図1Aおよび図1Bはレンズホルダの正面図および背面図、図2はレンズホルダにレンズを弾性シールを介して保持させた状態を示す図、図3A、図3Bおよび図3Cは、図1AのIII−III線拡大断面図、レンズ保持面を示す図およびレンズ保持面の拡大断面図である。図4は図4は単焦点レンズ用ABS装置の正面図、図5は単焦点レンズ用ABS装置の平面図、図6A、図6Bおよび図6Cはホルダ収納用カセットの断面図、レンズホルダの係止状態を示す平面、およびレンズホルダの係止解除状態を示す平面図である。図7はピン位置から離れたカセット中央部の断面図、図8はレンズホルダのシャッタ機構を示す図、図9Aおよび図9Bはホルダ支持機構の平面図および正面図、図10はホルダ支持機構へのホルダ供給状態を示す図、図11はホルダ支持機構によるホルダ挟持状態を示す図、図12Aおよび図12Bは芯出し機構によるレンズホルダの芯出し動作を示す図、図13はホルダ保持装置の断面図、図14はホルダ装着、ホルダ受渡、レンズ保持、シール貼着等の位置関係を示す図である。図15Aおよび図15Bはホルダ保持装置へのレンズホルダの受け渡しを示す図で、ホルダ保持前の状態およびホるダ保持状態の図である。図16はシール供給装置の正面図、図17は図16のA−A矢視図、図18は送りローラを示す図、図19はシール貼着位置とその位置とその近傍部を示す平面図、図20はシール貼着位置の断面図、図21Aおよび図21Bはシール剥離機構の平面図および側面図、図22はシールテープを示す図、図23は弾性シールの貼着動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
先ず、単焦点レンズ用ABS装置によって処理されるレンズとレンズホルダの構造等を図1A、図1B、図2、図3A、図3Bおよび図3Cに基づいて説明する。
これらの図において、プラスチック製の眼鏡用単焦点レンズ(以下、単にレンズという)1は、凸側レンズ面1aおよび凹側レンズ面1bを備え、外周面が縁摺り加工装置によってレンズ枠形状と一致するように縁摺り加工される。
レンズ1の種類は、1つのレンズ度数D(ディオプター)に対して凸面カーブと凹面カーブの組み合わせにより無限ともいえるほど多く、実際は光学的収差と在庫管理などを考慮して決定される。具体的には、凸面カーブの種類を少なくして凹面カーブを違えるレンズ設計を採用することにより、例えば累進多焦点レンズでは2カーブから9カーブの8種類くらいまで用意され、単焦点レンズの場合には一般的に対応する度数範囲が広いので、例えば0カーブから11カーブまでの12種類が用意される場合がある。0カーブのレンズは凸側レンズ面がフラットなレンズである。
レンズ度数Dは、凸面カーブD1 と凹面カープD2 との曲率の差で表されるが、単焦点レンズや累進多焦点レンズのセミフィニッシュレンズの場合は、凸面カーブD1 のみでレンズ度数の種類分けをしている。例えば凸面のレンズ度数Dが4の単焦点レンズの場合、4カーブのレンズと呼んでおり、その曲率半径はD=(N−1)×1000/R(mm)によって求められる。この場合、Nはレンズの屈折率で、最も汎用的なプラスチックレンズ材料であるジエチレングリコールビスアリルカーボネートの場合、1.50である。Rは凸側レンズ面の曲率半径である。したがって、4カーブの場合は、前記式に代入すると、4=(1.5−1)×1000/Rから、R=125mmとなる。同様に、7カーブの場合は曲率半径に換算すると、約71mm、11カーブの場合は約45mmとなる。
レンズホルダ2は、弾性シール3を介してレンズ1の凸側レンズ面1aを保持する。レンズホルダ2としては、レンズ1の安定した保持のためにレンズ度数Dが異なる個々のレンズに対して専用のものを用いることが最も望ましいが、そうするとホルダ自体の種類が著しく増加する。そこで、実際には1種類のレンズホルダで凸面カーブの異なる何種類かのレンズをカバーできるように、レンズ保持面9の曲率を段階的に異ならせたものを数種類用意しておき、凸面カーブに応じて選択して使用する。具体的には、0カーブから11カーブまで12種類の単焦点レンズの場合、カーブの大、中、小によって3つのレンズ群、例えば0〜3カーブの第1レンズ群、4〜6カーブの第2レンズ群および7〜11カーブの第3レンズ群に分類し、これらのレンズ群に対応してレンズ保持面9の曲率が異なる3種類のレンズホルダ2を用意することで、レンズホルダ2の共通化を図るようにしている。
このようなレンズホルダ2は、ステンレス等の金属によって鍔付の筒状体に形成されることにより、嵌合軸部4と、この嵌合軸部4の外周で先端寄りと先端部に一体に設けられたフランジ5およびレンズ保持部6を備えている。嵌合軸部4は、例えば長さが35mm、外径が14mmφ程度で、中心孔7の穴径が10mmφ程度である。
前記フランジ5は、縁摺り加工装置のクランプ軸に嵌合軸部4が嵌合する嵌合量を規定するもので、厚さが5mm程度、外径が20mmφ程度である。また、フランジ5の周面には、前記クランプ軸に対するレンズホルダ2の回転を防止する回転防止部としての切欠き溝8が形成されている。この切欠き溝8のレンズ保持部6側とは反対側の開放部は、クランプ軸への嵌合を容易にするために外側に開いたテーパ面8aを形成している。
前記レンズ保持部6は、嵌合軸部4の先端側外周に設けられて前記フランジ5と厚さおよび外径が略等しく、フランジ5との間に5mm程度の間隔が設定されている。このレンズ保持部6の前記弾性シール3が密接される面は、レンズ1の凸側レンズ面1aに対応した凹球面状のレンズ保持面9を形成している。このレンズ保持面9の曲率半径は、上記した通り前記第1、第2、第3レンズ群毎に異なるため、レンズホルダ2としては3種類用意される。
