以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像読取装置を備えたMFP(Multi Function Peripheral)の斜視図である。図1を参照して、MFPは、原稿画像を読取るための画像読取装置10と、画像読取装置10の下部に設けられた画像形成装置20とを含む。MFPは、画像読取装置10で読取られた画像を紙などの記録媒体に形成する。また、MFPは、フアクシミリ装置、ローカルエリアネットワーク(LAN)、公衆回線などのネットワークと接続するための通信インターフェースを備える。
図2は画像読取装置10の内部構成の概略を示す図である。画像読取装置10は、原稿を自動的に原稿読取り位置に搬送するための自動原稿搬送装置(ADF)101と、本体部103とを含む。自動原稿搬送装置101は、原稿読取位置付近において原稿の搬送をガイドするための上部規制板203と、原稿を原稿読取り位置に搬送するためのタイミングローラ対201と、読取り位置を通過した原稿を搬送するためのローラ対202とを備える。
本体部103は、透明な部材から構成された原稿台205と、原稿の搬送経路の一部を形成する通紙ガイド207と、原稿を読取り位置で照射するための光源206と、光源からの光を反射させる反射部材208と、3つのラインセンサが副走査方向に配列された読取部213と、原稿からの反射光を反射して読取部213に導くための反射ミラー209と、反射ミラー209からの反射光を読取部213上に結像させるためのレンズ211と、読取部213が出力する電気信号を処理するための画像処理部215と、原稿台205を振動させるためのモータ219と、画像処理部215からの制御信号に基づいてモータ219の駆動を制御するモータ制御部217とを含む。
原稿200は、タイミングローラ対201により、原稿台205と上部規制板203との間を矢印D1の方向に搬送される。そして、搬送されながら読取位置Lにおいて、読取部213によりその画像が逐次読取られる。自動原稿搬送装置101によって、原稿が搬送される方向は、読取位置Lにおいて副走査方向である。画像読取動作中、原稿台205は、モータ219により矢印D2の方向に振動させられている。原稿台205の振動方向と副走査方向とは実質的に平行である。
読取部213は、3つのラインセンサを備える。3つのラインセンサそれぞれは、副走査方向と実質的に垂直な主走査方向に複数の光電変換素子が配列されている。3つのラインセンサそれぞれは、互いに分光感度が異なるフィルタを有し、原稿から反射した光をフィルタを介して受光する。具体的には、赤(R)、緑(G)および青(B)の各波長の光を透過するフィルタを有する。このため、赤(R)のフィルタを有するラインセンサは、原稿から反射した光のうち赤色の光の強度を示す電気信号(R信号)を出力し、緑(G)のフィルタを有するラインセンサは、原稿から反射した光のうち緑色の光の強度を示す電気信号(G信号)を出力し、青(B)のフィルタを有するラインセンサは、原稿から反射した光のうち青色の光の強度を示す電気信号(B信号)を出力する。
3つのラインセンサは、副走査方向に所定の距離を隔てて予め定められた順番で配置される。ここでは、原稿の読取ラインに換算して3ライン分の距離を隔てて原稿の搬送方向で赤、緑、青の順に配置されている。なお、ラインセンサを配置する間隔および順番は、これらに限定されるものではない。
3つのラインセンサは、3ライン分の距離を隔てて赤、緑、青の順に配置されるので、3つのラインセンサは、同じタイミングで原稿の異なる位置で反射した光を受光する。したがって、原稿のある位置で反射した光は、まず、赤の光を受光するラインセンサで受光され、その後緑の光を受光するラインセンサで受光され、最後に青の光を受光するラインセンサで受光される。この遅れは、後述する画像処理部215で調整される。
原稿台205は、透明な部材からなり、たとえば、ガラス、樹脂などで形成された平板である。
なお、本実施の形態においては、読取部213に3つのラインセンサを設けるようにしたが、4つ以上のラインセンサを設けるようにしてもよい。
図3は、原稿台を振動させるための機構を示す斜視図である。図3を参照して、原稿台205は、原稿台ホルダ221により保持される。原稿台ホルダ221は、ガイド220により副走査方向に摺動可能に保持される。ガイド220は、画像読取装置10の本体に固定される。原稿台ホルダ221の1つの面に2つのアーム222が接合されている。アーム222の他端は円形の穴を有する。
軸224には、2つのアーム222に対応する位置に2つのカム223が取付けられる。また、軸224の一端にギア225が取付けられる。ギア225は、モータ219の駆動軸とベルトで接合されたギア226と噛み合うように配置される。モータ219が回転すると、その回転がベルトを介してギア226に伝えられ、ギア226が回転する。ギア226の回転に伴って、ギア225および軸224が回転する。
カム223は、アーム222の円形の穴の中に配置される。このため、軸224の回転に伴う2つのカム223の回転運動が、原稿台ホルダ221の往復運動に変換される。
なお、原稿台205を振動させるための機構はこれに限定されることなく、例えば、電磁石、空気圧、油圧等を利用したピストン等の直線運動を生じさせる駆動源を用いた機構としてもよい。
原稿台205は、副走査方向と平行に振動させられる。原稿台205が原稿の搬送方向と逆方向に移動している間は、原稿台205と、原稿とは逆方向に移動するため、原稿台205のラインセンサ213R,213G,213Bに対する相対速度と、原稿のラインセンサ213R,213G,213Bに対する相対速度とが異なる。一方、原稿台205が原稿の搬送方向に移動している間は、原稿台205の速度と、原稿の搬送速度とは方向が同じである。速さを異ならせるようにするのが好ましい。なお、ここでは、原稿台205を副走査方向と平行に振動させるようにしたが、方向はこれに限定されない。
