JP4340185B2 - オルタネータ用ステータコイル - Google Patents

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Description

本発明は、自動車などに用いられるオルタネータ用のステータコイルに関するものである。
自動車などのオルタネータに用いられるステータコイルを構成するエナメル線として、従来、丸エナメル線が使用されてきた。この丸エナメル線を円周方向に連続的に巻回してコイル状に形成し、このコイルをステータコアの周囲のスロットに嵌合、挿入することで、ステータコイルを形成するのが一般的であった。
ところが、近年、オルタネータの小型化、軽量化、高出力化、高効率化、並びに低騒音化を目的として、より大きな断面積を確保できる平角エナメル線を用いたオルタネータが採用されてきている。
平角エナメル線を用いる場合、エナメル線を連続的に巻いて巻き数の多い長尺のコイルを形成することが難しい。このため、先ずは、巻き数の少ない短尺の小径コイルを複数形成し、これら小径コイルのエナメル線端末を溶接して繋ぎ合わせ、長尺のコイルを形成する方法が採用されている。
オルタネータ用ステータコイルのエナメル線として、導体の周りにポリエステルイミドの絶縁皮膜を形成し、そのポリエステルイミド絶縁皮膜の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設けたダブルコート線や、導体の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設けたシングルコート線が主に使用されている。また、一部では、導体の周りにポリイミドの絶縁皮膜を形成し、そのポリイミド絶縁皮膜の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設け、耐熱性と機械強度を向上させたダブルコート線なども使用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−130759号公報
ところで、前述した短尺の各小径コイルのエナメル線端末を溶接する場合、TIG溶接やヒュージングといった電気的な溶接方法を用いることが主流である。
TIG溶接やヒュージングを行う際、各コイルの溶接部は、銅を溶解させるために、銅の融点である1084℃以上に加熱される。この熱は溶接部近傍の絶縁皮膜にも伝わるため、絶縁皮膜も急激に加熱されることとなる。
この時、前述した従来のポリエステルイミドとポリアミドイミドの絶縁皮膜とからなるダブルコート線や、ポリアミドイミド皮膜からなるシングルコート線では、溶接に伴う高温により、絶縁皮膜が熱分解してガスが生じたり、絶縁皮膜に吸湿されていた水分や絶縁皮膜の焼き付け後においても皮膜中に残留(残存)していた溶剤成分が急激に気化したりする。その結果、これらの熱分解ガスや気化ガスにより、絶縁皮膜が導体表面から押し上げられ、導体から剥離して浮き上がってしまったり(以下、皮膜浮きと表す)、ブリスタと呼ぶような発泡が生じたりする(以下、ブリスタ発生と表す)。このため、このエナメル線で構成したステータコイルを用いたオルタネータは、その信頼性が低下するおそれがあるという問題があった。
一方、これらポリエステルイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂よりも耐熱性の高いポリイミド樹脂の皮膜と、ポリアミドイミド樹脂の皮膜とからなるダブルコート線では、ポリイミド樹脂が高価なため、高価なエナメル線となってしまうという問題があった。また、導体と絶縁皮膜との密着性が悪いために、皮膜浮きが発生し易いという問題があった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、エナメル線の端末溶接部近傍における絶縁皮膜の信頼性が高いオルタネータ用ステータコイルを提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係るオルタネータ用ステータコイルは、ステータコアのスロットに嵌合、挿入され、平角エナメル線を用いて短尺の小径コイルを複数個形成し、これら小径コイルの端末を電気的な溶接方法を用いて銅の融点以上に加熱し溶接して繋ぎ合わせた長尺のコイルからなるオルタネータ用ステータコイルにおいて、
上記小径コイルは、導体の周りに最内絶縁層が100重量部のポリイミド樹脂に対して0.6重量部以上のブチル化メラミン樹脂からなる密着性向上剤を混合し混合樹脂からなり、最外絶縁層がポリアミドイミド皮膜で構成される少なくとも2層の絶縁皮膜を有し、かつ、導体と最内絶縁層との密着強度が85g/mm以上である平角エナメル線を、コイル状に形成してなるものである。
