JP4354622B2 - トンネル内周面にシートを張り付ける方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート製の下水道管のようなトンネルの内周面に耐食シートを張り付ける方法と、張り付ける装置とに関する。前記トンネルは、既設のトンネルの内周縁部を削り取ったものか、又は新設のトンネルである。
【0002】
【従来の技術】
直径が2−4mの大口径トンネルの内周面に耐食シートを張り付けようとする場合、レール上を移動可能な台車に型枠を取り付け、この型枠によって耐食シートを保持した状態で、トンネル内周面と耐食シートとの間の間隔内にコンクリートを打設することがある。この方法では、トンネル内周面に対する型枠の中心位置、したがって型枠によって保持される耐食シートの中心位置は、レールの設置位置と、台車及び型枠の正しい寸法とによって決まるため、型枠の中心位置を決めるための調整が実質的に不要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
耐食シートをトンネル内周面のうちの一部分、例えば、トンネル内を流れる下水の水面より上方となる部分に張り付けようとする場合、レール支持用の枕木を水面又はその下方に配置することができるため、前述の方法による耐食シートの張り付けが可能である。ところが、耐食シートをトンネル内周面の周方向の全周に渡って張り付けようとするとき、耐食シートと枕木とが干渉しない仕方を講ずる必要がある。
【0004】
本発明は、耐食シートをトンネル内周面の周方向の全周に渡って張り付けることができる、トンネル内周面にシートを張り付ける方法及び装置を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
本発明は、トンネル内周面にシートを張り付ける方法である。まず、シートを搬送し、搬送したシートを、シートがトンネル内周面に沿うように仮受け台から垂下する。この垂下に先立って、又は垂下した後、シートの周方向にある2つの端部を結合し、シート筒状体を形成する。その後、複数の枕木をトンネルの軸線方向に間隔をおいてトンネルの軸線に交差する方向へ配置し、各枕木の軸線方向にある2つの端面を前記シート筒状体の内側面に接触させ、前記枕木をトンネルに固定する。枕木を固定した後、レールを前記枕木にトンネルの軸線方向へ敷設する。レールの敷設に先立って、敷設中又は敷設した後、前記仮受け台を前記シート筒状体から外す。その後、第1の型枠を前記枕木の下方に配置して前記シート筒状体のうち前記枕木の下方に位置する部分を保持し、前記シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設ける。その後、前記レール上を走行する台車に取り付けた、径方向へ拡大・縮小可能な第2の型枠を縮小した状態で配置し、拡大して前記シート筒状体のうち前記枕木の上方に位置する部分を保持し、前記シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設ける。その後、前記間隔内にコンクリートを打設する。
【0006】
シート筒状体を垂下した状態で複数の枕木を配置し、各枕木の端面をシート筒状体の内側面に接触させ、枕木をトンネルに固定すると、シート筒状体は形式的には、枕木の下方となる部分と、上方となる部分に分けられる。そこで、下方となる部分を第1の型枠で、上方となる部分を第2の型枠で保持し、シート筒状体とトンネル内周面との間の間隔内にコンクリートを打設する。
【0007】
シート筒状体を作り、このシート筒状体を垂下した状態で枕木をシート筒状体の内方に配置するため、シート筒状体と枕木との干渉が起こらず、シートをトンネル内周面の全周に渡って張り付けることができる。
【0008】
第1の型枠と第2の型枠とによって型枠を形成し、第1の型枠によって枕木の下方に位置するシート筒状体の部分を、第2の型枠によって枕木の上方に位置するシート筒状体の部分を保持するため、枕木があっても型枠の配置に支障が生じない。
【0009】
第2の型枠はレール上を走行する台車に取り付けられているため、レールの設置位置や台車の寸法、第2の型枠の取付位置などを正確に定めておくだけで、トンネル内周面に対する第2の型枠の中心位置を決めることができる。換言すると、第2の型枠の中心位置を調整することなく、シート筒状体をトンネル内周面に対して所定の位置に保持できる。
【0010】
