JP4355130B2 - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高度な意匠性を有する樹脂成形体に使用する印刷フィルムを製造する際に、紫外線硬化性樹脂層を硬化させる紫外線照射装置に係り、特に、車両、船舶、航空機用内外装パネル、建材、家電製品、家具、壁紙、仏壇、仏具、表札、容器、衣料、靴、バック、テレフォンカード、クレジットカード、ICカード等の樹脂成形体の材料として好適な印刷フィルムの低廉な製造技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
意匠性を付与した樹脂成形体としては、プラスチック基材に図柄を付与し、その表面に塗料樹脂液を流し込み、硬化させた樹脂成形体が知られている。また、樹脂成形体により高度な意匠性を付与するために、表面に凹凸を形成すべく、エンボス賦形フィルムを用いて樹脂表面にエンボス加工した樹脂成形体、または、その後にワイピング印刷をさらに施した樹脂成形体等が知られている。さらに、特開平5−57864号公報では、凹凸感を強調した意匠的に優れた樹脂成形品が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術では、立体感およびリアリティに乏しい。また、特開平5−57864号公報に開示の樹脂成形体では、立体感は得られるものの、溝模様を形成する工程、着色樹脂液を流込む工程、樹脂液を硬化させる工程および樹脂を除去する工程が必須要件であるため、製造工程が煩雑であり、製造コストが割高になるという問題があった。また、上記従来の樹脂成形体は表面に凹凸を有する構成であるため、耐久性、防汚性といった点で問題を有するものであり、また、特異な手触り感があり、この樹脂成形体を利用できる用途が限定されてしまうという問題もあった。
【0004】
これらの問題の中でも、特に樹脂成形体の製造コストの低減の要請が強く、とりわけ、樹脂成形体の製造に使用する印刷フィルムをいかに低廉に製造するかが大きな問題であった。
【0005】
したがって、本発明は以上のような問題点に鑑み、立体感が得られ、高度な意匠性を表現できる樹脂成形体を得ることができるのはもちろんのこと、そのような樹脂成形体の製造に使用する印刷フィルムの低廉な製造を可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、まず、スクリーン印刷を用いて、フィルムの表面上に紫外線硬化性樹脂を所望のパターンで印刷して紫外線硬化性樹脂層を形成し、その後紫外線硬化性樹脂層を紫外線照射により硬化させて印刷フィルムを製造することができるとの知見を得た。
【0007】
この知見を前提として、本発明者らは、上記のような態様で印刷フィルムを製造する場合において、以下の知見をさらに得た。
a)通常の印刷工程を行った後、紫外線硬化性樹脂層に波長の異なる2種類の紫外線を順次照射することによって、紫外線硬化性樹脂層形状を低廉に得ることができる。
b)とくに、上記2種類の紫外線の照射間隔を適切に選択することで、優れた印刷フィルムの形状を得ることができる。
これらの知見により、製品としての樹脂成形体の優れた意匠性を実現することが判明し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の樹脂成形体の製造方法は、熱可塑性フィルムの裏面に印刷絵付け層を形成し、熱可塑性フィルムの表面に、紫外線硬化性樹脂層を所定の図柄を形成するように印刷し、紫外線硬化性樹脂層に、第1の紫外線照射ユニットの第1の紫外線ランプから第1の波長の紫外線を照射して該紫外線硬化性樹脂層の表面部分のみを硬化させて波状模様を形成し、紫外線硬化性樹脂層に、第2の紫外線照射ユニットの第2の紫外線ランプから第1の波長よりも長い第2の波長の紫外線を照射して該紫外線硬化性樹脂層の全体を硬化させ、第1の紫外線照射ユニットおよび第2の紫外線照射ユニットは、熱可塑性フィルムを通過させるフィルム移送部を備え、第1の紫外線ランプおよび第2の紫外線ランプの少なくとも一方とフィルム移送部とを、波長600nm以上の光線を遮断できる赤外カットガラスで隔離し、第1の紫外線照射ユニットのフィルム移送部および第2の紫外線照射ユニットのフィルム移送部の少なくとも一方に該フィルム移送部内を冷却する冷却用フィンを設け、波状模様の形成および紫外線硬化性樹脂層の全体の硬化は、熱可塑性フィルムをフィルム移送部内で移送しながら行い、次に、熱可塑性フィルムを加熱軟化し、該熱可塑性フィルムを、紫外線硬化性樹脂層の印刷面が金型に圧着するように真空成形し、次いで、熱可塑性フィルムの裏面から樹脂を射出成形することにより、熱可塑性フィルムの紫外線硬化性樹脂層が設けられていない表面と紫外線硬化性樹脂層の表面とを平坦とすることを特徴とするものである。
