上述の如き制動力制御装置によれば、運転者の制動操作量に対する各車輪の制動力の関係、即ち増力比を自由に設定することができるが、運転者の制動操作量の増減に対する各車輪の制動力増減の関係、即ち制動力増減の応答性を最適に決定することが困難である。例えば増力比を高くすると、制動力増減の応答性も高くなるので、制動開始時等に於いて制動力の上昇率が過剰になって車輌の乗員がショックを感じる場合がある。逆に増力比を低くすると、制動力増減の応答性も低くなるので、ブレーキの効きが低下したり、制動力が不充分になって車輌の制動距離が長くなったりし、運転者の制動要求が十分に満たされなくなる場合がある。
本発明は、車輌の従来の制動力制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、制動力の増大率を適正に制限することにより、制動力の上昇率が過剰になって車輌の乗員がショックを感じることを防止しつつ運転者の制動要求を効果的に満たすよう制動力を制御することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち運転者の制動操作量に基づき車輌を制動により減速させるための目標制動制御量を求め、制動制御量が前記目標制 動制御量になるよう前記目標制動制御量に基づき各車輪の制動力を制御する車輌の制動力制御装置に於いて、運転者の制動操作開始後の所定の時間に亘り前記目標制動制御量の増大率を第一の制限値以下に制限し、前記所定の時間が経過すると前記目標制動制御量の増大率を前記第一の制限値よりも大きい第二の制限値以下に制限することを特徴とする車輌の制動力制御装置、又は請求項2の構成、即ち運転者の制動操作量に基づき車輌を制動に より減速させるための目標制動制御量を求め、制動制御量が前記目標制動制御量になるよ う前記目標制動制御量に基づき各車輪の制動力を制御する車輌の制動力制御装置に於いて 、運転者の制動操作開始後の所定の時間に亘り前記目標制動制御量の増大率を第一の制限 値以下に制限し、前記所定の時間が経過すると前記目標制動制御量の増大率を前記第一の 制限値よりも大きい第二の制限値以下に制限し、少なくとも前記第一の制限値は車速が高 いときには車速が低いときに比して大きいよう車速に応じて可変設定されることを特徴と する車輌の制動力制御装置によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記所定の時間は車速が高いときには車速が低いときに比して短いよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の 何れか一つの構成に於いて、制動初期には前記第一の制限値による制限よりも穏やかに前 記目標制動制御量の増大率を制限するよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の 何れか一つの構成に於いて、運転者の制動操作開始後前記目標制動制御量が基準値以上に なった時点より所定の時間に亘り前記目標制動制御量の増大率を第一の制限値以下に制限 するよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、運転者の制動操作開始後前記目標制動制御量が制限開始基準値以上になるまで前記目標制動制御量の増大率に対する制限を前記第一の制限値による制限よりも穏やかにするよう構成される(請求項6の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の 何れか一つの構成に於いて、前記所定の時間が経過する前に前記目標制動制御量の増大率に対する制限を前記第一の制限値による制限よりも穏やかで前記第二の制限値による制限よりも厳しい制限にするよう構成される(請求項7の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至7の 何れか一つの構成に於いて、前記目標制動制御量は車輌の目標減速度として求められるよう構成される(請求項8の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至7の 何れか一つの構成に於いて、各車輪の制動力は対応する制動圧が制御されることにより制御され、前記目標制動制御量は各車輪の目標制動圧として求められるよう構成される(請求項9の構成)。
上記請求項1の構成によれば、運転者の制動操作量に基づき車輌を制動により減速させ るための目標制動制御量が求められ、制動制御量が目標制動制御量になるよう目標制動制 御量に基づき各車輪の制動力が制御される車輌の制動力制御装置に於いて、運転者の制動
操作開始後の所定の時間に亘り目標制動制御量の増大率が第一の制限値以下に制限され、所定の時間が経過すると目標制動制御量の増大率が第一の制限値よりも大きい第二の制限値以下に制限される。従って運転者により急激な制動操作が行われても、制動力の上昇を所定の時間に亘り抑制し、制動開始時等に於いて制動力の上昇率が過剰になって車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止することができる。また所定の時間が経過すると制動力を効果的に上昇させることができ、これによりブレーキの効きが低下したり制動力が不充分になって車輌の制動距離が長くなったりすること及びこれに起因して運転者の制動要求が十分に満たされなくなることを確実に防止することができる。
