JP4339224B2 - コイル封入圧粉磁心 - Google Patents
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また、この圧粉コアを備えたインダクタを更に小型高性能とするために、軟磁性合金粉末の中に金属のコイルを埋設した状態で全体を加圧成型することにより、圧粉コアの内部に金属のコイルを封入した構造とすることが提案されている。
図11において、符号101は空心コイル、符号105は圧粉成形体(圧粉磁心)であり、この圧粉成形体105は、空心コイル101に接続された電極端子104、104の外部導出部分を除き当該コイル101及び各電極端子104の周囲を覆っている。圧粉成形体105の上下面は平坦とされている。各電極端子104の外部導出部分の端部は、圧粉成形体105の下面に沿って折り曲げられている。
空心コイル101は、絶縁被膜された平角導線102をエッジワイズ状に数ターン巻線したもの、すなわち、厚さ方向に積層しかつ幅方向に湾曲状に曲げて筒状に数ターン巻回したものである。
印加電流が大きくなると、磁気的に飽和し易く、印加電流が大きくなるにつれてインダクタンスの変化率が大きくなり、直流重畳特性が悪いという問題があった。なお、従来のコイル封入圧粉磁心では、例えば、T3=4.0mmとされている場合、T4=3.0mmであった。
本発明のコイル封入圧粉磁心は、平面部を有する平角導線を該平面部を巻軸に対して略垂直にして巻く縦巻き構造としてなるコイル本体と、上記コイル本体の一端側に位置する上記平角導線の端部を該コイル本体の巻軸に平行に導出してなる一側端子部と、上記コイル本体の他端側に位置する上記平角導線の端部を該コイル本体の巻軸に平行に導出してなる他側端子部と、上記一側端子部を延出して形成された一側引出端子部と、上記他側端子部を延出して形成された他側引出端子部とを有するコイル成形体と、少なくとも前記コイル成形体のコイル本体を覆って形成された軟磁性合金粉末の圧密体からなる圧粉コアとを具備し、
上記コイル本体の巻軸方向に直交する上記圧粉コアの一方の面あるいは他方の面に曲面を有する凸部が形成されていることを特徴とする。
また、上記構成の本発明のコイル封入圧粉磁心において、上記曲面を有する凸部の幅は、上記コイル本体の内径以上で上記一側引出端子部と他側引出端子部の間隔以下であることを特徴する。
また、上記のいずれかの構成の本発明のコイル封入圧粉磁心において、上記曲面を有する凸部の厚みt1は、(T1−T2)/2mm以上で、上記一側引出端子部の厚み又は他側引出端子部の厚み以下であることを特徴とする。
(上記T1はコイル封入圧粉磁心Aの厚さ、上記T2は圧粉コア1の端部(側面)の厚さである。)
凸部の厚みt1を、(T1−T2)/2mm以上で、上記一側引出端子部の厚み又は他側引出端子部の厚み以下とすることにより、上記凸部を設けたためにコイル封入圧粉磁心の厚さT1 が増加することはないので、低背化を維持したままで直流重畳特性を改善できるという優れた効果を奏する。
図1は本発明に係るコイル封入圧粉磁心の実施の形態を示す平面図、図2は図1に示すコイル封入圧粉磁心におけるII−II線に沿う断面図である。
この実施形態のコイル封入圧粉磁心Aは、軟磁性合金粉末を圧密してなる平面視正方形状の薄板状の圧粉コア1とこの圧粉コア1の内部に封入されているCuなどの導電体からなるコイル本体2と、該コイル本体2の両端を延出して圧粉コア1の底面(一方の面)1A側の隅部に個々に延出形成された端子部21、22とを具備して構成されている。
圧粉コア1の側面1B側に露出させて下向きに折り曲げられた一側端子部21は、巻軸7と平行な向きに延出されている。コイル本体2の外側に延出して圧粉コア1の側面1D側に露出させて下向きに折り曲げられた他側端子部22は、巻軸7と平行な向きに延出している。
これらコイル本体2、端子部21、22、引出端子部23、24からコイル成形体が構成されている。
