速度)とをそれぞれ別個に調整(調節)することができ、これにより、基部2が回転するのをより確実に防止したり、基部2の回転(向き)を制御したりすることができる。
【0053】
また、ロータ3とロータ5とが同軸的に設けられていることにより、ロータを2つ設けたことによる大型化・重量増加を招来することなく、上記効果を達成することができる。すなわち、小型化・軽量化に有利である。
なお、本発明と異なり、通常の電磁モータを2個設け、これらの電磁モータでロータ3とロータ5とをそれぞれ直接に駆動する場合には、ロータ3とロータ5とを同軸的に設置するのが極めて困難である。これに対し、本発明では、振動体4を用いてロータ3及び5を駆動することにより、容易にロータ3とロータ5とを同軸的に設置することができる。
【0054】
また、本実施形態では、中空中心軸24を設けたことにより、ロータ3(筒状部材31)とロータ5(回転軸51)とが擦れ合う(触れ合う)ことがないため、ロータ3及び5は、それぞれ、円滑に回転することができる。
なお、図示の構成では、ロータ3とロータ5とは、直径や、回転翼の枚数(2枚)、回転翼の形状等の条件が同じになっているが、直径、回転翼の枚数、回転翼の形状等の条件が互いに異なるものであってもよい。
また、本発明では、ロータ3とロータ5とが同軸的に設けられていないもの(並設されたもの)であってもよい。
【0055】
圧電素子42、44に印加する交流電圧の周波数は、特に限定されないが、振動体4の振動(縦振動)の共振周波数とほぼ同程度であるのが好ましい。これにより、振動体4の振幅が大きくなり、高い効率でロータ3、5を回転駆動することができる。
前述したように、振動体4は、主に、その長手方向に縦振動するが、縦振動と屈曲振動とを同時に励振し、凸部46を楕円運動(楕円振動)させることとするのがより好ましい。これにより、より高い効率でロータ3、5を回転駆動することができる。以下、この点について、代表的に、ロータ3を回転駆動する振動体4で説明する。
【0056】
振動体4が被駆動体33を回転駆動するとき、凸部46は、被駆動体33から反力を受ける。本実施形態では、凸部46が振動体4の中心線49からずれた位置に設けられていることから、振動体4は、この反力によって、図5中の一点鎖線で示すように面内方向に屈曲するように変形、振動(屈曲振動)する。なお、図5では、振動体4の変形を誇張して示している。
【0057】
印加電圧の周波数、振動体4の形状・大きさ、凸部46の位置などを適宜選択することにより、この屈曲振動の共振周波数を縦振動の共振周波数と同程度にすることができる。このようにすると、振動体4の縦振動と屈曲振動とが同時に起こり、振幅がより大きくなるとともに、凸部46は、図6中の一点鎖線で示すように、ほぼ楕円に沿って変位(楕円振動)する。
【0058】
これにより、振動体4の1回の振動において、凸部46が被駆動体33を回転方向に送るときには、凸部46が被駆動体33により強い力で圧接され、凸部46が戻るときには、被駆動体33との摩擦力を低減又は消滅させることができるため、振動体4の振動をロータ3の回転により高い効率で変換することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、振動体4でロータ3を直接に回転駆動するものとなっているが、本発明では、振動体4がロータ3を間接的に駆動するものであってもよい。すなわち、被駆動体33をロータ3と別個に設け、被駆動体33の回転力を回転力伝達機構によってロータ3に伝達するようなものであってもよい。同様に、本実施形態では、振動体4でロータ5を直接に回転駆動するものとなっているが、本発明では、振動体4がロータ5を間接的に駆動するものであってもよい。すなわち、被駆動体55をロータ5と別個に設け、被駆動体55の回転力を回転力伝達機構によってロータ5に伝達するようなものであってもよい。これらの場合、回転力伝達機構としては、例えば、歯車列(歯車伝動機構)や、プーリー、ベルト、チェーン等を用いた巻き掛け伝動機構等、いかなる機構を用いるものでもよい。
【0060】
また、本実施形態では、ロータ3を回転駆動する振動体4は、1つ設置されているが、本発明では、その振動体4を複数設け、被駆動体33を複数の振動体4で回転駆動してもよい。同様に、本実施形態では、ロータ5を回転駆動する振動体4は、1つ設置されているが、本発明では、その振動体4を複数設け、被駆動体55を複数の振動体4で回転駆動してもよい。
【0061】
次に、姿勢変更手段16について説明する。
図1、図7、図8及び図9に示す姿勢変更手段16は、重心の移動により、浮揚体1の姿勢を変更(調節)することで、ロータ3及び5の回転中心線(軸)36を鉛直線(重力の方向)に対して所定方向に所定角度傾斜させるもの(傾きを調節するもの)である。
【0062】
図1に示すように、姿勢変更手段16は、回転翼34及び54の下方に位置している。すなわち、基部2の基板21の下側には、十字状をなす基板161が設置(固定)されており、姿勢変更手段16は、この基板161に設置(固定)されている。この場合、基板161は、その十文字を形成する一方の帯状体がx軸と平行となり、他方の帯状体がy軸と平行となるように配置されている。
【0063】
本実施形態における姿勢変更手段16は、錘要素14を所定の軸に沿って移動させるリニアアクチュエータであり、錘要素(錘)14と、錘要素14をx軸方向に移動(変位)させるx軸方向移動手段(x軸方向変位手段)16xと、移動手段及び錘要素14をy軸方向に移動(変位)させるy軸方向移動手段(y軸方向変位手段)16yとを有している。
なお、前記x軸方向移動手段(x軸方向変位手段)16x及びy軸方向移動手段(y軸方向変位手段)16yで、浮揚体1に対して錘要素14を変位させる変位手段が構成される。
【0064】
図7及び図8に示すように、x軸方向移動手段16xは、フレーム(基部)171と、スライダ(移動部材)175と、フレーム171に対し固定的に設けられ、スライダ175を案内する棒状のガイド172と、フレーム171に対し回転可能に設けられたリードスクリュー173と、リードスクリュー173を回転駆動する振動体4とを有している。
【0065】
ガイド172及びリードスクリュー173は、互いに平行で、かつ、x軸と平行となり、リードスクリュー173がガイド172の下側に位置するように配置されている。
リードスクリュー173の図7中右側の端部には、被駆動体174が固着(固定)されており、これらリードスクリュー173及び被駆動体174は、一体となって回転する。
【0066】
被駆動体174は、ほぼリング状(円環状)をなしており、その内側にリードスクリュー173の端部が挿入した状態で、例えば圧入により、リードスクリュー173に対し固着されている。
なお、リードスクリュー173と被駆動体174は、一体的に(一部材で)形成されていてもよい。
【0067】
振動体4は、凸部46にて被駆動体174の外周面1741に当接し、かつ、フレーム171の図7中右側の内側面と平行になるように、その内側面に設置されている。すなわち、本実施形態では、振動体4は、被駆動体174に対し被駆動体174の半径方向外周側から当接して設置されている。
なお、図示の構成では、外周面1741は、平滑になっているが、全周に渡り溝を形成し、この溝内に凸部46が当接することとしてもよい。
【0068】
姿勢変更手段16の振動体4では、電極を複数に分割し、それらに対して選択的に電圧を印加して、圧電素子を部分的に駆動することにより、面内の縦・屈曲の振動を任意に選択し得るようになっている。すなわち、振動体4への通電状態(振動体4の振動パターン)を変更することにより、振動体4の凸部46の振動(振動変位)の方向を変え、これにより、被駆動体174を図8中時計回りと反時計回り(正方向と逆方向)のいずれの方向にも回転させることができるように構成されている。以下、この振動体4について説明するが、前記ロータ3及び5を回転駆動する振動体4との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、振動体4は、前記ロータ3及び5を回転駆動する振動体4と同様に、補強板43の図10中上側に圧電素子42、下側に圧電素子44を積層した構造であるが、圧電素子42の図10中上側に、板状の4つの電極41a、41b、41c及び41dが設置され、圧電素子44の図10中下側に、板状の4つの電極45a、45b、45c及び45d(電極45a、45b、45c及び45dは、図示せず、各符号のみを括弧内に示す)が設置されている点で、前記ロータ3及び5を回転駆動する振動体4と異なっている。すなわち、圧電素子42を4つの長方形の領域にほぼ等しく分割(区分)し、分割された各領域に、それぞれ、長方形状をなす電極41a、41b、41c及び41dが設置され、同様に、圧電素子44を4つの領域に分割(区分)し、分割された各領域に、それぞれ、長方形状をなす電極45a、45b、45c及び45dが設置されている。なお、電極41a、41b、41c及び41dの裏側に、それぞれ、電極45a、45b、45c及び45dが配置されている。
【0070】
一方の対角線上の電極41a及び41cと、これらの裏側に位置する電極45a及び45cとは、すべて電気的に接続され、同時に通電されるようになっており、同様に、他方の対角線上の電極41b及び41dと、これらの裏側に位置する電極45b及び45dとは、すべて電気的に接続(以下、単に「接続」と言う)され、同時に通電されるようになっている。
【0071】
