JP4340298B2 - 核酸回収方法及び核酸回収装置 - Google Patents

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Description

本発明は、核酸を結合した固相から核酸を溶出し、溶液中に核酸を回収する核酸回収方法及び核酸回収装置に関する。
遺伝情報を担う物質である核酸の分析は、学術研究や医療等の多岐の分野で実施されている。核酸の分析方法としては、主にPCR(Polymerase Chain Reaction)等の核酸増幅技術が多く利用されている。PCR等に代表される核酸分析を行うにあたっては、分析反応に対する阻害物質を含有しない状態で、生物試料等から核酸を抽出・精製する必要がある。
生物試料等から核酸を抽出する方法としては、フェノールやクロロホルム等の毒劇物を使用し、エタノール沈殿等の操作を行う従来方法があるが、近年はカオトロピック物質の存在下でシリカ含有固相等に核酸が結合する性質を利用する方法が一般的となっている。
例えば、非特許文献1(J. Clin. Microbiol., 28(3), 495-503 (1990))に記載される方法は、(1)核酸を含有する生体試料にカオトロピック物質を含む溶解液、及びシリカ含有固相を混合して核酸を固相に結合させる工程、(2)核酸と固相の複合体を、カオトロピック物質を含む洗浄液によって洗浄する工程、(3)核酸と固相の複合体を、エタノールを含む洗浄液によって洗浄する工程、(4)核酸と固相の複合体を、アセトンを含む洗浄液によって洗浄する工程、(5)核酸と固相の複合体を加温して、残留する洗浄液を乾燥させる工程、(6)核酸をシリカ含有固相から溶出する工程、から構成される。要するに本方法においては、核酸と固相の複合体を洗浄するため、カオトロピック物質を含む洗浄液、次いでエタノールを含む洗浄液、次いでアセトンを含む洗浄液を順次使用し、その後、核酸と固相の複合体を加温して残留する洗浄液(主としてアセトン)を乾燥し除去させている。
しかしながら、本方法は、核酸と固相の複合体を洗浄するための洗浄液が複数必要であり、また加熱乾燥といった工程も必要であり、非常に煩雑であると同時に精製された核酸を取得するまでに長時間を要するといった問題があった。さらに、本方法では、有機溶媒の乾燥を促進するための加温操作は、有機溶媒が引火性を有するため危険であるといった問題もある。
また、特許文献1(特開平11-146783)に記載される方法が示されている。本方法は、(1)リボ核酸を含む試料に、カオトロピック物質を含む溶解液、及びシリカ含有固相を混合して核酸を固相に結合させる工程、(2)核酸と固相の複合体を、カオトロピック物質を含む洗浄液によって洗浄する工程、(3)核酸と固相の複合体を、水あるいは低塩濃度緩衝液からなる洗浄液によって洗浄する工程、(4)水あるいは低塩濃度緩衝液からなる溶出液を核酸と固相の複合体に接触さて加熱し、核酸をシリカ含有固相から溶出する工程、から構成される。本方法は、エタノール等の有機溶媒を含まない洗浄液による洗浄工程を実施しているものの、リボ核酸と固相の結合が強固である特性に基づく方法であり、デオキシリボ核酸へ適用できない問題がある。また、本方法においても、洗浄液に含まれるカオトロピック物質のキャリーオーバーが問題となる。
さらに、特許文献2(特開平11-127854)に記載される方法が示されている。本方法は、(1)核酸を含む試料から核酸の遊離を促す工程、(2)遊離した核酸と固相の結合を促進する物質を混合する工程、(3)混合液とシリカ含有固相を接触させて、核酸を固相に結合させる工程、(4)核酸と固相の複合体を混合液から分離する工程、(5)核酸と固相の複合体を塩を含む溶液により洗浄する工程、(6)核酸を固相から溶出する工程、から構成される。しかしながら、本方法では、(5)の工程でエタノールの有機溶媒を含む洗浄液を使用しており、エタノールの除去のための処理が必要であることが記載されている。また、本方法では、(5)の工程で使用した洗浄液に含まれる塩が、精製された核酸溶液中にどの程度含まれるかといった検討がなされていない。
特開平11-146783号公報 特開平11-127854号公報
以上のように、核酸と固相との複合体を洗浄し、その後、固相から核酸を溶出するといった工程を実施する際に洗浄液の成分を完全に除去することを課題とする技術はあるものの、洗浄液の成分を完全に除去することは困難であり、且つ非常に手間のかかる作業であった。そこで、本発明は、洗浄液の成分を完全に除去することなく、精製された核酸を回収することができる核酸回収方法及び核酸回収装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成した本発明に係る核酸回収方法は、核酸が結合した固相を、核酸を用いた反応に適用できる反応液を構成する成分のうち少なくとも1成分を含む洗浄液に接触させて当該固相を洗浄し、上記洗浄液のうち所定量を残留させるように、上記固相から上記洗浄液を分離し、その後、上記核酸が結合した固相と溶出液とを接触させて当該溶出液中に核酸を回収するものである。
本発明に係る核酸回収方法において溶出液は、上記固相に残留した洗浄液と合わさって、上記核酸を用いた反応に適用できる反応液となる組成とすることが好ましい。また、本発明に係る核酸回収方法においては、上記溶出液中に核酸を溶出した後、上記固相に残留した洗浄液と合わさって、上記核酸を用いた反応に適用できる反応液となるように成分を添加してもよい。なお、本発明に係る核酸回収方法においては、核酸を含有する溶液に固相を接触させ、当該核酸を固相に結合させる処理を更に含むものであってもよい。
