JP4347485B2 - ハンダ付けフラックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は保存安定性に優れた、ハンダ付けフラックス及びハンダペースト、並びに、該ハンダペーストを用いたハンダ付け方法、及び接合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハンダ付けフラックス、ハンダペーストは、エレクトロニクス産業において電子部品を表面実装するために用いられる。ハンダペーストはその印刷適性、粘着性のため自動化に適しており、近年その使用量が増大している。
【0003】
エレクトロニクス産業においては、ハンダペーストはプリント基板上にスクリーン印刷またはディスペンサーにより塗布され、電子部品が載置され、ついでリフローして電子部品が固定化される。ここでリフローとは電子部品が載置された基板を予熱しその後ハンダペーストを融解温度以上に加熱し部品の接合を行う一連の操作を言う。
【0004】
一方、最近では電子製品の小型化のためファインピッチ化が要求され、ファインピッチの部品、例えば0.3mmピッチのQFP(Quad Flat Package)タイプLSIの使用や、さらにはCSP(Chip Size Package)などが多く用いられている。このため、ハンダ付けフラックス、ハンダペーストには、ファインピッチ対応の印刷性能が要求されている。このような産業界の要望に応えるため、ハンダ粒子の平均粒子径を下げることがなされているが、一方ハンダ粒子全体の比表面積が増大するため、ハンダ粒子とフラックスとの反応が促進され、ハンダペーストの保存安定性が一層悪化するという問題点があった。
【0005】
ハンダペーストの保存安定性低下の最大原因は、保存中にハンダ粉末がフラックスと優先的に反応し、ハンダ粉末の酸化が進行してフラックス中の活性剤が消費され、フラックスの活性度が低下すると同時に、反応生成物によりハンダペーストの粘度が増加してしまうためである。このため、ハンダペーストの使用において、適正な印刷特性が維持出来なくなる上に、リフロー時に溶解しなくなるという問題が生ずる。
【0006】
従来よりハンダペーストの保存安定性を向上させるために、ハンダ粒子の表面を保護し、粒子金属の反応性を下げる努力がなされてきた。
【0007】
例えば、ハンダ粉末をグリセリンで被覆する方法(特公平5−26598号公報)、ハンダ粉末をハンダペーストの溶剤に対し不溶性あるいは難溶性のコーティング剤によりコートする方法(特開平1−113197号公報)が開示されている。後者のコーティング剤の好適な例としてはシリコーンオイル、シリコーンベース高分子量化合物、フッ素化シリコーンオイル、フルオロシリコーン樹脂およびフッ素化炭化水素ベース高分子化合物などが挙げられている。
【0008】
またハンダ粉末を、常温ではフラックスと不相溶であるが、ハンダ付け温度で相溶するロジンを主体とする樹脂でコートする方法(特開平3−184698号公報、特開平4−251691号公報)が開示されている。
【0009】
前述の方法では、比較的多量のコーティング剤で被覆を行えばハンダ粉末の酸化を抑えるに有効であるが、多量の被覆材料はハンダペーストのリフローに対しむしろ不都合であって、逆にハンダボールが多発するおそれがある。またこれらの被覆は物理的に行われているだけで、付着は非常に弱いと考えられ、ハンダペーストを製造する際の混練あるいは使用時の移送、印刷等の取扱ではがれてしまう恐れが強い。また、前述のロジンを主体とする樹脂のコーティング剤はそれ自身に反応性の有機酸を多く含み粉末を保護しているとは言い難い。
【0010】
その他、ハンダ付けフラックスの活性剤として、フェノール系、フォスファイト系または硫黄系の抗酸化剤を添加する方法(特公昭59−22632号公報、特開平3−124092号公報)、分子内に第三ブチル基のついたフェノ−ル骨格を一つまたはそれ以上含む酸化防止剤の一種またはそれ以上を1〜30重量%添加する方法(特開平5−185283号公報)、また特定の界面活性剤を用いること(特開平2−147194号公報)などが提案されているが、その効果はいまだ十分とは言えない。