補強板43は、アース(接地)されており、また、通電される電極41a、41c、45a及び45cと、電極41b、41d、45b及び45dとは、図示しないスイッチ(切替スイッチ)で切り替わり、そのいずれか一方に交流電圧が印加されるように構成されている。すなわち、図13に示すように、振動体4は、図示しない前記スイッチを有する後述する駆動制御回路9に接続されており、その駆動制御回路9により、通電される電極が選択され(切り替わり)、交流電圧が印加されるようになっている。
また、凸部46は、図10中の右端部(短辺側)であって、補強板43の幅方向中央(短辺の中央)に設けられている。
【0072】
図7及び図8に示すように、振動体4の腕部48の孔481には、ガイド172の図7中右側の端部が挿入され、振動体4は、そのガイド172の端部により、腕部48の両側に配設された一対のスペーサ176を介してフレーム171に固定されている。
このように、振動体4は、腕部48によって支持されている。これにより、振動体4は自由に振動することができ、比較的大きい振幅で振動する。また、振動体4は、腕部48の弾性によって、凸部46が外周面1741に圧接された状態で設置されている。
【0073】
振動体4の電極41a、41c、45a及び45cに通電し、これらの電極41a、41c、45a及び45cと、補強板43との間に、交流電圧が印加されると、図11に示すように、振動体4の電極41a、41c、45a及び45cに対応する部分がそれぞれ矢印a方向に繰り返し伸縮し、これにより、振動体4の凸部46は、矢印bで示す斜めの方向に振動(往復運動)、又は、矢印cで示すように、楕円振動(楕円運動)する。被駆動体174は、振動体4の電極41a、41c、45a及び45cに対応する部分が伸長するときに凸部46から摩擦力(押圧力)を受ける。
すなわち、凸部46の振動変位Sの径方向成分S1(被駆動体174の径方向の変位)によって、凸部46と外周面1741との間に大きな摩擦力が与えられ、振動変位Sの周方向成分S2(被駆動体174の円周方向の変位)によって、被駆動体174に図11中の反時計回りの回転力が与えられる。
【0074】
振動体4が振動すると、このような力が被駆動体174に繰り返し作用し、被駆動体174は、図11中の反時計回りに回転する。これにより、リードスクリュー173は、図11中の反時計回りに回転する。
前記と逆に、振動体4の電極41b、41d、45b及び45dに通電し、これらの電極41b、41d、45b及び45dと、補強板43との間に、交流電圧が印加されると、図12に示すように、振動体4の電極41b、41d、45b及び45dに対応する部分がそれぞれ矢印a方向に繰り返し伸縮し、これにより、振動体4の凸部46は、矢印bで示す斜めの方向に振動(往復運動)、又は、矢印cで示すように、楕円振動(楕円運動)する。被駆動体174は、振動体4の電極41b、41d、45b及び45dに対応する部分が伸長するときに凸部46から摩擦力(押圧力)を受ける。
すなわち、凸部46の振動変位Sの径方向成分S1(被駆動体174の径方向の変位)によって、凸部46と外周面1741との間に大きな摩擦力が与えられ、振動変位Sの周方向成分S2(被駆動体174の円周方向の変位)によって、被駆動体174に図12中の時計回りの回転力が与えられる。
【0075】
振動体4が振動すると、このような力が被駆動体174に繰り返し作用し、被駆動体174は、図12中の時計回りに回転する。これにより、リードスクリュー173は、図12中の時計回りに回転する。
なお、図11及び図12では、それぞれ、振動体4の変形を誇張して示すとともに、腕部48は図示されていない。
【0076】
ここで、前記振動体4の形状・大きさ、凸部46の位置などを適宜選択し、屈曲振動の共振周波数を縦振動の周波数と同程度にすることにより、振動体4の縦振動と屈曲振動とが同時に起こり、凸部46は、図11及び図12中の矢印cで示すように、ほぼ楕円に沿って変位(楕円振動)させることができる。また、従来知られているように縦振動と屈曲振動を別々に位相をずらして駆動することにより、楕円振動の長径と短径の比(長径/短径)を変えることができる。
なお、本実施形態では、振動体4の電極を4分割して駆動する場合について説明したが、それは一例であり、本発明では、前述の振動体4の構造や駆動の方法に限定されるものではない。
【0077】
図7及び図8に示すように、スライダ175の上側には、ガイド172が挿入される孔1751が形成され、下側には、リードスクリュー173が挿入される孔1752が形成されており、スライダ175は、ガイド172に沿って移動可能に設置されている。
このスライダ175の下端には、錘要素14が設置(固定)されている。この錘要素14及びスライダ175が錘として作用する。
なお、本実施形態では、錘要素14は、リードスクリュー173より下側に位置しているが、錘要素14の位置は、特に限定されず、例えば、ガイド172とリードスクリュー173の間であってもよい。
【0078】
スライダ175の孔1752の内側面には、リードスクリュー173に螺合する溝が形成されている。
リードスクリュー173が図8中反時計回りに回転すると、スライダ175は、ガイド(軸)172及びリードスクリュー(軸)173に沿って図7中左側に移動する。これにより、浮揚体1の重心は、図7中左側に移動し、浮揚中の浮揚体1は、図7中反時計回りに所定角度回転し、その姿勢を変更する。
【0079】
また、リードスクリュー173が前記と逆方向、すなわち、図8中時計回りに回転すると、スライダ175は、ガイド172及びリードスクリュー173に沿って図7中右側に移動する。これにより、浮揚体1の重心は、図7中右側に移動し、浮揚中の浮揚体1は、図7中時計回りに所定角度回転し、その姿勢を変更する。
【0080】
また、x軸方向移動手段16xは、錘要素14のx軸方向の位置(移動量)を検出する位置検出手段(移動量検出手段)7を有していてもよい。移動量検出手段7を有している場合には、図7及び図8に示すように、位置検出手段7は、外周部に複数のスリットが一定間隔で形成されたスリット板71と、発光部及び受光部を有するセンサ72とで構成されている。
【0081】
本実施形態では、センサ72として、スリット板71の外周部(スリットが形成されている部分)へ向けて光を照射する発光素子と、この発光素子から発せられ、スリット板71のスリットを通過(透過)した光(透過光)を受光(光電変換)する受光素子とを有するフォトインタラプタを用いているが、これに限らず、例えば、スリット板71の外周部へ向けて光を照射する発光素子と、この発光素子から発せられ、スリット板71で反射した光(反射光)を受光(光電変換)する受光素子とを有するフォトリフレクタ等を用いてもよい。
【0082】
スリット板71は、被駆動体174の図7中左側の側面に固定されており、その被駆動体174及びリードスクリュー173と一体となって回転する。したがって、錘要素14の移動量は、スリット板71の回転量に対応する。
また、センサ72は、フレーム171の図7中右側の内側面に設置されている。
【0083】
振動体4が駆動し、被駆動体174、リードスクリュー173及びスリット板71が回転すると、これに伴って、センサ72からは、パルス(パルス信号)が出力される。このパルスは、後述する駆動制御回路9のθy制御回路92yに供給(入力)され、θy制御回路92yは、そのパルスを計数し、計数値(パルス数)に基づいて、錘要素14のx軸方向の移動量を得、その移動量から錘要素14のx軸方向の位置を求める。前記錘要素14の移動量や位置の情報は、錘要素14をx軸方向へ移動させる際の所定の制御や処理に利用される。
なお、位置検出手段7は、光学的に検出するものに限らず、例えば、磁気的に検出するものであってもよい。
【0084】
次に、y軸方向移動手段16yについて説明するが、前記x軸方向移動手段16xとの相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図9に示すように、y軸方向移動手段16yは、フレーム(基部)171と、フレーム171に対し固定的に設けられた棒状のガイド172と、フレーム171に対し回転可能に設けられたリードスクリュー173と、スライダ(移動部材)175と、リードスクリュー173を回転駆動する振動体4と、錘要素14及びx軸方向移動手段16xのy軸方向の位置(移動量)を検出する位置検出手段(移動量検出手段)7とを有しているが、位置検出手段(移動量検出手段)7は有していなくてもよい。
【0085】
図1に示すように、y軸方向移動手段16yは、基板161のy軸と平行な帯状体の下側に設置(固定)されている。
また、このy軸方向移動手段16yのスライダ175の下端には、前記x軸方向移動手段16xが設置(固定)されている。
このy軸方向移動手段16yのスライダ175、x軸方向移動手段16x及び錘要素14が錘として作用する。
この他は、前記x軸方向移動手段16xにおいて、x軸をy軸に置き換えたのとほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0086】
振動体4が振動して、リードスクリュー173が所定方向に回転すると、スライダ175は、ガイド(軸)172及びリードスクリュー(軸)173に沿って図9中左側に移動する。これにより、浮揚体1の重心は、図9中左側に移動し、浮揚中の浮揚体1は、図9中反時計回りに所定角度回転し、その姿勢を変更する。
また、振動体4が振動して、リードスクリュー173が前記と逆方向に回転すると、スライダ175は、ガイド172及びリードスクリュー173に沿って図9中右側に移動する。これにより、浮揚体1の重心は、図9中右側に移動し、浮揚中の浮揚体1は、図9中時計回りに所定角度回転し、その姿勢を変更する。
