JP4338696B2 - 大豆抽出乾燥物の製造方法 - Google Patents

大豆抽出乾燥物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4338696B2
JP4338696B2 JP2005338565A JP2005338565A JP4338696B2 JP 4338696 B2 JP4338696 B2 JP 4338696B2 JP 2005338565 A JP2005338565 A JP 2005338565A JP 2005338565 A JP2005338565 A JP 2005338565A JP 4338696 B2 JP4338696 B2 JP 4338696B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soybean extract
dried
extract
soybean
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005338565A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007143414A (ja
Inventor
重元 菅沼
幸善 永谷
Original Assignee
井村屋製菓株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 井村屋製菓株式会社 filed Critical 井村屋製菓株式会社
Priority to JP2005338565A priority Critical patent/JP4338696B2/ja
Publication of JP2007143414A publication Critical patent/JP2007143414A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4338696B2 publication Critical patent/JP4338696B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Beans For Foods Or Fodder (AREA)

Description

本発明は、大豆抽出乾燥物の製造方法に関し、特に真空ドラムドライヤを用いて大豆抽出物を乾燥する製造方法に関する。
従前、スープ等に配合する目的で動植物エキス、醤油や味噌等の醸造物の乾燥、粉末化が行われ、これらの乾燥粉末製品は既に市販されている。このように、水分を取り除き、主要成分のみを粉体化して、添加加工の利便性が図られている。
前出の乾燥粉末化の対象となる食材の一つに大豆がある。大豆は植物性のタンパク質に富むため古くから食され、加工食品の原料としても多用されてきた。また、昨今の健康志向の高まりから大豆及び大豆加工品の需要が増大している。
そのため、大豆抽出物を簡便に利用するため、大豆抽出物の乾燥粉末化が研究されている。その一つに凍結乾燥法がある。この方法により製造する大豆抽出物を含有する粉末は風味成分を保持できるものの、製造コストがかさみ量産には不向きである。次にスプレードライヤによる乾燥法もある。この方法により製造する大豆抽出物を含有する粉末の製造コストは低廉であるため、量産には適している。しかしながら、熱劣化により風味が散逸し焦げ臭が着くおそれもある。加えて、乾燥時に加わる熱の影響によりタンパク質自身の変性が生じやすく、湯等に再溶解させた場合に溶解の再現性が低下し、溶解できずに著しく沈降が発生しやすいという問題点があった。
以上の経緯から製造コストと品質等を勘案して、大豆抽出物に対しても、動植物エキス、醤油や味噌等の醸造物の乾燥、粉末化に効果を上げている真空ドラムドライヤ(VDD)を用い乾燥、粉末化方法(特許文献1,特許文献2参照)が有望視され、利用されるようになってきた。ところが、大豆抽出物はタンパク質を比較的多量に含有するため、乾燥物の添加対象となる食品、食材等により沈澱を生じさせやすい問題点がある。そのため、現状では、真空ドラムドライヤを用いた大豆抽出物からなる乾燥物(乾燥粉末も含まれる。)の適用対象は限られ、広汎な食品群への添加利用は困難であった。
確かに前記特許文献の真空ドラムドライヤを用いた乾燥、粉末化の製法にあっては、デキストリンが賦形剤として用いられる。しかし、発明者らの検証によると、このような賦形剤の使用では大豆抽出物からなる乾燥物を湯や水等に溶解させた際の沈澱抑制に有効な対応とはならなかった。
特許第3656421号公報 特許第3663909号公報