【0011】
また最近は環境問題から、鉛を含まないPbフリーハンダペーストやPbフリーハンダ用のフラックスが推奨されており、これに対応すべく開発が進められている。この中で特に有望なものとして注目されているSn−Zn系のハンダペーストは、通常のPbベースのハンダペーストより更に保存安定性が悪く、ハンダ粉末中の、Znの酸化の進行やZnとフラックスとの反応により、経時的に粘度が上昇する。特にZnが常温においてフラックス中の有機ハロゲン化合物の分解物である臭素と反応し、ハンダペーストの保存安定性を悪化させている。また、フラックス中のハロゲン化合物と、ハンダ粉末中のZnが反応して微量の水素ガスを発生し、この発生した水素ガスが部品接合後もハンダフィレット内に内蔵されるため、信頼性に重大な影響をもたらすことがわかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、保存安定性に優れたハンダ付けフラックス、ハンダペーストを提供し、更にこのハンダペーストを用いることにより、信頼性の高いハンダ付け方法、及び接合物を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
発明者らは上記の課題を解決するベく鋭意努力し検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、
[1]フェノール性水酸基を有する配糖体を含むことを特徴とするハンダ付けフラックス、
[2][1]に記載の配糖体のフェノール性水酸基が、ヒドロキノンの誘導体であることを特徴とするハンダ付けフラックス、
[3][1]または[2]に記載の配糖体が,単糖類、還元性二糖類または還元性オリゴ糖類のヘミアセタール性水酸基と、ヒドロキノンの水酸基とをエーテル結合した化合物であることを特徴とするハンダ付けフラックス、
[4]フェノール性水酸基を有する配糖体が、フラックス全量に対して0.005wt%以上、20wt%以下添加されていることを特徴とするハンダ付けフラックス、
[5][1]〜[4]の何れか1項に記載のはんだ付けフラックスとハンダ粉末とからなるハンダペースト、
[6]ハンダ粉末に含まれる、粒径20μm以下のハンダ粒子が個数分布で30%以下であることを特徴とする[5]に記載のハンダペースト、
[7]ハンダ粉末中の酸素原子含有量が500ppm以下であることを特徴とする[5]または[6]に記載のハンダペースト、
[8]ハンダ粉末が、SnおよびZn、又はSnおよびAgの元素を含有することを特徴とする[5]〜[7]の何れか1項に記載のハンダペースト、
[9]水分含有量が0.5wt%以下であることを特徴とする[5]〜[8]の何れか1項に記載のハンダペースト、
[10][5]〜[9]のいずれか1項に記載のハンダペーストを、回路板上に塗布する工程と、該ハンダペーストをリフローする工程とを含むことを特徴とする回路板のハンダ付け方法、
[11][10]に記載の回路板のハンダ付け方法により製造した接合物、に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
ハンダ付けフラックスは、樹脂、有機酸成分、還元剤、有機ハロゲン化合物、溶剤、チクソトロピック剤等を配合したものである。本発明では還元剤として、フラックス中に、フェノール性水酸基を有する配糖体を添加することを特徴とする。配糖体とは、グリコシドとも言い、環状構造をとった糖のアセタール誘導体をさす。即ち、ヘミアセタール水酸基の水素原子がアルキル基、アラルキル基、またはアリール基によって置換されたアセタールを言う。また、アセタールの酸素の代わりに硫黄または窒素を持つS−グリコシド、N−グリコシドを含む。
【0015】
