JP4348480B2 - ケーブル状圧電センサ - Google Patents

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Description

本発明は、ケーブル状の圧電センサに関するものである。
圧電センサとは、機械的エネルギーを電気的エネルギーに、または電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する物質である圧電体を利用して、圧力などの応力が加わる際に電圧信号を発生させるセンサである。圧電センサは、衝撃から人体の微小振動まで幅広く検出が可能であり、かつ様々な場所に自在に設置できる高感度感圧技術である。
従来から、ケーブル状および/またはシート状の圧電センサが、地面に設置して車の進入センサ、またはマット内部に設置してその上に物体が載ったことを検知するために利用されている。特に、ケーブル状圧電センサは、所望の形状に変形させていろいろな場所に設置することが望まれるため、細く、耐熱性があり、そして柔軟性を有していることが好ましい。
ケーブル状圧電センサは、同軸ケーブル構造を特徴とし、内部から順に、内部導体、可撓性絶縁体、外部導体、および可撓性シースから構成される。
内部導体は、単独または複数の金属線、あるいはゴムや樹脂などのファイバー状の可撓性構造体に金属箔を巻き付けたものからなる。可撓性絶縁体は、高分子(例えば、ゴムおよび/または樹脂など)のファイバー状の可撓性構造体からなり、内部導体の周囲を完全に囲むように配置される。外部導体は、可撓性絶縁体の表面を部分的または完全に覆うように、編組した金属線および/または金属箔を単独あるいは組合わせて用いる。通常、内部導体の周囲に可撓性絶縁体を押し出し成形した後、可撓性絶縁体の周囲に外部導体を巻き付ける。可撓性のシースは、合成ゴムまたは合成樹脂などからなり、内部(すなわち、内部導体、可撓性絶縁体、および外部導体)を保護する。
この構造において、内部導体と外部導体の間に圧電体が存在すると、外部からの圧力の印加によって圧電センサ自体が変形する際に圧電体表面に電荷が発生し、その結果、内部導体と外部導体の間にはその発生電荷に応じた電圧が発生する。
従来のケーブル状圧電センサは、圧電性を兼ね備えた可撓性絶縁体を用いて作製され、例えば、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛などのセラミックス圧電体の微粒子を可撓性絶縁体の中に添加した複合体(すなわち、絶縁性の可撓性複合圧電体)を用いるか(例えば、特許文献1および2を参照のこと)、または、フィルム状の高分子圧電体材料を絶縁性の可撓性圧電体として用いるか(例えば、非特許文献1を参照のこと)のいずれかである。
特開2000−111422公報(平成12年4月21日公開) 特開2001−004462公報(平成13年1月12日公開) http://www.t−sensor.co.jp/PIEZO/CABLE/index.html
しかしながら、上記従来の構成、すなわち、絶縁性の可撓性圧電体を用いるケーブル状圧電センサでは、以下のような問題を生じる。
圧電体として好ましいセラミックスは、塑性変形を起こすことが困難であるため、局所的な応力集中を緩和することができない。そのため、セラミックスセンサは、機械的強度や熱衝撃特性が低く、破損する危険性が高い。セラミックスセンサをプラスチックなどと複合化して強化することが頻繁に行なわれるが、この複合体化セラミックスセンサは、その強化された性質のためにケーブル状圧電センサに適用することができない上にセンサ感度が低い。そのため、従来のケーブル状圧電センサは、特許文献1および2のようにセラミックスを粒子化させて可撓性絶縁体中に混入させてなる絶縁性の可撓性圧電体を用いる。
特許文献1および2に記載されるような可撓性絶縁体としてのゴムや樹脂は、機械的インピーダンスが小さいので、外部から圧力が印加された場合に容易に変形する。この変形を通じてゴムや樹脂の中に添加された圧電体の微粒子に応力が印可されて、内部導体と外部導体との間に電圧が誘起され、その結果、圧力が検出できる。
しかし、特許文献1に記載のケーブル状圧電センサは、可撓性構造体としての合成ゴムや合成樹脂の中にチタン酸鉛のような圧電性セラミックスの微粒子を添加しているため、圧電センサ製造の際にこのような添加工程を必要とする。さらに、圧電体の微粒子が添加された可撓性構造体は、純粋な合成ゴムや合成樹脂と比較して流動性や柔軟性が低下し、細くかつ柔軟に加工することが困難である。具体的には、可撓性複合圧電体をケーブル状にチュービング加工するために射出成形押し出し加工装置を使用した場合、可撓性複合圧電体が装置内に滞留して都合よいチュービング加工ができない。また、チュービング加工ができたとしても、装置内での可撓性複合圧電体の流動性が一定ではないために、途切れたチュービング加工となり、ケーブル状の可撓性複合圧電体が形成できない。