上記反応液を構成する成分としては、塩及び/又は界面活性剤を挙げることができる。本発明に係る核酸回収方法において、核酸を含む溶出液を用いて核酸増幅反応を行う場合には、当該核酸増幅反応の反応液に含まれる塩成分や界面活性剤成分の少なくとも1成分を含む洗浄液とする。核酸増幅反応としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase Chain Reaction)やLAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法を挙げることができる。
また、本発明に係る核酸回収方法においては、上記洗浄液の添加量と廃棄量を調節することにより、上記洗浄液のうち所定量を残留させることができる。また、本発明に係る核酸回収方法において、上記固相の含水量と、上記固相を位置決めする固相保持部材の含水量によって、上記洗浄液のうち所定量を残留させることができる。さらに、本発明に係る核酸回収方法において、上記洗浄液の上記固相からの分離における吐出圧力や遠心力を調節することによって、上記洗浄液のうち所定量を残留させることができる。
一方、上述した目的を達成した本発明に係る核酸回収装置は、核酸結合能を有する固相に対して、核酸を用いた反応に適用できる反応液を構成する成分のうち少なくとも1成分を含む洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上記固相に対して供給された洗浄液のうち所定量を残留させるように、上記固相から上記溶液を分離する洗浄液分離手段と、上記洗浄液分離手段によって洗浄液が除去された後、上記核酸を結合した固相に溶出液とを供給する溶出液供給手段とを備え、上記溶出液供給手段によって供給された溶出液内に核酸を回収するものである。
本発明に係る核酸回収装置では、洗浄液供給手段から供給された洗浄液と、核酸が結合した固相とを接触させることで当該固相を洗浄する。その後、本発明に係る核酸回収装置では、洗浄液分離手段により洗浄液を除去するが、所定量の洗浄液を固相或いはその周辺に残存させる。そして、本発明に係る核酸回収装置では、溶出液供給手段から供給された溶出液と、核酸が結合した固相とを接触させることで、固相から核酸を溶出させることができる。
本発明に係る核酸回収装置において、上記溶出液は、上記固相に残留した洗浄液と合わさって、上記核酸を用いた反応に適用できる反応液となる組成を有するものとすることができる。また、本発明に係る核酸回収装置においては、上記溶出液中に核酸を溶出した後、上記固相に残留した洗浄液と合わさって、上記核酸を用いた反応に適用できる反応液となるように成分を添加する成分添加手段を更に有するものであっても良い。
本発明に係る核酸回収装置において、上記洗浄液供給手段は、上記固相を収容する容器内に洗浄液を充填するものを挙げることができる。洗浄液供給手段としては、特に限定されないが、洗浄液を充填したタンクと当該タンクから上記容器内に所定量の洗浄液を供給できる分注装置とから構成することができる。また、洗浄液供給手段としては、特に限定されないが、洗浄液を充填したタンクと、当該容器内に所定量の洗浄液を吸引することができる吸引装置とから構成することができる。
本発明に係る核酸回収装置において、上記洗浄液分離手段は、上記固相を収容する容器内に充填された洗浄液を除去するものを挙げることができる。洗浄液分離手段としては、特に限定されないが、上記溶液内に供給された洗浄液から所定量の洗浄液を吸引して回収することができる分注装置から構成することができる。洗浄液分離手段としては、特に限定されないが、上記溶液内に供給された洗浄液の所定量の洗浄液を吐出させることができる吐出装置を挙げることができる。
なお、例示した吸引装置及び吐出装置は、上記固相を収容した容器内を減圧、加圧することで洗浄液を吸引し又は吐出することができるポンプ装置として一体に構成することができる。すなわち、本発明に係る核酸回収装置において、上記洗浄液供給手段及び上記洗浄液分離手段は同一の装置をもって構成することができる。
また、本発明に係る核酸回収装置において、上記溶出液供給手段は、上記固相を収容する容器内に溶出液を充填するものを挙げることができる。溶出液供給手段としては、特に限定されないが、溶出液を充填したタンクと当該タンクから上記容器内に所定量の溶出液を供給できる分注装置とから構成することができる。また、溶出液供給手段としては、特に限定されないが、溶出液を充填したタンクと、当該容器内に所定量の溶出液を吸引することができる吸引装置とから構成することができる。なお、溶出液供給手段を構成する吸引装置も、上記固相を収容した容器内を減圧、加圧することで溶出液を吸引し又は吐出することができるポンプ装置として、上記洗浄液供給手段及び上記洗浄液分離手段は同一の装置をもって構成することができる。
さらに、本発明に係る核酸回収装置において、上記容器は当該固相を位置決めする固相保持部材を備えるものを挙げることができる。この場合、核酸回収装置においては、上記洗浄液供給手段から供給された洗浄液のうち所定量が、当該固相保持部材及び/又は上記固相に保持されることとなる。この場合、固相保持部材及び固相の材質及び/又は体積に依存して洗浄液の保持量を調整することができる。
本発明によれば、核酸が結合した固相と溶出液を接触させることによって、当該核酸を溶出するに際して、核酸を所望の組成液中に回収することができる。したがって、本発明によれば、溶出液を更に精製することなく、例えば核酸増幅反応等の核酸を用いた反応に適用することができる。
