以下、本発明の実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態では、光記録媒体としての書き込み可能な光ディスクにおける保護シートを形成するための光ディスク製造用シートについて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る光ディスク製造用シートの断面図であり、図2(a)〜(d)は同実施形態に係る光ディスク製造用シートを用いた光ディスクの製造方法の一例を示す断面図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1は、接着剤層(硬化性層)11と、接着剤層11の一方の面(図1中上面)に積層された保護シート(保護層)12と、接着剤層11の他方の面(図1中下面)に積層された剥離シート13とからなる。なお、保護シート12は光ディスクにおける保護層となるものであり、剥離シート13は、光ディスク製造用シート1の使用時に剥離されるものである。
接着剤層11は、光ディスク基板2上に形成された情報記録層3(図2参照)と、保護シート12とを接着するためのものであり、硬化後の水蒸気透過係数が6.5×10−3g・m/m2・24h以下である硬化性の材料によって構成される。接着剤層11の硬化後の水蒸気透過係数がかかる値を示すことにより、水分が接着剤層11を透過することが制限されて、情報記録層3に水分が到達し難くなり、情報記録層3における反射膜31の腐食を抑制することができる。これにより、反射膜31の反射率が低下し難いものとなる。
さらに、接着剤層11の硬化後の水蒸気透過係数は、6.0×10−3g・m/m2・24h以下であることがより好ましい。
上記硬化性の材料は、硬化させる前は感圧接着性(粘着性)を示し、硬化後は強固な接着性を示すものであるのが好ましい。具体的には、接着剤層11の硬化前の貯蔵弾性率が1×103〜1×106Pa、特に1×104〜5×105Paであるのが好ましく、硬化後の貯蔵弾性率が1×106Pa以上、特に1×107〜1010Paであるのが好ましい。
なお、硬化前の貯蔵弾性率の測定温度は、光ディスク製造用シート1と光ディスク基板2とを重ね合わせる(圧着する)作業環境と同じ温度であるものとする。一般的には、光ディスク製造用シート1と光ディスク基板2とは室温で重ね合わせるため、貯蔵弾性率は、室温下で測定したものとなる。一方、硬化後の貯蔵弾性率の測定温度は、得られる光ディスクの保管環境と同じ温度、すなわち室温であるものとする。
接着剤層11の硬化前の貯蔵弾性率が上記のような範囲にあると、光ディスク製造用シート1を光ディスク基板2に圧着することにより、保護シート12と情報記録層3とを容易に接着することができる。また、接着剤層11の硬化後の貯蔵弾性率が上記のような範囲にあると、保護シート12と光ディスク基板2とを確実に接着・固定し、得られる光ディスクD1の強度や耐久性等での信頼性を維持することができる。
接着剤層11を構成する材料は、上記水蒸気透過係数を有し、光ディスクに適したものであればよいが、特に、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)30〜90質量%と、分子中に脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)10〜70質量%とを含有するエネルギー線硬化性の材料を使用することが好ましい。かかる材料を使用することにより、上記水蒸気透過係数を達成することができるとともに、好ましい粘接着性が得られ、かつ硬化後の接着剤層11が光ディスクに好適な層となり得る。
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)は、エネルギー線硬化性を有するものであってもよいし、エネルギー線硬化性を有しないものであってもよい。まず、エネルギー線硬化性を有する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)について説明する。
エネルギー線硬化性を有する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)としては、官能基含有モノマー単位を有する(メタ)アクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られる、側鎖にエネルギー線硬化性基を有する分子量100,000以上のエネルギー線硬化型共重合体(A1)であるのが好ましい。
ここで、エネルギー線硬化性基の平均側鎖導入率は、0.1〜30mol%であるのが好ましい。エネルギー線硬化性基の平均側鎖導入率が0.1mol%未満であると、所望のエネルギー線硬化性が得られず、エネルギー線硬化性基の平均側鎖導入率が30mol%を超えると、接着剤層11の硬化に伴う体積収縮により光ディスクに反りが発生することがある。
なお、エネルギー線硬化性基の平均側鎖導入率は、次の式によって算出される。
エネルギー線硬化性基の平均側鎖導入率=(エネルギー線硬化性基のモル数/アクリル系共重合体を構成するモノマーの総モル数)×100
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とからなる。
アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレートが用いられる。これらの中でも、特に好ましくはアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を通常3〜100重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%の割合で含有し、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を通常0〜97重量%、好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%の割合で含有してなる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にも少量(例えば10重量%以下、好ましくは5重量%以下)の割合で、ジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、エネルギー線硬化型共重合体(A1)が得られる。
不飽和基含有化合物(a2)が有する置換基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、官能基がヒドロキシル基、アミノ基または置換アミノ基の場合、置換基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、官能基がカルボキシル基の場合、置換基としてはイソシアネート基、アジリジニル基、エポキシ基またはオキサゾリン基が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはアミノ基、カルボキシル基またはアジリジニル基が好ましい。このような置換基は、不飽和基含有化合物(a2)1分子毎に一つずつ含まれている。
また不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマー100当量当たり、通常10〜100当量、好ましくは20〜95当量、特に好ましくは25〜90当量の割合で用いられる。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、官能基と置換基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の置換基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型共重合体(A1)が得られる。この反応における官能基と置換基との反応率は、通常70%以上、好ましくは80%以上であり、未反応の官能基がエネルギー線硬化型共重合体(A1)中に残留していてもよい。
このようにして得られるエネルギー線硬化型共重合体(A1)の重量平均分子量は、100,000以上であるのが好ましく、特に150,000〜1,500,000であるのが好ましく、さらに200,000〜1,000,000であるのが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定したポリスチレン換算の値である。
エネルギー線硬化性を有しない(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)としては、従来粘着剤として使用されている(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルまたはその誘導体を主成分とした重合体や、所望により他のモノマーを共重合した共重合体を用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、前述した(メタ)アクリル酸エステルモノマーを例示することができる。他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N―メチロ−ルアクリルアミド等の官能基含有モノマーの他、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
エネルギー線硬化性を有しない(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の重量平均分子量は、100,000〜2,000,000であるのが好ましく、特に300,000〜1,500,000であるのが好ましい。
接着剤層11を構成する材料中、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の配合量は、30〜90質量%であり、好ましくは40〜80質量%である。(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の配合量が30質量%未満では良好な接着性を得ることが困難であり、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の配合量が90質量%を超えると、相対的に脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)の配合量が少なくなり過ぎて、当該エネルギー線硬化性化合物(B)による水分透過抑制効果が得られ難くなる。
分子中に脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレート類の他、脂環式構造を有するアルコールと、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートのように一分子中にイソシナネート基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタンアクリレート(U1)や、脂環式構造を有するアルコールとポリイソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させることによって得られるウレタンアクリレート(U2)などが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂環式構造を有するアルコールの例としては、シクロヘキサノール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ヒドロキシトリシクロデカン、ヒドロキシジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイシアネート等の他、多価アルコールにこれらを反応させて得られるポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ウレタンアクリレート(U1)におけるイソシアネート基と水酸基とのモル比率(NCO/OH)は、95/100〜100/95であることが好ましい。かかるモル比率にすることにより、ウレタンアクリレート(U1)の貯蔵安定性が高くなり、また遊離(メタ)アクリレートが少なくなる。
