JP4355825B2 - 切換弁および流体供給設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家屋の浴室およびその他の水周り、また流体を扱う工場等で好適に利用することができる流体供給設備及び切換弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、一般家屋の浴室に利用される給水設備として図4に示すものがある。これは、温水器又は湯沸器7を介在させた温水経路8と冷水経路9とを湯水混合栓2に接続し、この湯水混合栓2に接続したカラン(蛇口)4やシャワー5から水又は湯を吐出するようにしたものである。
前記シャワー5はシャワーホース100とシャワーヘッド3からなり、シャワーホース100はその一端が湯水混合栓2のシャワー用吐出口に接続され、シャワーヘッド3はシャワーホース100の他端に接続されている。
【0003】
なお、上記シャワーホース100に関する従来技術として、該ホースを内側ホースと外側ホースとで2重構造にした技術が下記特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2628364号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような給水設備においては、通常、シャワーヘッド3は混合栓2よりも高位置で保持されているため、シャワー5の使用後に湯を止めると、シャワーホース100及びシャワーヘッド3内に湯が残り、この残った湯は時間の経過とともに冷めて水となる。
そして、この状態で再度シャワー5から湯を出した場合、最初にシャワーホース100内等で冷えた水が吐出されるため、実際に湯が出るまでにタイムラグが生じ、使用者は少なくとも冷えた水が吐出し終わるまで待たなければならなかった。また、最初に吐出された水をもし誤って浴びてしまうと身体を冷やす原因となり、これは、特に高齢者に対して健康上好ましくない問題となっていた。
【0006】
なお、上記特許文献1記載の技術では、シャワーホースが内外2重となっているだけであるので当然に上記と同様の問題が生じるものとなる。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、管(ホース)内に残った流体(湯水等)を不使用状態で適切に排出しうる流体供給設備を提供することを第1の目的とする。また、流入口を閉止した状態での水抜き等の流体の排出を可能とする切替弁を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。
本発明にかかる切換弁は、流体の流入口および2つの流体の流出口を備えた弁外装体と、前記弁外装体内を往復回動して両回動端においてそれぞれ前記流入口と2つの前記流出口のいずれか異なる一方とを連通させ、かつ前記両回動端の途中に位置するときに前記流入口を閉じる、断面形状が略円形の弁体と、を有し、前記弁体が前記両回動端の途中に位置して前記流入口が閉じられたときに、2つの前記流出口を連通させる補助流路が前記弁外装体と前記弁体との間に設けられている。
【0008】
前記補助流路は、前記弁外装体の内面に設けられて前記2つの流出口の互いに異なる一方をそれぞれ起点としていずれも他方の流出口から遠ざかるように周方向に伸びた2つの凹溝として形成される。
また、前記補助流路は、直径方向に貫通する第1の流路、および前記第1の流路の中途部から外周面にかけて直交方向に延びる第2の流路が形成された前記弁体における、外面に設けられ前記第1の流路の2つの開口の互いに異なる一方をそれぞれ起点として周方向に伸びた2つの凹溝とすることができる。
【0009】
本発明にかかる流体供給設備は、前記切換弁と、前記切換弁における前記流出口の1つに接続された流体用管と、により形成され、前記流体用管は、内部の流体の圧力の高低により流路面積が拡大または縮小する弾性変形可能な第1の管体を備えている。
前記流体用管は、前記第1の管体が挿通された第2の管体を備え、前記第1の管体および前記第2の管体の間に気体層を備えている
前記第1の管体の流路面積は前記気体層からの加圧により縮小される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2は、流体用管1としてシャワーホースを例示したものであり、該シャワーホース1は、図4を参照して説明したとおり、その一端が水道源側である湯水混合栓2に接続され、他端にはシャワーヘッド3が接続されている。
なお、図4において、7は温水器又は湯沸器、7’は補助加熱器、8は温水経路、9は冷水経路であり、この温水経路8と冷水経路9とが湯水混合栓2で合流し、湯水混合栓2内の切換弁(3方コック弁)6を介してカラン(蛇口)4及びシャワー5から水又は湯が吐出されるようになっている。
【0011】
上記シャワーヘッド3は、通常、湯水混合栓2やカラン4よりも高位置で使用され、ホルダー等により保持される。カラン4やシャワーヘッド3の吐出口は大気に開放されている。
シャワーホース1は、第1の管体(内側ホース)11と第2の管体(外側ホース)12とによって2重構造をなし、第2の管体12内に第1の管体11が挿通されている。
前記第1の管体11は、ゴム、合成樹脂等の可撓性を有する材質により筒形状に形成され、弾性変形によりその断面形状を変化させ得るものとなっている。これに対して第2の管体12は、ゴム、合成樹脂等の可撓性を有する材質により筒形状に形成されているが第1の管体11に比べて剛性が高く、外力による曲げ変形は許容されるが断面形状はほとんど変化しないものとなっている。
