JP4348783B2 - 車両用モータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両駆動に複数の誘導モータを用い共通の駆動装置で駆動する車両用モータ制御装置に関し、とくに各誘導モータの駆動力配分をアンバランスさせることなくモータ制御ができる車両用モータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車において、左右駆動輪をそれぞれの誘導モータで駆動することが行われている。各誘導モータの制御は従来、誘導モータごとにインバータを設け、車両走行状態から演算された左右駆動輪の駆動力配分をインバータによって単独に駆動することが行われている。
【0003】
一方電気自動車ではコストパフォーマンス向上のため、車両を軽量化、低コスト化することが要請され、誘導モータの制御装置に対しては構造が簡単で、かかるコストの少ないものが要求される。
そこで、誘導モータごとに接続されるインバータを一台のインバータで統合し、誘導モータを集中的に駆動することが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、左右の誘導モータを共通のインバータで駆動制御を行うと、誘導モータがスベリ速度(ロータの回転速度から駆動電流の回転速度を差し引いた速度)によって出力トルクが変化するという特性を有するため、左右の誘導モータの回転速度が異なった場合、左右の誘導モータの回転速度の差に基づく出力トルクの差が生じて、車両の挙動に影響を与えるという問題がある。
【0005】
誘導モータが力行状態(ロータの回転速度<駆動電流の回転速度)における出力トルクは、図11に示すように駆動電流の大きさとスベリ速度の大きさに依存して変化する。電気自動車等の動力源として用いる誘導モータは、一般に効率を重視した制御を行なうために、モータの駆動効率が最大となるようにスベリ速度がN2に設定され、駆動電流の電流値を変化させることで出力トルクを制御している。
【0006】
自動車が旋回する時には、内側の車輪の回転速度が外側の車輪の回転速度よりも低くなる。このとき例えばスベリ速度N2を内側の車輪を駆動する誘導モータに合せて設定すると、外側の車輪を駆動する誘導モータは、そのロータの回転速度が高いことからスベリ速度が小さくなる。その出力トルクは図11に示すようにスベリ速度N1に対応して内側の誘導モータより小さくなる。
このため、車両旋回時に発生される誘導モータの出力トルクは、外側の車輪を駆動する誘導モータに対し内側の車輪を駆動する誘導モータの方がΔTだけ大きい出力トルクを発生することとなって、車両の旋回性が低下するという問題点がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、複数の誘導モータを共通のインバータで駆動しても車両の旋回性を悪化させない車両用モータ制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため請求項1記載の発明は、左右駆動輪に連結され、それぞれを独立に駆動する複数の誘導モータを制御する車両用モータ制御装置であって、各誘導モータを共通に駆動する駆動手段と、前記駆動手段が出力する駆動電流値と電流周波数とを演算する電流制御手段とを有する。ここで、駆動手段は、前記電流制御手段によって演算された駆動電流値と電流周波数とを制御目標として各誘導モータを駆動する。電流制御手段は、前記駆動手段が出力する駆動電流値に対応する前記誘導モータの固有の同期回転速度である駆動電流の回転速度に基づいて前記電流周波数を演算しており、左右の前記誘導モータの回転速度差に基づいて前記駆動電流値および前記駆動電流の回転速度を演算することにより、回転速度の低い前記誘導モータの出力トルクが回転速度の高い前記誘導モータの出力トルク以下となるように左右の前記誘導モータのスベリ速度をそれぞれ制御するスベリ速度制御を行う。
【0009】
請求項記載の発明は、前記電流制御手段が左右の前記誘導モータの回転速度差を検出する回転速度差検出手段と、前記回転速度差と車両に要求される目標トルクとによって前記駆動手段が出力する駆動電流を演算する電流演算手段と、前記回転速度差と前記目標トルクとによってスベリ速度を演算するスベリ速度演算手段と、前記スベリ速度と所定の誘導モータの回転速度によって前記駆動電流の回転速度を演算する回転速度演算手段とを含むものとした。
【0010】
請求項記載の発明は、車両にコーナリングセンサが設けられるとともに、前記誘導モータをベクトル制御するベクトル制御手段と切換手段とを備え、前記コーナリングセンサによって車両が直進状態と判断された場合、前記切換手段は前記誘導モータ制御を前記スベリ速度制御から前記ベクトル制御手段によるベクトル制御に切換えるものとした。