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る核酸回収方法では、先ず、核酸が結合した固相を、核酸を用いた反応に適用できる反応液を構成する成分のうち少なくとも1成分を含む洗浄液に接触させて当該固相を洗浄する。ここで、核酸が結合した固相とは、特に限定されないが、核酸結合能を有する固相に核酸が結合した状態を意味する。なお、核酸と固相との結合とは、共有結合、イオン性結合、分子間力結合等の化学結合のうち如何なる様式をも含む意味である。固相としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、シリカ、ケイソウ土等のシリカ含有固相、或いはアセチルセルロース等の有機物等を挙げることができる。これらの物質を微粒子状や多孔性膜状に加工して固相を形成することができる。
また、核酸は、定法に従って培養細胞等の細胞、各種組織から採取した組織片、所定の培地で培養された細菌、真菌、古細菌等の微生物、植物細胞並びに組織片、昆虫細胞並びに昆虫等の生体材料を処理することによって、タンパク質成分、脂質成分、細胞壁成分等の核酸以外の成分とともに例えば懸濁液として取得することができる。固相に核酸を結合する際には、例えば、カオトロピック物質の存在下で固相に核酸が結合する性質を利用する方法に適用することができる。カオトロピック物質としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジン、塩酸グアニジン等が用いられる。
例えば、微粒子状の固相を使用する場合には、核酸を含有する懸濁液中にカオトロピック物質とともに微粒子状の固相を添加し、撹拌する。これにより、懸濁液中に含まれる核酸は、微粒子状の固相に結合することとなる。
また、多孔膜状の固相を使用する場合には、多孔膜状の固相を中空状の配管内部に固定した器具を用いる。なお、多孔膜状の固相は、配管内部において一対の固相保持部材で挟み込むようにして固定することもできる。このとき、一対の固相保持部材は、例えば、多孔性ポリプロピレン粒子焼結体から形成することができる。この器具を使用する場合、配管の一方端部を開口端とし、他方端部をポンプ装置に連結し、当該ポンプ装置を駆動することにより一方端部から溶液を吸引及び吐出することができる。これによって、多孔膜状の固相に溶液を接触させることができる。なお、器具内部に吸引した溶液は、遠心力を利用して吐出することもできる。
本発明に係る核酸回収方法では、上述したように調製した核酸を結合した固相を洗浄液と接触させる。洗浄液としては、核酸を用いた反応に適用できる反応液を構成する成分のうち少なくとも1成分を含む洗浄液として規定することができる。ここで、核酸を用いた反応とは、核酸増幅反応、逆転写反応、核酸伸長反応、制限酵素反応等の酵素反応、及び電気泳動等を例示することができる。より具体的に核酸を用いた反応としては、PCR(Polymerase Chain Reaction)、RT-PCR(Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction)、LCR(Ligase Chain Reaction)、SDA(Strand Displacement Amplification)、TAS(Transcription Amplification System)、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)、TMA(Transcription-Mediated Amplification)、 LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)、 ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)等を例示することができる。
これら反応に適用できる反応液は、所定のpHに維持するための緩衝剤、所定の濃度の無機塩、所定の濃度の界面活性剤及び所定の酵素等を含む溶液を意味する。なお反応液は、上述した各種の反応に応じて種々異なる組成となるが、PCRについては、Saiki R.K. et al. (1985), Science, vol.230, 1350-1354、PCR及びRT-PCRについては、Molecular Cloning, a laboratory manual (third edition), chapter 8.1、LCRについては、Landegren U. et al. (1988), Science, vol.239, 487-491、SDAについては、Walker G.T. et al. (1992), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.89, 392-396、TASについては、Kwoh D.Y. et al. (1989), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.86, 1173-1177、NASBAについては、Compton J. (1991), Nature, vol.350. 91-92、TMAについては、特許3241717、LAMPについては、Notomi T. et al. (2000), Nucleic Acid Res., vol.28, e63、ICANについては、WO2000-56877等の記載を参照してその組成及び組成比を一義的に決定することができる。したがって、これらの記載を参照することによって、反応液を構成する成分のうち少なくとも1成分を含む洗浄液の組成を決定することができる。
