JP4333358B2 - カーボンペースト - Google Patents

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Description

本発明は、配線回路等に用いる、導電性の印刷被膜を形成するために用いられるカーボンペーストに関する。
従来より、配線回路等として用いる導電性の印刷被膜を形成するために、導電性ペーストが用いられていた。このような導電性ペーストとしては、導電素材として、銀、金、炭素を含有するものがある。ところが、銀を含む導電性ペーストは、日本のような火山国においては、硫化して硫化銀を生じ易く、所望の導電性を発揮できないおそれがあった。また、金は非常に高価であるため、導電素材に炭素を用いたカーボンペーストが導電性ペーストとして最も有効であると考えられている。
このようなカーボンペーストとしては、例えば土状、球状、鱗片状等の黒鉛粉末及びアセチレンブラックを、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂等の樹脂と混練したものがある。
具体的には、例えばポリイミド系樹脂とグラファイト粉を含むポリイミド系導電性グラファイトペーストの固形分に対して、シランカップリン剤を配合してなる耐熱導電性ペースト組成物がある(特許文献1参照)
このようなカーボンペーストを用いて導電性の印刷被膜を形成するにあたっては、一般に、カーボンペーストを基板に印刷し、キュア(焼成)により樹脂を収縮硬化させる。このキュアにより、カーボンペーストを基板に密着させ、またカーボンペーストの電気抵抗を低下させて所望の導電性を確保する。
しかしながら、上記のような従来のカーボンペーストにおいては、粒径が10μm未満さらには5μm以下の黒鉛粉末を用いているため、黒鉛粉末の接触抵抗が大きい。このようなカーボンペーストを使用して印刷被膜を形成すると、キュア時に印刷被膜の電気抵抗が充分に低下せず、充分な導電性を発揮できないという問題があった。
また、従来のカーボンペーストにおいては、例えば300℃以上という高温でキュアを行うと、カーボンペーストの樹脂成分の少なくとも一部が炭化してしまうという問題があった。このような炭化がおこると、カーボンペーストは充分な導電性を発揮できず、また基板への密着性が悪くなり、基板から剥離し易くなるという問題があった。また、炭化によりカーボンペーストが黄色に変色してしまうという問題があった。
一方、低温でキュアを行うと、カーボンペーストの電気抵抗が充分に低下せず、キュア後の電気抵抗が大きくなるという問題があった。
特開昭59−179650号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、高温でキュアを行うことができると共に、高温でキュアを行っても、変色がほとんど起こらず、充分な密着強度を発揮でき、かつ電気抵抗を充分に低下できるカーボンペーストを提供するものである。
本発明は、導電素材として球状及び鱗片状の黒鉛粉末とアセチレンブラックとを含有し、ヴィヒクルとしてポリエステルシリコーン樹脂を含有するカーボンペーストであって、
該カーボンペーストにおける上記球状の黒鉛粉末、鱗片状の黒鉛粉末、アセチレンブラック、及びポリエステルシリコーン樹脂の含有量の合計を100重量部とすると、
上記カーボンペーストは、上記球状の黒鉛粉末を15〜25重量部、上記鱗片状の黒鉛粉末を15〜25重量部、上記アセチレンブラックを10〜20重量部、及び上記ポリエステルシリコーン樹脂を40〜55重量部含有し、
上記球状及び鱗片状の黒鉛粉末は、その平均粒径が10μm〜20μmであることを特徴とするカーボンペーストにある(請求項1)。
本発明のカーボンペーストにおいては、10μm〜20μmという平均粒径が大きな黒鉛粉末を含有している。そのため、黒鉛粉末間の接触抵抗を低下させることができる。