その後、発明者らは鋭意研究の結果、真空ドラムドライヤを用いて得た大豆抽出物からなる乾燥物を湯や水等に溶解させた際に生じる沈澱の抑制に有効な手法を見出すに至った。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、大豆抽出物よりなる乾燥物を湯や水等をはじめとして飲料、食品へ添加した際の溶解性を向上させるための真空ドラムドライヤを用いた大豆抽出物の乾燥物を得る製造方法を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、大豆を熱水により抽出して大豆抽出液である豆乳を得る抽出工程と、前記大豆抽出液にラクトース、トレハロース、マルトースのいずれかの糖類を当該大豆抽出液の乾燥固形分重量100重量部に対して80120重量部添加して糖類添加大豆抽出液を得る糖類添加工程と、真空チャンバを備える真空ドラムドライヤにより前記糖類添加大豆抽出液を乾燥して抽出液乾燥物を得る真空ドラム乾燥工程とを有することを特徴とする大豆抽出乾燥物の製造方法に係る。
請求項2の発明は、前記真空ドラム乾燥工程の後に前記抽出液乾燥物を粉末化する粉末化工程が含められる請求項1に記載の大豆抽出乾燥物の製造方法に係る。
請求項3の発明は、前記糖類添加工程において、さらにpH調整剤が添加される請求項1又は2に記載の大豆抽出乾燥物の製造方法に係る。
請求項1の発明に係る大豆抽出乾燥物の製造方法によると、大豆を熱水により抽出して大豆抽出液である豆乳を得る抽出工程と、前記大豆抽出液にラクトース、トレハロース、マルトースのいずれかの糖類を当該大豆抽出液の乾燥固形分重量100重量部に対して80120重量部添加して糖類添加大豆抽出液を得る糖類添加工程と、真空チャンバを備える真空ドラムドライヤにより前記糖類添加大豆抽出液を乾燥して抽出液乾燥物を得る真空ドラム乾燥工程とを有するため、当該製造方法により得られた大豆抽出乾燥物の溶解時に良好な溶解性能を得ることができる。
また、大豆抽出液を得る際の抽出効率、作業の容易さを確保できると共に豆乳の生産と大豆抽出乾燥物の生産の調整が容易となり、製造コストの低減に寄与する。ラクトース、トレハロース、マルトースは比較的容易かつ安価に調達でき、取り扱いが簡便である。併せて、大豆抽出液自体の水分量を増やすことがないため乾燥時の効率が良い。さらに、当該製造方法により得られた大豆抽出乾燥物を溶解したとき、高い溶解性能を得ることができる。
請求項2の発明に係る大豆抽出乾燥物の製造方法によると、請求項1の発明において、前記真空ドラム乾燥工程の後に前記抽出液乾燥物を粉末化する粉末化工程が含められるため、当該製造方法により得られた大豆抽出乾燥物の溶解性を均一とし、分散性を高めることができる。また、大豆抽出乾燥物からなる顆粒を製造する際にも都合良い。
請求項3の発明に係る大豆抽出乾燥物の製造方法によると、請求項1又は2の発明において、前記糖類添加工程において、さらにpH調整剤が添加されるため、酸性度の高い溶媒においても大豆抽出乾燥物の溶解度を維持することができる。よって、当該製造方法により得られた大豆抽出乾燥物の添加対象となる食品、飲料等を拡張することができる。
以下添付の図面に従って本発明を説明する。
図1は本発明の一実施形態の製造方法を示す概略工程図、図2は真空ドラムドライヤの概略模式図、図3は他の実施形態の製造方法を示す概略工程図、図4はさらに他の実施形態の製造方法を示す概略工程図である。
本発明の大豆抽出乾燥物の製造方法を図1の概略工程図を用い説明する。当該大豆抽出乾燥物の製造方法にあっては、請求項1の発明に規定するように、大豆(M)を原料として、抽出工程(S1)、糖類添加工程(S2)、真空ドラム乾燥工程(S3)の各工程が含まれる。前記の各工程(S1ないしS3)を経ることにより、製品である大豆抽出乾燥物(P)が得られる。以下、各工程を詳述する。
抽出工程(S1)においては、大豆に含まれるタンパク質等をはじめとする各種成分が分離され大豆抽出液が分離される。抽出方法としては、含水させた大豆をすりつぶし(摩砕:まさい)、加水して溶液を得る手法や、乾燥大豆の粉砕物に加水して溶液を得る手法等を利用することができる。抽出効率、作業の容易さ等が勘案されることから大豆は熱水により煮沸され、併せて粉砕されて大豆含有成分の抽出が行われる。このため、大豆抽出液は大豆を熱水により抽出した抽出液となる。
S1の抽出工程では、図1に示すように、抽出効率、抽出液の純度(流動性)、製品の使用目的(溶解性)等により粉砕、濾過も併せて行われる。従って、抽出工程における大豆の熱水により抽出した抽出液とは、豆乳となる。S1の抽出工程は豆乳の製造工程とも換言される。本発明における豆乳とは、JAS規格(日本農林規格)に準拠して製造される豆乳類であり、豆乳(大豆固形分8%以上)、調整豆乳(大豆固形分6%以上)、豆乳飲料である。
抽出工程と次に示す糖類添加工程は連続して行うことも、または抽出工程により予め豆乳を製造して貯蔵し、順次必要量の豆乳を糖類添加工程に供給することも可能である。このため、豆乳の生産と大豆抽出乾燥物の生産の調整が容易となる。特に豆乳は、豆乳のまま飲用される他に豆腐等にも加工されるため、予め豆乳として調製しておくことが製造コストや製造計画の観点から望ましい。