【0087】
また、被駆動体174、リードスクリュー173及びスリット板71が回転すると、これに伴って、センサ72からは、パルス(パルス信号)が出力される。このパルスは、後述する駆動制御回路9のθx制御回路92xに供給(入力)され、θx制御回路92xは、そのパルスを計数し、計数値(パルス数)に基づいて、錘要素14のy軸方向の移動量を得、その移動量から錘要素14のy軸方向の位置を求める。前記錘要素14の移動量や位置の情報は、錘要素14をy軸方向へ移動させる際の所定の制御や処理に利用される。
【0088】
次に、錘要素14について説明する。
図13に示すように、錘要素14は、球状のケーシング141(図13には未記入)を有しており、このケーシング141内には、駆動制御回路9と、姿勢制御センサ8と、無線通信用の図示しない送受信部と、これら駆動制御回路9、姿勢制御センサ8及び送受信部等の浮揚体1の各部に電力を供給する電池(浮揚体1のエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段)15とが収納(内蔵)されている。
【0089】
すなわち、本実施形態では、駆動制御回路9、姿勢制御センサ8、送受信部及び電池15等が、姿勢変更手段16の錘要素14の一部を構成する。これにより、専用の錘の部分(錘としてのみ作用する部分)の重さを軽くすることができるので、浮揚体1を軽量化することができ、浮揚体1のペイロード(荷重)を大きくとることができる。
【0090】
姿勢制御センサ8は、Z軸の回り(θz方向)の回転を検出するジャイロセンサ81zと、X軸の回り(θx方向)の回転を検出するジャイロセンサ81xと、Y軸の回り(θy方向)の回転を検出するジャイロセンサ81yとで構成されている。
各ジャイロセンサ81x、81y及び81zとしては、それぞれ、例えば、所定値以上の角速度又は角加速度のみを検出するものを用いる。これにより、浮揚体1のθx方向、θy方向及びθz方向における急激な(突発的な)回転のみを検出することができる。
【0091】
また、駆動制御回路9は、θz検出回路91zと、θx検出回路91xと、θy検出回路91yと、θz制御回路91zと、θx制御回路91xと、θy制御回路91yと、第1の駆動回路931と、第2の駆動回路932と、y駆動回路93yと、x駆動回路93xと、y軸方向移動手段16yの振動体4の通電される電極を切り替える図示しないスイッチ(切替スイッチ)と、x軸方向移動手段16xの振動体4の通電される電極を切り替える図示しないスイッチ(切替スイッチ)とで構成されている。
【0092】
第1の駆動回路931は、ロータ3を回転駆動する振動体4に接続され、第2の駆動回路932は、ロータ5を回転駆動する振動体4に接続されている。
また、y駆動回路93yは、前記電極を切り替えるスイッチを介してy軸方向移動手段16yの振動体4に接続され、x駆動回路93xは、前記電極を切り替えるスイッチを介してx軸方向移動手段16xの振動体4に接続されている。
また、電池15としては、例えば、1次電池、2次電池(蓄電池)、燃料電池、太陽電池(光電変換素子と2次電池とを組み合わせたもの)等が挙げられる。
【0093】
このような浮揚体1に対し、地上(床)には、図示しない操作部(コントローラ)が設けられており、この操作部と浮揚体1とは、無線で通信することができ、前記操作部から浮揚体1を無線で遠隔操作(ロータ3及び5の回転数の調整、錘要素14のx軸方向及びy軸方向の位置の調整等)することができるようになっている。
そして、この浮揚体1では、ジャイロセンサ81zによるθz方向の検出値と、Z軸方向の指示値(高さ指示値)と、Z軸の回りの指示値(θz方向の指示値)とに基づいて、ロータ3及びロータ5の回転数(回転速度)をそれぞれ制御する。
【0094】
すなわち、Z軸方向の指示値がθz制御回路92zへ入力されると、そのZ軸方向の指示値(高さ)になるように、第1の駆動回路931及び第2の駆動回路932を介して、ロータ3及び5を回転駆動する各振動体4の駆動が制御される。これにより、浮揚体1を上昇又は下降させることができ、また、所定の高さに保持することができる。
【0095】
また、θz方向の指示値がθz制御回路92zへ入力されると、そのθz方向の指示値(向き)になるように、第1の駆動回路931及び第2の駆動回路932を介して、ロータ3及び5を回転駆動する各振動体4の駆動が制御される。これにより、浮揚体1をθz方向に、正逆いずれの方向へも所定量(所定角度)回転させることができ、θz方向に、所定の角度(向き)に保持することができる。
【0096】
また、ジャイロセンサ81zでθz方向の回転が検出されると、そのジャイロセンサ81zからθz検出回路91zに検出信号が入力され、θz検出回路91zでθz方向の検出値が得られる。その検出値は、θz制御回路92zへ入力され、θz制御回路92zにより、θz方向の検出値が0になるように、第1の駆動回路931及び第2の駆動回路932を介して、ロータ3及び5を回転駆動する各振動体4の駆動が制御される。これにより、浮揚体1の急激な(突発的な)θz方向の回転を防止又は抑制することができ、浮揚体1を安定的に浮揚させることができる。
また、この浮揚体1では、ジャイロセンサ81xによるθx方向の検出値と、Y軸方向の指示値とに基づいて、錘要素14のY軸方向の位置を制御する。
【0097】
すなわち、Y軸方向の指示値がθx制御回路92xへ入力されると、そのY軸方向の指示値になるように、y駆動回路93yを介して、y軸方向移動手段16yの振動体4の駆動が制御される。これにより、錘要素14及びx軸方向移動手段16xがY軸方向へ移動し、浮揚体1の重心がY軸方向へ移動して、浮揚体1の各ロータ3及び5の回転中心線が、YZ平面内で所定角度回転し、鉛直線に対してy軸に向って所定角度傾斜する。
このようにして、浮揚体1を前記回転中心線の傾斜方向に移動(飛行)させることができる。
【0098】
また、ジャイロセンサ81xでθx方向の回転が検出されると、そのジャイロセンサ81xからθx検出回路91xに検出信号が入力され、θx検出回路91xでθx方向の検出値が得られる。その検出値は、θx制御回路92xへ入力され、θx制御回路92xにより、θx方向の検出値が0になるように、駆動回路73yを介して、y軸方向移動手段16yの振動体4の駆動が制御される。これにより、浮揚体1の急激な(突発的な)θx方向の回転を防止又は抑制することができ、浮揚体1を安定的に浮揚させることができる。
また、この浮揚体1では、ジャイロセンサ81yによるθy方向の検出値と、X軸方向の指示値とに基づいて、錘要素14のX軸方向の位置を制御する。
【0099】
すなわち、X軸方向の指示値がθy制御回路92yへ入力されると、そのX軸方向の指示値になるように、x駆動回路93xを介して、x軸方向移動手段16xの振動体4の駆動が制御される。これにより、錘要素14がX軸方向へ移動し、浮揚体1の重心がX軸方向へ移動して、浮揚体1の各ロータ3及び5の回転中心線が、XZ平面内で所定角度回転し、鉛直線に対してx軸に向って所定角度傾斜する。
このようにして、浮揚体1を前記回転中心線の傾斜方向に移動(飛行)させることができる。
【0100】
また、ジャイロセンサ81yでθy方向の回転が検出されると、そのジャイロセンサ81yからθy検出回路91yに検出信号が入力され、θy検出回路91yでθy方向の検出値が得られる。その検出値は、θy制御回路92yへ入力され、θy制御回路92yにより、θy方向の検出値が0になるように、駆動回路73yを介して、x軸方向移動手段16xの振動体4の駆動が制御される。これにより、浮揚体1の急激な(突発的な)θy方向の回転を防止又は抑制することができ、浮揚体1を安定的に浮揚させることができる。
以上説明したように、この浮揚体1では、姿勢変更手段16により、その姿勢を変更、すなわち、姿勢を制御することができ、これにより、容易かつ確実に、浮揚体1を任意の方向(任意の位置)に移動(飛行)させることができる。
【0101】
また、前記振動体4を用いてリードスクリュー173を回転駆動するようにしたことにより、小型化に極めて有利である。また、軽量化にも有利であり、浮揚体1のペイロード(荷重)を大きくとることができる。また、製造コストの低減も図ることができる。
なお、本実施形態では、振動体4でリードスクリュー173を直接に回転駆動するものとなっているが、本発明では、振動体4がリードスクリュー173を間接的に駆動するものであってもよい。すなわち、被駆動体174をリードスクリュー173と別個に設け、被駆動体174の回転力を回転力伝達機構によってリードスクリュー173に伝達するようなものであってもよい。この場合、回転力伝達機構としては、例えば、歯車列(歯車伝動機構)や、プーリー、ベルト、チェーン等を用いた巻き掛け伝動機構等、いかなる機構を用いるものでもよい。
【0102】
また、本実施形態では、リードスクリュー173を回転駆動する振動体4は、1つ設置されているが、本発明では、その振動体4を複数設け、被駆動体174を複数の振動体4で回転駆動してもよい。
また、本実施形態では、姿勢変更手段16の重心移動用駆動源、すなわち、リードスクリュー173を回転駆動するための駆動源として、振動体4を用いているが、本発明では、振動体4に限らず、例えば、電磁モータ等を用いてもよく、また、振動体4、電磁モータ等の複数種の駆動源を併用してもよい。
【0103】
また、本実施形態では、錘要素14は、1つであるが、本発明では、錘要素14は、複数設けられていてもよい。