枕木及びレールは、トンネルの全長に渡るトンネル内周面へのシートの張り付けが完了した後に撤去すればよいことから、シート張り付け作業中、既にシートを張り付けた箇所にあるレールを使用して第2の型枠その他の資材を搬送できる。
【0011】
別の発明では、前記台車は、正面形状が門型を呈するように形成されている。
【0012】
トンネルが既設のものである場合、トンネルの腐食した内周縁部を削り取った後シートを張り付けるが、台車が門型を呈するように形成されていれば、削りがらを排出するための手段を台車の内方に配置することができる。また、トンネルが既設であるか、新設であるかに拘わらず、台車の内方の空間を、資材を搬送したり、作業員が往来したりするための空間として使用できる。
【0013】
さらに別の発明は、既設のトンネル内周縁部の腐食部分を削り取った後、露出したトンネル内周面にシートを張り付ける方法である。この方法では、第1の型枠を枕木の下方に配置してシート筒状体のうち前記枕木の下方に位置する部分を保持し、シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設けるまで、前記発明と実質的に同じ過程を経る。その後、正面形状が門型を呈し、前記レール上を走行する台車に取り付けた、径方向へ拡大・縮小可能な第2の型枠を縮小した状態で配置し、拡大して前記シート筒状体のうち前記枕木の上方に位置する部分を保持し、前記シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設ける。そして、前記間隔内にコンクリートを打設する。
【0014】
前述した第1の発明と実質的に同じ作用及び効果が得られる。
【0015】
加えて、台車が門型を呈するように形成されていることから、削りがらを排出するための手段を台車の内方に配置することができる。また、台車の内方の空間を、資材を搬送したり、作業員が往来したりするための空間として使用することができる。
【0016】
さらに別の発明では、前記台車の径方向の内方に、削り取ったがらを排出する手段を配置し、トンネル内周縁部の削り取りと、シートの張り付けとを独立に行う。
【0017】
トンネルの腐食した内周縁部を削り取り、削りがらを排出する作業をシートの張り付け作業とは関係なく独立して行うため、一方の作業の遅延が他方の作業に影響を及ぼすような事態を避けることができる。
【0018】
さらに別の発明では、前記シート筒状体は、前記枕木の端面に対向する部位に周方向へ伸びるスリットを有し、前記枕木はこのスリットを貫通する締め付け手段によってトンネルに固定されている。
【0019】
第1の型枠を枕木の下方に配置し、第2の型枠を枕木の上方に配置して第2の型枠を拡大すると、シート筒状体が次第に拡大する。このとき、シート筒状体がスリットの部位で締め付け手段に対して相対変位するため、枕木の下方に位置するシート筒状体の部分が第1の型枠に押し付けられるようになる。第2の型枠が十分に拡大すると、シート筒状体は第1の型枠と第2の型枠によって張られた状態に保持される。
【0020】
シート筒状体を緩みのない状態で保持できるため、シートの張り付けを良好に行うことができる。
【0021】
さらに別の発明では、前記枕木を撤去した後、前記シートのスリットを塞ぐ。
【0022】
シートと同じ材料から成るパッチをスリットに当て、接着などによってスリットを塞ぐことにより、水がシートと打設したコンクリートとの間のすきまに入るのを防ぐことができる。
【0023】
さらに別の発明は、トンネル内周面にシートを張り付ける装置である。この装置は、前記シートを筒状にして垂下する仮受け台と、複数の枕木であってトンネルの軸線方向に間隔をおいてトンネルの軸線に交差する方向へ配置され、各枕木の軸線方向にある2つの端面が前記筒状シートの内側面に接触し、トンネルに固定される複数の枕木と、これら枕木に敷設されるレールと、前記枕木の下方に配置される第1の型枠と、正面形状が門型を呈し、前記レール上を走行する台車と、この台車に取り付けられた、径方向へ拡大・縮小可能な第2の型枠とを備える。
【0024】
枕木を固定し、レールを敷設すると台車がレール上を走行し、第2の型枠はシートを張り付けるべき所定位置に運ばれる。第2の型枠が所定位置に達すると、第2の型枠の中心位置はトンネル内周面の中心位置と実質的に一致する。
【0025】
第2の型枠が台車に取り付けられているため、第1の型枠と比べて大型となる第2の型枠の移動が容易であり、第2の型枠が拡大・縮小可能であるため、シート筒状体を容易に保持できる。また、台車が門型を呈しているため、台車の内方の空間を活用できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