【0011】
請求項記載の発明は、前記ベクトル制御手段が左右の前記誘導モータの回転速度を比較し、前記誘導モータを力行制御時に、低い回転速度を基準回転速度、回生制御時には、高い回転速度を基準回転速度として、ベクトル制御を行うものとした。
【0012】
請求項記載の発明、前記ベクトル制御手段と前記電流制御手段が一次遅れフィルタを備えた出力手段を介して前記駆動手段に接続されるものとした。
【0013】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、左右の誘導モータの出力トルクが同じになるようにスベリ速度制御を行うことで、車両旋回時に、内側の車輪を駆動する誘導モータにおいて回転速度の低下によって出力トルクが上昇することがなくなり、車両旋回を円滑に行わせることができる。
【0014】
また、請求項記載の発明では、電流制御手段が左右の誘導モータの回転送度差に応じて回転速度の低い誘導モータからの出力トルクが小さくなるようにスベリ速度制御を行うことで、車両旋回時に、内側の車輪を駆動する誘導モータに回転速度の低下に対応して出力トルクの増加を抑えることができるとともに、車両旋回時のトルク配分を適切に調整することができる。
【0015】
請求項記載の発明では、車両が直進状態と判断された場合、切換手段は誘導モータの制御をスベリ速度制御からベクトル制御に切換えるから、スベリ速度制御が、車両がコーナリング中だけ行われる。これによって、旋回時には良好なトルク配分を行うことができるとともに、通常の直進状態では、ベクトル制御により駆動効率よくモータ制御ができる。
【0016】
請求項記載の発明では、ベクトル制御手段が、左右の誘導モータの回転速度を比較し、誘導モータを力行制御時に、低い回転速度を基準回転速度、回生制御時には、高い回転速度を基準回転速度として、ベクトル制御を行うから、スリップあるいはスキッドを起こした車輪にトルク配分を減少させることができ、スリップあるいはスキッドを無くす方向にモータ制御ができる。
【0017】
請求項記載の発明では、ベクトル制御手段と電流制御手段が一次遅れフィルタを備えた出力手段を介して駆動手段に接続されるから、制御手段を切換えるとき、一次遅れフィルタの働きで、制御特性の急変を避けることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1は実施例の構成を示すブロック図である。
誘導モータ7L、7Rが車両を駆動するモータで、それぞれ図示しない車両の左右駆動輪に連結され、単独で駆動するようになっている。誘導モータ7L、7Rは共通のインバータ6と接続している。インバータ6は図示しない車載バッテリからの直流電源を例えば3相の交流電源に変換して誘導モータ7L、7Rに電源供給をしモータ駆動を行う。
【0019】
車両にはコーナリングセンサ9が取り付けられて、その検出値(コーナリングセンサ信号)がコーナリング判断部2に出力される。コーナリング判断部2では入力される検出値に基づいて車両がコーナリング状態かどうかを判断し、判断結果が切換部5に出力される。切換部5は車両がコーナリング状態かどうかによって、ベクトル制御を行うか、スベリ速度制御を行うかの選択を行う。その選択結果に対応してベクトル制御部3あるいはスベリ速度制御部4を作動させる。
コーナリングセンサとしては、例えばヨーレイトあるいは操舵角を検出するセンサを用いることができる。
【0020】
車両の操作系からは車両の操作信号として、アクセル開度信号とシフトポジション信号およびブレーキ信号が目標トルク作成部1に出力される。目標トルク作成部1では車両の操作信号をもとに、出力すべき目標トルクを演算する。その目標トルクがベクトル制御部3、スベリ速度制御部4に出力される。ベクトル制脚部3、スベリ速度制御部4は、目標トルクと、誘導モータ7L、7Rの回転速度NL、NRとに基づいて誘導モータを制御する制御値として一次電流値(出力電流値)Iと電流周波数ωを演算する。演算された制御値が出力部8によってインバータ6に出力される。出力部8は一次遅れフィルタを備え、制御値をフィルタ処理して出力するようになっている。ベクトル速度制御部3は誘導モータの駆動効率を最大になるように制御を行う。スベリ速度制御部4は2つの誘導モータに同じトルクが出力されるように制御を行う。
【0021】
図2は上記構成における制御の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップ100において、目標トルク作成部1は車両操作信号を入力するとともに、操作信号からアクセル開度Aとシフトポジションを検出する。ブレーキが踏まれた場合には、ブレーキ信号からブレーキ踏み量を検出する。車両速度としては誘導モータ7L、7Rの回転速度NL、NRの平均値を用いる。