糖類添加工程(S2)においては、抽出工程により得られた大豆抽出液に糖類が添加される。添加される糖類は、天然に存在する糖類、微生物的等により生成された糖類のいずれでも良い。加えて、澱粉や多糖類の分解物、野菜や果実の搾汁液、蜜類等の含糖成分、水飴等の配合も検討される。ここでいう糖類の分子量は単糖からオリゴ糖まで適宜である。
この糖類は、二糖から選択される。特に、後記実施例から把握されるように、二糖の中でもラクトース、トレハロース、マルトースとなる。前記の二糖それぞれ単独で用いても良く、適宜混合して用いても良い。二糖のラクトース、トレハロース、マルトースは、比較的容易かつ安価に調達することができ、取り扱いが簡便である。しかも、大豆抽出液自体の水分量を増やすことがないため乾燥時の効率が良い。
S2の糖類添加工程において、大豆抽出液(豆乳)に添加される糖類の量的割合は、後述する実施例からも明らかなとおり、大豆抽出液の乾燥固形分重量100重量部に対して50〜150重量部が好ましい。その中においても60〜130重量部が好ましく、さらには後記実施例の結果から80〜120重量部となる。また、前記の各糖類においても特に二糖の効果が著しい。ただし、このような糖類添加の量的割合が良好であること及び特に二糖の効果が高いことに関し、詳細な作用機構は解明されていない。ただし、大豆抽出液に多量にタンパク質が含まれていることから、このタンパク質と糖の分子との関連により、溶解性向上の作用が生じてことが予見される。
真空ドラム乾燥工程(S3)において、糖類添加大豆抽出液は、真空チャンバを備える真空ドラムドライヤにより抽出液乾燥物に乾燥される。図2の断面模式図に示すとおり、真空ドラムドライヤ10には、真空チャンバ11内に、一対をなす2本の加熱ドラム12,12と、加熱ドラムに張り付いている抽出液乾燥物を剥ぎ取るスクレイパー15,15と、剥ぎ取られた抽出液乾燥物を受ける受け部13,13が備えられている。抽出液乾燥物は貯留部21,21に集められ、必要により粉砕部23、篩別部24等を経て製品である大豆抽出乾燥物が得られる。符号11iは真空チャンバ内空間、12sは加熱ドラム表面、19は真空ポンプ、22は貯留部の封鎖板である。
真空ドラムドライヤ10の真空チャンバ11内の乾燥ドラム12,12内には蒸気が流通され、その表面温度は約100〜110℃に維持されている。乾燥ドラム12,12は図示の矢印dの方向に回転している。そこで、適宜殺菌処理を施した糖類添加大豆抽出液が注入される場合、真空チャンバ内空間11iの真空度と真空ドラム表面12sの熱により、瞬時に水分は蒸発して薄膜状の抽出液乾燥物となる。真空ドラム表面12sに張り付いている薄膜状の抽出液乾燥物は、真空ドラムの回転によりスクレイパー15,15と接触して剥離される。剥離した抽出液乾燥物は受け部13,13を経て貯留部21,21に一次的に貯留される。このとき、封鎖板22により2個の貯留部は交互に開閉され真空チャンバ内と大気圧との差が解消される。なお、真空チャンバ内空間11iの真空度は5kPa以下、好ましくは3〜4kPaの真空度となるように真空ポンプ19により真空吸引(減圧吸引)されている。貯留部21,21から取り出された抽出液乾燥物は、製品である大豆抽出乾燥物となる。
上記のとおり、スクレイパーの剥離のみにより得られた抽出液乾燥物の形状、大きさは不均一となりやすい。このため、図3の概略工程図として示され、請求項2の発明に規定するように、真空ドラム乾燥工程(S3)の後に抽出液乾燥物を粉末化する粉末化工程(S4)が含められる。
粉末化工程(S4)においては、前掲図2から理解されるように、貯留部21,21から取り出された抽出液乾燥物は、粉砕部23に備えられている公知の粉砕器(ミル(図示せず))により粉砕される。続いて、粒子径を均一に調整するため、篩別部24に備えられている適宜の篩やサイクロン(共に図示せず)を経由し、粉末化した大豆抽出乾燥物として得られる。粉末化した大豆抽出乾燥物の粒径は適宜であり、需要者の用途に応じて調整される。このように、粉末化することにより湯や水をはじめ飲料、食品等への溶解性、分散性が均一となり高まる。また、大豆抽出乾燥物からなる顆粒を製造する際にも都合良い。
大豆抽出液は糖類を含むことにより、従来品に増して、大豆抽出乾燥物となっても溶解性を維持することができる。従って、食品、飲料への添加、調合等の需要に有望である。ところが、発明者らは、大豆抽出乾燥物の溶解性は溶媒自体のpHの影響を受けることを発見した。つまり、大豆抽出乾燥物の添加、調合の対象となる食品、飲料が中性付近であるならば問題とならないが、特に、酸性度の高い溶媒(飲料等)にあっては、湯や水の場合と同様の大豆抽出乾燥物の溶解度は維持できないおそれがある(沈澱の発生のおそれ)。その後、発明者らは、溶媒のpHの影響緩和について検討の結果、酸性度の高い溶媒においても大豆抽出乾燥物の溶解度を維持可能であること(沈澱発生の抑制)を見出した(後記実施例参照)。