また請求項2の構成によれば、運転者の制動操作開始後の所定の時間に亘り目標制動制 御量の増大率が第一の制限値以下に制限され、所定の時間が経過すると目標制動制御量の 増大率が第一の制限値よりも大きい第二の制限値以下に制限され、少なくとも第一の制限値は車速が高いときには車速が低いときに比して大きいよう車速に応じて可変設定される。従って低車速域に於ける制動力の急激な上昇に起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止することができると共に、中高車速域に於けるブレーキの効きや制動力の不足及びこれに起因して運転者の制動要求が満たされなくなることを確実に防止することができる。
また請求項3構成によれば、所定の時間は車速が高いときには車速が低いときに比して短いので、低車速域に於ける制動力の急激な上昇に起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止しつつ、中高車速域に於けるブレーキの効きや制動力の不足及びこれに起因して運転者の制動要求が満たされなくなることを確実に防止することができる。
また請求項4の構成によれば、制動初期には目標制動制御量の増大率に対する制限が第一の制限値による制限よりも穏やかにされるので、制動開始当初より所定の時間に亘る目標制動制御量の増大率に対する制限が開始される場合に比して、確実に制動初期より制動力を発生し得る状況を確保し、制動力発生の応答遅れを確実に防止することができる。
また請求項5の構成によれば、運転者の制動操作開始後目標制動制御量が基準値以上に なった時点より所定の時間に亘り目標制動制御量の増大率が第一の制限値以下に制限され る。従って運転者の制動操作開始後目標制動制御量が基準値以上になるまで、目標制動制 御量の増大率が第一の制限値により厳しく制限されることを回避することができる。
また請求項6の構成によれば、制動初期は運転者の制動操作開始後目標制動制御量が基準値以上になるまでの時間である。従って例えば制動開始当初より予め設定された時間に亘り目標制動制御量の増大率に対する制限が第一の制限値による制限よりも穏やかにされる場合に比して、過不足なく確実に制動力を発生し得る状況を確保し、制動力発生の応答遅れを確実に防止することができる。
また請求項7の構成によれば、所定の時間が経過する前に目標制動制御量の増大率に対する制限が第一の制限値による制限よりも穏やかで第二の制限値による制限よりも厳しい制限にされるので、所定の時間が経過した時点に於いて目標制動制御量の増大率に対する制限が急激に変化し、これに起因して各車輪の制動力が急激に増大変化することを効果的に防止することができる。
また請求項8の構成によれば、目標制動制御量は車輌の目標減速度として求められるので、車輌の減速度が急激に上昇することに起因して乗員がショックを感じることを確実に防止することができ、また目標制動制御量の増大率を制限すればよく、各車輪の目標制動圧の増大率を制限する必要がないので、請求項9の構成の場合に比して制御を単純化することができる。
また請求項9の構成によれば、各車輪の制動力は対応する制動圧が制御されることにより制御され、目標制動制御量は各車輪の目標制動圧として求められるので、各車輪の制動力が急激に上昇することに起因して乗員がショックを感じることを確実に防止することができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至9の何れか一つの構成に於いて、第二の制限値は無限大であるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4乃至6の何れか一つの構成に於いて、制動初期の目標制動制御量の増大率に対する制限の制限値は無限大であるよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項7の構成に於いて、運転者の制動操作開始後の所定の時間よりも短い増大率制限時間が経過すると目標制動制御量の増大率に対する制限を第一の制限値による制限よりも穏やかで第二の制限値による制限よりも厳しい制限にするよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、増大率制限時間経過後の目標制動制御量の増大率に対する制限の制限値は一定の値であるよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、増大率制限時間経過後の目標制動制御量の増大率に対する制限の制限値は時間の経過と共に漸次増大するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至9の何れか一つの構成に於いて、制動力は被押圧部材に対し押圧部材が押圧されることにより発生されるよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、被押圧部材に対する押圧部材の押圧力は制動圧が制御されることにより制御されるよう構成される(好ましい態様7)。
図1は本発明による車輌の制動力制御装置の実施例1の油圧回路を示す概略構成図及び制御系を示すブロック図である。尚図1に於いては、簡略化の目的で各弁のソレノイドの図示は省略されている。