【0009】
図1は、本発明の樹脂成形体の製造方法における紫外線硬化性樹脂層への紫外線照射態様を示す図である。本発明の樹脂成形体の製造方法を実施するにあたっては、通常の印刷工程を行った後、同図に示すように、まず第1の紫外線ランプにより、フィルム1上に形成された紫外線硬化性樹脂層2の表面に第1の波長の紫外線を照射して表面部を硬化させる。次いで、第2の紫外線ランプにより紫外線硬化性樹脂層の全体を第1の波長よりも長い第2の波長の紫外線照射により硬化させることで、紫外線硬化性樹脂層4の所望形状を得る。その際、第1の波長を短く設定することにより、紫外線が紫外線硬化性樹脂層の表面部までしか達しないようにし、その表面部のみを硬化させる。この状態では、紫外線硬化性樹脂層は硬化(架橋)した表面部2aと粘性を有する部分2bとの二層構造となっており、架橋構造の網目内に粘性を有する部分の樹脂が浸入して表面部2aの体積が増加する。そして、表面部2aの体積分が膨らむことにより、波状模様3が形成される。本発明によれば、2種類の紫外線を段階的に照射することで立体的な波状模様3を形成することができるので、上記した特開平5−57864号公報と比較すると、その工程および装置が格段に簡略化される。さらに、本発明で製造された樹脂成形体は、紫外線硬化性樹脂層表面と熱可塑性フィルム表面とが略平坦であるため、凹凸の無い手触り感の優れた表面が形成されている。それにも拘わらず、紫外線硬化性樹脂層に波状模様が形成されているため、紫外線硬化性樹脂層が設けられた領域が奥に見え、紫外線硬化性樹脂が設けられていない領域が手前に見えるという不思議な現象が生じる。このように、本発明によれば、表面が平坦でありながら樹脂成形体に立体感(奥行き感)といった高度な意匠性を表現することができる。したがって、立体感があって高度な意匠性を表現できる樹脂成形体を低廉なコストで得ることができる。本発明において第1の波長としては180〜300nmの短波長を用い、好ましくは230〜270nmの短波長を用いる。また第2の波長としては300〜400の長波長を用い、好ましくは320〜370nmの長波長を用いる。
【0010】
また、本発明の樹脂成形体の製造方法を実施するための装置は、第1の紫外線ランプによる照射位置から第2の紫外線ランプによる照射位置までフィルムを移送可能なフィルム移送ユニットを備えることができる。これにより、その移送速度を適宜調整して両紫外線ランプからの紫外線照射間隔を適切に選択することができる。これにより第1の紫外線ランプによる照射によって上記波状模様を十分に形成した上で、第2の紫外線ランプによる照射を行うことが可能となる。したがって、優れた印刷フィルムの形状が得られる。
【0011】
さらに本発明の樹脂成形体の製造方法を実施するための装置は、第1の紫外線照射ユニットと第2の紫外線照射ユニットとに、それぞれフィルム移送部分形成する。このフィルム移送部分はフィルムの入口部、通過部および出口部によって構成することができる。このような態様の下で、第1の紫外線照射ユニットと第2の紫外線照射ユニットとの少なくとも一方のフィルム移送部分を不活性ガス供給路とすることができる。これにより、紫外線硬化樹脂層の表面に十分に不活性ガスが供給され、紫外線硬化性樹脂層表面の酸素を完全に除去することができる。したがって、紫外線硬化樹脂層が完全に硬化することから、そのべたつきを防止することができる。なお、不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスが好適である。
【0012】
上記装置においては、第1の紫外線ランプによる照射位置から第2の紫外線ランプによる照射位置までのフィルムの移送時間を3秒以上とすることが望ましい。この態様によれば、第1の紫外線ランプによる照射によって上記波状模様をより確実に形成した上で、第2の紫外線ランプによる照射を行うことが可能となる。したがって、特に優れた印刷フィルムの形状が得られる。
【0013】
またこのような装置においては、第1の紫外線照射ユニットと第2の紫外線照射ユニットとの少なくとも一方について、フィルム移送部分と紫外線ランプとを赤外カットガラスで隔離する上述したように、紫外線硬化性樹脂層を十分に硬化させるためには、その表面に不活性ガスを供給しなければならない。赤外カットガラスを設けることにより、不活性ガスをその供給が必要なフィルム移送部分に集中的に供給することができるので、不活性ガスの供給量を低減することができる。なお、熱可塑性のフィルムは、ランプから発生される光に含まれる赤外線の熱によりフィルムが変形するおそれがあるため、赤外カットガラスを用いる。この場合、波長600nm以上の光線を遮断できるものを用いる
