JP4332793B2 - 鋳造型及び鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は鋳造型及び鋳造方法に関し、詳しくは溶融塩中子を用いて中空部を有する鋳造品を鋳造するための鋳造型及び鋳造方法に関する。
一般に、中空部を有する鋳造品を鋳造する場合、中空部の内面形状に対応する外面形状を有する砂中子を鋳造型内に配置した状態でこの型内に溶湯を注入し、溶湯を冷却、凝固させて型面形状に成形する。そして、型開きして砂中子と共に鋳造品を取り出し、最後に加熱することで砂中子中のバインダを燃焼させ、さらに振動を加えること等により鋳造品から砂中子を除去する。こうして砂中子の外面形状に対応する内面形状の中空部を有する鋳造品を鋳造する。
しかし、このような通常の鋳造法はサイクルタイムが長いという欠点がある。そこで、サイクルタイムを短くすべく、通常の鋳造法よりも高い鋳造圧力で鋳造する方法として、ダイカストや高圧鋳造が知られている。
ダイカストにより中空部を有する鋳造品を製造する場合、一般に、砂中子よりも硬くて、高い鋳造圧力がかかっても変形のし難い溶融塩中子が用いられる。この溶融塩中子は、水溶性の塩を加熱により溶融して中子造型金型内に注入し、冷却、固化させることにより、所定形状に成形されて製造される。
このような溶融塩中子には、鋳造時に溶湯の熱による溶融を防ぐために、溶湯の鋳込み温度よりも高い融点をもつ高融点の溶融塩よりなるものがある。しかし、高融点の溶融塩中子は、中子造型時の溶融温度が高いことから、固化時における収縮によりクラックが発生し易い。このため、高融点の溶融塩中子は、製造及び取り扱いの容易性に欠けるという欠点がある。
そこで、製造や取り扱いの容易性等を考慮して、溶湯の鋳込み温度よりも低い融点をもつ低融点の溶融塩中子が用いられることがある。この低融点の溶融塩中子として、溶湯の鋳込み温度よりも低い融点をもつ硝酸カリウム(KNO3 )や硝酸ナトリウム(NaNO3 )等の水溶性塩を加熱して溶融し、所望によりシリカやアルミナのような硬質粒子と共に、中子造型金型に注入、固化して製造されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような低融点の溶融塩中子は、鋳造時に溶湯の熱により表面が溶融してその形状を維持できなくなるので、通常は鋳造品のうち薄肉部等の熱容量の小さい部位に用いられる。
特表2003−503210号公報
しかしながら、低融点の溶融塩中子を用いて鋳造する場合、たとえ熱容量の小さい部位に溶融塩中子を用いたとしても、溶湯からの受熱により溶融塩中子が溶融することを完全に回避することは困難であり、溶融塩中子の一部が溶融してしまうことがある。また、繰り返し鋳造する場合に、局所的に高温となった型面に鋳造品が融着してしまうことを避けるべく、鋳造品を脱型した後の金型に冷却水を噴射して金型を冷却することがなされるが、このとき予期せぬ冷却水量の変化などにより金型温度が過度に上昇する場合もあり、このような場合にも溶融塩中子の一部が溶融してしまう。
このように溶融塩中子が溶融すると、その溶融物が重力にしたがって下型のキャビティ型面に付着してしまう。そうすると、次以降のショットにおいてキャビティ型面に付着した溶融塩が鋳造品に取り込まれてしまうことがあり、製品品質を低下させる原因となる。
このような問題を解消しうる技術として、低融点の溶融塩中子の外表面を高融点の溶融塩で覆った溶融塩中子があり、この多層構造の溶融塩中子の技術について本出願人は先に出願している(特願2003−299302号)。
しかし、この多層構造の溶融塩中子においても、製造バラツキ等により局部的に高融点の溶融塩層を外表面に形成することが困難な場合があるため、低融点の溶融塩が溶融する問題が同様に起こりうる。
一方、金型型面に付着した溶融塩をヤスリ等により除去した後に次のショットを行えば、上述の品質低下の問題を解消しうるが、キャビティ型面の狭小部等に付着した溶融塩をヤスリ等を用いた手作業により完全に除去することは困難かつ面倒である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、溶融塩中子を用いる鋳造において、キャビティ型面に付着した溶融塩に起因して製品品質が低下することを容易に防止することのできる鋳造型及び鋳造方法を提供すること解決すべき技術課題とするものである。