レンズ保持面9の曲率半径は、凸側レンズ面1aの曲率半径より大きいとレンズ保持面9の中心部のみが凸側レンズ面1aに接触して外周部が非接触となるため、不安定な保持となり、反対に小さいとレンズ保持面9の外周部のみが凸側レンズ面1aに接触して中心部が非接触となるため、安定した保持となる。したがって、レンズホルダ2は、レンズ保持面9の曲率半径をレンズホルダに対応するレンズ群中の各レンズの曲率半径のうち最も小さい曲率半径より小さいかこれと略等しい値に設定され、これによりレンズ保持面9の外周部による安定したレンズ保持を可能にしている。ただし、両者の曲率半径の差が大きいと、レンズ保持面9と凸側レンズ面1aの密着度が低くなるため、差は小さいことが望ましい。
このため、本実施の形態においてはレンズ保持面9が4カーブ、7カーブ、11カーブの3種類のレンズホルダ2を用意し、4カーブのレンズホルダを0〜3カーブのレンズからなる第1レンズ群用として、7カーブのレンズホルダを4〜6カーブのレンズからなる第2レンズ群用として、11カーブのレンズホルダを7〜11カーブのレンズからなる第3レンズ群用としてそれぞれ用いるようにしている。なお、4カーブ、7カーブ、11カーブからなる3種類のレンズホルダ2は、レンズ保持面9の曲率半径Rのみが異なるだけで、その他の構造は全く同一である。
また、前記レンズ保持面9には、前記弾性シール3との密着結合力を高めるために、多数の微小な突状体10が全周にわたって放射状に形成されている。突状体10は、断面形状が二等辺三角形に形成されることにより、その頂点10aを境に、レンズホルダ2の回転方向側の壁面10bと反対側の壁面10cとが同一の傾斜角度(例えば45°)の斜面に形成されている。このように同一角度にすると、両方の斜面に均等に弾性シール3が密着することになり、接触面積の増大により、シールの適当な可撓性や変形性が生かされ、レンズ保持力を増大させることができる。また、同じ傾斜角度の両斜面に均等に弾性シール3が圧接するので、アンバランスな回転力が相殺されて発生しなくなり、弾性シール3が回転ずれしてレンズの保持精度が低下することもなくなる。
前記フランジ5とレンズ保持部6の周面には、レンズホルダ2を収納する後述するホルダ収納用カセットの係合部と係合する回転防止部11が形成されている。この回転防止部11は、フランジ5とレンズ保持部6の周面の一部を軸線と直交する方向から切削して形成した溝からなり、前記回転防止部8とは背中合わせになるように180°位相を異ならせて形成されている。
さらに、レンズホルダ2の内部で嵌合軸部4の基端部側には、レンズホルダ2の種類を識別するための部材13が圧入されており、その一端面がレンズホルダ2の基端面と略同一面を形成している。この部材13は、合成樹脂によって所要の色に着色された筒状体に形成されている。部材13の色は、例えば4カーブのホルダの場合は白色に、7カーブのホルダの場合は赤色に、11カーブのホルダの場合は青色にそれぞれ着色されている。したがって、部材13の色を見ることにより、レンズホルダ2が4カーブのものか、7カーブのものかあるいは11カーブのものかを一目で識別することができる。
前記弾性シール3は、厚さが0.5〜0.6mm程度の薄いゴムによって、外径が前記レンズ保持面9の外径より大きく(22mmφ程度)、内径がレンズホルダ2の穴径より小さい(8mm程度)リング状に形成され、両面に粘着剤を塗布したものが用いられる。
次に、図4〜図23を用いて単焦点レンズ用ABS装置の構成等を説明する。
図4および図5において、単焦点レンズ用ABS装置20は、縁摺り加工装置に隣接して設置されるもので、基台21に設けられたホルダ搬送装置22と、ホルダ保持装置23と、シール供給装置24と、レンズ供給装置25と、レンズメータ26等を備え、凸面カーブが異なる12種類(0〜11カーブ)の単焦点レンズをランダムに順次処理するバッチ方式を採用している。
前記ホルダ搬送装置22は、4カーブ、7カーブおよび11カーブの3種類のレンズホルダ2を処方レンズに応じてホルダ保持装置23に順次供給するためのもので、ホルダ供給機構28と、ホルダ支持機構29とを備えている。
前記ホルダ供給機構28は、ホルダ供給方向(図5の矢印27方向)にレンズホルダ2が自重によって滑動可能な角度(例えば、20°)傾斜して幅方向に並設された3つのシュート30を備え、これらのシュート30の上流側には所要個数(例えば42個)のレンズホルダ2をその種類毎に収納した3本のホルダ収納用カセット31がシュート30と同一角度でそれぞれ着脱自在に設置されている。
図4,図5,図6Aおよび図6Bにおいて、前記カセット31は、金属、合成樹脂等によって両端が開放する細長い矩形の中空体に形成されることにより、レンズホルダ2を一列に整列させてかつ回転防止部11の向きを一定に揃えて収納するもので、上板32の幅方向中央に開口部33が全長にわたって形成されており、この開口部33からレンズホルダ2のフランジ5より基端部側がカセット31の上方に突出している。したがって、レンズホルダ2の基端部側に取り付けられた部材13をカセット31の上方から視認することができ、カセット31内に異なった種類のレンズホルダ2が混入して収納されている場合は、一目で確認することができる。また、カセット31の装着ミスを防止することができる。すなわち、カセット31自体も部材13の色によって識別されるため、あるカセットを本来設置すべきシュート以外のシュートに設置したり、あるいは同一種のレンズホルダを収納する複数のカセットを複数のシュートに設置したりするといったミスを防止できる。