ここで、平角エナメル線の最内絶縁層の層厚と絶縁皮膜全体の層厚との比が0.05以上であることが好ましい。さらに、平角エナメル線の導体を、平角状のCu導体又はCu合金導体で構成することが好ましい。
本発明によれば、電気的信頼性が良好なオルタネータ用ステータコイルが得られるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明者らが、エナメル線の端末を溶接する際、溶接部近傍における皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制すべく、鋭意研究した結果、以下のことを見出した。
(1) 絶縁皮膜を構成する材料としては、耐熱性が高く、熱分解しづらいものを用いることが必要である。このような材料としては、ポリイミド(以下、PIと表す)、ポリアミドイミド(以下、PAIと表す)が挙げられる。特に、最も熱負荷の大きな導体直上の最内絶縁層は、最も耐熱性に優れたPI樹脂が最適である。また、最外絶縁層は、耐熱性が高く、かつ、巻線時などの加工を受けた際に傷が生じにくく、耐傷性に優れたPAI樹脂が最適である。
(2) 絶縁皮膜を構成する材料としては、導体に対する密着強度が高いものを用いることが必要である。これは、導体と絶縁皮膜との密着強度が、導体から絶縁皮膜が剥離する力(又は浮き上がる力)よりも高いと、皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制できるためである。
以上を踏まえ、本発明者らが、更に検討を続けた結果、ステータコイルを構成するエナメル線として、最外層となる絶縁皮膜には、巻線時などの加工を受けた際に傷が生じにくく、耐傷性に優れたPAIを用い、最内層となる絶縁皮膜には、導体に対する密着強度を高く調整したPIを用いることで、エナメル線端末の溶接部近傍において、皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制することが可能になるということを見出した。
本発明の好適一実施の形態に係るオルタネータ用ステータコイルに用いる短尺の小径コイルの斜視図を図1に、図1における短尺の小径コイルの2−2線断面図を図2に示す。
図1に示すように、本実施の形態に係るオルタネータ用ステータコイルは、平角エナメル線20を加工して短尺の小径コイル10を形成し、これらの小径コイル10を複数個つなぎ合わせてなるものである。小径コイル10は、例えばU字状を呈しており、一方の端部で内側に面した幅広面が他方の端部で外側に面するように、湾曲部11において180°のひねりが加えられている。また、小径コイル10の両端部12a,12bは外側に折り曲げられ、各折り曲げ部分の先端部が接続部13a,13bを形成している。隣接する2つの小径コイル10の内、一方の小径コイル10の接続部13a(又は13b)と他方の小径コイル10の接続部13b(又は13a)とが溶接などの手段で接続される。
小径コイル10を構成する平角エナメル線20は、図2に示すように、平角導体21の周りに少なくとも2層(図2中では2層)の絶縁層23,24で構成される絶縁皮膜を有するものである。より具体的には、絶縁皮膜は、平角導体21の直上に設けられ、平角導体21に対する密着強度を40g/mm以上、好ましくは75g/mm以上、より好ましくは85g/mm以上に調整したPI樹脂の皮膜で構成される内層(最内絶縁層)23と、PAI樹脂の皮膜で構成される外層(最外絶縁層)24とで構成される。内層23及び外層24は一体に(又はほぼ一体に)形成される。また、内層23と外層24との密着性(一体性)を更に向上すべく、内層23と外層24との間に密着性向上層(図示せず)を設けてもよい。
ここで、平角エナメル線20においては、平角導体21と絶縁皮膜(内層23)との密着強度がより強い(高い)方が好ましい。これは、平角導体21と内層23との密着強度がより高い方が、ブリスタ発生を抑制する効果が大きくなるからである。しかし、平角導体21の周りに、PI樹脂単体からなる絶縁皮膜を形成した場合、40g/mm以上の密着強度を確保することは困難である。そこで、平角導体21と内層23との密着強度を40g/mm以上に向上させるべく、平角導体21直上の内層23を構成するPI樹脂の絶縁塗料中に、密着性向上剤と呼ばれる添加剤が添加、混合される。平角導体21と内層23との密着強度を40g/mm以上としたのは、密着強度が40g/mm未満だと、絶縁皮膜の皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制する効果が小さくなるためである。
密着性向上剤としては、平角導体21と内層23との密着強度を向上させる作用を奏するものであれば特に限定するものではなく、例えば、
ブチル化メラミン樹脂等のメラミン樹脂類、