ここで、本実施の形態における画像読取装置10が、原稿台205に付着したゴミにより発生するノイズを、読取った画像から検出する原理について説明する。図4は、読取った画像からゴミを読取ることにより発生するノイズを検出する原理を説明するための図である。ここでは、原稿および原稿台205は図中矢印方向に搬送され、原稿台205の移動速度は、原稿の搬送速度と方向が同じで2倍の速さとしている。また、3つのラインセンサは、赤の光を受光するラインセンサ、緑の光を受光するラインセンサ、青の光を受光するラインセンサの順に、原稿の搬送方向に3ラインの距離を隔てて配置されているものとする。なお、赤の光を受光するラインセンサの出力をR、緑の光を受光するラインセンサの出力をG、青の光を受光するラインセンサの出力をBで示している。
図4(A)は、ライン間補正を説明するための図である。原稿の一部の画像は、まず、原稿の搬送方向の最も上流に配置された赤の光を受光するラインセンサで読取られる。そして、その原稿の画像が4ライン分の距離だけ搬送されて、緑の光を受光するラインセンサで読取られる。さらに、その原稿の画像が4ライン分の距離だけ搬送されて、青の光を受光するラインセンサで読取られる。
このように、原稿の同じ位置の画像が、3つのラインセンサで異なるタイミングで読取られるため、3つのラインセンサが出力する信号にタイミングのずれが生じる。ライン間補正では、各信号が原稿の同じ位置となるように3つのラインセンサが出力する信号のタイミングを合わせる。具体的には、出力Rを8ライン分遅延させ、出力Gを4ライン分遅延させる。
ライン間補正した出力R,出力G、出力Bを合成した合成出力は、原稿の同じ位置で読取った出力R,出力G、出力Bを合成した出力となる。
図4(B)は、原稿台に付着したゴミを読取った場合に出力される合成出力を説明するための図である。原稿台205に付着したゴミは、まず、原稿の搬送方向の最も上流に配置された赤の光を受光するラインセンサで読取られる。そして、そのゴミが4ライン分の距離だけ搬送されて、緑の光を受光するラインセンサで読取られる。ここで、原稿台205は、原稿の搬送速度に対して2倍の速さで同一方向に移動するため、ラインセンサが原稿を2ライン分読取るだけの時間でゴミは4ライン分を移動する。このため、赤のラインセンサでゴミを読取った時点と、緑のラインセンサでゴミを読取る時点とでは、2ライン分を読取る時間だけずれる。さらに、そのゴミが4ライン分の距離だけ搬送されて、青の光を受光するラインセンサで読取られる。原稿台205は、原稿の搬送速度に対して2倍の速さで同一方向に移動するため、緑のラインセンサでゴミを読取った時点と、青のラインセンサでゴミを読取る時点とでは、2ライン分を読取る時間だけずれる。
そして、ライン間補正により、赤の光を受光するラインセンサがゴミを読取って出力する出力Rは8ライン分遅延され、緑の光を受光するラインセンサがゴミを読取って出力する出力Gは4ライン分遅延される。このため、ライン間補正した出力R,出力G、出力Bを合成した合成出力では、ゴミを読取った出力Rと、ゴミを読取った出力Gと、ゴミを読取った出力Bとが同じタイミングとならず、2ライン分ずれる。
なお、図では、紙粉などの白色のゴミが原稿台205に付着しており、黒色の原稿を読取る場合の合成出力を示している。この場合、白色のゴミを読取ったにもかかわらず、合成出力では、白色ではなく、3つのラインに分かれた青、緑、赤の出力となる。
図4(C)は、原稿台に付着したゴミを読取った場合に出力される合成出力を説明するための別の図である。図4(C)では、副走査方向に10ライン分の大きさのゴミを読取る場合を例に示している。原稿台205は、原稿の搬送速度に対して2倍の速さで同一方向に移動するため、ごみは、5ライン分の大きさとして読取られる。
原稿台205に付着したゴミは、まず、原稿の搬送方向の最も上流に配置された赤の光を受光するラインセンサで読取られる。そして、そのゴミが4ライン分の距離だけ搬送されて、緑の光を受光するラインセンサで読取られる。赤のラインセンサでゴミを読取った時点と、緑のラインセンサでゴミを読取る時点とでは、2ライン分を読取る時間だけずれる。さらに、そのゴミが4ライン分の距離だけ搬送されて、青の光を受光するラインセンサで読取られる。緑のラインセンサでゴミを読取った時点と、青のラインセンサでゴミを読取る時点とでは、2ライン分を読取る時間だけずれる。
そして、ライン間補正により、赤の光を受光するラインセンサがゴミを読取って出力する出力Rは8ライン分遅延され、緑の光を受光するラインセンサがゴミを読取って出力する出力Gは4ライン分遅延される。このため、ライン間補正した出力R,出力G、出力Bを合成した合成出力では、ゴミを読取った5ライン分の出力Rと、ゴミを読取った5ライン分の出力Gと、ゴミを読取った5ライン分の出力Bとは、同じタイミングとならず、2ライン分ずれる。なお、図では、紙粉などの白色のゴミが原稿台205に付着しており、黒色の原稿を読取る場合の合成出力を示している。この場合、白色のゴミを読取ったにもかかわらず、合成出力では、青、青緑、白、黄、赤の順に色が変化する出力となる。
このように、原稿台205に付着したゴミは、画像中で複数のラインに分断される。この分断されたラインを各色ごとに特徴点として抽出することにより、ノイズを検出するのである。また、分断されることによって、ゴミを読取ることにより生じるノイズも少なくなる。
図5は、原稿台を裏面から見た平面図である。図5を参照して、原稿台205は、一端にマーク205Aを有する。マーク205Aは、主走査方向の長さが副走査方向の位置により異なる形状であり、単色である。ここでは、マーク205Aは、三角形の形状で、黒色としている。また、マーク205Aの一辺が原稿台205の一辺と平行に配置される。