また、本発明では、例えば、錘要素14を2つ設け、x軸方向移動手段(x軸方向変位手段)16xで、一方の錘要素14をx軸方向に移動(変位)させ、y軸方向移動手段(y軸方向変位手段)16yで、他方の錘要素14をy軸方向に移動(変位)させるように構成してもよい。すなわち、x軸方向移動手段16xと、y軸方向移動手段16yとを独立させ、それぞれに、専用の錘要素14を設け、x軸方向移動手段16xで、一方の錘要素14をx軸方向に移動させ、y軸方向移動手段16yで、他方の錘要素14をy軸方向に移動させるように構成してもよい。
【0104】
また、本発明では、浮揚体1の遠隔操作の方法は、無線操縦に限らず、例えば、有線操縦によるものであってもよい。すなわち、図示しない操作部と浮揚体1とが図示しないリード線(導線)で接続されており、このリード線によって、前記操作部から浮揚体1を遠隔操作するようになっていてもよい。また、前記リード線によって、前記操作部から振動体4等の浮揚体1の各部に電力を供給するようになっていてもよい。
また、振動体4等の浮揚体1の各部に電力を供給する方法としては、前述した各方法に限らず、例えば、光・電磁波等によってエネルギーを地上から伝送してもよく、また、前述した各方法を任意に組み合わせてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、浮揚体1に対しスライダ175が移動する場合について説明したが、本発明では、これに限らず、例えば、前記と逆に、スライダ175を基部とし、フレーム171を移動部材としてもよい。すなわち、浮揚体1にスライダ175を固定し、フレーム171に錘要素14を設け、そのフレーム171を移動させる構成であってもよい。この場合は、フレーム171、ガイド172、リードスクリュー173及び錘要素14の移動により重心が移動する。
【0106】
次に、本発明の方位回転制御装置の構成を説明する。図14は、本発明の浮揚体1の方位回転制御装置10の主要部の概略的なブロック図である。なお、浮揚体1の構造については既に説明しているので、図14では、方位回転制御装置10とそれに関連する構成要素のみを示す。この図14において、浮揚体1は、Cw回転翼(上述のロータ3に対応)3と、Ccw回転翼(上述のロータ5に対応)5と、角速度センサ18とを備えている。なお、「Cw」とは、クロックを意味し、浮揚体1の鉛直上方から見た場合に時計回りの回転方向にCw回転翼3が回転することを意味する。逆に、Ccw回転翼5は、浮揚体1の鉛直上方から見た場合に反時計回りの回転方向に回転する。
【0107】
また、方位回転制御装置10は、ADコンバータ(ADC)101と、積分器102と、角度制御器103と、角速度制御器104と、NOT回路105とを備えている。なお、この方位回転制御装置10においても主要部のみを示しているが、他の構成要素が含まれていてもよい。以下、方位回転制御装置10の各構成要素について説明する。
【0108】
角速度センサ18は、浮揚体1の基部2の絶対的な角速度を検出するものであり、例えば、ジャイロセンサなどで構成される。方位回転制御装置10のADC101は、この角速度センサ18によって検出された基部2の角速度を所定の時間間隔でサンプリングし、検出されたアナログデータをデジタルデータに変換するものである。
【0109】
ADC101から出力された角速度のデジタルデータ(実測角速度データ)は、積分器102に入力される。積分器102は、この実測角速度データを積分して角度データ(実測値からの演算)を演算し、出力するものである。このようにして得られた角度データ(実測角度データ)は、浮揚体1を駆動制御するために入力される所定の角度指令値(角度データ)から減算され、その減算結果(角度データ)が角度制御器103に入力される。
なお、本実施形態では、角速度センサ18と、ADC101と、積分器102とにより方位回転検出手段20が構成される。
【0110】
そして、所定の角速度データ(指令値)を入力したときのCw回転翼3及びCcw回転翼5の回転数検出手段(図示せず)によって検出された回転数データを予め実験などによって求めておく。その実験データに基づいて作成された浮揚体1の方位回転角のモデルベース(制御手段の一部であり、基部2の挙動を予測制御する)のテーブルデータは、図示しないメモリなどから構成される記憶部に予め格納されている。角度制御器103は、この記憶部を有している。そして、角度制御器103は、記憶部に格納されているモデルベース及び全状態観測器(制御手段の一部であり、予測誤差を吸収する)に基づいて、入力された減算結果データから予測誤差を補正するための補正データを演算するものである。また、角度制御器103は、この補正データから制御量を演算し、この角速度指令値(角速度データ)を出力するものである。この角速度指令値によって、浮揚体1の方位回転角は、安定かつ定常性を満たすようなものである。
【0111】
ADC101によって得られた実測角速度データを上記角速度指令値データから減算して得られた減算結果(角速度データ)が角速度制御器104に入力される。角速度制御器104は、この減算結果に基づいて、PID制御を実行して、Cw回転翼3及びCcw回転翼5を回転駆動するアクチュエータ(図1に示す浮揚体1では、振動体4)に出力するための速度差制御信号を演算するものである。なお、アクチュエータとしては、振動体4の他に、超音波モータなどが利用されてもよい。
【0112】
各回転翼3、5を駆動制御するために入力される回転数指令値(無線操縦などによりリモートコントローラなどから入力される)と、角速度制御器104から出力された速度差制御信号とを加算した信号(回転数データ)は、Ccw回転翼5を回転駆動するアクチュエータ(振動体4)に出力される。一方、NOT回路105により反転された速度差制御信号と、各回転翼3、5を駆動制御するために入力される回転数指令値とを加算した信号(回転数データ)、すなわち、回転数指令値から速度差制御信号を減算した信号は、Cw回転翼3を回転駆動するアクチュエータ(振動体4)に出力される。したがって、浮揚体1の基部2がCw方向に回転しているとき、方位回転制御装置10は、Cw回転翼3の回転数を上げ、Ccw回転翼5の回転数を下げるように、それぞれのアクチュエータ(例えば、振動体4)を駆動制御する。逆に、浮揚体1の基部2がCcw方向に回転しているとき、方位回転制御装置10は、Cw回転翼3の回転数を下げ、Ccw回転翼5の回転数を上げるように、それぞれのアクチュエータ(例えば、振動体4)を駆動制御する。
なお、上記の場合には、角速度センサ18は、浮揚体1の基部2がCwの方向に回転しているとき正(プラス)の信号を出力し、Ccwの方向に回転しているとき負(マイナス)の信号を出力するものとする。逆に、Cwが負、Ccwが正の場合には、上記の説明においてCwとCcwが入れ替えられる。
【0113】
このように、本発明の方位回転制御装置10は、各回転翼3、5を回転駆動させるそれぞれのアクチュエータを駆動制御しているので、アクチュエータのCw、Ccw方向への回転変動や回転特性に関係なく、浮揚体1の基部2の方位回転の安定性及び定常性を確保することができる。したがって、浮揚体1は、浮揚中所定の位置において姿勢を安定させることができる。すなわち、浮揚体1は、本発明の方位回転制御装置10によって、安定してホバリングすることが可能となる。
【0114】
なお、本発明の方位回転制御装置10に入力される角度指令値データ及び回転数指令値データは、浮揚体1を運転している使用者(ユーザ)から入力されるものであり、浮揚体1に対して無線で遠隔的に送信されるもの(無線操縦)である。角度指令値は、浮揚体1を例えば絶対方位に対して所定の角度に向かせるための角度データ(指示データ)であり、回転数指令値は、浮揚体1を所定の速さで浮揚させ、あるいは所定の高さまで浮揚させるための回転翼(ロータ)3、5の回転数データ(指示データ)である。
【0115】
次に、本発明の方位回転制御装置10の動作を説明する。図15及び図16は、浮揚体の方位回転制御方法の処理(方位回転制御処理)を示すフローチャートである。この方位回転制御処理は、浮揚体1に電力が供給され、アクチュエータを駆動可能な状態において常時実行され得る。特に、浮揚体1が2つのロータ3、5を回転駆動して、空中に浮揚している間は、浮揚体1の空中での姿勢を制御するために常時実行され得る。なお、図15及び図16のフローチャートにおいては、浮揚体1の基部2をメカ体として説明する。以下、各ステップについて説明する。
【0116】
まず、方位回転制御装置10は、角度制御器103及び角速度制御器104の各パラメータを初期化するとともに、積分器102の積分値を初期化する(ステップS101)。積分器102、角度制御器103及び角速度制御器104が初期化された状態で、方位回転検出手段20は、浮揚体1に搭載されている角速度センサ18からメカ体の角速度データ(アナログ信号)をサンプリングして、ADC101に出力し(ステップS102)、アナログデ―タからデジタルデータに変換して(ステップS103)、このデジタル角速度データを実測角速度データとして図示しない方位回転制御装置10内の記憶部に格納する(ステップS104)。
【0117】
なお、サンプリングされた角速度データ(角速度センサ18の出力)は、Cw方向(時計回り)を正の値とし、Ccw方向(反時計回り)を負の値とする。また、ステップS102〜S104までの処理は、方位回転制御装置10の初期化後常時行われており、ADC101によってAD変換された実測角速度データは、積分器102に出力されている。
