JP4354486B2 - 絞り出し袋、絞り出し袋を製造するのに用いられるブランクおよび絞り出し袋の製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、特許請求の範囲の請求項１の前段に記載される使い捨ての絞り出し袋に関し、とりわけ、食料品の処理を行うのに用いられる使い捨ての絞り出し袋に関する。

絞り出し袋は、主に、ペストリー（ねり菓子）、菓子または食品に、ホイップ・クリーム、マーチパン（ｍａｒｚｉｐａｎ）、パン生地（ｄｏｕｇｈ）、クリームチーズ、砂糖ペースト等のような粘性のある半流動体または半流動性のペースト（ｐａｓｔｅ）を加えて飾りをつけるために用いられる。絞り出し袋は、例えば、接着剤、セメント、石膏、成形化合物等の添加のような他の目的にも用いることができる。

使い捨ての絞り出し袋は、米国特許第３，１５７，３１２号に開示されている。この絞り出し袋は、２層の高分子フィルムから形成され、袋の両端縁に沿って同時に溶接されたプラスチック袋からなっている。絞り出し袋は、各隅のうちの一つにおいて、実質的に円錐状となっているノズルが設けられ、このノズルを通って絞り出し袋に詰められたペーストを排出することができるようになっている。押し出された糸状のペーストを好ましい外観とするよう選択された性質のノズルを設けることができる。

従来技術に係る使い捨ての絞り出し袋について、当該絞り出し袋は、製造工程の間および排出操作を行う際の両方において手で握ることが困難であるという問題点がある。

このため、使い捨ての絞り出し袋の改善が必要となる。

本発明は、従来技術に関連する問題を減少させるまたは取り除くような使い捨ての絞り出し袋を提供することを目的とする。

この目的は、添付の特許請求の範囲の各独立請求項による絞り出し袋、ブランクおよび方法により達成することができる。実施の形態は、下記の記載および図面とともに、添付の特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。

第１の態様によれば、高分子フィルムの入れ物を有する使い捨ての絞り出し袋が提供される。この絞り出し袋は薄肉の高分子チューブから実質的に形成され、この絞り出し袋の外表面には表面構造が設けられていることを特徴とする。

ここで、「使い捨て」とは、使い捨て袋が使用後に廃棄され、洗浄されたり再使用されたりすることのないことを意味する。しかしながら、このことは、使い捨て袋の再補充および／または洗浄が行われ、複数回にわたって流動性のペーストを薄く塗るために用いられることを除外するものではない。実際には、「使い捨て」とは、非常に低コストで大量に使い捨て袋を製造することが可能となる必要があることを意味する。

「表面構造」とは、表面の３次元構造を意味する。

絞り出し袋の表面構造は、使用者の握りから当該絞り出し袋が滑ってしまう危険を減少させ、とりわけ、手袋を取り付けている使用者の手が濡れているとき、または油やグリース等により汚れているときに顕著である。さらに、いかなる摩擦力向上剤を加えなくとも容易に握ることができる絞り出し袋を提供することが可能となる。摩擦力向上剤が加えられた場合であっても、表面構造は以下の利点を有する。すなわち、高分子チューブまたは絞り出し袋の隣接する２つの層の間に空間を形成し、この空間は、各層が互いに接着して握持がより困難となるという危険性を取り除くまたは減少させることができる。

第２の態様によれば、高分子フィルムの入れ物を各々有する少なくとも２つの使い捨ての絞り出し袋を製造するのに用いられるブランクが提供される。このブランクは、薄肉の細長い高分子チューブからなり、絞り出し袋は切断マークにより互いに分離可能となっており、薄肉の高分子チューブの外表面には表面構造が設けられていることを特徴とする。

第３の態様によれば、高分子フィルムの入れ物を有する使い捨ての絞り出し袋の製造方法が提供される。この方法は、薄肉の高分子チューブから絞り出し袋を実質的に形成する工程と、薄肉の高分子チューブの外表面に表面構造を設ける工程と、を備えたことを特徴とする。

図１において、排出口５にノズル２が設けられ、開口端部４を介して流動性のペースト（ｐａｓｔｅ）３が注入された絞り出し袋１を示す。絞り出し袋１の開口端部４が例えば折り畳まれて閉じ、この絞り出し袋１に圧力が加えられたときに、流動性のペースト３はノズル２を介して排出することができるようになっている。

