JP4350419B2 - 光電式エンコーダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密測定に使用される光電式エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から直線変位や角度変位などの精密な測定に光電式エンコーダ(以下、「エンコーダ」という場合もある。)が利用されている。エンコーダは三次元測定機や画像測定機などに搭載される。エンコーダは、光源と、光学格子を含むスケールと、複数の受光素子を含むと共に光源と一緒にスケールに対して相対移動可能に配置され各々が互いに位相の異なるインデックス格子を受光面に備えた受光部と、を備えている。
【0003】
光電式エンコーダによれば、スケールを光源および受光部に対して相対移動させながら光源からの光をスケールの光学格子に照射することにより、インデックス格子の通過光として生成された位相の異なる複数(例えば四つ)の正弦波状の光信号を、それぞれの位相に対応する複数の受光素子で受光し、光電変換されて発生した電気信号を利用して直線などの変位量が測定される。
【0004】
位相の異なる四つの光信号とは、A相(0度)の光信号、A相より90度だけ位相がずれたB相(90度)の光信号、A相より180度だけ位相がずれたAA相(180度)の光信号およびA相より270度だけ位相がずれたBB相(270度)の光信号のことである。A相およびB相を利用するのは、先に検出されるのがA相かB相かによって、受光部の相対移動の方向を判断するためである。また、A相やB相の光信号以外にこれらを反転させた、AA相やBB相の光信号を利用するのは、A相やB相の光信号に含まれる直流成分の除去、並びに、光信号の信頼性及び高速追従性の確保のためである。
【0005】
位相の異なる複数の光信号に対応した数の受光素子があれば、原理的に測定が可能である。したがって、位相の異なる四つの光信号の場合、受光素子が四つあればよい。この第1のタイプのエンコーダは、例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
ところで、光源の光強度分布やスケール面の汚れ等が原因で、光量にバラツキが生じることがある。上記タイプによれば、各位相の光信号はそれぞれ一箇所で検出されるので、光量のバラツキの影響を受けやすい。例えば、A相用の受光素子の配置場所が他の受光素子の配置場所に比べて照射される光の強度が弱い場合、A相の出力が弱くなるため、測定精度が低下する。
【0007】
そこで、受光素子を細かく分割してアレイ状に並べることにより、インデックス格子の機能を兼用させ、更にA相用の受光素子、B相用の受光素子、AA相用の受光素子、BB相用の受光素子を一つのセットとし、エンコーダの測定軸方向(x方向)に沿って、複数のセットをアレイ状に配列させた第2のタイプのエンコーダがある(例えば特許文献2)。このような受光素子の配置を一次元配置という。第2のタイプによれば、各位相の光信号が検出される場所が広い範囲に分散されるため、光量のバラツキの影響を小さくできる(以下、これを「平均化効果」という。)。さらに、より平均化効果を高めるために、測定軸方向(x方向)の他にy方向に沿って複数のセットを配置した第3のタイプのエンコーダもある(例えば特許文献3)。このような受光素子の配置を二次元配置という。
【0008】
平均化効果を高めることは、測定精度を向上させるために重要である。しかし、単に平均化効果を高めると、エンコーダの応答速度が低下する問題が生じる。これについて、詳しく説明する。
【0009】
受光素子はn型半導体層とp型半導体層とを接合したものである。この接合の容量が大きくなるとエンコーダの応答速度が下がる。したがって、接合容量の増加はエンコーダの性能に悪影響を与える。受光素子の接合容量は、受光面の面積や受光面の周囲(エッジ)の長さと相関関係にある。つまり、面積や周囲の長さが大きくなると接合容量が増加し、面積や周囲の長さが小さくなると接合容量が減少するのである。
【0010】
上記第2および第3のタイプでは、受光面の面積の合計が第1のタイプのそれと同じでも、第1のタイプよりも受光素子の数が多くなるので、周囲の長さの合計が大きくなる。したがって、第2および第3のタイプは第の1タイプよりも接合容量が大きくなるため、エンコーダの応答速度が下がる。以上のように、従来の技術では、平均化効果を高めようとすると受光素子の接合容量が増加する。
