JP4350867B2 - スペクトラム逆拡散装置及びこれを用いたスペクトラム拡散信号受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトラム拡散変調が施されている入力信号(或いはその一例である受信信号)に、拡散コードを用いてスペクトラム逆拡散を施すスペクトラム逆拡散装置に関し、更にはこれを用いた受信装置であるスペクトラム拡散信号受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、拡散コードである疑似雑音コード(以下PNコードという)を重畳した信号を利用するスペクトラム拡散通信方式が知られており、CDMA(符号分割多元接続)方式の無線通信等に利用されている。スペクトラム拡散信号の受信に際しては、送信側と同一のPNコードを受信機内で発生させて受信信号にスペクトラム逆拡散を施すことにより、受信信号に重畳されているPNコードを排除して情報を復調する。この逆拡散を安定的に行うには、受信機内で発生させるPNコードを受信信号に重畳されているPNコードに対して常に位相同期させる必要がある。そのため、コード位相同期ループを設け、これを用いて受信信号に重畳されているPNコードを追尾するという方法が、一般的に採用されている。
【0003】
ここで、PNコードと相関性のある雑音(以下「有色雑音」)の影響を効果的に抑圧し、正確にコード位相に同期する方式について説明する。図1は、従来のスペクトラム拡散信号受信装置の構成を示す図であり、空中線10、周波数変換部20、A/D変換部30、信号処理部41−1〜41−n、及び制御部50−1〜50−nから構成されている。送信局から送信されたスペクトラム拡散信号は、まず空中線10により受信される。受信信号は周波数変換部20に供給され、ここで所定の周波数変換及び信号増幅処理が施され中間周波数に変換される。その結果得られる中間周波数信号は、A/D変換部30において、所定のサンプリング周波数で量子化されてデジタル信号に変換され、このデジタル信号が信号処理部41−1〜41−nへ、各々供給される。ここでは、CDMAに対応すべく41−1〜41−nというn個の信号処理部を設けている。各信号処理部41−1〜41−nは、各々、独立に動作するキャリア位相同期信号処理部42及びコード位相同期信号処理部43を有している。また、制御部は、信号処理部41−1〜41−nに対応して、50−1〜50−nのn個が設けられている。各信号処理部50−1〜50−nは、各々、独立に動作するキャリア位相同期制御部49及びコード位相同期制御部48を有している。
【0004】
キャリア位相同期信号処理部42は、ローカル周波数信号をA/D変換部30から供給される中間周波数に対し同期させるべく、キャリア位相同期制御部49によって制御される。ここで、キャリア位相同期制御の詳しい説明については省略するが、キャリア位相同期信号処理部42は、位相が互いにπ/2異なるという直交関係を有する相同期した一対のローカル周波数信号を、中間周波数信号にミキシングすることにより、中間周波数信号を直交検波する。これによって、A/D変換部30の出力信号から中間周波数信号の搬送波成分が除去され、ベースバンド信号が得られる。このベースバンド信号は、互いに直交する成分であるI(in-phase)信号及びQ(quadrature phase) 信号から構成されている。
【0005】
コード位相同期信号処理部43は、PNコード発生部44、L位相遅延切替部45、PNコード振幅抑圧相関部47及び積算部46を有している。PNコード発生部44は、受信信号に重畳されているPNコードと同一のPNコードであり任意の周波数及び任意の位相を有するE(early)位相PNコードを、発生させる。これと同時に、状況に応じてL(late)位相遅延切替部45中のスイッチ45−1〜45−2を1チップ遅延部45A側又はτチップ遅延部45B側に切り替え、E位相PNコードを1チップ遅延部45A又はτチップ遅延部45Bに通すことにより、L位相PNコードも発生させる(τ<1チップ)。PNコード振幅抑圧相関部47は、キャリア位相同期信号処理部42から供給されるI、Q信号について、前記E位相PNコード位相、L位相PNコードを用いて、それぞれ独立に相関処理を施し、得られた相関値を積算部46に供給する。積算部46は、供給される相関値EI、EQ、LI、LQを一定期間(例えばPNコード1周期分の時間)積算することにより、積算相関値REI、REQ、RLI、RLQを得る。