【0014】
さらに本発明の樹脂成形体の製造方法を実施するための装置では、フィルムの入口部および出口部を、それぞれ不活性ガス供給路の導入口および排出ロのいずれかとすること、すなわち、フィルムの入口部および出口部と不活性ガス供給路の導入口および排出口のいずれかとを共用させることが望ましい。これは、製造時に各紫外線照射ユニットに、設けるべき開口の数を低減することができる点で製造経済上有利である。また、各紫外線照射ユニットには、上述したように、紫外線照射による紫外線硬化性層のべたつきを防止するという理由で不活性ガスを供給する。このような共用態様によれば、各紫外線照射ユニット内でフィルムが通過するどの領域においてもフィルムに対してほぼ均一な不活性ガス雰囲気が得られる。したがって、フィルムのどの部分についても、紫外線硬化性樹脂層の硬化に関する優れた均一性が実現されるため有利である。
【0015】
また本発明の樹脂成形体の製造方法を実施するための装置では、第1の紫外線照射ユニットと第2の紫外線照射ユニットとの少なくとも一方に、紫外線ランプを冷却する冷却媒体の導入口および排出口を形成することが一層望ましい。このような構成によれば、各紫外線照射ユニット内に冷却媒体を供給することで、上述したような赤外線が発する熱のフィルムへの影響をさらに低減することができる。また各紫外線照射ユニットにおいて、ユニット内に収容されたの各部材の耐久性を向上させることもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の紫外線照射装置について説明する。
図2は、本発明の紫外線照射装置を示す図であり、図中符号10は第1の紫外線照射ユニットである。第1の紫外線照射ユニット10の側方には窒素ガス供給ユニット40が配置されている。また、第1の紫外線照射ユニット10および窒素ガス供給ユニット40の上方には、第2の紫外線照射ユニット20が配置されている。さらに、第2の紫外線照射ユニット20の上方には、フィルム移送ユニット30が配置されている。なお、窒素ガス供給ユニット40と両紫外線照射ユニット10,20とは、窒素ガス供給管50によって連通されている。
【0017】
第1の紫外線照射ユニット10は、ユニット内の構成部材を収容するケーシング11を備えている。ケーシング11内のほぼ中央部には、ケーシング11の鉛直方向両側にフィルムの入口部12aおよびフィルムの出口部12cがそれぞれ形成されており、それら12a,12cの間がフィルムの通過部12bとされている。そしてこれら12a,12b,12cからなるフィルム移送部分12の水平方向一方側には、第1の紫外線ランプ13が配置されている。第1の紫外線ランプ13は、安定した光量を確保するために、2個の光源13a,13bを備えている。また、フィルム移送部分12と第1の紫外線ランプ13の間は、石英ガラス14で隔離されている。なお、第1の紫外線ランプ13の鉛直方向両側には、第1の紫外線ランプ13を冷却する冷却媒体の導入口15および排出口16がそれぞれ形成されている。
【0018】
第2の紫外線照射ユニット20は、ユニット内の構成部材を収容するケーシング21を備えている。ケーシング21内のほぼ中央部には、第2の紫外線ランプ22が配置されている。第2の紫外線ランプ22は光源22aと、反射面22bと、シャッタ22cとを備えている。シャッタ22cは、稼働中以外の時は閉じているが、フィルムFが第2の紫外線照射ユニット20内で移送されている間は開いている。また、第2の紫外線ランプ22の水平方向一方側には、ケーシング21の鉛直方向両側にフィルムFの入口部23aおよびフィルムFの出口部23cがそれぞれ形成されており、それら23a,23cの間がフィルムFの通過部23bとされている。そして、これら23a,23b,23cによってフィルム移送部分23が構成されている。さらに、第2の紫外線ランプ22に対してフィルム移送部分23と反対側には、図示しないダクトなどを収納する空隙部24が形成されている。そして、第2の紫外線ランプ22とフィルム移送部分23との間は、石英ガラス25で隔離されている。フィルム移送部分23に対して石英ガラス25と反対側には、紫外線照射によるフィルムの温度上昇を抑制する冷却用フィン26が配置されている。図2においては、冷却用フィン26は第2の紫外線照射ユニット20内にのみ設けられているが、必要に応じて第1の紫外線照射ユニット10内に設けることもできる。なお、第2の紫外線ランプ22の鉛直方向両側には、第2の紫外線ランプ22を冷却する冷却媒体の導入口27および排出口28がそれぞれ形成されている。