【0022】
ステップ101において、目標トルク作成部1は、アクセル開度Aとシフトポジションおよび車両速度によって、制御すべき目標トルクT0を演算する。この演算は、例えば図3に示す制御線図を用いて行うことができる。またブレーキが踏まれている回生時には、ブレーキ踏み量に応じて目標トルクを演算する。
【0023】
ステップ102において、コーナリング判断部2は、入力されるコーナリングセンサ信号によって、車両が直進状態かコーナリング状態かを判断し、その判断結果が切換部5に出力される。
ステップ103において、切換部5は、車両がコーナリング状態か否かをチエックする。コーナリング状態の場合は、スベリ速度制御を選択しスベリ速度制御部4を作動させて、ステップ108へ進む。車両が直進状態の場合には、ベクトル制御を選択しベクトル制御部3を作動させて、ステップ104へ進む。
【0024】
ステップ104において、ベクトル制御部3は、目標トルクT0によって力行制御か回生制御かを判断する。回生制御の場合はステップ105へ、力行制御の場合にはステップ106へ進む。
ステップ105において、左右の誘導モータ7L、7Rの回転速度NR、NLのうち、値の大きいものを抽出して制御を行うための基準回転速度N0とする。
一方ステップ106においては、回転速度の小さいものを抽出して基準回転速度N0とする。これによって、基準回転速度N0はスリップあるいはスキッドを起こしていない誘導モータの回転速度になる。ベクトル制御は誘導モータの駆動効率の高い領域で行なわれるから、スリップあるいはスキッドを起こした車輪にそれぞれの回転速度に対応して出力トルク配分が小さくなり、スリップあるいはスキッドを無くす方向にモータが駆動されることになる。
【0025】
ステップ107において、ベクトル制御部3は、基準回転速度N0と目標トルクT0に基づいて、ベクトル制御を行うための制御値である一次電流値Iと電流周波数ωを演算する。ベクトル制御の詳細な内容は、従来と同様であり、ここで説明を省略する。
一方ステップ108において、スベリ速度制御部4は目標トルクT0と誘導モータ7L、7Rの回転速度NL、NRにより、スベリ速度制御を行うための制御値である一次電流値Iと電流周波数ωを演算する。演算の詳細内容は後述する。
【0026】
ステップ109において、出力部8は、誘導モータの制御値を一次遅れフィルタによるフィルタ処理をしてインバータ6に出力する。
ステップ110において、誘導モータ7L、7Rがインバータ6によって一次電流値Iと電流周波数ωを制御目標として駆動される。
【0027】
上記制御によって、車両が直進状態ではベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うに当たって、力行時に回転速度の低い誘導モータを対象に、回生時には回転速度の高い誘導モータを対象に制御を行うから、それぞれのときにスリップあるいはスキッドを起こした車輪に出力されるトルクが図4のように非スリップあるいは非スキッド車輪より減少し、スリップあるいはスキッドを無くす方向にモータ駆動が行われる。
【0028】
次に、スベリ速度制御の詳細について説明する。
図5は、スベリ速度とモータの出力トルクとの関係を示す特性図である。
同図において、出力トルクが正の力行領域では、スベリ速度が0から小さくなるにしたがって出カトルクが増大し、所定のスベリ速度となると出力トルクが最大となり、その後は出力トルクが減少していく。
【0029】
車両が直進状態で行なうベクトル制御時は、効率を上げるために出力トルクが最大(B点)となるスベリ速度より大きい領域内で制御が行われているが、スベリ速度制御を行なう場合は、出力トルクが最大(B点)となるスベリ速度より小さい領域まで制御範囲を拡大することにより、スベリ速度が異なっていても同一の出力トルクを発生させることが可能になる。また、この特性は回生領域においても同様であり、出力トルクが負の回生トルクとなる。
【0030】
図6は、図1におけるスベリ速度制御部4の詳細な構成を示す図である。回転速度差演算部41には誘導モータ7L、7Rの回転速度NL、NRが入力され、ここで回転速度差ΔNSが演算される。この演算値は一次電流演算部42、スベリ速度演算部43に出力される。一次電流演算部42は、図7に示す電流演算マップをもっており、この電流演算マップには、図5の制御特性をもとに、誘導モータ7L、7Rに出力トルクが同じという条件下で、出力可能なトルク領域において、各トルクTに対して回転速度差ΔNSと一次電流値Iの対応関係が記されている。一次電流値Iは誘導モータ7Lと7Rの両方の合計値である。一次電流演算部42は、各誘導モータが負担するトルクT(目標トルクT0/2)と左右の誘導モータの回転速度差ΔNSをもとに、電流演算マップから一次電流値Iを求めて出力する。
【0031】
