JP4343508B2 - 画像形成装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置およびその制御方法に関し、より詳細には、電子写真プロセスにおける被帯電部材および帯電部材の劣化状況(寿命)及び故障を正確に検出する画像形成装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真装置は周知のように感光体表面を所定の電位に均一帯電処理する工程を含んでおり、その帯電手段の一つとして感光体表面にローラ帯電部材(以下帯電ローラと記す)を当接し、この帯電ローラに直流高圧に正弦波交流高圧を重畳させた電圧を印加する方法がある。この際、安定した帯電を得るためには放電電流量を所定値以上にすると良いことが経験的に判っている。
【0003】
図10は、帯電ローラに印加する交流高圧の電圧と電流の波形を示した図である。正弦波交流高圧(Vo)を帯電ローラに印加すると、この交流高圧(Vo)と同位相の電流、すなわち、帯電ローラと感光ドラム間の抵抗性負荷に流れる抵抗負荷電流(Izr)と、交流高圧(Vo)より90°位相が進んだ電流、すなわち、帯電ローラと感光ドラム間の容量性負荷に流れる容量負荷電流(Izc)と、交流高圧(Vo)の電圧振幅ピーク時にパルス的に流れる電流、すなわち、帯電ローラと感光ドラム間の放電電流(Is)が流れ、トータルするとIoで示した波形の電流が流れる。Imは帯電ローラから高圧電源に引き込まれる交流電流を検出した場合の検出電流波形である。
【0004】
また、図14は、帯電ローラに印加する出力電圧の振幅と出力電流の関係を示した図である。図において右上がりの実線が両者の関係を示し、右上がりの点線は、放電電流を含めない場合の両者の関係を示している。図に示すように、出力電圧の振幅を徐々に上げてゆくと、一定電圧振幅以下では電圧振幅と出力電流はほぼ比例関係にある。これは抵抗負荷電流(Izr)と容量負荷電流(Izc)は電圧振幅に比例し、かつ電圧振幅が小さいために放電現象が発生せず、放電電流(Is)が流れないためである。さらに出力電圧振幅を大きくしてゆくと所定電圧振幅(Vs)で放電現象が始まり、トータル出力電流(Io)も比例関係から外れ、放電電流(Is)分だけ多く流れるようになる。
【0005】
従来はピーク電流を一定とする制御を行うことで、放電電流量を一定にして安定した感光体電位を得られるよう制御を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図15は、従来例の高圧電源の制御回路を示す図である。図15に基づいて従来例の制御回路を説明する。図中、符号69は感光ドラム、符号68は帯電ローラである。プリンタ制御部204にあるCPU205からのクロック・パルスを、プルアップ抵抗206、ベース抵抗207を介して高圧電源部203のトランジスタ208が受けて、負荷抵抗209を有するトランジスタ208がスイッチング動作する。このトランジスタの負荷側には、接続されている後述するオペ・アンプ211の出力がダイオード210を介して接続されており、このオペ・アンプの出力に応じた振幅のクロック・パルスを、トランジスタ208の出力部に発生する。この振幅が大きいと後述する高圧トランス212に入力される正弦波の駆動電圧振幅も大きくなり、結果として交流電圧振幅も大きくなる。
【0007】
このクロック・パルスは抵抗213〜223と、コンデンサ224〜229と、オペ・アンプ230〜231によって構成される4次のバタワース・フィルタと1次のハイパス・フィルタからなるフィルタ回路232に入力され、該フィルタ回路232からは+12Vを中心とした正弦波が出力される。そしてこの出力は、抵抗233〜238と、コンデンサ239、トランジスタ240〜242、ツェナー・ダイオード243によって構成されるプッシュプルの高圧トランス・ドライブ回路244を介して高圧トランス212の一次巻線に入力され、二次巻線側に正弦波の交流高圧を発生させる。
【0008】
また、高圧トランス二次側の一方は抵抗245を介して直流高圧発生回路に接続されていることにより、直流高圧に交流高圧が重畳された高圧が出力保護抵抗247を介して帯電ローラ202に給電されている。ここで、抵抗245は、帯電ローラ202に流れ込む直流高圧発生回路246からの電流で、交流電流を検出するためのものであり、抵抗245の両端には、上述した交流電流に比例した交流電圧が生じるが、直流高圧発生回路246の出力インピーダンスは抵抗245に較べて無視し得る程度の大きさであり、したがって、直流高圧発生回路246に接続されていない抵抗246の端子部分に、実質的に上述した交流電流に比例した交流電圧が重畳されていることになる。
【0009】
ピーク電流検出回路248には、高圧コンデンサ249を介して、上述した交流電流に比例した交流電圧が重畳されている抵抗246の端子に現れる信号を入力している。この高圧コンデンサ249は直流電流を分離するためであり、この高圧コンデンサ249にさらに直列に電流モニタ用の抵抗250を接続することにより、この抵抗250の両端に、帯電ローラ202から高圧電源部へ引き込まれる交流電流成分に比例する電圧、すなわち、検出電圧を生じさせている。この検出電圧のピーク電圧をダイオード251とコンデンサ252でホールドすることによりピーク電流値を検出する。抵抗253はコンデンサ252の放電抵抗である。また、ダイオード254は電流吐き出し時の保護用である。そして帯電ローラ202から引き込まれる電流値を所定の値に制御するために、ピーク電流検出回路248の出力をオペ・アンプ211の−端子と抵抗255、256からなる基準電圧をオペ・アンプ211の+端子に入力し、オペ・アンプ211の出力端子をダイオード210を介してトランジスタのエミッタに接続することにより、前述したフィルタ回路に入力されるクロック・パルスの振幅を制御している。
【0010】
上述した例は、検出したピーク電流値で、ダイレクトにクロック・パルスの振幅を制御しているが、帯電バイアス印加手段から出力される交流電流の瞬時値を検出する瞬時電流検出手段と、交流電流の半波電流の平均値を検出する平均電流検出手段との出力をCPUのA/Dポートに入力してソフト処理し、その結果をD/Aポートから出力する信号によって、前述したフィルタ回路に入力されるクロック・パルスの振幅を制御しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、ピクセルカウント数と帯電時間の組み合わせで帯電ローラ、感光ドラムのインピーダンスの変化を擬似的に検出して、検出結果に応じて、最終的に帯電バイアス印加手段から出力される交流電流の設定値を変化させることも行われている(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