トンネル10の内周面12にシート14を張り付ける方法は、断面状態の図1及び図2を参照すると、まずシート14を所定位置、つまりシート14を張り付けるべき箇所に搬送する。
【0027】
トンネル10は、図示の実施例では、既設のトンネルの内周面13を削り取り、新たな内周面12を露出させた形態である。トンネル10内に下水が流れているとき、シート14を張り付けるべき箇所の上流から下流へバイパス管を設け、下水をバイパス管に流すようにする。トンネルが新設の場合、内周面を削り取ることなく、シートを内周面に張り付ける。
【0028】
シート14はそれ自体公知のプラスチック製又はゴム製の耐食シートであり、図示の実施例では、コイル状に巻き付けられた状態で搬送している。搬送には適当な台車16を使用する。
【0029】
次いで、搬送したシート14を、シート14がトンネル内周面12に沿うように仮受け台18から垂下する。
【0030】
シート14がコイル状に巻き付けたものである場合、コイルの軸線がトンネル10の軸線方向と一致するようにシート14を台車16に載せて搬送する。この場合、台車16はシート14を支える複数のローラ17を有することが好ましく、シート14の全長は、トンネル内周面12から所定の間隔をおいて、つまり後述のコンクリート打設厚みをおいてシートを配置したとき、シートの両端が若干重なり合うように定めることが好ましい。
【0031】
台車16からコイルの一端を引き出し、これを仮受け台18の一方側、例えば図1の右側に引き上げ、仮受け台18の上側に導いた後、仮受け台18の他方側から引き下ろす。コイルの引き上げは、ウインチ(図示せず)に巻き付けたワイヤをコイルの一端に結合し、ウインチによって行うことが便宜である。
【0032】
シート14の垂下に先立って、又は垂下した後、シート14の周方向にある2つの端部20,21を結合し、シート筒状体22を形成する(図2)。
【0033】
シート14の2つの端部20,21の結合は、熱溶着によるのが便宜であるが、接着剤による接着、両面テープによる接着も可能である。結合は結合部からの水漏れが実質的に生じないように行う。シート14の軸線方向長さは、例えば、2−3mとし、長過ぎることによる結合作業の妨げが生じないようにすることが好ましい。シート14をコイル状に巻いて搬送する場合、仮受け台18から垂下した後に端部20,21を結合し、シート筒状体22を形成するが、板状のシート14を積層した状態で搬送する場合、シート筒状体22を形成した後に垂下することもできる。
【0034】
シート筒状体22を垂下した後、複数の枕木24をトンネル10の軸線方向に間隔をおいてトンネルの軸線に交差する方向へ配置し、各枕木の軸線方向にある2つの端面26,27をシート筒状体22の内側面に接触させ、枕木24をトンネル10に固定する。
【0035】
詳細を示す図3を参照すると、枕木24の端面26は、トンネル10の内周面12と実質的に同心となった円弧面であり、シート筒状体22は端面26に密接している。
【0036】
トンネル内周面12にコンクリート製のスペーサ28を作っておき、ボルト30をスペーサ28に植え込んでおく。一方、シート筒状体22のボルト30に対応する部位に孔又はスリット32を開けておき、この孔又はスリット32と枕木24の端面26に開けた穴とにボルト30を差し込んでナット34をボルト30にねじ込み、枕木24をトンネル10に固定する。枕木24の端面27も同様に形成し、トンネル10に固定する。
【0037】
その後、レール36を複数の枕木24にトンネル10の軸線方向へ敷設する。
【0038】
図2に示した実施例では、一対のレール36と、これらレール36より間隔が狭くなった一対のレール38とを敷設している。一対のレール36は後述の第2の型枠を取り付けた台車用であり、一対のレール38は資材その他の物を運搬する台車用である。レール38は敷設しなくてもよい。
【0039】
レール36の敷設に先立って、敷設中又は敷設した後、仮受け台18をシート筒状体22から外す。
【0040】
シート筒状体22は厚さが数ミリあり、それ自体で不十分ながら形状を保つ剛性を有するため、仮受け台18を外しても、シート筒状体22がひしゃげてしまうことはない。仮受け台18は、後述の第2の型枠をシート筒状体22の径方向の内方へ導くまでにはシート筒状体22から外す必要がある。例えば、第2の型枠をシート筒状体22の一方の開口から導きつつ、仮受け台18を他方の開口から外すこともできる。