なお、この形態において圧粉コア1の上面(他方の面)1E側には特に端子部が形成されていない。
凸部25の形状は、本実施形態では球体の一部を切り欠いた略球冠状のものであり、平面視略円状で、断面形状は略弓形のものである。
凸部25の形状は、矩形板状などのような角ばった形状を有していないことが必要である。凸部25が角ばった形状を有していると、磁束乱れが生じ易くなる。
この凸部25の材質は、圧粉コア1の材質と同じものが用いられている。この凸部25は圧粉コア1の成形と同時に形成することができる。
凸部25の幅W1がコイル本体2の内径D未満であると、磁束の飽和を抑えるために必要な粉末量に満たないため、直流電流印加によるインダクタンスの変化を抑制することができない。
また、凸部25の幅W1が他側引出端子部24の間隔L1を超えると電極部分に磁束が回り易くなり、ノイズが発生しやすくなる。
凸部25の厚みt1は、(T1−T2)/2mm以上で、一側引出端子部23や他側引出端子部24の厚み以下であることが好ましい(T1はコイル封入圧粉磁心Aの厚さ、T2は圧粉コア1の端部(側面)の厚さ)。
凸部25の厚みt1 が(T1−T2)/2mm未満であると、磁束の飽和を抑えるために必要な粉末量に満たないため、直流電流印加によるインダクタンスの変化を抑制することができない。
また、凸部25の厚みt1 が(T1−T2)mmを超えると、コイル封入圧粉磁心の厚さT1が増加し、低背化(薄型化)が図れないという不都合が生じる。
圧粉コア1の厚さは、例えば先のコイル本体2の上面側と下面側を少なくとも各々コイル本体2の厚さの半分程度以上覆う厚さに形成され、正方形板状の圧粉コア1の幅は、例えば先のコイル本体2の外周側を少なくともコイル本体2の厚さ程度覆うことができる幅に形成されている。
コイル封入圧粉磁心Aの厚さT1が4.0mm程度とされた場合、圧粉コア1の端部(側面)の厚さT2は、例えば、3.0mm程度とされ、圧粉コア1の凸部25を含む中心部の厚さは、例えば、3.5mm〜4.0mm程度とされる。
Fe100−x−y−z−w−tMxPyCzBwSit
ただし、MはCr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選ばれる1種または2種以上の元素であり、組成比を示すx、y、z、w、tは、0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%である。また、これら組成系の軟磁性合金粉末の他に、FeNiSnPCBなる組成系の軟磁性合金粉末を用いることもできる。
また、圧粉コアの構成材料として上記の各種の金属ガラス合金を用いる場合、通常、粉末状の金属ガラス合金を結着材などとともに固化成形して圧粉コアとするために、結着材として、ブチラール樹脂やブチラールフェノール樹脂、アクリル樹脂あるいはシリコーン樹脂などを用いることが好ましい。
次に、結着材とともにステアリン酸塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等)のうちから選択される潤滑剤を同時に用いることが好ましい。
また、曲面を有する凸部25が圧粉コア1の底面(一方の面)に設けられた場合について説明したが、圧粉コア1の上面(他方の面)に設けられていてもよい。端子部の取り出し方向は圧粉コア1の上面側である場合は、曲面を有する凸部25は圧粉コア1の上面に設けられていることが好ましい。
また、本発明において端子部の引出位置や方向は特に限定するものではなく、実装する基板や回路に合わせて要求される位置とすることができる。
図1〜図2と同様のコイル封入圧粉磁心Aを作製し、実施例1とした。
圧粉コア1に用いた粉末としては、
Fe74.43Cr1.96P9.04C2.16B7.54Si4.87の組成を有する軟磁性合金粉末95.7wt%、アクリル樹脂4wt%、潤滑剤0.3wt%の割合で混合した混合粉末を用いた。ここで用いた軟磁性合金粉末は上記組成比のものを合金溶湯から急冷して製造した非晶質状態の粉末であって、粒径3〜150μmのものを用いた。
図3〜図4に示したコイル封入圧粉磁心Bを上記実施例1と同様にして作製し、実施例2とした。この実施例2のコイル封入圧粉磁心Bが実施例1のコイル封入圧粉磁心Aと異なるところは凸部25の大きさが異なる点である。
実施例2のコイル封入圧粉磁心Bの厚さT1は4.0mm、圧粉コア1の端部(側面)の厚さT2は3.2mm、圧粉コア1の凸部25を含む中心部の厚さは3.9mm、一側引出端子部23と外側引出端子部24の間隔L1は5.8mmであった。この凸部25の厚みt1は0.7mm(中心部)、幅W1は2.5mmであった。
図5〜図6に示したコイル封入圧粉磁心Cを上記実施例1と同様にして作製し、比較例1とした。この比較例1のコイル封入圧粉磁心が実施例1のコイル封入圧粉磁心と異なるところは、圧粉コア1’の底面1Aに凸部が設けられておらず、平坦とされている点である。
比較例1のコイル封入圧粉磁心Cの厚さT1は4.0mm、圧粉コア1’の厚さは3.2mm、一側引出端子部23と外側引出端子部24の間隔L1は5.8mmであった。
図5〜図6に示したコイル封入圧粉磁心Dを実施例1と同様にして作製し、比較例2とした。この比較例2のコイル封入圧粉磁心Dが実施例1のコイル封入圧粉磁心Aと異なるところは、圧粉コア1’の底面1Aに形成される凸部25a(図5〜図6の二点鎖線で示している)の形状が矩形板状である点である。
比較例2のコイル封入圧粉磁心Dの厚さT1は4.0mm、圧粉コア1’の端部(側面)の厚さは3.2mm、圧粉コア1’の凸部25aを含む中心部の厚さは3.9mm、一側引出端子部23と他側引出端子部24の間隔L1は5.8mmであった。この凸部25の厚みt1は0.7mm(中心部)、幅(横)W1は4.3mm、縦W2は4.3mmであった。
また、作製した各種のコイル封入圧粉磁心についてインダクタンス変化率(ΔL)の直流電流依存性を調べた結果を表2と図8に示す。
ΔL(%)=(L−L0)×100/L0
(式中、L0は直流電流が0アンペアのときのインダクタンスの値である。)
また、実施例1のコイル封入圧粉磁心は、実施例2のものに比べて直流重畳特性が優れていることがわかる。
Claims (4)
- 平面部を有する平角導線を該平面部を巻軸に対して略垂直にして巻く縦巻き構造としてなるコイル本体と、前記コイル本体の一端側に位置する前記平角導線の端部を該コイル本体の巻軸に平行に導出してなる一側端子部と、前記コイル本体の他端側に位置する前記平角導線の端部を該コイル本体の巻軸に平行に導出してなる他側端子部と、前記一側端子部を延出して形成された一側引出端子部と、前記他側端子部を延出して形成された他側引出端子部とを有するコイル成形体と、少なくとも前記コイル成形体を覆って形成された軟磁性合金粉末の圧密体からなる圧粉コアとを具備し、
前記コイル本体の巻軸方向に直交する前記圧粉コアの一方の面あるいは他方の面に曲面を有する凸部を有していることを特徴とするコイル封入圧粉磁心。 - 前記一側引出端子部と前記他側引出端子部がいずれも前記圧粉コアの一つの面側に折り曲げられ、前記圧粉コアの一つの面側において前記一側引出端子部と他側引出端子部とは離間され、前記一側引出端子部と他側引出端子部の間に前記曲面を有する凸部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル封入圧粉磁心。
- 前記曲面を有する凸部の幅は、前記コイル本体の内径以上で前記一側引出端子部と他側引出端子部の間隔以下であることを特徴する請求項2に記載のコイル封入圧粉磁心。
- 前記曲面を有する凸部の厚みは、(T1−T2)/2mm以上で、前記一側引出端子部の厚み又は他側引出端子部の厚み以下であることを特徴とする請求項2に記載のコイル封入圧粉磁心。
(前記T1はコイル封入圧粉磁心Aの厚さ、前記T2は圧粉コアの端部(側面)の厚さである。)
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