図２に示すように、絞り出し袋１は高分子チューブ部材より形成されており、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン・プラスチックより形成されている。図２に示すように、何も注入されていないときに、絞り出し袋１は実質的に２次元に延びるようになっており、その形状は、高分子チューブが折りたたまれたときに形成される端縁９、１０の２つの平行な折り目により画定され、そして、この絞り出し袋１には端縁９、１０に対して斜め横方向に延びる接合部７が設けられている。接合部７に沿って、当業者にとって自明の方法、例えば目打ち（ｐｅｒｆｏｒａｔｉｏｎ）により得られる切断マーク８が延びている。絞り出し袋１の開口端部４において、切断マーク１１が端縁９、１０に対して垂直方向に延びている。開口端部において、弱溶接接合部（図示せず）が設けられており、この弱溶接接合部は、切断マーク１１に沿って裂け目が入るような構成となっており、使用者が意図的に絞り出し袋を開けるまで絞り出し袋が閉じたままとなるようにしている。一の実施の形態において、低温または機械的圧力によりこの弱溶接接合部が得られる。

絞り出し袋１において排出を可能とするために、この絞り出し袋１は切断ラインＫにおいて切断され、望ましい形状の排出口５が得られる。この排出口５において、ノズル２が適合可能となっており、また、代わりに絞り出し袋はノズルなしで用いられるようになっている。

図３に示すように、絞り出し袋を製造するのに用いられる高分子チューブ２１は一対のローラ２０、２０間を通過することにより折り畳まれ、実質的に２次元となっている２層の細長いブランク２２が形成される。フィルムのブロー成形を行うことにより高分子チューブを形成することは、当業者にとってよく知られた事項である。

図４に示すように、絞り出し袋３１、３１´の画定を行うために、斜めに延びる溶接接合部７および切断マーク８、１１が２層のブランク２２に設けられる。

絞り出し袋は実質的に透明であってもよい。すなわち、絞り出し袋の限定的な表面を介して内容物を見ることができるような度合いで透明となっている。一の実施の形態によれば、絞り出し袋には薄い色が付いている。

絞り出し袋１の外表面には、握りやすさを向上させるための表面構造が設けられており、表面構造の凹凸により、人間の手と絞り出し袋との間の摩擦力が向上している。

図５に、握りやすさを向上させる表面構造の第１の実施例を示す。この表面構造は、高分子チューブを形成するためにフィルムのブロー成形を実行する前に、またはこの工程と同時に、高分子パルプに粒子および／または薄片を加えることにより得ることができる。また、チューブ２１またはブランク２２が形成された後に、粒子および／または薄片を高分子チューブの表面に加えてもよいことが理解されよう。粒子または薄片は、例えば、高分子チューブを形成する材料よりも高密度および／または高融点のプラスチック材料から形成される。例えば、高分子チューブは低密度のポリエチレン（ＰＥ−ＬＤ）から形成され、粒子または薄片は高密度のポリエチレン（ＰＥ−ＨＤ）またはポリプロピレンから形成されてもよい。他の実施の形態によれば、粒子または薄片はおがくず、細砂、石灰、および／あるいは、中身が詰まったまたは中空の微小ガラス球体から形成されている。

（参照例）
図５に示す表面と類似する表面を得る他の方法（参照例）としては、絞り出し袋の外側に漆を塗る方法が挙げられる。漆には、表面構造を形成する添加物、例えば上述の種類の添加物が加えられている。

（参照例）
図６に、握りやすさを向上させる表面構造の他の参照例を示す。この表面構造は、高分子チューブ２１に対してエンボスロールを用いて例えば図３に示すような圧延を行うことにより得ることができる。必要であれば、熱の作用により圧延を行ってもよい。このような圧延により、高分子チューブの表面を粗くすることができ（図６）、または高分子チューブを溝付き構造（図示せず）とすることができる。

一の実施の形態において、高分子チューブは少なくとも２つの積層された高分子材料層から形成することができる。この種の高分子チューブは、異なる機能を有する複数の層を有している。例えば、流動性のペーストの注入を容易にし、このペーストが絞り出し袋の内壁に付着することを抑止し、ノズル２の取り付けを容易にするような内層、あるいは、気密性の層、補強層および／または握りやすさを向上させる外層を有している。内側および外側の層について押出成形とフィルムのブロー成形を同時に行うことにより、積層された高分子チューブを得る方法は、当業者にとって明らかであろう。積層されたプラスチックフィルムを得る他の従来技術の方法としては、例えば接着剤を用いて、および／または加熱により、２つのフィルム層を結合する方法が挙げられる。

握りやすさを向上させる表面構造を設けるための上述の方法は、単層の絞り出し袋および積層された絞り出し袋の両方に用いることができる。図５に示される表面構造は、積層された絞り出し袋に十分に適合する。なぜならば、高分子チューブの外層を形成する材料に粒子または薄片を加えるのに十分であるからである。

（参照例）
図７に、握りやすさを向上させる表面構造の参照例を示す。この表面構造は、積層された高分子チューブの外側の層を形成する材料に発泡剤を加えることにより得ることができる。当業者にとって、発泡に関する技術はよく知られている。フィルムのブロー成形後、高分子チューブ２１を熱に露出させることにより、発泡剤からガスが放出され、高分子チューブの外表面に気泡が形成され、この気泡が破裂する。このことにより、構造が図７に示すような種類となるような凹凸のある表面が形成される。発泡剤の非制限的な例としては、重炭酸塩、ＡＺＯ−ジカーボネート・アミドおよび水が挙げられる。

