JP4335244B2 - 内燃機関用ノック制御装置 - Google Patents
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Description
たとえば、高速運転状態においては、低速運転状態よりもノック周波数帯域が高くなりかつノック振動レベルが大きくなる。
なお、バックグランドレベルは、ノック信号を平均化したものであり、このバックグランドレベルに基づいて、ノック有無を判定するためのノック判定値が演算される。
さらに、ノックセンサ出力に対してバックグランドレベルの変化が敏感になるので、過渡応答による精度悪化を招く可能性があるという課題があった。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る内燃機関用ノック制御装置10を内燃機関1とともに示すブロック図である。
各種センサ6は、図示を省略するが、周知のクランク角センサ(回転センサとしても機能する)などを含む。
ノックセンサ2から出力されたノックセンサ信号Vnは、ゲイン調整回路3およびフィルタ回路4を介して、フィルタ後のノック信号Vfに変換され、さらにピークホールド回路5を介して、ノックレベルに対応したピークホールド値Vpに変換された後、マイコン11内のA/Dポート12を介して、ノック検出手段14およびゲイン切換手段17に入力される。
また、運転状態検出手段18により検出された運転状態は、ノックレベル学習手段15、フィルタ周波数切換手段16、ゲイン切換手段17および点火制御手段19に入力される。
ノック検出手段14は、ピークホールド値VpとバックグランドレベルBGLとの比較に基づいて内燃機関1のノックの有無を検出する。
ゲイン切換手段17は、内燃機関1の運転状態に応じて、ゲイン調整回路3の増幅率を切換えるためのゲイン設定信号Cgを出力する。
このとき、ゲイン切換手段17は、フィルタ周波数切換手段16によるフィルタ周波数Fの切換え前後でフィルタ回路4により抽出された各ノック信号Vfのレベル(ピークホールド値Vp)が同一となるように、ゲイン調整回路3の増幅率を切換える。
また、ノックレベル学習手段15は、ノック検出手段14により内燃機関1のノック発生が検出された場合には、各ノック信号Vfのレベルの学習処理を禁止する。
また、ノック検出手段14は、ノックレベル学習手段15による各ノック信号Vfのレベルの学習未完了時には、フィルタ周波数切換手段16による周波数切換え後の第1の所定時間にわたって、内燃機関1のノックの有無の検出処理を禁止する。
このとき、点火制御手段19は、ノックレベル学習手段15による各ノック信号Vfのレベルの学習実行時には、内燃機関1の点火時期をリタード側に制御する。
また、点火制御手段19は、ノックレベル学習手段15による各ノック信号Vfのレベルの学習未完了時には、フィルタ周波数切換手段16による周波数切換え後の第2の所定時間にわたって、内燃機関1の点火時期をリタード側に制御する。
すなわち、ノックセンサ信号Vnは、ゲイン調整回路3において、マイコン11の制御下で調整後の増幅率で増幅された後、フィルタ回路4に入力される。
このとき、フィルタ回路4は、フィルタ周波数切換手段16からのフィルタ周波数設定信号Cfに応じたフィルタ周波数帯域のノックセンサ信号Vnをノック信号Vfとして通過させる。
また、ピークホールド回路5は、マイコン11からのリセット信号Rsに応答して、周期的にリセットされる。
ノックセンサ信号Vnは、まずゲイン調整回路3において信号レベルが調整され、続いてフィルタ回路4において、ノック発生時の振動に対応した特有の周波数信号成分がノック信号Vfとして抽出される。
このとき、ゲイン調整回路3のゲインGおよびフィルタ回路4で抽出されるフィルタ周波数Fは、マイコン11からのゲイン設定信号Cgおよびフィルタ周波数設定信号Cfにより可変設定される。
このとき、ピークホールド回路5には、内燃機関1の回転信号または点火信号Pに同期したリセット信号Rsがマイコン11から入力されており、ピークホールド回路5は、リセット信号Rsに応答して、ピークホールド値Vpを生成またはリセットする。
したがって、マイコン11は、ピークホールド値Vpがリセットされる直前に、A/Dポート12を介した入力情報を読み込むことにより、所定区間内のピークホールド値Vpをノック信号Vfのレベルとして検出することできる。
このとき、バックグランドレベルBGLは、前回バックグランドレベルBGL[i−1]と、ノック信号Vfのピークホールド値Vpと、バックグランドレベルBGLの反映係数k1とを用いて、たとえば以下の式(1)のように演算される。
そして、ノックが発生した(Vp>ノック判定レベル)と判定された場合には、ノック判定信号を点火制御手段19に入力し、ノックを抑制するために、内燃機関1の点火時期(点火信号Pの出力タイミング)を所定量だけ遅角制御する。
図2および図3においては、上から順に、内燃機関1の点火信号P、フィルタ回路4を介して抽出されたノック信号Vf、ピークホールド回路5から生成されたピークホールド値Vp、ピークホールド値Vpから演算されたバックグランドレベルBGLが示されている。