特許文献2に記載のケーブル状圧電センサは、特許文献1に記載されるような可撓性複合圧電体をケーブル状にチュービング加工するために、可撓性複合圧電体にさらに潤滑剤を混入させて流動性を高め、加工装置内での可撓性複合圧電体の滞留の防止や均一性を高めている。
特許文献2に記載されるように潤滑剤をさらに混入させて流動性を高めることによって、特許文献1に記載される可撓性複合圧電体を細く加工することはできるが、可撓性複合圧電体の柔軟性自体は改善されない。また、合成ゴムや合成樹脂の中に添加する際に圧電性セラミックスの微粒子を一様に分散させるのは非常に困難であり、その結果、作製された可撓性複合圧電体が不均一になり、製造されたケーブル状圧電センサのセンサ感度にばらつきが生じる。
非特許文献1に記載されるケーブル状圧電センサは、特許文献1および2に記載されるようなセラミックスを用いる従来のケーブル状圧電センサの欠点を補うために、応力集中に強い高分子圧電体材料を絶縁性の可撓性圧電体として巻き付けて用いられる。具体的には、非特許文献1に記載されるケーブル状圧電センサは、圧電性高分子材料(ポリフッ化ビニリデン)からなるフィルムを絶縁性の可撓性圧電体として用いるので、特許文献1および2のように圧電性セラミックスの微粒子を合成ゴムや合成樹脂の中に添加する場合とは異なり、感度のばらつきが小さい。
しかし、高分子圧電体材料の厚さを均一に制御することは困難であり、薄い部分では分極処理を行なう際の高電圧によって破損しやすい。ケーブル状圧電センサは可能な限り細いことが好ましいが、強度を保持したまま圧電性高分子材料を約10μmより薄くすることは困難である。そのため、非特許文献1に記載されるケーブル状圧電センサは、3mm以上の直径を有する。
さらに、絶縁性のフィルム状可撓性圧電体を内部導体の周りに巻き付けるというさらなる工程は、通常の同軸ケーブルを作製するために使用する装置以外の専用の装置が必要となり、製造コストが高くなる。その結果、ケーブル状圧電センサの価格が高価になる。
また、ポリフッ化ビニリデンは耐熱性が低く100℃で圧電性を失い溶解してしまうため、100℃以上では使用できない。また、圧電性高分子材料は、ケーブル状圧電センサに通常用いられる可撓性絶縁体と比較して強度が弱いので、内部導体と金属層との間に適用した場合、外部からの応力によって破損しやすく、その結果絶縁性を保持することができなくなる。
つまり、絶縁性の可撓性圧電体を用いて作製されたケーブル状圧電センサは、上記のように種々の不都合を有している。しかし、絶縁性の可撓性圧電体を用いることなく作製されたケーブル状圧電センサは、これまでには存在せず、このようなケーブル状圧電センサを作製することは不可能であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁性の可撓性圧電体を用いるケーブル状センサでは達成することのできなかった、細く柔軟で耐熱性を有し、センサ感度が均一でありかつさらなる製造装置を必要としない安価なケーブル状圧電センサを提供することにある。
本発明者らは、金属層上に形成した柔軟な圧電体を用いれば、可撓性絶縁体の可撓性を損なうことがなく上記課題に対応したケーブル状圧電センサを作製できることを見出した。
本発明に係る圧電センサは、同軸ケーブル状であって、内部導体、可撓性絶縁体、圧電体層と金属層とを含む外部導体、および可撓性のシースからなることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記圧電センサの可撓性絶縁体が可撓性を損なわないという効果を奏する。さらに、上記の構成によれば、可撓性絶縁体と圧電体とを独立して選択することができるので、上記圧電センサを適用する局面に応じて可撓性絶縁体と圧電体とを選択することができる。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記外部導体が可撓性支持体層をさらに含むことが好ましい。
上記の構成によれば、上記外部導体の金属層が損傷しにくいという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記可撓性支持体層が上記金属層の外側を覆うことが好ましい。
上記の構成によれば、上記外部導体の金属層が損傷しにくいという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記外部導体が、一体形成された圧電体層および金属層を含むことが好ましい。
上記の構成によれば、上記圧電センサを従来の同軸ケーブル製造装置のみを用いて作製することができるという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記外部導体が、一体形成された圧電体層、金属層および可撓性支持体層を含むことが好ましい。