本発明では、配糖体に含まれるフェノール性水酸基を、ヒドロキノンの誘導体とすると効果的である。また、上記配糖体を,単糖類、還元性二糖類または還元性オリゴ糖類、例えば、グルコース、マルトース、ラクトース糖のヘミアセタール性水酸基と、ヒドロキノンの水酸基とがエーテル結合した化合物とすると、ハンダ付けフラックス中での還元効果をさらに高めることができる。
【0016】
このような化合物としては、例えば、ヒドロキノン−β−D−グルコシド(アルブチン)、フロレチン−6’−グルコシド(フロリジン)、エスクレチン−6−D−グルコシド(エスクリン)、アピニゲン−7−D−グルコシド(アピイン)、デイゼイン−7−D−グルコシド(ダイジン)、クエルセチン−3−ラムノシド(クエルシトリン)、クエルセチン−3−ルチノシド(ルチン)、クエルセチン−7−グルコシド(クエルシメルトリン)、ヘスペレチン−7−ルチノシド(ヘスペリジン)、ナリンゲニン−7−ルチノシド(ナリンギン)、ペラルギニジンクロリド−3,5−ジグルコシド(ペラルゴニン)、シアニジンクロリド−3,5−ジグルコシド(シアニン)、シアニジンクロリド−3−ガラクトシド(イデイン)、シアニジンクロリド−3−グルコシド(クリサンテミン)、シアニジンクロリド−3−ルチノシド(ケラシアニン)、シアニジンクロリド−3−ゲンチオビオシド(メコシアニン)、シアニジンクロリド−3−プリメベロシド(リコリシアニン)、デルフィニジンクロリド−3,5−ジグルコシド(デルフィン)、アリザリン−2−プリメベロシド(ルベリトリン酸)、ラポンチゲニン−3−グルコシド(ラポンチシン)、マルビジン−3−ガラクトシド(プリムリン)、フロレチン−7−グルコシド(フェムラムリン)、ダフネチン−7−β−D−グルコシド(ダフニン)、ミリセチン−ガラクトシド(アルブスクリン)等が挙げられる。
【0017】
これらの還元剤の添加量は、フラックス、ハンダペーストの保存安定性、特にはんだ粉と有機ハロゲン化合物との反応の防止を充分に確保するに足る量であればよいが、一般的にはフラックス全量に対し0.005wt%以上20wt%以下であり、さらに好ましくは0.01wt%以上10wt%以下である。添加量が少なすぎると安定化効果が無く、20wt%以上添加しても高濃度添加に見合うだけの効果の向上が認められないので好ましくない。
【0018】
この還元剤の作用機構は十分に解明できていないが、おそらくはこれらの還元剤がハンダペースト中の溶存酸素あるいは空気中の酸素に働き、ハンダ金属の酸化を抑制することによると思われる。また、これらの還元剤はハロゲン含有成分から遊離してくるハロゲンのアクセプターとして働くので、遊離したハロゲンがハンダ金属と反応するのを効果的に防止しているためと考えられる。
【0019】
本発明のハンダペーストに使用するハンダ粉末の金属組成としては、例えばSn−Pb系、Sn−Pb−Ag系、Sn−Pb−Bi系、Sn−Pb−Bi−Ag系、Sn−Pb−Cd系が挙げられる。また最近のPb排除の観点からPbを含まないSn−In系、Sn−Bi系、In−Ag系、In−Bi系、Sn−Zn系、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Sb系、Sn−Au系、Sn−Bi−Ag−Cu系、Sn−Ge系、Sn−Bi−Cu系、Sn−Cu−Sb−Ag系、Sn−Ag−Zn系、Sn−Cu−Ag系、Sn−Bi−Sb系、Sn−Bi−Sb−Zn系、Sn−Bi−Cu−Zn系、Sn−Ag−Sb系、Sn−Ag−Sb−Zn系、Sn−Ag−Cu−Zn系、Sn−Zn−Bi系が挙げられる。
【0020】