このとき、洗浄液としては、反応液を構成する成分のうち塩(無機塩)や界面活性剤等の成分を含有するものを使用することができる。好ましくは、これら塩や界面活性剤の濃度を、核酸と固相の結合を維持し、且つ固相に残留する不純物(例えばカオトロピック物質)を除去し得るような濃度とすることが好ましい。洗浄液としては、0.5M以上の塩を含有することが好ましく、1.0M以上の塩を含有することがより好ましく、1.5M以上の塩を含有することが最も好ましい。洗浄液の塩濃度が0.5M未満では、洗浄によって核酸が固相から溶出してしまう虞があり、その結果、核酸の回収率が低下する場合がある。
また、洗浄液を用いた洗浄に際しては、核酸と固相の結合を維持するため低温下において実施することが好ましい。洗浄の際の温度(固相と混合した際の洗浄液の温度)としては、40℃以下とすることが好ましく、20℃以下とすることがより好ましく、10℃以下とすることが最も好ましい。洗浄の際の温度が40℃を超える場合には、洗浄によって核酸が固相から溶出してしまう虞があり、その結果、核酸の回収率が低下する場合がある。
例えば、反応液としてPCR用反応液を前提とすると、標準的なPCR反応液の成分が10mM Tris-HCl(pH 8.8)、50mM KCl、1.5mM MgCl2の反応緩衝液、0.8mM dNTP mix(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、0.5μM Primer1、0.5μM Primer 2、2.5U Taq DNA Polymerase、及び分析対象となるDNAとなるので、例えば洗浄液の成分としては反応緩衝液に含まれる塩の50倍濃度となる溶液、つまり2.5M KCl及び75mM MgCl2からなる溶液を使用できる。2.5M KCl及び75mM MgCl2からなる溶液を洗浄液とした場合、核酸と固相との結合を維持し、且つ固相に残留した不純物を除去することができる。
また例えば、反応液としてLAMP用反応液を前提とすると、標準的なLAMP反応液の成分が10mM KCl、20mM Tris-HCl(pH 8.8)、10mM (NH4)2SO4、4mM MgSO4、0.1% TritonX-100の反応緩衝液、1M Betaine、1.6mM dNTP mix(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、0.8μM Primer FIP、0.8μM Primer BIP、0.2μM Primer F3、0.2μM Primer B3、8U Bst DNA Polymerase及び分析対象となるDNAとなるので、例えば洗浄液の成分としては反応緩衝液に含まれる塩の50倍濃度の溶液、つまり、500mM KCl、500mM (NH4)2SO4及び200mM MgSO4からなる溶液を使用できる。500mM KCl、500mM (NH4)2SO4及び200mM MgSO4からなる溶液を洗浄液とした場合、核酸と固相との結合を維持し、且つ固相に残留した不純物を除去することができる。
さらに例えば、反応液として制限酵素用反応液を前提とすると、例えば制限酵素HindIIIによる制限酵素反応における標準的な反応液の成分が10mM Tris-HCl(pH8.5)、10mM MgCl2、100mM NaCl、10mM 2-Mercaptoethtanolの反応緩衝液、1U HindIII及び分析対象となるDNAとなるので、例えば洗浄液の成分としては反応緩衝液に含まれる塩の50倍濃度の溶液、つまり、500mM MgCl2及び5M NaClからなる溶液を使用できる。500mM MgCl2及び5M NaClからなる溶液を洗浄液とした場合、核酸と固相との結合を維持し、且つ固相に残留した不純物を除去することができる。
さらにまた例えば、反応液として電気泳動用反応液を前提とすると、例えば標準的なMOPS緩衝液を用いるRNA電気泳動における試料溶液の成分は、20mM MOPS、5mM CH3COONa、1mM EDTA、1mM EGTA、5% Glycerol及び分析対象となるRNAとなるので、例えば洗浄液の成分としてはGlycerolを除く成分の50倍濃度の溶液、つまり、1M MOPS、250mM CH3COONa、50mM EDTA及び50mM EGTAからなる溶液を使用できる。1M MOPS、250mM CH3COONa、50mM EDTA及び50mM EGTAからなる溶液を洗浄液とした場合、核酸と固相との結合を維持し、且つ固相に残留した不純物を除去することができる。
本発明に係る核酸回収方法では、次に、洗浄液のうち所定量を残留させるように固相から洗浄液を分離する。本工程において残留した洗浄液は、上述した反応液の一成分を含有しているため、反応液の一部として利用することができる。言い換えると、本発明に係る核酸回収方法では、固相に残留した不純物を除去するための洗浄液をそのまま、後段の反応液として利用できるため、洗浄液を完全に除去するための処理、操作を必要としない。
洗浄液を除去する方法としては、特に限定されないが、分注装置やポンプ装置、遠心分離装置を適宜使用することができる。微粒子状の固相を使用する場合には、上述した洗浄液と核酸を結合した固相とを容器内において撹拌することで洗浄し、その後、当該容器から所定量の洗浄液を分注手段によって除去する。これによって、洗浄液のうち所定量を残留させるように固相から洗浄液を分離することができる。また、多孔膜状の固相を一対の固相保持部材で挟み込むようにして配管内に固定した場合には、洗浄液の吸引と吐出とを繰り返すことによって固相を洗浄し、その後、洗浄液を吐出することによって配管内に所定量の洗浄液を残留させることができる。このとき、一対の固相保持部材に洗浄液を保持させることもできるので、配管内部の液体を全て除去したとしても固相保持部材に保持された洗浄液を残留させることができる。