ウレタンアクリレート(U2)における脂環式構造を有するアルコールとポリイソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とのモル比は、特に限定されないが、脂環式構造を有するアルコールの水酸基(OH(1))とポリイソシアネート化合物のシアネート基とのモル比率(OH(1)/NCO)は40/100〜80/100であることが好ましく、また、(メタ)アクリレート化合物の水酸基(OH(2))とポリイソシアネート化合物のシアネート基とのモル比率(OH(2)/NCO)は20/100〜60/100であることが好ましい。上記モル比率がこれらの範囲を超えると、ウレタンアクリレート(U2)中における(メタ)アクリロイル基の濃度が高くなり過ぎて硬化収縮率が大きくなり、光ディスクに反りを生じたり、またはウレタンアクリレート(U2)中における(メタ)アクリロイル基の濃度が低くなり過ぎて硬化性が悪くなるという問題が生じる可能性がある。
接着剤層11を構成する材料に上記エネルギー線硬化性化合物(B)を配合することにより、硬化後の接着剤層11において水分の透過を効果的に妨げることができる。
接着剤層11を構成する材料中、脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)の配合量は、固形分濃度として10〜70質量%であり、好ましくは20〜60質量%である。上記エネルギー線硬化性化合物(B)の配合量が10質量%未満では水分透過抑制効果が得られ難く、上記エネルギー線硬化性化合物(B)の配合量が70質量%を超えると、相対的に(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の配合量が少なくなり過ぎ、良好な接着性を得ることが困難となる。
ここで、接着剤層11を硬化させるためのエネルギー線として紫外線を用いる場合には、接着剤層11を構成する材料に光重合開始剤を添加することが好ましく、この光重合開始剤の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤は、エネルギー線硬化性成分の合計量((メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)がエネルギー線硬化性を有する場合には、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)と脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)との合計量、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)がエネルギー線硬化性を有しない場合には、脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)の量)100質量部に対して0.1〜10質量部、特には0.5〜5質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
接着剤層11を構成する材料は、上記成分以外にも、架橋剤や、その他の添加剤を含有していてもよい。架橋剤としては、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤は、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)100質量部に対して0.01〜10質量部、特には0.1〜5質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与剤、染料、カップリング剤等が挙げられる。これら他の添加剤の配合量は特に限定されず、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)および脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)の合計量100質量部に対して0〜30質量部の範囲で適宜決定される。
ここで、接着剤層11の厚さの下限は、1μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましく、さらには15μm以上であることが好ましい。接着剤層11の厚さが1μm未満であると、接着剤層11の硬化後の水蒸気透過係数が上記範囲内にあっても、十分な水分透過制限効果が得られ難くなるおそれがある。
一方、接着剤層11の厚さの上限は、光ディスク基板2に形成されている凹凸パターンの深さや光ディスク基板2に対する接着力、さらには光ディスクD1の厚みの規格に応じて適宜決定され、通常は100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
本実施形態における保護シート12は、光ディスクD1における情報記録層3を保護するためのものであり、光ディスクD1の受光面を構成する。
