JP4352731B2 - 画像表示媒体およびこれを用いた画像表示方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繰り返し書き換えが可能なフルカラー画像表示媒体および画像表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の発展に伴い、各種情報のデータ量は拡大の一途をたどり、情報の出力も様々な形態をとっている。情報出力の形態は一般的にブラウン管や液晶を用いたディスプレイ画面に表示されるが、これらディスプレイにおいては、携帯性や低電力性などが求められており、新規ディスプレイの開発が盛んに行われている。このような新規ディスプレイとして、着色粒子の回転(Twisting Ball Display)、電気泳動、サーマルリライタブル、メモリ性を有する液晶、エレクトロクロミー、トナーディスプレイ等の技術が知られている。前記表示技術の内、サーマルリライタブル媒体、メモリ性液晶などは、画像のメモリ性には優れるが、表示面を紙のように十分な白表示とすることができず、そのため画像を表示した場合に、画像を表示した部分と表示しない部分との区別を目視で確認しにくい、すなわち、画質が悪くなるという問題があった。
【0003】
また、Twisting Ball Displayは表示のメモリ性もあり、画像表示媒体の内部は、粒子周囲のキャビティにのみオイルが存在するが、ほとんど固体状態なのでシート化は比較的容易である。しかし、白く塗り分けられた半球面を表示側に完全に揃えた場合でも、球と球の隙間に入り込んだ光線は反射されず内部でロスしてしまうため、原理的にカバレッジ100%の白色表示はできず、やや灰色がかってしまうという問題がある。また、粒子サイズは画素サイズよりも小さいサイズであることが要求されるため、高解像度表示のためには色が塗り分けられた微細な粒子を製造しなければならず、高度な製造技術を要するといった問題もある。
【0004】
一方、電気泳動方式においては、電気泳動性の粒子を、該粒子とは異なる色調に着色された分散媒に分散した分散系をマイクロカプセルに封入し、これらマイクロカプセルを電極間に配装する構成の電気泳動表示装置が知られている(特許文献1〜3参照)。この方法は、液晶ディスプレイのようにバックライトを必要としない反射型ディスプレイであるため利用者の目の負担が軽減される、見る角度を変えても見えにくくなるということがない、応答時間が比較的早く書き換えも可能である、さらには電圧をかけることにより電極上に移動した電気泳動性粒子は電圧を取り除いても長期にわたってその状態を維持するメモリー性を有しているため、ある表示を保持する時間は電力を必要としないなどの、表示装置としての優れた性能が期待されている。
【0005】
また、トナーディスプレイについては、トナーを用いて表示する画像表示媒体として、導電性の着色トナーと白色粒子とを対向する表示基板と非表示基板との間に空気を媒体として封入し、両基板の内側に電荷輸送層と電極が形成された画像表示媒体がある(特許文献4参照)。このような画像表示媒体は、電荷輸送層を介して導電性着色トナーへ電荷が注入され、電荷注入された導電性着色トナーが電極により画像に応じて形成された基板間の電界により移動して表示基板へ付着する。これにより、表示基板側に導電性着色トナーと白色粒子とのコントラストとしての画像が表示される。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−86116号公報
【特許文献2】
米国特許第6,241,921号明細書
【特許文献3】
米国特許第6,262,706号明細書
【特許文献4】
特開2000−347483号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、電気泳動およびトナーディスプレイが新規表示方式として有力視されており、少なくとも白黒の表示においては実用化が近い状況になってきている。しかし、近年の表示媒体の使用状況(各種印刷物、コンピュータ用ディスプレイ)をみると、単色だけでなくフルカラー画像を表示できることが望まれている。3原色を配列したカラーフィルターを単色表示装置に重ねてカラー化することが試みられているが、十分な色濃度が得られないという問題点がある。
CRTやバックライト付液晶などの自発光型の表示装置の場合、3原色に分割しても十分な色濃度を表現できるので、カラーフィルター等の使用が有効であるが、電気泳動方式やトナーディスプレイ方式のような反射型のディスプレイでは、各画素を3原色に分割すると実用的な色濃度を得ることが困難である。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑み成されたものであり、発色濃度の高いフルカラーのリライタブルペーパー用表示方法を提供することが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者等は鋭意検討の結果、ロイコ染料の発色原理と微粒子の電界移動方法を組み合わせることで、発色・消色を任意に行える表示媒体を作成し、色の異なる同表示媒体を積層することで多色を表現できるため、表示媒体全面にわたって所望の発色を得ることができ、上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、背面となり、導電性を有する第2の部材と、
前記第2の部材に対向して配置され、透明かつ導電性を有し、かつ前記第2の部材に対向する面にロイコ染料が固定化されている第1の部材と、