上記の構成によれば、上記圧電センサを従来の同軸ケーブル製造装置のみを用いて作製することができ、かつ上記外部導体の金属層が損傷しにくいという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサの上記外部導体において、上記金属層の周囲をさらなる金属層が覆うことが好ましい。
上記の構成によれば、上記一体形成された圧電体層および金属層が損傷しにくく、外部誘導雑音の遮蔽を高めるという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記外部導体が、フィルム状であることが好ましい。
上記の構成によれば、上記圧電センサを従来の同軸ケーブル製造装置のみを用いて作製することができ、かつより細い圧電センサを作製することができるという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記圧電体がセラミックス圧電体または高分子圧電体材料であることが好ましい。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記圧電体が双極子配向度55%以上のウルツ鉱構造を有するセラミックス圧電体であることが好ましい。
上記の構成によれば、柔軟性が要求されるケーブル状圧電センサにセラミックス圧電体層を適用することができるという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサは、直径が1.5mm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、上記圧電センサを種々の場所(特に、衣服または織物など)に適用することができるという効果を奏する。
本発明に係る圧電センサにおいて、上記圧電体が、窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛であることが好ましい。
上記の構成によれば、柔軟で耐熱性を有し、センサ感度が均一であるケーブル状圧電センサを取得することができるという効果を奏する。
本発明によれば、内部導体と、その周囲に配置された可撓性絶縁体と、外部導体、および可撓性のシースから構成される同軸ケーブル状の圧電センサにおいて、内側表面に柔軟な圧電体層を形成したフィルム状の外部導体を用いると、特別な装置を用いることなく、従来の同軸ケーブル作製方法によって、細く柔軟で耐熱性を有し、センサ感度が均一でありかつさらなる製造装置を必要としない安価なケーブル状圧電センサを提供することができる。
本発明の一実施形態について図1ないし図3に基づいて説明すると以下の通りである。
図1および2は、本発明の一実施形態を示すものであり、ケーブル状圧電センサ100の斜視図を示す図である。図2は、図1に示す本発明の一実施形態を作成する際に、圧電体層31と金属層32からなる外部導体3を巻き付ける局面を示す図である。
本実施形態に係るケーブル状圧電センサ100は、可撓性絶縁体2を通常の同軸ケーブルで使用される合成ゴムや合成樹脂で構成し、金属層32の表面に柔軟性を持つ圧電体層31を形成してなる外部導体3を、その圧電体層31を形成した面を可撓性絶縁体2に密着するように巻き付け、シース4で覆うことによって構成される。
本実施形態に係るケーブル状圧電センサに力が作用した場合、外部導体3の圧電体層31にその力が作用し、圧電体層31の表面にその作用する力に応じた電荷が発生して内部導体1と外部導体3の間に電圧が誘起され、ケーブル状圧電センサ100に作用する力を電圧として検出することができる。図3は、本発明の一実施形態に係るケーブル状圧電センサを、クリップで挟み、その挟む力を変化させたときのケーブル状圧電センサの出力例を示す図である。
本実施形態において、可撓性絶縁体2は、通常の同軸ケーブルで使用される合成ゴムや合成樹脂で構成されるので、従来の同軸ケーブル製造方法と同じ技術を用いることができる。さらに、可撓性絶縁体2は、圧電体の微粒子を含んでいないので薄くすることができ、その結果、本実施形態に係るケーブル状圧電センサを細くかつ柔軟にすることができる。
また、本実施形態において、外部導体3として表面に柔軟な圧電体層31を形成した金属層32を用いるので、金属層を巻き付ける従来の同軸ケーブル製造方法と同じ技術を用いて図2に示すように可撓性絶縁体2の表面に外部導体3を巻き付けることができ、なんら特別な装置を必要としない。
本発明に係るケーブル状圧電センサは、直径が0.1〜1.5mmであることが好ましいので、内部導体、可撓性絶縁体、圧電体層および金属層がいずれも細いかまたは薄いことが好ましい。本発明に係るケーブル状圧電センサの好ましい直径は、0.1〜1.5mmであり、特に好ましくは、0.1〜1.3mmである。