【0011】
【特許文献1】
国際公開第01/31292号のパンフレット(明細書第5頁第19行〜第6頁第7行、Fig.5)
【特許文献2】
特開平7−151565号公報(段落[0014]、図4)
【特許文献3】
国際公開第01/31292号のパンフレット(明細書第21頁第6行〜第22頁第23行、Fig.16)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
第3のタイプは受光素子を二次元配置することにより、受光素子が一次元配置の第2のタイプよりも平均化効果を高めている。しかし、二次元配置では、測定軸方向(x方向)の他にy方向に沿って受光素子が配置される。このため、第3のタイプは第2のタイプに比べてさらに受光素子の数が多くなるので、受光素子の接合容量が増え、エンコーダの応答速度が低下の問題が大きくなる。
【0013】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、複数の受光素子の接合容量の合計が一次元配置と同様でありながら、受光素子の二次元配置と同様の平均化効果を得ることが可能な光電式エンコーダを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光電式エンコーダは、光源と、光源からの光が照射される第1の方向に延びる第1の遮光部を有する第1光学格子を含むスケールと、第1光学格子に照射された光を基にして生成された光信号が入射する受光面をそれぞれ含むと共に位相の異なる複数の光信号を検出する複数の受光素子と、複数の受光素子の各受光面上に配置された第1の方向に延びる第2の遮光部を含む第2光学格子と、を備え、複数の受光素子は、スケールに対して測定軸に沿って相対移動可能に配置されると共に各受光面の少なくとも一部第1の方向に対して斜めになるように測定軸に沿って配置されている、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る光電式エンコーダによれば、各受光面を第2光学格子の遮光部の延びる方向に対して斜めにしながら、複数の受光素子を測定軸に沿って配置した構造を有する。したがって、複数の受光素子を一つの方向に配置しながらも、二つの方向(測定軸方向、遮光部の延びる方向)に配置したのと同様の状態にすることができる。よって、複数の受光素子の接合容量の合計が一次元配置と同様でありながら、受光素子の二次元配置と同様の平均化効果を得ることができる。
【0016】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、複数の受光素子により、測定軸に沿って一端に凸部、他端に凹部を有する第1および第2素子群が、複数の受光素子が配置された平面上に構成されており、第1素子群と第2素子群とは、これらの凹部同士または凸部同士が、上記平面上で向かい合うように配置されている、ようにすることができる。
【0017】
これによれば、遮光部の延びる方向に対して斜めにされている受光面を、複数の受光素子が配置される平面上に、バランスよく配置できる。
【0018】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、複数の受光素子および第2光学格子を含む受光チップを備え、このチップは、さらに、複数の受光素子の各々に対して設けられており、導電性の第2の遮光部の下でこの第2の遮光部に接続されると共に受光面とコンタクトしているコンタクト部と、複数の受光素子の各々に対して設けられており、第2の遮光部と接続された受光素子の配線と、を含むようにすることができる。
【0019】
これによれば、第2光学格子の遮光部が受光素子に接続される配線を兼ねることにより、受光面の有効受光面積の減少を防止できる。
【0020】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、複数の受光素子のうち隣接する受光素子の受光面上に配置された第2光学格子は、第2の遮光部の空間的位相が互いに異なっている、ようにすることができる。これによれば、隣接する受光素子において、互いに異なる位相の光信号を検出することができる。