【0012】
なお、第2の管体12の断面変化を防止するために、該管体12内面又は外面に補強層を設けたり補強用コイル等を添設することができる。
前記第1,第2の管体11,12との間には隙間が形成され、該隙間により気体層(空気層)13が形成されている。
第1,第2の管体11,12は、その両端部が溶着、接着等によって結合され、気体層13の気密性が保たれている。
第2の管体12には、気体層13に対して圧縮空気を注入するための注入口14が設けられており、この注入口14に対して加圧手段15が接続可能となっている。
【0013】
加圧手段15としては、例えばエアポンプが採用されており、本実施形態では、前記注入口14に対して着脱自在に接続され、加圧手段15を取り外して注入口14に栓をすることで気体層13の気密性が保たれ、その圧を保持できるようになっている。
時間の経過等により気体層13の圧が減った場合は、再度加圧手段15を注入口に接続して圧を付与すればよい。
なお、圧縮空気の注入口14には逆止弁が備わっていることが推奨される。
【0014】
また、前記注入口14は、第2の管体12に設けるに限らず他の場所に設けることができ、例えば、混合栓2側の管33に接続するための接続金具35に対して設けてもよい。
図6はその1実施形態を示すものであって、第1の管体11の端部と第2の管体12の端部との間に介装リング34を設け、これらを接続金具35の内鍔部35Aと接続金具35のネジ部35Bにネジ込まれる押さえリング36との間で挟み付けて気体層13の気密性を保ち、前記介装リング34と接続金具35とを貫通するように注入口(注入管)14を設けたものとなっている。この注入管としては、例えばゴムチューブ(所謂虫ゴム)を採用することができ、空気漏れを阻止できる構造とするのが好ましい。
【0015】
第1の管体11は気体層13からの加圧によってその断面形状が変化し、内部の流路面積Sが縮小される。本実施形態では、図2(b)に示す如く扁平状に圧縮された形状となる。一方、第2の管体12は気体層13の圧によって断面形状がほとんど変化しない程度の剛性を有したものとなっている。
気体層13の圧は、第1の管体11の流路面積Sを縮小することができる程度の圧に設定されているが、シャワーホース1を流れる湯水の水圧よりは小さく設定されており(例えば、水圧150kPaG(ゲージ圧)に対して気圧50kPaG程度)、このため、管1内に湯水を流入すると第1の管体11が水圧により押し広げられ、図2(a)に示す如くその流路面積Sが拡大し、湯水の流通が許容されるようになっている。
【0016】
一方、閉栓により湯水の流れを止めると水流による圧がなくなるため、第1の管体11は気体層13の圧により変形してその流路面積Sが縮小され(図2(b)参照)、第1管体11内に残った湯水は管外へ押し出されてシャワーヘッド3から排出されるようになっている。
従って、シャワー5の使用後に湯を止めてもシャワーホース1内には残水がほとんど生じなくなり、再度使用するときには新たな湯がすぐに吐出されるようになっている。
【0017】
なお、上記第1の管体11は、内外から圧がかからない状態でその流路面積Sが縮小されたもの(成形段階で扁平化したもの)とすることができる。この場合、気体層13の圧は大気圧としておけばよいため、加圧手段15は不要となる。
上記シャワーホース1の一端が接続されている湯水混合栓2には、カラン(排出口)4側とシャワー5側とに吐出方向を切り替える切換弁6が内蔵されており、かかる切換弁6として図3に示すものを採用することができる。
この切換弁6は、弁外装体21と、この弁外装体21内に設けられた弁体22とを有し、弁外装体21は円形状を呈していて内部が中空となっている。
【0018】
弁外装体21の外周部には1つの流入口23と2つの流出口24A,24Bが形成され、流入口23と一方の流出口24Aとは弁外装体21の直径方向に対向して配置されており、他方の流出口24Bがこれらと90°位相ズレした状態で配置されている。
本実施形態では、図3における上側の流出口24A側にシャワー5が接続され、下側の流出口24B側にカラン4が接続されるようになっているが、この逆であってもよい。
【0019】
弁体22は、弁外装体21内で回動自在に設けられており、図示略の操作レバーにより手動で回動操作されるようになっている。ただし、この回動を自動で行うものとしてもよい。
弁体22には、該弁体22の直径方向に貫通する第1の流路26と、第1の流路26の中途部から外周面にかけて直交方向に延びる第2の流路27とが形成されている。
そして、図3(a)に示すように、流入口23に第2の流路27を合わせ且つ一方(カラン4側)の流出口24Bに第1の流路26の片側を合わせることで、流入口23から一方の流出口24Bへと湯水を流すことができる。
【0020】
また、図3(c)に示すように、弁体22を90°回動させることにより、流入口23と他方(シャワー5側)の流出口24Aとの間に第1の流路26を合わせることで流入口23から他方の流出口24Aへと湯水を流すことができるようになっている。
なお、本明細書では、図3(a)(c)における弁体22の回動位置を、流入口23と流出口24A,24Bとを連通させる連通位置と称し、それぞれ符号A,Cを付している。
【0021】
前記弁外装体21の内面であって各流出口24A,24Bの近傍には、切欠状の凹溝28が形成されている。