また、長期にわたり高画質、高品質を安定して維持させること等を目的として、画像形成装置の前回転時、画像形成時、紙間時等において、帯電部材2に対して放電領域・未放電領域のピーク間電圧を印加することで電圧と電流の関係を測定し、その測定値から画像形成時に帯電手段2に印加するピーク間電圧をそのつど補正し印加することも行われている(例えば、特許文献4参照)。
【0013】
また、感光ドラムの劣化となる感光ドラム表面の削れ量は放電電流量に比例して多くなるため、結果として従来の画像形成装置では、積算画像形成枚数が多くなるにしたがって、感光ドラムの削れてゆくスピードが加速的に増してゆく状況に対処するため、印加される交流電圧に同期した固定位相で像担持体1と帯電部材2との間を流れる電流を検出し、予め設定される所定の電流値との差分を演算すると共に、この差分が所定の値となるように交流電源の出力を制御することにより、放電電流量の変動を抑えるようにすることも行われている(例えば、特許文献5参照)。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−272634号公報
【0015】
【特許文献2】
特開2001−312123号公報
【0016】
【特許文献3】
特開2002−207351号公報
【0017】
【特許文献4】
特開2002−201920号公報
【0018】
【特許文献5】
特開2002−072633号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、帯電ローラの特性バラツキ、一定期間使用後の特性劣化、トナーによる帯電ローラ汚れ、感光ドラムの特性バラツキ、及び特性劣化により、及び負荷故障時には負荷電流を一定にする様制御を実行しているために高圧帯電ACバイアスを大幅に変更してしまい、高精度での故障検知は難しかった。さらに印刷画像を一定保つために感光ドラムを交換する必要が生じた場合においても適切な時期での情報の告知が難しい状況であり、そのために、帯電ローラ及び感光ドラム寿命を短めに設定する方法がとられていた。
【0020】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高圧帯電ACバイアスの負荷としての被帯電部材、被帯電部材表面に具備された帯電ローラ等に代表される帯電部材の機器故障を含む劣化状況を正確に判断可能とする画像形成装置およびその制御方法を提供することにある。
【0026】
また、請求項1に記載の発明は、被帯電部材と、該被帯電部材の表面を帯電する帯電部材と、該帯電部材に交流電圧を印加する高圧電源を備えた電子写真方式の画像形成装置において、前記高圧電源から出力される交流電圧値を設定する電圧設定手段と、前記交流電圧を前記帯電部材に印加した際に生じる交流電流の波形信号を検知する交流電流波形検出手段と、前記交流電流波形信号における、交流電流の値がピーク値となる複数のポイントを示すデータに基づいて、夫々のポイント間の間隔を示すデータを導出し、導出された間隔を示すデータに基づいて前記高圧電源の負荷状態を決定し、決定した負荷状態を示す信号を出力する負荷状態決定手段とを備え、前記交流電圧検出手段および前記負荷状態決定手段を動作させて前記高圧電源の負荷状態を示す信号を出力する際に、前記電圧設定手段は、前記被帯電部材と前記帯電部材との間に所定の放電電流が流れる放電状態になるように前記交流電圧値を設定することを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記負荷状態決定手段において、入力する信号を演算処理して、前記高圧電源の負荷の状態を決定するための信号を生成する素子をDSPとしたことを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装であって、前記被帯電部材は電子写真装置の感光ドラムであることを特徴とするものである。
【0029】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記帯電部材として、被帯電部材に当接させたローラ帯電部材を用いたことを特徴とするものである。
【0035】
また、請求項5に記載の発明は、被帯電部材と、該被帯電部材の表面を帯電する帯電部材、該帯電部材に交流電圧を印加する高圧電源、該高圧電源から出力される交流電圧値を設定する電圧設定部を備えた電子写真方式の画像形成装置の制御方法において、前記電圧設定部により前記高圧電源に所定の放電電流が流れる放電状態となるように前記交流電圧値を設定する設定する設定ステップと、前記交流電圧を前記帯電部材に印加した際に生じる交流電流の波形信号を検知する交流電流波形検出部からの信号をA/D変換するA/D変換ステップと、前記交流電流の波形信号における、交流電流の値がピーク値となる複数のポイントを示すデータに基づいて夫々のポイント間の間隔を示すデータを導出し、導出された間隔を示すデータに基づいて前記高圧電源の負荷状態を決定する負荷状態決定ステップと、決定した負荷状態を示す信号を出力する負荷状態出力ステップとを備えることを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のレーザ・ビーム・プリンタ100の構成図である。レーザ・プリンタ100は記録紙Pを、収納するデッキ101を有し、デッキ101内の記録紙Pの有無を検知するデッキ紙有無センサ102、デッキ101内の記録紙Pのサイズを検知する紙サイズ検知センサ103、デッキ101から記録紙Pを繰り出すピックアップ・ローラ104、前記ピックアップ・ローラ104によって繰り出された記録紙Pを搬送するデッキ給紙ローラ105、前記デッキ給紙ローラ105と対をなして記録紙Pの重送を防止するためのリタード・ローラ106が設けられている。
【0038】
