本発明は、LAN、インターネット、通信回線網などのネットワークに対応したネットワーク対応機器に関し、特にファクシミリ装置、コピー機、プリンター及びこれらの複合機に関する。
ファクシミリ装置やファクシミリ機能を備えた複合機は、複数の使用者により共有されて使用されることが多い。例えば、一台のファクシミリ装置を周囲に席を置く複数の営業担当社員と事務担当社員で共用するような利用形態が一般的である。
ファクシミリ装置で送信された紙面には、ファクシミリの送信者を表す発信者情報が表示されるが、一台のファクシミリ装置を共用する場合、発信元情報(TTI)に記載される名称は、企業名や事業所名などで固定されていることが多い。送信者が発信元情報を例えば自己の氏名に置き換えたい場合は、企業名や事業所名を自己の氏名に変更する作業を行っている。
複数の発信元情報を使い分けたいという要望に対し、発信元情報を二つ登録できるよう第1TTIと第2TTIの二つの発信元情報を登録できるファクシミリ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のファクシミリ装置では、第1TTIに企業名を第2TTIに部署名を登録することや、第1TTIと第2TTIを日本語用と英語用に切り替えて使用することが可能となる。
また最近では、複写機やファクシミリ装置などの高機能化に伴い、使用者の操作も複雑化してきている。複数の使用者で複写機などを共有する場合、使用者は複写機などの設定のために、両面印刷機能、ステイプル機能、ソート機能など複雑な操作を行う必要があるが、操作の簡便性を高めるために、使用者毎に複写機などの使用環境を設定できるデジタル複合機が提案されている(例えば特許文献2参照。)。特許文献2記載のデジタル複合機では、携帯端末から取得した使用者の情報に基づき、予め登録してある使用者を認証し、使用者毎に機器の設定をカスタマイズすることが可能となる。
特開2001−45190
特開2002−202870
しかしながら、特許文献1記載のファクシミリ装置のように、二つのTTIを有していても、なお氏名など個々の送信者を識別する情報を登録するには十分でない。したがって、ファクシミリ装置を利用する度に発信者情報を変更する必要があり、入力ミスや入力に時間がかかるなどの問題がある。
また、ネットワーク対応のファクシミリ装置又は複合機は、ネットワークを介して電子メールを送信することが可能である。ネットワーク対応機器から電子メールを送信すると、ネットワーク対応機器の電子メールアドレスが送信者のメールアドレスとして記録される。したがって、このような電子メールを受信した受信者が当該電子メールを返信しても、電子メールの送信者は自己の電子メールアドレスで返信を受け取ることが期待できないという問題がある。
また、特許文献2記載の複写機やファクシミリ装置などのように、予め登録してある使用者の情報に応じて機器の操作設定をカスタマイズすると機器の操作に関しては利便性が向上する。しかしながら、ファクシミリ、電子メールなどを送信した場合に、発信元を示す情報については個々の使用者が個別に変更する必要があるという問題が残る。
本発明は、このような問題を解決するためのものであり、発信元情報を設定する場合の利便性が向上したネットワーク対応機器を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、返信元機器から返信先機器に返信用電子メールを返信させるために、前記返信元機器としての発信先機器に発信用電子メールを発信する発信元機器であって、前記発信元機器から前記発信先機器へ発信用電子メールを発信する前に、前記発信元機器の電子メールアドレスとしての第1の電子メールアドレスを前記発信用電子メールに設定すると共に、前記返信元機器から前記返信先機器に前記返信用電子メールが返信される際に、前記第1の電子メールアドレスから前記返信先機器の電子メールアドレスとしての第2の電子メールアドレスに置き換えられるように、当該第2の電子メールアドレスを前記発信用電子メールに設定する設定手段と、前記設定手段によって前記第1及び第2の電子メールアドレスが設定された前記発信用電子メールを、前記発信先機器に発信する発信手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明の一形態において、前記設定手段は、前記第2の電子メールアドレスが登録されていない場合には、自機器の電子メールアドレスとしての第1の電子メールアドレスを前記発信用電子メールに設定する、ことを特徴とする。