前記第1の部材と第2の部材との間に設けられた空間内に封入された微粒子とを含んでなる画像表示媒体であって、
微粒子が、表面に顕色剤を有する、正または負に帯電する微粒子である画像表示媒体に関する。
【0011】
また、本発明は、微粒子が、表面に顕色剤を有する、正または負に帯電する第1の微粒子と、
表面に消色剤を有する、前記第1の微粒子とは逆の極性に帯電する第2の微粒子とを含む上記画像表示媒体に関する。
【0012】
また、本発明は、微粒子の平均粒径が、0.5〜10μmである上記画像表示媒体に関する。
【0013】
また、本発明は、上記画像表示媒体を複数積層してなる多色の画像表示媒体であって、各層のロイコ染料の発色挙動が異なるものである画像表示媒体に関する。
【0014】
また、本発明は、最背面の第2の部材が白色反射機能を具える上記記載の画像表示媒体に関する。
【0015】
また、本発明は、上記画像表示媒体を用いる画像表示方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のロイコ染料としては、塩基性無色染料または酸性無色染料を用いることが出来る。
【0017】
塩基性無色染料はエレクトロンを供与して、あるいは酸などのプロトンを受容して発色する性質を有するものであって、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミドなどの部分骨格を有し、顕色剤と接触してこれらの部分骨格が開環もしくは開裂する化合物が用いられる。このような化合物としてトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物等を挙げることができる。
【0018】
かかる塩基性無色染料を色別に具体例として下記に挙げるが、もちろんこれらに限定されるものではない。また、色味を補正するなどの必要に応じて2種以上を併用することも出来る。
【0019】
黒発色性ロイコ染料としては、例えば3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオランなどが挙げられる。
【0020】
青発色性ロイコ染料としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−メチル−1−n−オクチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドなどが挙げられる。
【0021】
赤発色性ロイコ染料としては、例えば3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−トリルアミノ−7−メチルフルオラン、3−トリルアミノ−7−エチルフルオラン、2−(N−アセチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンゾイルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−カルボブトキシアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオランなどが挙げられる。
【0022】
緑発色性ロイコ染料としては、例えば3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−〔p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオランなどが挙げられる。
【0023】
黄発色性ロイコ染料としては、例えば1−(4−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン、1−(4−オクトキシリル)−2−(2−キノリル)エチレン、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(4−エトキシカルボニルフェニルアミノ)フタリド、3−(4−ジブチルアミフェニル)−3−(2−クロロフェニルアミノ)フタリド、1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジブトキシフルオラン、1,3,3−トリメチルインドリン−2,2'−スピロ−6'−ニトロ−8'−メトキシベンゾピラン、I−3R(チバガイギ社製)などが挙げられる。
【0024】
酸性無色染料としては、例えばフェノールフタレイン、フルオレッセイン、テトラブロモフェノールブルー、4,5,6,7−テトラブロモフェノールフタレイン、エオシン、アウリンクレゾールレッドなどが挙げられる。
【0025】
これらの無色染料は、透明かつ導電性を有する第1の部材に絶縁膜を形成し、その上に固定化して用いる。固定化の方法としては、例えばポリカーボネートのようなバインダー樹脂中に有機溶媒とともに分散または溶解させ、第1の部材上に塗工する方法が挙げられるが、無色染料分子が顕色剤と接触して発色するために、無色染料分子の活性が保持されるような形態で固定化されることが望ましい。従って、例えば上記絶縁膜上の官能基と反応させ、分子レベルで染料分子が固定化されることが望ましい。
【0026】
本発明で用いられる正または負に帯電する微粒子は、無機微粒子と有機微粒子に大別される。無機微粒子としてシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの無機炭酸塩等が挙げられる。
【0027】