【0041】
レール36の敷設に先立って、敷設中又は敷設後、第1の型枠40を枕木24の下方に配置してシート筒状体22のうち枕木24の下方に位置する部分を保持し、シート筒状体22の外側面とトンネル内周面12との間に実質的に一定の間隔42を設ける。
【0042】
図2に示したように、シート筒状体22のうち枕木24の下方に位置する部分は、断面が円弧状を呈している。そこで、第1の型枠40は、トンネル内周面12と実質的に同心の円弧面を有するものとして形成し、枕木24の下方に配置して枕木24に固定し、シート筒状体22を保持させる。第2の型枠46は、単一の形態であってもよく、また複数に分割した形態であってもよく、後述の第2の型枠と同様に、径方向へ拡大・縮小可能に形成することもできる。
【0043】
第1の型枠40を配置した後、レール36上を走行する台車44に取り付けた、径方向へ拡大・縮小可能な第2の型枠46を縮小した状態で配置し、拡大してシート筒状体22のうち枕木24の上方に位置する部分を保持し、シート筒状体22の外側面とトンネル内周面12との間に実質的に一定の間隔48を設ける。
【0044】
図示の実施例では、台車44は、正面形状が門型を呈するように形成されており、型枠44を拡大・縮小するジャッキ50及び型枠44の振れ防止手段52を介して型枠44を支持している。間隔42,48は実質的に同じ大きさとすることが好ましい。
【0045】
シート筒状体22を型枠40,46で保持した後、間隔42,48内にコンクリートを打設する。
【0046】
コンクリートを打設するためには、それ自体公知のように、シート筒状体22の軸線方向にある2つの端面のそれぞれにおいて円弧形状のスペーサを配置して、間隔42,48を外部から仕切り、間隔42,48内に導いたチューブによってコンクリートを間隔42,48内に充填する。
【0047】
一部を断面とした側面状態を示す図4を参照すると、既設のトンネル10の内周縁部の腐食部分を回転式のカッタ60で削り取った後、露出したトンネル内周面にシートを張り付ける方法が理解できる。
【0048】
カッタ60は、クローラ62を装着し、自走できる掘削機64に取り付けられている。本願発明の対象とするトンネル10は、クローラ62を装着した掘削機64が中に入ることができるような大口径のものである。油圧を供給する駆動ユニット66は掘削機64から独立しており、掘削機64とは別個に運ばれる。
【0049】
削り取られたがらはバックホー68によってベルトコンベヤ70,72に投入され、さらに台車44の部位で台車44の内方に配置されたベルトコンベヤ74に投入され、後方へ排出される。
【0050】
図2から明らかであるように、台車44が門型である場合、ベルトコンベヤ74を台車44の径方向の内方に配置することができる。これは、掘削機64による腐食部分の削り取り、及びベルトコンベヤ70,72,74によるがらの排出と、台車44に取り付けた型枠46によるシート筒状体22の保持、及びその後のコンクリート打設とを相互に関係なく独立的に行うことができることを意味する。
【0051】
図3に示したように、シート筒状体22は、枕木24の端面26に対向する部位に周方向へ伸びるスリット32を有することが好ましく、この場合、枕木24はスリット32を貫通する締め付け手段30によってトンネルに固定されることが好ましい。
【0052】
シート筒状体22がスリット32を有する場合、枕木24を撤去した後、シート筒状体のスリット32を塞ぐ。
【0053】
スリット32を塞ぐには、ボルト30を切断して除いた後にパッチを張り付けてもよく、ボルト30はそのままでボルトの周囲にパッチを張り付けてもよい。
【0054】
次に、トンネル10の内周面12にシート14を張り付ける装置を、再び図1ないし図3を参照して説明する。
【0055】
シート14を筒状にして垂下する仮受け台18は、図示の実施例では、ベルトコンベヤ72のフレームに取り付けられている。図1に示した仮受け台18は、上に向けて凸状に湾曲したプレートからなり、このプレートはベルトコンベヤのフレーム76に固定した架台78に取り付けられている。架台78及び仮受け台18は、図4に示すようにトンネル10の軸線方向へ水平に伸びている。架台78及び仮受け台18のトンネル軸線方向長さは、シート筒状体22の軸線方向長さと同じ程度に定めることができる。
【0056】