保護シート12の材料としては、基本的には、情報読み取りのための光の波長域に対し十分な光透過性を有するものであればよいが、光ディスクD1を容易に製造するために、剛性や柔軟性が適度にあるものが好ましく、また、光ディスクD1の保管のために、温度に対して安定なものであるのが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の樹脂を用いることができる。
保護シート12の線膨張係数は、高温で光ディスクが反りを起こさないよう、光ディスク基板2の線膨張係数とほぼ同じであるのが好ましい。例えば、光ディスク基板2がポリカーボネート樹脂からなる場合には、保護シート12も同じポリカーボネート樹脂からなるのが好ましい。
保護シート12の厚さは、光ディスクD1の種類や光ディスク基板2の厚さ等に応じて決定されるが、通常は25〜300μm程度であり、好ましくは50〜200μm程度である。
剥離シート13としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどの樹脂フィルムをシリコーン系剥離剤等で剥離処理したものを使用することができる。
剥離シート13は、接着剤層11に平滑性を付与するために、剥離処理した側(接着剤層11と接触する側)の表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であるのが好ましい。また、剥離シート13の厚さは、通常10〜200μm程度であり、好ましくは20〜100μm程度である。
本実施形態に係る光ディスク製造用シート1は、接着剤層11を構成する材料と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、キスロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター等の塗工機によって保護シート12上に塗布して乾燥させ、接着剤層11を形成した後、その接着剤層11の表面に剥離シート13の剥離処理面を重ねて両者を積層することによって、あるいは、上記塗布剤を剥離シート13の剥離処理面に塗布して乾燥させ、接着剤層11を形成した後、その接着剤層11の表面に保護シート12を積層することによって得られる。
次に、上記光ディスク製造用シート1を使用した光ディスクD1(片面1層式)の製造方法の一例について説明する。
最初に、図2(a)に示すように、グルーブおよびランドからなる凹凸パターンを有する光ディスク基板2を製造する。この光ディスク基板2は、通常、ポリカーボネートからなり、射出成形等の成形法によって成形することができる。
上記光ディスク基板2の凹凸パターン上には、図2(b)に示すように、情報記録層3を形成する。この情報記録層3は、通常、無機系材料からなる膜または当該膜の積層体によって構成され、特に、下から順に反射膜31、誘電体膜32、相変化膜33および誘電体膜32’からなる積層体によって構成されることが多い。これらの膜は、スパッタリング等の手段によって形成することができる。
反射膜31の材料としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、Ta、W等の金属やそれらの合金、例えば、Cr、Pt、Nd等が添加されたAl−Cr、Ag−Pt−Cu、Ag−Nd等を使用することができる。反射膜31の厚さは、通常3〜200nm程度である。
誘電体膜32および誘電体膜32’の材料としては、例えば、SiO2、ZnS−SiO2、Si−SiO2、TiO2、ZnO、MgO等からなる単一のものまたはそれらを組み合わせたものを使用することができる。誘電体膜32および誘電体膜32’の厚さは、通常20〜200nm程度である。
相変化膜33の材料としては、例えば、Ge−Te系、Ge−Te−Sb系、Ge−Sn−Te系等のカルコゲン系合金薄膜や、Sb−Te共晶系薄膜等を使用することができる。相変化膜33の厚さは、通常5〜20nm程度である。
情報記録層3は、下から反射膜と色素膜とからなる積層体であってもよい。色素膜の色素としては、例えば、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素等が挙げられる。色素膜は、スピンコート法などによって形成され、厚さは通常20〜2000nm程度である。
次に、図2(c)に示すように、光ディスク製造用シート1の剥離シート13を剥離除去して接着剤層(硬化性層)11を露出させ、図2(d)に示すように、接着剤層11を光ディスク基板2上の情報記録層3表面に圧着する。
この状態で、エネルギー線照射装置を使用して、保護シート(保護層)12側または光ディスク基板2側から接着剤層11に対してエネルギー線を照射し、接着剤層11を硬化させる。
エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられる。エネルギー線の照射量は、エネルギー線の種類によって異なるが、例えば紫外線の場合には、光量で100〜500mJ/cm2程度が好ましく、電子線の場合には、10〜1000krad程度が好ましい。
このようにして得られる光ディスクD1においては、接着剤層11の水蒸気透過係数が6.5×10−3g・m/m2・24h以下であるため、水分が接着剤層11を透過することが制限されて、情報記録層3に水分が到達し難くなり、情報記録層3における反射膜31の腐食を抑制することができる。これにより、反射膜31の反射率が低下し難いものとなる。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態では、スタンパーの凹凸パターンが転写されるスタンパー受容層を備えた光ディスク製造用シートについて説明する。図3は本発明の第2の実施形態に係る光ディスク製造用シートの断面図であり、図4(a)〜(g)は同実施形態に係る光ディスク製造用シートを用いた光ディスクの製造方法の一例を示す断面図である。