開口部33の幅は、レンズホルダ2の嵌合軸部4の外径より若干大きく設定されており、この開口部33によってフランジ5の下面を摺動自在に支持している。また、前記上板32は、図6Aからわかるように、開口部33を挾んでその一方の板部32aが他方の板部32bよりカセット31の板厚分程度高くなるように段違いに形成されている。一方の板部32aの端縁部32a1 は、レンズホルダ2の回転防止部11に差し込まれ、さらにこの板部32aの下面側にも前記回転防止部11に差し込まれる逆L字型のブラケット34が固定され、これらによってレンズホルダ2の向きを揃え、自由な回転を防止している。
また、カセット31の内部で下流側開口部付近には、レンズホルダ2の脱落を防止する一対の脱落防止用ピン35が左右方向に移動自在に配設されている。これらのピン35は、下端が引張りコイルばね36によって互いに連結され互いに接近する方向に付勢されていることにより、通常はレンズ保持部6に接触してレンズホルダ2の脱落を防止している。そして、カセット31が前記シュート30に装着されると、引張りコイルばね36に抗して互いに離間する方向に移動してレンズホルダ2の係止を解除するように構成されている。なお、ピン35の離間方向の移動は、シュート30側に設けた適宜な部材37によって行われる。
図7はピン位置から離れたカセット中央部の断面図で、一対の脱落防止用ピン35を備えていない点で図6Aと異なっている。
このようなカセット31内のレンズホルダ2は、自重によりカセット31およびシュート30を滑動してシャッタ機構38によって1つずつ順次排出され、そして前記ホルダ支持機構29によって支持される。
図4および図8において、シャッタ機構38は、シュート30の排出口30aを通常閉塞することにより1番目のレンズホルダ2Aを係止する一対のストッパピン39と、これらのストッパピン39を上下動させるエアシリンダ40とを備え、図示しない制御部からの供給信号によってエアシリンダ40が駆動されることによりシュート30からレンズホルダ2が排出される。すなわち、エアシリンダ40の駆動によってストッパピン39が下降してシュート30の通路から退出すると、1番目のレンズホルダ2Aは、ストッパピン39から解放されるため、自重によってシュート30の排出口30aから出て終端部30b上に移動する。この終端部30bは、レンズホルダ2の滑動速度を遅くし前記ホルダ支持機構29の後述するストッパ47に当たったときの衝撃を小さくするために傾斜角度が小さく設定されている。前記1番目のレンズホルダ2Aが通過すると、ストッパピン39は上昇して再び元の状態に復帰する。このため、2番目のレンズホルダ2Bはストッパピン39の位置までシュート30上を滑動するとストッパピン39によって係止され、新たに1番目のレンズホルダとなる。そして、このような動作を繰り返すことにより、レンズホルダ2は1つずつ自動的に供給される。なお、シュート30もカセット31と略同一に形成され、前記基台21上に固定されている。
また、このシュート30の下流側および中間部の2箇所には、レンズホルダ2の有無を検出するセンサ41が取付けられている。上流側のセンサ41は、シュート30内にレンズホルダ2が残り9個となったときにONし、補給を促すためのものである。下流側のセンサ41はシュート30内にレンズホルダ2が残り1個になったときにONし、装置を停止させるためのものである。
図5、図8、図9Aおよび図9Bにおいて、ホルダ支持機構29は、前記シュート30の終端と対向するように前記基台21上に配設されるもので、ABS装置20の前後方向(図5の矢印Y方向)に移動自在で前記各シュート30の終端位置A1 ,A2 ,A3 とホルダ装着位置A4 との間を往復移動するステージ43を備えている。このステージ43は、前記基台21上に設置された左右一対のレール44とボールねじ45によって移動自在に保持されており、駆動モータ46の駆動によってボールねじ45が回転すると、レール44およびボールねじ45に沿って移動するように構成されている。前記各シュート30の終端位置A1 ,A2 ,A3 には、シュート30の終端部30bが位置付けられている。
また、前記ステージ43の上面には、前記シュート30の前記終端部30bに供給されるレンズホルダ2を受け止めるストッパ47と、レンズホルダ2を支持する一対のホルダハンド48A,48Bと、これらのホルダハンド48A,48Bを互いに接近離間する方向に同期して作動させるエアシリンダ49が配設されている。一方のホルダハンド48Aは、断面形状が円形の棒状体からなり、先端部の周面でレンズホルダ2の回転防止部11を保持する。他方のホルダハンド48Bは断面形状が矩形の棒状体からなり、先端部でレンズホルダ2と対向する側面にV字状の凹部50が形成されており、この凹部50によってレンズホルダ2の前記回転防止部11とは反対側でフランジ5とレンズ保持部6の外周面を保持する。このようなステージ43は、レンズホルダ2の供給時に3つのシュート30のうちレンズホルダ2を供給しようとするシュートの終端位置、例えばA1 位置に予め移動してホルダハンド48A,48Bを開いた状態で待機しており(図9A、図9B)、レンズホルダ2がシュート30の終端部30b上に供給されると、ストッパ47がレンズホルダ2を受け止め(図10)、一対のホルダハンド48A,48Bが閉じることによりレンズホルダ2を挟持する(図11)。しかる後、この挾持したレンズホルダ2をホルダ装着位置A4 に搬送し、レンズホルダ2の芯出しを行った後、ホルダ保持装置23へのレンズホルダ2の受け渡しが行われる。