トンネルの軸線方向に間隔をおいて配置する複数の枕木24は、H形鋼又は溝形鋼で作ることができる。各枕木24の軸線方向にある2つの端にプレートを溶接して端面26,27とし、端面26,27にボルト30を貫通させる孔を開ける。枕木24とトンネル内周面12とは、図3に示したように、コンクリート製のスペーサ28をトンネル内周面12に設けると共に、ボルト30をスペーサ28に植え込み、端面26,27に開けた孔にボルト30を差し込んでナット34を締め付ける形態が好ましい。この場合、スペーサ28やボルト30が第1の型枠40及び第2の型枠46と干渉しない位置に設けるようにする。
【0057】
シート筒状体22にスリット32を設ける場合、スペーサ28の端が枕木24の端面26,27と接触して枕木24を確実に固定でき、かつ、シート筒状体22がスペーサ28に対して周方向へ相対移動できるように、スペーサ28の端部をスリット32内に差し込むようにする。
【0058】
枕木24に敷設されるレール36,38は、それ自体公知のものであり、ボルトによって枕木24に固定する。
【0059】
第1の型枠40は、トンネル内周面12と同心の円弧外側面を有するプレートによって作ることができる。プレートを格子状に配列した補強材で補強し、剛性を高める。第1の型枠40のトンネル軸線方向長さは、シート筒状体22の軸線方向長さと等しいか、わずかに長くする。
【0060】
図3に示すように、第1の型枠40に溶接した取付板80を上方に向けて突出し、ボルト82を取付板80の孔に差し込む。一方、ブラケット84を枕木24の下側に設けてボルト82に対応させる。ロックナット86を緩め、ボルト82をブラケット84の孔にねじ込んだ後、ロックナット86を回してプレート80に押し付け、ロック状態に保ち、シート筒状体22を保持させる。ボルト82とブラケット84の対をトンネル軸線方向及び周方向に複数設ける。
【0061】
台車44は正面形状が門型を呈し、レール36上を走行する。トンネル軸線方向となる台車44の2つの端部に門型の2つのフレームを配置し、2つのフレーム相互を形鋼部材で結合して台車44が作られている。2つのフレームの下端に車輪90を取り付ける。
【0062】
第2の型枠46は台車44に取り付けられ、径方向へ拡大・縮小可能である。図2に示した実施例では、第2の型枠46は、トンネル内周面12と同心の円弧外側面をそれぞれ有する3つのプレート92,94,96からなり、トンネル軸線方向へ伸びている。プレート92,94,96のトンネル軸線方向長さは、第1の型枠40と同じ長さでよい。プレート92,94,96は格子状の補強材で補強することが好ましい。
【0063】
プレート92はジャッキ50に取り付けられ、振れ防止手段52によって振れを防止した状態で平行移動し、図2の実線で示した拡大位置と、仮想線で示した縮小位置とをとる。同様に、プレート94,96はジャッキ98に取り付けられ、振れ防止手段100によって振れを防止した状態で平行移動し、図2の実線で示した拡大位置と、仮想線で示した縮小位置とをとる。プレート94とプレート96とは、同じ大きさのジャッキ98と、同じ大きさの振れ防止手段100で作動できる。図示の実施例では、ジャッキ50,98は油圧シリンダ装置であり、振れ防止手段52,100は、ロッドが筒状のガイドに差し込まれ、入れ子式に伸縮するものである。ジャッキ50,98及び振れ防止手段52,100は、トンネル軸線方向へ複数配置する。
【0064】
図示のように第2の型枠46が3つのプレート92,94,96を有し、各プレートが平行移動して拡大、縮小する場合、拡大した位置ではシート筒状体22を確実に保持するが、縮小した位置では又は縮小するときには、プレート92,94,96相互が干渉しないことが必要である。そのためには、拡大した位置にあるとき、プレート92,94,96相互が干渉しない程度にそれぞれの周方向長さを定めると共に、プレート94,96をまず縮小し、次いでプレート92を縮小するように作動させて縮小するときの干渉を避けるようにし、ジャッキ98のストロークをジャッキ50のストロークより大きくしておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトンネル内周面にシートを張り付ける方法と、シートを張り付ける装置との実施例を示す断面図で、図4の概ね1−1線に沿って切断したものである。
【図2】 本発明に係るトンネル内周面にシートを張り付ける方法と、シートを張り付ける装置との実施例を示す断面図で、図4の概ね2−2線に沿って切断したものである。
【図3】 枕木とシート筒状体との要部を示す拡大断面図である。
【図4】 トンネル内周縁部の削り取りと、トンネル内周面へのシートの張り付けとを同時に実施している状態を示す、一部を断面とした側面図である。