図3に示すように、第2の実施形態に係る光ディスク製造用シート4は、スタンパー受容層(硬化性層)41と、スタンパー受容層41の両面に積層された剥離シート42,42’とからなる。ただし、剥離シート42,42’は、光ディスク製造用シート4の使用時に剥離されるものである。
スタンパー受容層41は、スタンパーに形成されている凹凸パターンが転写され、ランドおよびグルーブが構成される層であって、かつ情報記録層3A,3Bが形成または接着される層である。このスタンパー受容層41は、硬化後の水蒸気透過係数が6.5×10−3g・m/m2・24h以下である硬化性の材料によって構成される。スタンパー受容層41の水蒸気透過係数がかかる値を示すことにより、水分がスタンパー受容層41を透過することが制限されて、情報記録層3A,3Bに水分が到達し難くなり、情報記録層3A,3Bにおける反射膜31および反射膜(半透明膜)34の腐食を抑制することができる。これにより、反射膜31および反射膜(半透明膜)34の反射率が低下し難いものとなる。
さらに、スタンパー受容層41の硬化後の水蒸気透過係数は、6.0×10−3g・m/m2・24h以下であることがより好ましい。
スタンパー受容層41を構成する硬化性の材料としては、上記第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1の接着剤層11を構成する接着剤と同様のものを使用することができる。かかる材料を使用することにより、上記水蒸気透過係数を達成することができるとともに、好ましい凹凸パターン転写性が得られ、かつ硬化後のスタンパー受容層41が光ディスクに好適な層となり得る。なお、この場合、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の配合量が30質量%未満であるか、分子中に脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物(B)の配合量が70質量%を超えると、スタンパー受容層41の機械的強度が不足し、層変形による厚みむらが生じるなどの不具合が発生する可能性がある。
また、スタンパー受容層41は転写された凹凸パターンの形状を維持する必要があるため、硬化後の貯蔵弾性率は1×108Pa以上であるのが好ましく、特に1×108〜1×1011Paであるのが好ましい。また、情報記録層3Bを形成するときにスタンパー受容層41の表面温度が上昇することがあるため、ガラス転移温度は80℃以上であるのが好ましい。
スタンパー受容層41の厚さは、形成すべき凹凸パターン(ランドおよびグルーブ)の深さおよび得られる水分透過制限効果を考慮して決定され、5〜100μmであることが好ましく、特に5〜60μmであることが好ましく、さらには15〜40μmであることが好ましい。
剥離シート42,42’としては、上記第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1の剥離シート13と同様のものを使用することができるが、剥離シート42,42’のうち、先に剥離する方は軽剥離タイプのものとし、後に剥離する方は重剥離タイプのものとするのが好ましい。
本実施形態に係る光ディスク製造用シート4は、スタンパー受容層41を構成する材料と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、キスロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター等の塗工機によって剥離シート42の剥離処理面に塗布して乾燥させ、スタンパー受容層41を形成した後、そのスタンパー受容層41の表面にもう1枚の剥離シート42’の剥離処理面を重ねて両者を積層することによって得られる。
次に、上記光ディスク製造用シート4および第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1を使用した光ディスクD2(片面2層式)の製造方法の一例について説明する。
最初に、図4(a)〜(b)に示すように、グルーブおよびランドからなる凹凸パターンを有する光ディスク基板2を製造し、その光ディスク基板2の凹凸パターン上に第1の情報記録層3Aを形成する。この第1の情報記録層3Aの構成および材料は、上記第1の実施形態における光ディスクD1の情報記録層3の構成および材料と同様とすることができる。
ここまでは、上記第1の実施形態における光ディスクD1の製造方法と同様にして行うことができる。
次に、図4(c)に示すように、光ディスク製造用シート4の剥離シート42’を剥離除去してスタンパー受容層41を露出させ、図4(d)に示すように、スタンパー受容層(硬化性層)41を光ディスク基板2上の情報記録層3A表面に圧着する。そして、図4(d)に示すように、スタンパー受容層41上に積層されている剥離シート42を剥離除去し、スタンパー受容層41を露出させる。
次いで、図4(e)に示すように、露出したスタンパー受容層41の表面にスタンパーSを圧着し、スタンパー受容層41にスタンパーSの凹凸パターンを転写する。この状態で、エネルギー線照射装置を使用して、スタンパーS側または光ディスク基板2側からスタンパー受容層41に対してエネルギー線を照射し、スタンパー受容層41を硬化させる。
スタンパーSは、ニッケル合金等の金属材料やノルボネン樹脂等の透明樹脂材料から構成される。なお、図4(e)に示すスタンパーSの形状は板状であるが、これに限定されるものではなく、ロール状であってもよい。