また、上記ヴィヒクルとして耐熱性に優れるポリエステルシリコーン樹脂を使用している。そのため、上記カーボンペーストは、例えば基板等に印刷し、例えば200℃〜450℃という高温でキュアを行うことができる。さらに、上記カーボンペーストにおいては、高温でキュアを行ってもカーボンペーストを貼り付ける基板等との密着強度が低下したり、上記カーボンペーストが炭化して変色が起こることはほとんどない。
また、上記カーボンペーストは、シリコーン等の樹脂に対しても密着性良く帖着できる。
また、上記カーボンペーストにおいては、上記導電素材として、アセチレンブラックに加えて、球状の黒鉛粉末と鱗片状の黒鉛粉末とを併用している。そのため、上記カーボンペーストにおいては、球状の黒鉛粉末同士の間にできる空隙を、鱗片状の黒鉛粉末が埋めることができる。それ故、上記カーボンペーストにおいては、上記黒鉛粉末の充填密度が高くなり、導電パスが増加する。その結果、上記カーボンペーストは、キュア時に電気抵抗を充分に低下させることができ、キュア後に優れた導電性を発揮できる。
また、上記アセチレンブラックは、細かい粒子であり、上記ヴィヒクルとしてのポリエステルシリコーン樹脂中に分散されて、キュア時に上記カーボンペーストの電気抵抗を低下させることができる。
このように、本発明によれば、高温でキュアを行うことができると共に、高温でキュアを行っても、変色がほとんど起こらず、充分な密着強度を発揮でき、かつ電気抵抗を充分に低下できるカーボンペーストを提供することができる。
本発明において、上記カーボンペーストは、球状の黒鉛粉末を15〜25重量部含有する。
球状の黒鉛粉末が15重量部未満の場合には、鱗片状の黒鉛粉末やアセチレンブラックに比べて嵩の小さい球状の黒鉛粉末の量が少なくなるため、上記カーボンペースト全体としての嵩が大きくなる。その結果、上記カーボンペーストの基板等への密着強度が低下するおそれがある。一方、25重量部を超える場合には、球状の黒鉛粉末間の接触抵抗が大きくなり、キュア後の上記カーボンペーストの電気抵抗が大きくなるおそれがある。好ましくは、上記カーボンペーストにおける上記球状の黒鉛粉末の含有量は、17〜22重量部がよい。
また、上記カーボンペーストは、上記鱗片状の黒鉛粉末を15〜25重量部含有する。
鱗片状の黒鉛粉末が15重量部未満の場合には、球状の黒鉛粉末間の空隙を充分に埋めることができなくなり、キュア時に上記カーボンペーストの電気抵抗が低下し難くなる。一方、25重量部を超える場合には、球状の黒鉛粉末に比べて上記鱗片状の黒鉛粉末は嵩が大きいため、上記カーボンペースト中における上記黒鉛粉末の分散性が劣化する。その結果、上記カーボンペーストの基板等への塗布性が劣化し、例えばスクリーン印刷等により上記カーボンペーストを印刷することが困難になる。好ましくは、上記カーボンペーストにおける上記鱗片状の黒鉛粉末の含有量は、17〜22重量部がよい。
また、上記カーボンペーストは、アセチレンブラックを10〜20重量部含有する。
アセチレンブラックが10重量部未満の場合には、キュア時に上記カーボンペーストの電気抵抗を充分に低下させることができないおそれがある。一方、20重量部を超える場合には、上記黒鉛粉末に比べて嵩の大きいアセチレンブラックの量が多くなるため、上記カーボンペーストの塗布性が劣化し、例えばスクリーン印刷等により印刷をおこなうことが困難になるおそれがある。好ましくは、上記アセチレンブラックの含有量は、13〜17重量部がよい。
また、上記カーボンペーストは、ポリエステルシリコーン樹脂を40〜55重量部含有する。
ポリエステルシリコーン樹脂が40重量部未満の場合には、キュア後のカーボンペーストの密着強度が低下するおそれがある。一方、55重量部を超える場合には、キュア後のカーボンペーストの電気抵抗が大きくなるおそれがある。好ましくは、上記ポリエステルシリコーン樹脂の含有量は、43〜50重量部がよい。
ポリエステルシリコーン樹脂は、シリコーン樹脂とポリエステル樹脂とをハイブリッド化したものである。