洗浄液の残留量は、残留した洗浄液を反応液の一部として利用する観点から適宜設定されれば良く、特に限定されない。残留した洗浄液は、詳細を後述する溶出液で希釈され、或いは溶出液及び溶出液以外に添加した溶液で希釈され、核酸を用いた反応に適用できる反応液の一部となる。したがって、洗浄液の残留量は、洗浄液に含まれる成分濃度と、溶出液及び/又は溶出液以外に添加する溶液の添加量とから決定することができる。換言すれば、洗浄液に含まれる成分濃度と溶出液及び/又は溶出液以外に添加する溶液の添加量とから、所望の成分濃度に希釈された反応液を取得するために、洗浄液の残留量を規定することができる。
洗浄液の残留量を制御する方法としては、例えば、洗浄液の添加量と廃棄量を調節することにより所定の残留洗浄液量を得ることができる。或いは、多孔膜状の固相を一対の固相保持部材で挟み込むようにして配管内に固定した場合には、固相と固相保持部材の含水量を調節することで洗浄液の残留量を制御することもできる。例えば、固相として使用できるガラス繊維濾紙の含水量は、その体積、材質、繊維径、粒子保持径等に依存する。また、固相として使用できるガラス粒子の含水量は、その粒子数、材質、粒子径等に依存する。また、固相保持部材として使用できる多孔性ポリプロピレン粒子焼結体の含水量は、その体積、材質、粒子径、粒子保持径等に依存する。また、固相と固相保持部材の含水量は、洗浄液の廃棄方法、例えば、洗浄液を廃棄するための吐出圧力や遠心力等の大きさに依存する。従って、固相と固相保持部材の物理的特性、及び洗浄液の廃棄方法を調節することにより、固相と固相保持部材における洗浄液の含水量を制御することができる。
次に、本発明に係る核酸回収方法では、核酸が結合した固相と溶出液とを接触させて当該溶出液中に核酸を回収する。ここで、溶出液とは、固相に結合した核酸を当該固相から剥がして、溶出液中に当該核酸を存在させるように作用するものであれば特に限定されない。溶出液としては、例えば、水及びトリス緩衝液を挙げることができる。また、溶出液としては、固相に残留した洗浄液に含まれる成分とともに後段の反応液の組成を構成する成分を含有する溶液を使用することもできる。すなわち、溶出液の組成は、核酸を固相から溶出できるのであれば、所定の反応液組成のうち、洗浄剤に含まれる成分を除いた残成分を含むように規定することができる。なお、溶出液としては、所定の反応液組成のうち、洗浄剤に含まれる成分を除いた残成分の全てを含む組成でも良いが、当該残成分のうち一部を含む組成でもよい。
また、溶出液の量は、固相等に残留した洗浄液に含まれる成分のうち、反応液を構成する成分の濃度が当該反応液における規定濃度となるように希釈できる量であることが好ましい。すなわち、反応液を構成する成分を含む洗浄液が当該反応液における規定濃度の50倍の濃度で当該成分を含む場合、残留した洗浄液の液量を50倍に希釈する量の溶出液を使用することが好ましい。これにより、洗浄液に含まれていた成分は、洗浄液と溶出液とが合わさった溶液において反応液における規定濃度で含まれることとなる。このとき、溶出液に所定の反応液組成のうち洗浄剤に含まれる成分を除いた残成分が全て含まれていれば、洗浄液と溶出液とが合わさった溶液をそのまま反応液として使用することができる。なお、溶出液に所定の反応液組成のうち洗浄剤に含まれる成分を除いた残成分のうち一部が含まれている場合には、洗浄液と溶出液とが合わさった溶液に対して、反応液組成のうち不足している成分を後から添加することで反応液を調製することができる。このとき、反応液組成のうち不足している成分を含む溶液を添加する場合には、洗浄液及び溶出液からなる溶液が希釈されるため、洗浄液及び溶出液に含まれる成分の濃度に留意する。
例えば、反応液としてPCR用反応液を前提とすると、標準的なPCR反応液の成分が10mM Tris-HCl(pH 8.8)、50mM KCl、1.5mM MgCl2の反応緩衝液、0.8mM dNTP mix(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、0.5μM Primer1、0.5μM Primer 2、2.5U Taq DNA Polymerase、及び分析対象となるDNAである。反応液に含まれる塩の50倍濃度となる溶液、つまり2.5M KCl及び75mM MgCl2からなる溶液を洗浄液として使用した場合、溶出液としては、10mM Tris-HCl(pH 8.8)、0.8mM dNTP mix(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、0.5μM Primer1、0.5μM Primer 2及び2.5U Taq DNA Polymeraseを含む溶液を使用することができる。なお、これらの濃度は洗浄液と合わさった時の濃度である。また、当該溶出液は、当該洗浄液を50倍に希釈する量を使用する。これにより、溶出液を用いて固相から核酸を溶出した後の溶液は、溶出した核酸(PCRの鋳型となる)及びPCR用反応液組成の全てが含まれることとなり、そのままPCR反応に供することができる。