積分器102は、ADC101から入力された実測角速度データを積分処理し(ステップS105)、所定のタイミングで積分処理した結果(積分結果)は、実測角度として図示しない記憶部に格納される(ステップS106)。
【0118】
浮揚体1は、図示しないリモートコントローラなどからユーザ(操縦者)によって入力され、送信される角度指令値を受信し(ステップS107)、この角度指令値と、上記積分処理によって記憶部に格納されている実測角度とを減算する(ステップS108)。そして、この減算結果(角度データ)は、角度制御器103に入力される。
【0119】
ここで、ステップS109において、角度制御器103は、上記処理で得られた減算結果(角度差データ)が異常な値であるか否かを判断する。そして、角度差データが異常値である場合には、ステップS101に移行し(戻り)、再度積分器102、角度制御器103及び角速度制御器104を初期化し、同様の処理を繰り返す。一方、角度指令値が異常値でない(正常な)場合には、ステップS110に移行する。
【0120】
角度制御器103は、図示しない記憶部に予め格納されているモデルベースのテーブルデータと、ADC101から出力され、積分器102を通して記憶部に格納されているメカ体の角度(実測角度)と予測値収束パラメータとを抽出し(ステップS110)、これらのデータを用いて全状態観測器により、メカ体の角度及び角速度を予測及び誤差補正する(ステップS111)。
【0121】
そして、角度制御器103は、記憶部に予め格納されている制御量パラメータを抽出し(ステップS112)、この制御量パラメータと、上記全状態観測器によって予測されたメカ体の角度及び角速度とを用いて、制御量を演算する(ステップS113)。これらの処理によって得られた制御量は、角速度指令値として記憶部に格納される(ステップS114)。
【0122】
ここで、ステップS115において、角度制御器103は、記憶部に格納されている角速度指令値(角速度データ)が異常値であるか否かを判断する。そして、角度指令値が異常値である場合には、ステップS101に移行し(戻り)、再度積分器102、角度制御器103及び角速度制御器104を初期化し、同様の処理を繰り返す。一方、角度指令値が異常値でない(正常な)場合には、ステップS116に移行する。
【0123】
角度制御器103は、角速度指令値が異常値でない場合、すなわち、角速度指令値が正常値である場合には、その角速度指令値を出力する(ステップS116)。方位回転制御装置10は、この角速度指令値からADC101によってサンプリングされた実測角速度を減算し(ステップS117)、その減算結果を角速度制御器104に入力する。
【0124】
角速度制御器104は、入力された減算結果(角速度データ)に基づいて、メカ体の角速度をPID制御して、速度差制御信号を出力する(ステップS118)。浮揚体1は、図示しないリモートコントローラなどからユーザ(操縦者)によって入力され、送信される回転数指令値を受信する(ステップS119)。この回転数指令値は、Cw回転翼3及びCcw回転翼5に共通に利用されるものである。
【0125】
Ccw回転翼5については、この受信した回転数指令値と上記速度差制御信号とを加算し(ステップS120)、その加算回転数データをCcw回転翼5の回転数指令値として対応するアクチュエータ(振動体4)に出力し、アクチュエータを回転駆動することによって、Ccw回転翼5を回転数制御する(ステップS121)。
【0126】
また、Cw回転翼3については、上記の受信した回転数指令値から上記速度差制御信号を減算し(ステップS122)、その減算回転数データをCw回転翼3の回転数指令値として対応するアクチュエータ(振動体4)に出力し、アクチュエータを回転駆動することによって、Ccw回転翼5を回転数制御する(ステップS123)。なお、上述のように、角速度センサ18は、メカ体がCwの方向に回転しているとき正(プラス)の信号を出力し、Ccwの方向に回転しているとき負(マイナス)の信号を出力する。
【0127】
上記回転数指令値と上記速度差制御信号を用いた演算処理、並びに、Cw回転翼3及びCcw回転翼5の回転数制御は、同時に実行され、その後、ステップS102に移行して、同様の処理を繰り返す。なお、この方位回転制御処理は、浮揚体1への電力供給が止められると割込処理によって自動的に終了するように構成される。しかしながら、方位回転制御処理は、浮揚体1が空中に浮揚しているとき、あるいは、少なくともアクチュエータが駆動され、2つのロータ(Cw回転翼3及びCcw回転翼5)が回転しているときにのみ実行されてもよく、この場合には、アクチュエータの駆動制御が停止したときに割込処理によって終了する。
【0128】
上述の浮揚体1、方位回転制御装置10及び方位回転制御方法を用いて、初期状態において0(rad)を向いている浮揚体1に角度0.1(rad)の角度指令値を入力した際の、実測角度、実測角速度、角度予測値、角速度予測値、角度誤差及び角速度誤差のステップ応答を示す。図17〜図19は、これらのステップ応答を示すグラフである。
【0129】
図17(A)は、浮揚体1の基部2の実測角度(実験値)のステップ応答を示し、図17(B)は、浮揚体1の基部2の実測角速度(実験値)のステップ応答を示す。この図17に示すように、操縦者から角度指令値が入力されたとき、浮揚体1の基部2は、数秒間でその指令された角度に収束し、浮揚体1の基部2の回転がほぼ止まることが分かる。
【0130】
また、図18(A)は、本発明の方位回転制御装置10を用いた場合の角度制御器103において全状態観測器により補正された浮揚体1の基部2の角度予測値のステップ応答を示し、図18(B)は、図18(A)に示す角度予測値から演算された浮揚体1の基部2の角速度予測値のステップ応答を示す。また、図19(A)は、上記ステップ応答における実測角度(図17(A))と角度予測値(図18(A))との差分、すなわち、角度誤差を示し、図19(B)は、上記ステップ応答における実測角速度(図17(B))と角速度予測値(図18(B))との差分、すなわち、角速度誤差を示す。
【0131】
図17〜図19から分かるように、本発明の方位回転制御装置10及び方位回転制御方法を用いることによって、浮揚体1の基部2の角度及び角速度のステップ応答に概ね等しい予測値のステップ応答を得ることができ、この予測値を使用して良好な制御性能を得ることができる。すなわち、本発明によって、各ロータ(回転翼)の回転数特性を含めた浮揚体1の基部2の角度と角速度の良好な予測及び予測値の補正をすることができ、この予測値から良好な制御性能を得ることができる。したがって、本発明の浮揚体1は、従来の浮揚体のように、各ロータ(回転翼)の回転数を検出して各ロータを回転数制御することなく、浮揚体1の姿勢を所定の角度(指令値)に制御、保持できるので、浮揚体1の小型、軽量化が可能となる。
【0132】
次に、本発明の方位回転検出手段(方位回転検出装置)の別の実施形態について説明する。図20は、本発明の方位回転検出装置20の主要部の概略的なブロック図である。なお、図20には、浮揚体1及び方位回転制御装置10も示しているが、図14に示す実施形態と同様の構成であるので、その説明は省略し、方位回転検出装置20との関係においてのみ言及する。
【0133】
方位回転検出装置20は、上記実施形態と同様に、角速度センサ18と、ADC101と、積分器102とを備えるとともに、2つの平均化回路201、205と、初期電圧値メモリ202と、センサ感度調整器203と、ローパスフィルタ(LPF)204と、閾値メモリ206と、比較器207と、微分器208と、微小方位回転角速度メモリ209とを備える。
【0134】
平均化回路201は、積分演算回路などから構成され、ADC101によってAD変換された角速度センサの検出信号を平均化する回路である。なお、平均化回路201は、その内部に図示しないタイマを有しており、このタイマがタイマアウトすると、スイッチSW1がオンし、そのときに平均化回路201に格納されている平均化された角速度データを初期電圧値メモリ202の所定の保存領域に格納する構成である。初期電圧値メモリ202は、不揮発性の半導体メモリなどにより構成されており、平均化回路201から入力された平均化された角速度データ(電圧データ)を初期電圧値データとしてADC101の出力信号(デジタル信号)から減算するためにADC101の出力側に出力する。
【0135】
なお、初期電圧値メモリ202に入力される初期電圧値は、浮揚体1の離陸前(着陸状態)においてタイマがタイマアウトするまでに、例えば、10000回のADCサンプリングを実行し、そのADC101の出力信号の平均値として得られるものである。このように、浮揚体1の着陸時において、タイマによって予め決められた時間だけADC101の出力信号を平均化し、その平均化信号である初期電圧値をADC101の出力信号から常時減算することにより、角速度センサ18の出力信号(検出信号)の直流成分、すなわち、オフセット成分をキャンセルすることができる。平均化回路201及び初期電圧値メモリ202によって、第1のオフセットキャンセル手段が構成される。
【0136】
センサ感度調整器203は、角速度センサ18によって検出された角速度信号のAD変換された実測電圧データから初期電圧値データを減算したものを入力データとして、それを予め設定されている角速度センサ18のセンサ感度で除算したものを出力データとして出力するものである。この出力データは、浮揚体1の方位回転角速度データに対応するものである。
【0137】
