JP4347962B2 - バルコニー床気密構造施工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、バルコニーの床が下階居室上に設置されたバルコニー床気密構造施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバルコニーには、建物の外壁面より屋外側に突き出して設けられるオーバーハングタイプのものと、建物の外壁面から突出しないように下階居室上に設置された非オーバーハングタイプのものがある。このオーバーハングタイプのバルコニーは軒下天井の上にバルコニー床板(バルコニー床パネル)を有し、非オーバーハングタイプのバルコニーは下階ユニットの下階居室天井の上にバルコニー床板(バルコニー床パネル)を有する。
【0003】
この様なバルコニーでは、バルコニー床板と軒下天井(又は下階居室天井)との間に床枠材が配設されているため、この軒下天井(又は下階居室天井)とバルコニー床板との間に空間が存在する。しかし、この空間は換気がなされるような構造となっていないため、屋外から直射日光に曝されるバルコニー床板が夏場になると高温に上昇して、バルコニー床板と軒下天井(又は下階居室天井)との空間の空気が高温に上昇する。
【0004】
このため、部分的にオーバーハングするタイプのバルコニー又は非オーバーハングタイプのバルコニーであっても、バルコニーの下に下階居室がある場合には、夏場になってバルコニー床板と軒下天井(又は下階居室天井)との空間の空気が高温に上昇すると、バルコニーの下の下階居室の温度が上昇し、快適性が損なわれるものであった。
【0005】
そこで、快適性を維持するために、特開平9−41477号公報に開示されたように、バルコニー床板と軒下天井(又は下階居室天井)との空間の空気を軒下天井から取り入れて換気を行うようにしたものがある。このタイプのバルコニーでは、床下の換気を行うことができるため、床下の空間の温度が上昇しても排熱でき、又、床下の空間に湿気が発生しても排湿できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非オーバーハングタイプのバルコニーを有する建物では、バルコニー床の床下に形成される空間の換気がとりにくく、下階居室からの湿気が下階居室の天井とバルコニー床板との間の空間に滞留して結露を生じ易いという問題があった。
【0007】
そこで、この発明は、バルコニー床下の空間に下階居室からの湿気の進入するのを未然に防止できるバルコニー床気密構造施工方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1の発明のバルコニー床気密構造施工方法は、気密シートが立ち上がり用シート部を残して上面に添着された下階居室ユニットと、気密シート帯片がバルコニー床の側縁に添着されて垂下されたバルコニーとを設けておいて、前記バルコニーを前記下階居室ユニット上に載置した後、前記気密シートの立ち上がり用シート部と前記気密シート帯片とを前記バルコニー床の一側面に沿わせて重ね合わせ、重ね合わせ部を密着させることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、下階居室ユニットを工場で製造する際に、予め気密シートを下階居室ユニットの上面に添着するか、或いは、下階居室ユニットを建物の組立現場で設置した後に、気密シートを下階居室ユニットの上面に添着することができる。気密シート帯片も同様にバルコニーを工場で組み立てる際、或いは、建物の組立現場でバルコニー床に添着できる。このように予め気密シートが添着された下階居室ユニットの上に気密シート帯片が添着されたバルコニーを設置して、気密シートの立ち上がり用シート部と気密シート帯片とを接着することで、バルコニーの床下空間の気密シートによる気密性を簡易に確保できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(バルコニー床気密構造)
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、この発明に係るバルコニー床気密構造を備える建物の概略平面図を示したものである。図1に示した建物1は、図2に示したように、下階居室ユニット2,3と、下階居室ユニット2上に設置されたバルコニー4と、下階居室ユニット3の上に設置された上階居室ユニット5を有する。2a,3aは下階居室ユニット2,3の下階居室、5aは上階居室ユニット5の上階居室、5bは上階居室ユニット5のユニット外壁である。
【0014】
図2の下階居室ユニット2は図3に示したように天井梁6,6を有し、図2の下階居室ユニット3は図3(a)に示したように天井梁7を有し、上階居室ユニット5は天井梁7上に取り付けられた床梁8を有する。
【0015】
バルコニー4は、バルコニー床9と、バルコニー床9の一側部に設けられた手摺り10と、ユニット外壁5bの下方に位置するバルコニー側壁4aを有する。
【0016】
このバルコニー床9は、バルコニー床フレーム11と、バルコニー床フレーム11上に取り付けられた床根太12と、床根太12上に取り付けられたバルコニー床板(バルコニー床パネル)13と、手摺り10に沿ってバルコニー床フレーム11上に直接取り付けられたバルコニー床板14を有する。
【0017】
尚、バルコニー床板13は、床下地板13a上にアスファルトルーフィング(図示略)を施し、その上に塩化ビニール皮膜を設けた鋼板製の床板13bを添着し、この床板13b上に床仕上材を添着したものである。この構造は、工場で製造してもよいし、建物1の組立現場で形成してもよい。また、バルコニー床板14もバルコニー床板13と同様な構成とすることができる。更に、鋼板製の床板13bは、一側部13cがバルコニー側壁4aに沿って起立していると共にユニット外壁5bの内面側に固定され、他側部側13dがバルコニー床板14に沿って手摺り10側に延びた後に上方に起立していると共に手摺り10の壁部10aに固定されている。
【0018】