また、上記球状及び鱗片状の黒鉛粉末の平均粒径は10〜20μmである。
上記球状及び鱗片状の黒鉛粉末の平均粒径が10μm未満の場合には、黒鉛粉末の嵩が大きくなり、上記カーボンペーストの塗布性が劣化し、例えばスクリーン印刷等により印刷を行うことができなくなるおそれがある。また、黒鉛粉末間の接触抵抗が大きくなり、キュア後の上記カーボンペーストの電気抵抗が大きくなるおそれがある。一方、20μmを超える場合には、スクリーン印刷等により印刷を行うときに、目詰まり等の不具合を起こすおそれがあり、所望のパターンの印刷を精度よく形成することが困難になるおそれがある。好ましくは、上記球状及び鱗片状の黒鉛粉末の平均粒径は、13〜18μmがよい。
球状及び鱗片状の黒鉛粉末の平均粒径は、黒鉛粉末の各粒子における最長の長さの平均値である。黒鉛粉末の平均粒径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)等により計測及び算出することができる。
また、上記カーボンペーストは、例えば電磁調理器のタッチ式操作パネルの配線回路等を形成するためのペーストとして用いることができる。
電磁調理器のタッチ式操作パネルの配線回路においては、配線回路が高温になる場合が想定されるが、本発明のカーボンペーストを用いて配線回路を形成すると、耐熱性に優れるという上記カーボンペーストの特性を最大限に発揮できる。
また、電磁料理器のタッチ式操作パネルにおいては、使用に伴ってカーボンペーストにより形成した配線回路が摩耗により剥離するおそれがあるが、本発明のカーボンペーストは密着性に優れているため、このような問題がほとんど起こることはない。
また、一般に電磁調理器のタッチ式操作パネルを形成するに当たっては、表面にシリコーン等の樹脂層を有する基板を用いる場合があり、該基板の樹脂層の上に上記カーボンペストを塗布して配線回路を形成する。本発明のカーボンペーストは、シリコーンなどの樹脂層に対しても充分な密着強度で帖着できるため、樹脂層を有する基板にも適している。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき、図1を用いて説明する。
本例は、本発明の実施例にかかるカーボンペーストと比較用のカーボンペーストを作製すると共に、カーボンペーストを基板に印刷してキュアし、キュア後の電気抵抗及び基板への密着強度を調べる例である。
本例のカーボンペーストは、導電素材とヴィヒクルとからなるカーボンペーストである。該カーボンペーストは、上記導電素材として、球状の黒鉛粉末を15〜25重量部、鱗片状の黒鉛粉末を15〜25重量部、及びアセチレンブラックを10〜20重量部含有し、上記ヴィヒクルとしてポリエステルシリコーン樹脂を40〜55重量部含有する。また、本例において、黒鉛粉末の平均粒径は15μmである。
まず、以下のようにして、カーボンペーストを準備する。
即ち、まず、導電素材として、球状の黒鉛粉末、鱗片状の黒鉛粉末、及びアセチレンブラックを準備した。球状の黒鉛粉末及び鱗片状の黒鉛粉末としては、いずれも平均粒径が15μmのものを用いた。また、ヴィヒクルとして、ポリエステルシリコーン樹脂を準備した。本例においてはポリエステルシリコーン樹脂として、信越化学工業株式会社製の「KR−5230」を用いた。
次いで、上記にて準備した球状黒鉛粉末、鱗片状黒鉛粉末、アセチレンブラック、及びポリエステルシリコーン樹脂を、それぞれ19重量部、19重量部、15.5重量部、及び46.5重量部ずつ混合してカーボンペーストを作製した。これを試料E1とする。
次に、上記試料E1のカーボンペーストを印刷するための基板として、耐熱性ガラス基板を準備した。次いで、図1に示すごとく、この基板2に、スクリーン印刷により上記試料E1のカーボンペースト1を同図に示すような印刷パターンで印刷した。その後、カーボンペースト1を印刷した基板2を温度200℃で5分間キュアした。