また、本発明の一形態において、
前記返信先機器のうち特定の返信先機器の電子メールアドレスと、当該特定の返信先機器の利用者を特定する利用者情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、所定の利用者情報の入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力受付手段により受け付けた利用者情報に基づいて前記記憶手段を検索し、受け付けた利用者情報に関連する返信先機器の電子メールアドレスを抽出する抽出手段と、を有し、前記設定手段は、前記抽出手段によって抽出された電子メールアドレスを前記第2の電子メールアドレスとして前記発信用電子メールに設定する、ことを特徴とする。
発信元情報を設定する場合の利便性が向上したネットワーク対応機器を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を上げて説明する。なお、ファクシミリ装置やネットワーク対応機器自体の動作原理、及び基本的な制御手法などは当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
始めに本実施例のシステム構成について説明する。図1は、本実施例の全体構成図の一例である。図1の全体構成図では、ローカルエリアネットワーク(以下、単にLANと称す)101に、パソコン102、ファクシミリやプリンター、複写機、又はこれらの複合機などであるネットワーク対応機器104及び105、電子メールの送受信や管理を行う電子メールサーバー109、送信者がネットワーク対応機器を操作する際の送信者毎の設定情報を管理する設定情報管理サーバー108、ネットワーク対応機器を通じて送信者の認証要求を処理する認証サーバー110が示されている。また、LAN101はインターネット111を介してパソコン103やネットワーク対応機器107とも電気的に接続可能である。さらに、ファクシミリ装置またはファクス機能を持つネットワーク対応機器は、PSTN(Public Switched Telephone Network)又はISDN(Integrated Services Digital Network)ネットワークを通じて、ファクスの送受信を行うことができるよう電話網112に接続されている。なお、設定情報管理サーバー108は、特許請求の範囲で用いられた送信者識別情報提供サーバーの機能を有するサーバーである。
ネットワーク対応機器104及び105は、LANインターフェイスを備えているので、LAN101上の他の機器やパソコン102とも電子メールの送受信をすることが可能である。また、図1ではLAN101がインターネット111に接続されているので、LAN101に接続されたパソコン102やネットワーク対応機器104等は、インターネットに接続されている他のネットワーク機器107やパソコン103等と電子メールの送受信が可能である。
認証サーバー110は、ネットワーク対応機器を利用する送信者から各ネットワーク対応機器を通じて要求される認証要求を処理するサーバーである。例えば送信者により入力されたパスワードと利用者IDが認証サーバーに格納されているものと一致するか否かを検証し送信者を認証する。
設定情報管理サーバー108は、送信者毎にネットワーク対応機器の設定情報を記憶しているサーバーである。図1では、認証サーバー110と設定情報管理サーバー108は、ネットワーク上に独立したサーバーとして表示されているが、送信者毎の利用者IDと設定情報は、個々のネットワーク対応機器内の記憶装置に記憶されていてもよい。しかしながら、ネットワーク対応機器とは別に独立した構成として設定情報管理サーバー108を設けることで、登録できる送信者の数又は設定情報の量がネットワーク対応機器の記憶容量により制限されない。また、ネットワークに接続した他のネットワーク対応機器からも送信者毎の設定情報にアクセスできる。また、送信者毎の設定情報を一度入力すれば他のネットワーク対応機器でも該設定情報を利用でき、保守作業も容易になる。
なお、認証サーバー110と設定情報管理サーバー108は、別々のサーバーとして図示されているが、物理的にひとつのサーバー装置がこれらの機能を実装していてもよい。