読取部213を用いて、または、読取部213とは別に設けられ、本体部103に固定されたセンサを用いて、マーク205Aの主走査方向の長さを検出することにより、原稿台205の読取部213に対する相対的な位置を検出することが可能となる。
図6は、読取部213で読取られる原稿台205上の位置を示す図である。読取部213は、赤(R)のフィルタを有するラインセンサ213Rと、緑(G)のフィルタを有するラインセンサ213Gと、青(B)のフィルタを有するラインセンサ213Bとが、原稿の搬送方向D1に、ラインセンサ213R、213G、213Bの順に配列されている。
ラインセンサ213Rは、原稿台205の領域205Rを透過した光を受光する。ラインセンサ213Gは、原稿台205の領域205Gを透過した光を受光する。ラインセンサ213Bは、原稿台205の領域205Bを透過した光を受光する。領域205R,205G,205Bは、3ライン分の間隔を有するようにラインセンサ213R,213G,213Bが配置される。原稿は、まず領域205Rを通過し、次に領域205Gを通過し、最後に領域205Bを通過する。したがって、原稿のある位置で反射した光は、まず、赤の光を受光するラインセンサ213Rで受光され、その後緑の光を受光するラインセンサ213Gで受光され、最後に青の光を受光するラインセンサ213Bで受光される。このように、ラインセンサ213R,213G,213Bは、3ライン分の距離を隔てて配置されるので、ラインセンサ213R,213G,213Bは、同時に原稿の同じ位置で反射した光を受光することはない。
ここで、原稿台205上に最大長さが4ライン以下のゴミ300が付着しているとする。この場合、原稿台205が副走査方向に平行に振動して移動するので、ゴミ300は領域205R,205G,205Bの2つ以上に同時に存在することはない。図6では、ゴミ300が領域205Gに存在する場合を示している。この場合には、ゴミ300で反射した光は、ラインセンサ213Gでのみ受光され、ラインセンサ213R,213Bでは受光されない。
また、原稿台205が振動することにより、ゴミ300が存在することとなる領域は、原稿台205が原稿の搬送方向D1に移動しているときは、初めに領域205R、次に領域205G、最後に領域205Bの順に変化する。逆に、原稿台205が原稿の搬送方向D1と逆に移動しているときは、初めに領域205B、次に領域205G、最後に領域205Rの順に変化する。
したがって、ゴミ300で反射した光が受光される順序は、原稿台205が原稿の搬送方向D1に移動しているときは、初めにラインセンサ213R、次にラインセンサ213G、最後にラインセンサ213Bであり、原稿台205が原稿の搬送方向D1と逆に移動しているときは、初めにラインセンサ213B、次にラインセンサ213G、最後にラインセンサ213Rである。
図7は、本実施の形態における画像読取装置の画像処理部の構成を示すブロック図である。図7を参照して、画像処理部215には、読取部213からR信号、G信号、B信号が入力される。画像処理部215は、読取部213から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するためのアナログデジタル変換部(A/D変換部)251と、光源206の照明ムラ等を補正するためのシェーディング補正部253と、R信号、G信号およびB信号が原稿の同一ラインとなるように同期させるためのライン間補正部255と、レンズ211による主走査方向の歪を補正するための色収差補正部257と、R信号、G信号、B信号のそれぞれからノイズを検出するためのノイズ検出処理部259と、ノイズ画素を補正する処理を実行するノイズ補正部260と、画像処理部215の全体を制御するための制御部263と、画像を画像形成装置20に出力するためのプリンタインタフェース261とを備える。制御部263には、原稿台205の位置を検出するための位置検出部265が接続されている。位置検出部265は、原稿台205が有するマーク205Aの主走査方向の長さを検出する。
ライン間補正部255は、R信号を8ライン分遅延させ、G信号を4ライン分遅延させることにより、R信号、G信号およびB信号が原稿の同一ラインとなるように同期させる。上述したように、ラインセンサ213R,213G,213Bは、副走査方向に3ライン分の距離を隔てて配列されていたためである。
ノイズ検出処理部259は、色収差補正部257よりR信号、G信号およびB信号が入力され、制御部263から原稿台205の位置と、原稿台205の移動方向とが入力される。ノイズ検出処理部259は、色収差補正部257から入力されたR信号、G信号およびB信号ごとに、ノイズ画素を検出する。そして、ノイズ画素を「1」とし他の画素を「0」とする論理信号をノイズ補正部260と制御部263とに出力する。その詳細については後述する。
ノイズ補正部260には、色収差補正部257よりR信号、G信号およびB信号が入力され、ノイズ検出処理部259からは、ノイズ画素を「1」とし他の画素を「0」とする論理信号がR信号、G信号およびB信号ごとに入力される。
ノイズ補正部260は、R信号、G信号およびB信号それぞれに対応する論理信号からノイズ画素とされる画素の色を判定する。この際、副走査方向に連続するノイズ画素の色を判定する。また、ノイズ画素が副走査方向に連続しない場合には、2つのノイズ画素の間にある画素の色を判定する。そして、主走査方向に同じ位置で、副走査方向の色の変化が、次の順となるときに、それらの画素の全てをノイズ画素とする。
(1)CBMRYまたはYRMBC
(2)CBKRYまたはYRKBC
(3)RYGCBまたはBCGYR
(4)RYWCBまたはBCWYR
ただし、Rは赤、Gは緑、Bは青、Cは青緑、Mは赤紫、Yは黄、Kは黒、Wは白を示す。なお、ここでは色の変化の順番を示したのみで、同じ色の画素が2つ以上連続してもよい。たとえば、CCBBMMRRYYと色が変化する場合でもよい。