有機微粒子としては、例えばスチレン系、スチレン−アクリル系、スチレン−イソプレン系、ジビニルベンゼン系、メチルメタクリレート系、メタクリレート系、エチルメタクリレート系、エチルアクリレート系、n−ブチルアクリレート系、アクリル酸系、アクリロニトリル系、アクリルゴム−メタクリレート系、エチレン系、エチレン−アクリル酸系、ナイロン系、シリコーン系、ウレタン系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、フェノール系、フッソ(テトラクロロエチレン)系、塩化ビニリデン系、4級ピリジニウム塩系、合成ゴム、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、アルギン酸カルシウム等があげられるが、これらのポリマー材料に限定されるものではない。
【0028】
これら有機微粒子は従来公知の方法で製造することが可能であり、例えば、乳化重合を利用した方法、シード乳化重合法、ソープフリー重合法、分散重合法、懸濁重合法等があげられるが、これらの方法によって作製されたものに限定されるものではない。
【0029】
このようにして合成される高分子微粒子の例として、綜研化学より販売されているケミスノーMX、MR、MP、SXシリーズ(架橋ポリメチルメタクリレート)や、ダイキン工業(株)製のルブロンL(ポリテトラフルオロエチレン)、東芝シリコーン(株)製のトスパール(シリコーン樹脂)などがある。
【0030】
これらの微粒子を帯電させる方法としては、微粒子どうしや微粒子と壁材が摩擦することで帯電する摩擦帯電による方法や(特開2001−312225号公報)、外部より電荷輸送層を介して注入する方法(特開2000−347483号公報)などがあり、何れの方法も用いることができる。また、帯電特性を安定に制御するため、ニグロシン系電子供与性染料、ナフテン酸金属塩、高級脂肪酸金属塩、アルコキシシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アルキルアミド、金属錯体、フッ素処理活性剤などのプラス帯電の荷電制御剤、電子受容性有機錯体、塩素化パラフィン、塩素化ポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミンなどのマイナス帯電性の荷電制御剤などを微粒子中に導入することができる。
【0031】
微粒子の粒径としては、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。1μmより小さいと微粒子が凝集する傾向が強くなり、分散状態に保つことが困難になる。一方5μmより大きいと比表面積が少なくなるため、発色が劣る傾向がある。
【0032】
本発明の正または負に帯電した微粒子の表面には、ロイコ染料と接触して発色させるための顕色剤を固定化して用いる。
【0033】
塩基性染料に対する顕色剤としては、フェノール、フェノール金属塩、カルボン酸金属塩、ベンゾフェノン、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸、リン酸金属塩、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩、亜リン酸、亜リン酸金属塩、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体などの酸性化合物が従来公知の例として挙げられる。
【0034】
酸性無色染料に対する顕色剤としては、塩基性物質や加熱によりアルカリを発生させる物質であり、トリフェニルグアニジン、テトラメチルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、トリヘキシルアミン、ピリジン、キノリンなどの有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基、あるいはサリチル酸金属塩などの有機酸の金属塩などが使用できる。
【0035】
これらの顕色剤を微粒子表面に固定化した形態としては、ロイコ染料を部材1に固定化する場合と同様の理由により、顕色剤分子の活性を保った状態で固定することが望ましい。顕色剤が低分子の場合は化学結合による固定化が望ましく、高分子の場合は微粒子からの脱離が生じないよう、十分強固に密着していれば良い。あるいは、微粒子の材料自体に顕色効果を持ったものを選んでも良い。例えばスルホン酸やカルボン酸などの官能基を持ったアクリル系樹脂や、ノボラック樹脂などが好適である。
【0036】
本発明においては、消色剤を表面に有する第2の微粒子を用いることもできる。これは、第1の微粒子表面の顕色剤によって発色したロイコ染料を、迅速に無色状態に戻すためである。さらに、第1の微粒子と反対の極性に帯電しやすい材料を選定することで、第1の微粒子と第2の微粒子の間で摩擦帯電を生じさせ、効果的に帯電させることも期待できる。
【0037】