図1に於いて、10は電気的に制御される油圧式のブレーキ装置を示しており、ブレーキ装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ16が設けられている。
マスタシリンダ14は第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ左前輪用のブレーキ油圧供給導管18及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18及び20の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ22FL及び22FRが接続されている。
ブレーキ油圧供給導管18及び20の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)24L及び24Rが設けられ、電磁開閉弁24L及び24Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室14A及び第二のマスタシリンダ室14Bと対応するホイールシリンダ22FL及び22FRとの連通を制御する遮断弁として機能する。またマスタシリンダ14と電磁開閉弁24FLとの間のブレーキ油圧供給導管18には常閉型の電磁開閉弁26を介してウェットストロークシミュレータ28が接続されている。
マスタシリンダ14にはリザーバ30が接続されており、リザーバ30には油圧供給導管32の一端が接続されている。油圧供給導管32の途中には電動機34により駆動されるオイルポンプ36が設けられており、オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ38が接続されている。リザーバ30とオイルポンプ36との間の油圧供給導管32には油圧排出導管40の一端が接続されている。
尚図1には示されていないが、オイルポンプ36の吸入側の油圧供給導管32と吐出側の油圧供給導管32とを連通接続する導管が設けられ、該導管の途中にはアキュムレータ38内の圧力が基準値を越えた場合に開弁し吐出側の油圧供給導管32より吸入側の油圧供給導管32へオイルを戻すリリーフ弁が設けられている。
オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32は、油圧制御導管42により電磁開閉弁24Lとホイールシリンダ22FLとの間のブレーキ油圧供給導管18に接続され、油圧制御導管44により電磁開閉弁24Rとホイールシリンダ22FRとの間のブレーキ油圧供給導管20に接続され、油圧制御導管46により左後輪用のホイールシリンダ22RLに接続され、油圧制御導管48により右後輪用のホイールシリンダ22RRに接続されている。
油圧制御導管42、44、46、48の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁50FL、50FR、50RL、50RRが設けられている。リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRに対しホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRの側の油圧制御導管42、44、46、48はそれぞれ油圧制御導管52、54、56、58により油圧排出導管40に接続されており、油圧制御導管52、54、56、58の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁60FL、60FR、60RL、60RRが設けられている。
リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する増圧弁(保持弁)として機能し、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する減圧弁として機能し、従ってこれらのリニア弁は互いに共働してアキュムレータ38内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
図1に示されている如く、第一のマスタシリンダ室14Aと電磁開閉弁24Lとの間のブレーキ油圧制御導管18には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する第一の圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室14Bと電磁開閉弁24Rとの間のブレーキ油圧制御導管20には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する第二の圧力センサ68が設けられている。ブレーキペダル12には運転者によるブレーキペダルの踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ34の吐出側の油圧供給導管32には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