図12Aおよび図12Bにおいて、前記ホルダ装着位置A4 には、前記ホルダハンド48A,48Bによって支持されているレンズホルダ2の芯出しを行う芯出し機構53が配設されている。この芯出し機構53は、昇降テーブル54と、この昇降テーブル54を昇降させるエアシリンダ55とで構成されている。昇降テーブル54の上面には、前記レンズホルダ2のレンズ保持部6の外径より若干大きい穴径で比較的浅い凹部56が形成されている。また、この凹部56の中央には円形の凸部57が設けられており、その外径はレンズホルダ2の中心孔7(図3)より僅かに小さく設定されている。このような昇降テーブル54は、通常レンズホルダ2の略真下に離間して位置し(図12A)、レンズホルダ2の芯出しに際してエアシリンダ55の駆動によって上昇すると(図12B)、凹部56がレンズホルダ2のレンズ保持部6を受け止め、凸部57が中心孔7に嵌合することにより、レンズホルダ2の中心と凸部57の中心が一致して芯出しされる。この時、一対のホルダハンド48A,48Bは、芯出しを可能にするためにエアシリンダ49を開放して融通性をもたせてあり、レンズホルダ2を左右、前後方向に移動可能に保持している。レンズホルダ2が芯出しされると、続いて昇降テーブル54が下降して元の初期位置に復帰することにより芯出しが終了する。
図5、図13〜図15A,図15Bにおいて、ホルダ保持装置23は、前記ホルダ支持機構29の一側で前記シール供給装置24とレンズ供給装置25の間の空間に配設されている。このホルダ保持装置23は、前記ホルダ装着位置A4 において前記ホルダ支持機構29から芯出しされたレンズホルダ2を受け取ると、シール貼着位置A5 に搬送して保持しているレンズホルダ2のレンズ保持面9に前記弾性シール3を貼着した後、レンズ保持位置A6 に搬送して前記弾性シール3によってレンズ1を保持させるものである。このようなホルダ保持装置23は、回動アーム60と、この回動アーム60の先端部に取付けられて前記レンズホルダ2を保持するクランプ装置61と、前記回動アーム60を水平面内において回動させるアーム用駆動モータ(アーム用駆動装置)62と、前記クランプ装置61を昇降させるクランプ用エアシリンダ(クランプ用駆動装置)63等を備えている。
回動アーム60は、前記基台21上に立設した垂直な回転軸64の上端部に固定されている。前記回転軸64は、前記基台21上に立設した筒体280内にラジアルベアリング300およびスラストベアリング301を介して回転自在に配設され、下端に歯付きプーリ302が固定されている。前記駆動モータ62は、前記基台21に設けた取付部材305に出力軸71を上に向けて垂直に固定されている。出力軸71には軸72がカプリング306を介して連結されている。軸72は、歯付きプーリ308を備え、このプーリ308と前記プーリ302との間にタイミングベルト307が張設されている。したがって、駆動モータ62を駆動して出力軸71を回転させると、この回転はカプリング306−軸72−プーリ308−タイミングベルト307−プーリ302を経て回転軸64に伝達され、回動アーム60を水平面内において回動させることができる。回動アーム60の回動角度は、本実施の形態においては300°である。
クランプ装置61は、前記レンズホルダ2の嵌合軸部4が嵌合する筒状の本体82と、前記レンズホルダ2を本体82に固定し脱落を防止するホルダ固定機構83等で構成されている。前記本体82は、前記回動アーム60の先端部に上下動自在にかつ回転自在に配設された保持軸314の下端に固定されている。前記ホルダ固定機構83は、前記本体82に設けた支持ピン312によって図13において矢印A方向に回動自在に軸支されたホルダ固定部材84等を備えている。ホルダ固定部材84は、レンズホルダ2を本体82に押圧して固定するもので、下端がレンズホルダ2の嵌合軸部4を押圧する押圧部84aを形成し、前記本体82の周面に形成した軸線方向に長い長孔88内に配設され、かつ引張りコイルばね315によって図13において反時計方向に付勢されていることにより、通常は押圧部84aが本体82の外部に突出されている。これは、本体82に対するレンズホルダ2の嵌合を容易にするためである。
さらに、ホルダ固定機構83は、前記ホルダ固定部材84を動作させるエアシリンダ90を備えている。このエアシリンダ90は、前記本体82の外周に作動ロッド90aをホルダ固定部材84と対向させて取付けられており、本体82にレンズホルダ2の嵌合軸部4が嵌合したとき、エアの供給によって作動することにより、可動ロッド90aが前記ホルダ固定部材84を押圧して引張りコイルばね315に抗して時計方向に回動させるように構成されている。このため、ホルダ固定部材84の押圧部84aは、レンズホルダ2の嵌合軸部4を押圧して本体82の内周面に押付け、これによってレンズホルダ2の脱落が防止される。