【0019】
第2の紫外線照射ユニット20の上方には、フィルム移送ユニット30が配置されている。フィルム移送ユニット30は、図2の下方から、第1の紫外線ランプ13による照射位置および第2の紫外線ランプ22による照射位置を経由して同図の上方までフィルムFを移送するものである。
【0020】
窒素ガス供給ユニット40からは、窒素ガス供給管50が第1の紫外線照射ユニット10および第2の紫外線照射ユニット20まで延在している。窒素ガス供給管50は、窒素ガス供給ユニット40から延在する共通部51と、2つの分岐部52,53と、切替弁54とを備えている。窒素ガス供給管50は切替弁54の動作により、必要に応じて各紫外線照射ユニット10,20の少なくとも一方に窒素を供給する。
【0021】
図2において、破線矢印は窒素の流通方向をそれぞれ示す。同図から明らかなように、この実施形態では、各紫外線照射ユニット10,20でのフィルムの入口部12a,23aおよび出口部12c,23cを、それぞれ窒素ガス供給路の導入口および排出ロのいずれかとしている。すなわち、フィルムの入口部12a,23aおよび出口部12c,23cと窒素ガス供給路の導入口および排出口とを共用させている。
【0022】
ところで、上記構成の紫外線照射装置を使用する場合には、図2の下方から、第1の紫外線ランプ13による照射位置および第2の紫外線ランプ22による照射位置を経由して同図の上方まで(図の太字矢印の方向に)フィルムFをフィルム移送ユニット30によって移送する。この際には、まず第1の紫外線ランプ13による照射を行い、その後適切な照射間隔を確保した上で、第2の紫外線ランプ22による照射を行う。
【0023】
以上に説明した紫外線照射装置は、2種類の紫外線を段階的に照射することによって紫外線硬化性樹脂層に立体的な波状模様を形成することができる。また、図2に示す装置によれば、装置自身はもちろんのこと、印刷フィルムの製造工程も格段に簡略化した上で所望形状の印刷フィルムの製造を実現することができる。したがって、立体感があって高度な意匠性を表現できる樹脂成形体を低廉なコストで得ることができる。また、上記装置は第1の紫外線ランプ13による照射位置から第2の紫外線ランプ22による照射位置までフィルムFを移送可能なフィルム移送ユニット30を備えることから、その移送速度を適宜調整して両紫外線ランプ13,22からの紫外線照射間隔を適切に選択することができる。これにより第1の紫外線ランプ13による照射によって上述した波状模様を十分に形成した上で、第2の紫外線ランプ22による照射を行うことが可能となる。したがって、優れた印刷フィルムの形状が得られる。さらに図2に示す装置は、両紫外線照射ユニット10,20に形成されたフィルム移送部分12,23を窒素ガス供給路としている。これにより、紫外線硬化樹脂層の表面に十分に窒素ガスが供給され、紫外線硬化性樹脂層表面の酸素を完全に除去することができるので、紫外線硬化樹脂層が完全に硬化することから、そのべたつきを防止することができる。
【0024】
図2に示す装置においては、特に、第1の紫外線ランプ13による照射位置から第2の紫外線ランプ22による照射位置までのフィルムFの移送時間を3秒以上とすることが望ましい。この場合には、第1の紫外線ランプ13による照射によって上述した波状模様をより確実に形成した上で、第2の紫外線ランプ22による照射を行うことが可能となり、特に優れた印刷フィルムの形状が得られる。
【0025】
また、同図に示す装置は、両紫外線照射ユニット10,20について、フィルム移送部分12,23と紫外線ランプ13,22とが石英ガラス14,25で隔離されているので、窒素ガスをその供給が必要なフィルム移送部分12,23に集中的に供給することができ、これにより窒素ガスの供給量を低減することができる。
【0026】
さらに、同図に示す装置は、フィルムの入口部12a,23aおよび出口部12c,23cと窒素ガス供給路の導入口および排出口のいずれかとを共用させているので、製造時に各紫外線照射ユニット10,20に、設けるべき開口の数が少なく、製造経済上有利である。また、このような共用態様であることから、各紫外線照射ユニット10,20内でフィルムFが通過するどの領域においてもフィルムFに対してほぼ均一な窒素ガス雰囲気が得られる。したがって、フィルムFのどの部分についても、紫外線硬化性樹脂層の硬化に関する優れた均一性が実現される。