上記の具体例としては、Snが63wt%、Pbが37wt%の共晶ハンダ(以下63Sn/37Pbと表す。)を中心として、62Sn/36Pb/2Ag、62.6Sn/37Pb/0.4Ag、60Sn/40Pb、50Sn/50Pb、30Sn/70Pb、25Sn/75Pb、10Sn/88Pb/2Ag、46Sn/8Bi/46Pb、57Sn/3Bi/40Pb、42Sn/42Pb/14Bi/2Ag、45Sn/40Pb/15Bi、50Sn/32Pb/18Cd、48Sn/52In、43Sn/57Bi、97In/3Ag、58Sn/42In、95In/5Bi、60Sn/40Bi、91Sn/9Zn、96.5Sn/3.5Ag、99.3Sn/0.7Cu、95Sn/5Sb、20Sn/80Au、90Sn/10Ag、90Sn/7.5Bi/2Ag/0.5Cu、97Sn/3Cu、99Sn/1Ge、92Sn/7.5Bi/0.5Cu、97Sn/2Cu/0.8Sb/0.2Ag、95.5Sn/3.5Ag/1Zn、95.5Sn/4Cu/0.5Ag、52Sn/45Bi/3Sb、51Sn/45Bi/3Sb/1Zn、85Sn/10Bi/5Sb、84Sn/10Bi/5Sb/1Zn、88.2Sn/10Bi/0.8Cu/1Zn、89Sn/4Ag/7Sb、88Sn/4Ag/7Sb/1Zn、98Sn/1Ag/1Sb、97Sn/1Ag/1Sb/1Zn、91.2Sn/2Ag/0.8Cu/6Zn、89Sn/8Zn/3Bi、86Sn/8Zn/6Bi、89.1Sn/2Ag/0.9Cu/8Znなどが挙げられる。また本発明のハンダ粉末として、異なる組成のハンダ粉末を2種類以上混合したものでもよい。
【0021】
上記のハンダ粉末の中でもPbフリーハンダ、特に好ましくはSnおよびZn、又はSnおよびAg元素を含有するハンダから選ばれた合金組成を用いて本発明のハンダペーストを作製した場合、Sn−Pb系のハンダと同等レベルまでリフロー温度が下げられるため、実装部品の長寿命化がはかられ、また部品の多様化にも対応できる。
【0022】
ハンダ粉末の粒径としては、日本工業規格(JIS)には、ふるい分けにより63〜22μm、45〜22μm及び38〜22μm等の規格が定められている。ハンダ粉末の粒度測定には通常、JISにより定められた、標準ふるいと天秤による方法が用いられる。しかし、ハンダ粉末の表面には微粒子のハンダ粉末が静電気などにより付着していることが多く、この方法では、ハンダ粉末に付着する微粒子が十分に分離できず、測定されるハンダ微粒子の量は実際にハンダ粉末に含まれる微粒子の量より少なくなってしまう。例えばJISによる粒度分布測定の、ふるい分け後のハンダ粉末を顕微鏡観察してみると、大きなハンダ粒子の表面に多数のハンダ微粒子が付着しているのが観察される。ハンダ粉末中の、これらの微粒子の存在量が増加すると、ハンダ粉末が酸化しやすくなり、ハンダペーストの保存安定性が低下する。
【0023】
本発明者らは、ハンダ粉末の粒度分布測定に、JISに規定されている方法に加えて、ハンダ粉末に含まれる微粒子成分の個数分布を用いることにより特性の優れたハンダ粉末が得られることを見出した。
【0024】
ハンダ粉末の微粒子含有量の測定は、顕微鏡による画像解析や、エレクトロゾーン法によるコールターカウンターでも行うことができる。コールターカウンターについては「粉体工学便覧」(粉体工学会編、第2版p19〜p20)にその原理が示されているが、粉体を分散させた溶液を隔壁にあけた細孔に通過させ、その細孔の両側で電気抵抗変化を測定することにより粉体の粒度分布を測定するもので、粉体の個数比率を再現性良く測定することが可能である。この方法をハンダ粉末の粒度分布測定に用いた場合、ハンダ粉末を溶液に分散した際、ハンダ粉末に付着した微粒子成分が分離されやすく、従来のふるい法による重量分布や体積分布測定では検出できなかった、ハンダ粒子に付着した微粒子を定量化することができる。
【0025】
なお顕微鏡による画像解析も、コールカウンターによる方法でも測定できる微粒子の下限界は1μm程度である。1μm以下の微粒子の混入量はいずれの方法でも測定が困難であるが、通常のアトマイズ法にて作製されるハンダ粉末には、1μm以下の微粒子は殆ど含まれず、上記によるハンダ微粒子の個数分布測定は1μm以上の粉体に限定して良い。
【0026】