スタンパー受容層41が硬化したら、スタンパーSをスタンパー受容層41から分離する。このようにしてスタンパー受容層41にスタンパーSの凹凸パターンが転写・固定され、ランドおよびグルーブが形成されたら、次に、図4(f)に示すように、スタンパー受容層41の凹凸パターン上に、第2の情報記録層3Bを形成する。この第2の情報記録層3Bは、通常、無機系材料からなる膜または当該膜の積層体によって構成され、特に、下から順に反射膜(半透明膜)34、誘電体膜32、相変化膜33および誘電体膜32’からなる積層体によって構成されることが多い。また、反射膜(半透明膜)34の下側にさらに誘電体膜が形成されることもある。これらの膜は、スパッタリング等の手段によって形成することができる。
反射膜(半透明膜)34の材料としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、Ta、W等の金属やそれらの合金、例えば、Cr、Pt、Nd等が添加されたAl−Cr、Ag−Pt−Cu、Ag−Nd等を使用することができる。反射膜(半透明膜)34の厚さは、通常、3〜20nm程度である。反射膜(半透明膜)34以外の膜の材料は、第1の情報記録層3A、すなわち上記第1の実施形態における光ディスクD1の情報記録層3を構成する膜の材料と同様である。
最後に、図4(g)に示すように、上記第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1の剥離シート13を剥離除去して接着剤層11を露出させ、その接着剤層11を情報記録層3B表面に圧着する。
この状態で、エネルギー線照射装置を使用して、保護シート12側または光ディスク基板2側から接着剤層11に対してエネルギー線を照射し、接着剤層11を硬化させる。
このようにして得られる光ディスクD2においては、スタンパー受容層41および接着剤層11の水蒸気透過係数が6.5×10−3g・m/m2・24h以下であるため、水分がスタンパー受容層41および接着剤層11を透過することが制限されて、情報記録層3A,3Bに水分が到達し難くなり、情報記録層3A,3Bにおける反射膜31および反射膜(半透明膜)34の腐食を抑制することができる。これにより、反射膜31および反射膜(半透明膜)34の反射率が低下し難いものとなる。
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態では、書き込み可能な光ディスクにおける保護シートを形成するための光ディスク製造用シートであって、スタンパーの凹凸パターンが転写されるスタンパー受容層を備えたもの、および2層の情報記録層を互いに接着するための光ディスク製造用シートについて説明する。図5(a),(b)は本発明の第3の実施形態に係る光ディスク製造用シートの断面図であり、図6(a)〜(e)は同実施形態に係る光ディスク製造用シートを用いた光ディスクの製造方法の一例を示す断面図である。
図5(a)に示すように、本実施形態に係る第1の光ディスク製造用シート5は、スタンパー受容層(硬化性層)51と、スタンパー受容層51の一方の面(図5中上面)に積層された保護シート(保護層)52と、スタンパー受容層51の他方の面(図5中下面)に積層された剥離シート53とからなる。ただし、剥離シート53は、光ディスク製造用シート5の使用時に剥離されるものである。
スタンパー受容層51としては、上記第2の実施形態に係る光ディスク製造用シート4のスタンパー受容層41と同様のものを使用することができる。また、保護シート52および剥離シート53としては、上記第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1の保護シート12および剥離シート13と同様のものを使用することができる。
このような光ディスク製造用シート5は、上記第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1と同様の方法によって製造することができる。
一方、図5(b)に示すように、本実施形態に係る第2の光ディスク製造用シート6は、接着剤層61と、接着剤層61の両面に積層された剥離シート62,62’とからなる。ただし、剥離シート62,62’は、光ディスク製造用シート6の使用時に剥離されるものである。
接着剤層61としては、上記第1の実施形態に係る光ディスク製造用シート1の接着剤層11と同様のものを使用することができる。また、剥離シート62,62’としては、上記第2の実施形態に係る光ディスク製造用シート4の剥離シート42,42’と同様のものを使用することができる。
このような光ディスク製造用シート6は、上記第2の実施形態に係る光ディスク製造用シート4と同様の方法によって製造することができる。
次に、上記第1の光ディスク製造用シート5および第2の光ディスク製造用シート6を使用した光ディスクD3(片面2層式)の製造方法の一例について説明する。
最初に、図6(a)〜(b)に示すように、第1の光ディスク製造用シート5の剥離シート53を剥離除去し、露出したスタンパー受容層(硬化性層)51をスタンパーSに圧着し、スタンパー受容層51にスタンパーSの凹凸パターンを転写する。この状態で、エネルギー線照射装置を使用して、スタンパーS側または保護シート52側からスタンパー受容層51に対してエネルギー線を照射し、スタンパー受容層51を硬化させる。
スタンパー受容層51が硬化したら、スタンパーSをスタンパー受容層51から分離する。このようにしてスタンパー受容層51にスタンパーSの凹凸パターンが転写・固定され、ランドおよびグルーブが形成されたら、次に、図5(c)に示すように、スタンパー受容層51の凹凸パターンに、第2の情報記録層3Bを形成する。この第2の情報記録層3Bは、通常、無機系材料からなる膜または当該膜の積層体によって構成され、特に、図6中上から順に誘電体膜32’、相変化膜33、誘電体膜32および反射膜(半透明膜)34からなる積層体によって構成されることが多い。また、反射膜(半透明膜)34の上側にさらに誘電体膜が形成されることもある。これらの膜は、スパッタリング等の手段によって形成することができる。各膜の材料は、上記第2の実施形態における光ディスクD2の情報記録層3Bを構成する膜の材料と同様である。