前記軸85は、前記回動アーム60の先端部に固定した外筒94内に上下動自在にかつ回転自在に貫通して配設されるもので、上端が前記クランプ用エアシリンダ63にカプリング95を介して連結され、下端部が前記外筒94の内部下方に配設したスリーブ102を回転自在にかつ上下動自在に貫通している。前記カプリング95は、前記エアシリンダ63の可動ロッド63aに固定された円柱状の第1カプリング95Aと、この第1カプリング95Aに連結ピン320を介して連結された筒状体からなる第2カプリング95Bとで構成され、この第2カプリング95B内に配設したベアリング97によって前記軸85の上端部を回転自在に軸支するとともに、止めねじ98によって第2カプリング95Bからの脱落を防止している。前記連結ピン320の両端部は、前記外筒94の内部に上方に突出させて設けた内筒100によって摺動自在に支持されており、これによって第2カプリング95Bの回転を防止している。前記内筒100の周面には、前記連結ピン320を案内する一対のガイド孔101が軸線方向に長く形成されている。したがって、前記エアシリンダ63を駆動して可動ロッド63aを下降させると、前記クランプ装置61は軸85とともに下降される。
また、前記回動アーム60の上面には、前記クランプ装置61を回動させる駆動モータ105が下向きに設置されている。この駆動モータ105は、乱視軸の角度に応じて前記クランプ装置61を回動させるためのもので、その出力軸105aにカプリング106を介して従動軸107の上端が連結されている。従動軸107は、取付部材103に設けたベアリング108によって回転自在に軸支され、中間部に小径の歯車109が固定されている。前記取付部材103は、前記回動アーム60に固定されている。前記従動軸107の側方には伝達軸111がこれと平行に配設されている。この伝達軸111は、取付部材115に設けたベアリング112によって回転自在に軸支され、上端に歯付きプーリ113が固定され、中間部には前記小径の歯車109に歯合する大径の歯車114が固定されている。前記取付部材115は、回動アーム60に固定されている。
前記歯付きプーリ113に対応して前記軸85の中間部には、歯付きプーリ116が配設されており、これらのプーリ113,116にタイミングベルト117が張設されている。前記歯付きプーリ116は、前記内筒100と前記スリーブ102との間にベアリング119を介して回転自在に配設され、前記軸85に対してはスプライン嵌合によって相対摺動自在に取付けられている。このため、軸85の外周には軸線方向に長い溝120が形成される一方、歯付きプーリ116の内周面には前記溝120が摺動自在に嵌合する突状体が突設されている。したがって、前記駆動モータ105の回転は、前記歯車109,114によって減速された後、歯付きプーリ113,116およびタイミングベルト117を介して前記軸85に伝達され、これによってクランプ装置61が乱視軸の角度だけ回動される。
前記外筒94には、前記軸85を原点位置に位置決めするための原点センサ121と、軸85の回動範囲を360°に制限するリミットセンサ122が配設されている。
前記筒体280にはアーム固定装置127が取付板128を介して取付けられ、このアーム固定装置127に対応して前記回動アーム60の下面に回り止め129が固定されている。前記アーム固定装置127は、前記クランプ装置61が前記回動アーム60の回動によって前記レンズ保持位置A6 に移動して停止したとき、前記回動アーム60をその回動位置に一時的に固定することによりクランプ装置61をレンズ1に押し付けたときのクランプ装置61の回転を防止するためのものである。このようなアーム固定装置127としては、エアシリンダが用いられ、その可動ロッド127aを上に向けて前記取付板128に固定されている。また、可動ロッド127aの上端には逆V字状の係合部材130が取付けられている。前記回り止め129の下面には、前記クランプ装置61が前記レンズ保持位置A6 に移動して停止したとき、前記係合部材130が係合するV字状溝129aが形成されている。
前記ホルダ装着位置A4 、シール貼着位置A5 、レンズ保持位置A6 およびホルダ受け渡し位置A7 は、図14に示すように前記回動アーム60の回転中心Oを中心としクランプ装置61までの距離を半径とする同一円周上に位置するように設けられている。ホルダ装着位置A4 は、クランプ装置61が前記ホルダ支持機構29からレンズホルダ2を受け取って保持する位置で、この位置からシール貼着位置A5 が反時計方向に120°ずれ、ホルダ受け渡し位置A7 が230°ずれ、レンズ保持位置A6 が270°ずれている。シール貼着位置A5 は、クランプ装置61に保持されているレンズホルダ2に前記弾性シール3を貼着する位置である。レンズ保持位置A6 は、クランプ装置61によって保持されているレンズホルダ2にレンズ1を前記弾性シール3を介して保持させる位置である。ホルダ受け渡し位置A7 は、レンズ1を保持しているレンズホルダ2(クランプ装置61によって保持されている)を縁摺り加工装置に供給するための搬送ロボットに受け渡す位置である。なお、ホルダ装着位置A4 とレンズ保持位置A6 との間には、クランプ装置61を待機させる待機位置A8 が設けられている。
クランプ装置61によってレンズホルダ2を保持するときは、回動アーム60の回動によってクランプ装置61を図15A,図15Bに示すようにホルダ装着位置A4 の上方に移動させる(図15A)。クランプ装置61がホルダ装着位置A4 の上方で停止すると、エアシリンダ63(図13)を駆動して軸85を下降させ、クランプ装置61の本体82をレンズホルダ2の嵌合軸部4に上方から嵌合させる(図15B)。