上記課題を解決する本発明の鋳造型は、上型面をもつ上型と、該上型面と対向する下型面をもつ下型と、型閉めされた該上型及び該下型間に配置され、水溶性でかつ鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のある溶融塩中子とを備えた鋳造型において、前記下型は、前記溶融塩中子の溶融物が付着する可能性のある前記下型面の付着部位に、該付着部位を囲むように設けられた堤状部により形成される水溜め部を有し、給水により前記水溜め部が満水となった状態において、該水溜め部の水深は、前記付着部位に付着した溶融塩の付着物水没させうる水深であると共に、該水溜め部内の水量は、高温となった前記下型からの受熱により該付着物を溶解させる温度まで水温を上昇させうる水量であることを特徴とするものである。
鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のある溶融塩中子を用いて中空部を有する鋳造品を鋳造した場合、鋳造時に溶融した溶融塩中子の溶融物が重力方向下側の下型面に付着することがある。そこで、本発明の鋳造型では、このように溶融塩中子の溶融物が付着する可能性のある下型面の付着部位に、該付着部位に付着した溶融塩の付着物を給水により水没させうる水溜め部を有している。
このため、この鋳造型を用いて中空部を有する鋳造品を連続して鋳造する場合、鋳造品を溶融塩中子と共に取り出した後、次のショットをする前に、下型の水溜め部に水を供給することにより、該水溜め部に水を一時的に溜める。これにより、下型面の付着部位に付着した溶融塩の付着物を水没させる。この水溜め部に溜まった水は、高温の型からの受熱により水温が速やかに上昇する。溶融塩の水に対する溶解度は水温上昇に応じて増加するので、下型面の付着部位に付着した溶融塩の付着物は水温が上昇した水溜め部内の水に容易に溶解する。このとき、たとえ下型面の狭小部に付着物が付着していたとしても、この部分を水没させることさえできれば、容易に該付着物を水に溶解させることができる。このため、この付着物が溶解した水溜め部内の水を除去することにより、下型面に付着した溶融塩の付着物を容易に除去することができる。
したがって、本発明の鋳造型によれば、次以降のショットにおいて下型面に付着した溶融塩が鋳造品に取り込まれてしまうことがなく、溶融塩中子の溶融物に起因する製品の品質低下を容易に防止することが可能となる。
また、付着部位を囲むように設けられた堤状部により、この堤状部の内側に水溜め部を容易に形成することができるので、型形状の部分的な小さな改良のみで前述の効果を得ることができ、コスト面で有利となる。
本発明の鋳造型は、好適な態様において、前記水溜め部に向かってエアを噴射することにより該水溜め部内に溜められた水を除去しうるエア噴射手段を備えている。この態様によれば、溶融塩の付着物が溶解した水溜め部内の水をエアブローにより吹き飛ばすことにより、容易かつ速やかに除水することができる。
上記課題を解決する本発明の鋳造方法は、上型面をもつ上型と、該上型面と対向する下型面をもつ下型と、型閉めされた該上型及び該下型間に配置され、水溶性でかつ鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のある溶融塩中子とを備え、該下型は、該溶融塩中子の溶融物が付着する可能性のある該下型面の付着部位に、該付着部位を囲むように設けられた堤状部により形成される水溜め部を有し、給水により該水溜め部が満水となった状態において、該水溜め部の水深は、該付着部位に付着した溶融塩の付着物を水没させうる水深であると共に、該水溜め部内の水量は、高温となった該下型からの受熱により該付着物を溶解させる温度まで水温を上昇させうる水量である鋳造型を用いた鋳造方法であって、前記上型及び前記下型間に前記溶融塩中子を配置しつつ型閉めされた前記鋳造型のキャビティ内に溶湯を注入する注湯工程と、前記キャビティ内で前記溶湯を冷却、固化させて鋳造品を成形する鋳造工程と、前記鋳造型を型開きして、前記鋳造品を前記溶融塩中子と共に取り出す脱型工程と、給水により前記水溜め部に水を溜めて前記付着物を水没させるとともに、該水溜め部内の水に該付着物を溶解させる水溜め工程と、前記水溜め部に溜められた水が全部蒸発しきる前に該水溜め部内の水を除去する除水工程とを備えていることを特徴とするものである。