すなわち、図4の概略工程図として示され、請求項3の発明に規定するように、糖類添加工程において、さらにpH調整剤が添加される(S2a)。pH調整剤の役割は、溶媒(飲料等)の酸性度を中性側に緩和させるためと考えられる。そこで、食品添加物であり、アルカリ性側に移行可能なpH調整剤として、リン酸水素二ナトリウム(無水、結晶)、リン酸水素二カリウム(無水、結晶)、リン酸三ナトリウム(無水、結晶)、リン酸三カリウム(無水、結晶)、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示される。図4において、粉末化工程は必要により行われる。
大豆抽出液に添加されるpH調整剤の量は、大豆抽出乾燥物の溶媒となる食品、飲料、または溶解濃度等により異なると考えられるため、目的に応じて適切に制御される。
上述のとおり大豆抽出乾燥物の製造方法により製造された大豆抽出乾燥物にあっては、従前の乾燥大豆と比してより高い溶解性能を有する。併せて、添加対象となる溶媒の酸性度の影響も緩和して溶解性能を維持することができる。以上のことから、本発明の製造方法により製造された大豆抽出乾燥物は、各種調味料、ソース類、スープ、鍋料理のスープ、ルー、たれ、だし、パン類、菓子類、麺類、コーヒー、紅茶、ジュース、食酢等の飲料、冷菓、氷菓、ハム、ソーセージ等の畜肉加工品、竹輪、蒲鉾等への添加、配合用途に好適である。
[使用機器及び条件]
大豆抽出液として、JAS規格(日本農林規格)に準拠して製造した豆乳(本実施例においては固形分10%)を用いた。真空ドラムドライヤには、中央加工機株式会社製「DDV−025型真空ドラムドライヤ」を用いた。乾燥条件について、真空度を3〜4kPa程度、加熱ドラムの設定温度を110℃とした。当該乾燥条件に従い、以下の各表に示す糖類添加の豆乳及び対照となる糖類を添加しない豆乳のみの乾燥を行い、適宜粉砕して各試料の大豆抽出乾燥物の粉末とした。
[溶解度の評価方法]
大豆抽出乾燥物の溶解度の評価にあたり、水溶液の上清の水溶性窒素分を測定し指標とした。窒素分の測定はケルダール法とした。
各試料の大豆抽出乾燥物とも、10重量%となるように90℃の湯に溶解し、各試料の大豆抽出乾燥物の水溶液とした。各試料の大豆抽出乾燥物の水溶液を1時間程度静置した後、遠心分離機(株式会社久保田製作所製「高速遠心分離機KH−180」、ローター:RA−5)により、2000rpmで10分間遠心分離した。そこで、遠心分離により得た上清の窒素量‘Ns(%)’、溶媒の窒素量‘Na(%)’、溶質である各試料の大豆抽出乾燥物の窒素量‘Nb(%)’を測定した。これより、水溶性窒素指数‘NSI(%)’は「数1」のとおり計算できる。表内に掲載の各試料の水溶性窒素指数NSI(%)を算出し、試料毎の大豆抽出乾燥物の溶解度に関する評価とした。
水溶性窒素指数NSI(%)の値が大きいほど、溶媒全体に溶質である大豆抽出乾燥物が沈降無く均一に溶解しているものと把握することができる。なお、水溶性窒素指数NSIが100%を超える要因としては測定誤差と考えられる。溶媒が湯の場合、溶媒の窒素量Naは0%となる。また、窒素量Nbは、各試料の大豆抽出乾燥物そのものより求めた。
Figure 0004338696
併せて、目視による評価も試みた。目視評価においては、各試料の大豆抽出乾燥物とも、5重量%となるように90℃の湯に溶解し、各試料の大豆抽出乾燥物の水溶液とした。目視の評価値と外観視による沈降基準との関係は下記の表1のとおりである。以下の測定にあたり、特に断りがない限り、目視評価の大豆抽出乾燥物の添加量は5重量%とした。
Figure 0004338696
[糖類濃度の影響:I]
糖類として二糖であるラクトースを使用し、表2の試料1−0ないし1−6のとおり、一定量の豆乳にラクトースの配合量を変えながら添加した。配合割合の表記は、大豆抽出液の乾燥固形分重量を100重量部とし、これに対する糖(ラクトース)の添加重量を示す。以降の配合割合の表記は同様である。
Figure 0004338696
[糖類濃度の影響:II]
前掲の「糖類濃度の影響:I」においては、溶液中の濃度を揃えて影響を評価した。「糖類濃度の影響:II」では溶液中の大豆抽出物濃度が糖類に与える影響の有無も考慮し、試料1−4の大豆抽出物の添加濃度(10%)に合わせて試料1−1,1−2,1−6の溶解量を加減して90℃の湯に溶解した(順に試料2−1,2−2,2−3)。また、前記の豆乳乾燥物のみである試料1−0とこれと同量の糖類(ラクトース)を配合した試料2−0(糖類事後添加品)についても同様に90℃の湯に溶解した。結果は表3のとおりである。試料2−0ないし2−3の目視評価においては、試料1−4の大豆抽出物の添加濃度(5%)に合わせて調整した。