【0006】
図2はPNコード振幅抑圧相関部47の詳細を記載した図である。E位相PNコード成形相関部460は、PNコード発生部44から供給されるE位相PNコードについてパラメータαに基づき成形処理を施し、キャリア位相同期信号処理部42から供給されるI及びQ信号とこの成形されたE位相PNコードとの相関値を検出し、この相関値EαI及びEαQを相関値演算部462に供給する。また、E位相PNコード成形相関部460−1は、PNコード発生部44から供給されるE位相PNコードをパラメータβに基づき成形し、キャリア位相同期信号処理部42から供給されるI及びQ信号とこの成形されたE位相PNコードとの相関値を検出し、この相関値EβI及びEβQを相関値演算部462に供給する。E位相PNコード相関制御部461、461−1は、以上の動作に際して、コード位相同期制御部48からの指示に従いパラメータα、βを設定する。相関値演算部462は、E位相PNコード成形相関部460、460−1から供給される相関値EαI、EβI、EαQ、EβQに基づいて、
【数1】
EI=EαI−EβI、EQ=EαQ−EβQ
を算出し、これらを積算部46にそれぞれ供給する。
【0007】
L位相PNコード相関制御部460−2、460−3は、PNコード発生部44から供給されるL位相PNコードに対しそれぞれパラメータα又はβに基づく成形を施し、キャリア位相同期信号処理部42から供給されるI及びQ信号と成形されたL位相PNコードとの相関値を検出し、この相関値LαI、LβI及びLαQ、LβQを相関値演算部462に供給する。そして、相関値演算部462−1は、供給される相関値LαI、LβI、LαQ、LβQに基づいて、
【数2】
LI=LαI−LβI、LQ=LαQ−LβQ
を算出し、これらを積算部46にそれぞれ供給する。
【0008】
ここで、PNコード振幅抑圧相関部47におけるPNコード成形処理の作用について、更に詳しく説明する。なお、簡略化のため、ここではキャリア位相が理想的に同期している場合、即ちI信号が最大のときにQ信号が0となる場合について述べる。また、L位相PNコードについての処理は、E位相PNコードについての処理と基本的に同一であるので、その説明を省略する。また、積算相関値はPNコード位相差=0の場合の最大値を1として表し、PNコード位相はE位相を0として正規化して表す。
【0009】
無成形の通常PNコードの積算相関特性は、図3(A)中破線で示すように、理想的には、PNコード位相で底辺が0±1チップの区間に亘る2等辺三角形となる。PNコード成形にあたり、E位相PNコード成形相関部460は、PNコード発生部44から供給されるE位相PNコードとキャリア位相同期信号処理部42から供給されるI信号との相関処理に際し、E位相PNコードの変化点(PNコード位相0)±αチップ(但しα<τ/2)の区間の相関値を0とする無相関処理を施し、相関値EαIを得る。相関値EαIを一定時間、例えばPNコード1周期の期間積分した場合得られる積算相関値REαIについては、上述のE位相PNコード成形相関部460の作用即ち±αチップの区間を無相関とする作用により、約αだけ積算相関値が抑圧され積算相関値の最大値は1−αとなる。このように振幅及び帯域が共に抑圧されるという無相関処理の効果(成形)については、Q信号との相関処理に関しても同様である。
【0010】
一方、E位相PNコード成形相関部460−1は、PNコード発生部44から供給されるE位相PNコードとキャリア位相同期信号処理部42から供給されるI、Q信号との相関処理に際し、E位相PNコードの変化点(PNコード位相0)±βチップ(但しτ/2<β≦1チップ)の区間の相関を0とする無相関処理を施し、相関値EβIを得る。相関値EβIを一定時間、例えばPNコード1周期の期間積分した場合得られる積算相関値REβについては、上述のE位相PNコード成形相関部460−1の作用即ち±βチップの区間を無相関とする作用により、約βだけ積算相関値が抑圧され、積算相関値の最大値が1−βとなる。Q信号との相関処理についても同様である。
【0011】