なお、上述したLAMP用反応液、制限酵素用反応液或いは電気泳動用反応液を前提とした場合においても、同様にして溶出液の組成及び量を規定することができる。なお、溶出液としては、酵素の温度による失活等を防止する目的で酵素のみを含まないような構成であってもよい。このとき、洗浄液と溶出液とを併せた溶液に、残成分である酵素を添加することによって所定の反応液組成とすることができる。
また、溶出する際の温度としては、特に限定されないが、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上が最も好ましい。溶出する際の温度が20℃未満である場合には、核酸を固相から完全に溶出できない場合や、核酸を固相から完全に溶出するのに長時間を要してしまうといった問題が生じる虞がある。
以上に説明した本発明に係る核酸回収方法の具体的なフローチャートを図1〜3に示す。なお、図1〜3に示したフローチャートは、それぞれ本発明に係る核酸回収方法の一例を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定的に解釈するためのものではない。
本発明に係る核酸回収方法は、例えば図1に示すようなフローチャートに従って、(1)核酸と固相の複合体に、後段核酸分析反応液に含まれる成分を含有する洗浄液を接触させて洗浄する工程、(2)前工程からの残留洗浄液に含まれる成分を後段の核酸分析反応に適する濃度に希釈し得る所定量の溶出液と複合体とを接触させて核酸を溶出する工程、及び(3)核酸分析反応液の残成分を添加する工程を含んでいる。また、最終的に得られた溶液は核酸分析に供せられる。
また、本発明に係る核酸回収方法は、例えば図2に示すようなフローチャートに従って、(1)核酸と固相の複合体に、後段核酸分析反応液に含まれる成分を含有する洗浄液を接触させて洗浄する工程、(2)前工程からの残留洗浄液に含まれる成分を後段の核酸分析反応に適する濃度に希釈し得る所定量の溶出液であって、核酸分析反応に要する他の成分のうち一部を含有する溶出液と複合体とを接触させて核酸を溶出する工程、及び(3)核酸分析反応液の残成分を添加する工程を含んでいる。また、最終的に得られた溶液は核酸分析に供せられる。
さらに、本発明に係る核酸回収方法は、例えば図3に示すようなフローチャートに従って、(1)核酸と固相の複合体に、後段核酸分析反応液に含まれる成分を含有する洗浄液を接触させて洗浄する工程、(2)前工程からの残留洗浄液に含まれる成分を後段の核酸分析反応に適する濃度に希釈し得る所定量の溶出液であって、核酸分析反応に要する他の成分の全てを含有する溶出液と複合体とを接触させて核酸を溶出する工程を含んでいる。また、最終的に得られた溶液は核酸分析に供せられる。
以下、実施例を用いて本発明に係る核酸回収方法及び核酸回収装置を説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
先ず、本実施例において使用した試料、試薬、核酸抽出器具、核酸抽出方法、核酸定量方法及び核酸分析方法について順に説明する。
1.試料
試料A:
pBR322 plasmid DNAを標準血清に添加した試料(1μg / 200μl)
試料B:
HBV陽性検体からの精製DNAを標準血清に添加した擬似陽性検体(103 copy / 200μl)。
2.試薬
溶解液A:
4.0M グアニジンチオシアン酸塩
100mM MES
25mM EDTA・2Na
20%(v/v) TritonX-100
第一洗浄液:
4.0M グアニジンチオシアン酸塩
100mM MES
25mM EDTA・2Na
1%(v/v) TritonX-100
第二洗浄液:
10mM Tris-HCl(pH 8.0)
80%(v/v) EtOH
第三洗浄液A:
10mM Tris-HCl(pH 8.0)
80%(v/v) EtOH
第三洗浄液B:
2.5M KCl
75mM MgCl2
第三洗浄液C:
2.5M KCl
75mM MgCl2
500mM Tris-HCl(pH 8.0)
第三洗浄液D:
2.5M KCl
75mM MgCl2
500mM Tris-HCl(pH 8.0)
0.5% TritonX-100
第三洗浄液E:
500mM KCl
500mM (NH4)2SO4
200mM MgSO4
第三洗浄液F:
500mM KCl
500mM (NH4)2SO4
200mM MgSO4
1M Tris-HCl (pH 8.0)
第三洗浄液G:
500mM KCl
500mM (NH4)2SO4
200mM MgSO4
1M Tris-HCl (pH 8.0)
5% TritonX-100
溶出液A:
10mM Tris-HCl (pH 8.8)
溶出液B:
超純水
溶出液C:
10mM Tris-HCl (pH 8.8)
0.8mM dNTP mix(;dATP、dCTP、dGTP、dTTP)
0.5μM Primer 1
0.5μM Primer 2
2.5U Taq DNA Polymerase
溶出液 D:
20mM Tris-HCl (pH 8.8)
1M Betaine
1.6mM dNTP mix(;dATP、dCTP、dGTP、dTTP)
0.8μM Primer FIP
0.8μM Primer BIP
0.2μM Primer F3
0.2μM Primer B3
8U Bst DNA Polymerase
3.核酸抽出器具
核酸抽出器具A:
核酸抽出器具Aの断面図を図4に示す。核酸抽出器具Aは、図4に示すように、ポリプロピレン樹脂を成形してなるピペット本体部40と、ピペット本体部40における開口している一方端部41に接続された加減圧機器(図示せず)と、ピペット本体部40における開口している他方端部42付近に配設された固相43と、固相43をピペット本体部40の所定の位置に位置決めする固相保持部材44とから構成されている。核酸抽出器具Aは、加減圧機器によって発生した圧力差によって、他方端部42から溶液を吸引するとともに吐出することができる。他方端部42から溶液を吸引することによってピペット本体部40内に吸引された溶液は、固相43及び固相保持部材44に浸潤することとなる。
なお、固相43はガラス繊維濾紙であり、固相保持部材44は多孔質ポリプロピレン粒子焼結体である。
核酸抽出器具B:
核酸抽出器具Bの断面図を図5に示す。核酸抽出器具Bは、図5に示すように、容器本体部50と、容器本体部50において上方に開口する一方端部51の反対側に位置する他方端部52付近に配設された固相53と、固相53を位置決めする固相保持部材54と、容器本体部50を挿入する開口部を有する液受け容器55とから構成されている。核酸抽出器具Bにおいて、容器本体部50の一方端部51から溶液が供給される。容器本体部50に供給された溶液は、固相53及び固相保持部材54に達してこれらと接触する。この状態で核酸抽出器具Bに対して、容器本体部50の一方端部51から液受け容器55の底部に向かう遠心力を加えることによって、容器本体部50に供給された溶液は、容器本体部50の他方端部52から液受け容器55内に排出されることとなる。
なお、固相53はガラス繊維濾紙であり、固相保持部材54は多孔質ポリプロピレン粒子焼結体である。
核酸抽出器具C:
核酸抽出器具Cは、図示しないが、平均粒径5μmのガラス粒子である。固相であるガラス粒子は所定の容器内にて溶液と混合され、遠心力によって液相と分離される。
4.核酸抽出方法
核酸抽出器具Aによる核酸抽出方法は以下の通りである。なお、以下の核酸抽出方法は、試料、洗浄液及び溶出液等の種別に拘わらず適用できる方法である。
(1)試料0.2 mlに溶解液0.8mlを添加し混合する。
(2)核酸抽出器具Aに加減圧機器を接続し、混合液を5回吸引吐出する。
(3)混合液を廃棄する。
(4)第一洗浄液1.0mlを3回吸引吐出する。
(5)洗浄液を廃棄する。
(6)第二洗浄液1.0mlを3回吸引吐出する。
(7)洗浄液を廃棄する。
(8)氷上で冷却した第三洗浄液0.5mlを1回吸引吐出する。
(9)洗浄液を廃棄する(残留液量は2μl)。
(10)60℃に加温した溶出液0.1mlを10回吸引吐出する。
(11)溶出液を回収する。
核酸抽出器具Bによる核酸抽出方法は以下の通りである。なお、以下の核酸抽出方法は、試料、洗浄液及び溶出液等の種別に拘わらず適用できる方法である。
(1)試料0.2 mlに溶解液0.8mlを添加し混合する。
(2)核酸抽出器具Bに投入し、遠心分離を行う。
(3)液受け容器の混合液を廃棄する。
(4)第一洗浄液1.0mlを投入し、遠心分離を行う。
(5)液受け容器の洗浄液を廃棄する。
(6)第二洗浄液1.0mlを投入し、遠心分離を行う。
(7)液受け容器の洗浄液を廃棄する。
(8)氷上で冷却した第三洗浄液0.5mlを投入し、遠心分離を行う。
(9)新規の液受け容器を設置する(残留液量は2μl)。
(10)60℃に加温した溶出液0.1mlを投入し、遠心分離を行う。
(11)溶出液を回収する。
核酸抽出器具Cによる核酸抽出方法は以下の通りである。なお、以下の核酸抽出方法は、試料、洗浄液及び溶出液等の種別に拘わらず適用できる方法である。
(1)試料0.2 mlに溶解液0.8mlとガラス粒子10mgを添加する。
(2)10分間混合する。
(3)遠心器によりB/F分離し、液相を廃棄する。
(4)第一洗浄液1.0mlを添加し、混合する。
(5)遠心器によりB/F分離し、液相を廃棄する。
(6)第二洗浄液1.0mlを添加し、混合する。
(7)遠心器によりB/F分離し、液相を廃棄する。
(8)氷上で冷却した第三洗浄液0.5mlを添加し、混合する。
(9)遠心器によりB/F分離し、液相を廃棄する(残留液量は2μl)。
(10)溶出液0.1mlを添加し、60℃で5分間加温する。
(11)遠心器によりB/F分離し、溶出液を回収する。
5.核酸定量方法
洗浄液に含まれる核酸は、試料に含まれるDNAを2本鎖DNAに特異的な蛍光色素で染色し、蛍光光度計により蛍光強度を測定してDNA量を算出した。蛍光色素としてはPicoGreen dsDNA Quantitation Kit (Molecular Probe社)を使用し、蛍光光度計としてはARVO sx 1420 Multilabel Counter (wallac社)を使用した。
6.核酸分析方法
本実施例では、核酸分析方法の例として以下の要領でPCR法及びLAMP法を行った。なお、PCR法及びLAMP法による増幅産物の確認は、0.8%アガロースゲルを支持体とする電気泳動を実施し、2本鎖DNAに特異的な蛍光色素で染色し、トランスイルミネーターによる紫外線照射下において確認した。蛍光色素としてはSYBR Green I nucleic acid gel stain (Molecular Probe社)を使用した。
PCR:
HBV 由来DNAを鋳型DNAとするPCRは、(J. Clin. Microbiol., 29(9), 1804-1811 (1991))の報告に基づいて下記のPrimer及び温度条件において実施した。
Primer 1:5'-GCG GAT CCG AGT TAC TCT CGT TTT TGC-3'(配列番号1)
Primer 2:5'-GCA AGC TTT CTA ACA ACA GTA GTT TCC GG-3'(配列番号2)
温度条件:
94℃で5min維持した後、94℃で1min、55℃で1min及び72℃で1minを1サイクルとして30サイクル行い、最後に72℃で10min維持した。
LAMP:
HBV 由来DNAを鋳型DNAとするLAMPは、(Nucleic Acid Research, 28(12), e63(2000))の報告に基づいて下記のPrime、及び温度条件においてLAMPを実施した。
Primer FIP:5'-CCT GCT GCT ATG CCT CAT CTT CTT TGA CAA ACG GGC AAC ATA CCT T-3'(配列番号3)
Primer BIP:5'-GAT AAA ACG CCG CAG ACA CAT CCT TCC AAC CTC TTG TCC TCC AA-3'(配列番号4)
Primer F3:5'-GGT GGT TGA TGT TCC TGG A-3'(配列番号5)
Primer B3:5'-CAA AAT TCG CAG TCC CCA AC-3'(配列番号6)
温度条件:
95℃で5min維持した後に氷上で3min放置し、その後Bst DNA Polymeraseを添加し、65℃で1h反応させ、最後に80℃で10min維持した。
[実施例1]
試料A、溶解試薬A、第一洗浄試薬A、第二洗浄液A、溶出液A、核酸抽出器具Aを用いたDNA抽出において、第三洗浄液をA、Bの希釈液(溶質濃度:100%、80%、60%、40%、20%)、及びEの希釈液(溶質濃度:100%、80%、60%、40%、20%)、としてDNA抽出を実施した。第三洗浄液Aの希釈液、第三洗浄液Bの希釈液及び第三洗浄液Eの希釈液のそれぞれにおいて、DNA回収量を定量した。そして、第三洗浄液AにおけるDNA回収量に対する第三洗浄液B及び第三洗浄液Eを使用した場合のDNA回収率を対応する希釈液毎に算出した。
結果を図6に示す。第三洗浄液Bは希釈率の増加に伴ってDNA回収率は増加し、溶質濃度60%以上において第三洗浄液Aと同等のDNA回収量を得た。一方、第三洗浄液Eにおいても希釈倍率の増加に伴ってDNA回収率は増加したが、第三洗浄液Bと比較してDNA回収率は低値であった。第三洗浄液Eの塩濃度は第三洗浄液Bと比較して低く、核酸と固相の結合維持力が低いと考えられる。以上より、PCR反応液に要する成分を一定濃度以上で含有する洗浄液は、洗浄工程において、核酸と固相の結合を維持し、核酸と固相の複合体を洗浄し得ることが示された。
[実施例2]
試料B、溶解試薬A、第一洗浄試薬A、第二洗浄液A、核酸抽出器具Aを用いたDNA抽出において、第三洗浄液、溶出液、核酸分析反応液残成分、核酸分析を下表の通りとして実施し、核酸分析反応による核酸増幅の可否を判定した。
実験系と実験結果をまとめて表1に示す。
Figure 0004340298
表1に示した結果から、全ての組合せにおける核酸抽出及び核酸増幅法において良好な核酸増幅を確認することができた。以上より、核酸増幅反応に要する成分を含有する洗浄液で洗浄し、残留した洗浄液と溶出液とが合わさった溶液を反応液とすることによって、核酸分析反応に適用可能な核酸溶液を得られたことが示された。
[実施例3]
試料B、溶解試薬A、第一洗浄試薬A、第二洗浄液A、第三洗浄液C、溶出液Bを用いたDNA回収及びその後のPCRにおいて、核酸抽出器具をA、B、Cとして実施し、PCR増幅の可否を判定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004340298
表2に示した結果から、核酸抽出器具A、B及びCの全てにおいて核酸抽出及び核酸増幅を確認することができた。以上より、本方法が核酸と固相の結合特性に基づく各種の核酸抽出方法においても適用可能であることが示された。
本発明を適用した核酸回収方法の一例として示すフローチャートである。 本発明を適用した核酸回収方法の他の例として示すフローチャートである。 本発明を適用した核酸回収方法の他の例として示すフローチャートである。 本発明を適用した核酸回収装置を構成する核酸抽出器具を一例として示す断面図である。 本発明を適用した核酸回収装置を構成する核酸抽出器具を他の例として示す断面図である。 実施例1の結果を示す特性図である。
符号の説明
40…ピペット本体部、41…一方端部、42…他方端部、43…固相、44…固相保持部材、50…容器本体部、51…一方端部、52…他方端部、53…固相、54…固相保持部材、55…液受け容器

Claims (3)

  1. 核酸が結合した固相を、核酸を用いた酵素反応に適用できる反応液を構成する成分のうち少なくとも1成分を含む洗浄液に接触させて当該固相を洗浄し、
    上記洗浄液のうち所定量を残留させるように、上記固相から上記洗浄液を分離し、
    上記核酸が結合した固相と溶出液とを接触させて当該溶出液中に核酸を回収することを含み、
    上記洗浄液の組成及び上記溶出液の組成は、上記固相に残留した洗浄液の量に基づいて、上記洗浄液と上記溶出液とが合わさって、上記核酸を用いた酵素反応に適用できる反応液を構成するように調製されていることを特徴とする核酸回収方法。
  2. 上記溶出液中に核酸を溶出した後、上記固相に残留した洗浄液と合わさって、上記核酸を用いた酵素反応に適用できる反応液となるように成分を添加することを特徴とする請求項1記載の核酸回収方法。
  3. 上記溶出液中に核酸を溶出した後、上記固相に残留した洗浄液と合わさることで、上記核酸を用いた酵素反応に適用できる反応液となるのに必要な全ての成分が含まれることを特徴とする請求項1記載の核酸回収方法。
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