これにより、ゴミが、複数のラインセンサにより同時に読取られる大きさ、ここでは4ライン分以上の大きさであっても、そのゴミを読取ることにより生じるノイズを検出することができる。
また、ノイズ補正部260は、R信号、G信号およびB信号それぞれについて、対応する論理信号に基づいて、ノイズ画素とされた画素値を周辺のノイズ画素でない画素の画素値に置換える。周辺のノイズ画素でない複数の画素の平均値、最大値または最小値に置換えるようにすればよい。ノイズ補正部260は、ノイズ画素を周辺の画素で置換したR信号、G信号およびB信号をプリンタインタフェースに出力する。
制御部263では、位置検出部265から原稿台205の位置が入力され、ノイズ検出処理部259からノイズ画素を「1」とし他の画素を「0」とする論理信号が入力される。制御部263は、これらの信号から、ゴミの原稿台205上の位置を特定する。より具体的には、原稿台205の位置と論理信号のライン番号とから原稿台205の副走査方向の位置を特定し、論理信号のノイズ画素の位置から原稿台205の主走査方向の位置を特定する。
次にノイズ検出処理について具体的に説明する。図6で説明したように、ラインセンサ213R,213G,213Bは、同じタイミングで原稿の異なる位置を読取ることになる。ライン間補正部255で、R信号、G信号およびB信号のラインを同期させることにより、原稿の同じ位置を読取ったR信号、G信号およびB信号が得られる。
したがって、原稿の同じ位置を読取ったR信号、G信号およびB信号は、原稿台205にゴミが付着している場合は、いずれか1つの信号が影響される。
図8は、読取部が出力するRGB信号の一例を示す図である。図8(A)は、黒色のゴミが原稿台のラインセンサ213Rに対応する領域205Rに付着しており、原稿の白色の領域を読取った場合の一例を示している。ラインセンサ213Rが黒色のゴミを読取った時点の原稿の領域が、ラインセンサ213G,213Bに対応する領域205G,205Bに移動した時点では、ゴミはラインセンサ213G,213Bに対応する領域205G,205Bには存在しない。原稿と原稿台205とが異なる速度で移動するからである。このため、ラインセンサ213G,213Bでは、原稿の白色の領域を読取ることになる。その結果、ラインセンサ213Rが出力するR信号だけが明度が低くなり、ラインセンサ213G,213Bが出力するG信号、B信号は明度が高い。なお、ここでは、反射光に応じた3つのラインセンサ213R,213G,213Bの出力値を明度という。
図8(A)に示すRGB信号の組合せは、ゴミのない状態で原稿を読取った場合に出力されることは希である。最も近い組合せは、赤の補色である青緑の領域を読取った場合である。図8(B)は、原稿の青緑の領域を読取った場合に読取部213が出力するRGB信号を示す図である。R信号は明度が大きく下がるがG信号およびB信号の明度も下がる。
このため、図8(A)に示すRGB信号と図8(B)に示すRGB信号とではB信号とG信号が影響を受けるか受けないかの大きな違いがある。この違いを検出することにより、青緑の線を誤ってノイズとして検出することなく、黒色のゴミをノイズとして検出することができる。したがって、明度の変化を検出するためのしきい値は、次の値のうち最も小さな値とすればよい。
(1)明度の高い無彩色のゴミを検出する場合
青緑の線をノイズとして誤って検出することがないように、赤の補色である青緑を読取った場合に、ラインセンサ213R以外のラインセンサ213G,213Bのいずれか一方が出力する明度と明度の最大値(255)との差Ref1(G),Ref1(B)とすればよい。赤紫の線をノイズとして誤って検出することがないように、緑の補色である赤紫を読取った場合に、ラインセンサ213G以外のラインセンサ213R,213Bのいずれか一方が出力する明度と最大明度(255)との差Ref1(R),Ref1(B)とすればよい。黄の線をノイズとして誤って検出することがないように、青の補色である黄を読取った場合に、ラインセンサ213B以外のラインセンサ213R,213Gのいずれか一方が出力する明度と最大明度(255)との差Ref1(R),Ref1(G)とすればよい。
(2)明度の低い無彩色のゴミを検出する場合
赤の線をノイズとして誤って検出することがないように、赤を読取った場合に、ラインセンサ213R以外のラインセンサ213G,213Bのいずれか一方が出力する明度と明度の最小値(0)との差Ref1(G),Ref1(B)とすればよい。緑の線をノイズとして誤って検出することがないように、緑を読取った場合に、ラインセンサ213G以外のラインセンサ213R,213Bのいずれか一方が出力する明度と最小値(0)との差Ref1(R),Ref1(B)とすればよい。青の線をノイズとして誤って検出することがないように、青を読取った場合に、ラインセンサ213B以外のラインセンサ213R,213Gのいずれか一方が出力する明度と最小値(0)との差Ref1(R),Ref1(G)とすればよい。
このようにして、しきい値Ref1(R),Ref1(G),Ref1(B)は、複数求まるが、それらの最小値を用いればよい。
ここでは、黒色のゴミをノイズとして検出することを説明するが、黒色でなくても無彩色のゴミであれば検出することが可能である。無彩色のゴミであれば、R信号、G信号およびB信号の全てに影響を与えるからである。
また、ここでは白色の原稿を読取る場合を例に説明するが、原稿の色は白色に限定されることなく、どのような色であってもよい。