次に、相関値演算部462で求めたEI=EαI−EβIを積算部46で積算した積算相関値REIに関しては、図3(A)の520に示すように、減算処理の効果により、α、β単独で抑圧したEαI及びEβIよりも抑圧効果が向上する。即ち、PNコード位相=±αチップの積算相関値の振幅には、(I−α)−(I−β)=(β−α)に抑圧された振幅帯(メインローブ)が生じる。また、PNコード位相=±1チップ付近には、無相関処理の影響により、0チップ付近の振幅帯とは逆極性かつ振幅1/2の別振幅帯(サイドローブ)が、生じる。よって、この場合、計3つの振幅帯が生じることになる。
【0012】
このようにして、PNコード振幅抑圧相関部47から相関値EI、EQ、LI、LQが出力され、これが、積算部46に供給される。積算部46は、供給される相関値EI、EQ、LI、LQを一定時間、例えばPNコード1周期の期間積算し、積算相関値REI、REQ、RLI、RLQを得る。コード位相同期制御部48においては、積算部46から供給されるREI、REQ、RLI、RLQについて、一般にはキャリア位相の影響を除去するため、
【数3】
RE=(REI 2+REQ 2)1/2、RL=(RLI 2+RLQ 2)1/2の処理を実施する。
【0013】
図3(A)における520、521は、成形PNコードにおいて、通過帯域制限の影響がない理想状態でのRE、RLを示している。この状態では、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相差がτ(但しτ<1)チップとなっている。そして、コード位相同期制御部48は、積算相関値の絶対値であるRE、RLの差分からコード位相弁別信号D=RE−RLを求め、コード位相弁別信号Dが0となるように、PNコード発生器44におけるPNコードの発生位相を制御する。これによって、有色雑音の影響を抑圧したコード位相同期を確立することができる。
【0014】
ここに、前述のPNコード振幅抑圧相関部47によりPNコード成形を行った場合のコード位相弁別信号D(図3中522)は、無成形の通常PNコードにおけるコード位相弁別信号D(図3(B)中523)と比較して、大幅に振幅が抑圧されている。具体的には、無成形の通常PNコードを用いE位相PNコードとL位相PNコードとの位相差をτとした場合(図3(A)破線参照)、減算の効果により、積算相関値は、図3(B)中破線で示すように0チップで0値となり−τ/2チップ以下の区間でτ、+τ/2チップ以上の区間で−τの値をとる。即ち、最大値がτという大きな値でありかつ±1チップまで広がる大きな単一の振幅帯を呈する。これに対して、成形されたPNコードを用いているときには、無相関処理の効果が加わるため、0チップ近傍の振幅帯の幅及び最大値が、無成形時に比べ圧縮される。即ち、PNコード位相0±(β+1/2τ)チップの区間での振幅は、β−αに抑圧され、またPNコード位相±(β+1/2τ)チップ以上の区間の振幅は、±1チップ付近まで0に抑圧されている。有色雑音によるコード位相同期への影響は、コード位相弁別信号Dに依存することから、成形PNコードにおけるそれは無成形のPNコードにおけるそれと比較して十分小さくなる。PNコード位相0±(β+/2τ)付近では、その影響度の抑圧効果は、成形時におけるDの最大値(β−α)と無成形時におけるDの最大値τとの比で表され、この場合(β−α)/τとなる(図3(B))。一例として、τ=0.2チップ、α=0.05チップ、β=0.15チップを選択した場合、(β−α)/τ=1/2となる。また、PNコード位相±(β+1/2τ)チップ以上の区間では、±1チップ付近までは、無成形のPNコードではτに比例するのに対し、成形PNコードでは0となり、実質的に有色雑音の影響を受けないことになる。
【0015】