（参照例）
握りやすさを向上させる表面構造の他の参照例を図８に示す。この表面構造は、飢餓フィード（飢餓供給、ｓｔａｒｖｅ−ｆｅｅｄｉｎｇ）法により得ることができる。飢餓フィード法は、純粋なプラスチック、またはケイ酸塩、チョーク、炭酸塩、小さなガラスビーズ、細砂等の、高分子チューブの外側の層を形成する材料に加えられる充填剤が添加されたプラスチックを用いることにより行うことができる。当業者にとって、飢餓フィード法はよく知られている。外層の材料を供給するのに用いられる射出装置は、飢餓フィードを行うことができるものとなっており、このことにより、図７の表面構造と類似する表面構造が得られる。この場合、表面の好ましい凹凸を得るために、充填剤の濃度および摩擦力を変化させることができる。

（参照例）
図７または図８に示す表面構造と類似する、握りやすさを向上させる表面構造の参照例は、外層が飢餓フィードされ、成形機が通常よりも低い温度において操作されるような、コールドフィード法によって得ることができる。この場合、充填剤は不要である。当業者にとって、コールドフィード法はよく知られている。

握りやすさを向上させる表面構造を得るための上述の方法は、例えばポリイソブチレンおよび／またはグリセロール・エステル等の粘性のある高分子液体のような、公知の摩擦力向上剤の添加工程と組み合わせることもできる。

一の実施の形態においては、図５に示される表面構造は図７または図８に示される表面構造と組み合わせられる。この実施の形態は、図６に示される表面構造および／または摩擦力向上剤と組み合わせることもできる。

他の実施の形態においては、図７または図８に示される表面構造は、図６に示される表面構造と組み合わせられる。この実施の形態は、摩擦力向上剤と組み合わせることもできる。

絞り出し袋の概略斜視図である。 図１の絞り出し袋の概略平面図である。 高分子チューブを圧延して図１の絞り出し袋を形成する工程を説明するための斜視図である。 図１の絞り出し袋を形成するために用いられるブランクの平面図である。 表面構造の第１の実施例を示す図である。 表面構造の第２の実施例を示す図である。 表面構造の第３の実施例を示す図である。 表面構造の第４の実施例を示す図である。

Claims (7)

1. 高分子フィルムの入れ物を有する、食料品の処理を行うのに用いられる使い捨ての絞り出し袋（１）であって、
   当該絞り出し袋は薄肉の高分子チューブから形成され、
   この絞り出し袋の外表面には凹凸のある表面構造が設けられ、
   前記の凹凸のある表面構造は、薄肉の高分子チューブを形成する材料に粒子または薄片を加える方法により形成されたものであり、
   前記薄肉の高分子チューブは、前記表面構造を有する少なくとも１つのフィルム層からなり、高分子チューブの前記外表面に、粘性のある摩擦力向上剤が添加されていることを特徴とする絞り出し袋（１）。
2. 薄肉の高分子チューブはプラスチックフィルムから形成され、好ましくはポレオリフィン・プラスチックから形成されることを特徴とする請求項１に記載の絞り出し袋（１）。
3. 薄肉の高分子チューブは透明であることを特徴とする請求項１または２に記載の絞り出し袋（１）。
4. 薄肉の高分子チューブの壁は少なくとも２つの積層された材料層からなり、これらの層のうち外側の材料層に前記の凹凸のある表面構造が設けられていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の絞り出し袋（１）。
5. 高分子フィルムの入れ物を各々有する少なくとも２つの、食料品の処理を行うのに用いられる使い捨ての絞り出し袋（１、３１、３１´）を製造するのに用いられるブランク（３０）であって、
   当該ブランクは薄肉の細長い高分子チューブ（２１、２２）からなり、
   絞り出し袋（１、３１、３１´）は切断マーク（８）により互いに分離可能となっており、
   薄肉の高分子チューブの外表面には凹凸のある表面構造が設けられ、
   前記の凹凸のある表面構造は、薄肉の高分子チューブを形成する材料に粒子または薄片を加える方法により形成されたものであり、
   前記薄肉の高分子チューブは、前記表面構造を有する少なくとも１つのフィルム層からなり、高分子チューブの前記外表面に、粘性のある摩擦力向上剤が添加されていることを特徴とするブランク（３０）。
6. 薄肉の高分子チューブは、当該チューブの長手方向（Ｄ１）に対して横切るような切断マーク（８）を有することを特徴とする請求項５に記載のブランク（３０）。
7. 薄肉の高分子チューブは、前記切断マーク（８）に沿って設けられた接合部（７）、好ましくは溶接接合部を有することを特徴とする請求項６に記載のブランク（３０）。

Images