スベリ速度演算部43は、図8に示すスベリ速度演算マップをもっている。
このスベリ速度演算マップには、上記図5の制御特性をもとに、出力可能な各トルクに対して回転速度差ΔNSと、力行時に回転速度が高い、回生時には回転速度が低い誘導モータのスベリ速度NS0の対応関係が記されている。
スベリ速度演算部43は、各誘導モータが負担するトルクT(目標トルクT0/2)と左右の誘導モータの回転速度差ΔNSに基づいて、スベリ速度演算マップからスベリ速度NS0を求めて電流周波数演算部44に出力する。
電流周波数演算部44は、スベリ速度NS0と誘導モータの回転速度から、駆動電流回転速度NIを演算し、誘導モータの極数によって電流周波数ωを演算して出力する。この電流周波数ωと一次電流値Iを制御目標としてインバータ6によって誘導モータ7L、7Rが制御される。
【0032】
次に図9のフローチャートに従って上記スベリ速度制御の流れを説明する。
すなわち、ステップ1081において、回転速度差演算部41は誘導モータ7Lと7Rの回転速度NL、NRから回転速度差ΔNSを演算する。
ステップ1082においては、一次電流演算部42は、目標トルクT0から演算された各モータの出力トルクTと回転速度差ΔNSとによって図7の電流演算マップから、制御目標としての一次電流値Iを演算する。
ステップ1083においては、スベリ速度演算部43は各誘導モータの出力トルクTと左右の誘導モータの回転速度差ΔNSに基づいて図8のスベリ速度演算マップから制御目標としてのスベリ速度NS0を演算する。
【0033】
ステップ1084において、電流周波数演算部44は、下式によって電流周波数ωを演算する。
まず、駆動電流の回転速度NIとして、
力行時に、誘導モータ7L、7Rのうち、値の大きい回転速度Noutとスベリ速度NS0によって算出する。
NI=Nout+NS0
回生時に、値の小さい回転速度Ninとスベリ速度NS0によって算出する。
NI=Nin−NS0
電流周波数ωは、駆動電流の回転速度NIと誘導モータ極数kによって算出する。
ω=NI×k
【0034】
以上のように、スベリ速度制御では、回転速度差に応じて、各誘導モータに発生するトルクが同じになるように制御を行うから、コーナリング中でも回転送度の低い誘導モータに出力トルクの増加が無くなり、旋回が円滑に行なわれる効果が得られる。
本実施例は以上のように構成され、直進または旋回などの車両状態に応じて、モータ制御を切り換えるから、それぞれの状態に適合した制御を行うことができる。旋回時にスベリ速度制御を行うことによって、左右車輪の回転速度に差が生じても、回転速度の低い車輪に出力トルクの上昇が抑えられ、車両の旋回性を損なうことなく車両駆動ができる。
また車両が直進状態では、通常のベクトル制御を行うから、高効率に誘導モータを駆動することができる。また制御に当たって力行時に回転速度の低い誘導モータを制御対象として、回生時には回転速度の高い誘導モータを制御対象として制御を行うから、それぞれの状態でスリップあるいはスキッドを起こした車輪に誘導モータの出力トルクあるいは回生トルクの発生が小さくなり、スリップあるいはスキッドが減少する方向に誘導モータが駆動されるから、車両としてはその状態から速く脱出することができる。
【0035】
上記実施例では、車両がコーナリング中の場合は、モータ制御をスベリ速度制御に切換えて、誘導モータの回転速度差が生じても出力トルクが同じになるように制御したが、図5のスベリ速度制御特性図で分かるように、最大トルク(B点)を超えた領域では、スベリ速度が小さくなるにしたがって出力トルクが減少するため、スベリ速度をさらに小さく設定すれば、回転速度の低い誘導モータにより小さいトルクを発生することができる。
【0036】
次に、変形例として、回転速度の低い誘導モータの出力トルクをさらに抑えるスベリ速度制御を図10のフローチャートに従って説明する。
まず、ステップ1001において、演算される目標トルクT0を左右の誘導モータの回転速度に応じて、ヨーモーメントコントロール演算を行う。これによって、内側の誘導モータに出力されるトルクTinと外側の誘導モータに出力されるトルクToutが求められる。TinはToutより小さい。
ステップ1002において、左右の誘導モータの回転速度NL、NRから回転速度差ΔNSを演算する。
【0037】
ステップ1003において、回転速度差ΔNSと所定のトルクTinとトルクToutの対応関係のもとで、図5の特性より逆算して得られた電流演算式
I=f1(Tout、Tin、ΔNS)
から回転速度差ΔNSとトルクTinおよびToutによって一次電流値Iを求める。 ステップ1004においては、回転速度差ΔNSと所定のトルクTinとトルクToutの対応関係のもとで、図5の特性により逆算して得られるスベリ速度演算式