【0021】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、受光面の一部または全部が第1の方向に対して斜めになるように測定軸に沿って配置されている、ようにすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る光電式エンコーダの第1および第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態を説明する図において、第1実施形態の符号で示すものと同一のものについては、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光電式エンコーダ1の概略構成を示す図である。第1実施形態は受光部に含まれる受光チップの構造を主な特徴としているが、この理解の前提として光電式エンコーダ1について説明する。まず、エンコーダ1の構成を説明する。エンコーダ1は、発光ダイオード(LED)3と、これに近い順に沿って配置されたスケール5と、受光部7とにより構成される。
【0024】
発光ダイオード3は光源の一例であり、ダイオード3からの光Lがスケール5に照射される。スケール5はガラスなどの透明材料から構成される長尺状の透明基板9を含み、図1にはその一部が表れている。透明基板9の発光ダイオード3側に向く面と反対側の面上に第1光学格子11が形成されている。第1光学格子11は複数の遮光部13が所定のピッチを設けてリニヤ状に、かつ各遮光部13が図面の奥行き方向に延びるように、配置されたものである。遮光部13は金属(例えばクロム)などから構成される。
【0025】
受光部7は、スケール5とギャップを設けて配置されている。受光部7はスケール5側に位置する受光チップ15およびこれが搭載される回路基板17を含む。受光チップ15には、図示しない複数のフォトダイオード(以下、「フォトダイオード」をPDという場合がある。)が形成されている。これらのPDの各受光面が第1光学格子11側を向いている。PDは受光素子の一例である。受光素子として、PDの替わりにフォトトランジスタを用いることもできる。回路基板17には、演算用のICチップ19が搭載されており、受光チップ15の複数のPDで検出された光信号を基にして、ICチップ19で変位量の演算が実行される。
【0026】
受光部7は、発光ダイオード3と共にホルダ21に取り付けられており、ホルダ21は図中のXで示すスケール5の長手方向に移動可能にされている。つまり、光電式エンコーダ1は、固定されたスケール5に対して、ホルダ21を移動させることにより、変位量を測定する。よって、X方向が測定軸となる(以下、X方向を「測定軸X」とする。)。なお、発光ダイオード3と受光部7を固定し、スケール5を移動させて変位量を測定するタイプにも、本発明を適用することができる。したがって、本発明のスケールは、受光部および光源に対して、相対移動可能に配置されている。
【0027】
次に、光電式エンコーダ1の測定動作について、簡単に説明する。発光ダイオード3から光Lをスケール5の第1光学格子11に照射すると、第1光学格子11により明暗パターンが生じる。そして、ホルダ21を測定軸Xに沿って移動させることにより生じる明暗パターンの変化(正弦波状の光信号)を、受光チップ15に形成された各フォトダイオードで検出する。つまり、A相(0度)の光信号、A相より90度だけ位相がずれたB相(90度)の光信号、A相より180度だけ位相がずれたAA相(180度)の光信号およびA相より270度だけ位相がずれたBB相(270度)の光信号を、それぞれに対応するフォトダイオードで検出する。
【0028】
各光信号により発生した電気信号がICチップ19に送られる。ICチップ19では、A相およびB相に所定の処理(直流成分の除去等)をした後に、処理されたA相およびB相を基にして変位量が演算される。この結果を図示しない表示部に出力する。以上が光電式エンコーダ1の動作である。
【0029】
さて、第1実施形態の主な特徴は受光チップ15であり、これについて詳細に説明する。まず、受光チップ15の平面構造から説明する。図2は、第1光学格子側から見た受光チップ15の全体を模式的に表した平面図である。図3は、図2のうちフォトダイオード23のみを模式的に表した図である。図4は、図2のうち第2光学格子25のみを模式的に表した図である。
【0030】
図2〜図4を参照して、複数のPD23の受光面27および受光面27を覆うように形成された第2光学格子25が、第1光学格子と向かい合うxy面に配置されている。なお、x軸は図1で説明した測定軸Xと向きが一致している。第2光学格子25は、各受光面27上に間隔を設けて配置されたy方向に延びる複数の遮光部29を有する。