Figure 0004338696
表2から理解されるように、糖類を添加して乾燥させた豆乳の試料1−1ないし試料1−6の水溶性窒素指数NSIは、単に豆乳のみの試料1−0と比して上昇が見られる。つまり、糖類添加により大豆抽出物粉末の溶解が促進しているといえる。すなわち、大豆抽出液の乾燥固形分重量を100重量部に対して糖類は50重量部以上の割合で添加することが良い。特に、大豆抽出液の乾燥固形分重量100重量部に対して糖類(ラクトース)が67重量部、より良好には80重量部よりも多く配合されている試料1−2、とりわけ試料1−3ないし試料1−5ほど顕著である。ただし、糖類の添加量が過大となると溶解の効果が低減してしまう。配合糖類量の価格コストの上昇を招く。糖の影響により褐色がかり品質低下になる。これらを勘案し、大豆抽出液の乾燥固形分重量100重量部に対して糖類は150重量部以下の割合が添加の上限であると考える。
表2及び表3にて糖類添加量が共通する試料同士の水溶性窒素指数NSIはほぼ同様な数値である。このことから、溶液における大豆抽出液(豆乳)の大豆由来の乾燥固形分量が糖類に与える影響について、発明者らは低いものと考える。そこで、表2にて実施したとおり、単純に糖類添加の大豆抽出乾燥物の全体に占める溶解量にしても差し支えないと考えることができる。また、試料2−0の結果より、糖類の添加は大豆抽出液である時点(豆乳の時点)で行わなければならないことを明示している。
[溶質濃度の評価]
既述のとおり、実施例の大豆抽出液はJAS規格に準拠した豆乳であるため、その大豆固形分は10%である。しかし、大豆抽出液を得る抽出条件等により大豆固形分は10%に収まりきらないこともある。そこで、発明者らは、抽出条件の差異による影響を検証することとした。実施例の豆乳(固形分10%)を減圧濃縮することにより固形分20%の濃縮豆乳とし、この乾燥固形分と同量の糖類(ラクトース)を添加し乾燥して試料3−1とした。次に、実施例の豆乳(固形分10%)を希釈することにより固形分5%の希釈豆乳とし、この乾燥固形分と同量の糖類(ラクトース)を添加し乾燥して試料3−2とした。結果は下記表4である。
Figure 0004338696
水溶性窒素指数NSIの差と目視による評価との双方を検討しても、溶質となる豆乳濃度により大きな変動はないと評価している。従って、実用段階において各種の抽出条件により大豆抽出液を得たとしても、糖類添加により、このような大豆抽出液を再溶解させた際の溶解性を確保することができる。ただし、豆乳の固形分が20%に近づくと粘性を帯び加工性が悪化する。また、豆乳の固形分が5%を下回ると乾燥効率が低下する。そのため、極端な固形分量(大豆抽出液の濃度)は好ましいとはいえない。
[添加糖類の種類]
発明者らは、糖類としてラクトースを用い、大豆抽出物よりなる乾燥物、実施例では豆乳乾燥物の溶解性向上を実証してきた。次に、各種の糖類についても同様に溶解性向上が発揮されるか否か検証した。結果は表5のとおりである。単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖(単糖が6ないし8のデキストリン)、糖アルコールとして表中に記載の糖を用い、同表中の配合に基づき試料4−1ないし4−11の大豆抽出乾燥物の粉末とした。各試料の大豆抽出乾燥物粉末とも、10重量%となるように90℃の湯に溶解して水溶液とした。併せて、真空ドラムドライヤによる乾燥性の良否も付記した。なお、表中の大豆抽出液(豆乳)の乾燥固形分量に対する糖類の量にばらつきがあるのは、糖類添加大豆抽出液の乾燥限界を考慮したためである。
Figure 0004338696
表5の水溶性窒素指数NSI及び目視による評価から把握されるように、糖の種類により異なる。最も良好な糖類は二糖であり、続いて三糖となる。単糖の場合と四糖以上の場合、効果は発揮されるものの水溶性窒素指数は二糖、三糖よりも低下し始める。また、従来から賦形剤として用いられてきたデキストリンよりも、糖類の方が高い効果を示した。他に、糖アルコールについては効果が期待できないことも判明した。二糖の中でもラクトースはスクロースほど甘みを有さないため、大豆抽出乾燥物を他の食品、飲料に添加した後に甘みを呈すことなく都合良い。ただし、製菓、飲料目的で加糖が前提となる場合には、当然ながらラクトースの代わりにスクロースを用いることができる。
[pH調整剤の影響]
これまでの検証のとおり、糖類添加の大豆抽出乾燥物についての溶解性は実証された。その後、発明者らは、種々の溶媒に糖類添加の大豆抽出乾燥物の添加を試みた。その中において、酸性度の高い溶媒については必ずしも前記の沈降評価、水溶性窒素指数NSIが満たされない場合があることを発見した。発明者らは、この問題点に対処すべく鋭意検討した結果、アルカリ性側に移行可能なpH調整剤が有効であることを見出した。