本発明における個数分布の管理条件として、ハンダ粉末に含まれる20μm以下のハンダ粒子が個数分布で30%以下、好ましくは20%以下にコントロールすることが好ましい。20μm以下のハンダ粒子の個数分布が、上記の範囲を超えると、単位重量あたりの表面積が大きくなり、酸化されやすくなるため、ハンダペーストの保存寿命が短くなる。
【0027】
ハンダ粉末中の微粒子の混入量を低減するためには、ハンダ粉末の分級時の分級点を目標粒度より大きい側に設定したり、ハンダ粉末の風選、ふるい分けを、ハンダ粉末中の微粉の混入量が目標レベル以下になるまで繰り返したり、粉体の供給速度を遅くして微粒子が除去されやすくしたり、水以外の溶剤を用いて湿式分級したりする方法を用いることができる。
【0028】
本発明に用いるハンダ粉末は、ふるい分けによりハンダ粒径の上限を規定するふるいの目開き以下の粒度のハンダ粉末が、重量分布で90%以上、好ましくは95%以上とするのがよい。
【0029】
また本発明で用いられるハンダ粉末中の酸素原子含有量も低いほど良く500ppm以下、より好ましくは300ppm以下にすることにより、ハンダペーストの保存安定性が向上する。ハンダ粉末中の酸素原子含有量を低下させるためには、ハンダ粉末を作製するアトマイズ工程をハンダ粉が酸化されにくい雰囲気下としたり、作製されたハンダ粉を酸化されにくい環境下で扱うことが有効である。具体的には上記工程を、窒素ガスや不活性ガスの存在する環境下で行うことが好ましい。
【0030】
また本発明のハンダペーストは、水分含有量を0.5wt%以下、より好ましくは0.3wt%以下とすることにより、保存安定性が向上すると共に、ハンダ付け方法及び接合物においても信頼性が向上する。
【0031】
なお、本発明のフラックスはフロー用の液状フラックスや、糸ハンダのヤニにも適用できる。液状フラックスで使用する場合は溶剤にイソプロピルアルコール等を使用して40〜70%に希釈すればよく、また糸ハンダ用ヤニに使用する場合、溶剤を使用せずに溶剤以外の材料をロジンの軟化点以上で調合し、常温で固化し糸ハンダとすればよい。
【0032】
本発明のフラックスおよびハンダペーストは、基板、例えば、プリント配線板と電子部品を接合して接合物を製造する際に好適に使用される。本発明のフラックス及びハンダペーストの使用方法、並びに電子部品接合物の製造方法では、例えば、ハンダ付けを所望する部分に、印刷法等でハンダペーストを塗布し、電子部品を載置し、その後加熱してハンダ粒子を溶融し凝固させることにより電子部品を基板に接合することができる。
【0033】
基板と電子部品の接合方法(実装方法)としては、例えば表面実装技術(SMT)があげられる。この実装方法は、まずハンダペーストを印刷法により基板、例えば配線板上の所望する箇所に塗布する。次いで、チップ部品やQFPなどの電子部品をハンダペースト上に載置し、リフロー熱源により一括してハンダ付けする。リフロー熱源には、熱風炉、赤外線炉、蒸気凝縮ハンダ付け装置、光ビームハンダ付け装置等を使用することができる。
【0034】
本発明のリフローのプロセスはハンダ合金組成で異なるが、91Sn/9Zn、89Sn/8Zn/3Bi、86Sn/8Zn/6BiなどのSn−Zn系の場合、プレヒートとリフローの2段工程で行うのが好ましく、それぞれの条件は、プレヒートが温度130〜180℃、好ましくは、130〜150℃、プレヒート時間が60〜120秒、好ましくは、60〜90秒、リフローは温度が210〜230℃、好ましくは、210〜220℃、リフロー時間が30〜60秒、好ましくは、30〜40秒である。なお他の合金系におけるリフロー温度は、用いる合金の融点に対し+20〜+50℃、好ましくは、合金の融点に対し+20〜+30℃とし、他のプレヒート温度、プレヒート時間、リフロー時間は上記と同様の範囲であればよい。
【0035】