LPF204は、センサ感度調整器203の出力信号から後述する微小方位回転角速度メモリ209に格納されている微小方位回転角速度データを減算したものの高域成分を除去して、その信号を平均化回路205に出力するものである。LPF204の遮断周波数は、例えば、0.5Hz程度である。なお、このLPF204の入力信号は、図20に示すように、角度制御器103の出力信号から減算される信号となるが、この信号は、本発明の方位回転検出装置20の1つの出力信号となる方位回転角速度信号(浮揚体1の角速度信号(単位:rad/s))である。
【0138】
平均化回路205は、LPF204から入力された信号を平均化し、その平均化された信号を後述する比較器207の一方の入力端子に出力するものである。また、平均化回路205の出力信号は、スイッチSW3がオンした際に、後述する微小方位回転角速度メモリ209に格納されている微小方位回転角速度データに加算され、微小方位回転角速度メモリ209に格納されているデータを更新するものである。
【0139】
閾値メモリ206は、初期電圧値メモリ202と同様な構成であり、比較器207の基準信号となる閾値データを比較器207のもう一方の入力端子に出力するものである。比較器207は、上述のように、平均化回路205の出力信号の絶対値と、閾値メモリ206に格納されている閾値データとを比較し、平均化回路205の出力信号の絶対値が閾値データよりも大きい場合に、スイッチSW3をオンするように構成される。
【0140】
積分器102は、その内部に図示しないタイマを備え、本発明の方位回転検出装置20によって検出された方位回転角速度データ(角速度データ)を積分し、内蔵のタイマがタイマアウトした際に、この積分データを出力するものである。そして、微分器208は、この積分器102の出力信号、すなわち、本発明の方位回転検出装置20のもう1つの出力信号となる方位回転角度信号(浮揚体1の角度信号(単位:rad))を微分し、SW2がオンされることにより、微小方位回転角速度メモリ209にその微分データを出力するものである。
【0141】
微小方位回転角速度メモリ209は、初期電圧値メモリ202及び閾値メモリ206と同様の構成のものであり、浮揚体1の着陸時には微分器208の出力信号を格納しているが、浮揚体1が離陸すると、上述のように、LPF204の出力の平均値が所定の閾値を超えたときに、その平均値データを加算して微小方位回転角速度データを更新し、その新しい微小方位角速度データを所定の保存領域に格納するものである。
【0142】
このように、本発明の方位回転検出装置20は、方位回転制御装置10に浮揚体1の方位回転角速度データを出力するとともに、その方位回転角速度データを所定の時間だけ積分器102によって積分処理し、積分して得られた方位回転角度データを微分器208によって再度微分して、微小方位回転角速度データとして微小方位回転角速度メモリ209に格納し、センサ感度調整器203の出力信号から減算して、浮揚体1の方位回転角速度データとして出力している。積分器102により積分して得られた方位回転角度を微分器208により微分し、それをフィードバックするのは、既に上述のように第1のオフセットキャンセル手段によって、角速度センサ18のオフセットがキャンセルされているために、センサ感度調整器203の後段に発生するオフセット又はオフセットドリフトは非常に微小なものとなるからである。すなわち、方位回転検出装置20は、センサ感度調整器203の出力信号において発生する非常に微小なオフセット成分を積分器102で積分することにより見かけ上大きいものとし、それを再度微分器208によって微分することにより、さらに精度の高い方位回転角速度データを出力することができる。
【0143】
なお、積分器102と、微分器208と、微小方位回転角速度メモリ209と、LPF204と、平均化回路205と、閾値メモリ206と、比較器207とによって、第2のオフセットキャンセル手段が構成される。この第2のオフセットキャンセル手段は、上述のように、LPF204と、平均化回路205と、閾値メモリ206と、比較器207とによって、微小方位回転角速度メモリ209に格納されている微小方位回転角速度データを補正しているが、閾値データの値によっては常に補正されてしまうか、全く補正されないような場合も起こり得る。そのため、閾値メモリ206に予め格納する閾値データの選択は重要である。
【0144】
また、上述の構成においては、初期電圧値メモリ202と、閾値メモリ206と、微小方位回転角速度メモリ209とは、それぞれ別のメモリとして説明したが、本発明の方位回転検出装置20は、この構成に限定されず、これらすべてのメモリ202、206、209が1つのメモリとして構成されてもよく、あるいは、上記メモリのうち任意の2つのメモリが1つのメモリとして構成されてもよい。
【0145】
次に、図21及び図22のフローチャートに基づいて、本発明の方位回転検出装置20の動作を説明する。図21及び図22は、本発明の方位回転検出方法(方位回転検出処理)を示すフローチャートである。この方位回転検出処理は、浮揚体1に電力が供給されているときに、浮揚体1の着陸時における角速度センサ18のオフセット成分をキャンセル(除去)するために常時実行されるとともに、浮揚体1の浮揚時(飛翔時)にも角速度センサ18のオフセットドリフト成分をキャンセル(除去)するために実行される。
【0146】
方位回転検出装置20は、浮揚体1に搭載されている角速度センサ18から浮揚体1の基部2の角速度データ(アナログ信号)をサンプリングして、ADC101に出力する(ステップS201、S202)。このとき、方位回転検出装置20は、浮揚体1が着陸状態であるか否か、あるいは静止状態であるか否かを判定し(ステップS203)、浮揚体1が着陸又は静止状態のとき、ステップS204に移行し、逆の場合はステップS214に移行する。
【0147】
まず、浮揚体1が着陸又は静止状態のときにおける処理について説明する。浮揚体1が着陸又は静止状態であると判定されたとき、ADC101のサンプリングによって得られた角速度センサ18の検出信号(デジタルデータ)は、平均化回路201に入力され、平均化処理が行われる(ステップS204)。ステップS205において、方位回転検出装置20は、このタイマがタイマアウトしたか否かを判断し、タイマアウトしていない場合には、繰り返し上記平均化処理を実行する。また、タイマアウトした場合には、スイッチSW1がオンされ(ステップS206)、現時点における平均化回路201の実測角速度の平均化データを初期電圧値データとして初期電圧値メモリ202に格納する(ステップS207)。
【0148】
この平均化処理は、平均化回路201に格納されている図示しないタイマがタイマアウトするまで連続して行われるが、タイマの代わりに、カウンタを用いてサンプリング回数をカウントし、このカウンタのカウント値が所定の回数に到達したときに、上述と同様に、スイッチSW1がオンするように構成されてもよい。
【0149】
次いで、初期電圧値メモリ202に初期電圧値データが格納されると、方位回転検出装置20は、ADC101の出力信号から初期電圧値データを減算し(ステップS208)、角速度センサ18のセンサ感度で除算された後、積分器102を初期化し(ステップS209)、この除算データ(方位回転角速度データ)を積分器102に入力する。そして、積分器102は、入力された方位回転角速度データを積分処理する(ステップS210)。
【0150】
ステップS211において、方位回転検出装置20は、積分器102に内蔵されている図示しないタイマがタイマアウトしたか否かを判定する。このタイマがタイマアウトしていないと判定される場合には、上記積分器102による積分処理を繰り返して実行し、タイマアウトしたと判定される場合には、積分器102における積分処理によって得られた方位回転角度データを微分器208に入力し、微分器208は、この方位回転角度データを微分処理するとともに(ステップS212)、スイッチSW2のオンのタイミングで、この微分処理で得られた微小方位回転角速度データを微小方位回転角速度メモリ209の所定の保存領域に格納し(ステップS213)、ステップS201に移行して上述の処理を繰り返す。
【0151】
このように、初期電圧値メモリ202に初期電圧値データを格納し(上記ステップS207)、微小方位回転角速度メモリ209に微小方位回転角速度データを格納した(上記ステップS213)ことによって、浮揚体1が着陸又は静止状態の時における第1及び第2のオフセットキャンセル手段の準備が整えられる。以降、初期電圧値データ及び微小方位回転角速度データを用いて、浮揚体1が着陸又は静止状態のときのみならず、離陸状態においても角速度センサ18のオフセット成分を除去することが可能である。
【0152】
次いで、浮揚体1が離陸したときにおける処理について説明する。ステップS203において、方位回転検出装置20が、浮揚体1が着陸状態でも静止状態でもないと判定されたとき、すなわち、浮揚体1が離陸状態であるときには、初期電圧値メモリ202から初期電圧値データが抽出され(ステップS214)、ADC101の出力信号からこの初期電圧値データが減算され(ステップS215)、その減算結果は、センサ感度調整器203によってセンサ感度で除算される。
【0153】