上記特徴によって、本発明に係るケーブル状圧電センサは、衣服へ縫い込んだり織物を形成して用いることができる。特許文献1および2に記載されるようなケーブル状圧電センサのうち、最も細いもので直径が約2.6mmであるので、このようなケーブル状圧電センサを衣服などに縫い込んだり織物を形成することは困難である。
本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、内部導体は、従来のケーブル状圧電センサに用いられている内部導体を用いればよく、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、白金、ステンレス、炭素が挙げられるがこれらに限定されない。特に好ましくは、本発明に係るケーブル状圧電センサにおける内部導体は、細いスズメッキ銅線単線、または複数の細いスズメッキ銅線からなる。本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、好ましい内部導体の直径は、50〜500μmであり、特に好ましくは、50〜300μmである。
本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、可撓性絶縁体としては、従来から用いられている柔軟性のある絶縁体であればよく、合成ゴム、耐熱ビニル、テフロン(登録商標)、フッ素ゴム、シリコンゴム、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドが挙げられるがこれらに限定されない。特に好ましくは、本発明に係るケーブル状圧電センサにおける可撓性絶縁体は、耐熱ビニルである。本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、可撓性絶縁体の厚さは、5μm以上であればよく、好ましくは5〜20μmであり、特に好ましくは、5〜15μmである。
本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、好ましい圧電体層の厚さは、0.5〜10μmであり、特に好ましくは、1〜2μmである。しかし、金属層は、10μm以下であると強度が不足して破損しやすくなる。金属層のみでは強度が不足する場合には圧電体層と反対側で金属層の外側にポリエチレンテレフタレートなどの高分子フィルムを可撓性支持体として貼り付けてもよい。また、金属層のみでは外部誘導雑音を遮蔽できない場合は、さらなる金属層を巻き付けても、編組した金属線で金属層を覆ってもよい。
本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、外部導体の圧電体層は、ウルツ鉱構造の結晶構造を有する窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛が好ましいが、チタン酸ジルコン酸鉛のような圧電体セラミックスまたはポリフッ化ビニリデンのような高分子圧電体を用いてもよい。窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛のような圧電体材料は、結晶に対称性が存在しないので本質的に圧電性を備え、その極性はチタン酸ジルコン酸鉛のような強誘電体と異なり、結晶形成後に事後的に外部電場によって制御することは不可能である。しかし、窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛のような圧電体材料には強誘電体のようなキュリー点が存在せず、結晶が融解あるいは昇華するまで圧電性を失うことはない。例えば、窒化アルミニウムの昇華温度は約2000℃である。従って、窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛のような圧電体材料からなる圧電体層は、耐熱性に優れ、圧電特性が劣化するようなことがない。このように耐熱性に優れた圧電体を耐熱性に優れた可撓性絶縁体とともに用いるケーブル状圧電センサは、耐熱性を必要とする適用に特に好ましい。
本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、外部導体の圧電体層は、金属層上に形成される。圧電体層を金属層上に形成するための方法としては、種々の公知の物理気相成長法(PVD法)(例えば、真空蒸着法(例えば、熱蒸着、電子ビーム蒸着、レーザ蒸着)、イオンプレーティング法、活性化蒸着法、アーク蒸着法、イオンクラスター蒸着法、イオンビーム蒸着法、電着法(例えば、電界重合法)、スパッタリング法(例えば、DCスパッタリング法、高周波スパッタリング法、高周波プラズマ支援スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、ECRスパッタリング法またはイオンビームスパッタリング法)、あるいは化学気相成長法(CVD法)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、圧電体層は、スパッタリング法を用いて金属層上に形成される。