次に、エアシリンダ90を駆動してホルダ固定部材84を引張りコイルばね315に抗して時計方向に回動させることにより、ホルダ固定部材84の押圧部84aを嵌合軸部4に押し付ける。次に、ホルダ支持機構29のホルダアーム48A,48Bを開いてレンズホルダ2の支持を解除すると、レンズホルダ2はクランプ装置61によって保持され、ホルダ支持機構29からクランプ装置61への受け渡しが終了する。そして、クランプ装置61は再び上昇し、回動アーム60の回動により保持しているレンズホルダ2を前記シール貼着位置A5 に搬送する。
図4、図5、図16〜図22において、前記シール供給装置24は、ホルダ搬送装置22によるレンズホルダ2の供給に応じて弾性シール3をシール貼着位置A5 へ間欠的に供給するためのもので、前記ホルダ支持機構29を挟んでホルダ供給機構28と対向するように配設されている。
前記シール装着位置A5 に供給される前記弾性シール3は、図22に示されるように弾性シール3を台紙65と保護紙66によって覆いロール状に巻回したシールテープ67の形態でテープ装填部68(図16)に装填される。台紙65は幅が32mmで、幅方向中央にピッチ24mmで位置決め用孔69が形成され、この位置決め用孔69に中心孔303を一致させて弾性シール3が貼着されている。位置決め用孔69と弾性シール3の中心孔303は、同一の穴径(8mmφ)である。前記保護紙66は台紙65と同一の幅を有している。
このようなシールテープ67は、スプール304に巻回されており、その軸72の各端部が前記テープ装填部68を形成する互いに対向した一対の側板73に形成した軸受孔74に上方から挿抜自在に挿入されて支持されている。また、左右一対の側板73には、保護紙66を台紙65から剥離する保護紙剥離機構75と、保護紙66が剥離されたシールテープ67を送る送りローラ76が配設されている。保護紙剥離機構75は、前記軸受孔74の上方に図示を省略した支持部材によって配設された第1ローラ78と、一対の側板73の後端部上方間に回転自在に配設された第2ローラ79とからなり、これらのローラ78,79にシールテープ67から剥離された保護紙66を添接し、シールテープ67が繰り出されると自重によって落下させるようにしている。前記送りローラ76は、前記一対の側板73の前端側上面に形成した軸受孔80によって回転自在に軸支され、保護紙66が剥離されたシールテープ67の下面(台紙の下面)が添接される。
さらに、前記一対の側板73のうち装置の手前側の側板73には、長孔310が形成されるとともに、この長孔310に前記シールテープ67の残量を検出するテープ残量検出用センサ311が配設されている。長孔310は、シールテープ67の半径方向に形成されてシールテープ67の最大径と最小径の差より長い長さを有し、その一端がスプール304の外周付近に位置し、他端がシールテープ67の最大径より外側に位置している。前記テープ残量検出用センサ311は、前記長孔310のスプール304側の終端部に取付けられ、シールテープ67の残量が一定量になるとONして残量を検出し、その検出信号が制御部に送出されるように構成されている。また、シールテープ67は長孔を通して視認することができるため、目視によるテープ残量の確認も可能である。
前記テープ装填部68の左側には、前記テープ装填部68に装填されているシールテープ67を間欠的に送り出して前記シール貼着位置A5 に供給するテープ送り出し機構85が配設されている。このテープ送り出し機構85は、基台21の下面側に取付けられたステップモータ86と、このモータ86の回転がタイミングベルト87を介して伝達されるギア88と、押し付けローラ89等を備え、この押し付けローラ89によって用済みの台紙65をギア88に所定圧で押し付けるようにしている。したがって、ステップモータ86の駆動によって前記ギア88および押し付けローラ89をテープ送り方向に回転させると、シールテープ67はテープ装填部68から繰り出される。また、テープ送り出し機構85は、前記基台21の上方に回転自在に配設された台紙用送りローラ90を備えている。前記基台21の下方には、前記ギア88と押し付けローラ89によって下方に導かれる用済みの台紙65を回収する台紙収納部91が設けられている。
前記台紙収納部91は、ステンレス等の金属板92と、基台21の下面とによって形成されている。金属板92は、折曲げ加工によって形成されることにより、円弧状に湾曲した湾曲部92aと、この湾曲部92aの下端に延設された後方に向かって傾斜する傾斜部92bとからなり、湾曲部92aの上端が前記押し付けローラ89の下方に位置し、表面全体に台紙65を滑り易くするためのテープ93が貼着されている。
前記基台21の上面には、箱型の搬送路形成部材96が設置されており、その上面中央部がシールテープ67のシール搬送路97を形成している。シール搬送路97の両側には、シールテープ67の幅方向両端部を案内する逆L字状のテープガイド98(図19、図20)が設けられている。また、シール搬送路97の前方部分は前記シール貼着位置A5 とされ、この位置にシールテープ67の台紙65の幅方向両端部をシール搬送路97に押し付けて浮き上がりを防止する押えローラ230が配設されている。この押えローラ230は、一対のベアリング231を有してシール搬送路97を横断し、両端部が引張りコイルばね224によって下方に付勢されることにより、前記ベアリング231のアウターレースによって台紙65を搬送路形成部材96の上面に押し付けている。一対のベアリング231は、台紙65との摩擦力を小さくしシールテープ67の円滑な搬送を得るために用いられるもので、台紙65の端部にのみ接触するように弾性シール3の外径より大きな間隔で押えローラ230に取付けられている。
