JP4349073B2 - 超音波探傷方法 - Google Patents
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Description
エコーを用いて探傷する超音波探傷方法に関するものである。
めの代表的な方法として、X線検査や超音波探傷検査が知られている。このうち、超音波
探傷検査は、超音波を対象構造物中に伝播させ、欠陥部に衝突して反射する欠陥部エコー
を検出することにより、欠陥部を検出してその情報を得るものである。
構造物の内部に効率よく透過させることができるようにするために、対象構造物の表面に
超音波探触子を密着させる必要がある。このため、対象構造物表面と超音波探触子との間
に、超音波を伝搬させる液状のグリセリンや油等、粘性を有する液状の接触媒質を介在さ
せることが不可欠である。
で行うようにしている。すなわち、先ず、図4(イ)に示す如く、対象構造物を、たとえ
ば、コンクリート構造物1とした場合に、該コンクリート構造物1の超音波探傷検査を実
施すべき個所の表面(以下、探傷面と云う)2に、たとえば、液状のグリセリン系の接触
媒質3を塗布し、次に、図4(ロ)に示す如く、図示しない探傷装置に接続してある超音
波発信用と超音波受信用の一対一組の超音波探触子4を、塗布されている接触媒質3の上
から上記探傷面2に押し当てることにより、探傷面2と超音波探触子4との間に接触媒質
3を隙間なく介在させた状態として超音波探傷作業を実施するようにしている。
質3が付着したまま残っているため、美観等を損わないように上記探傷面2を水洗い等に
より洗浄して、付着している接触媒質3を除去するようにしていた。
ンクリート表面から該グリセリン系の接触媒質3が浸透してしまうため、該接触媒質3を
構造物表面から除去するための洗浄作業に多大な労力を要するという問題がある。
るための手法として、図5に示す如く、コンクリート構造物1の探傷面2に、固体状のゲ
ルシート(膜状のゲル)5を貼り付け、該貼り付けられたゲルシート5上から超音波探触
子4をコンクリート構造物1に押し当てることで、上記探傷面2と超音波探触子4との間
に上記ゲルシート5を介在させた状態にて上記探傷面2における超音波探傷作業を行なう
ようにすることが従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
造物等の表面を洗浄する際に、ブラシ等を用いて洗剤で洗うことに代えて、構造物の洗浄
を実施しようとする個所の表面に皮膜形成性ポリマー含有液を塗布して乾燥させ、生成し
た皮膜を上記構造物の表面より剥離することにより、上記構造物の表面に付着していた汚
れを、一緒に剥離させて、汚れを上記皮膜側に付着させて除去させるようにする所謂パッ
ク洗浄法が開発されてきている(たとえば、特許文献2参照)。
触子4との間に固体状のゲルシート5を介在させるようにする手法では、上記ゲルシート
5とコンクリート構造物1の探傷面2との間に空気層ができ易く、後述する実施例の実験
結果から明らかなように、超音波減衰が大きくなって精度のよい探傷結果が得られないこ
とが多いという問題がある。
膜形成性ポリマーを塗布して乾燥させ、生成された皮膜を剥離することによって構造物表
面の汚れを同時に除去させる手法である。したがって、除去対象となる上記汚れは、形成
されるポリマーの皮膜に付着移行するものでなければならず、超音波探傷作業の終了後に
構造物の表面に残る液状の接触媒質を除去することに適用できるものではなく、且つ液状
の物質の除去に関する示唆すらなされていない。
に行なうことができ、しかも、精度のよい探傷結果を得ることができるようにする超音波
探傷方法を提供しようとするものである。
(1)対象構造物の探傷面の表面にポリマーの溶液を塗布してシート化させた後にポリマーシートの表面に接触媒質を塗布してから探傷作業を行うようにしてあるため、上記探傷面に凹凸があったとしても、その表面に形成させるポリマーシートにより凹凸を平滑化して凹凸量を緩和できるため、超音波探触子の片当りを防止でき、又、超音波探触子をポリマーシートの表面に接触させたまま移動させる際の抵抗を低減させることができて、移動探傷を容易なものとすることが可能になり、探傷を容易に行なうことができる。
(2)更に、対象構造物の探傷面にポリマーの溶液を塗布してポリマーシートを形成させるようにするため、上記探傷面との間に超音波伝搬の障害となる気泡をほとんど混入させることなく上記ポリマーシートを形成させることができる。
(3)したがって、上記(1)(2)により、精度のよい超音波探傷結果を得ることが可能となる。
(4)しかも、超音波探傷作業終了後に上記ポリマーシートを探傷面より剥離させることにより、該ポリマーシートの表面に塗布されている接触媒質を一緒に除去できる。したがって、上記接触媒質を対象構造物より除去するために従来要していた洗浄作業を不要にできる。
(5)上記において、対象構造物の表面を平滑化させるように該対象構造物の探傷面に塗布するポリマーの溶液を、塗布後乾燥させることによってシート化するものとすると、対象構造物の探傷面に塗布したポリマーの溶液を乾燥させることで、容易にポリマーシートを形成させることができる。
を示すもので、先ず、図1(イ)に示す如く、対象構造物を、たとえば、コンクリート構