特に好ましくは、圧電体層は、マグネトロンスパッタリング法を用いて金属層上に形成される。マグネトロンスパッタリング法が使用される場合、圧電体層に好ましい金属層の温度およびターゲット投入電力の設定は、使用されるスパッタリングガスの種類に応じて当業者によって容易に決定される。好ましいスパッタリングガスは、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンまたは窒素であり、特に好ましくは、アルゴンである。アルゴンが使用される場合、好ましい基板温度およびターゲット投入電力は、それぞれ室温〜600℃、および100〜2000ワット(W)である。
圧電体層は、双極子配向度が55%以上に制御されることによって、柔軟性が必要とされるケーブル状圧電センサに適用することが可能になる。双極子配向度として、好ましくは60%以上、最も好ましくは、75%以上である。このような双極子配向度を有する圧電体層を得るために、好ましい圧電体層の形成方法は、スパッタリング法またはイオンプレーティング法であり、最も好ましくは、スパッタリング法である。
ここで「双極子配向度」とは、圧電体層表面の結晶柱の分極方向において、プラスまたはマイナスの占有率が高い方の割合を算出したものをいう。双極子配向度が50%の場合は、プラスとマイナスの量が等しくなり、力が作用しても電荷が全く発生しないので、プラスまたはマイナスの一方に偏った状態であることが好ましい。したがって、圧電体層の双極子配向度を55%以上とすることにより、圧電体層の圧電性を良好に保つことができる。
窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛のような圧電体材料を金属層表面上にスパッタリング法などを用いて薄膜形成すると、針状の結晶柱が霜柱状に成長して柔軟性を備えるようになり、金属層の変形によるはがれや損傷が発生しない。この結晶柱に応力が作用すると結晶柱の両端にプラスとマイナスの電荷が発生する。いずれの端にプラスの電荷が発生するかは、結晶柱の極性の方向がどちらを向いているかに依存する。もし、結晶柱の極性の方向が完全にランダムであれば、それぞれの結晶柱の圧電性は互いに打ち消しあって、薄膜全体では圧電性が消滅する。強誘電体とは異なり、薄膜形成後に個々の結晶柱の極性を制御することは不可能であることから、薄膜形成時における薄膜の双極子配向度の制御を行うことにより、薄膜の良好な圧電特性を確保することができる。
本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、表面上に圧電体層を形成する金属層は、アルミニウム、銅、金、銀、白金、またはステンレスであるが好ましいが、アルミニウムが特に好ましい。アルミニウムは価格が安く入手が容易であり、圧電体層としてその表面に窒化アルミニウム薄膜を形成したときに双極子配向度を高めることができるからである。また、従来の同軸ケーブルの外部導体としてよく利用されているので、従来の金属層巻き付け装置をそのまま利用することができる。本発明に係るケーブル状圧電センサにおいて、金属層はアルミニウムであることが好ましく、アルミニウムを用いた場合のその厚さは機械的な強度を確保するためにも10μm程度であることが好ましい。
ケーブル状圧電センサの最も外側に位置する可撓性のシースは、ケーブル内部を保護するためのものであり、柔軟性のある合成ゴムや耐熱ビニルなどの合成樹脂を適時選択して用いる。
本発明にかかるケーブル状圧電センサの作製方法は、従来の同軸ケーブル作製装置で作製することができる。従来の同軸ケーブルで外部導体として用いられてきたアルミニウム箔を、圧電体層を形成したアルミニウム箔に取り替えるのみで、巻き付け方法などそのまま使用できる。
以上のように、本発明に係るケーブル状圧電センサは、外部導体として金属層の片面に柔軟で耐熱性を有する圧電体層を形成し、これを内部導体の周囲を囲むように配置された可撓性絶縁体の表面を覆うように巻き付けて構成される。つまり、本発明に係るケーブル状圧電センサは、片面に柔軟でありかつ耐熱性を有する圧電体層を形成した金属層を外部導体とすることにより、ケーブル状圧電センサに加わる圧力を圧電体層によって内部導体と外部導体の間に発生する電圧に変換するものである。
このように、本発明に係るケーブル状圧電センサは、少なくとも、圧電体層を含む外部導体を備えていればよいといえる。すなわち、上記セラミックス圧電体薄膜以外の圧電体を固定化した外部導体を備えるケーブル状圧電センサも本発明に含まれることに留意すべきであるし、セラミックス以外の材料からなる圧電体を固定化した外部導体を含む場合も、本発明の技術的範囲に含まれる点に留意すべきである。