また、ノック信号Vfを通過させるフィルタ周波数Fは、破線で示した時刻t1で切換えられる場合が示されている。
このとき、フィルタ周波数Fの切換え前後でのノック信号Vfの出力レベルの差が大きい(たとえば図2参照)ほど、フィルタ周波数Fの切換え直後のノック判定レベルの演算精度悪化の程度が大きくなる。
これにより、ゲイン調整回路3内の増幅率調整用のスイッチング素子の駆動時間が切換えられ、ゲイン調整回路3の増幅率は、フィルタ周波数Fの切換後もノック信号Vfのレベルが同一となるように調整され、フィルタ周波数Fの切換え直後から安定したバックグランドレベルBGLが得られるようになる。
なお、ここでは、内燃機関1の運転状態を示す情報として、各種センサ6に含まれる回転センサからの回転信号(たとえば、クランク角信号)を用いており、マイコン11には、エンジン回転速度NEを示す回転信号が入力されるものとする。
図4において、まず、運転状態検出手段18は、回転センサからのパルス信号周期に基づいてエンジン回転速度NEを演算し(ステップ401)、エンジン回転速度NEの演算値を、ノックレベル学習手段15、フィルタ周波数切換手段16、ゲイン切換手段17および点火制御手段19に入力する。
このとき、所定回転速度は、高速運転状態の判定基準に対応した回転速度(たとえば、4000rpm)に設定されている。
なお、ここでは、フィルタ周波数切換手段16およびゲイン切換手段17のみの処理動作に注目しており、ノックレベル学習手段15の処理動作については後述する。
すなわち、フィルタ回路4およびゲイン調整回路3にフィルタ周波数設定信号Cfおよびゲイン設定信号Cgを出力し、フィルタ周波数FおよびゲインGとして、それぞれ低速運転状態に対応した第1のフィルタ周波数設定値Faおよび第1のゲイン設定値Gaを設定し(ステップ403)、図4の処理ルーチンを終了する。
すなわち、フィルタ回路4およびゲイン調整回路3にフィルタ周波数設定信号Cfおよびゲイン設定信号Cgを出力し、フィルタ周波数FおよびゲインGとして、それぞれ高速運転状態に対応した第2のフィルタ周波数設定値Fb(>Fa)および第2のゲイン設定値Gb(<Ga)を設定し(ステップ404)、図4の処理ルーチンを終了する。
また、ステップ403、404において設定される第1および第2のゲイン設定値Ga、Gbは、ゲイン切換手段17から出力されるゲイン設定信号Cgのデューティ値に対応する。
第1および第2のゲイン設定値Ga、Gbは、第1および第2のフィルタ周波数設定値Fa、Fbによる切換え前後でフィルタ回路4から抽出されるノック信号Vfのレベルが同一となるように、ゲイン調整回路3の増幅率を設定するようになっている。
また、ゲイン調整回路3のゲインG(増幅率)の切換え処理と、フィルタ回路4のフィルタ周波数Fの切換え処理とを、ステップ403、404において同期して実行しているが、同一のフィルタ周波数内で適切なノック信号Vfのレベルレンジを確保するために、非同期で切換え処理を実行してもよい。
さらに、内燃機関1の運転状態を示す信号として、エンジン回転速度NEを用いたが、エンジン負荷状態を示す空気充填量やインマニ圧力(吸気管内圧力)などを用いてもよい。
ノックレベル学習手段15は、前述した通り、フィルタ回路4におけるフィルタ周波数Fの切換え前後の各ノック信号Vfのレベルを学習する。
また、フィルタ回路4におけるフィルタ周波数Fの切換え前後でのノック信号Vfのレベルの違いは、フィルタ周波数Fの切換え直後のバックグランドレベルBGLの演算精度が低下する方向に影響を及ぼす。
具体的には、ノックレベル学習手段15は、ピークホールド値Vpに基づいて演算されたバックグランドレベルBGLを学習し、各フィルタ周波数設定値Fa、Fbに対応した学習値に基づいて、あらかじめ設定されているゲイン設定値Gに対して補正を施すことにより、内燃機関1の個々のばらつきや経年変化などによるノック信号Vfのレベルの違いをなくすようになっている。
したがって、ノックレベル学習手段15による学習処理は、ノック周波数の変化に対応したフィルタ周波数Fの切換え付近で、ノックが発生していない状態のみにおいて実行される。
ここで、第2の所定回転速度Nbは、前述(図4参照)の所定回転速度(たとえば、4000rpm)に対応する。
ステップ503において、ノックが発生していない(すなわち、NO)と判定されれば、第1の速度範囲内の運転領域にあるバックグランドレベルBGLのフィルタ処理値を、ノック信号Vfのレベルの学習値LAとして演算する(ステップ504)。
学習値LAは、前回学習値LA[i−1]、バックグランドレベルBGLおよび学習反映係数k2を用いて、以下の式(2)のように演算される。
ステップ506において、エンジン回転速度NEが第2の速度範囲内を示し、Nb≦NE<Nc(すなわち、YES)と判定されれば、続いて、ノック検出手段14からノック発生状態を示す判定結果が入力されているか否かを判定する(ステップ507)。
学習値LBは、前回学習値LB[i−1]、バックグランドレベルBGLおよび学習反映係数k3を用いて、以下の式(3)のように演算される。
なお、式(3)において、学習反映係数k3は、式(2)内の学習反映係数k2と同一値であってもよい。