この鋳造方法では、注湯工程で、上型及び下型間に溶融塩中子を配置した状態で型閉めされた鋳造型のキャビティ内に溶湯を注入した後、鋳造工程で、該キャビティ内で溶湯を冷却、固化させて鋳造品を成形する。そして、脱型工程で、鋳造型を型開きして前記鋳造品を前記溶融塩中子と共に取り出す。このとき、鋳造時に溶融した溶融塩中子の溶融物が重力方向下側の下型面に付着することがある。
そこで、この鋳造方法では、このように溶融塩中子の溶融物が付着する可能性のある下型面の付着部位に、該付着部位に付着した溶融塩の付着物を給水により水没させうる水溜め部を有する鋳造型を用いている。このため、脱型工程の後に行う水溜め工程で、給水により前記水溜め部に水を溜めて、前記付着物を水没させるとともに、該水溜め部内の水に該付着物を溶解させる。この水溜め工程では、水溜め部に溜められた水は高温の型からの受熱により水温が速やかに上昇するので、下型面の付着部位に付着した溶融塩の付着物は水温が上昇した水溜め部内の水に容易に溶解する。このとき、たとえ下型面の狭小部に付着物が付着していたとしても、この部分を水没させることさえできれば、容易に該付着物を水に溶解させることができる。ここに、水溜め部に溜められた水は、高温の型からの受熱により数秒程度で沸騰領域まで温度が上昇する。このとき、溶融塩の付着物が溶解した水溜め部内の水が完全に蒸発してしまうと、溶融塩が下型面に残ってしまう。そこで、除水工程では、前記水溜め部に溜められた水が全部蒸発しきる前に、付着物が溶解した水溜め部内の水を除去する。これにより、下型面に付着した溶融塩の付着物を容易に除去することができる。
したがって、本発明の鋳造方法によれば、次以降のショットにおいて下型面に付着した溶融塩が鋳造品に取り込まれてしまうことがなく、溶融塩中子の溶融物に起因する製品の品質低下を容易に防止することが可能となる。
好適な態様において、前記水溜め工程では、前記上型面及び前記下型面の少なくとも一方に噴射された型冷却用の冷却水を前記水溜め部に溜める。この態様によれば、局部的に高温となって次のショットで鋳造品が融着してしまうことを防止すべく、上型面及び下型面の少なくとも一方に噴射された型冷却用の冷却水を利用して、前記水溜め部に給水することができるので、別途給水手段を設けることによるコストアップを回避することが可能となる。
好適な態様において、前記除水工程では、エア噴射手段から前記水溜め部に向かってエアを噴射することにより、該水溜め部内の水を除去する。この態様によれば、付着物が溶解した水溜め部内の水をエアブローで吹き飛ばすことにより、容易かつ速やかに除水することができる。
ここに、前記溶融塩中子は、水溶性のもので、かつ、鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のあるものである。すなわち、本発明に係る溶融塩中子は、溶湯の鋳込み温度よりも低い融点をもつ低融点の水溶性溶融塩を少なくとも一部の構成要素として含むものである。このような溶融塩中子としては、溶湯の鋳込み温度よりも低い融点をもつ低融点の水溶性溶融塩と、必要に応じて添加された、骨材(人工砂又は自然砂等)、硬質粉末(セラミックス粉末等)及び後述する高融点の溶融塩のうちの少なくとも一種よりなる添加材とからなるものや、このような水溶性溶融塩及び必要に応じて添加された添加材よりなる中実部と、この中実部の外周面に一体的に形成された、溶湯の鋳込み温度よりも高い融点をもつ材料よりなる表層部とから構成されたもの等を用いることができる。この表層部を構成する材料としては、溶湯の鋳込み温度よりも高い融点をもつ高融点の溶融塩の他、溶湯の鋳込み温度よりも高い融点をもち、また断熱効果を有する多孔質鉱物等を用いることができる。
前記低融点の水溶性溶融塩として、具体的には、硝酸カリウム(KNO3 、融点:339℃)及び硝酸ナトリウム(NaNO3 、融点:308℃)のうちの少なくとも一種を用いることができる。
前記高融点の溶融塩として、具体的には、塩化カリウム(KCl、融点:776℃)、塩化ナトリウム(NaCl、融点:800.4℃)、塩化カルシウム(CaCl2 、融点:774℃)、塩化マグネシウム(MgCl、融点714℃)及び塩化バリウム(BaCl2 、融点:962℃)よりなる群から選ばれる少なくとも一種を、必要に応じて少量の前記低融点溶融塩を混合して、用いることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