【0031】
第1光学格子に照射された光を基にして生成された位相の異なる四つ(A相、B相、AA相、BB相)の光信号が、対応する受光面27に入射する。これにより、位相の異なる四つの光信号が複数のPD23で検出される。A相、B相、AA相及びBB相の光信号をそれぞれ検出するPD23A,23B,23AA,23BBのセットが測定軸Xに沿って繰り返し配置されている。
【0032】
受光面27は、平行部31と、この両端に位置すると共に平行部31に対して対称に配置された一対の傾斜部33で構成される。平行部31は、第2光学格子25の遮光部29が延びる方向、つまりy方向と平行に配置されている。傾斜部33は、遮光部29の延びる方向に対して斜めに配置されている。このため、受光面27の一部が遮光部29の延びる方向に対して斜めにされていることになる。なお、受光面27の全部が遮光部29の延びる方向に対して斜めにされていてもよい。
【0033】
複数のPD23の配列のうち、図3の右半分の配列を構成するPD23の集まりが第1素子群35であり、左半分の配列を構成するPD23の集まりが第2素子群37である。第1素子群35および第2素子群37は、それぞれ、測定軸Xに沿って一端に凸部36を有し、他端に凹部38を有する。第1素子群35の凹部38と第2素子群37の凹部38とが向かい合うように、xy面上に配置されている。
【0034】
図2のVで示す領域を拡大したものが図5である。遮光部29は各受光面27上に所定のピッチで形成されている。隣接するPD23の受光面27上に配置された第2光学格子25は、遮光部29の空間的位相が互いに異なっている。具体的には、隣接する受光面27上において、遮光部29が測定軸Xに沿って、λ/4ずらして配置されている。ここで、λは光信号の波長である。図6は図5の領域をVI(a)-VI(b)断面から見た模式図である。受光チップ15は、n型の半導体基板39を備える。この基板39の一方の面には、p型の拡散領域41が間隔を設けて形成されている。半導体基板39と拡散領域41との接合部がPD23となる。半導体基板39の一方の面のうち、p型の拡散領域41が形成されている領域が受光面27となる。拡散領域41どうしの間の半導体基板39には、n+型の拡散領域43が形成されている。これにより、p型の拡散領域41が隣の拡散領域41と分離、つまり、各PD23が素子分離される。
【0035】
半導体基板39の一方の面は、拡散領域41,43を覆うようにシリコン酸化膜のような絶縁膜45で覆われている。絶縁膜45上には、複数の遮光部29が間隔を設けて形成されている。遮光部29は光を透過しない性質を有すればよく、したがって、その材料は金属(例えば、クロム、アルミニウム)や樹脂が挙げられる。これらの遮光部29を覆うように、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜のような保護膜47が形成されている。半導体基板39の他方の面の全面には各PD23の共通電極(例えばAu電極)49が形成されている。
【0036】
第1実施形態に係る光電式エンコーダ1の効果を説明する。
【0037】
▲1▼第1実施形態によれば、フォトダイオードの一次元配置の場合のエンコーダの応答速度で、二次元配置の場合の測定精度を得ることができる。これを図2〜図4を用いて詳細に説明する。フォトダイオード23は測定軸Xに沿って配置されている。よって、エンコーダ1のPD23は一次元配置となるため、PD23の接合容量の増加を抑制できる。一方、受光面27の傾斜部33は、第2光学格子25の遮光部29の延びる方向(y方向)に対して斜めにされているので、傾斜部33は、測定軸X方向(x方向)と遮光部29の延びる方向(y方向)とに二次元配置されていることになる。このため、エンコーダ1によれば、フォトダイオードの二次元配置と同様の平均化効果を得ることができる。
【0038】
以上により、第1実施形態によれば、複数のフォトダイオードの接合容量の合計が一次元配置と同様でありながら、フォトダイオードの二次元配置と同様の平均化効果を得ることができる。したがって、エンコーダ1の応答速度の向上と測定精度の向上との両立を図ることができる。
【0039】