図9は、本実施の形態における画像読取装置のノイズ検出処理部の構成を示すブロック図である。図9を参照して、ノイズ検出処理部259は、入力されるR信号、G信号、B信号それぞれから主走査方向に所定の特徴を有する領域を抽出するための明度差検出部301R、301G,301Bと、明度差検出部301R、301G,301Bで抽出された領域と副走査方向に離れた領域との画素値を比較する副走査方向比較部302R,302G,302Bと、否定論理和素子305R,305G,305Bと、論理積素子307R,307G,307Bと、検出エリア拡張処理部309R,309G,309Bとを含む。
R信号、G信号、B信号が1ラインずつ順にノイズ検出処理部259に入力される。なお、R信号、G信号、B信号は、複数ラインまとめて入力されてもよく、画像全体でまとめて入力されてもよい。
明度差検出部301Rは、R信号としきい値Ref1(R)とが入力される。明度差検出部301Rは、R信号から所定の特徴を有する領域を抽出する。所定の特徴を有する領域とは、明度の変化が少ない領域であって、周辺の領域と明度の差がしきい値Ref1(R)以上の領域である。そのような領域は、1画素以上の大きさであればよい。ここでは、所定の特徴を有する領域を候補領域という。
候補領域は、エッジ抽出フィルタを用いて抽出されるエッジ領域として抽出することができる。エッジ抽出フィルタは、エッジ領域のサイズごとに複数準備され、フィルタ処理の結果得られる値としきい値Ref1(R)とが比較される。そして、しきい値Ref1(R)との条件を満たすエッジ領域が抽出される。
図10は、エッジ抽出フィルタの一例を示す図である。図10(A)は、R信号が1ラインずつ入力される場合に1画素のサイズのエッジ領域を検出するために用いられるエッジ抽出フィルタを示す。
図10(B)は、R信号が1ラインずつ入力される場合に3画素のサイズのエッジ領域を検出するために用いられるエッジ抽出フィルタを示す。図10(C)は、R信号が複数ラインまとめて入力される場合に3画素のサイズのエッジ領域を検出するために用いられるエッジ抽出フィルタを示す。
図10(D)は、R信号が1ラインずつ入力される場合に5画素のサイズのエッジ領域を検出するために用いられるエッジ抽出フィルタを示す。図10(E)は、R信号が複数ラインまとめて入力される場合に5画素のサイズのエッジ領域を検出するために用いられるエッジ抽出フィルタを示す。
これらのエッジ抽出フィルタの成立条件は、次のようになる。
(1)明度が高い場合(次式(1)が成立する場合)のエッジ領域の判定条件は、画素Aと画素Bの明度の平均から左側の画素C1の明度の平均を減算した値がしきい値Ref(R)を超え、かつ、画素Aと画素Bの明度の平均から右側の画素C2の明度の平均を減算した値がしきい値Ref1(R)を超える場合(次式(2)および次式(3)が成立する場合)である。
平均(画素Aと画素B)−平均(画素C1と画素C2)>Ref …(1)
平均(画素Aと画素B)−平均(画素C1)>Ref1(R) …(2)
平均(画素Aと画素B)−平均(画素C2)>Ref1(R) …(3)
(2)明度が低い場合(次式(4)が成立する場合)のエッジ領域の判定条件は、左側の画素C1の明度の平均から画素Aと画素Bの明度の平均を減算した値がしきい値Ref(R)を超え、かつ、右側の画素C2の明度の平均から画素Aと画素Bの明度の平均を減算した値がしきい値Ref1(R)を超える場合(次式(5)および次式(6)が成立する場合)である。
平均(画素C1と画素C2)−平均(画素Aと画素B)>Ref …(4)
平均(画素C1)−平均(画素Aと画素B)>Ref1(R) …(5)
平均(画素C2)−平均(画素Aと画素B)>Ref1(R) …(6)
この場合に、エッジ領域として抽出されるのは、画素Aおよび画素Bを含む領域である。
G信号、B信号についても、R信号に用いられるのと同様のエッジ抽出フィルタを用いることができる。
図9に戻って、明度差検出部301Rで抽出された候補領域に含まれる画素を「1」とし、そうでない画素を「0」とした論理信号が、副走査方向比較部302Rに出力される。ここでは、明度差検出部301Rで、図10(C)に示したエッジ抽出フィルタを用いてエッジ領域を抽出した場合を説明する。すなわち、副走査方向比較部302Rに入力される論理信号は、図10(C)に示したエッジ抽出フィルタを用いて抽出されたエッジ領域に含まれる画素の値を「1」とし、他の画素の値を「0」とした信号である。
副走査方向比較部302Rは,エッジ抽出フィルタのサイズにより定まる距離だけエッジ領域から副走査方向に離れた位置の領域を特定する。この領域を参照領域という。参照領域は、エッジ領域の副走査方向の両側に2つ存在する。参照領域は、その主走査方向の画素数を、対応するエッジ領域の主走査方向の画素数に等しくするのが好ましい。参照領域の副走査方向の画素数を1画素とするが、これに限定されず、複数画素としても良い。好ましくは1画素である。
そして、副走査方向比較部302Rは、エッジ領域に含まれる画素の平均値とそのエッジ領域に対応する参照領域に含まれる画素の平均値とが所定の関係にある場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素とする。参照領域は2つ存在するため、いずれかの参照領域との間で上記所定の関係が成立すればよい。そして、特徴画素を「1」とし、他の画素を「0」とする論理信号を、論理積素子307Rと、否定論理和素子305G,305Bに出力する。
図11は、エッジ領域と参照領域との位置関係を示す図である。図11を参照して、図10(C)に示したエッジ抽出フィルタを用いて抽出されたエッジ領域が、1つの画素Aと8つの画素Bで示される。太線で囲まれた領域がゴミを読取った領域を示している。エッジ領域から副走査方向の一方(図面では上方)に6画素の間隔を隔てて3つの画素Dを含む参照領域が示される。なお、図では、図10(C)に示したエッジ抽出フィルタも示している。