本実施形態は、ダイカストにより車両エンジン用部品を鋳造する場合に本発明を適用したもので、図1はダイカストによる注湯工程から鋳造工程を示す要部断面図であり、図2は本実施形態で用いる溶融塩中子の断面図であり、図3は脱型工程を終えた後に実施する水溜め工程を示す要部断面図であり、図4は脱型工程で溶融塩中子と共に脱型した状態を示す鋳造品の断面図であり、図5は除水工程を示す要部断面図である。
まず、本実施形態に係る鋳造型の構成から説明する。この鋳造型(ダイカストマシン)は、固定型1と、固定型1に対して水平方向に往復移動可能に配設された可動型2と、可動型2に昇降可能に保持された上スライド型3及び下スライド型4と、溶融塩中子5と、外冷水噴出手段6と、エア噴射手段7とを備えている。これら固定型1、可動型2、上スライド型3、下スライド型4及び溶融塩中子5を組み合わせて型閉めした状態で、製品形状に対応するキャビティ8が型内に形成される。
固定型1は、前記キャビティ8内に溶湯9を注入するための射出プランジャ11を備えている。この固定型1には、型閉めされた状態で前記溶融塩中子8の一端部が嵌合する嵌合凹部12が設けられている(図3及び図5参照)。なお、可動型2及び下スライド型4にも、型閉めされた状態で溶融塩中子8の他端部が嵌合する嵌合凹部21及び41が設けられている(図3及び図5参照)。また、型閉めされた状態の固定型1と前記スライド型4との間にはキャビティ8内に通じる湯道13が形成される(図1参照)。
上スライド型3は、その下面に上型面31を有するとともに、略中央部から下方に一体に突出する棒状突起部32を有している。
下スライド型4は、その上面に下型面42を有するとともに、略中央部で前記棒状突起部32と対向する位置に凹状の中子巾木納め部43を有している。この中子巾木納め部43は、下スライド型4に対して前記溶融塩中子5を位置決めするためのものであり、この溶融塩中子5は中子巾木納め部43と嵌合可能な位置決め突部51を有している。また、下スライド型4は、下スライド型4の可動型2側の側壁44と共に下型面42の四方を囲むように設けられた堤状部45を有している。この堤状部45の下型面42からの高さは本実施例では15〜30mmとした。こうして、側壁44と堤状部45とより四方が囲まれた水溜め部46が下型面42の上に形成されている(図3参照)。
溶融塩中子5は、水溶性のもので、かつ、鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のあるもので、図2に示すように、中実部52と、この中実部52の外周面を覆うように一体的に形成された表層部53とから構成されている。中実部52は、溶湯の鋳込み温度よりも低い融点をもつ低融点の水溶性溶融塩としての硝酸カリウムと、人工砂としてのセラビーズと、硬質粉末としてのアルミナ粉末とからなる。なお、中実部52における硝酸カリウム、セラビーズ及びアルミナ粉末の配合割合は、質量比で、硝酸カリウム:セラビーズ:アルミナ=50:45:5である。また、表層部53は、溶湯の鋳込み温度よりも高い融点をもつとともに、断熱効果を有するバーミキュライトよりなる。この表層部53の厚さは、本実施形態では0.2mmとした。また、本実施形態における表層部53には、本発明の効果を確認し易くするために、故意に局部的欠損部を形成しておいた。
この溶融塩中子5は、図示しない中子造型金型を用いて、以下のように製造したものである。すなわち、溶融状態の硝酸カリウム50%に対してセラビーズ45%及びアルミナ粉末5%を添加して混練物を準備する。そして、この中子造型金型内に前記混練物を注入し、溶融状態の硝酸カリウムを冷却、凝固させて、所定形状の溶融塩中子5を得た後、この溶融塩中子表面全面にバーミキュライトを塗布した。
外冷水噴出手段6は、鋳造型のうち特に上スライド型3の前記棒状突起部32を鋳造後に冷却するためのもので、図示しない給水装置を備えている。
エア噴射手段7は、前記水溜め部46に向かってエアを噴射することにより該水溜め部46内に溜められた水を除去するためのものであり、図示しないエア供給手段を備えている。
なお、可動型2に対する上スライド型3及び下スライド型4の昇降は、図示しない油圧シリンダよりなる昇降駆動手段によりなされ、固定型1に対する可動型2の水平移動は、図示しない油圧シリンダよりなる水平駆動手段によりなされる。また、これら昇降駆動手段、水平駆動手段、前記外冷水噴出手段6及び前記エア噴射手段7は、図示しない制御手段によりそれぞれ自動制御されるようになっている。