トリアルキルアミン等のアミン類、
メルカプトベンズイミダゾールなどのメルカプタン類、
ポリカルボジイミド樹脂類、
などが挙げられる。また、2種類以上の密着性向上剤を併用して添加するようにしてもよい。
絶縁塗料のPI樹脂分に対する密着性向上剤の添加割合は、密着性向上効果が十分に得られ、かつ、絶縁塗料の安定性、内層23の線膨張係数、平角エナメル線20の可とう性などの特性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、特に規定するものではない。例えば、密着性向上剤としてブチル化メラミン樹脂を用いる場合、PI樹脂分100重量部に対して、少なくとも0.1重量部、好ましくは0.3重量部以上、より好ましくは0.6重量部以上添加すればよい。
また、内層23の層厚と絶縁皮膜全体(内層23+外層24)の層厚との比は、特に規定するものではないが、0.05以上、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上とされる。この場合、内層23の層厚と絶縁皮膜全体の層厚との比が0.05より小さくなると、例えば、内層23の層厚が2μmより薄くなると、皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制する効果が小さくなるためである。
本実施の形態で言う内層23を構成するPI樹脂と密着性向上剤との混合樹脂は、平角導体21と絶縁皮膜(内層23)との密着強度が40g/mm以上の絶縁フィルムを作製可能なものである。また、混合樹脂は、層厚が約2μmの極薄の絶縁フィルムを作製可能であるものがより好ましい。この混合樹脂の絶縁塗料を平角導体21に塗布、焼き付けしてなる絶縁皮膜が内層23である。
本実施の形態で言うPI樹脂の絶縁塗料は、通常塗料の状態ではポリアミド酸溶液になっており、本溶液を導体に塗布した後、ダイスで絞って塗布厚を均一にし、その後、焼付炉にて焼成することによりポリアミド酸が閉環してPI樹脂絶縁皮膜となる。PI樹脂絶縁塗料としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを極性溶媒中で反応させて得られた塗料が最も一般的であり、PIの化学構造については特に規定するものではない。
芳香族テトラカルボン酸二無水物として代表的なものは、
ピロメリット酸二無水物、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等がある。
芳香族ジアミンとして代表的なものは、
4,4'−ジアミノジフェニルメタン、
4,4'−ジアミノジフェニルエーテル等がある。
市販のPI樹脂絶縁塗料としては、デュポン社製のPyre ML、東レ社製のトレニース#3000等が挙げられる。
一方、本実施の形態で言うPAI樹脂の絶縁塗料としては、トリメリット酸無水物と4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートとを極性溶媒中で加熱反応させて得られた塗料が最も一般的であり、PAIの化学構造については特に規定するものではない。
市販のPAI樹脂絶縁塗料としては、日立化成工業社製のHI-404やHI-406等が挙げられる。
平角導体21の構成材としては、平角エナメル線導体として慣用的に用いられているものであれば全て適用可能であり、特に限定するものではないが、Cu又はCu合金が好ましい。また、平角導体21の断面積(サイズ)についても、特に限定するものではなく、平角エナメル線導体として慣用的に用いられているものであれば全て適用可能である。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係るオルタネータ用ステータコイルに用いる短尺の小径コイル10を構成する平角エナメル線20は、絶縁皮膜として、PI樹脂で構成され、平角導体21に対する密着強度を75g/mm以上に調整した内層23と、PAI皮膜で構成される外層24とを有している。これによって、絶縁皮膜は、平角導体21に対する密着強度が高く、耐熱性が高く、熱分解しづらいものとなり、かつ、高温時の熱変形が小さくなる。その結果、平角エナメル線20の端末を溶接して繋ぎ合わせる際、溶接に伴う高温により絶縁皮膜が熱分解してガスが生じたり、絶縁皮膜に吸湿されていた水分や絶縁皮膜の焼き付け後においても皮膜中に残留(残存)していた溶剤成分が急激に気化したりしても、溶接部近傍の絶縁皮膜における皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制することができる。