それぞれ電磁開閉弁24L及び24Rとホイールシリンダ22FL及び22FRとの間のブレーキ油圧供給導管18及び20には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FL及び22FR内の圧力(左右前輪の制動圧)Pbfl、Pbfrとして検出する圧力センサ74FL及び74FRが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁50RL及び50RRとホイールシリンダ22RL及び22RRとの間の油圧制御導管46及び48には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22RL及び22RR内の圧力(左右後輪の制動圧)Pbrl、Pbrrとして検出する圧力センサ74RL及び74RRが設けられている。
電磁開閉弁24L及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL、50FR、50RL、50RR、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRは、後に詳細に説明する如く制動力制御用電子制御装置78により制御される。電子制御装置78はマイクロコンピュータ80と駆動回路82とよりなっている。
尚マイクロコンピュータ80は図1には詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
マイクロコンピュータ80には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ22FL〜22RR内の圧力Pbi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、車速センサ76より車速Vを示す信号が入力される。
また各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機34に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁24L及び24Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁26、リニア弁50FL、50FR、50RL、50RR、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRは閉弁状態に維持される(非制御モード)。
マイクロコンピュータ80は、後述の如く図2及び図3に示されたフローチャートによる制御ルーチンを記憶しており、圧力センサ66及び68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより車輌の目標減速度Gptを演算し、ストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより車輌の目標減速度Gstを演算する。
そしてマイクロコンピュータ80は、目標減速度Gptに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより目標減速度Gstに対する重みα(0≦α≦1.0)を演算し、目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として暫定目標減速度(運転者の要求減速度)Gtproを演算する。尚目標減速度Gst、目標減速度Gpt、暫定目標減速度Gtpro等の減速度は車輌の加速方向を正として演算され、負の値である。
更にマイクロコンピュータ80は、暫定目標減速度Gtproに基づき増大率が制限された最終目標減速度Gttを演算し、最終目標減速度Gttに基づき各輪の目標制動圧Pbti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、目標制動圧Pbtiと実際の制動圧Pbiとの偏差に基づきリニア弁50FL〜50RR又は60FL〜60RRに対する目標駆動電流Iti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、目標駆動電流Itiに基づき各リニア弁に駆動電流を通電することにより各車輪の制動圧Pbiが目標制動圧Pbtiになるよう制御することによって各車輪の制動力を制御する。
この場合、マイクロコンピュータ80は、制動制御モードが増圧モードであるときにはリニア弁50FL、50FR、50RL、50RRの開弁量を目標ホイールシリンダ圧力Ptiに応じて制御し、制動制御モードが減圧モードであるときにはリニア弁60FL、60FR、60RL、60RRの開弁量を目標ホイールシリンダ圧力Ptiに応じて制御し、制動制御モードが保持モードであるときにはリニア弁50FL〜50RR及び60FL〜60RRを閉弁状態に維持する。
特にこの実施例1に於いては、マイクロコンピュータ80は、制動開始時の如く最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto(負の定数)よりも大きいときには、最終目標減速度Gttの増大率に対する制限を穏やかにし、最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になった時点より所定の時間Tcoに亘り最終目標減速度Gttの増大率に対する制限を厳しくし、所定の時間Tcoが経過すると最終目標減速度Gttの増大率に対する制限を穏やかにする。