本発明のハンダペーストでは上記のリフロープロセスを窒素中でも大気中でも実施することが可能である。窒素リフローの場合は酸素濃度を5vol%以下、好ましくは0.5vol%以下とすることで大気リフローの場合より配線板などの基板へのハンダの濡れ性が向上し、ハンダボールの発生も少なくなり信頼性の高い処理ができる。
【0036】
この後、基板を冷却し表面実装が完了する。この実装方法による電子部品接合物の製造方法においては、プリント配線板等の基板(被接合板)の両面に接合を行ってもよい。なお、本発明のハンダペーストを使用することができる電子部品としては、例えば、LSI、抵抗器、コンデンサ、トランス、インダクタンス、フィルタ、発振子・振動子等があげられるが、これに限定されるものではない。
【0037】
また本発明は、あらかじめ基板の所定の表面、例えばプリント基板の回路金属の、所定の表面にのみ化学反応により粘着性皮膜を形成し、これにハンダ粉末を付着させた後フラックスを塗布し、ハンダの溶融温度まで加熱してリフローさせ、ハンダバンプを形成した回路基板(特開平7−7244公報)上に、本発明のハンダペーストを用いてSMT(表面実装技術)で実装した場合、ハンダ中のボイドが減少する等の優れた接合物の信頼性が得られる。
【0038】
【実施例】
以下実施例をもって発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
[試験法]
▲1▼酸素濃度
レコー社の酸素分析計(赤外線吸収法)で測定した。
【0040】
▲2▼水分
ハンダペーストを水分気化装置(京都電子工業(株)製:ADP−351)に入れ、150℃に加熱して気化させ、キャリアガスとして窒素を用い、カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製:MKC−210)に導き、気体中の水分を測定した。
【0041】
▲3▼ハンダペーストの保存安定性
ハンダペースト製造後、25℃で7日間保存する加速試験を行い、有機ハロゲン化合物の分解率と水素発生量を測定した。本加速試験の条件は大略5℃で3ヶ月間の冷蔵保管に相当する。
有機ハロゲン化合物の分解率は、ペースト1gにクロロホルム5mlを加えて攪拌し、フラックス分を溶解した後、純水10mlを加えてハロゲンイオンを水に抽出し、イオンクロマトグラフで測定した。また水素発生量は、ハンダペースト50gを100mlの試験管に入れ、シリコンゴム製栓で密閉した状態で25℃で7日間保存した後、ゴム栓を通して気体を採取してガスクロマトグラフにより気体中の水素濃度を測定した。
【0042】
▲4▼ボイドの観察(接合の信頼性)
60mm平方の銅板に厚さ150ミクロンのメタルマスクを用いて、直径6mm×6個のパターンを印刷後、大気雰囲気下でリフローし、次いでカッタでハンダと共に銅板を切断した後、該ハンダ部分を顕微鏡により観察し、ボイドの発生状況を観察した。6個のパターンについて大きさが10μm以上のボイドを計測し、1個のパターン当たりの平均個数が2個以上であった場合を不合格とした。
【0043】
(実施例1〜5、比較例1〜3)
<フラックス及びハンダペーストの製造>
樹脂成分として重合ロジン17.5wt%、不均化ロジン27.5wt%、チクソトロピック剤として水添ヒマシ油6wt%、活性剤としてシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩0.08wt%と有機ハロゲン化合物としてヘキサブロモシクロドデカン3.5wt%を、また還元剤として、アルブチン、フロリジン、エスクリン、アピイン、ダイジンを、比較例の還元剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル、ヒドロキノンを各1wt%を、更にpH調整剤としてトリエタノ−ルアミン2wt%、防錆剤としてトリルトリアゾールを1wt%加え、溶剤としてジエチレングリコール モノ−2−エチルヘキシルエ−テルを加えて100wt%とするフラックスを調製した。
【0044】