NS0=f2(Tout、Tin、ΔNS)から回転速度差ΔNSとトルクTinおよびToutによってスベリ速度NS0を求める。
【0038】
ステップ1005において、下式によって、駆動電流の回転速度NIを演算する。
力行時、NI=Nout+NS0
回生時、NI=Nin−NS0
電流周波数ωはNIと誘導モータの極数kによって演算される。
ω=NI×k
上記では、関数によって、一次電流値と駆動電流の回転速度の演算を示したが、もちろん、実施例と同じように、図5で示されているモータ特性を予めマップに求めておいて、マップから演算することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】制御の流れを示すフローチャートである。
【図3】車両速度と目標トルクの関係を示す制御線図である。
【図4】ベクトル制御が行われるときのトルク配分の変化を示す説明図である。
【図5】スベリ速度制御の制御特性を示す図である。
【図6】スベル速度制御部の詳細な構成を示す図である。
【図7】一次電流値を演算するための電流演算マップである。
【図8】スベリ速度を演算するためのスベリ速度マップである。
【図9】スベリ速度制御の流れを示すフローチャートである。
【図10】スベリ速度制御の変形例を示すフローチャートである。
【図11】従来例のモータ特性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 目標トルク作成部
2 コーナリング判断部
3 ベクトル制御部(ベクトル制御手段)
4 スベリ速度制御部(電流制御手段)
5 切換部(切換手段)
6 インバータ(駆動手段)
7L、7R 誘導モータ
8 出力部(出力手段)
9 コーナリングセンサ
41 回転速度差演算部(回転速度差検出手段)
42 一次電流演算部(電流演算手段)
43 スベリ速度演算部(スベリ速度演算手段)
44 電流周波数演算部(回転速度演算手段)

Claims (5)

  1. 左右駆動輪に連結され、それぞれを独立に駆動する複数の誘導モータを制御する車両用モータ制御装置であって、
    各誘導モータを共通に駆動する駆動手段と、
    前記駆動手段が出力する駆動電流値と電流周波数とを演算する電流制御手段とを有して、
    前記駆動手段は、前記電流制御手段によって演算された駆動電流値と電流周波数とを制御目標として各誘導モータを駆動するとともに、
    前記電流制御手段は、
    前記駆動手段が出力する駆動電流値に対応する前記誘導モータの固有の同期回転速度である駆動電流の回転速度に基づいて前記電流周波数を演算しており、
    左右の前記誘導モータの回転速度差に基づいて前記駆動電流値および前記駆動電流の回転速度を演算することにより、回転速度の低い前記誘導モータの出力トルクが回転速度の高い前記誘導モータの出力トルク以下となるように左右の前記誘導モータのスベリ速度をそれぞれ制御するスベリ速度制御を行うことを特徴とする車両用モータ制御装置。
  2. 前記電流制御手段は、
    左右の前記誘導モータの回転速度差を検出する回転速度差検出手段と、
    前記回転速度差と車両に要求される目標トルクとによって前記駆動手段が出力する駆動電流値を演算する電流演算手段と、
    前記回転速度差と前記目標トルクとによってスベリ速度を演算するスベリ速度演算手段と、
    前記スベリ速度と所定の誘導モータの回転速度によって前記駆動電流の回転速度を演算する回転速度演算手段と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用モータ制御装置。
  3. 車両にコーナリングセンサが設けられるとともに、前記誘導モータをベクトル制御するベクトル制御手段と切換手段とを備え、
    前記切換手段は、前記コーナリングセンサによって車両が直進状態と判断された場合、前記誘導モータ制御を前記スベリ速度制御から前記ベクトル制御手段によるベクトル制御に切換えることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用モータ制御装置。
  4. 前記ベクトル制御手段は、左右の前記誘導モータの回転速度を比較し、前記誘導モータを力行制御時に、低い回転速度を基準回転速度、回生制御時には、高い回転速度を基準回転速度として、ベクトル制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の車両用モータ制御装置。
  5. 前記ベクトル制御手段と前記電流制御手段は、一次遅れフィルタを備えた出力手段を介して前記駆動手段に接続されることを特徴とする請求項3に記載の車両用モータ制御装置。
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