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於ける制動力制御について説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は電子制御装置78が起動されることにより開始され、図には示されていないイグニッションスイッチがオフに切り換えられるまで所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては図3に示されたフローチャートに従ってマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及び踏み込みストロークStに基づき暫定目標減速度Gtproが演算される。
ステップ30に於いては暫定目標減速度Gtproが0以上の値であるか否かの判別、即ち運転者により制動操作が行われていないか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ60へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ40に於いて増大率制限後の目標減速度Gtlim、最終目標減速度Gtt、増大率を制限するための目標減速度の制限増大量dGt、所定の時間を計測するためのタイマのカウント値Tcがそれぞれ0にリセットされ、ステップ50に於いては各電磁開閉弁等が非制御モードに設定される。
ステップ60に於いては最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto(負の定数)よりも大きいか否かの判別、即ち制動開始時であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ70に於いて目標減速度の制限増大量dGtが制動開始時の値dGto(負の定数)に設定され、否定判別が行われたときにはステップ80に於いて車速Vに基づき図4に示されたグラフに対応するマップより所定の時間Tcoが演算される。
ステップ100に於いてはタイマのカウント値Tcが基準値Tco以上であるか否かの判別、即ち所定の時間Tcoが経過したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ110に於いて車速Vに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより目標減速度の制限増大量dGtが演算され、肯定判別が行われたときにはステップ140に於いて目標減速度の制限増大量dGtが標準値dGts(ステップ110に於いて演算される値よりも小さい負の定数)に設定される。
ステップ150に於いてはGttfを最終目標減速度Gttの前回値として下記の式1に従
って増大率制限後の目標減速度Gtlimが演算される。
Gtlim=Gttf+dGt ……(1)
ステップ160に於いては暫定目標減速度Gtproが増大率制限後の目標減速度Gtlimよりも小さいか否かの判別、即ち所定の時間Tcoに亘る目標減速度の増大率の制限を実行すべきか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ170に於いてΔTcを図2に示されたフローチャートのサイクルタイムとしてタイマのカウント値TcがΔTcインクリメントされ、否定判別が行われたときにはステップ180に於いてタイマのカウント値Tcが0にリセットされる。
ステップ190に於いては暫定目標減速度Gtpro及び増大率制限後の目標減速度Gtlimのうちの大きい方の値として最終目標減速度Gttが演算され、ステップ200に於いては最終目標減速度Gttに対する各輪の目標制動圧(目標ホイールシリンダ圧力)の係数をKi(i=fl、fr、rl、rr)として、最終目標減速度Gttに基づき下記の式2に従って各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算されると共に、各車輪の制動圧Pbiがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御される。
Pti=KiGtt ……(2)
次に図3に示されたフローチャートを参照して、暫定目標減速度Gtproの演算ルーチンについて説明する。
まずステップ22に於いては図6に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークSpに基づく目標減速度Gstが演算され、ステップ24に於いては図7に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力Pmに基づく目標減速度Gptが演算される。
ステップ26に於いては前サイクルに於いて演算された最終目標減速度Gtに基づき図8に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力Pmに基づく目標減速度Gptに対する重みαが演算され、ステップ28に於いては下記の式3に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として車輌の暫定目標減速度Gtproが演算される。
Gtpro=α・Gpt+(1−α)Gst ……(3)