キュア後、基板に印刷されたカーボンペースト(試料E1)の電気抵抗を測定した。また、基板に印刷されたカーボンペーストにセロハンテープを貼り、その後セロハンテープをはがしたときに、カーボンペーストが基板から剥離するか否かを調べ、カーボンペーストの基板への密着強度を調べた(剥離試験)。この結果を下記の表1に示す。
また、上記試料E1とは、球状の黒鉛粉末、鱗片状の黒鉛粉末、アセチレンブラック、及びポリエステルシリコーン樹脂の配合組成を変えて8種類のカーボンペーストを作製し、これらそれぞれを試料E2、試料E3、及び試料C1〜試料C6とした。これら試料E2、試料E3、及び試料C1〜試料C6についても、上記試料E1と同様に、基板に印刷しキュアした後の電気抵抗を調べ、また、上記と同様の剥離試験を行った。その結果を表1に示す。
表1より知られるごとく、試料E1〜試料E3のカーボンペーストは、キュア後に電気抵抗が充分に低下しており充分な導電性を発揮できることがわかる。また、上記剥離試験においても、カーボンペーストは基板から剥離せず、カーボンペーストは充分な密着強度で基板に帖着されていることがわかる。
一方、試料C1〜試料C6のカーボンぺーストは、キュア後の電気抵抗が上記試料E1〜試料E3に比べて大きく、充分な導電性を発揮できなかった。また、試料C1、試料C3、及び試料C5においては、上記剥離試験を行ったときに基板からカーボンペーストが剥離し、基板に充分に密着していなかった。
上記試料E1〜試料E3と、試料C1〜試料C6とは、球状及び鱗片状の黒鉛粉末、アセチレンブラック、及びポリエステルシリコーン樹脂の配合割合が異なっている。表1より知られるごとく、本例においてカーボンペーストは、球状の黒鉛粉末を15〜25重量部、鱗片状の黒鉛粉末を15〜25重量部、アセチレンブラックを10〜20重量部、ポリエステルシリコーン樹脂を40〜55重量部含有する場合に、キュア後に低い電気抵抗を示し、充分な密着強度で基板に帖着できた。
(実施例2)
本例は、球状及び鱗片状の黒鉛粒子の平均粒径を実施例1の試料E1と変えてカーボンペーストを作製した例である。
具体的には、球状及び鱗片状の黒鉛粒子として、平均粒径がともに25μmのものを準備した。この球状及び鱗片状の黒鉛粒子と、アセチレンブラックと、ポリエステルシリコーン樹脂を、実施例1にて作製した試料E1と同様の配合割合で混合し、カーボンペーストを作製した。これを試料C7とした。
また、球状の黒鉛粒子として平均粒径が15μmのものを準備し、また鱗片状の黒鉛粒子として平均粒径が5μmのものを準備し、これらの球状及び鱗片状黒鉛粒子を用いて、試料E1と同様の配合成分でカーボンペーストを作製した。これを試料C8とした。
次いで、実施例1と同様に、耐熱性ガラスよりなる基板を準備し、この基板に、スクリーン印刷によりカーボンペースト(試料C7及び試料C8)を、図1に示すようなパターンで印刷した。このとき、印刷されたパターンにかすれ等が発生しているか否かを目視にて調べ、カーボンペーストの印刷性(塗布性)を評価した。その結果を表2に示す。表2においては、かすれ等の不具合が発生せず、所望のパターンで印刷できた場合を「○」として示し、かすれが発生した場合を「×」として示した。
また、実施例1と同様に、基板にカーボンペーストを印刷した後、温度200℃で5分間キュアし、キュア後のカーボンペーストの電気抵抗を測定し、また実施例1と同様の上記剥離試験をおこなった。その結果を表2に示す。
また、比較のため、表2には実施例1で作製した試料E1の結果を併せて示す。
表2より知られるごとく、試料C7のカーボンペーストを用いた場合には、基板に所望の形状でカーボンペーストを印刷することができず、かすれが発生した。また、試料C7においては、キュア後に基板から剥離してしまい、電気抵抗の測定及び剥離試験を行うことができなかった。