続いて、ネットワーク対応機器の機能構成について説明する。図2はネットワークに対応したファクシミリ機能を有する複合機の内部構成図の一例を示す。図2で説明される複合機の内部構成図は、本実施例における一般的な複合機の機能構成図であり、複合機によっては他の機能が付加されることや、常には使用されない機能があり得る。
図2のネットワーク対応機器は、CPU(中央処理装置)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Ramdam Access Memory)203、時間を制御するタイマ制御部204、図示しない操作部とのインターフェイスをとるオペポートI/F部205、図示しないハードディスクとインターフェイスするハードディスクI/F部206、ファクシミリ通信を制御する通信制御部207、PSTNと電気的インターフェイスをとる網制御部208、ファクシミリ通信に必要な画像情報の圧縮、伸長を行う符号・復号化部209、図示しないスキャナとインターフェイスをとるスキャナI/F部210、図示しないプロッタ部とインターフェイスをとるプロッタI/F部211、電源断に対して情報を保持するSRAM(スタティックRAM)212、LAN通信制御部213、文字のフォント情報を保持するキャラクタジェネレータ214、送信者毎の設定情報を記憶する記憶装置215、を有する。
LAN通信制御部213は物理層としてEthernet(登録商標)(イーサネット(登録商標))に対応し、TCP/IPプロトコルやMIME(Multi-purpose Internet Mail Extensions)変換、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)機能により電子メールのための通信を行う。またWebサイトにアクセスするためのHTTPプロトコルを実装している。また、LAN通信制御部213は、Webサービスインターフェイス(Web Service Interface)を提供するために、XMLデータを解析するXMLパーサー(eXtensible Markup Language Parser)やSOAP(Simple Object Access Protocol)を実装している。なお、Webサービスとは、ネットワークに接続されたコンピュータなどがSOAPとXMLを利用してメッセージの交換を行うことで、インターネット上に分散した各種のサービスを相互利用するための技術をいうが、当業者には既知であるため詳しい説明は省略する。
これらの構成により、図1のネットワーク対応機器102は、ROM202に内蔵されたプログラムによりスキャナーで走査された画像をスキャナI/F部210を通してRAM203に一時的に保持し、符号・復号化部209で符号化し、網制御部208又はLAN通信制御部213を介して、相手に送信する。
図3は、ネットワーク対応機器のソフトウェアブロック図の一例を示す。図3のソフトウェアブロック図は、文書の印刷を制御する印刷制御部301、文書を光学的に走査するスキャナを制御するスキャナ制御部302、送信者からの入力や操作が行われるオペレーションパネルを制御するオペレーションパネル制御部303、ファクシミリの送受信を行うためのFAXプロトコル304、FAXプロトコル304に基づきモデムを制御するモデム制御部305、電子メールの送受信を制御するメール制御部306、ネットワークとの接続を制御するLAN制御部307を有する。これらのソフトウェアブロックはデータの流れを制御するデータ制御部309を介して接続されている。なお、LAN制御部307は、TCP/IPなどのプロトコルにしたがい入出力チャネルを制御するためのLANドライバ308を有する。
以上の構成に基づいて、送信者毎にファクシミリ機能を有するネットワーク対応機器の発信元名称を設定する方法について説明する。送信者毎に発信元名称を置き換えるためには、送信者を識別しなければならないので、まず送信者の識別方法について説明する。
本実施例ではネットワーク対応機器が有する送信者識別の方法として、ユーザーコードを利用する。ユーザーコードとは、送信者を識別するために送信者を一意的に特定する数字やアルファベットなどから構成された文字列である。予め、送信者は自己を識別するユーザーコードを図1のネットワーク対応機器104のオペレーションパネルやネットワークに接続されたパソコン102から入力することにより、ネットワーク対応機器104内部の記憶装置又は設定情報管理サーバー108にユーザーコードを登録しておく。