一方、図6(d)に示すように、第2の光ディスク製造用シート6を使用し、第2の実施形態と同様にして、光ディスク基板2と、情報記録層3Aと、接着剤層(硬化性層)61と、剥離シート62とからなる積層体を作製する(図4(a)〜(d)参照)。
図6(e)に示すように、上記積層体から剥離シート62を剥離して接着剤層61を露出させたら、その接着剤層61と、上記第2の情報記録層3Bが形成された積層体(保護シート52+スタンパー受容層51+情報記録層3B)の第2の情報記録層3Bとを重ねるようにして両積層体を圧着する。
そして、エネルギー線照射装置を使用して、保護シート52側または光ディスク基板2側から接着剤層61に対してエネルギー線を照射し、接着剤層61を硬化させる。
このようにして得られる光ディスクD3においては、スタンパー受容層41および接着剤層11の水蒸気透過係数が6.5×10−3g・m/m2・24h以下であるため、水分がスタンパー受容層41および接着剤層11を透過することが制限されて、情報記録層3A,3Bに水分が到達し難くなり、情報記録層3A,3Bにおける反射膜31および反射膜(半透明膜)34の腐食を抑制することができる。これにより、反射膜31および反射膜(半透明膜)34の反射率が低下し難いものとなる。
上述した光ディスクの製造方法はあくまでも一例であり、本実施形態に係る光ディスク製造用シートによる光ディスクの製造方法は、これらの製造方法に限定されるものではない。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、第2の実施形態に係る光ディスク製造用シートD2の接着剤層11は公知の接着剤によって構成されてもよく、また、実施例3に係る光ディスク製造用シートD3のスタンパー受容層51は、公知の硬化性材料によって構成されてもよい。
また、光ディスク製造用シート1,4,5,6における剥離シート13,42,42’,53,62,62’は省略されてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
n−ブチルアクリレート53質量部と、メチルメタクリレート20質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート28質量部とを、酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶媒(重量比50:50)中で反応させ、アクリル酸エステル共重合体溶液(固形分濃度35質量%)を得た。
上記アクリル酸エステル共重合体溶液に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート33.7質量部(アクリル酸エステル共重合体中の水酸基100当量に対し90当量)を添加し、窒素雰囲気下、40℃で48時間反応させて、エネルギー線硬化性基であるメタクリロイル基の平均側鎖導入率が25.4mol%であり、重量平均分子量(Mw)が約78万であるエネルギー線硬化性のアクリル酸エステル共重合体を得た。
得られたエネルギー線硬化性のアクリル酸エステル共重合体溶液100質量部(固形分濃度35質量%)に対して、脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物としてのジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製,ライトアクリレートDCP−A)15質量部(配合量:28.1質量%)と、光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製,イルガキュア651)3質量部と、ポリイソシアネートからなる架橋剤(東洋インキ製造社製,オリバインBHS−8515)1質量部(固形分濃度37.5質量%)とを加え、最後にメチルエチルケトンを加えて固形分濃度を約30質量%に調整し、これを粘接着剤塗布液とした。
一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面を重剥離型のシリコーン樹脂で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811,厚さ:38μm,表面粗さ(Ra):0.016μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面を軽剥離型のシリコーン樹脂で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,SP−PET38GS,厚さ:38μm,表面粗さ(Ra):0.016μm)とを用意した。
上記粘接着剤塗布液を、上記重剥離型剥離シートの剥離処理面に、乾燥膜厚が25μmとなるようにナイフコーターによって塗布し、90℃で1分間乾燥させ、粘接着剤層を形成した。その粘接着剤層の表面に上記軽剥離型剥離シートを積層し、これを粘接着シートとした。
〔実施例2〕
ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートの量を7.5質量部(配合量:16.5質量%)とし、光重合開始剤の配合量を2.6質量部とした以外は実施例1と同様にして粘接着剤塗布液を調製した。得られた粘接着剤塗布液を使用し、実施例1と同様の方法によって粘接着シートを作製した。
〔実施例3〕
ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートに替えて、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンおよびイソホロンジイシアネートの反応生成物と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを1:2:2のモル比で反応させて得られたウレタンアクリレートを使用した以外は実施例1と同様にして粘接着剤塗布液を調製した。得られた粘接着剤塗布液を使用し、実施例1と同様の方法によって粘接着シートを作製した。
〔実施例4〕
ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートに替えて、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソホロンジイシアネートの反応生成物と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを1:2:2のモル比で反応させて得られたウレタンアクリレートを使用した以外は実施例1と同様にして粘接着剤塗布液を調製した。得られた粘接着剤塗布液を使用し、実施例1と同様の方法によって粘接着シートを作製した。
〔実施例5〕
n−ブチルアクリレート80質量部とアクリル酸20質量部とを酢酸エチル中で反応させ、重量平均分子量(Mw)が約50万であるアクリル酸エステル共重合体溶液(固形分濃度35質量%)を得た。
上記アクリル酸エステル共重合体溶液100質量部(固形分濃度35質量%)に対して、脂環式構造を有するエネルギー線硬化性化合物としてのジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製,ライトアクリレートDCP−A)35質量部(配合量:48.4質量%)と、光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製,イルガキュア651)2.1質量部と、アルミキレート系架橋剤(川研ファインケミカル社製,アルミキレートD)0.25質量部とを加え、最後にメチルエチルケトンを加えて固形分濃度を約30質量%に調整し、これを粘接着剤塗布液とした。
得られた粘接着剤塗布液を使用し、実施例1と同様の方法によって粘接着シートを作製した。
〔比較例1〕
ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートに替えて、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製,M−350)を使用した以外は実施例1と同様にして粘接着剤塗布液を調製した。得られた粘接着剤塗布液を使用し、実施例1と同様の方法によって粘接着シートを作製した。
〔比較例2〕
ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートの量を3.5質量部(配合量:8.4質量%)とした以外は実施例1と同様にして粘接着剤塗布液を調製した。得られた粘接着剤塗布液を使用し、実施例1と同様の方法によって粘接着シートを作製した。
〔試験例1〕
実施例および比較例で製造した粘接着シートに対して紫外線を照射し(リンテック株式会社製,装置名:Adwill RAD−2000m/8を使用。照射条件:照度310mW/cm2,光量300mJ/cm2)、粘接着剤層を硬化させた後、両剥離シートを剥離するとともに100mm×100mmの大きさに切断して、これを試験片とした。
上記試験片について、水蒸気透過度計(Lyssy社製,L80−5000型)を使用し、JIS K7129に従って水蒸気透過度WVTR(g/m2・24h)を測定した。そして、その水蒸気透過度WVTRと試験片の厚さ(m)から、次式により水蒸気透過係数(g・m/m2・24h)を算出した。結果を表1に示す。
水蒸気透過係数=WVTR×試験片の厚さ
〔試験例2〕
厚さ1.1mmのポリカーボネート板上に、スパッタ法により厚さ100nmの銀薄膜を形成した。実施例および比較例で製造した粘接着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を上記銀薄膜上に圧着した。その状態で、試験例1と同様にして重剥離型剥離シート側から紫外線を照射し、粘接着剤層を硬化させた後、重剥離型剥離シートを剥離した。
上記のようにして得られた積層体を、80℃、90%RHの恒温恒湿槽に入れ150時間放置した。分光光度計(島津製作所社製,UV−3101PC型)を使用して、恒温恒湿槽投入前後の銀薄膜の反射率(波長:405nm)を測定し、次式により反射率変化(%)を算出した。なお、光記録媒体における反射率変化の望ましい値は、5%以下である。結果を表1に示す。
反射率変化(%)=(恒温恒湿槽投入前の405nmにおける反射率−恒温恒湿槽投入後の405nmにおける反射率)/恒温恒湿槽投入前の反射率×100
〔試験例3〕
実施例および比較例で製造した粘接着シートの粘接着剤層の硬化前の貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(Rheometrics社製,装置名:DYNAMIC ANALYZER RDA II)を用いて1Hzで25℃の値を測定した。結果を表1に示す。
また、上記粘接着剤層に対して紫外線を照射し(リンテック株式会社製,装置名:Adwill RAD−2000m/8を使用。照射条件:照度310mW/cm2,光量300mJ/cm2)、硬化後の粘接着剤層の貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(オリエンテック株式会社製,装置名:レオパイブロンDDV−II−EP)を用いて3.5Hzで25℃の値を測定した。結果を表1に示す。
表1から分かるように、粘着剤層の硬化後の水蒸気透過係数が6.5×10−3g・m/m2・24h以下であるものは、反射率変化が小さく、高温多湿の条件下でも反射率の低下が抑制されている。