上記効果は、傾斜部33により生じるので、平行部31を含まないで一対の傾斜部33により受光面27を構成してよいし、一対の傾斜部33の一方だけで受光面27を構成してよい。
【0040】
▲2▼図3に示すように、第1実施形態によれば、複数のPD23を第1素子群35と第2素子群37とに分けている。そして、xy面上で、第1素子群35の凹部38と第2素子群37の凹部38とが向かい合うように配置している。したがって、複数のPD23の受光面27により構成される形状は、x方向およびy方向に対して対称の形状となる。よって、複数のPD23の受光面27をxy面上にバランスよく配置できる。
【0041】
なお、図7に示すように、第1素子群35の凸部36と第2素子群37の凸部36とが向かい合うように配置しても、図3と同様に、複数のPD23の受光面27をバランスよく配置できる。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態については、第1実施形態との相違を中心に説明する。図8は第2実施形態の光電式エンコーダに備えられる受光チップ15の一部を模式的に表した平面図であり、図5と対応する。図9、図10は、それぞれ図8の受光チップ15をIX(a)-IX(b)、X(a)-X(b)断面から見た模式図である。第2実施形態では、第2光学格子の遮光部29を、フォトダイオード23に接続される配線51の一部にしている。以下、詳細に説明する。
【0043】
遮光部29は、アルミニウムのような導電性の金属である。配線51は遮光部29と同じ層に位置している。配線51は、遮光部29と接続するように遮光部29と同時にパターニングして形成されたものである。遮光部29と受光面27との間の絶縁膜45には、コンタクトホール53が形成されている。コンタクトホール53には導電プラグ(例えばアルミニウム)からなるコンタクト部55が形成されている。コンタクト部55は、遮光部29の下でこれに接続されると共に受光面27とコンタクトしている。したがって、配線51は、遮光部29およびコンタクト部55により、フォトダイオード23に接続されている。なお、この実施形態では、導電プラグをコンタクト部55にしているが、遮光部29となる膜を絶縁層45上に形成する際に、コンタクトホール53にこの膜を埋め込んで、これをコンタクト部にしてもよい。
【0044】
第2実施形態は第1実施形態と同様の効果の他に次の効果を有する。配線をフォトダイオードと接続するために、遮光部29と同じ層の受光面27上に新たな導電膜を形成した構造の場合、この導電膜により、受光面27の有効受光面積が減少する。これに対して、第2実施形態では、配線51とフォトダイオード23との接続に導電性の遮光部29を利用している。したがって、受光面27の有効受光面積の減少を防止できる。
【0045】
また、上記新たな導電膜を形成した構造の場合、図10の断面にコンタクト部55が存在していないことになる。したがって、遮光部29と拡散領域41とで絶縁膜45が挟まれた構造の寄生容量が形成される。これがエンコーダの応答速度を下げる原因となる。これに対して、第2実施形態では、遮光部29と拡散領域41とがコンタクト部55で接続されているので、上記のような寄生容量は発生しない。
【0046】
なお、第1および第2実施形態では、四つの位相の異なる光信号(A相、B相、AA相、BB相の光信号)を用いて変位量を測定しているが、本発明に係る光電式エンコーダはこれに限定されない。例えば、三つの位相の異なる光信号(0度の位相の光信号、0度より120度だけ位相がずれた光信号、0度より240度だけ位相がずれた光信号)についても、本発明に係る光電式エンコーダに適用できる。
【0047】
また、図1に示すように、第1および第2実施形態に係る光電式エンコーダ1は、スケール5の第1光学格子11を透過した発光ダイオード3からの光Lを用いて変位量の測定をする、いわゆる透過型のタイプである。しかしながら、反射型のタイプ、つまり、スケール5の第1光学格子11で反射された発光ダイオード3からの光Lを用いて変位量を測定する場合にも、本発明を適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る光電式エンコーダによれば、複数の受光素子の接合容量の合計が一次元配置と同様でありながら、受光素子の二次元配置と同様の平均化効果を得ることができる。したがって、光電式エンコーダの応答速度の向上と測定精度の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係る光電式エンコーダの概略構成を示す図である。