そこで、pH調整剤としてリン酸水素二カリウム(無水物)を使用し、この添加量を変化させて糖類添加工程に糖類と併せて添加して試料5−1ないし5−5を調製した。各試料を90℃の湯に溶解させたときの溶液に生じる変化を確認した。結果は表6である。表中、調液pHとは、湯に試料を添加、混合した際の溶液のpHである。ちなみに湯(水)は蒸留水でありpH5.5〜5.6付近である。
Figure 0004338696
pH調整剤(リン酸水素二カリウム)の添加量は大豆抽出液の乾燥固形分重量100重量部に対して10重量部未満であるならば、沈降評価及び水溶性窒素指数NSIは、共にpH調整剤無添加の試料1−4と同様の指標を示す(試料5−1ないし5−4)。ただし、pH調整剤が過大となると指標は悪化する(試料5−4)。おそらくpH調整剤の添加量に比例して溶液のpHは上昇している。そのため、アルカリ性側に高まり過ぎたことに伴う塩析の可能性を示唆する。この知見から、所定限度内のpH調整剤の添加品ならば、その無添加品と比較して遜色ないものといえる。
[大豆抽出乾燥物の利用例]
大豆抽出乾燥物の利用例として、コーヒーへの添加を試行し、当該大豆抽出乾燥物の溶解状況を目視により判断した。そこで、インスタントコーヒーのコーヒー粉末K1、K2、K3、K4の4種類を用意した。K1ないしK3は味の素ゼネラルフーヅ株式会社製、K4はネスレ日本株式会社製である。参考として、90℃の湯にK1ないしK4それぞれのインスタントコーヒー粉末を1.5重量%として溶解させ、pHを測定した(表中のコーヒー液pHを参照。)。
90℃の湯に、K1ないしK4それぞれのインスタントコーヒー粉末1.5重量%と、前記の試料1−4及び試料5−1ないし5−5のそれぞれを2重量%ずつ添加し、十分に攪拌後60分間静置した。目視の判断は5人のパネラーにより実施し、「沈降なし溶解状態良好」を“1”、「溶解しているがやや沈降あり」を“2”、「溶解せずに全て沈降」を“3”として点数化し、その平均値とした。
Figure 0004338696
表7の結果から把握できるように、インスタントコーヒー粉末を溶解することにより、溶液は僅かに酸性化する(湯(水)は蒸留水でありpH5.5〜5.6付近)。そのため、pH調整剤無添加の大豆抽出乾燥物である試料1−4の溶解性は思わしくない。これに対して、試料5−2,5−3では良好な溶解性を発揮している。ただし、pH調整剤が少ない場合や多い場合にも溶解性に影響を与えてしまう。
発明者らは、確認のため、90℃の湯にインスタントコーヒー粉末1.5重量%、試料1−4を2重量%、及び試料5−2に相当する量のリン酸水素二カリウムを混合した。このようなpH調整剤の事後添加の場合、大豆抽出乾燥物は全て沈降した。従って、pH調整剤の添加は、糖類の添加と同様に大豆抽出液である時点(豆乳の時点)で行わなければならないといえる。また、添加対象となる飲料、食品等のpHを考慮してpH調整剤の配合量を加減すべきと考える。
[溶解温度の影響]
発明者らは、既述のとおり、90℃の湯、並びに酸性飲料であるコーヒーに対する大豆抽出乾燥物の溶解性能を明らかにしてきた。そこで、さらなる大豆抽出乾燥物の利用の途を開くため、冷水から熱水にかけての異なる温度域においても溶解性能が発揮されるか否かの検証を行った。
pH調整剤無添加の大豆抽出乾燥物として試料1−4、pH調整剤添加の大豆抽出乾燥物として試料5−2を用い、双方とも、90℃、70℃、50℃、30℃、10℃の水に10重量%となるように溶解し、同様に水溶性窒素指数NSIを求めた。結果を表8に示す。
Figure 0004338696
試料1−4、5−2とも温度低下に伴い大豆抽出乾燥物の溶解性は低下する。しかしながら、双方とも10℃の水に溶解した際の水溶性窒素指数NSIは、90℃の湯に添加した際の試料1−0:糖類添加なし(表2参照)、試料4−11:デキストリン添加(表5参照)の水溶性窒素指数NSIよりも十分に高い。すなわち、糖類添加による効果は、水温低下に伴う溶解性低下の影響を緩和する方向に作用している。また、従前より用いられてきた賦形剤のデキストリンに対しても、湯のみならず冷水のときでも大豆抽出乾燥物の溶解性を高めていることが明らかとなった。また、試料1−4及び5−2の比較から、pH調整剤の添加の有無と温度の影響との差はほとんど影響していない。
以上の結果を考慮すると、大豆抽出乾燥物の添加対象は、必ずしも湯温度のような高温に限ることなく、幅広い温度域の食品、飲料にも添加可能であることを示唆している。例えば、大豆抽出乾燥物のジュース類、冷菓、氷菓への添加、畜肉製造等の混練時への添加を検討することができる。
本発明の一実施形態の製造方法を示す概略工程図である。 真空ドラムドライヤの概略模式図である。 他の実施形態の製造方法を示す概略工程図である。 さらに他の実施形態の製造方法を示す概略工程図である。
10 真空ドラムドライヤ
11 真空チャンバ
12 加熱ドラム
15 スクレイパー
19 真空ポンプ
23 粉砕部
24 篩別部