また、試料C8は、かすれ等の不具合なく所望のパターンで基板へ印刷をすることができ、また、キュア後の剥離試験においても基板から剥離することがなく、充分な密着強度で基板に帖着されていた。しかし、キュア時に電気抵抗が充分に低下しておらず、キュア後の電気抵抗が非常に大きくなるという不具合を生じていた。
これに対し、試料Eは、試料C7及び試料C8のような上記不具合は発生せず、所望の印刷パターンで基板に印刷をすることができ、キュア後の電気抵抗が非常に低く、また充分な密着強度で基板に帖着されていた。
試料Eと試料C7及び試料C8とは、球状及び鱗片状の黒鉛粉末の平均粒径が異なっている。表2においては明示されていないが、球状及び鱗片状の黒鉛粉末の平均粒径が10〜20μmの場合に、上記試料C7や試料C8のような不具合が発生せず、印刷性よく基板に印刷できると共に、キュア後の電気抵抗が充分に低く、基板への密着性に優れたカーボンペーストが得られることを確認している。
(実施例3)
本例は、キュア温度を変えてキュアを行い、キュア後におけるカーボンペーストの電気抵抗及び基板への密着性を評価した例である。
まず、実施例1で作製した上記試料E1と同様のカーボンペーストを準備した。また、比較用として、市販品のカーボンペーストを準備した。この市販品は、導電素材として黒鉛粉末を含有し、ヴィヒクルとしてフェノール樹脂を含有するものである。
上記試料E1と市販品のカーボンペーストを、実施例1と同様に、図1に示すようなパターンで基板に印刷し、150℃〜500℃まで50℃ずつ温度を変更し、各温度でキュアを5分間行った。
次いで、キュア後、基板上のカーボンペーストについて炭化による変色の有無を目視にて確認した。また、実施例1と同様に、電気抵抗を測定し、上記剥離試験を行って基板への密着性の評価を行った。その結果を表3に示す。
表3より知られるごとく、試料E1は、200℃〜450℃という高い温度でキュアを行っても、剥離試験において基板から剥離することはなく、充分な密着強度で基板に帖着されていた。また、200℃〜450℃という高い温度でキュアをおこなっても、キュア後の電気抵抗が160Ω以下と低く、充分な導電性を発揮できることがわかる。また、試料E1は、同じキュア温度で比較すると、200℃以上の高いキュア温度では、市販品よりも低い電気抵抗を示し、導電性に優れていることがわかる。
一方、市販品は、250℃以上のキュア温度で、一部が炭化し変色が起こっていた。また、市販品は、300℃以上でキュアを行うと、キュア後の剥離試験によって少なくとも一部が基板から剥離し、また、400℃以上では完全に基板から剥離した。このように、市販品は基板への密着強度が不充分であった。また、450℃以上のキュアでは、市販品のカーボンペーストは炭化し、電気抵抗の測定や剥離試験を行うことはできなかった。なお、市販品は450℃のキュアで炭化することがわかったため、500℃でのキュアは行っていない。
このように、試料E1のカーボンペーストは、市販品よりも高温でキュアを行えることがわかる。また、試料E1は、高温でキュアを行っても、電気抵抗が低く高い導電性を示すことができ、また基板への密着性も優れていた。
(実施例4)
本例は、電磁調理器のタッチパネルを想定した基板上にカーボンペーストを印刷し、キュア温度を変えてキュアを行い、電気抵抗及び密着性を評価した例である。
まず、実施例1にて作製した試料E2と同様のカーボンペーストを準備した。また、比較用として、市販品のカーボンペーストを準備した。この市販品のカーボンペーストは、上記実施例3と同様のものである。
また、カーボンペースト印刷するための基板を準備した。図2に示すごとく、この基板3は、耐熱ガラス基板4、無機顔料層5、及び保護層6を積層してなっている。この基板3は、耐熱ガラス基板4に、無機顔料層5を焼き付け、さらに該無機顔料層5の上に保護層6としてシリコーン樹脂を焼き付けて作製したものである。
同図に示すごとく、この基板3に、試料E2又は市販品のカーボンペースト1を、実施例1と同様のパターン(図1参照)でスクリーン印刷し、その後250℃〜450℃まで50℃ずつ温度を変え、各温度で5分間キュアを行った。キュア後、実施例1と同様に、基板3上に帖着されたカーボンペースト1の電気抵抗を測定し、また上記剥離試験を行った。その結果を表4に示す。