ここで、エッジ領域とそれに対応する参照領域との位置関係について説明する。図11に示されるように、原稿に付着したゴミを読取った領域は、副走査方向に連続する複数の画素を含んでいる。副走査方向に隣接する画素の値を比較したのでは、比較する画素がともにゴミを読取った領域に含まれる確率が高くなる。したがって、エッジ領域と参照領域とはできるだけ離れていることが望ましい。しかしながら、離れすぎると参照領域がエッジ領域と近似しない領域となってしまうことも考えられる。
本実施の形態においては、参照領域とエッジ領域との間の距離をゴミを読取った領域の1/2となるようにしている。これにより、参照領域がエッジ領域の副走査方向の両側に存在するので、ゴミを読取った領域に含まれるエッジ領域の全てについて、ゴミを読取った領域の外側に位置する参照領域を定めることができる。
ゴミは紙片などが予想されるが、その形状は、円形となることが多い。また、原稿台205はラインセンサ213R,213G,213Bに相対して移動させられ、原稿はラインセンサ213R,213G,213Bに相対して搬送される。このため、画像中におけるゴミを読取った領域の副走査方向の長さ(ノイズ長)は、次式(7)とすることができる。
ノイズ長=(エッジ領域の主走査方向の画素数+ラインセンサの間隔×2)×原稿搬送速度/原稿台の移動速度 …(7)
なお、ノイズ長の単位は副走査方向の画素数(ライン数)である。
なお、参照領域とエッジ領域との間の距離を、ゴミを読取った領域の1/2となるようにしたが、予め定められた距離としてもよい。予め定めた距離とすれば、ノイズ長が比較的長い場合に、そのノイズの両端の先端部分をノイズ画素として検出することができる。
副走査方向比較部302Rでは、次式(8)および次式(9)のいずれかが成立する場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素と判定し、次式(8)および次式(9)のいずれも成立しない場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素とは判定しない。
(1)明度が高い場合(上記式(1)が成立する場合)は、画素Aと画素Bの明度の平均から画素Dの明度の平均を減算した値がしきい値Ref2(R)を超える場合(次式(8)が成立する場合)である。
平均(画素Aと画素B)−平均(画素D)>Ref2(R) …(8)
この場合に、特徴画素とされるのはエッジ領域に含まれる画素Aおよび画素Bである。
(2)明度が低い場合(上記式(4)が成立する場合)は、画素Dの明度の平均から画素Aと画素Bの明度の平均を減算した値がしきい値Ref2(R)を超える場合(次式(9)が成立する場合)である。
平均(画素D)−平均(画素Aと画素B)>Ref2(R) …(9)
この場合に、特徴画素とされるのはエッジ領域に含まれる画素Aおよび画素Bである。
したがって、特徴画素は、明度の変化が少ない領域であって、周辺の領域と明度の差がしきい値Ref1(R)を超える候補領域に含まれ、かつ、その候補領域と副走査方向に所定の画素数離れた位置の参照領域とにおいて、各領域の画素値の平均の差がしきい値Ref2を超える候補領域に含まれる画素である。換言すれば、特徴画素は、主走査方向および副走査方向にある画素と所定の値以上の明度差を有する画素である。
明度差検出部301Gは、G信号としきい値Ref1(G)とが入力される。明度差検出部301Gは、G信号から候補領域を抽出する。候補領域とは、明度の変化が少ない領域であって、周辺の領域と明度の差がしきい値Ref1(G)以上の領域である。
候補領域は、エッジ抽出フィルタを用いて抽出するようにしてもよい。エッジ抽出フィルタは、エッジ領域のサイズごとに複数準備され、フィルタ処理の結果得られる値としきい値Ref1(G)とが比較される。そして、しきい値Ref1(G)との条件を満たす画素がエッジ領域の中心画素とされ、その条件をみたしたエッジ抽出フィルタからエッジ領域のサイズが求められる。
明度差検出部301Gで抽出された候補領域に含まれる画素を「1」とし、そうでない画素を「0」とした論理信号が、副走査方向比較部302Gに出力される。ここでは、明度差検出部301Rで、図10(C)に示したエッジ抽出フィルタを用いてエッジ領域を抽出した場合を説明する。
副走査方向比較部302Gは,エッジ抽出フィルタのサイズにより定まる距離だけエッジ領域から副走査方向に離れた位置の参照領域を特定する。そして、副走査方向比較部302Gは、エッジ領域に含まれる画素の平均値とそのエッジ領域に対応する参照領域に含まれる画素の平均値とが所定の関係にある場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素とする。参照領域は2つ存在するため、いずれかの参照領域との間で上記所定の関係が成立すればよい。
副走査方向比較部302Gでは、上記式(8)および上記式(9)のいずれかが成立する場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素と判定し、上記式(8)および上記式(9)のいずれも成立しない場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素とは判定しない。なお、上記式(8)および(9)でRef2(R)とあるのは、Ref2(G)に置換えた式が用いられる。そして、特徴画素を「1」とし、他の画素を「0」とする論理信号を、論理積素子307Gと、否定論理和素子305R,305Bに出力する。
明度差検出部301Bは、B信号としきい値Ref1(B)とが入力される。明度差検出部301Bは、B信号から候補領域を抽出する。候補領域とは、明度の変化が少ない領域であって、周辺の領域と明度の差がしきい値Ref1(B)以上の領域である。