図4は、設定情報管理テーブルの一例を示す図である。図4の設定情報管理テーブルには、送信者毎に、利用者ID、ユーザーコード、発信元名称、課金情報の登録欄が設けられている。利用者IDを例えば社員番号や通し番号などで管理し、利用者ID毎にユーザーコード、発信元名称を対応させる。課金情報には、当該送信者が利用した時間や回数に応じて料金が記録される。
図4の設定情報管理テーブルを用いれば、送信者が、ネットワーク対応機器を利用する際にユーザーコードを入力することで送信者が認識される。ネットワーク対応機器は、当該ユーザーコードに該当する発信元名称を設定情報管理テーブルから取得する。発信元名称が表示される通信媒体としてはファクシミリ装置が一般的だが、ネットワークを介して情報の送信が可能な装置であればどのようなネットワーク対応機器で利用してもよい。
なお、自己の発信元名称で置き換えたくなければ、ユーザーコードを入力しなくてもよい。これにより、例えばデフォルト設定の企業名などが発信元名称に印刷されたファクシミリの送信が可能となる。また、他の送信者に替わってファクシミリ送信を行う場合には、他の送信者のユーザーコードを入力することで、発信元名称を置き換えることができる。また、発信元名称だけでなくその他の情報とユーザーコードと対応させたい場合には、図4の設定情報管理テーブルに該情報を追加する。
送信者を識別する場合には、図4のようにユーザーコードを入力するだけでもよいし、他の送信者によるユーザーコードの使用を排除できるように、パスワードを用いてもよい。
図5は、パスワードを用いて送信者を識別する場合の設定情報管理テーブルの一例を示す図である。図4のユーザーコード方式では、単一の文字列のマッチングを行うことで送信者を識別および認証していたが、図5のようにユーザー名とパスワードの組み合わせに基づき送信者を識別することで、ユーザー名を誤って入力した場合にはパスワードが適合しないので、より安全性を高めることができる。図5では、パスワードの列は暗号化されて登録されている例として“******”で表示されている。
送信者を識別する方法としては、パスワード以外にも、指紋、掌紋、手形、手の甲の静脈、虹彩、顔、音声などのバイオメトリクスを利用したバイオメトリクス認証(生体認証)を適用してもよい。また、ICカードやICタグなどを有する送信者がネットワーク対応機器と所定の距離に近づくことで自動的に認識されてもよい。
次に、送信者毎に発信元名称を置き換えるネットワーク対応機器が行う処理について説明する。図6は、送信者毎に発信元名称を置き換えるファクシミリ装置又は複合機の処理を示すフローチャート図である。まず、ファクシミリ装置又は複合機は、オペレーションパネルから送信者により入力された、ユーザーコード、又はユーザー名とパスワードの入力を受け付ける(S601)。ファクシミリ装置又は複合機は、ファクシミリ装置本体の記憶装置にある図4または図5の設定情報管理テーブルを検索し、送信者が入力したユーザーコード、またはユーザー名とパスワードがテーブルに存在するか調べる(S602)。
送信者が入力したユーザーコード又はユーザー名とパスワードがテーブルに存在しない場合は(S603のNo)、送信者として登録されていないためファクス送信ができない旨をオペレーションパネルなどに表示する(S605)。送信者が入力したユーザーコード又はユーザー名とパスワードがテーブルに存在する場合は(S604のYES)、図4又は図5の設定情報管理テーブルの発信元名称の欄に記載された情報に従って、ファクス送信時に受信側に送信する発信元名称を置き換える(S606)。送信者が入力したユーザーコード、またはユーザー名とパスワードがテーブルに存在しない場合は(S604のNo)、ファクシミリ装置に設定されているデフォルトの発信元名称のままファックスを送信する(S607)。
図6のフローチャートに基づく処理の結果、送信したファクシミリに表示される発信元名称を図7に示す。図7(a)は、図4の設定情報管理テーブルにおいてユーザーコード「11112222333」を入力した場合にファクシミリに表示される発信元名称を、図7(b)はユーザーコード「123456ABCD」を入力した場合にファクシミリに表示される発信元名称を示す。なお、本実施例では、デフォルトの発信元名称を個々のユーザー名などで置き換えるとしたが、デフォルトの発信元名称に付加する形態としてもよい。