ステップ510において、NLA>α、かつ、NLB>β(すなわち、YES)と判定されれば、以下の式(4)のように、ノック信号Vfのレベルに対する補正係数Kを演算する(ステップ511)。
一方、ステップ510において、NLA≦α、または、NLB≦β(すなわち、NO)と判定されれば、補正係数Kの値を「1」に固定設定する(ステップ512)。
ステップ513において、NE<Nb(すなわち、YES)と判定されれば、フィルタ周波数切換手段16は、フィルタ周波数Fとして第1のフィルタ周波数設定値Faを設定し、また、ゲイン切換手段17は、ゲインGとして第1のゲインGaを設定して(ステップ514)、図5の処理ルーチンを終了する。
以上のように、フィルタ周波数Fの切換え前後の各ノック信号Vfのレベルを学習し、各学習値LA、LBに基づく補正係数Kを用いてゲインGを補正することにより、個々の内燃機関1の差によるばらつきや経年変化などによるノック信号Vfのレベルの違いを補正することができ、フィルタ周波数Fの切換え直後のバックグランドレベルBGLの精度を確保することができる。
これにより、ノックレベル学習手段15による学習処理の禁止条件が解除されるので、さらに確実にノック信号Vfのレベルの学習処理を実行することができる。
これにより、各学習値LA、LBが安定して正確な値となった時点で補正係数Kを反映させることができる。
これにより、ノック誤検出を回避することができる。
これにより、ノックの発生を確実に防止することができる。
また、ノック信号Vfのレベルの学習処理が完了していない状態において、ノック検出手段14は、フィルタ周波数Fの切換え後の第1の所定時間にわたってノック検出を禁止するので、ノック誤検出を回避することができる。
さらに、フィルタ周波数Fの切換え後の第2の所定時間にわたって、点火制御手段19は、内燃機関1の点火時期をリタード側に制御するので、確実にノック発生を回避することができる。
Claims (5)
- 内燃機関に発生する振動をノックセンサ信号として検出するノックセンサと、
前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記ノックセンサ信号を調整後の増幅率で増幅するゲイン調整回路と、
前記ゲイン調整回路を介したノックセンサ信号から特定のフィルタ周波数の帯域のノック信号を抽出するフィルタ回路と、
前記内燃機関の運転状態に応じて前記ゲイン調整回路の増幅率を切換えるゲイン切換手段と、
前記内燃機関の運転状態に応じて前記フィルタ回路の抽出帯域となるフィルタ周波数を切換えるフィルタ周波数切換手段と、
前記フィルタ回路により抽出されたノック信号に基づいて前記内燃機関のノックの有無を検出するノック検出手段とを備え、
前記ゲイン切換手段は、前記フィルタ周波数切換手段による前記フィルタ周波数の切換え前後で前記フィルタ回路により抽出された各ノック信号のレベルが同一となるように、前記ゲイン調整回路の増幅率を切換える内燃機関用ノック制御装置において、
前記フィルタ周波数の切換え前後で前記フィルタ回路により抽出された各ノック信号のレベルを学習するノックレベル学習手段をさらに備え、
前記ゲイン切換手段は、前記ノックレベル学習手段により学習されたレベルに基づいて、前記フィルタ周波数の切換え前後で前記フィルタ回路により抽出された各ノック信号のレベルが同一となるように前記ゲイン調整回路の増幅率を切換えることを特徴とする内燃機関用ノック制御装置。 - 前記ノックレベル学習手段は、前記ノック検出手段により前記内燃機関のノック発生が検出された場合には、前記各ノック信号のレベルの学習処理を禁止することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ノック制御装置。
- 前記ノック検出手段は、前記ノックレベル学習手段による前記各ノック信号のレベルの学習未完了時には、前記フィルタ周波数切換手段による周波数切換え後の第1の所定時間にわたって、前記内燃機関のノックの有無の検出処理を禁止することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用ノック制御装置。
- 前記内燃機関の点火時期を制御する点火制御手段を備え、
前記点火制御手段は、前記ノックレベル学習手段による前記各ノック信号のレベルの学習実行時には、前記点火時期をリタード側に制御することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の内燃機関用ノック制御装置。 - 前記内燃機関の点火時期を制御する点火制御手段を備え、
前記点火制御手段は、前記ノックレベル学習手段による前記各ノック信号のレベルの学習未完了時には、前記フィルタ周波数切換手段による周波数切換え後の第2の所定時間にわたって、前記点火時期をリタード側に制御することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の内燃機関用ノック制御装置。
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