バルコニー床フレーム11は、上階居室ユニット5側の天井梁6上に取り付けられた断面L字状のバルコニー大梁15と、上階居室ユニット5とは反対側の天井梁6上に取り付けられた断面コ字状のバルコニー大梁16と、バルコニー大梁15,16間に渡架されたバルコニー小梁17とを有する。
【0019】
尚、バルコニー大梁15,16は天井梁6,6に沿って延びており、床根太12はバルコニー大梁15,16と平行に設けられている。また、天井梁6,6の下部には図1の下階居室天井2aが設けられ、下階天井18の下方には下階居室19が形成されている。また、バルコニー床板13,14の下方(バルコニー床下)にはバルコニー床フレーム11や床根太12により形成される空間19が設けられている。
【0020】
そして、下階居室2aとバルコニー床9との境界、実質的には下階居室ユニット2とバルコニー床9との境界には気密シート20が介装されている。この気密シート20は、バルコニー床9と上階居室5aとの境界面、即ち実質的には上階居室ユニット5との下部外面まで延設された立ち上がり用シート部20aを有する。尚、気密シート20は、水平部分の両側部が天井梁6,6と大梁15,16との間に挟持され、立ち上がり用シート部20aの上端の折返部20bが図3の(b)に拡大して示したようにバルコニー床板13の床下地板13aと鋼板製の床板13bとの間に挟持されている。
【0021】
この構成によれば、下階居室2aからの湿気がバルコニー床9の床下空間19に進入するのを気密シート20が防止することになる。また、バルコニー床9の側方から床下空間19に湿気が進入するのも気密シート20の立ち上がり用シート部20aにより防止される。
(バルコニー床気密構造施工方法)
この様なバルコニー床気密構造を施工するには、まず図4(a)に示したように下階居室ユニット2を工場で製造する際に、予め気密シート20を下階居室ユニット2の上面に添着するか、或いは、下階居室ユニット2を建物1の組立現場で設置した後に、気密シート20を下階居室ユニット2の上面に添着する。
【0022】
一方、気密シート帯片21を同様にバルコニー4を工場で組み立てる際、或いは、建物1の組立現場でバルコニー床9に添着する。この際、気密シート帯片21は床下地板の縁部上に側縁部を添着して、この気密シート帯片21の側縁部上にアスファルトルーフィングを施すことで、気密シート帯片21のバルコニー床9への取付部も確実に気密性を持たせることができる。
【0023】
そして、このように予め気密シート20が添着された下階居室ユニット2の上に気密シート帯片21が添着されたバルコニー4を図4(b)の如く設置して、気密シート20の立ち上がり用シート部20aと気密シート帯片21とを図示を省略したアルミテープで接着することで、バルコニー4の床下空間19の気密シート20による気密性を簡易に確保できる。
【0024】
この後、下階居室ユニット3上に上階居室ユニット5を図4(c)の如く設置して、気密シート20の立ち上がり用シート部20aと気密シート帯片21をバルコニー床9と上階居室ユニット5との間で挟持させることで、バルコニー床気密構造施工方法は完了する。尚、上述したアスファルトルーフィング(図示を省略)上に図3と同様に鋼板製の床板が設置され、気密シート帯片21の側縁部がバルコニー床9の床下地板の縁部と鋼板製の床板との間に挟持されることになる。また、バルコニー床9にアスファルトルーフィングを施し、このアスファルトルーフィング上に気密シート帯片21の側縁部を固着してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明のバルコニー床気密構造施工方法は、気密シートが立ち上がり用シート部を残して上面に添着された下階居室ユニットと、気密シート帯片がバルコニー床の側縁に添着されて垂下されたバルコニーとを設けておいて、前記バルコニーを前記下階居室ユニット上に載置した後、前記気密シートの立ち上がり用シート部と前記気密シート帯片とを前記バルコニー床の一側面に沿わせて重ね合わせ、重ね合わせ部を密着させる構成としたので、下階居室ユニットを工場で製造する際に、予め気密シートを下階居室ユニットの上面に添着するか、或いは、下階居室ユニットを建物の組立現場で設置した後に、気密シートを下階居室ユニットの上面に添着することができる。また、気密シート帯片も同様にバルコニーを工場で組み立てる際、或いは、建物の組立現場でバルコニー床に添着できる。このように予め気密シートが添着された下階居室ユニットの上に気密シート帯片が添着されたバルコニーを設置して、気密シートの立ち上がり用シート部と気密シート帯片とを接着することで、バルコニーの床下空間の気密シートによる気密性を簡易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るバルコニー床気密構造を備える建物の概略平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う概略断面説明図である。
【図3】図2の要部拡大詳細説明図である。
【図4】この発明に係るバルコニー床気密構造施工方法の説明図である。
【符号の説明】
1・・・建物
2・・・下階居室ユニット
2a・・・下階居室
3・・・下階居室ユニット
4・・・バルコニー
5・・・上階居室ユニット
5a・・・上階居室
20・・・気密シート
21・・・気密シート帯片
Claims (1)
- 気密シートが立ち上がり用シート部を残して上面に添着された下階居室ユニットと、気密シート帯片がバルコニー床の側縁に添着されて垂下されたバルコニーとを設けておいて、前記バルコニーを前記下階居室ユニット上に載置した後、前記気密シートの立ち上がり用シート部と前記気密シート帯片とを前記バルコニー床の一側面に沿わせて重ね合わせ、重ね合わせ部を密着させることを特徴とするバルコニー床気密構造施工方法。
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JP27102899A JP4347962B2 (ja) | 1999-09-24 | 1999-09-24 | バルコニー床気密構造施工方法 |
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