続いて、微小方位回転角速度メモリ209から微小方位回転角速度データが抽出され(ステップS216)、上記除算結果で得られた角速度データからこの微小方位回転角速度データを減算し(ステップS217)、そのようにして得られた方位回転角速度データは、積分器102とLPF204に入力される。積分器102では、その方位回転角速度データは、積分処理を施され(ステップS218)、上述のステップS211のように、タイマのタイマアウトによって方位回転角度データとして、方位回転制御装置10に出力されるとともに(ステップS219)、これと並行して、積分処理を施していない方位回転角速度データも、方位回転制御装置10に出力され(ステップS220)、ステップS201に移行する。
【0154】
一方、LPF204では、上記方位回転角速度データは、上述のように、例えば遮断周波数が0.5HzであるLPF204によってその遮断周波数よりも高域成分が除去され(ステップS221)、平均化回路205によってLPF204の出力信号が平均化処理される(ステップS222)。比較器207では、平均化回路205の出力信号と、閾値メモリ206に予め格納された閾値データとが比較される(ステップS223)。
【0155】
ステップS224において、比較器207の出力信号がLowレベルであるか否か、すなわち、閾値データよりも平均化回路205の出力信号の絶対値(以下、この段落では単に「絶対値」ともいう)が小さいか否かが判定される。ここで、比較器207は、閾値データと平均化回路205の出力信号の絶対値とを比較するものであり、閾値データが絶対値よりも大きいとき、すなわち、閾値データ−|平均化回路205の出力信号の絶対値|≧0のとき、Lowレベルの信号を出力し、逆に、閾値データが絶対値よりも小さいとき、すなわち、閾値データ−|平均化回路205の出力信号の絶対値|<0のとき、Highレベルの信号を出力する。
【0156】
そして、比較器207の出力信号がLowレベルであると判定された場合には、ステップS201に移行して、上述と同様の処理を繰り返す。逆に、比較器207の出力信号がLowレベルでない、すなわち、Highレベルであると判定された場合には、スイッチSW3がオンされ、方位回転検出装置20は、微小方位回転角速度メモリ209に格納されている微小方位回転角速度データと、上記平均化回路205の出力信号(平均化出力信号)とを加算して(ステップS225)、微小方位回転角速度メモリ209に格納されていた微小方位回転角速度データを更新して格納し(ステップS226)、ステップS201に移行して上述と同様の処理を繰り返す。
【0157】
なお、本発明の方位回転検出処理によって得られた浮揚体の方位回転角度データ及び方位回転角速度データは、図15及び図16のフローチャートにおいて示した方位回転制御処理で利用されてもよい。また、方位回転制御装置10の構成及び動作は、図14に示す実施形態と同様であるので、図21及び図22のフローチャートでは省略している。
【0158】
次いで、本発明の方位回転検出装置20及び方位回転検出方法を適用した場合における、方位回転検出装置20の所定の位置における出力信号の波形の一例を示す。図23(A)は、角速度センサ18の出力信号、すなわち、角速度センサ18の検出信号の波形である。この波形から分かるように、角速度センサ18の出力信号は、0.5Vのオフセットを有している。上述の方位回転検出処理のステップS201〜S207(図21参照)により、この0.5Vの電圧値が初期電圧値として初期電圧値メモリ202に格納される。
【0159】
図23(B)は、図23(A)に示された角速度センサ18の出力信号(電圧値)から初期電圧値を減算し、それにセンサ感度を乗算して角速度に変換したときの波形、すなわち、センサ感度調整器203の出力信号の波形を示す。この図23(B)の波形より、角速度のディメンジョン(rad/s)では、およそ0.01rad/sのオフセットが存在していることが分かる。
【0160】
続いて、図24(A)は、図23(B)に示す波形が積分器102において積分処理されたときの波形を示す。図23(B)の波形においても分かるように、着陸時のオフセットをキャンセルした後の角速度の波形は、微小なオフセットが含まれているので、図24(A)に示すように、角速度を積分した角度データは、0に収束することなく時間につれて概ね比例して(リニアに)増加しており、このままの角度データが角度制御器103に入力されると浮揚体1はわずかに回転しているように判断される(図24(A)では、積分器102によって積分された角度データは、わずかに振動しているが、方位回転角速度信号の微小なオフセット成分がキャンセルされている場合には、0(rad)を中心に振動する波形となる)。
【0161】
図24(B)は、センサ感度調整器203の出力信号から微小方位回転角速度メモリ209に格納されている微小方位回転角速度データを減算したときの波形、すなわち、浮揚体1の実測角速度信号の波形を示す。図23(B)に示された微小なオフセット分(およそ0.01rad/s)は、微小方位回転角速度メモリ209に格納されている微小方位回転角速度データに対応しているので、図24(B)に示す波形は、0rad/sを中心にしたきれいな波形となる(オフセット成分がほぼ除去されている)。この図24(B)までが浮揚体1の着陸又は静止時における波形である。
【0162】
次に、浮揚体1が浮揚すると、オフセットが変動し(オフセットドリフト)、実測角速度信号の波形は、図25(A)に示すように、およそ0.015(rad/s)のオフセット成分を含むものにシフトする。図25(A)は、浮揚体1の浮揚時における実測角速度データの波形である。すなわち、浮揚体1が浮揚することにより、図24(B)の角速度データの波形が図25(A)に示す波形にシフトしたことを示している。なお、この図25(A)に示している0.01(rad/s)のラインは、比較器207の一方の入力端子に入力される閾値メモリ206に格納されている閾値データの値(閾値)である。このように、図25(A)に示す波形のオフセット成分は、閾値メモリ206に格納されている閾値データの値を超えているので、微小方位回転角速度メモリ209に格納されている微小方位回転角速度データは、このオフセット成分だけ修正されて更新される(図22のステップS224〜S226に対応)。
【0163】
図25(B)は、方位回転制御装置に入力される方位回転角速度信号の波形を示す。上述のように、図25(A)に示される方位回転角速度信号の波形から浮揚体1の浮揚時のオフセット成分をキャンセル(除去)すると、浮揚体1が回転していない場合には、図25(B)に示すような、0(rad/s)を中心としたきれいな正弦波となる。なお、浮揚体1が浮揚中に回転していないので、図25(B)に示す波形は、着陸又は静止時における実測方位回転角速度信号(図24(B))の波形と概ね等しくなる。
【0164】
以上のように、本発明の方位回転検出装置20及び方位回転検出方法は、浮揚体1が着陸又は静止状態であるときに、角速度センサ18の角速度0(rad/s)におけるオフセット成分やオフセットドリフト成分のキャンセルを行い(第1のオフセットキャンセル手段)、浮揚体1が離陸している(浮揚)状態であるときには、角速度センサ18のオフセットドリフト成分を所定のタイミングで(LPF204の出力信号の平均値が所定の閾値を超えたとき)キャンセルする(第2のオフセットキャンセル手段)ように構成されている。
【0165】
したがって、本発明によって、浮揚体1の方位回転を検出するために角速度センサ18のみを用い、浮揚体の着陸時には常時オフセットやオフセットドリフト補正を行うとともに、浮揚体1の浮揚時には、簡易な方法で誤差が生じたと判断された場合にのみ、第2の微小なオフセット値を補正するので、システムへの組み込みが容易であるとともに、浮揚体1の小型、軽量化を実現することができ、浮揚体1を安定して浮揚させることが可能となる。
なお、本発明の方位回転検出装置20及び方位回転検出方法は、同軸二重反転構造を採用する小型ヘリコプタ玩具や浮揚ロボットなどに利用することが可能である。
【0166】
また、本発明の上記実施形態では、浮揚体1として同軸二重反転回転翼構造を有する浮揚体を用いて説明したが、本発明は、上述の方位回転制御方法を利用して浮揚体の姿勢(方位回転)を制御できる限りにおいて、同軸二重反転回転翼構造を有する浮揚体に限定されず、2つのロータを有する他の浮揚体、例えば、主ロータとテールロータを備える浮揚体(ヘリコプタ)などにも適用することができる。
【0167】
また、本発明の上記実施形態では、方位回転制御装置10及び方位回転検出手段20は、浮揚体1に搭載されているものとして説明したが、本発明は、この構成に限らず、例えば、本発明の浮揚体1は、方位回転検出手段20の積分器102やLPF204、比較器207などと、方位回転制御装置10とが無線操縦するための図示しないリモートコントローラ側に設置され、ADC101から出力される電圧データ(デジタルデータ)あるいはセンサ感度調整器203から出力される角速度データを浮揚体1からリモートコントローラに送信し、リモートコントローラで各種処理を実行して得られた浮揚体1の基部2の角速度及び角度、及び/又は、Cw回転翼3及びCcw回転翼5の回転数指令制御値を浮揚体1に送信するように構成されてもよい。
【0168】
以上、本発明の浮揚体、浮揚体の方位回転制御装置及び方位回転制御方法を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、方位回転制御装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、本発明の浮揚体及び/又は方位回転制御装置に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浮揚体の一実施形態を示す斜視図(細部は省略)である。