以上により、一台のファクシミリ装置を共有する場合でも送信者毎に発信元名称を置き換えることができる。送信者は、ファクシミリ装置を使用するたびに自己の発信者名称を入力する必要がないため、一台のファクシミリ装置を共有する場合の利便性が向上する。
実施例1では、ファクシミリ装置で印刷される発信元名称を置き換えるネットワーク対応機器について説明した。実施例2では、電子メールの電子メールヘッダ情報における発信元情報を置き換えられるネットワーク対応機器について説明する。
ファクシミリ装置又は複合機などのネットワーク対応機器は、インターネットを介して電子メールを送信する機能を有することも多い。このようなファクシミリ装置では、電子メール型のインターネットファクス機能を有し、例えばスキャナで読み取った原稿を添付ファイルとし、該添付ファイルを添付した電子メールを送信することができる。
図8は、ネットワークに対応したファクシミリ装置又は複合機が送信した電子メールヘッダ情報の一例を示す。電子メールの発信元情報は、電子メールヘッダ情報のFROMフィールドに記載される。ネットワーク対応機器から電子メールを送信した場合、電子メールのFROMフィールドは、当該ネットワーク対応機器に設定される。したがって、このような電子メールを受信した受信者が、電子メールソフトなどで当該電子メールを表示すると、送信者欄にはネットワーク対応機器のメールアドレスであるifax@ricoh.co.jpが表示される。本実施例では、該電子メールアドレスを送信者毎に送信者の電子メールアドレスで置き換える。
本実施例で用いる設定情報管理テーブルについて説明する。図9は、送信者毎の電子メールアドレスを有する設定情報管理テーブルの一例を示す図である。図4の設定情報管理テーブルとは、FROM欄を有し、FROM欄にはユーザーコードに対応した電子メールアドレスが記載されている点で異なる。FROM欄に記載された電子メールアドレスにより、電子メール送信時に電子メールのヘッダ情報のFROMフィールドが置き換えられる。
図9の設定情報管理テーブルを用いて、電子メールのヘッダ情報を置き換える処理について説明する。図10は、ファクシミリ装置が送信者毎に電子メールのヘッダ情報のFROMフィールドを置き換える処理を示すフローチャート図である。
まず、ファクシミリ装置又は複合機は、オペレーションパネルから送信者が入力した、ユーザーコードの入力を受け付ける(S601)。ファクシミリ装置又は複合機は、ファクシミリ装置本体の記憶装置にある図9の設定情報管理テーブルを検索し、送信者が入力したユーザーコードがテーブルに存在するか調べる(S602)。送信者が入力したユーザーコードがテーブルに存在しない場合は(S603のNo)、送信者として登録されていないため電子メールの送信ができない旨をオペレーションパネルなどに表示する(S1005)。
送信者により入力されたユーザーコードが設定情報管理テーブルに登録されている場合は(S603のYES)、ファクシミリ装置又は複合機は図9の設定情報管理テーブルのFROM欄に記載された電子メールアドレスに従って、電子メールのヘッダ情報のFROMフィールドを置き換える(S1004のYes、S1006)。送信者が入力したユーザーコードテーブルに存在しない場合は(S1004のNo)、ファクシミリ装置に設定されているデフォルトの電子メールアドレスを電子メールのヘッド情報のFROMフィールドに設定し電子メールを送信する(S1007)。
図10のフローチャートに基づく処理の結果、送信した電子メールのヘッダ情報に表示されるFROMフィールドの一例を図11に示す。図11は、図9の設定情報管理テーブルを用い、ユーザーコード「11112222333」を入力した場合にFROMフィールドが置き換えられたヘッダ情報の例を示す図である。ユーザーコード「11112222333」に対応した電子メールsuzuki@mail.ricoh.co.jp.がFROMフィールドに表示されている。
以上により、一台のファクシミリ装置を共有し、電子メールを送信する場合でも、送信者毎に電子メールのヘッダ情報のFROMフィールドを置き換えることができ、利便性の向上したネットワーク対応機器を提供できる。
実施例3では、実施例2と同様に、送信された電子メールのヘッダ情報における返信先情報を置き換えるネットワーク対応機器について説明する。