図4は、従来構成を用いて、初期であるアクイジションから追尾までのコード位相同期制御部48の処理の流れを示したものである。まず、初期であるアクイジションでは、おおよそのコード位相を速やかに探すため、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相を広げる。また、より大きいパワーを得るために、無成形の通常PNコードを用いる。600において、コード位相同期制御部48は、L位相切替部45に、スイッチ45−1、45−2共、1チップ遅延部45A側に接続するように指示する。コード位相同期制御部48は、PNコード発生部44から任意の位相のE位相PNコードを発生させ、これを1チップ遅延部45Aに通すことにより、E位相PNコード位相よりも時間軸で所定の位相差1チップだけ遅れているL位相PNコードを発生させ、これらをPNコード振幅抑圧相関部47に供給する。601において、コード位相同期制御部48は、PNコード振幅抑圧相関部47へ、パラメータα=0チップ、β=1チップを指示することで、PNコード振幅抑圧相関部47にて、無成形の通常PNコードを発生させる。602において、コード位相同期制御部48には、前記通常PNコードでの積算値RE、RLが供給される。これらのいずれかが任意のパワー以上になるまで、コード位相同期制御部48は、603において、PNコード発生部44におけるPNコード位相を、一定時間毎に2チップずつずらすように制御していく。604において、コード位相同期制御部48は、RE、RLの差を求めることにより、コード位相弁別信号D=RE−RLを得る。このコード位相弁別信号Dは、0.5チップ前で正の極大、0.5チップ後で負の極大をとり、コード位相弁別信号D=0すなわちPNコード発生部44からのE位相PNコードとL位相PNコードとの中間位相点が完全に同期しているときに0になる、という特性を有する。そこで、コード位相弁別信号Dが0となるように、コード位相同期制御部48は、PNコード発生器44におけるPNコード位相を制御する。605において、コード位相同期制御部48は、コード位相弁別信号Dがほぼ0に収束安定したかを確認する。
【0016】
次に、コード位相同期制御部48は、有色雑音による影響を抑圧するため、E位相PNコードとL位相PNコードのコード位相を狭める。即ち、圧縮成形したPNコードを用いる。606において、コード位相同期制御部48は、L位相切替部45に対し、スイッチ45−1、45−2共τチップ遅延部45B側に接続するように指示する。コード位相同期制御部48は、PNコード発生部44から任意の位相のE位相PNコードを発生させ、これをτチップ遅延部45Bに通すことにより、E位相PNコード位相よりも時間軸で所定の位相差τチップだけ遅れているL位相PNコードを発生させ、これらをPNコード振幅抑圧相関部47に供給する。607において、コード位相同期制御部48は、PNコード振幅抑圧相関部47に対し、例えばパラメータα=0.05チップ、β=0.15チップを指示することにより、PNコード振幅抑圧相関部47にて、前記パラメータで圧縮成形されたPNコードを発生させる。608において、コード位相同期制御部48は、成形PNコードでの積算値RE、RLを得て、これらの差を求めることによりコード位相弁別信号D=RE−RLを得る。コード位相弁別信号Dは、D=0すなわちPNコード発生部44にて発生させるE位相とL位相との中間位相点が完全に同期しているときに0になるという特性を有する。そこで、コード位相弁別信号Dが0となるように、コード位相同期制御部48は、PNコード発生器44におけるPNコードを制御することにより、有色雑音による影響を抑圧したコード位相同期を確立する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このように、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相を切り替えることで、速やかにアクイジションができると同時に、有色雑音の影響も効果的に抑圧することができる。しかし、L位相遅延切替部45が必要になり、小型、低消費のための回路の簡素化という点では不利となっていた。
【0018】
本発明は、L位相PN信号の遅延時間を切り替える回路なしで速やかにアクイジションができると同時に、有色雑音の影響も効果的に抑圧することができるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、(1)拡散コード(例えばE位相PNコード)を遅延させることにより遅延拡散コード(例えばL位相PNコード)を発生させ、入力信号と拡散コードとの相関値及び入力信号と遅延拡散コードとの相関値を検出し、検出した相関値を所定時間に亘り積算することにより積算相関値を求め、拡散コードに係る積算相関値と遅延拡散コードに係る積算相関値とに基づき位相同期状況を弁別しその結果に応じ拡散コードの位相を制御することにより、拡散コードを入力信号のコード位相に対して位相同期させるコード位相同期ループを備え、(2)コード位相同期ループが、拡散コードと相関性のある雑音である有色雑音の影響を抑えるための成形処理を相関値の検出に先立ち拡散コード及び遅延拡散コードに施す手段を有するスペクトラム逆拡散装置において、(3)拡散コードに対する遅延拡散コードの遅延量が拡散コードのn±τチップ分となる時間であり(n:1以上の実数、τ<1チップ)(4)成形処理が、拡散コードに係る積算相関値及び遅延拡散コードに係る積算相関値にメインローブたる振幅帯及びこの振幅帯に対する位相差が±nチップ近傍であるサイドローブたる振幅帯が現れるよう、実行されており、(5)位相同期状況の弁別が、拡散コードに係る積算相関値における任意の振幅帯と遅延拡散コードに係る積算相関値における他の位置の振幅帯とに基づく弁別であることを特徴とする。
【0020】
即ち、本発明においては、成形処理例えば無相関処理が原因の一つとなって積算相関値に現れる複数の振幅帯、特にサイドローブを、位相同期状況の弁別に利用している。そのため、拡散コードに対する遅延拡散コードの遅延量を一定にすることができ、遅延量を切り替える手段が不要になるため、回路が簡素になる。更に、アクイジションの迅速さも維持される。成形処理を行い振幅帯の振幅及びその幅を抑えているため、有色雑音の影響も好適に抑圧できる。また、位相同期状況の弁別に利用する振幅帯の組合せとしては、(a)拡散コードに係る積算相関値におけるメインローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるいずれかのサイドローブ、(b)拡散コードに係る積算相関値におけるサイドローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるメインローブ、(c)拡散コードに係る積算相関値におけるいずれかのサイドローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるいずれかのサイドローブ、(d)拡散コードに係る積算相関値における双方のサイドローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるメインローブ、等の組合せがあり、いずれにおいても本発明の効果を得ることができる(後に説明する実施形態は(b)の例である)。
【0021】
更に、本発明は、スペクトラム拡散変調されている信号を受信する手段と、受信信号のキャリアとの同期を確立する手段と、この受信信号を入力信号とする本発明のスペクトラム逆拡散装置とを備えるスペクトラム拡散信号受信装置としても、表現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。なお、図1の構成に対応する構成について同一符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
図5は、本実施形態に係るスペクトラム拡散信号受信装置の全体構成を示す図である。この装置においては、L位相遅延部45’が図1の従来装置のL位相遅延切替部45と異なっている。L位相遅延部45’においては、L位相遅延切替スイッチが不要になっている。また、L位相遅延切替スイッチを不要としたことに伴い、コード位相同期制御部48’が内容的に一部改変されている。
【0024】
ここで、速やかにアクイジションするためには、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相間隔は広い方が好ましい。そこで、本実施形態では、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相は広いままで、有色雑音の影響を効果的に抑圧する。成形PNコードにおける相関特性は、PNコード位相=0チップ付近に振幅帯が得られると同時に、例えばPNコード移相=−1チップ付近にも、0チップ付近と逆極性かつ振幅1/2のサイドローブの振幅帯が生じることから、本実施形態ではこれを利用する。
【0025】