前記シール貼着位置A5 (図20)には、ゴム等の弾性部材104が金属板200を介して配設されている。弾性部材104の上面は、前記搬送路形成部材96の上面と同一面で、シール搬送路97の一部を形成し、テープ装填部68側の上面に前記ベアリング231のアウターレースが接触している。また、弾性部材104の略中央部には、円形の穴201が貫通して形成されている。この穴201は弾性シール3の中心孔303と同一の穴径を有し、中心が前記シール貼着位置A5 の中心と一致している。また、前記金属板200にも前記穴201と一致する同径の穴202が貫通して形成され、この穴202に前記台紙65の位置決め用孔69を検出する反射形の光センサ220が配設されている。光センサ220は、弾性シール3をシール貼着位置A5 に停止させるためのもので、前記位置決め用孔69の前縁69a(テープ搬送側の孔縁)を検出するとONし、その検出信号が制御部に送出されると、制御部が一定時間後に前記ステップモータ86を停止させる。光センサ220が位置決め用孔69の前縁69aを検出した時から制御部がステップモータ86に信号を送り出して同ステップモータ86を停止させるまでの時間は、シールテープ67が位置決め用孔69の半径分だけ移動するに要する時間と等しく、これによって弾性シール3がシール貼着位置A5 の中心に正確に位置決めされて停止する。そして、この停止位置は弾性シール3の貼着基準位置とされる。
前記シール貼着位置A5 の直後には、レンズホルダ2が弾性シール3に押し付けられると台紙65から弾性シール3を剥離するシール剥離機構110が配設されている。このシール剥離機構110は、図21Aおよび図21Bに示すようにシール貼着位置A5 の直後のシール搬送路98(図19,図20)を挟んでその上方および下方に対向して配設された一対の挾持部材111A,111Bと、これらの挾持部材111A,111Bを同期して互いに接近、離間する方向に動作させる第1のエアシリンダ340と、前記挾持部材111A,111Bが台紙65を挟持した後にこれら挾持部材を前記第1のエアシリンダ340とともに一定量下降させる第2のエアシリンダ341とで構成されている。挾持部材111A,111Bは上下対称な板体からなり、挾持面の中央には溝342が形成されている。前記第1のエアシリンダ340は、ブラケット344に固定されている。第2のエアシリンダ341は、基台21上に設けたブラケット345に固定されており、可動子113aに前記ブラケット344が止めねじ346によって固定されている。
このようなシール供給装置24において、シールテープ67がテープ装填部68から供給されて弾性シール3がシール貼着位置A5 に位置決めされて停止すると、ホルダ保持装置23のクランプ装置61は回動アーム60の回動によってシール貼着位置A5 の上方に移動して停止する。次いで、下降してレンズホルダ2のレンズ保持面9を弾性シール3の上面に押し付けることにより突状体10を弾性シール3に食い込ます。このとき、第1のエアシリンダ340の駆動により一対の挾持部材111A,111Bが互いに接近する方向に動作して台紙65の端部を挟持する。次いで、第2のエアシリンダ341の駆動によってブラケット344を所定量下降させる。このため一対の挾持部材111A,111Bも一定量下降して挟持している台紙65を引き下げる。
一方、弾性シール3はレンズホルダ2のレンズ保持面9に貼着しているので、台紙65から剥離される。また、クランプ装置61が上昇復帰することにより、台紙65から完全に剥離され、レンズホルダ2への弾性シール3の供給が終了する。この後、クランプ装置61は、回動アーム60の回動によりレンズ保持位置A6 に移動する。そして、下降してレンズホルダ2に貼着されている弾性シール3をレンズ保持位置A6 に供給されているレンズ1に押し付けて密着させる。このため、レンズ1はレンズホルダ2に弾性シール3を介して保持される。図2はこの状態を示す。なお、前記シール供給装置24は、上記した光センサ220の他に、レンズホルダ2自体と、レンズホルダ2のレンズ保持面9に弾性シール3が貼着されたか否かを検出する反射形の光センサ221(図17、図18)を備えている。
図5において、前記レンズ供給装置25は、2本のガイドレール130と、ボールねじ131によってY軸方向に移動自在なYテーブル132と、このYテーブル132上に2本のガイドレール134とボールねじ135を介して設置されることによりX軸方向に移動自在なXテーブル136と、このXテーブル136に設置されたZ軸方向に移動自在なZテーブル137と、これらのテーブルを駆動する図示しない駆動モータ等を備えている。また、前記Zテーブル137は、左右一対のハンド138A,138Bを備え、これらのハンドによってレンズ供給装置25に供給されるレンズ1の外周縁を4点保持するように構成されている。一対のハンド138A,138Bはレンズ供給装置25に供給されるレンズ1を受け取って保持すると、前記レンズメータ26に搬送し、レンズの測定が行われる。測定が終了するとレンズ1を前記レンズ保持位置A6 に搬送してレンズ支持台上に載置し、この後クランプ装置61に保持されているレンズホルダ2がレンズ1を保持する。この間にレンズの凹側レンズ面の高さが測定される。