かくして図示の実施例1によれば、ステップ20に於いて運転者の制動操作量に基づいて車輌の暫定目標減速度Gtproが演算され、ステップ30に於いて運転者により制動操作が行われているか否かの判別が行われ、ステップ60に於いて制動開始時であるか否かの判別が行われ、制動開始時であるときには最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になるまでステップ70に於いて目標減速度の制限増大量dGtが制動開始時の値dGtoに設定され、これにより制動開始時には制動圧の比較的急峻な上昇が許容される。
ステップ60に於いて制動開始時ではないと判別されると、ステップ80に於いて車速Vに基づき所定の時間Tcoが演算され、ステップ100に於いて所定の時間Tcoが経過したか否かの判別が行われ、所定の時間Tcoが経過していないときにはステップ110に於いて目標減速度の制限増大量dGtが演算され、ステップ150に於いて最終目標減速度Gttの前回値Gttfと目標減速度の制限増大量dGtとの和として増大率制限後の目標減速度Gtlimが演算される。
そしてステップ160に於いて所定の時間Tcoに亘る目標減速度の増大率の制限を実行すべきか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ170及び190に於いて所定の時間Tcoに亘り最終目標減速度Gttが暫定目標減速度Gtpro及び増大率制限後の目標減速度Gtlimのうちの大きい方の値に設定され、これにより所定の時間Tcoに亘り最終目標減速度Gttの増大率が目標減速度の制限増大量dGtに対応する増大率に制限される。
更に所定の時間Tcoが経過すると、ステップ100に於いて肯定判別が行われ、ステップ140に於いて目標減速度の制限増大量dGtが標準値dGtsに設定され、最終目標減速度Gttの比較的急峻な増大が許容される。
例えば図11(A)は実施例1に於ける目標減速度の増大率に対する制限の変化の例、即ち最終目標減速度Gttが増大率の制限の範囲内にて最大の増大変化をする例を示すグラフである。図11(A)に示されている如く、時点t1に於いて運転者により制動操作が開始され、時点t2に於いて最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になったとすると、時点t2より時点t4までの所定の時間Tcoに亘り最終目標減速度Gttの増大率が制限増大量dGtに対応する増大率に制限され、時点t4以降には最終目標減速度Gttの増大率が標準値dGtsに対応する増大率に緩和される。
従って図示の実施例1によれば、運転者により制動操作が開始されると、最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になった時点より所定の時間Tcoに亘り各サイクル毎の最終目標減速度Gttの増大量を制限増大量dGt以下に制限し、これにより運転者により制動操作量が急激に増大される場合にも、制動圧が急激に上昇してブレーキディスクの如き被押圧部材に対するブレーキパッドの如き押圧部材の押圧力が急激に増大し、制動力が急激に上昇することに起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止することができる。
また図示の実施例1によれば、所定の時間Tcoが経過すると、目標減速度の制限増大量dGtが標準値dGtsに設定され、最終目標減速度Gttの比較的急峻な増大が許容されるので、運転者の制動要求が高い場合に制動力を確実に上昇させることができ、これにより運転者がブレーキ効きの低下や制動力不足を感じたり車輌の制動距離が過剰に長くなることを効果的に防止することができる。
図9は本発明による車輌の制動力制御装置の実施例2に於ける制動力制御ルーチンの要部を示すフローチャートである。尚図9に於いて図2に示されたステップと同一のステップには図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されており、このことは後述の実施例3(図10)についても同様である。
この実施例2に於いては、ステップ10〜80、100、110、140〜200は上述の実施例1の場合と同様に実行され、ステップ80の次に実行されるステップ90に於いてnを2程度の正の定数として基準値TcmがTco/nとして演算されると共に、タイマのカウント値Tcが基準値Tcm以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ110へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ100へ進む。
またステップ100に於いて肯定判別が行われたときにはステップ140へ進むが、否定判別が行われたときにはステップ120に於いて目標減速度の制限増大量dGtがdGtm(ステップ110に於いて演算される値よりも小さく標準値dGtsよりも大きい負の定数)に設定される。
かくして図示の実施例2によれば、ステップ90に於いて増大率制限時間Tcmが経過したか否かの判別が行われ、増大率制限時間Tcmが経過していないときにはステップ110に於いて目標減速度の制限増大量dGtが演算され、ステップ150に於いて最終目標減速度Gttの前回値Gttfと目標減速度の制限増大量dGtとの和として増大率制限後の目標減速度Gtlimが演算される。