よって、平角エナメル線20を用いて短尺の小径コイル10を複数個形成し、これら小径コイル10のエナメル線端末を溶接して繋ぎ合わせてなる長尺のコイル、すなわちオルタネータ用ステータコイルで構成されるオルタネータでは、高い電気的信頼性が得られる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明について、実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリイミドa(トレニース#3000,東レ社製;以下、PIaと表す)塗料の樹脂分100重量部に対して密着性向上剤A(ブチル化メラミン樹脂)を1重量部添加し、絶縁塗料を得た。
この絶縁塗料を、導体寸法が1.4×2.2mm、R部面取り半径が0.5mmの平角形状の銅導体上に塗布した後、熱風循環式堅型焼付炉により焼き付けを行い、皮膜厚さが10μmの内層絶縁皮膜を設けた。この内層絶縁皮膜の周りに、ポリアミドイミド(HI-404,日立化成工業社製;以下、PAIと表す)塗料単体を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設けた。これによって、絶縁皮膜全体の厚さが40μmの2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(実施例2)
PIa塗料の代わりにポリイミドb(Pyre ML,デュポン社製;以下、PIbと表す)塗料を用いる以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(実施例3)
酸成分としてピロメリット酸二無水物、ジアミン成分として4,4'−ジアミノジフェニルメタン及び4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを、モル比で2対1対1となるように溶媒(2-メチルピロリドン)中に溶解した。この溶液を攪拌し、反応させることによりポリイミドc(以下、PIcと表す)塗料を作製した。
PIa塗料の代わりにPIc塗料を用いる以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(実施例4)
内層絶縁皮膜の厚さが5μm、外層絶縁皮膜の厚さが35μmである以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(実施例5)
内層絶縁皮膜の厚さが2μm、外層絶縁皮膜の厚さが38μmである以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(参考例6)
PIa塗料の樹脂分100重量部に対する密着性向上剤Aの配合割合を0.5重量部とする以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(参考例7)
PIa塗料の樹脂分100重量部に対する密着性向上剤Aの配合割合を0.2重量部とする以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(実施例8)
密着性向上剤Aの代わりに密着性向上剤B(メルカプトベンズイミダゾール)を用いる以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(比較例1)
内層絶縁皮膜を構成する絶縁塗料中に密着性向上剤Aを全く添加しない、つまり内層絶縁皮膜の樹脂分をPIa単体で構成する以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
(比較例2)
内層絶縁皮膜を構成する絶縁塗料として、実施例1のPAI塗料の樹脂分100重量部に対して密着性向上剤Aを1重量部添加した塗料を用いる以外は、実施例1と同様にして、2層耐熱平角エナメル線を作製した。
実施例1〜5,、参考例6,7、及び比較例1,2の各平角エナメル線について、導体と絶縁皮膜(内層)との密着強度を求めた。
導体と絶縁皮膜との密着強度測定は以下の方法で行った。先ず、各平角エナメル線を製造した後、各平角エナメル線から約5cmの長さの試料片をそれぞれ切り取った。その後、各試料片の上面又は下面(幅が広い方の面のいずれか一方)の絶縁皮膜に、カッターなどを用いて、試料片の長手方向に延びる切り込みを1mm間隔で2本形成した。この切り込み間における絶縁皮膜の長手方向端部を、ピンセットなどを用いて導体から剥離させ、つかみ代を形成した。その後、各試料片を治具に固定すると共に、つかみ代をチャックで挟み、テンシロン万能試験機を用いて導体から絶縁皮膜を更に引き剥がした。この時、絶縁皮膜を1mm長さで剥がす時の剥離強度(密着強度)を測定した。
また、実施例1〜5,、参考例6,7、及び比較例1,2の各平角エナメル線について、TIG溶接後の外観評価を行った。