そして、デッキ給紙ローラ105の下流には、デッキ101と給紙搬送状態を検知するする給紙センサ107、さらに下流へと記録紙Pを搬送するための給紙搬送ローラ108、記録紙Pを同期搬送するレジスト・ローラ対109、前記レジスト・ローラ対109への記録紙Pの搬送状態を検知するレジ前センサ110が配設されている。また、レジスト・ローラ対の下流には、後述するレーザ・スキャナ部111からのレーザ光に基づいて感光ドラム69上にトナー像を形成するプロセス・カートリッジ112と、感光ドラム69上に形成されたトナー像を記録紙P上に転写するためのローラ部材113(以後転写ローラと記す)、記録紙P上の電荷を除去し感光ドラム69からの分離を促進するための放電部材114(以後除電針と記す)が配設されている。
【0039】
さらに、除電針114の下流には、搬送ガイド115、記録紙P上に転写されたトナー像を熱定着するために内部に加熱用のハロゲン・ヒータ116を備えた定着ローラ117と加圧ローラ118対、定着部からの搬送状態を検知する定着排紙センサ119、定着部から搬送されてきた記録紙Pを排紙部に搬送するための搬送フラッパ120が配設されており、排紙部側の下流には排紙部の紙搬送状態を検知する排紙センサ121、記録紙を排紙する排紙ローラ対122が配設されている。
【0040】
また、前記スキャナ部111には、後述外部装置から送出される画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光するレーザ・ユニット129、レーザ・ユニット129からのレーザ光を感光ドラム1上に走査するためのポリゴン・ミラー130とスキャナ・モータ131、結像レンズ群132、及び折り返しミラー133により構成されている。
【0041】
そして、前記プロセス・カートリッジ112は、公知の電子写真プロセスに必要な感光ドラム69、帯電部材である帯電ローラ68と現像ブレード134、トナー格納容器135等を具備しており、レーザ・プリンタ100本体に対して着脱可能に構成されている。
【0042】
また、図中の符号3は高圧電源部であり、後述する帯電高圧回路の他に、現像ブレード134、転写ローラ113、除電針114に所望の電圧を給電する高圧回路を有している。
【0043】
さらに、符号1は、レーザ・プリンタ100を制御するプリンタ制御部であり、RAM(符号2a)、ROM(符号2b)、タイマ(符号2c)、シリアル・コミニュケーションSCI(符号2d)、デジタル入出力ポート(以下I/Oポートと記す)(符号2e)等を具備したMPU(マイクロ・コンピュータ)2、及び各種入出力制御回路(不図示)等で構成されている。
【0044】
前記プリンタ制御部1はインターフェースを介してパーソナル・コンピュータ等の外部装置に接続されている。
【0045】
次に、図2に示す高圧電源回路を基に説明を進める。図2は、本実施形態の高圧電源回路を示す図である。符号1は、上述したプリンタ制御部であり、画像形成装置の全ての制御を行う。制御部1と高圧電源部3とは、シリアル・クロックSCK(符号4)、デジタル入力データDI(符号5)及びデジタル出力データDo(符号6)の3本の信号線にて接続されており、高圧電源部3の各種制御は全てこの3本の信号線にて実行される。高圧電源部3は、デジタル・シグナル・プロセッサDSP(符号7)、DC高圧発生回路49、高圧ACトランス47、フィルタ回路15、ドライバ回路35、出力交流電圧検出回路、PWMフィルタ、オペ・アンプなどにより構成されている。本説明では、帯電交流出力に限定しているものの、DSP7での制御はこの限りでは無く、その他のバイアス制御及び、電流検出なども行っている。
【0046】
画像形成装置100が印刷動作を開始し、制御部1に配置されるCPU2からSCI 2dを介在して、高圧電源部3に帯電出力発生命令が出力されるとDSP 7にて、設定すべき電圧値、周波数、波形情報を判断して、高圧電源部3の動作を開始する。
【0047】
DSP 7は、まず、、PWM2出力から、CPU2から指示された周波数の交流出力を生成する基準となるPWM信号を発生し出力する。DSP2から出力されたPWM信号は、3.3V電圧にプルアップされた抵抗11及び、抵抗12に接続される。抵抗12のもう一方はトランジスタ13のベースに接続される。トランジスタ13のエミッタはグランドに接続され、トランジスタ13のコレクタは抵抗14に接続され、さらにバタワース4次ローパス・フィルタ部15に入力される。フィルタ部15は、オペ・アンプ21、27、抵抗17、18、19、22、23、25、26、30、31、コンデンサ20、24、28、29、により構成され、PWM信号を帯電AC出力波形と同様な波形に整形する。
【0048】
本実施形態の場合には、DSP7のPWM2から出力される信号の基本周波数は35.2KHzであり、フィルタ部15のカットオフ周波数は約6kHzに設定してある。PWM2出力は、一周期を32分割してそれぞれの時間軸でのパルス幅の設定を正弦波となるよう設定されているために、PWM2の信号は、フィルタ部15にてフィルタリングされ、フィルタ部15の出力波形は正弦波となる。このフィルタ部15にて生成される正弦波は、抵抗33、34にて分圧される電位を中心に振幅を与えられる。この正弦波信号をドライバ回路部35にて電力増幅を行い、ACトランス47の一次巻線を駆動することにより、ACトランス47の二次巻線出力に正弦波高圧AC出力が現れる。ACトランス47の二次巻線の他の一方は、DC高圧発生回路49の出力に接続されておりDC高圧バイアスが乗畳され、帯電ローラ68により感光ドラム69を所定バイアスに帯電する。
【0049】
高圧AC出力電圧は、コンデンサ50を介してダイオード51、52、コンデンサ53及びブリーダ抵抗54により形成される整流回路により直流電圧とされ、さらに抵抗55、56及び57によりレベル調整およびDCバイアスが与えられ、オペ・アンプ66の反転入力端子に接続される。一方オペ・アンプの非反転入力端子にはDSP7のPWM1出力を抵抗63、64、トランジスタ62、コンデンサ64により構成されるローパス・フィルタにて直流電圧とされた制御電圧が印加されている。オペ・アンプ66はこの非反転入力端子に印加されている電圧と反転入力端子に印加される電圧が同電圧になるよう、出力端子電圧を変動させる動作を行う。すなわち、DSP7のPWM1出力電圧を適切に設定することにより、高圧AC出力電圧を正しく制御することが可能となる。
【0050】
さらに、高圧コンデンサ50は、コンデンサ58、59、抵抗60、61で構成される分圧回路に入力されており、この分圧回路出力はDSP7のアナログ−デジタル変換回路入力端子ADC1に入力される。なお、高圧コンデンサにはダイオード51が接続されているので、分圧回路に供給される信号は、その高圧AC出力交流電圧波形の下端が定常状態においてマイナスにならない様にされ、結果的には、交流電圧波形の下端がグランド・レベルとなる信号となる。分圧回路の分圧比は、抵抗60、61及びコンデンサ58、58の抵抗及び容量比で決定される。
【0051】
DSP7のADC1入力のアナログ−デジタル変換周期を高圧AC周波数生成用信号PWM2の周期の1以上の整数倍として、高圧AC出力電圧の波形サンプリング検出を行う。
【0052】
ここでDSP7は、X'tal8、コンデンサ9、10により規定される周波数20MHzにて動作している。図3は、検出した高圧AC出力電圧、検出した交流電流に比例する電圧、すなわち、図2中DSP7のADC1、ADC2入力端子電圧、及びDSP7のPWM2出力波形を示す図であり、それぞれの出力波形をDSP7で取り込む(サンプリングする)様子を示す図である。本図を使用して、動作についての説明をさらに進める。
【0053】
高圧電源制御部2が動作を開始すると、DSP7のPWM2出力端子からは正弦波信号を生成するためのパルス信号301が出力される、このパルス信号は、図2中のフィルタ回路15にて波形整形されて正弦波信号となり、トランス47を駆動して、そのトランス出力に正弦波出力電圧を出力する。この出力電圧は前述した抵抗60、61及びコンデンサ58、59により分圧され、DSP7のADC1入力端子に入力される。DSP7のADC1入力端子に入力された電圧302はDSP7のPWM出力周波数の1/2時刻にてデジタル値に変換されDSP7内部に導入される。
【0054】
また、感光ドラムに流れる交流電流に比例する信号は、DC高圧発生回路49の出力抵抗145の両端に発生する。ここで、DC高圧発生回路49の出力インピーダンスは低く、その出力端には無視し得る程度の交流電圧しか発生しないので、抵抗145の一方の端子から感光ドラムに流れる交流電流に比例する信号が、得られる。この信号は、図2中のコンデンサ80、82、抵抗81、84、85、87、90、92、ダイオード83、88、91、オペ・アンプ86、89にて構成される全波整流回路にて、電流電圧変換され、交流電圧値303としてDSP7のADC2端子に入力される。このADC2に印加される波形は、交流出力電流に比例する交流電圧の負方向部分を正方向部分に変換して、正方向部分と合わせた全波整流化された波形の信号である。DSP7でのADC2入力の取り込みタイミングは、ADC1入力と同様にPWM2出力周期の中央時刻である。
【0055】
図4は、高圧AC出力電圧と出力AC電流の関係を示す図である。高圧AC出力電圧振幅の低い領域においては、出力電流は電圧振幅の増加にあわせて直線的に増加する。この領域を被放電領域とする。高圧AC出力電圧振幅があるポイントに到達した時点(放電開始電圧Vas)から、出力電流は急激に増加し始め、出力電圧に対する出力電流の間の、直線性は消失する。これは、帯電ローラと感光ドラム間において、放電現象が発生するためである。
【0056】
本実施形態においては、通常であれば非放電領域となる領域の駆動電圧を発生させて、そのときの電圧と電流の関係から、負荷の異常検出を行っている。
【0057】
本実施形態では、本発明を適用した画像形成装置の放電開始電圧Vasは約1、100Vpp(1100Hz)であるために、異常検出のための駆動は600Vpp(1100Hz)付近で実施している。まず、高圧AC電圧振幅を600Vpp(1100Hz)となるように、DSP7によりPWM1、及びPWM2からの出力を開始する。このときにDSP7にて、ADC1(電圧検出)、ADC2(電流検出)動作を開始して、出力電圧及び出力電流の波形を取り込む。
【0058】
図5は、通常における、DSP7のADC1とADC2が入力する検出交流電圧波形Voと検出交流電流波形、そして交流出力電流Ioの波形を示す図である。出力AC電圧の周波数は1100Hzであるために、波形の周期は909μSである。DSP7のADC2入力端子には、交流出力電流に比例する交流電圧の負方向部分を正方向部分に変換し、全波整流化された形の信号が接続されているため、ADC2入力端子電圧が0Vに最も近いポイントの時刻を計測する。また、DSP7では、ADC1入力端子にて検出交流電圧が(1/2)Vpp電圧値を通過するポイントの時刻を計測する。言い替えれば、出力交流電流波形の低下方向にある中点から出力交流電圧波形の低下方向にある中点までの時間、あるいはその間の位相変化を測定する。
【0059】
ここで、DSP7は20MHzにて動作し、DSP7のPWM2から出力される信号の基本周波数は35.2KHz、生成される交流電圧周波数は1100Hzであることから、DSPは、1100Hzの信号を位相差として約11.257度(0.0982ラジアン)毎にサンプリングしていることになる。この仕様から、位相を精度良く、検出する方法を以下に説明する。DSPのADC1の入力は8ビットのデジタル値に変換し、ここに入力される信号は、正弦波であって、簡単化のために28から228までの200の範囲を変位しているとする。すると、(1/2)Vpp付近すなわち128の値付近の傾きは一様であるとすることができるので、その付近でSの変化をする位相変化量は、(S/200)×(360/π)=0.573S(度)の計算をすることで、度で表わした位相に置き換えることができる。言い替えれば、200の振幅の正弦波が128よりも大きな値から、たとえば110になった時点は、128の時点から、(128−110)×0.573=10.3度の位相遅延された時点であるとすることができる。
【0060】
同様なことは、DSPのADC2の入力に対しても実行することができる。実施形態において、ADC2も同様に8ビットのデジタル値の変換し、0から200の間を変位している場合、0の値近辺の一方向の変化Pは、(P/200×2)×(360/3.1416)=0.286P(度)の位相遅延に相当する。したがって、A/D変換したデジタル値が49、10、30と変化した場合(ここで、10と30をサンンプリングした中間に0となるポイントがある。この近辺では、サンプリング間隔ごとに、約39の変化が生じている)、30を検出した時点は、0になった時点から、30×0.286=8.6度位相遅延された時点であることが判る。