前記レンズメータ26は、レンズ供給装置25に供給されたレンズ1のレンズ度数、光学中心、乱視軸等を測定し、光学的レイアウトを行い、レンズ枠形状データに基づいてレンズホルダ2のレンズ1に対する取付位置、角度等を算出し決定する。そして、その結果を制御部に出力するように構成されている。
レンズ保持位置A6 において、レンズホルダ2はレンズ1を保持すると、ホルダ受け渡し位置A7 に搬送されて停止し、前記クランプ装置61から取り外されると、適宜な搬送ロボットによって縁摺り加工装置に搬送される。そして、レンズ1はレンズ枠形状データに基づいた加工プログラムにしたがってヤゲン加工等の縁摺り加工が施され、最終的にフレーム枠の形状と略一致する輪郭形状のレンズが制作される。
次に、レンズホルダ2へのシール貼着方法を図23に基づいて説明する。
保護紙66が剥離されているシールテープ67をステッピングモータ86の駆動によってシール貼着位置A5 に一定速度で搬送する(ステップ200)。シールテープ67がシール貼着位置A5 に搬送され、台紙65の位置決め用孔69の前縁69aがセンサ220と一致すると、センサ220はONして位置決め用孔69を検出し(ステップ201)、その検出信号を制御部に送出する。制御部はセンサ220からの検出信号を受信すると、穴径、モータの回転速度等により設定された時間が経過した後、ステッピングモータ86によるシールテープ67の搬送を停止させる(ステップ202)。この停止によって前記センサ220と一致している位置決め用孔69の位置が、当該孔に対応する弾性シール3の貼着基準位置として位置決めされる。前記設定された時間は、センサ220が位置決め用孔69の前縁69aを検出した後、この孔69の中心がセンサ220の中心まで移動するに要する時間である。
弾性シール3が貼着基準位置に位置決めされて停止すると、ホルダ保持装置23は、制御部からの貼着基準位置情報に基づいて回動アーム60を回動させ、レンズホルダ2を保持しているクランプ装置61をシール貼着位置A5 の上方に移動させて停止する。そして、クランプ装置61を下降させてレンズホルダ2のレンズ保持面9を弾性シール3の上面に押し付けることにより突状体10を弾性シール3に食い込ます(ステップ203)。レンズホルダ2が弾性シール3に押し付けられると、第1のエアシリンダ340(図21B)の駆動により一対の挾持部材111A,111Bが互いに接近する方向に動作して台紙65の端部を挟持し(ステップ204)、次いで、第2のエアシリンダ341の駆動によってブラケット344を所定量下降させる。このため一対の挾持部材111A,111Bも一定量下降して挟持している台紙65を引き下げる(ステップ205)。これに同期してクランプ装置61を上昇復帰させると、レンズホルダ2のレンズ保持面9に貼着されている弾性シール3は台紙65から剥離され、もって弾性シール3のレンズホルダ2への貼着が終了する(ステップ206)。
この後、クランプ装置61は、回動アーム60の回動によりレンズ保持位置A6 の上方に移動する。その途中において、センサ221がレンズホルダ2に弾性シール3が貼着されているか否かを検出する(ステップ207、208)。弾性シール3がレンズホルダ2に貼着されていない場合は、センサ221からの信号により制御部がホルダ保持装置23に貼着信号を送り出し、弾性シールの貼着動作を再度実行させる。
弾性シール3が貼着されているレンズホルダ2がレンズ保持位置A6 に移動して停止すると(ステップ209)、クランプ装置61の下降によってレンズホルダ2に貼着されている弾性シール3をレンズ保持位置A6 に供給されているレンズ1に押し付けて密着させる(ステップ210)。このため、レンズ1はレンズホルダ2に弾性シール3を介して保持される。このとき、レンズの測定時の計算値に基づいてレンズホルダ2を予め所要角度回転させておき、弾性シール3をレンズ1に押し付ける(ステップ211)。
このようなABS装置20によれば、レンズホルダ2をシュート30に供給し、レンズ1をレンズ供給装置25に供給し、レンズ枠形状データをキーボード、タッチパネル等の端末機器によって制御部に入力すると、レンズホルダ2の供給、芯出し、弾性シール3の供給およびレンズホルダ2への貼着、レンズホルダ2によるレンズ1の保持、レンズ1の測定等の一連の工程を全て自動的に行うことができるので、作業者の負担が著しく軽減され、作業能率および生産性を向上させるとともに省力化することができる。また、シール供給装置24は、シール剥離機構110を備え、台紙65と弾性シール3を強制的に剥離するので、弾性シール3をレンズホルダ2に確実に貼着することができる。
また、シール供給装置24は、弾性シール3を貼着基準位置に位置決めした後、クランプ装置61がレンズホルダ2を貼着基準位置の上方に搬送して下降させることにより、レンズホルダ2を弾性シール3に押し付けて貼着するようにしているので、弾性シール3をレンズホルダ2のレンズ保持面9に正確に貼着することができる。したがって、作業者が1枚ずつレンズホルダ2に貼着する必要がなく、作業能率を向上させることができる。
1…レンズ、2…レンズホルダ、3…弾性シール、24…シール供給装置、61…クランプ装置、65…台紙、66…保護紙、67…シールテープ、68…テープ装填部、69…位置決め用孔、75…保護紙剥離装置、85…テープ送り出し機構、220…センサ、A5 …シール貼着位置。