電子メールのヘッダ情報のReply−Toフィールドは、受信した電子メールを返信する場合に、通常返信先メールアドレスとされる電子メールのアドレスをいう。ネットワーク対応機器から電子メールを送信した場合、電子メールのヘッダ情報のReply−Toフィールドには、当該ネットワーク対応機器の電子メールアドレスに設定される。したがって、このような電子メールを受信した受信者が、電子メールソフトなどで当該電子メールに基づき返信すると、送信者は返信された電子メールを受信することを期待できない。
本実施例では、Reply−To欄に記載される電子メールのメールアドレスを送信者毎に置き換えるネットワーク対応機器について説明する。
図12は、本実施例で用いる設定情報管理テーブルの一例を示す図である。図12の設定情報管理テーブルは、Reply−To欄を有する点で図9の設置情報管理テーブルと異なる。Reply−To欄に記載された電子メールアドレスは、電子メール送信時に電子メールのヘッダ情報のReply−Toフィールドを置き換えるための電子メールアドレスである。
図12の設定情報管理テーブルを用いて、電子メールのヘッダ情報のReply−Toフィールドを置き換える処理について説明する。図13は、ファクシミリ装置又は複合機が送信者毎に電子メールのヘッダ情報のReply−Toフィールドを置き換える処理を示すフローチャート図である。なお、図13は、電子メールのヘッダ情報のFROMフィールドをReply−Toフィールドとした点のみ図10と異なるため、図13において図10と同一ステップについては同一の符号を付し、その説明は省略する。
送信者によりユーザーコードが入力されると、ファクシミリ装置又は複合機は、ファクシミリ装置本体の記憶装置にある図12の設定情報管理テーブルを検索し、送信者が入力したユーザーコードがテーブルに存在するか調べる(S602)。ユーザーコードが設定情報管理テーブルに登録されている場合は(S603のYES)、図12の設定情報管理テーブルのReply−To欄に記載された電子メールアドレスに従って、電子メールのヘッダ情報のReply−Toフィールドを置き換える(S1304のYes、S1306)。送信者が入力したユーザーコードがテーブルに存在しない場合は(S1304のNo)、ファクシミリ装置に設定されているデフォルトの電子メールアドレスを電子メールのヘッド情報のReply−Toフィールドに設定し電子メールを送信する(S1307)。
図13のフローチャートの処理の結果、送信した電子メールのヘッダ情報に表示されるReply−Toフィールドの一例を図14に示す。図14は、図12の設定情報管理テーブルを用い、ユーザーコード「11112222333」を入力した場合の電子メールのヘッダ情報の例を示す図である。ユーザーコード「11112222333」に対応したReply−To欄の電子メールアドレスsuzuki@mail.ricoh.co.jpがReply−Toフィールドに、FROM欄の電子メールアドレスsuzuki@mail.ricoh.co.jpがFROMフィールドに表示されている。なお、Reply−Toフィールドのみを置き換えてもよい。
以上により、一台のファクシミリ装置を共有し、電子メールを送信する場合でも、送信者毎に電子メールのヘッダ情報のReply−Toフィールドを置き換えることができ、利便性の向上したネットワーク対応機器を提供できる。
これまでの実施例では、ネットワーク対応機器の記憶装置に図5のような設定情報管理テーブルが記憶されていた。本実施例では、図1の設定情報管理サーバー108に設定情報管理テーブルが記憶されている場合について説明する。
始めにネットワーク対応機器と設定情報管理サーバー108又は認証サーバー110との通信方法について説明する。ネットワーク対応のファクシミリ装置または複合機は、独自のプロトコルでサーバーなどと通信することも可能であるし、標準的なプロトコルを採用することも可能である。標準的なプロトコルを採用した場合は、オープンシステムと接続し情報交換などの連携を行うことが可能となる。
例えば、設定情報管理テーブルをXML(eXtensible Markup Language)で記述すれば、標準的なプロトコルSOAP(Simple Object Access Protocol)を利用できる。XMLとSOAP技術を用いれば、Webサービスを利用して外部機器との通信を実現でき、ネットワーク対応機器が、認証サービス、設定サービスを他のシステムと連携して行い易くなることが期待できる。