【0061】
上述した例において、ADC2の入力が30を検出した時点から、ADC1の入力が110になった時点までの35.2KHzのクロック数がNの場合に、実際のADC2の入力が0となった時点からADC1の入力が128になった時点までの位相差は、N×11.25−8.6+10.3と計算することで、少なくとも所望の精度を有する位相差データとすることができる。また、このような位相差データを複数回求めて平均化することによってさらに、検出する位相差データの精度を向上させることができる。以下の説明においては、このような方法で位相差あるいは所望のデータ値を有する時点を精度よく特定するものとする。当然ながら、サンプリング間隔を少なくすることによっても、あるいはD/A変換のビット数を増加させることにより、検出精度を向上させることができることは言うまでもない。
【0062】
図5に示すように、通常Cローラ及び感光ドラムにて構成される系においては、負荷は(容量+抵抗)負荷を示し、負荷に対して印加交流電圧と流入交流電流の位相差は約83度で、交流電圧に対して交流電流が位相的に進んだものとなる。本実施形態での帯電AC周期は909μSであるために83度の位相差は時間として約210μSとなる。よって検出交流電圧波形の(1/2)Vppポイントと検出交流電流波形の0Vポイントは、時間差として210μSとなっていることになる。
【0063】
これに対して、異常が発生している場合、たとえば、高圧電源からの出力ラインが短絡していた場合においては、高圧電源から見た負荷は、図2中の抵抗48のみとなり、抵抗負荷のみとなる。よって電圧電流には位相差は生ずることなく検出交流電圧の(1/2)Vppポイントと、検出交流電流の0Vポイントは同時刻となり、図6に示すような位相関係となる。図6は、このように位相差に相当する時間(測定手法あるいは測定手順によって0度近辺あるいは180度近辺と検出することも想定される)を検出することにより、短絡状態となった場合の検出が可能となる。
【0064】
また、感光ドラムを長く使用して、予想以上に早く感光層が削れた場合においては、感光層の膜厚が薄くなることにより高圧電源から見た負荷は、抵抗性負荷が減少し、容量性負荷が増加したものとなる。したがって、検出交流電圧と検出交流電流との位相差が90度に近づく。すなわち、ADC1とADC2との確認ポイントの時間差が227μSに近づく。したがって、この210μSから227μSの間に閾値を設定して、(たとえば218μS、位相差は約86.3度)閾値以上にADC1とADC2との確認ポイントの時間差がなった場合には、感光ドラムの劣化に起因して通常と異なる位相差が発生している、すなわち、感光ドラムの異常と判断することが可能となる。
【0065】
ADC1入力の計測ポイントとADC2の計測ポイントの時間差が200μS(位相差の約79.2度に相当)から218μS(位相差の約86.3度に相当)の間に入っていない場合には、エラーとして処理してDSP7からCPUに通信にて告知することで、高圧電源から見た感光ドラムを含む負荷の異常を告知することが可能となる。このように、交流電圧と交流電流の位相差を検出してその位相差を時間に変換し、時間にあらかじめ設定した閾値を設け、検出した位相差がその範囲内であるか否かをチェックすることにより、高圧電源から見た負荷状態を正確に判断することができるようになる。ここで、時間ではなく位相差としても同様である。
【0066】
図11は、上述した処理を説明するフローチャートである。まず、S1101でDSPのPWM2を制御して、通常であれば非放電領域となる領域の電圧に出力電圧を設定する。次にS1102でDSPのADC2からの交流電流波形データから、上述した特定ポイント(実施形態においては、全波整流された形の波形で、ベースがグランド・レベルの波形になっているので、グランド・レベルとなるポイント)を示す情報を導出する。この導出後S1103で、DSPのADC1からの交流電圧波形データからも同様に上述した特定ポイント(実施形態においては、交流電圧波形の下端がグランドになっているので、振幅をVppとすると、Vpp/2となるポイント)を示す情報を導出する。
【0067】
次に、S1104で、前のステップで導出した2つのポイントを示す情報から、交流電流波形と交流電圧波形の位相差を算出する。この算出した位相差をS1105において閾値S1(実施形態においては、218μSに相当する86.3度)と比較する。位相差がS1よりも大きいとS1106に進む。位相差がS1よりも小さいとS1107に進む。S1107では、閾値S2(実施形態においては、200μSに相当する79.2度)と比較する。位相差がS2よりも小さいとS1108に進む。位相差がS2よりも大きいと、S1109に進み、この処理結果として出力するデータとして、正常を指示するデータを設定し、次のS1110で出力データを出力する。この出力データの最終的な出力先としては、画像形成装置100の操作部の表示装置、あるいはインターフェースを介して外部のパーソナル・コンピュータ等が考えられる。
【0068】
S1106では、たとえば、感光ドラムの感光層の膜厚が、長期間の使用によって薄くなっていることを指示する、あるいは感光ドラムを含むプロセス・カートリッジの交換を指示する、異常Aのデータを出力データに設定する。またS1108では、たとえば、所定値より容量性負荷と抵抗性負荷の比率が減少していることを指示する、あるいは感光ドラムを含むプロセス・カートリッジの交換を指示する、異常Bのデータを出力データに設定する。S1106から、あるいはS1108からは上述したS1110に進む。
【0069】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態の回路構成は図2と同じであるために詳細説明は省略する。本実施形態の特徴は、高圧AC出力交流電圧波形を4分割して、それぞれ区間を(1相)(1/2)Vppから0まで、(2相)0から(1/2)Vppまで、(3相)(1/2)VppからVppまで、(4相)Vppから(1/2)Vppまで、とする。なお、これらの区間は、最初の(1/2)Vppのポイントを見つけることにより、その後は、この波形周期とサンプリング周波数が所定の関係にあるので、それぞれの区間を決定することができる。
【0070】