本発明で用いられる消色剤には、大別して低分子消色剤と高分子消色剤とがある。低分子消色剤としては、コール酸、コール酸メチル、プレグネノロン、メチルアンドロステンジオール、β−シトステロール、ヘコゲニンなどのステロール化合物およびその誘導体が挙げられる。高分子消色剤(ポリマーまたはオリゴマー)としては、デンプン、デンプンを主成分とする穀物粉体、デンプン誘導体(メチル化スターチ、酢化スターチ、ニトロ化スターチなど)、セルロース、セルロース誘導体(酢酸セルロース、エチルセルロース、ニトロ化セルロースなど)、多糖類およびその誘導体(デキストリン、マンナン、アミロース、グリコゲン、キチン、ペクチンなど)、ポリアミノ酸(トレオニン、セリン、リシン、ヒスチジンなどの骨格を有するもの)、糖蛋白質(コラーゲン、タカアミラーゼA、カゼイン、胚芽糖蛋白質、卵白アルブミンなど)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピリジン、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロール、ポリビニルカルバゾールなどの高分子化合物およびこれらの誘導体、ポリスチレンの4級アンモニウム塩置換体やエチレンジアミン骨格を有するアミノ基による置換体などが挙げられる。これら消色剤は、特に塩基性無色染料に対して効果があり、第1の部材に用いるロイコ染料に塩基性無色染料を用いることで、消色剤の効果を高めることができる。
【0038】
これらの消色剤は、第2の微粒子の表面に固定化して用いる。これらの消色剤を微粒子表面に固定化した形態としては、ロイコ染料を部材1に固定化する場合と同様の理由により、消色剤分子の活性を保った状態で固定することが望ましい。顕色剤が低分子の場合は化学結合による固定化が望ましく、高分子の場合は微粒子からの脱離が生じないよう、十分強固に密着していれば良い。あるいは、微粒子の材料自体に顕色効果を持ったものを選んでも良い。たとえば、上記の例示中ではポリビニルアルコール、ポリビニルピリジン、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロール、ポリビニルカルバゾールなどの高分子化合物およびこれらの誘導体などを用いて微粒子を作成するか、または他の材料で形成される微粒子の表面をこれらの材料で被うことで第2の微粒子とすることが出来る。
【0039】
次に本発明による繰り返し書き換えが可能な画像表示媒体による画像表示方法の一例について説明する。透明なガラス基板あるいはフィルム上に透明電極のマトリックスを作成し、透明な絶縁膜層を形成する。絶縁膜の材料としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートなど透明な有機材料が例として挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。さらにその絶縁膜層表面にロイコ染料を固着させる(第1の部材)。
【0040】
第2の部材は、第1の部材と対向させて配置される。第2の部材は、導電性電極に絶縁膜層が形成されたものであれば、その材質や形状を問わない。ただし、積層して用いる場合には、透明性が必要となり、第1の部材と同様に透明電極のマトリックスを作成し、透明な絶縁層を形成した透明なガラス基板あるいはフィルムが用いられる。
【0041】
第1の部材と第2の部材の間隔は、狭い方が部材間の空間に高い電界を加えられるが、狭すぎると内部に封入する微粒子の移動が損なわれてしまうため、適度な範囲がある。概ね10〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。このような間隔を保つには、例えば同程度の厚みを持ったフィルムまたはビーズなどをスペーサーとして部材間に挟む方法や、部材に目標とする深さの窪みを形成し、その窪みの内部に微粒子を封入する方法などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。形成された両部材間の空間に正または負に帯電する微粒子を封入し、画像表示媒体とする。
【0042】
上記のようにして媒体を形成し、部材1および部材2の透明電極間に直流電圧を10〜500V印加すると、内部の第1の微粒子が部材1に接触して発色する。印加する電圧の極性を反対にすると、第1の微粒子が部材1から離れるため消色する。このプロセスは何度でも反復可能であるため、リライタブルペーパーとして使用することができる。
【0043】
本発明の画像表示媒体は、消色状態では大部分の光を透過し、発色状態においてもある程度の光を透過する半透過性とすることができる。従って、発色挙動の異なるロイコ染料を用いた表示媒体を重ねることで多色の画像表示媒体とすることができ、さらに3原色に発色できるロイコ染料を用いることでフルカラーを表示することもできる。また、最背面の第2の部材が白色反射機能を具えることにより、光の反射率が向上し、視認性を高めることができる。白色反射機能を備えさせるには、最背面の第2の部材の背面に白色板を配置する、白色塗料を塗布するなど白色反射体を配置する方法が挙げられる。また、最背面の第2の部材の基材自体が白色であるものを選択するなどの方法が挙げられる。また、最背面の第2の部材が白色の透過光を与えることができるものも、通常でいう反射ではないが、本発明でいう白色反射機能に含まれるものとする。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
(部材1、2の調製)ポリメチルメタクリレート樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、ITOガラス基板上に回転塗布基により塗布し、絶縁膜を形成した。次にこれにコロナ放電処理を行い、絶縁膜表面に官能基を形成し、ロイコ染料として2-アニリノ−6−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メチルフルオランを化学的に固定化することで部材1を調製した。部材2も部材1と同様にしてITO基板上に絶縁膜を形成することで調製した。
【0046】