つまり、本発明の目的は、圧電体を固定化した外部導体を備えるケーブル状圧電センサを提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の薄膜形成方法、処理方法、温度管理等の条件に存するのではない。したがって、上記各方法以外を用いて製造されたケーブル状圧電センサもまた本発明の範囲に属することに留意しなければならない。
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるが、これに限定されるべきではない。
図1に示すようなケーブル状圧電センサを、作製した。具体的には、内部導体1の周囲に可撓性圧電体2を従来の同軸ケーブル作製方法と同様に押し出し成形した。内部導体1には、直径0.3mmのスズめっき銅線を用い、可撓性絶縁体2には、塩化ビニルを用いた。内部導体1を含めた可撓性絶縁体2の直径は1.1mmとなった。次いで、金属層32と金属層32上に形成した圧電体層31とからなる外部導体3を、図2に示すように可撓性圧電体2の周囲に巻き付けた。外部導体3の金属層32は、幅4mm、厚さ12μmのアルミニウム箔であり、その片面に厚さ1μmの窒化アルミニウム薄膜を圧電体層31としてスパッタリング法で双極子配向度が76%になるように形成しておいた。さらに外部導体3の表面上をシース5として熱収縮チューブで覆うことによって、ケーブル状圧電センサを作製した。試作したケーブル状圧電センサ全体の直径は1.3mmである。
作製したケーブル状圧電センサを、クリップで挟み、その挟む力を変化させたときのケーブル状圧電センサの出力を図3に示す。なお、ケーブル状圧電センサの出力はチャージアンプによって増幅している。上記の構成からなるケーブル状圧電センサが、作用する力の変化を的確に認識するセンサとして機能していることがわかる。
本発明に係るケーブル状圧電センサは、細く柔軟で耐熱性を有し、安価でありかつセンサ感度が均一であるので、介護・健康用途(例えば、ベッドに内蔵して離床/着床検出を行うセンサなど)、家庭内機器用途(例えば、家電機器の操作を行うタッチセンサなど)、またはセキュリティ用途(例えば、床面の微小振動や窓の衝撃で侵入者を検出するセンサなど)などに応用することができる。
図1は、本発明の一実施形態を示すものであり、ケーブル状圧電センサの斜視図を示す図である。 図2は、本発明の一実施形態を示すものであり、圧電体層と金属層からなる外部導体を巻き付ける局面を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るケーブル状圧電センサの出力例を示す図である。
符号の説明
1 内部導体
2 可撓性絶縁体
3 外部導体
31 圧電体層
32 金属層
4 シース
100 ケーブル状圧電センサ

Claims (10)

  1. 同軸ケーブル状の圧電センサであって、内部導体、内部導体の周囲に成形した可撓性絶縁体、該可撓性絶縁体の周囲を覆う外部導体、および該外部導体の周囲を覆う可撓性のシースからなり、該外部導体は、金属層と該金属層上に形成した圧電体層とを含み、該圧電体層が該可撓性絶縁体を覆っていることを特徴とする圧電センサ。
  2. 上記外部導体が、上記金属層の外側を覆う可撓性支持体層をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
  3. 上記外部導体において上記圧電体層および上記金属層が一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
  4. 上記外部導体において上記圧電体層、上記金属層および上記可撓性支持体層が一体形成されていることを特徴とする請求項に記載の圧電センサ。
  5. 上記外部導体において、上記金属層の周囲をさらなる金属層が覆うことを特徴とする請求項またはに記載の圧電センサ。
  6. 上記外部導体がフィルム状であることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
  7. 上記圧電体がセラミックス圧電体または高分子圧電体材料であることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
  8. 上記圧電体が、双極子配向度55%以上のウルツ鉱構造を有するセラミックス圧電体であることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
  9. 直径が1.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
  10. 上記圧電体が、窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
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