【0027】
なお、同図に示す装置では、両紫外線照射ユニット10,20に、各紫外線ランプ13,22を冷却する冷却媒体の導入口15,27および排出口16,28が形成されているので、各紫外線照射ユニット10,20内に冷却媒体を供給することができる。冷却媒体を供給することにより、両紫外線ランプ13,22から発生される光に含まれる赤外線が発する熱のフィルムへの影響を格段に低減することが可能である。また冷却媒体導入により、各紫外線照射ユニット10,20において、ユニット10,20内に収容されたの各部材の耐久性を向上させることもできる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を具体的に説明する。ここでは、本発明の装置を用いて従来よりも低廉に製造した印刷フィルムを使用した場合であっても、樹脂成形体が優れた意匠性を表現できるか否かについて検討する。
<製造例1〜10>
まず、アクリルフィルム(熱可塑性フィルム)の裏面に、アルミニウム顔料を用いたメタリック色の印刷絵付け層をグラビア印刷により形成した。次に、イソホロンジイソシアネート666部とテトラヒドロフルフリルアクリレート440部とポリエチレングリコールジアクリレート300部とを混合し、さらにトリメチロールプロパンとイプシロンカプロラクトンの開環反応物1200部を添加しながら70℃で攪拌反応させ、イソシアネート基が減少したのを確認した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート350部を仕込み、70℃で反応させ、イソシアネート基を完全に消滅させてウレタンアクリレートを合成した。次いで、このウレタンアクリレートと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとを97:3重量部で配合したものを、アクリルフィルムの表面にスクリーン印刷して紫外線硬化性樹脂層を形成した。
【0029】
その後、紫外線硬化性樹脂層の表面に、本発明の紫外線照射装置に窒素ガスを流通させて、まず波長が254±20nmである第1の波長の紫外線を照射した。次いで、表1に示す照射間隔の下、紫外線硬化性樹脂層の全体に波長が350±20nmである第2の波長の紫外線を照射し、印刷フィルムを作製した。
【0030】
【表1】
Figure 0004355130
【0031】
次に、360〜390℃に10秒程度加熱してアクリルフィルムを軟化させた印刷フィルムを、紫外線硬化性樹脂層の印刷表面が金型に圧着するように真空形成させ、次いで、印刷フィルムの印刷絵付け層側からアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を射出成形し、製造例1〜10の樹脂成形体を製造した。この際のシリンダー温度:240度、射出圧:1800kg/cm、保圧:1400kg/cm(2秒)、1000kg/cm(2秒)であった。
【0032】
図3は、製造した本発明(製造例1)の樹脂成形体である。紫外線硬化性樹脂層が設けられた領域が奥に見え、紫外線硬化性樹脂が設けられていない領域が手前に見えている。しかしながら、この樹脂成形体は、最表面に位置する紫外線硬化性樹脂層表面と熱可塑性フィルム表面とが略平坦であるため、凹凸の無い手触り感の優れた表面が形成されている。すなわち、本発明の樹脂成形体は、立体感(奥行き感)といった高度な意匠性を表現している。
【0033】
<従来例1>(原着インジェクション)
樹脂基材用の樹脂をそのままインジェクション成形し、従来例1の樹脂成形体を製造した。
<従来例2>(カラーミックスインジェクション)
塗料を混ぜ合わせた樹脂基材用の樹脂をインジェクション成形し、従来例2の樹脂成形体を製造した。
<従来例3>(インジェクション+塗装)
従来例1の樹脂成形体に塗装を施して、従来例3の樹脂成形体を製造した。
【0034】
<従来例4>(インジェックション+水転写フィルム)
所望の柄模様を印刷した水溶性のフィルムを水の入った容器に浸けてフィルムを溶かし、インクが水面に浮いたところに、予め水中に沈めておいた従来例1の樹脂成形体を持ち上げて成形体表面にインクを付着させ、従来例4の樹脂成形体を製造した。
【0035】
<従来例5>(インジェクション成形・印刷フィルム同時貼り(現行印刷フィルム))
印刷フィルムを予め内側に圧着させた金型を用いてインジェクション成形を行うことによって、インジェクション成形と同時に印刷フィルムを貼り付け、従来例5の樹脂成形体を製造した。
【0036】
上記の製造例1〜10および従来例1〜5の樹脂成形体を用いて下記の評価を行い、その結果を表2に示した。