それぞれの区間毎の検出電流を、DSP7にて上述した周期でサンプリングし、その値を積分して各区間毎の積分値を算出する。そしてこの各区間毎の積分値の差を算出し、その差を較べることで負荷異常ならびにリークなどを検出する。
【0071】
図7に基づいて、本実施形態の説明を進める。図7は、図5に示したと同様な場合を示す図であり、通常における、DSP7のADC1とADC2が入力する検出交流電圧波形と検出交流電流波形、そして交流出力電流の波形を示す図である。本実施形態においても高圧AC電圧値は非放電領域を使用する。DSP7のADC1入力にて、検出交流電圧をサンプリングし出力交流電圧のVPP、1/2Vpp、0、1/2Vppポイントを検出する。検出交流電圧のVppから1/2Vppまでの期間を1相としてその期間の検出交流電流値をDSP7のADC2入力にてサンプリングしてその値をDSP7内部にて積分を行う。次に検出交流電圧1/2Vppから0付近までの期間を2相としてこの期間内の検出交流電流値をサンプリングしDSP7にて積分を行う。検出交流電圧0付近から1/2Vppまでの期間を3相とし、1/2VppからVppまでの期間を4相として、同様にDSP7にてサンプリング&積分を実行する。I〜IVまでの期間における積分値を比較してエラーの有無を判断する。検出交流電流については感光ドラムへの流入交流電流を電流電圧変換し、全波整流された信号が入力されるために、波形が正弦波であると仮定すると、1相と3相の積分値は同等となり2相と4相の積分値は同等となる。
【0072】
正常な場合を示す図7においては、1相と2相の積分値の大小関係を見ると、1相の方が大きい値を示している。整理すれば、2相=4相≪1相=3相となる。このことは、負荷が容量性負荷+抵抗性負荷であることにより、交流電流位相が交流電圧位相に比較して進んでいるためである。本実施形態においては2相及び4相の積分値は1相及び3相の積分値の約60%程度であるために、55%から80%までの間であれば正常と判断している。しかしながら、この値は製品毎に変わるものであるためにこの数値に関しては、いくつであっても本発明の範囲内であることとする。
【0073】
次に、負荷短絡状態での各部の波形を図8にて説明を進める。図8は、異常が発生している場合、たとえば、高圧電源からの出力ラインが短絡していた場合の、DSP7のADC1とADC2が入力する検出交流電圧波形と検出交流電流波形、そして交流出力電流の波形を示す図である。負荷短絡状態においては、高圧出力は抵抗48のみとなるために、交流電圧波形と交流電流波形には位相関係は生ずることなく、期間毎の検出電流積分値は、同じものとなる。さらに感光ドラム削れが進行して感光層の膜厚が減少した場合には、負荷の容量成分が増加し抵抗成分が減少するために、位相差は90度に近づく。すなわち、各期間での積分値の差は減少する方向になる。検出交流電流波形は全波整流された信号であるために、交流電圧と交流電流の位相差0での積分値の期間毎の差分と、位相差90度の期間毎の積分値の差分は小さくなる。したがって、上記に示すような比率にて異常であるかの判断を行うことにより、正確かつ確実に負荷異常状態あるいは、負荷短絡状態を検出可能である。
【0074】
図12は、上述した処理を説明するフローチャートである。まず、S1201でDSPのPWM2を制御して、通常であれば非放電領域となる領域の電圧に出力電圧を設定する。次にS1202において、DSPのADC1からの交流電圧波形データから、上述した中点のポイント(実施形態においては、交流電圧波形の下端がグランドになっているので、振幅をVppとすると、Vpp/2となるポイント)を示す情報を導出して、この導出後の1周期の期間を4等分して、それぞれの期間中について、DSPのADC2からの電流波形データを積分し、それぞれの積分値を得る。
【0075】
次にS1203で、最初の第1積分値から最後の第4積分値を使用して、位相差を求めるために、図示した演算を実行し、位相差を指示する算出値を得る。この算出した位相差を指示する算出値をS1204において閾値S1(実施形態においては、218μSあるいは86.3度を指示する値)と比較する。位相差がS1よりも大きいとS1205に進む。位相差がS1よりも小さいとS1206に進む。S1206では、閾値S2(実施形態においては、200μSに相当する79.2度)と比較する。位相差がS2よりも小さいとS1207に進む。位相差がS2よりも大きいとS1208に進み、この処理結果として出力するデータとして、正常を指示するデータを設定し、次のS1209で出力データを出力する。この出力データの最終的な出力先としては、画像形成装置100の操作部の表示装置、あるいはインターフェースを介して外部のパーソナル・コンピュータ等が考えられる。
【0076】
S1205では、たとえば、感光ドラムの感光層の膜厚が、長期間の使用によって薄くなっていることを指示する、あるいは感光ドラムを含むプロセス・カートリッジの交換を指示する、異常Aのデータを出力データに設定する。またS1207では、たとえば、所定値より容量性負荷と抵抗性負荷の比率が減少していることを指示する、あるいは感光ドラムを含むプロセス・カートリッジの交換を指示する、異常Bのデータを出力データに設定する。S1205から、あるいはS1208からは上述したS1209に進む。
【0077】
なお、この方法は積分処理をしているので、短時間のノイズや過度現象の影響を受け難いという特徴がある。
【0078】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態を説明する。図9に基づき説明を進める。図9は、図4に示す高圧AC出力電圧vs出力電流特性の放電領域での検出交流電圧及び電流電圧変換された出力交流電流である検出電流を表わしたものである。本実施形態においては放電領域における交流電流波形をDSP7のADC2にて検出して、負荷の異常及び短絡などの機器の故障検知を行うものである。高圧電源部3のDSP7のADC2入力端子の検出交流電流波形を観測しながら高圧AC波形生成用クロック信号であるPWM1を出力し、その後、出力交流電圧制御用信号であるPWM2信号のDutyを増加していく。高圧AC出力交流電圧振幅が図4で示す非放電領域では、検出交流電流波形は図5〜図8に示すとおり全波整流波形となる。さらに高圧AC電圧振幅を増加させていくと、放電開始電圧Vasを超えた時点から放電電流が流れ検出交流電流波形に第二のピークが現れる。高圧電源部3では、この第二のピークIpm2の値が非放電領域から存在している第一のピークIpm1の値を超えた時点まで、高圧AC出力電圧振幅を増加させて、この第一のピークIpm1と第二のピークIpm2の位相差を計算して、異常の有無を検出する。第二のピークIpm2は高圧AC出力電圧振幅のピークと実質的に同時刻であるとすることができ、第一のピークIpm1は高圧AC出力電圧振幅のピークから約83度位相の進んだ時刻、すなわち、第一のピークIpm1と第二のピークIpm2の間には、約210μSの時間差が生ずることになる。この時間差はDSP7のADC2入力端子にて検出される検出交流電流のみで判断可能である。