図6(A)における520’、521’は、PNコード位相=0チップ付近の振幅帯とPNコード位相=−1チップ付近のサイドローブの振幅帯の各々を利用したときにおけるRE、RL、特に通過帯域制限の影響がない理想状態でのRE、RLを示している。図3(A)における520に比べ520’は+1チップずれている。同期したときの位相を基準として表したE位相PNコードの位相が−(1+τ/2)チップ、L位相PNコードの位相が(τ/2)チップとなるように、L位相遅延部45’で付与するE位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相差、を(1+τ)チップと広い間隔にする。REはサイドローブの振幅帯の積算相関値の絶対値であるため、520’のサイドローブと521’のメインローブを利用しコード位相同期を確立する際には、コード位相弁別信号として、D’(図6(B)中の522’)=2RE+RLを求めることになる。コード位相同期制御部48’は、コード位相弁別信号D’が0となるように、PNコード発生器44におけるPNコードの発生位相を制御する。これによって、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相間隔が広いまま、有色雑音の影響を抑圧したコード位相同期を確立することができる。
【0026】
図7は、本実施形態の構成を用いて、初期であるアクイジションから追尾までのコード位相同期制御部48’の処理の流れを示したものである。まず、初期であるアクイジションでは、おおよそのコード位相を速やかに探すため、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相を広げる。また、より大きいパワーを得るために、無成形の通常PNコードを用いる。600’において、コード位相同期制御部48’は、PNコード発生部44から任意の位相のE位相PNコードを発生させ、これを(1+τ)チップ遅延部を通すことにより、E位相PNコード位相よりも時間軸で所定の位相差(1+τ)チップだけ遅れているL位相PNコードを発生させ、これらをPNコード振幅抑圧相関部47に供給する。601において、コード位相同期制御部48’は、PNコード振幅抑圧相関部47に対しパラメータα=0チップ、β=1チップを指示する。これにより、PNコード振幅抑圧相関部47は、無成形の通常PNコードを発生させる。602において、コード位相同期制御部48’には、前記通常PNコードでの積算相関値RE、RLが供給される。これらのいずれかが任意のパワー以上になるまでは、603’において、コード位相同期制御部48’が、PNコード発生部44におけるPNコード位相を、一定時間毎に2×(1+τ)チップずつずらすように制御していく。604において、コード位相同期制御部48’は、RE、RLの差を求めることにより、コード位相弁別信号D=RE−RLを得る。そして、コード位相弁別信号Dが0となるように、コード位相同期制御部48’は、PNコード発生器44におけるPNコード位相を制御する。
【0027】
605において、コード位相同期制御部48’は、コード位相弁別信号Dがほぼ0に収束安定したかを確認する。607’において、コード位相同期制御部48’は、有色雑音による影響を抑圧するため、圧縮成形したPNコードを用いる。コード位相同期制御部48’は、PNコード振幅抑圧相関部47に対し例えばパラメータα=0.05チップ、β=0.15チップを指示する。これにより、PNコード振幅抑圧相関部47は、前記パラメータで圧縮成形されたPNコードを発生させる。608’において、コード位相同期制御部48’は、成形PNコードでの積算相関値RE、RLを得る。REはサイドローブの振幅帯の積算相関値の絶対値であるため、コード位相弁別信号D’(図6(B)中の522’)=2RE+RLを得ることができる。コード位相弁別信号D’は、その値が0のとき、すなわちPNコード発生部のE位相から(1+τ/2)チップ、あるいはL位相から−(τ/2)チップの位相点が完全に同期しているときに、その値が0になるという特性を有する。そこで、コード位相弁別信号D’が0となるように、コード位相同期制御部48’は、PNコード発生器44におけるPNコードを制御することにより、有色雑音による影響を抑圧したコード位相同期を確立する。
【0028】