【図2】 図1に示す浮揚体におけるロータを示す側面図である。
【図3】 図1に示す浮揚体における中空中心軸付近を拡大して示す断面側面図である。
【図4】 図1に示す浮揚体における振動体の斜視図である。
【図5】 図1に示す浮揚体における振動体が被駆動体を駆動する様子を示す平面図である。
【図6】 図1に示す浮揚体における振動体の凸部が楕円運動する様子を示す平面図である。
【図7】 図1に示す浮揚体における姿勢変更手段のx軸方向移動手段のy軸に対して垂直な面での断面図である。
【図8】 図1に示す浮揚体における姿勢変更手段のx軸方向移動手段の側面図(フレームや錘要素等は図示省略)である。
【図9】 図1に示す浮揚体における姿勢変更手段のy軸方向移動手段のx軸に対して垂直な面での断面図である。
【図10】 図1に示す浮揚体における振動体の斜視図である。
【図11】 図1に示す浮揚体における振動体が被駆動体を駆動する様子を示す側面図である。
【図12】 図1に示す浮揚体における振動体が被駆動体を駆動する様子を示す側面図である。
【図13】 図1に示す浮揚体の回路構成を示すブロック図である。
【図14】 本発明の浮揚体の方位回転制御装置の主要部の概略的なブロック図である。
【図15】 浮揚体の方位回転制御方法の処理を示すフローチャートの一部である。
【図16】 浮揚体の方位回転制御方法の処理を示すフローチャートの一部である。
【図17】 浮揚体の基部の実測角度及び実測角速度(実験値)のステップ応答を示す。
【図18】 本発明の方位回転制御装置を用いた場合の角度制御器においてモデリング及び補正された浮揚体の基部の角度予測値及び角速度予測値のステップ応答を示す。
【図19】 図17及び図18のステップ応答における実測角度と角度予測値との角度誤差及び実測角速度と角速度予測値との角速度誤差を示す。
【図20】 本発明の方位回転検出装置の主要部の概略的なブロック図である。
【図21】 本発明の方位回転検出方法(方位回転検出処理)を示すフローチャートの一部である。
【図22】 本発明の方位回転検出方法(方位回転検出処理)を示すフローチャートの一部である。
【図23】 浮揚体の着陸時又は静止時における角速度センサの検出信号及びセンサ感度調整器の出力信号の波形を示す。
【図24】 浮揚体の着陸時又は静止時における積分器の出力信号及び方位回転制御装置に入力される方位回転角速度信号の波形を示す。
【図25】 浮揚体の浮揚時におけるセンサ感度調整器の出力信号及び方位回転制御装置に入力される方位回転角速度信号の波形を示す。
【符号の説明】
1……浮揚体、2……基部、10……方位回転制御装置、101……ADC、102……積分器、103……角度制御器、104……角速度制御器、105……NOT回路、21……基板、23……振動体取付部、24……中空中心軸、25……振動体取付部、26……フランジ部材、3……ロータ(Cw回転翼)、31……筒状部材、32……回転翼固定部材、321……筒状部、322……固定部、33……被駆動体、331……外周面、34……回転翼、35……軸孔、36……回転中心線、4……振動体、41、45……電極、41a〜41d……電極、45a〜45d……電極、42、44……圧電素子、43……補強板、46……凸部、48……腕部、481……孔、49……中心線、5……ロータ(Ccw回転翼)、51……回転軸、52……接続部材、53……回転翼固定部材、531……筒状部、532……固定部、54……回転翼、55……被駆動体、551……外周面、56……ハブ、7……位置検出手段、71……スリット板、72……センサ、8……姿勢制御センサ、81x、81y、81z……ジャイロセンサ、9……駆動制御回路、91x……θx検出回路、91y……θy検出回路、91z……θz検出回路、92x……θx制御回路、92y……θy制御回路、92z……θz制御回路、931……第1の駆動回路、932……第2の駆動回路、93x……x駆動回路、93y……y駆動回路、11……軸受け、12……ボルト、13……軸受け、14……錘要素、141……ケーシング、15……電池、16……姿勢変更手段、16x……x軸方向移動手段、16y……y軸方向移動手段、161……基板、171……フレーム、1711……突出部、172……ガイド、173……リードスクリュー、174……被駆動体、1741……外周面、175……スライダ、1751、1752……孔、176……スペーサ、18……角速度センサ、20……方位回転検出手段(方位回転検出装置)、201、205……平均化回路、202……初期電圧値メモリ、203……センサ感度調整器、204……LPF、206……閾値メモリ、207……比較器、208……微分器、209……微小方位回転角速度メモリ、S101〜S123……ステップ、S201〜S226……ステップ
Claims (6)
- 基部と、
前記基部に対し回転可能に概ね同軸的に設置され、互いに反対方向に回転する2つのロータであって、それぞれのロータが少なくとも2枚の回転翼を備えている2つのロータと、
前記基部に設置され、圧電素子を備えた2つの振動体であって、該圧電素子に交流電圧を印加することにより振動する2つの振動体と、
前記2つの振動体にそれぞれ当接し、かつ、前記基部に対し回転可能に設置され、前記振動体の振動により、前記ロータと連動して回転駆動される2つの被駆動体と、
前記基部の方位回転を検出して、オフセット成分を除去する方位回転検出手段と、
前記基部の挙動を予測制御するために予め設定されたモデルと、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとに基づいて、全状態観測器を用いて、前記基部の方位回転を予測及び予測誤差を補正する制御手段と、
前記制御手段によって得られた前記基部の方位回転データから得られた制御量と、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとの差分データに基づいて、PID制御により速度差制御信号を生成して出力する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された前記速度差制御信号と、前記2つのロータを回転駆動するために入力された前記2つのロータの回転数データとを比較して、前記2つのロータをそれぞれ回転駆動するための回転数データを演算する演算手段とを備え、
前記ロータは、前記演算手段によって演算された回転数で回転されて浮揚することを特徴とする浮揚体。 - 基部と、
前記基部に対し回転可能に概ね同軸的に設置され、互いに反対方向に回転する2つのロータであって、それぞれのロータが少なくとも2枚の回転翼を備えている2つのロータと、
前記2つのロータを回転駆動する2つのアクチュエータと、
前記基部の方位回転を検出して、オフセット成分を除去する方位回転検出手段と、
前記基部の挙動を予測制御するために予め設定されたモデルと、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとに基づいて、全状態観測器を用いて、前記基部の方位回転を予測及び予測誤差を補正する制御手段と、
前記制御手段によって得られた前記基部の方位回転データから得られた制御量と、前記方位回転検出手段によって検出された前記基部の方位回転データとの差分データに基づいて、PID制御により速度差制御信号を生成して出力する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された前記速度差制御信号と、前記2つのロータを回転駆動するために入力された前記2つのロータの回転数データとを比較して、前記2つのロータをそれぞれ回転駆動するための回転数データを演算する演算手段とを備え、
前記ロータは、前記演算手段によって演算された回転数で回転されて浮揚することを特徴とする浮揚体。 - 前記アクチュエータは、超音波モータである請求項2に記載の浮揚体。
- 前記方位回転検出手段は、
前記基部の角速度をアナログ電圧信号として検出する角速度センサと、
前記角速度センサによって検出されたアナログ電圧信号をアナログ/デジタル変換するADコンバータと、
前記ADコンバータの出力信号を平均化し、所定のタイミングで初期電圧値オフセットとしてADコンバータの出力信号から減算、除去する第1のオフセットキャンセル手段と、
前記第1のオフセットキャンセル手段から出力される電圧信号を前記基部の角速度データに変換する角速度変換手段と、
を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の浮揚体。 - 前記方位回転検出手段は、
前記基部の角速度データを所定の時間で積分して、角度データを出力する積分器と、前記積分器によって積分された角度データを微分して微小角速度データを出力する微分器と、前記微分器から出力される微小角速度データを格納する記憶手段とを含み、前記角速度変換手段から出力される角速度データから前記微分器から出力される微小角速度データを減算、除去する第2のオフセットキャンセル手段を更に備える請求項4に記載の浮揚体。 - 前記第2のオフセットキャンセル手段は、前記減算、除去された前記基部の角速度データの高域成分を除去するローパスフィルタと、該ローパスフィルタの出力信号を平均化し、その平均化データと所定の閾値を比較する比較器と、前記平均化データが前記所定の閾値よりも大きいときに、前記微小角速度データに前記平均化データを加算して前記微小角速度データを補正する補正手段とを更に備える請求項5に記載の浮揚体。
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