表4より知られるごとく、試料E2は、250℃以上という高温でキュアを行った場合においても、充分な密着強度で基板に帖着していた。
一方、市販品は、温度250℃でキュアを行うと、上記剥離試験においてカーボンペーストが基板から剥離し、密着強度が不充分であった。また300℃以上のキュアでは、市販品は、基板の保護層に全く帖着せず、剥離試験及び電気抵抗の評価を行うことができなかった。また、450℃のキュアでは、市販品のカーボンペーストは炭化した。
このように、本例のカーボンペースト(試料E2)は、表面にシリコーンのような樹脂で保護されている基板に対しても、充分な密着強度で帖着できることがわかる。また、試料E2は、高温でも炭化しにくく、高温でキュアを行えることがわかる。
また、本例においては、走査型電子顕微鏡(SEM)により、上記試料E2を帖着させた基板の断面を観察した。その結果を図3に示す。
図3において、基板3は、耐熱ガラス基板4の上に無機顔料層5を焼き付け、さらに無機顔料層5の上にシリコーンよりなる保護層6を焼き付けてなるが、シリコーンよりなる保護層6は無機顔料層5に一部しみこんでおり、また非常に薄いため、同図においてはほとんど確認できない。また、基板3上のカーボンペースト1においては、ヴィヒクル15としてのポリエステルシリコーン樹脂中に、球状の黒鉛粉末11(同図の中央付近の4つの大きいブロック)、鱗片状の黒鉛粉末12(同図の左方、中央、右上)が分散されている。図3においては、カーボンペースト1における球状の黒鉛粉末粒子11及び鱗片状の黒鉛粉末12の形状をわかりやすくするため、これらの形状を点線で囲んで示している(図3参照)。また、ヴィヒクル15には、アセチレンブラックも分散されているが、図3のSEM写真においては現されていない。
図3より知られるごとく、本例のカーボンペースト1(試料E2)においては、球状の黒鉛粉末11同士の間にできる空隙を、鱗片状の黒鉛粉末12が埋めるような配置構成が形成されている。また、図面で示してはいないが、実施例1にて作製した上記試料E1及び試料E3においても、球状及び鱗片状の黒鉛粒子が同様の配置構成を形成することを確認している。
球状及び鱗片状の黒鉛粉末がこのような配置構成をとることにより、試料E1〜試料E3のカーボンペーストにおいては、黒鉛粉末の充填密度が高くなる。その結果、試料E1〜試料E3は、キュア後の電気抵抗が充分に低く、優れた導電性を発揮することができると考えられる。
実施例1にかかる、基板上へ形成するカーボンペーストの印刷パターンを示す説明図。 実施例4にかかる、カーボンペーストを焼き付けた基板の断面を示す説明図。 実施例4にかかる、カーボンペーストを焼き付けた基板の断面を示すSEM写真。
符号の説明
1 カーボンペースト
11 球状の黒鉛粉末
12 鱗片状の黒鉛粉末
15 ヴィヒクル(ポリエステルシリコーン樹脂)

Claims (1)

  1. 導電素材として球状及び鱗片状の黒鉛粉末とアセチレンブラックとを含有し、ヴィヒクルとしてポリエステルシリコーン樹脂を含有するカーボンペーストであって、
    該カーボンペーストにおける上記球状の黒鉛粉末、鱗片状の黒鉛粉末、アセチレンブラック、及びポリエステルシリコーン樹脂の含有量の合計を100重量部とすると、
    上記カーボンペーストは、上記球状の黒鉛粉末を15〜25重量部、上記鱗片状の黒鉛粉末を15〜25重量部、上記アセチレンブラックを10〜20重量部、及び上記ポリエステルシリコーン樹脂を40〜55重量部含有し、
    上記球状及び鱗片状の黒鉛粉末は、その平均粒径が10μm〜20μmであることを特徴とするカーボンペースト。
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