Claims (3)

  1. 大豆を熱水により抽出して大豆抽出液である豆乳を得る抽出工程と、
    前記大豆抽出液にラクトース、トレハロース、マルトースのいずれかの糖類を当該大豆抽出液の乾燥固形分重量100重量部に対して80120重量部添加して糖類添加大豆抽出液を得る糖類添加工程と、
    真空チャンバを備える真空ドラムドライヤにより前記糖類添加大豆抽出液を乾燥して抽出液乾燥物を得る真空ドラム乾燥工程
    とを有することを特徴とする大豆抽出乾燥物の製造方法。
  2. 前記真空ドラム乾燥工程の後に前記抽出液乾燥物を粉末化する粉末化工程が含められる請求項1に記載の大豆抽出乾燥物の製造方法。
  3. 前記糖類添加工程において、さらにpH調整剤が添加される請求項1又は2に記載の大豆抽出乾燥物の製造方法。
JP2005338565A 2005-11-24 2005-11-24 大豆抽出乾燥物の製造方法 Active JP4338696B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005338565A JP4338696B2 (ja) 2005-11-24 2005-11-24 大豆抽出乾燥物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005338565A JP4338696B2 (ja) 2005-11-24 2005-11-24 大豆抽出乾燥物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007143414A JP2007143414A (ja) 2007-06-14
JP4338696B2 true JP4338696B2 (ja) 2009-10-07