そしてステップ160に於いて増大率制限時間Tcmに亘る目標減速度の増大率の制限を実行すべきか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ170及び190に於いて増大率制限時間Tcmに亘り最終目標減速度Gttが暫定目標減速度Gtpro及び増大率制限後の目標減速度Gtlimのうちの大きい方の値に設定され、これにより増大率制限時間Tcmに亘り最終目標減速度Gttの増大率が目標減速度の制限増大量dGtに対応する増大率に制限される。
またステップ100に於いては所定の時間Tcoが経過していない旨の判別が行われたときにはステップ120に於いて目標減速度の制限増大量dGtがステップ110に於いて演算される値よりも小さく標準値dGtsよりも大きい負の定数であるdGtmに設定され、最終目標減速度Gttの増大率に対する制限がある程度緩和される。
更に所定の時間Tcoが経過すると、ステップ100に於いて肯定判別が行われ、ステップ140に於いて目標減速度の制限増大量dGtが標準値dGtsに設定され、最終目標減速度Gttの比較的急峻な増大が許容される。
例えば図11(B)に示されている如く、時点t1に於いて運転者により制動操作が開始され、時点t2に於いて最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になったとすると、時点t2より時点t3までの増大率制限時間Tcmに亘り最終目標減速度Gttの増大率がステップ110に於いて演算される制限増大量dGtに対応する増大率に制限され、時点t3より時点t4までの時間Tco−Tcmに亘り最終目標減速度Gttの増大率が制限増大量dGtmに対応する増大率に制限され、時点t4以降には最終目標減速度Gttの増大率が標準値dGtsに対応する増大率に緩和される。
従って図示の実施例2によれば、運転者により制動操作が開始されると、最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になった時点より所定の時間Tcoに亘り各サイクル毎の最終目標減速度Gttの増大量を制限増大量dGt以下に制限し、これにより運転者により制動操作量が急激に増大される場合にも、制動圧が急激に上昇してブレーキディスクの如き被押圧部材に対するブレーキパッドの如き押圧部材の押圧力が急激に増大し、制動力が急激に上昇することに起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止することができる。
特に図示の実施例2によれば、最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になった時点より増大率制限時間Tcmが経過すると、最終目標減速度Gttの増大率に対する制限がある程度緩和されるので、所定の時間Tcoが経過した時点に於いて最終目標減速度Gttの増大率に対する制限が急激に変化し、これに起因して各車輪の制動力が急激に増大変化することを効果的に防止することができる。
図10は本発明による車輌の制動力制御装置の実施例3に於ける制動力制御ルーチンの要部を示すフローチャートである。
この実施例3に於いては、ステップ10〜110及びステップ140〜200は上述の実施例2の場合と同様に実行され、ステップ100に於いて否定判別が行われたときには、ステップ130に於いて目標減速度の制限増大量dGtの前回値をdGtfとし、ΔGtを負の定数として、目標減速度の制限増大量dGtがその前回値dGtfとΔGtとの和に設定され、これにより最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になった時点より増大率制限時間Tcmが経過した後所定の時間Tcoが経過するまでの間目標減速度の制限増大量dGtの絶対値が徐々に増大される。
例えば図11(C)に示されている如く、時点t1に於いて運転者により制動操作が開始され、時点t2に於いて最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になったとすると、時点t2より時点t3までの増大率制限時間Tcmに亘り最終目標減速度Gttの増大率がステップ110に於いて演算される制限増大量dGtに対応する増大率に制限され、時点t3より時点t4までの時間Tco−Tcmに亘り最終目標減速度Gttの増大率が制限増大量dGtf+ΔGtに対応する増大率に制限され、時点t4以降には最終目標減速度Gttの増大率が標準値dGtsに対応する増大率に緩和される。
従って図示の実施例3によれば、上述の実施例1及び2の場合と同様、運転者により制動操作量が急激に増大される場合にも、制動圧が急激に上昇してブレーキディスクの如き被押圧部材に対するブレーキパッドの如き押圧部材の押圧力が急激に増大し、制動力が急激に上昇することに起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止することができる。
特に図示の実施例3によれば、最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になった時点より増大率制限時間Tcmが経過すると、最終目標減速度Gttの増大率に対する制限が漸次緩和されるので、所定の時間Tcoが経過した時点に於いて最終目標減速度Gttの増大率に対する制限が急激に変化し、これに起因して各車輪の制動力が急激に増大変化することを上述の実施例2の場合よりも更に一層効果的に防止することができる。