本実施例では、送信者の認証および発信元情報の置き換えを、Webサービスを用いて行うネットワーク対応機器について説明する。
図15は、Webサービスを用いて送信者毎に発信元情報を置き換えるファクシミリ装置又は複合機が行う処理を示すフローチャート図である。なお、設定情報管理テーブルは、図5と同じものを用いる。
まず、ファクシミリ装置又は複合機は、送信者によりオペレーションパネルから入力されたユーザー名とパスワードを受け付ける(S601)。次にファクシミリ装置又は複合機は、ファクシミリ装置が接続されているLAN内の認証サーバー110又はインターネット111を経由して認証サーバー110に接続する(S1502)。認証サーバー110は、ユーザー名及びパスワードに基づいて送信者を認証し、認証できた場合には該ユーザーの設定情報が登録されている設定情報管理サーバー108のアドレスを指示するディレクトリサーバーとして機能する。このためS1502では、ディレクトリサーバーを検索すると記した。
ファクシミリ装置又は複合機は、Webサービスを利用して認証サーバー110に接続し、送信者が入力したユーザー名とパスワードがデータベースに存在するか否か調べる。送信者が入力したユーザー名とパスワードが認証サーバー110に存在しない場合は(S1503のNo)、ファクス送信又は電子メールの送信が出来ない旨をオペレーションパネルに表示する(S1506)。
送信者が入力したユーザー名とパスワードが認証サーバー110に存在する場合は(S1503のYES)、再度Webサービスを利用して今度は設定情報管理サーバー108に接続し、当該送信者の発信元情報を検索する。
ファクシミリ装置又は複合機は、Webサービスによって該送信者の設定情報を受けとり、ファクシミリ送信の発信元名称又は電子メールのヘッダ情報を置き換える(S1507)。
送信者が入力したユーザー名とパスワードがデータベースに存在しない場合は(S1505のNo)、ファクシミリ送信の発信元名称又は電子メールのヘッダ情報をファクシミリ装置に設定されているデフォルトの内容に設定しファクシミリ又は電子メールを送信する(S1508)。
本実施例では、ネットワーク対応機器内部の記憶容量による制限を受けることなく設定情報管理テーブルに発信元情報を登録でき、また、複数のネットワーク対応機器で同じ設定情報を参照することが可能となる。また、Webサービスを利用することで、オープンシステムとの親和性を向上させたネットワーク対応機器を提供できる。
全体構成図の一例を示す図である。
ネットワークに対応したファクシミリ機能を有する複合機の内部構成図の一例である。
ネットワークに対応したファクシミリ機能を有する複合機のソフトウェアブロック図の一例である。
設定情報管理テーブルの一例を示す図である。
設定情報管理テーブルの一例を示す図である。
送信者毎に発信元名称を置き換えるファクシミリ装置又は複合機の処理を示すフローチャート図の一例である。
発信元名称が置き換えられたファクシミリの印刷例を示す図である。
ネットワークに対応したファクシミリ装置又は複合機が送信した電子メールヘッダ情報の一例を示す図である。
設定情報管理テーブルの一例を示す図である。
送信者毎にヘッダ情報のFROMフィールドを置き換えるファクシミリ装置又は複合機の処理を示すフローチャート図の一例である。
電子メールのヘッダ情報に表示されるFROMフィールドの一例を示す図である。
設定情報管理テーブルの一例を示す図である。
送信者毎にヘッダ情報のReply−Toフィールドを置き換えるファクシミリ装置又は複合機の処理を示すフローチャート図の一例である。
電子メールのヘッダ情報に表示されるReply−Toフィールドの一例を示す図である。
Webサービスを用いて送信者毎に発信元情報を置き換えるファクシミリ装置又は複合機が行う処理を示すフローチャート図である。
符号の説明
101 ローカルエリアネットワーク(LAN)
102 パソコン
104〜107 ネットワーク対応機器
108 設定情報管理サーバー
109 電子メールサーバー
110 電話網
207 通信制御部
208 網制御部
209 符号・復号化部
210 スキャナI/F部
213 LAN通信制御部
215 記憶装置215