(表示用セルの作製)部材1、2の間に厚さ50μmのスペーサーを挟み、空隙に粒径2μmのノボラック樹脂微粒子を封入し、部材2の背部に白色板を設置した。
(表示動作)部材1に正の電圧100Vを加えると、部材1は黒色を呈した。反射濃度を測定したところ、反射濃度は1.13であった。次に部材1に負の電圧100Vを加えると、部材1は白色となり、反射濃度は0.25であった。
【0047】
(実施例2)
(部材1、2の調製)ロイコ染料が3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドである他は実施例1と同様にして、部材1、2を調製した。
(表示用セルの作製)実施例1と同様であるが、粒径1.5μmのフェノール樹脂にスルホニル基を導入したものを第1の微粒子、粒径2.3μmのポリメチルメタクリレートの表面に4級アンモニウム塩官能基を付与したものを第2の微粒子として封入し、部材2の背部に白色板を設置した。
(表示動作)部材1に正の電圧100Vを加えると、部材1は青色を呈した。反射濃度を測定したところ、反射濃度は1.08であった。次に部材2に負の電圧100Vを加えると、部材1は白色となり、反射濃度は0.17であった。
【0048】
(実施例3)
(部材1、2の調製)ロイコ染料が3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオランである他は実施例1と同様にして、部材1、2を調製した。
(表示用セルの作製)実施例1と同様であるが、粒径2.7μmのポリスチレン微粒子の表面にスルホニル基を導入し、さらに同粒子に塩素化ポリエステルを含有させたものを第1の微粒子、粒径2.3μmのポリメチルメタクリレート微粒子の表面に4級アンモニウム塩官能基を付与したものを第2の微粒子として封入し、部材2の背部に白色板を設置した。
(表示動作)部材1に正の電圧100Vを加えると、部材1は赤色を呈した。反射濃度を測定したところ、反射濃度は1.19であった。次に部材2に負の電圧100Vを加えると、部材1は白色となり、反射濃度は0.16であった。
【0049】
(実施例4)
(部材1、2の調製)ロイコ染料が3,6−ジメトキシフルオランである他は実施例1と同様にして、部材1、2を調製した。
(表示用セルの作製)実施例1と同様であるが、粒径2.3μmのポリスチレン微粒子の表面にカルボキシル基を導入し、さらに同粒子に塩素化ポリエステルを含有させたものを第1の微粒子、粒径2.3μmのポリメチルメタクリレート微粒子の表面に4級アンモニウム塩官能基を付与したものを第2の微粒子として封入し、部材2の背部に白色板を設置した。
(表示動作)部材1に正の電圧100Vを加えると、部材1は黄色を呈した。反射濃度を測定したところ、反射濃度は0.78であった。次に部材2に負の電圧100Vを加えると、部材1は白色となり、反射濃度は0.08であった。
【0050】
(実施例5)
(表示用セルの作製)前記実施例2、3、4の青色、赤色、黄色の表示用セルを積層し、それぞれの表示セルに独立に電圧を加えられるよう配線した。ただし、重ねる順番は測定者から見て黄色、青色、赤色の順とし、積層したセル間の白色板は取り除き、最背面にある赤色表示用セルの白色版のみを残した。
(表示動作)
各色のセルを上記実施例と同様に100Vの電圧を個別に加えた場合、黄色の反射濃度は0.78、青色の反射濃度は1.02、赤色の反射濃度は0.97であった。また、黄色と青色を同時に発色させた場合は緑色に、青色と赤色を同時に発色させた場合は紫色になるなど、混色による多色の表現ができることを確認した。
【0051】
以上の画像表示方法による画像表示媒体は、単色のみならず多色でも繰り返し書き換えが可能であるため、フルカラーのリライタブルペーパーとして多種多様な利用目的に使用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、帯電した微粒子の移動によって、ロイコ染料の発色消色過程を繰り返すことができ、さらに各色の表示媒体を重ね合わせることで発色濃度の高い多色の表示が可能である。

Claims (6)

  1. 背面となり、導電性を有する第2の部材と、
    前記第2の部材に対向して配置され、透明かつ導電性を有し、かつ前記第2の部材に対向する面にロイコ染料が固定化されている第1の部材と、
    前記第1の部材と第2の部材との間に設けられた空間内に封入された微粒子とを含んでなる画像表示媒体であって、
    微粒子が、表面に顕色剤を有する、正または負に帯電する微粒子である画像表示媒体。
  2. 微粒子が、表面に顕色剤を有する、正または負に帯電する第1の微粒子と、
    表面に消色剤を有する、前記第1の微粒子とは逆の極性に帯電する第2の微粒子とを含む請求項1記載の画像表示媒体。
  3. 微粒子の平均粒径が、0.5〜10μmである請求項1または2記載の画像表示媒体。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の画像表示媒体を複数積層してなる多色の画像表示媒体であって、各層のロイコ染料の発色挙動が異なるものである画像表示媒体。
  5. 最背面の第2の部材が白色反射機能を具える請求項1ないし4いずれか記載の画像表示媒体。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の画像表示媒体を用いる画像表示方法。
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