上記実施形態においては、拡散コードに対する遅延拡散コードの遅延量が拡散コードのnチップ分を上回る時間として示したが、本発明ではnチップ分を下回る時間としても良い。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、E位相PNコードとL位相PNコードとのコード位相切替を必要としないため、速やかにアクイジションしかつ有色雑音の影響も効果的に抑圧することができるだけでなく、回路の簡素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のスペクトラム拡散信号受信装置の構成を示す図である。
【図2】 従来のスペクトラム拡散信号受信装置におけるPNコード振幅抑圧相関部の構成を示す図である。
【図3】 従来のスペクトラム拡散信号受信装置におけるコード位相弁別信号の特性を示す図である。
【図4】 従来のスペクトラム拡散信号受信装置におけるコード位相同期制御部のフローチャートである。
【図5】 本発明におけるスペクトラム拡散信号受信装置の構成を示す図である。
【図6】 本発明におけるコード位相弁別信号の特性を示す図である。
【図7】 本発明におけるコード位相同期制御部のフローチャートである。
【符号の説明】
44 PNコード発生器、45’ L位相遅延部、46 積算部、47 PNコード振幅抑圧相関部、48’ コード位相同期制御部。
Claims (6)
- 拡散コードを遅延させることにより遅延拡散コードを発生させ、入力信号と拡散コードとの相関値及び入力信号と遅延拡散コードとの相関値を検出し、検出した相関値を所定時間に亘り積算することにより積算相関値を求め、拡散コードに係る積算相関値と遅延拡散コードに係る積算相関値とに基づき位相同期状況を弁別しその結果に応じ拡散コードの位相を制御することにより、拡散コードを入力信号のコード位相に対して位相同期させるコード位相同期ループを備え、コード位相同期ループが、拡散コードと相関性のある雑音である有色雑音の影響を抑えるための成形処理を相関値の検出に先立ち拡散コード及び遅延拡散コードに施す手段を有するスペクトラム逆拡散装置において、
拡散コードに対する遅延拡散コードの遅延量が拡散コードのn±τチップ分となる時間であり(n:1以上の実数、τ<1チップ)、
成形処理が、拡散コードに係る積算相関値及び遅延拡散コードに係る積算相関値にメインローブたる振幅帯及びこの振幅帯に対する位相差が±nチップ近傍であるサイドローブたる他の振幅帯が現れるよう、実行されており、
位相同期状況の弁別が、拡散コードに係る積算相関値における任意の振幅帯と遅延拡散コードに係る積算相関値における他の位置の振幅帯とに基づく弁別であることを特徴とするスペクトラム逆拡散装置。 - 請求項1記載のスペクトラム逆拡散装置において、
位相同期状況の弁別が、拡散コードに係る積算相関値におけるメインローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるいずれかのサイドローブとに基づく弁別であることを特徴とするスペクトラム逆拡散装置。 - 請求項1記載のスペクトラム逆拡散装置において、
位相同期状況の弁別が、拡散コードに係る積算相関値におけるサイドローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるメインローブとに基づく弁別であることを特徴とするスペクトラム逆拡散装置。 - 請求項1記載のスペクトラム逆拡散装置において、
位相同期状況の弁別が、拡散コードに係る積算相関値におけるいずれかのサイドローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるいずれかのサイドローブとに基づく弁別であることを特徴とするスペクトラム逆拡散装置。 - 請求項1記載のスペクトラム逆拡散装置において、
位相同期状況の弁別が、拡散コードに係る積算相関値における双方のサイドローブと遅延拡散コードに係る積算相関値におけるメインローブとに基づく弁別であることを特徴とするスペクトラム逆拡散装置。 - スペクトラム拡散変調されている信号を受信する手段と、受信信号のキャリアとの同期を確立する手段と、この受信信号を入力信号とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスペクトラム逆拡散装置とを備えることを特徴とするスペクトラム拡散信号受信装置。
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