【符号の説明】
10 トンネル
12 内周面
14 シート
18 仮受け台
22 シート筒状体
24 枕木
26,27 端面
32 スリット
40 第1の型枠
44 台車
46 第2の型枠
Claims (7)
- トンネル内周面にシートを張り付ける方法であって、
シートを搬送すること、
搬送したシートを、シートがトンネル内周面に沿うように仮受け台から垂下すること、
この垂下に先立って、又は垂下した後、シートの周方向にある2つの端部を結合し、シート筒状体を形成すること、
複数の枕木をトンネルの軸線方向に間隔をおいてトンネルの軸線に交差する方向へ配置し、各枕木の軸線方向にある2つの端面を前記シート筒状体の内側面に接触させ、前記枕木をトンネルに固定すること、
レールを前記枕木にトンネルの軸線方向へ敷設すること、
レールの敷設に先立って、敷設中又は敷設した後、前記仮受け台を前記シート筒状体から外すこと、
第1の型枠を前記枕木の下方に配置して前記シート筒状体のうち前記枕木の下方に位置する部分を保持し、前記シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設けること、
前記レール上を走行する台車に取り付けた、径方向へ拡大・縮小可能な第2の型枠を縮小した状態で配置し、拡大して前記シート筒状体のうち前記枕木の上方に位置する部分を保持し、前記シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設けること、
前記間隔内にコンクリートを打設することを含む、トンネル内周面にシートを張り付ける方法。 - 前記台車は、正面形状が門型を呈するように形成された、請求項1に記載のトンネル内周面にシートを張り付ける方法。
- 既設のトンネル内周縁部の腐食部分を削り取った後、露出したトンネル内周面にシートを張り付ける方法であって、
シートを搬送すること、
搬送したシートを、シートがトンネル内周面に沿うように仮受け台から垂下すること、
この垂下に先立って、又は垂下した後、シートの周方向にある2つの端部を結合し、シート筒状体を形成すること、
複数の枕木をトンネルの軸線方向に間隔をおいてトンネルの軸線に交差する方向へ配置し、各枕木の軸線方向にある2つの端面を前記シート筒状体の内側面に接触させ、前記枕木をトンネルに固定すること、
レールを前記枕木にトンネルの軸線方向へ敷設すること、
レールの敷設に先立って、敷設中又は敷設した後、前記仮受け台を前記シート筒状体から外すこと、
第1の型枠を前記枕木の下方に配置して前記シート筒状体のうち前記枕木の下方に位置する部分を保持し、前記シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設けること、
正面形状が門型を呈し、前記レール上を走行する台車に取り付けた、径方向へ拡大・縮小可能な第2の型枠を縮小した状態で配置し、拡大して前記シート筒状体のうち前記枕木の上方に位置する部分を保持し、前記シート筒状体の外側面とトンネル内周面との間に実質的に一定の間隔を設けること、
前記間隔内にコンクリートを打設することを含む、トンネル内周面にシートを張り付ける方法。 - 前記台車の径方向の内方に、削り取ったがらを排出する手段を配置し、トンネル内周縁部の削り取りと、シートの張り付けとを独立に行う、請求項3に記載のトンネル内周面にシートを張り付ける方法。
- 前記シート筒状体は、前記枕木の端面に対向する部位に周方向へ伸びるスリットを有し、前記枕木はこのスリットを貫通する締め付け手段によってトンネルに固定された、請求項1ないし4のいずれかに記載のトンネル内周面にシートを張り付ける方法。
- 前記枕木を撤去した後、前記シート筒状体のスリットを塞ぐ、請求項5に記載のトンネル内周面にシートを張り付ける方法。
- トンネル内周面にシートを張り付ける装置であって、
前記シートを筒状にして垂下する仮受け台と、
複数の枕木であってトンネルの軸線方向に間隔をおいてトンネルの軸線に交差する方向へ配置され、各枕木の軸線方向にある2つの端面が前記筒状シートの内側面に接触し、トンネルに固定される複数の枕木と、
これら枕木に敷設されるレールと、
前記枕木の下方に配置される第1の型枠と、
正面形状が門型を呈し、前記レール上を走行する台車と、
この台車に取り付けられた、径方向へ拡大・縮小可能な第2の型枠とを備える、トンネル内周面にシートを張り付ける装置。
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