JP4332940B2 - 膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜モジュールの製造方法に関する。更に詳しくは、耐薬品性、特に耐オゾン性にすぐれた膜モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体製造工程には、高濃度の酸やアルカリが大量に使用されている。しかしながら、これらの薬品は再利用されることなく、使用後は中和され、廃却されているのが現状である。
【0003】
また、集積度の向上に伴ない、高純度の品質が半導体に要求されており、近年オゾン水や水素水を用いたいわゆる機能水洗浄なるものが注目を集めている。中でも、オゾン水はその強い酸化力によって、薬品洗浄に匹敵する洗浄力を保持しているばかりではなく、システムの簡略化や環境保全にも一役かっている。
【0004】
このようなオゾン水を作るためには、電気分解や放電法で得られたオゾンを水中でバブリングして吸収させる方法がとられているが、マイクロバルブの発生やシステムの密閉化が困難であるなどの問題を有している。
【0005】
そこで、水中にオゾンを均一に溶解させる方法として、中空糸膜を用いる方法が提案されている。この方法では、中空糸膜の内外においてオゾンの分圧差を形成させることにより、効率的にオゾン水を得ることを可能としている。しかるに、現在市販されている膜法に用いられるオゾン水製造装置は、その膜にPTFE製の多孔性チューブを用いたものであり、チューブ径が太いためオゾンの溶解効率が悪いという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、中空糸膜を用いた膜モジュールであって耐薬品性にすぐれ、従ってオゾン水の製造装置などとして有効に使用し得るものの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、乾湿式紡糸法または湿式紡糸法で製造された多孔質ポリフッ化ビニリデン中空糸膜束の両端部に静電気を発生させ、そこにポリフッ化ビニリデンよりも低融点のフッ素系樹脂の粉末を付着させた後、加熱溶融して低融点フッ素系樹脂よりなるポッティング部を形成させ、それをフッ素系樹脂製ケース内に収容して膜モジュールを製造する方法によって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、細径の中空糸膜を形成し得る乾湿式法または湿式法ポリフッ化ビニリデン中空糸膜が用いられる。ポリフッ化ビニリデンは、クリーン性の面でもすぐれ、溶出物が極めて少ないため、超純水用配管にも使用されている程であり、半導体洗浄用水を得る膜素材としては最適である。
【0010】
中空糸膜の形成は、ポリフッ化ビニリデンを非プロトン性極性溶媒に溶解させた紡糸原液を、二重環状ノズルから押出し、乾湿式法または湿式法により水性凝固浴、一般には水凝固浴中でゲル化させることによって製造され、得られた中空糸膜は多孔質膜であるので、オゾンの溶解効率を高めるのに有効である。
【0011】
このような細径にして多孔質のポリフッ化ビニリデンを集束して膜モジュールを形成させるが、集束に用いられるポッティング部は、耐薬品性という観点からは最も重要である。
【0012】
従来、中空糸膜を何万本も束ね、ケースに挿入してモジュール化するためには、2液性の接着剤であるポリウレタンやエポキシ樹脂が用いられてきた。エポキシ樹脂は、耐薬品性にはすぐれているが、それでもオゾンに対する耐性が低く、硬化時に内部残留応力があるとすぐに膨張をきたし、中空糸膜との間に接着剥離を起していた。
【0013】
本発明の膜モジュールにおいては、中空糸膜を形成するポリフッ化ビニリデンよりも融点の低いフッ素系樹脂を用いてポッティング部の形成が行われる。フッ素系樹脂には多くの種類があり、その殆んどはポリフッ化ビニリデンの融点(180℃)よりも高い融点を有するが、塗料向けに開発されたフッ素系樹脂には、フッ素系樹脂特有の耐候性(耐オゾン性)を保持しつつ、しかも低融点を有するものが市販されており、例えばアトケム社製品カイナーSL、カイナーADS等の商品名のものがある。
【0014】
より具体的には、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレン3元共重合体等であって、約90〜140℃という低い融点を有するものが用いられる。これらの低融点フッ素系樹脂は、加熱溶融させたのみではかなりの高粘度状態であり、それをそのまま細径にして柔かい多孔質ポリフッ化ビニリデン中空糸膜間に充填することは困難であるが、次のような方法をとることによってポッティング部の形成を可能とさせる。
【0015】