候補領域は、エッジ抽出フィルタを用いて抽出するようにしてもよい。エッジ抽出フィルタは、エッジ領域のサイズごとに複数準備され、フィルタ処理の結果得られる値としきい値Ref1(B)とが比較される。そして、しきい値Ref1(B)との条件を満たす画素がエッジ領域の中心画素とされ、その条件をみたしたエッジ抽出フィルタからエッジ領域のサイズが求められる。
明度差検出部301Bで抽出された候補領域に含まれる画素を「1」とし、そうでない画素を「0」とした論理信号が、副走査方向比較部302Bに出力される。ここでは、明度差検出部301Bで、図10(C)に示したエッジ抽出フィルタを用いてエッジ領域を抽出した場合を説明する。
副走査方向比較部302Bは,エッジ抽出フィルタのサイズにより定まる距離だけエッジ領域から副走査方向に離れた位置の参照領域を特定する。そして、副走査方向比較部302Rは、エッジ領域に含まれる画素の平均値とそのエッジ領域に対応する参照領域に含まれる画素の平均値とが所定の関係にある場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素とする。参照領域は2つ存在するため、いずれかの参照領域との間で上記所定の関係が成立すればよい。
副走査方向比較部302Bでは、上記式(8)および上記式(9)のいずれかが成立する場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素と判定し、上記式(8)および上記式(9)のいずれも成立しない場合に、エッジ領域に含まれる画素を特徴画素とは判定しない。なお、上記式(8)および(9)でRef2(R)とあるのは、Ref2(B)に置換えた式が用いられる。そして、特徴画素を「1」とし、他の画素を「0」とする論理信号を、論理積素子307Bと、否定論理和素子305R,305Gに出力する。
否定論理和素子305Rには、副走査方向比較部302G,302Bそれぞれから特徴画素を「1」とする論理信号が入力される。否定論理和素子305Rは、入力された2つの論理信号の論理和を反転した論理信号を論理積素子307Rに出力する。すなわち、G信号およびB信号のいずれでも特徴画素でない画素を「1」とし、少なくとも一方で特徴画素である画素を「0」とする論理信号が出力される。
論理積素子307Rは、副走査方向比較部302Rから入力される論理信号と、否定論理和素子305Rから入力される論理信号の論理積を、検出エリア拡張処理部309Rに出力する。すなわち、R信号で特徴画素であって、B信号およびG信号のいずれでも特徴画素でない画素を「1」とし、他の画素を「0」とする論理信号が出力される。この論理信号で値が「1」の画素はノイズ画素を示す。したがって、否定論理和素子305Rと論理積素子307Rとにより、R信号から抽出された特徴画素のうちから、G信号およびB信号のいずれでも特徴画素として抽出されなかった画素がノイズ画素として判定される。
検出エリア拡張処理部309Rは、論理積素子307Rから入力される論理信号で「1」とされる画素の周辺の画素を「1」とすることにより、ノイズ画素の範囲を拡張する。これは、ノイズ画素の補正の精度を向上させるためである。範囲が拡張されたノイズ画素を「1」とする論理信号が、ノイズ補正部260に出力される。
否定論理和素子305Gには、副走査方向比較部302R,302Bそれぞれから特徴画素を「1」とする論理信号が入力される。否定論理和素子305Gは、入力された2つの論理信号の論理和を反転した論理信号を論理積素子307Gに出力する。すなわち、R信号およびB信号のいずれでも特徴画素でない画素を「1」とし、少なくとも一方で特徴画素である画素を「0」とする論理信号が出力される。
論理積素子307Gは、副走査方向比較部302Gから入力される論理信号と、否定論理和素子305Gから入力される論理信号の論理積を、検出エリア拡張処理部309Gに出力する。すなわち、G信号で特徴画素であって、R信号およびB信号のいずれでも特徴画素でない画素を「1」とし、他の画素を「0」とする論理信号が出力される。この論理信号で値が「1」の画素はノイズ画素を示す。したがって、否定論理和素子305Gと論理積素子307Gとにより、G信号から抽出された特徴画素のうちから、R信号およびB信号のいずれでも特徴画素として抽出されなかった画素がノイズ画素として判定される。
検出エリア拡張処理部309Gは、論理積素子307Gから入力される論理信号で「1」とされる画素の周辺の画素を「1」とすることにより、ノイズ画素の範囲を拡張する。これは、ノイズ画素の補正の精度を向上させるためである。範囲が拡張されたノイズ画素を「1」とする論理信号が、ノイズ補正部260に出力される。
否定論理和素子305Bには、副走査方向比較部302R,302Gそれぞれから特徴画素を「1」とする論理信号が入力される。否定論理和素子305Bは、入力された2つの論理信号の論理和を反転した論理信号を論理積素子307Bに出力する。すなわち、R信号およびG信号のいずれでも特徴画素でない画素を「1」とし、少なくとも一方で特徴画素である画素を「0」とする論理信号が出力される。
論理積素子307Bは、副走査方向比較部302Bから入力される論理信号と、否定論理和素子305Bから入力される論理信号の論理積を、検出エリア拡張処理部309Bに出力する。すなわち、B信号で特徴画素であって、R信号およびG信号のいずれでも拡張された特徴画素でない画素を「1」とし、他の画素を「0」とする論理信号が出力される。この論理信号で値が「1」の画素はノイズ画素を示す。したがって、否定論理和素子305Bと論理積素子307Bとにより、B信号から抽出された特徴画素のうちから、R信号およびG信号のいずれでも特徴画素として抽出されなかった画素がノイズ画素として判定される。
検出エリア拡張処理部309Bは、論理積素子307Bから入力される論理信号で「1」とされる画素の周辺の画素を「1」とすることにより、ノイズ画素の範囲を拡張する。これは、ノイズ画素の補正の精度を向上させるためである。範囲が拡張されたノイズ画素を「1」とする論理信号が、ノイズ補正部260に出力される。