【図2】 図1の第1光学格子側から見た受光チップの全体を模式的に表した平面図である。
【図3】 図2のうちフォトダイオードのみを模式的に表した図である。
【図4】 図2のうち第2光学格子のみを模式的に表した図である。
【図5】 図2のVで示す領域の拡大図である。
【図6】 図5で示す領域をVI(a)-VI(b)断面から見た模式図である。
【図7】 第1実施形態のフォトダイオード配列の変形例を模式的に表した図である。
【図8】 第2実施形態に係る光電式エンコーダに備えられる受光チップの一部を模式的に表した平面図である。
【図9】 図8の受光チップをIX(a)-IX(b)断面から見た模式図である。
【図10】 図8の受光チップをX(a)-X(b)断面から見た模式図である。
【符号の説明】
1・・・光電式エンコーダ、3・・・発光ダイオード、5・・・スケール、7・・・受光部、9・・・透明基板、11・・・第1光学格子、13・・・遮光部、15・・・受光チップ、17・・・回路基板、19・・・ICチップ、21・・・ホルダ、23・・・フォトダイオード(PD)、25・・・第2光学格子、27・・・受光面、29・・・遮光部、31・・・平行部、33・・・傾斜部、35・・・第1素子群、36・・・凸部、37・・・第2素子群、38・・・凹部、39・・・n型半導体基板、41・・・p型拡散領域、43・・・n+型拡散領域、45・・・絶縁膜、47・・・保護膜、49・・・共通電極、51・・・配線、53・・・コンタクトホール、55・・・コンタクト部

Claims (6)

  1. 光源と、
    前記光源からの光が照射される第1の方向に延びる第1の遮光部を有する第1光学格子を含むスケールと、
    前記第1光学格子に照射された光を基にして生成された光信号が入射する受光面をそれぞれ含むと共に位相の異なる複数の光信号を検出する複数の受光素子と、
    前記複数の受光素子の各受光面上に配置された前記第1の方向に延びる第2の遮光部を含む第2光学格子と、
    を備え、
    前記複数の受光素子は、前記スケールに対して測定軸に沿って相対移動可能に配置されると共に各受光面の少なくとも一部が前記第1の方向に対して斜めになるように前記測定軸に沿って配置されている、
    ことを特徴とする光電式エンコーダ。
  2. 前記複数の受光素子により、前記測定軸に沿って一端に凸部、他端に凹部を有する第1および第2素子群が、前記複数の受光素子が配置された平面上に構成されており、
    前記第1素子群と前記第2素子群とは、前記凹部同士または凸部同士が、前記平面上で向かい合うように配置されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光電式エンコーダ。
  3. 前記複数の受光素子および前記第2光学格子を含む受光チップを備え、
    前記受光チップは、さらに、
    前記複数の受光素子の各々に対して設けられており、導電性の前記第2の遮光部の下でこの第2の遮光部に接続されると共に前記受光面とコンタクトしているコンタクト部と、
    前記複数の受光素子の各々に対して設けられており、前記第2の遮光部と接続された前記受光素子の配線と、
    を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電式エンコーダ。
  4. 前記複数の受光素子のうち隣接する受光素子の受光面上に配置された前記第2光学格子は、前記第2の遮光部の空間的位相が互いに異なっている、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電式エンコーダ。
  5. 前記受光面の一部が前記第1の方向に対して斜めになるように前記測定軸に沿って配置されている、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電式エンコーダ。
  6. 前記受光面の全部が前記第1の方向に対して斜めになるように前記測定軸に沿って配置されている、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電式エンコーダ。
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