ポリフッ化ビニリデン樹脂は、双極子モーメントを有するというその化学的構造から静電気を発生し易いという性質を有している。このような性質を利用し、中空糸膜同士を擦り合せるなどの方法により中空糸膜間に静電気を発生させた後、ポッティング剤となる低融点フッ素樹脂をパウダー状として、中空糸膜表面に付着させる。これによって、中空糸膜間の間隙の細部迄均一にポリマーを充填させることができる。
【0016】
次に、低融点フッ素系樹脂パウダーの溶融によるポッティング部の形成が行われるが、このとき唯単に溶融したのみでは、ポリマー間の空洞がボイドとして残ってしまい、膜モジュールとしてリークするようになる。そこで、溶融と同時に外圧をかけると共に中空糸膜束全体を減圧下に保持することにより、内部空気を外部へと排出させて、ボイドのないポッティング部を形成させることができる。
【0017】
このようにしてポッティングされた中空糸膜束は、フッ素系樹脂、好ましくはポリフッ化ビニリデンを素材とするケース内に挿入され、ケースと中空糸膜束との間には前記の如き低融点フッ素系樹脂、好ましくはフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレン3元共重合体の溶融物が注入される。
【0018】
この際、フッ素系樹脂製ケースの内面に予め低融点フッ素系樹脂をコーティングしておくことが重要である。このようにすることにより、ケースと中空糸膜束との間のその後の接着を強固なものとすることができる。コーティングするための最も簡便かつ確実な方法は、低融点フッ素系樹脂の有機溶媒溶液としてコーティングする方法であり、この場合の有機溶媒として、ケースを形成するフッ素系樹脂をも溶解乃至膨潤させることが可能なものを選択すると、両ポリマー間の親和性が増して良好である。
【0019】
【発明の効果】
本発明方法によって得られる膜モジュールは、多孔質中空糸膜、ポッティング部およびケースがすべてフッ素系樹脂で構成されているので、耐薬品性が特にすぐれて良好である。このような特徴を有する本発明の膜モジュールは、オゾン水の製造装置として有効に用いることができ、しかしこの装置は多数本の細径多孔質中空糸膜から構成されているのでオゾンの溶解効率が良く、従って効率的にオゾン水を製造することができる。
【0020】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0021】
実施例
乾湿式紡糸法で得られたポリフッ化ビニリデン製中空糸膜(外径0.3mm、内径0.2mm、長さは任意)を1万本、束として準備し、その両端部(端面より約6cmの長さ)に摩擦によって静電気を発生させ、そこにフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレン3元共重合体(アトケム社製品カイナーADS)粉末を付着させた。
【0022】
このような状態の中空糸膜束両端部に、熱収縮性チューブ(潤工社製品ジュンフロンNF400)をかぶせた後、その束を真空乾燥器内に水平に置き、3Torrの減圧条件下で120℃に加熱して、前記3元共重合体を溶融させた。10時間かけて室温迄徐冷した後、熱収縮チューブをはずして、両端部がポッティングされた多孔質中空糸膜束を得た。
【0023】
フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレン3元共重合体の30重量%ジメチルアセトアミド溶液を、ポリフッ化ビニリデン製ケースの両端部内面側にコーティングし、乾燥させたケース内に、上記ポッティングされた多孔質中空糸膜束を挿入し、ケースの一端側と中空糸膜束との間にフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレン3元共重合体の溶融物をインジェクタを用いて注入した。このような操作を、ケースの他端側と中空糸膜束との間についても行った後、両端ポッティング部の一部をカットすることにより多孔質中空糸膜を開口させ、膜モジュールを得た。
Claims (6)
- 乾湿式紡糸法または湿式紡糸法で製造された多孔質ポリフッ化ビニリデン中空糸膜束の両端部に静電気を発生させ、そこにポリフッ化ビニリデンよりも低融点のフッ素系樹脂の粉末を付着させた後、加熱溶融して低融点フッ素系樹脂よりなるポッティング部を形成させ、それをフッ素系樹脂製ケース内に収容することを特徴とする膜モジュールの製造方法。
- ポッティング部の形成が減圧条件下で行われる請求項1記載の膜モジュールの製造方法。
- 内面に低融点フッ素樹脂がコーティングされたフッ素樹脂製ケースが用いられる請求項1記載の膜モジュールの製造方法。
- フッ素系樹脂製ケース内へのポッティングされた中空糸膜束の収容に際し、その間に低融点フッ素樹脂溶融物が注入される請求項3記載の膜モジュールの製造方法。
- 請求項1、2、3または4記載の方法で製造された膜モジュール。
- オゾン水製造装置として用いられる請求項5記載の膜モジュール。
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