以上説明したように、画像読取装置10のノイズ検出処理部259は、3つのラインセンサ213R,213G,213Bが出力するR信号、G信号およびB信号それぞれから特徴画素を抽出し、R信号、G信号およびB信号のいずれか1つから抽出された特徴画素をノイズ画素として検出する。このため、原稿を読取った画像から原稿台に存在するゴミにより発生するノイズを検出することができる。
また、主走査方向および副走査方向の明度の変化から特徴画素を抽出するので、特徴画素を正確に抽出することができる。さらに、参照領域を候補領域と副走査方向に所定の画素数だけ離れた位置にある領域としたので、ゴミのサイズに合せて、参照領域を候補領域からできるだけ離れた位置とすることにより、検出精度を高めることができる。また、原稿を読取って得られる画像にゴミを読取ったノイズが副走査方向に長い場合でも、その両端をノイズ画素として検出することができる。
また、参照領域とエッジ領域との間の距離を、ゴミの主走査方向の長(候補領域の主走査方向の画素数)と、原稿の搬送速度と、原稿台の移動速度とから定めるので、ゴミのサイズに合せて、参照領域を候補領域からできるだけ離れた位置とすることができ、検出精度を高めることができる。
なお、本実施の形態においては、読取部213を本体部103に固定する例を示したが、読取部213を移動させて走査する場合にも適用することができる。例えば、上部規制板を白色または黒色の単色にしておき、読取部213または光源206、反射ミラー209および反射部材208を副走査方向に移動させて走査する。この走査中に原稿台205を副走査方向に振動させることにより、原稿台205に付着したゴミを検出することができる。
なお、上述した画像読取装置には、以下の概念も含まれる。
(1)画像読取装置は、副走査方向に距離を隔てて配置され、原稿を副走査方向に走査する複数のラインセンサと、
原稿と前記複数のラインセンサとの間に設けられた原稿台と、
原稿と前記複数のラインセンサとの相対速度と異なる相対速度で前記原稿台を前記複数のラインセンサに相対して移動させる移動手段と、
前記複数のラインセンサが出力する複数のデータそれぞれから主走査方向および主走査方向と交わる副走査方向それぞれに所定の特徴を有する特徴画素を抽出する抽出手段と、
前記複数のデータ間で原稿の同じ位置を読取った画素を比較し、前記複数のデータのうち1のデータから抽出された特徴画素を、他の全てのデータでは特徴画素でないことを条件にノイズ画素として検出する検出手段とを備え、
前記抽出手段は、注目画素およびその周辺にある周辺画素の画素値の平均値と、前記周辺画素と主走査方向に隣接する第1参照画素の画素との平均値とを比較する第1比較手段と、
注目画素およびその周辺にある周辺画素との画素値の平均値と、前記注目画素と副走査方向に所定の画素数だけ離れた位置にある画素および該画素と主走査方向に隣接する画素を含む第2参照画素の画素値の平均値とを比較する第2比較手段とを含む。
(2)(1)において、前記第1比較手段は、前記周辺画素の主走査方向の画素数を異ならせて、画素数ごとに比較する。
(3)(1)において、前記第2比較手段は、原稿と前記複数のラインセンサとの相対速度と、前記原稿台と前記ラインセンサの相対速度と、前記第1比較手段が比較した周辺画素の主走査方向の画素数とから前記第2参照画素が前記注目画素から副走査方向に離れる画素数を決定する。
(4)(1)において、前記抽出手段は、前記第1比較手段により画素値の差が第1しきい値以上あり、かつ、第2比較手段により画素値の差が第2しきい値以上ある場合に、注目画素およびその周辺画素を特徴画素とする。
(5)画像読取装置は、副走査方向に距離を隔てて配置され、原稿を副走査方向に走査する複数のラインセンサと、
原稿と前記複数のラインセンサとの間に設けられた原稿台と、
原稿と前記複数のラインセンサとの相対速度と異なる相対速度で前記原稿台を前記複数のラインセンサに相対して移動させる移動手段と、
前記複数のラインセンサが出力する複数のデータそれぞれから主走査方向および主走査方向と交わる副走査方向それぞれに所定の特徴を有する特徴画素を抽出する抽出手段と、
前記複数のデータ間で原稿の同じ位置を読取った画素を比較し、前記複数のデータのうち1のデータから抽出された特徴画素を、他の全てのデータでは特徴画素でないことを条件にノイズ画素として検出する検出手段とを備え、
前記抽出手段は、注目画素と主走査方向に隣接する第1参照画素との画素値を比較する第1比較手段と、
前記注目画素と副走査方向に所定の画素数だけ離れた位置にある第2参照画素との画素値を比較する第2比較手段とを含む。
(6)(5)において、前記所定の画素数は、原稿と前記複数のラインセンサとの相対速度と、前記原稿台と前記ラインセンサの相対速度とから定まる値である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 画像読取装置、20 画像形成装置、101 自動原稿搬送装置、103 本体部、200 原稿、201 タイミングローラ対、202 ローラ対、203 上部規制板、205 原稿台、205A マーク、206 光源、207 通紙ガイド、208 反射部材、209 反射ミラー、211 レンズ、213 読取部、213R,213G,213B ラインセンサ、215 画像処理部、217 モータ制御部、219 モータ、253 シェーディング補正部、255 ライン間補正部、257 色収差補正部、259 ノイズ検出処理部、261 プリンタインタフェース、263 制御部、301R,301G,301B 明度差検出部、302R,302G,302B 副走査方向比較部、305R,305G,305B 否定論理和素子、307R,307G,307B 論理積素子、309R,309G,309B 検出エリア拡張処理部。