尚図示の各実施例によれば、所定の時間Tcoは車速Vが高いほど短くなるよう車速Vに応じて可変設定され、所定の時間Tcoに於ける最終目標減速度Gttの増大率に対する制限は車速Vが高いほど穏やかになるよう車速Vに応じて可変設定されるので、低車速域に於ける制動力の急激な上昇に起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止することができると共に、中高車速域に於けるブレーキの効きや制動力の不足及びこれに起因して運転者の制動要求が満たされなくなることを確実に防止することができる。
また図示の各実施例によれば、目標減速度の制限増大量dGtは車速Vが高いほど絶対値が大きくなるよう車速Vに応じて可変設定され、制限増大量dGtによる最終目標減速度Gttの増大率に対する制限は車速Vが高いほど穏やかになるよう車速Vに応じて可変設定されるので、このことによっても低車速域に於ける制動力の急激な上昇に起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止することができると共に、中高車速域に於けるブレーキの効きや制動力の不足及びこれに起因して運転者の制動要求が満たされなくなることを確実に防止することができる。
また図示の各実施例によれば、制動開始時には最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になるまで目標減速度の制限増大量dGtが制動開始時の値dGtoに設定され、制動開始時には制動圧の比較的急峻な上昇が許容されるので、例えば制動開始当初より所定の時間Tcoに亘る目標減速度の増大率に対する制限が開始される場合に比して、確実に各車輪のホイールシリンダ内の圧力を初期的に加圧し、制動力発生の応答遅れを確実に防止することができる。
また図示の各実施例によれば、制動開始時には最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になるまで目標減速度の制限増大量dGtが制動開始時の値dGtoに設定され、制動開始時には制動圧の比較的急峻な上昇が許容されるので、例えば制動開始当初より予め設定された時間に亘り制動圧の比較的急峻な上昇が許容される場合に比して、各車輪のホイールシリンダ内圧力の初期加圧を過不足なく行うことができる。
また図示の実施例2及び3によれば、最終目標減速度Gttの増大率に対する制限の緩和が開始されるまでの時間Tcm及び最終目標減速度Gttの増大率に対する制限の緩和される時間Tco−Tcmは所定の時間Tcoが短いほど短くなるよう所定の時間Tcoに応じて可変設定されるので、最終目標減速度Gttの増大率に対する制限の緩和が開始されるまでの時間及び最終目標減速度Gttの増大率に対する制限の緩和される時間が一定である場合に比して、所定の時間Tcoが経過した時点に於いて各車輪の制動力が急激に増大変化することを効果的に防止しつつ、低車速域に於ける制動力の急激な上昇に起因して車輌の乗員がショックを感じることを確実に防止し、中高車速域に於けるブレーキの効きや制動力の不足及びこれに起因して運転者の制動要求が満たされなくなることを確実に防止することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、運転者の制動操作量に基づいて演算される目標制動制御量は車輌の目標減速度であるが、目標制動制御量は各車輪の目標制動圧であり、各車輪の目標制動圧の増大率が上述の各実施例に於ける目標減速度の増大率の制限と同様に制限されるよう構成されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、制動開始時には最終目標減速度Gttが制限開始基準値Gto以下になるまで目標減速度の制限増大量dGtが制動開始時の値dGtoに設定され、所定の時間Tcoが経過すると目標減速度の制限増大量dGtが標準値dGtsに設定されるようになっているが、制動開始時若しくは所定の時間経過後の目標減速度の増大率の制限は無限大(無制限)であってもよく、また制動開始時の目標減速度の増大率の制限は省略されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、ステップ80に於いて車速Vに基づき図4に示されたグラフに対応するマップより所定の時間Tcoが演算され、ステップ110に於いて車速Vに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより目標減速度の制限増大量dGtが演算されるようになっているが、所定の時間Tco及び制限増大量dGtは増大率の制限開始時の車速に基づいて演算されるよう修正されてもよく、所定の時間Tco及び制限増大量dGtの少なくとも一方が定数に設定されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、マスタシリンダ圧力Pm1、Pm2の平均値Pma及びブレーキペダルの踏み込み量Stに基づいて運転者の要求減速度としての暫定目標減速度Gtproが演算され、各車輪の目標制動圧Ptiは増大率が制限された目標減速度に基づいて演算されるようになっているが、目標減速度や各車輪の目標制動圧の演算自体は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。