このフラックス11wt%に20〜45μmの粒度分布をもち、表2に示す個数分布を有する89Sn/8Zn/3BiのPbフリーハンダ粉末(粒径45μm以下の粒子含有量97wt%)89wt%を添加し、プラネタリーミルで混練し3kgのハンダペーストを製造した。配合成分を表1に、使用したハンダ粉末の個数分布、ハンダ粉末中の酸素含有、ハンダペーストの水分の測定値を表2に示す。
【0045】
【表1】
【表2】
【0046】
<電子部品接合物の製造>
実装方法としてSMTを用いた。実施例1〜5、比較例1〜3の組成のハンダペーストをそれぞれ1枚の回路板に印刷し、LSI、チップ抵抗、チップコンデンサーをハンダペースト上に載置した後、リフロー熱源により加熱してハンダ付けした。リフロー熱源には熱風炉を用いた。
【0047】
リフロー条件は、プレヒートが温度130℃、プレヒート時間が80秒、リフローはピーク温度が220℃、200℃以上のリフロー時間を50秒とした。
【0048】
作製したプリント配線板および用いたハンダペーストについて前述した測定方法により特性を比較した。測定結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
更に、同様に91Sn/9Zn、86Sn/8Zn/6BiのPbフリーハンダ粉末を使用して同様の実験を行ったが、全く同様の結果が得られた。
【0051】
また実施例1〜5のリフロー後のハンダ合金組織と従来のSn−Pb系ハンダペーストのハンダ合金組織とを比較したところ、Sn−Pb系の場合、高温環境下での結晶の粗大化が著しいのに対し、本発明のSn−Zn系合金では粗大化の傾向が小さく、これによりハンダの機械的物性が向上しこれを用いた実装配線板の寿命特性の向上が確認された。
【0052】
【発明の効果】
本発明のハンダ付けフラックス、ハンダペーストにより、ハンダ合金とフラックスの反応が大幅に抑制され、極めて優れた保存安定性が得られた。特に本発明は、従来より保存安定性が悪いとされたPbフリーハンダペーストにおいても、保存安定性を格段に向上させ、その有効性が確認できた。
【0053】
また本発明のハンダペーストの開発により、実装配線板のファインピッチ化、部品の多様化に対応した信頼性の高い回路板のハンダ付け方法、ハンダ付けした接合物を提供することが可能となった。
Claims (9)
- アルブチン、フロリジン、エスクリン、アピイン、ダイジンから選ばれる少なくとも一種類のフェノール性水酸基を有する配糖体を含むことを特徴とするハンダ付けフラックス。
- フェノール性水酸基を有する配糖体が、フラックス全量に対して0.005wt%以上、20wt%以下添加されていることを特徴とする請求項1に記載のハンダ付けフラックス。
- 請求項1または2に記載のハンダ付けフラックスとハンダ粉末とからなるハンダペースト。
- ハンダ粉末に含まれる、粒径20μm以下のハンダ粒子が個数分布で30%以下であることを特徴とする請求項3に記載のハンダペースト。
- ハンダ粉末中の酸素原子含有量が500ppm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のハンダペースト。
- ハンダ粉末が、SnおよびZn、又はSnおよびAgの元素を含有することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のハンダペースト。
- 水分含有量が0.5wt%以下であることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のハンダペースト。
- 請求項3〜7のいずれか1項に記載のハンダペーストを、回路板上に塗布する工程と、該ハンダペーストをリフローする工程とを含むことを特徴とする回路板のハンダ付け方法。
- 請求項8に記載の回路板のハンダ付け方法により製造した接合物。
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