Family

ID=38205577

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005338565A Active JP4338696B2 (ja) 2005-11-24 2005-11-24 大豆抽出乾燥物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4338696B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009065937A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Nissin Foods Holdings Co Ltd 即席豆腐用の原料粉末及び即席カップ豆腐

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007143414A (ja) 2007-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2880566C (en) Sweetener compositions containing rebaudioside b
CN112384078A (zh) 甜味剂粉末组合物及其制备方法
JP5997854B1 (ja) 飲食用組成物
CA2997229A1 (en) Reducing or eliminating a steviol glycoside-related off-taste in food or beverage compositions
JP2007176919A (ja) カルコン類化合物含有組成物
EP2030512B1 (en) Flavor improving agent
JP4257323B2 (ja) 小豆飲料及びその製造方法
KR20220099515A (ko) 감미료 분말 조성물 및 이의 제조 방법
JP4338696B2 (ja) 大豆抽出乾燥物の製造方法
JP4965350B2 (ja) マスキング剤
JP4633563B2 (ja) 植物性キャンディ及び植物性ソフトキャンディの製法
JP3702984B2 (ja) 含蜜糖組成物
JP2008278828A (ja) ブドウ果皮由来固形物を含有する呈味改善された油菓子及びその製造方法
JP6513332B2 (ja) 甘味料の呈味改善方法、甘味料の呈味改善剤、及び呈味改善組成物
JP4902554B2 (ja) 豆乳スープ
TWI610629B (zh) 加熱處理香草萃取物之製造方法
JP2016178910A (ja) シロップ組成物
JP3827090B2 (ja) 組成物及びその用途
WO2023195538A1 (ja) サツマイモ由来のイモ蜜、その上清、又はこれら双方の粉末又は顆粒からなるイモ蜜粉
JP5698959B2 (ja) ジャガイモ加工食品用調味液及びこれを用いたジャガイモ加工食品。
JP2010104281A (ja) インスタント粉末飲料
JP2023005692A (ja) 血糖値上昇抑制剤
JP6307796B2 (ja) 糖加熱品粉末
JP2022151472A (ja) 粉末状褐藻類
JP2023014930A (ja) 呈味改善用組成物、呈味改善方法、フコースの使用、及びポリフェノール及びフコースを含有する組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080716

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080925

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090421

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090609

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4338696

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150710

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250