TIG溶接後の外観評価は以下の方法で行った。先ず、各平角エナメル線を製造した後、評価時の環境によるばらつきを考慮して、各平角エナメル線を40℃−95%RHの恒温恒湿槽内に30分間放置した。その後、恒温恒湿槽から各平角エナメル線を取り出して10分以内に、各平角エナメル線から約5cmの長さの試料片をそれぞれ切り取り、各試料片の一方の端末から4.5mmの長さに亘って絶縁皮膜を剥離した。各試料片の一方の端末の端部から2.5mmの所を、断面寸法が1.5mm×2.0mmのクロム銅製アース棒で挟み込み、また、各試料片の一方の端末の端部から1.25mmの所に、溶接トーチの先端位置を合わせ、TIG溶接機により通電を行った。通電条件は、通電電流40A、通電時間0.5秒とした。
外観の評価は、通電後の各試料片における通電部近傍の表面を目視で観察し、皮膜浮きやブリスタ発生がほとんど見られないものを良、皮膜浮きの試料片長手方向の長さが4mm未満で、発泡(ブリスタ)の径が1mm未満、かつ、その数が5個以下と少数のものをほぼ良、これ以上の皮膜浮きやブリスタ発生が見られるものを不良とした。
導体と絶縁皮膜との密着強度、及びTIG溶接後の外観評価結果を表1に示す。
Figure 0004340185
表1に示すように、実施例1〜5,及び参考例6,7の各平角エナメル線は、絶縁皮膜の内層を、PI樹脂と密着性向上剤とで構成している。
これによって、実施例1〜5,8の各平角エナメル線の、導体と絶縁皮膜との密着強度はいずれも規定範囲(75g/mm以上)を満足していた。また、これらの各平角エナメル線と比較例1の平角エナメル線とを比較することで、密着性向上剤の添加により、密着強度が高くなることが確認できた。
また、実施例1〜5,8の各平角エナメル線は、導体と絶縁皮膜との密着強度が75g/mm以上と非常に良好であった。さらに、実施例1〜4の各平角エナメル線は、TIG溶接後の外観が良好であった。よって、密着性向上剤としてブチル化メラミン樹脂を用い、その配合量が0.5重量部よりも多い実施例1〜5の各平角エナメル線が、密着強度及びTIG溶接後の外観が共に非常に良好であり、より好ましい。このことから、導体と絶縁皮膜との密着強度は85g/mm以上がより好ましい。
これらの結果、実施例1〜5,8の各平角エナメル線は、その溶接部近傍における密着強度が十分に高く、耐熱性が十分であるため、TIG溶接後の外観は良好又はほぼ良好であった。よって、実施例1〜5,8の各平角エナメル線を用いたオルタネータ用ステータコイルで構成したオルタネータは、高い電気的信頼性が得られた。
これに対して、密着性向上剤を混合させることなく、PIa単体で絶縁皮膜の内層を構成した比較例1の平角エナメル線は、密着強度が35g/mmと規定範囲未満であった。その結果、比較例1の平角エナメル線の絶縁皮膜は、密着強度が不足しているため、溶接時に皮膜浮きや、ブリスタが発生してしまい、TIG溶接後の外観は不良であった。
また、内層のベース樹脂をPI樹脂ではなく、PAI樹脂に密着性向上剤を添加した比較例2の平角エナメル線は、密着強度は56g/mmと規定範囲未満であり、PI樹脂よりも耐熱性の劣るPAI樹脂を用いているため、耐熱性が不足しており、溶接時に皮膜浮きや、ブリスタが発生してしまい、TIG溶接後の外観は不良であった。
よって、比較例1,2の各平角エナメル線を用いたオルタネータ用ステータコイルで構成したオルタネータは、電気的信頼性があまり良好でなかった。
本発明の好適一実施の形態に係るオルタネータ用ステータコイルに用いる短尺の小径コイルの斜視図である。 図1における短尺の小径コイルの2−2線断面図である。
符号の説明
10 小径コイル
20 平角エナメル線
21 平角導体
23 内層(最内絶縁層)
24 外層(最外絶縁層)

Claims (3)

  1. ステータコアのスロットに嵌合、挿入され、平角エナメル線を用いて短尺の小径コイルを複数個形成し、これら小径コイルの端末を電気的な溶接方法を用いて銅の融点以上に加熱し溶接して繋ぎ合わせた長尺のコイルからなるオルタネータ用ステータコイルにおいて、
    上記小径コイルは、導体の周りに最内絶縁層が100重量部のポリイミド樹脂に対して0.6重量部以上のブチル化メラミン樹脂からなる密着性向上剤を混合し混合樹脂からなり、最外絶縁層がポリアミドイミド皮膜で構成される少なくとも2層の絶縁皮膜を有し、かつ、導体と最内絶縁層との密着強度が85g/mm以上である平角エナメル線を、コイル状に形成してなることを特徴とするオルタネータ用ステータコイル。
  2. 上記平角エナメル線の最内絶縁層の層厚と上記絶縁皮膜全体の層厚との比が0.05以上である請求項1記載のオルタネータ用ステータコイル。
  3. 上記平角エナメル線の導体を、平角状のCu導体又はCu合金導体で構成した請求項1又は2記載のオルタネータ用ステータコイル。
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