【0079】
図13は、上述した処理を説明するフローチャートである。まず、S1301でDSPのPWM2を制御して、通常であれば放電領域となる領域の電圧に出力電圧を設定する。次にS1302において、DSPのADC2からの交流電流波形データから連続する複数のピーク値、少なくとも3個のピークを指示するサンプル値の時刻、またはおよびそのサンプル値を導出する。
【0080】
次にS1303で、導出した各ピーク間の位相差を算出し、隣接する位相差を合計する。次のステップS1304で合計値が、たとえば、180度を指示する所定値と比較し、180度近傍の値であれば、導出した各ピークは所定のピークであるとしてステップS1306に進み、そうでない場合は、ステップS1305に進む。ステップS1306では、たとえば、第1のピーク値と第2のピーク値の位相差A、あるいは第2のピーク値と第3のピーク値の位相差Bが、閾値S1とS2の間にあるか否かを決定する。位相差AまたはBがこの範囲にある場合には、正常な状態にあるとしてステップS1308で出力データとして正常を指示するデータを設定し、次のS1309で出力データを出力する。この出力データの最終的な出力先としては、画像形成装置100の操作部の表示装置、あるいはインターフェースを介して外部のパーソナル・コンピュータ等が考えられる。
【0081】
ステップS1306で位相差AとBが共に範囲内でない場合には、ステップS1307に進む。ステップS1305、S1307では、出力データとしてそれぞれ異常を表わすデータを設定し、ステップS1309に進み、設定した出力データを出力する。
【0082】
上述した方法とは別に、ステップS1305あるいはS1307に進んだ場合は、ステップS1302に進んで、再度交流電流波形のピークを算出してその都度結果を記録して、記録した結果から出力データを決定することも考えられる。たとえば、5回の測定をしてその内の4回の記録が正常であり、残りの1回が異常の場合は、正常として出力することも考えられる。逆に1回でも異常の場合は、閾値近辺の状態にあるとして、すなわち、異常として出力することも考えられる。
【0083】
なお、本実施形態の場合、上述した実施形態と異なり、DSPのADC2から取り込む周波数のみが所望の精度と関係するため、ADC2からのデータ取り込み周期を高くする必要がある。さらに、データの変化態様から、周期単位より細かい精度で、取り込み周期の内部に存在する実際のピーク点を決定する処理が必要になる。
【0084】
これまでは負荷及び画像形成装置に故障の無い状態の説明を進めていた。次に故障検知の方法に関して説明を行う。何らかの原因により故障発生し、負荷自体の容量性負荷要因が無くなってしまった場合には、前述した第一のピークIpm1と第二のピークIpm2の区別が無くなる。高圧AC出力電圧振幅が明らかに放電開始電圧Vasを超えているにも係わらず、2つのピークが現れない場合には、負荷あるいは画像形成装置に故障があると判断できる。また、感光ドラムに電位を与えるためのCローラの耐久及び特性劣化により、放電特性が劣化した場合には、高圧AC出力電圧振幅を上げ、放電開始電圧Vasを超える電圧を印加した場合においても第二のピークIpm2を検出することができなくなる。したがって、このような場合においても、所定の期間内に2個のピークを検出できないために、故障検知可能である。
【0085】
感光ドラム耐久によりの感光層の膜厚が極度に薄くなった場合には、第二のピークIpm2の発生時刻には変化が無いものの、容量性負荷により大きく左右される第一のピークIpm1の位相進みが90度に近くなる。すなわち、第一のピークIpm1と第二のピークIpm2との時間差が通常時の210μSから増加し、227μSとなる。このときに本実施形態では、この時間差を200μS〜218μS(位相差の場合は、約79.2度〜約86.3度)の間にならない場合を故障範囲としているために、故障として判別可能となる。
【0086】
本発明では、検出素子をDSPとして説明を進めてきたものの、高速CPUあるいは、ゲート・アレイ、ASICなどに代表されるハードウェア素子あるいはハードウェア回路にて置き換えても本発明の範囲を超えることはない。
【0092】
また、請求項1に記載の発明によれば、
被帯電部材と、該被帯電部材の表面を帯電する帯電部材と、該帯電部材に交流電圧を印加する高圧電源を備えた電子写真方式の画像形成装置において、電圧設定手段が、前記高圧電源から出力される交流電圧値を設定し、電流波形検出手段が前記交流電圧を前記帯電部材に印加した際に生じる交流電流の波形信号を検知し、負荷状態決定手段が、前記交流電流波形信号における、交流電流の値がピーク値となる複数のポイントを示すデータに基づいて、夫々のポイント間の間隔を示すデータを導出し、導出された間隔を示すデータに基づいて前記高圧電源の負荷状態を決定し、決定した負荷状態を示す信号を出力し、前記交流電圧検出手段および前記負荷状態決定手段を動作させて前記高圧電源の負荷状態を示す信号を出力する際に、前記電圧設定手段が、前記被帯電部材と前記帯電部材との間に所定の放電電流が流れる放電状態になるように前記交流電圧値を設定するので、交流電圧の電圧波形検出手段を必要とせずに、放電電流のピーク値を電圧のピーク値として電圧と電流の位相差を求めることができ、これにより、高圧発生手段の負荷としての被帯電部材あるいは帯電部材の特性劣化を高精度に検出可能として、これらの部品の交換時期を適切に使用者に告知することができる。
【0093】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明において、DSPを、負荷状態決定手段における、入力する信号を演算処理して高圧電源の負荷の状態を決定するための信号を生成する素子としているので、演算処理を高速で実行することを可能とすることができる。