1.色柄模様
所望の絵柄、模様を樹脂成形体上に容易に表せるかを評価した。
○:印刷フィルムを用いるもの。
△:フィルムを用いずに樹脂成形体に直接色付けを行うもの。
×:全く絵柄等を表せないもの。
【0037】
2.立体感
樹脂成形体上に描かれた色柄模様が、立体的に目に映るか否かを評価した。
〇:優れた立体形状を示した。
△:立体的に見えた。
×:立体的には見えなかった。
【0038】
【表2】
Figure 0004355130
【0039】
本発明の製造例1〜10の樹脂成形体では、色柄模様および立体感の両項目において優れた特性を示した。特に、製造例1〜7については、第1の紫外線ランプによる照射位置から第2の紫外線ランプによる照射位置までフィルムを3秒以上で移送させたこと、つまり両紫外線ランプの照射間隔を3秒以上としたことにより、上述した波状模様が確実に形成されたため、立体感について他の製造例8〜10よりもはるかに優れた結果を得ることができた。これにより、紫外線照射間隔は3秒以上とすることが望ましいことが判る。なお、製造コストの点では5秒以下が望ましい。
【0040】
これに対し、従来例では少なくともいずれかの項目が劣っていた。詳細に見ると、色柄模様に関しては、従来例4および5は各製造例と同様、印刷フィルムを使用するため複雑な柄模様等を工業的に簡易に作り出すことができるが、従来例3は絵柄を描くことは可能であるものの大変手間がかかり、工業的には適さない。また、従来例2は塗料の混ぜ方によりマーブル模様のような模様を作成することができるものの一定の模様を作成することはできず、従来例1に至っては樹脂そのものの色であり、柄の表現は不可能である。次いで、立体感に関しては、色柄模様が立体的に見えるような高度な意匠性を有するものは従来例には無かった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、立体感が得られ、高度な意匠性を表現できる樹脂成形体を得ることができるのはもちろんのこと、そのような樹脂成形体の製造に使用する印刷フィルムの低廉な製造を可能とすることができる。これにより本発明は、好適な樹脂成形体の製造が実現される点で有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置による紫外線硬化樹脂層への紫外線照射態様を示す図である。
【図2】 本発明の紫外線照射装置を示す図である。
【図3】 本発明の樹脂成形体の一実施形態を示す写真である。
【符号の説明】
10…第1の紫外線照射ユニット、20…第2の紫外線照射ユニット、30…フィルム移送ユニット、40…窒素ガス供給ユニット、50…窒素ガス供給管。

Claims (1)

  1. 熱可塑性フィルムの裏面に印刷絵付け層を形成し、
    前記熱可塑性フィルムの表面に、紫外線硬化性樹脂層を所定の図柄を形成するように印刷し、
    前記紫外線硬化性樹脂層に、第1の紫外線照射ユニットの第1の紫外線ランプから第1の波長の紫外線を照射して該紫外線硬化性樹脂層の表面部分のみを硬化させて波状模様を形成し、
    前記紫外線硬化性樹脂層に、第2の紫外線照射ユニットの第2の紫外線ランプから前記第1の波長よりも長い第2の波長の紫外線を照射して該紫外線硬化性樹脂層の全体を硬化させ、
    前記第1の紫外線照射ユニットおよび前記第2の紫外線照射ユニットは、前記熱可塑性フィルムを通過させるフィルム移送部を備え、前記第1の紫外線ランプおよび前記第2の紫外線ランプの少なくとも一方と前記フィルム移送部とを、波長600nm以上の光線を遮断できる赤外カットガラスで隔離し、前記第1の紫外線照射ユニットの前記フィルム移送部および前記第2の紫外線照射ユニットの前記フィルム移送部の少なくとも一方に該フィルム移送部内を冷却する冷却用フィンを設け、
    前記波状模様の形成および前記紫外線硬化性樹脂層の全体の硬化は、前記熱可塑性フィルムを前記フィルム移送部内で移送しながら行い、
    次に、前記熱可塑性フィルムを加熱軟化し、該熱可塑性フィルムを、前記紫外線硬化性樹脂層の印刷面が金型に圧着するように真空成形し、
    次いで、前記熱可塑性フィルムの裏面から樹脂を射出成形することにより、
    前記熱可塑性フィルムの前記紫外線硬化性樹脂層が設けられていない表面と前記紫外線硬化性樹脂層の表面とを平坦とすることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
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