造物1とした場合に、該コンクリート構造物1の探傷面2に、乾燥時に皮膜形成性を有す
るポリマーの溶液、たとえば、15%ポリビニルアルコール水溶液を、探傷検査を行なう
べき領域よりもやや広くなるように塗布した後、乾燥させて、上記探傷面2に、上記ポリ
マーのシート(皮膜)6を形成させる。
面に、従来と同様に、たとえば、グリセリン系の接触媒質3を塗布し、次いで、図1(ハ
)に示す如く、該塗布された接触媒質3の塗布面に、超音波探傷装置の超音波探触子4を
押し当てて、該接触媒質3の上からコンクリート構造物1の探傷面2に対する超音波探傷
作業を実施する。
コンクリート構造物1の表面より剥離させ、これにより、該ポリマーシート6の表面に塗
布されて付着している接触媒質3を、ポリマーシート6と一緒にコンクリート構造物1の
表面より除去するようにする。
せることにより形成されるポリマーシート6を探傷後に対象構造物としてのコンクリート
構造物1の表面から剥離させるときに、該ポリマーシート6が破れを生じさせることなく
剥離作業を一連に実施できるように或る程度の強度を有するような厚みにすると共に、対
象構造物としてのコンクリート構造物1の表面の凹凸を或る程度埋めるようなものとする
が、使用するポリマーの特性に合わせて適宜調整すればよい。
リマーシート6を形成させてから、該ポリマーシート6の表面に接触媒質3を塗布して、
該接触媒質3の塗布面に超音波探触子4を押し付けて探傷作業を行うものであるため、該
接触媒質3がコンクリート構造物1のコンクリート表面に直接接触することを防止でき、
このため、コンクリート表面に対する接触媒質3の浸透を確実に防止できると共に、ポリ
マーシート6を剥すことにより該ポリマーシート6の表面に付着している接触媒質3も同
時にコンクリート構造物1の表面から除去できるため、従来要していた如き多大な労力を
必要とする接触媒質3の洗浄作業を省略できて、超音波探傷作業全体に要する手間を削減
することが可能となる。
きるため、形成させるポリマーシート6とコンクリート構造物1の表面との間や、ポリマ
ーシート6の内部に、超音波伝播の障害となる気泡が混入することがなく、該ポリマーシ
ート6がコンクリート構造物1と超音波探触子4との間に介在することに伴う超音波探傷
感度の低下を抑制できる。更に、超音波探触子4と上記ポリマーシート6との間には、従
来と同様の超音波を伝搬させるための接触媒質3を介在させるため、超音波の減衰を抑え
ることができる。
ても、該コンクリート構造物1の表面にポリマーシート6を形成させることによって凹凸
を平滑化させて、凹凸の緩和されたポリマーシート6の表面を形成させることができ、こ
のため、超音波探触子4の片当りを防止できると共に、超音波探触子4をポリマーシート
6の表面に接触させたまま移動させる際の抵抗を低減させることができて、移動探傷を容
易なものとすることが可能になる。
探傷結果を得ることができる。
対象構造物の表面素材と反応せずに形成させるポリマーシート6を対象構造物の表面から
容易に剥離でき、且つポリマーシート6の表面に塗布する接触媒質3と反応しないもので
あれば、ポリビニルアルコール以外の材質のものとしてもよく、更に、乾燥以外にも、温
めた状態から常温への冷却等の温度変化や、ポリマーシート6の表面への塗布前に予め混
入させた硬化剤との反応等の化学的な反応によってシート化するポリマーを使用してもよ
い。対象構造物としては、鋼構造物等、コンクリート構造物1以外の対象構造物に対する
超音波探傷にも適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変
更を加え得ることは勿論である。
、本発明の超音波探傷方法に従って、探傷面2にポリマーシート6を形成させ、該ポリマ
ーシート6の表面に接触媒質3を塗布してから超音波探触子4を押し当てて、周波数25
0kHzの超音波による背面反射波(Back-wall echo)を計測し、上記探傷面2と超音波
探触子4との間に、接触媒質3のみを介在させた場合、及び、特許文献1で提案されてい
るゲルシート5として5mm厚と2mm厚のゲルシート5をそれぞれ介在させた場合にお
ける背面反射波と比較した。
る背面反射波の減衰量は、図中に○で示す如く、従来の超音波探傷法のように接触媒質3
のみを介在させたとき(図中●で示す)の超音波減衰量とほぼ同等の値となり、これによ
り、ポリマーシート6の存在下でも超音波探傷感度が低下していないことが判明した。
用いた場合(図中□で示す)に比して、超音波減衰量が小さいことが判明した。
2 探傷面
3 接触媒質
4 超音波探触子
6 ポリマーシート
Claims (2)
- 対象構造物の探傷面に、シート形成能を有するポリマーの溶液を塗布した後、該ポリマーの溶液をシート化させることにより、上記対象構造物の表面を平滑化させるようにし、しかる後、探傷面に形成された平滑なポリマーシートの表面に接触媒質を塗布して、該接触媒質の塗布面に超音波探触子を押し当てて上記対象構造物の探傷面の超音波探傷を行うことを特徴とする超音波探傷方法。
- 対象構造物の表面を平滑化させるように該対象構造物の探傷面に塗布するポリマーの溶液を、塗布後乾燥させることによってシート化するものとした請求項1記載の超音波探傷方法。
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