そして、図3(b)に示すように、シャワー5とカラン4との切換の途中で流入口23が弁体22により閉止されたとき(弁体22を閉止位置Bとしたとき)、前記凹溝28によって弁体22の外周と弁外装体21の内周との間には補助流路30が形成され、該補助流路30と第1の流路26とを介して2つの流出口24A,24Bが連通されるようになっている。
【0022】
従って、シャワー5を使用した後切換弁6を閉止位置とすることで、シャワーホース1及びシャワーヘッド3内の残水は、第1の管体11の扁平化により切替弁6側に押し出され、カラン4から排水されるようになっている。
なお、上記の凹溝28は、図5に示すように、弁体22の外面であって第1流路26の両側近傍に形成してもよく、この凹溝28により形成された補助流路30により、上記と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、上記切換弁6を用いる場合には、シャワーホースとして上記流体用管を用いなくても、カラン4よりシャワー5(シャワーヘッド3)が高位置であることからホース内の残水をカラン4側へ排出できるようになる。
【0023】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。
例えば、第2の管体は可撓性を有するものに限らず金属、合成樹脂等により硬質な材質にて構成することができ、第1の管体は流路面積を縮小する際に扁平状に変形するに限らず、径方向に縮小(又は拡大)するものであってもよい。
また、本発明に用いられる流体用管は、3重構造又はそれ以上の多重構造とすることができ、また、第1の管体のみの構成とすることも可能である。
【0024】
前記加圧手段は、常時流体用管1に接続しておくものとしてもよい。
本発明にかかる流体供給設備及び切換弁は、浴室や洗面台、台所などの水周りに限定されず、流体をあつかう工場等でも採用することができる。また、管を流れる流体は、湯水に限らず薬液等の他のものであってもよい。また液体に限らず気体(各種ガス等)であってもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、流体の流れを止めたときに管内に残る流体を好適に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 体用管の横断面図である。
【図2】 同流体用管の縦断面図であり、(a)は流路面積が拡大した状態、(b)は流路面積が縮小した状態を示す。
【図3】 切替弁の断面図である。
【図4】 流体供給設備の概略図である。
【図5】 切替弁の別実施形態を示す断面図である。
【図6】 注入口の別実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シャワーホース(流体用管)
4 カラン(排出口)
5 シャワー
6 切換弁
11 第1の管体
12 第2の管体
13 気体層
15 加圧手段
21 弁外装体
22 弁体
23 流入口
24A 流出口
24B 流出口
26 第1の流路
27 第2の流路
28 凹溝
30 補助流路

Claims (6)

  1. 流体の流入口(23)および2つの流体の流出口(24A,24B)を備えた弁外装体(21)と、
    前記弁外装体(21)内を往復回動して両回動端においてそれぞれ前記流入口(23)と2つの前記流出口(24A,24B)のいずれか異なる一方とを連通させ、かつ前記両回動端の途中に位置するときに前記流入口(23)を閉じる、断面形状が略円形の弁体(22)と、を有し、
    前記弁体(22)が前記両回動端の途中に位置して前記流入口(23)が閉じられたときに、2つの前記流出口(24A,24B)を連通させる補助流路(30)が前記弁外装体(21)と前記弁体(22)との間に設けられている
    ことを特徴とする切換弁
  2. 前記補助流路(30)は、
    前記弁外装体(21)の内面に設けられ前記2つの流出口(24A,24B)の互いに異なる一方をそれぞれ起点として周方向に伸びた2つの凹溝(28,28)である
    請求項1に記載の切換弁
  3. 前記弁体(22)には、
    直径方向に貫通する第1の流路(26)、および前記第1の流路(26)の中途部から外周面にかけて直交方向に延びる第2の流路(27)が形成されており、
    前記補助流路(30)は、
    前記弁体(22)の外面に設けられ前記第1の流路(26)の2つの開口の互いに異なる一方をそれぞれ起点として周方向に伸びた2つの凹溝(28,28)である
    請求項1に記載の切換弁
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の切換弁(6)と、
    前記切換弁(6)における前記流出口(24A,24B)の1つに接続された流体用管(1)と、により形成され、
    前記流体用管(1)は、
    内部の流体の圧力の高低により流路面積(S)が拡大または縮小する弾性変形可能な第1の管体(11)を備えている
    ことを特徴とする流供給設備
  5. 前記流体用管(1)は、
    前記第1の管体(11)が挿通された第2の管体(12)を備え、
    前記第1の管体(11)および前記第2の管体(12)の間に気体層(13)を備えている
    求項4に記載の流体供給設備
  6. 前記第1の管体(11)の流路面積(S)が前記気体層(13)からの加圧により縮小される
    求項5に記載の流体供給設備
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