【0094】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2の発明において、被帯電部材は電子写真装置の感光ドラムであるので、感光ドラムを含むプロセス・カートリッジの特性劣化を高精度に検出可能として、これらの部品の交換時期を適切に使用者に告知することができる。
【0095】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の発明において、前記帯電部材として、被帯電部材に当接させたローラ帯電部材を用いたので、ローラ帯電部材を含むプロセス・カートリッジの特性劣化を高精度に検出可能として、これらの部品の交換時期を適切に使用者に告知することができる。
【0096】
また、請求項5に記載の発明も、請求項1に記載のそれぞれの発明と同様の効果を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のレーザ・ビーム・プリンタ100の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の高圧電源回路を示す図である。
【図3】検出した高圧AC出力電圧、検出した交流電流に比例する交流電圧、すなわち、図2中DSP7のADC1、ADC2入力端子電圧、及びDSP7のPWM2出力波形を示す図である。
【図4】高圧AC出力電圧と出力AC電流の関係を示す図である。
【図5】通常における、DSP7のADC1とADC2が入力する検出交流電圧波形と検出交流電流波形、そして交流出力電流の波形を示す図である。
【図6】異常が発生している場合、たとえば、高圧電源からの出力ラインが短絡していた場合の、DSP7のADC1とADC2が入力する検出交流電圧波形と検出交流電流波形、そして交流出力電流の波形を示す図である。
【図7】図5に示したと同様な場合を示す図であり、通常における、DSP7のADC1とADC2が入力する検出交流電圧波形と検出交流電流波形、そして交流出力電流の波形を示す図である。
【図8】異常が発生している場合、たとえば、高圧電源からの出力ラインが短絡していた場合の、DSP7のADC1とADC2が入力する検出交流電圧波形と検出交流電流波形、そして交流出力電流の波形を示す図である。
【図9】図4に示す高圧AC出力電圧vs出力電流特性の放電領域での検出電圧及び電流電圧変換された出力電流である検出電流を表わした図である。
【図10】帯電ローラに印加する交流高圧の電圧と電流の波形を示した図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の処理を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態の処理を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態の処理を説明するフローチャートである。
【図14】帯電ローラに印加する出力電圧の振幅と出力電流の関係を示した図である。
【図15】従来例の高圧電源の制御回路を示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタ制御部
2 MPU
3 高圧電源部
7 DSP
15 フィルタ回路
35 ドライバ回路
49 DC高圧発生回路
68 帯電ローラ
69 感光トラム
100 レーザ・ビーム・プリンタ
112 プロセス・カートリッジ
113 転写ローラ
114 除電針
134 現像ブレード
135 トナー格納容器
Claims (5)
- 被帯電部材と、該被帯電部材の表面を帯電する帯電部材と、該帯電部材に交流電圧を印加する高圧電源を備えた電子写真方式の画像形成装置において、
前記高圧電源から出力される交流電圧値を設定する電圧設定手段と、
前記交流電圧を前記帯電部材に印加した際に生じる交流電流の波形信号を検知する交流電流波形検出手段と、
前記交流電流波形信号における、交流電流の値がピーク値となる複数のポイントを示すデータに基づいて、夫々のポイント間の間隔を示すデータを導出し、導出された間隔を示すデータに基づいて前記高圧電源の負荷状態を決定し、決定した負荷状態を示す信号を出力する負荷状態決定手段と
を備え、
前記交流電圧検出手段および前記負荷状態決定手段を動作させて前記高圧電源の負荷状態を示す信号を出力する際に、前記電圧設定手段は、前記被帯電部材と前記帯電部材との間に所定の放電電流が流れる放電状態になるように前記交流電圧値を設定することを特徴とする画像形成装置。 - 前記負荷状態決定手段において、入力する信号を演算処理して、前記高圧電源の負荷状態を決定するための信号を生成する素子をDSPとしたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記被帯電部材は電子写真装置の感光ドラムであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材として、被帯電部材に当接させたローラ帯電部材を用いたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 被帯電部材と、該被帯電部材の表面を帯電する帯電部材、該帯電部材に交流電圧を印加する高圧電源、該高圧電源から出力される交流電圧値を設定する電圧設定部を備えた電子写真方式の画像形成装置の制御方法において、
前記電圧設定部により前記高圧電源に所定の放電電流が流れる放電状態となるように前記交流電圧値を設定する設定する設定ステップと、
前記交流電圧を前記帯電部材に印加した際に生じる交流電流の波形信号を検知する交流電流波形検出部からの信号をA/D変換するA/D変換ステップと、
前記交流電流の波形信号における、交流電流の値がピーク値となる複数のポイントを示すデータに基づいて夫々のポイント間の間隔を示すデータを導出し、導出された間隔を示すデータに基づいて前記高圧電源の負荷状態を決定する負荷状態決定ステップと、
決定した負荷状態を示す信号を出力する負荷状態出力ステップと
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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