以下、この鋳造型を用いた本実施形態に係る鋳造方法について説明する。
<注湯工程>
溶融塩中子5の位置決め用突起部51を下スライド型4の中子巾木納め部43内にはめ込むようにして、下スライド型4の所定位置に溶融塩中子5を配設した。その後、可動型2に対して下スライド型4を上昇させるとともに、可動型2に対して上スライド型3を下降させた。そして、上スライド型3、下スライド型4及び溶融塩中子5と共に可動型2を固定型1方向に水平移動させて、型閉め状態とした。
その後、射出プランジャ11を作動させて、型閉めされた鋳造型のキャビティ8内に湯道13から溶湯9を注入した。
なお、本実施形態では、ADC12(Cu1.5〜3.5、Si9.6〜12.0、Mg<0.3、Zn<1.0、Fe<1.3、Mn<0.5、Ni<0.5、Sn<0.3、Al残部の組成をもつアルミニウム合金)を溶湯9に用い、また、この溶湯9の鋳込み温度は670℃、鋳込み重量は12kgとした。
<鋳造工程>
そして、前記キャビティ8内で前記溶湯9を冷却、固化させて、キャビティ8形状に対応する形状の成形された鋳造品10を鋳造した。
<脱型工程>
その後、可動型2を水平移動させて固定型1から離した後、上スライド型3を上昇させるとともに下スライド型4を下降させて鋳造型を型開きしてから、前記鋳造品10を溶融塩中子5と共に取り出した。なお、この鋳造品10は、湯道13の部分に相当する不要部10aを切断により除去するとともに、水槽内に漬け置きすることにより溶融塩中子5を溶解、除去した。
鋳造品10を脱型した後の下スライド型4には、中子巾木納め部43を中心に下型面42のほぼ全体に、溶融塩中子5の溶融物(低融点溶融塩たる硝酸カリウムの溶融物)が付着して付着物層5aが形成されていた(図3参照)。
<水溜め工程>
鋳造品10を取り出した後、鋳造型を冷却すべく、直ぐに外冷水噴出手段6を作動させて、主に上スライド型3の棒状突起部32に向けて外冷水を所定時間、噴射した。
これにより、上スライド型3からの滴下等による余剰の外冷水を含めて、前記水溜め部46内に満杯に水が溜まり、前記付着物層5aが水没した。この水溜め部46に溜まった水は、高温となった下スライド型3からの受熱により数秒間で沸騰領域まで水温が上昇した。このとき、前記付着物層5aは高温となった水溜め部46内の水に速やかに溶解した。
なお、硝酸カリウムの溶解度(水100gに対する硝酸カリウムの溶解量(g))は、下記表1に示すとおりである。
Figure 0004332793
<除水工程>
外冷水噴出手段6の作動を停止してから4秒後に、エア噴射手段7を作動させて、水溜め部46に向けてエアを噴射した。これにより、前記水溜め部46に溜められた水が全部蒸発しきる前に、該水溜め部46内の水をエアブローにより吹き飛ばして全て除去した。
この一連の工程を連続10ショット分繰り返したが、鋳造品10の表面に溶融塩が白い異物として鋳込まれることは皆無であった。
このように本実施形態によれば、鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のある溶融塩中子5を用いて中空部を有する鋳造品を連続して鋳造した場合であっても、下型面42に付着した溶融塩が鋳造品10に取り込まれてしまうことがなく、溶融塩中子5の溶融物に起因する製品の品質低下を容易に防止することが可能となる。
また、本実施形態によれば、ヤスリ等を用いた従来の方法で前記付着物層5aを除去する場合と比較して、容易かつ速やかに付着物層5aを除去することができる。
さらに、本実施形態では、下スライド型4に堤状部45を設けるという型形状の部分的変更等の極めて簡単な改良により、上述の効果を達成することができるので、低コストで溶融塩中子の溶融物に起因する問題を解消することが可能である。
なお、前記水溜め部46を設けることなく、脱型後に単に温水を付着物層5aに向けて噴射することによっても付着物層5aをある程度は容易に除去することができるが、この方法では温水の噴射角度等によっては狭小部等に付着した付着物を完全に除去することが困難である。この点、本実施形態によれば、狭小部等に付着物層5aが形成されていたとしても、水溜め部46内に溜められた水にこの付着物層5aの全体を水没させさえすれば、容易に付着物層5aを完全に除去することができる。
本実施形態に係る鋳造方法における注湯工程から鋳造工程を示す要部断面図である。 本実施形態で用いる溶融塩中子の断面図である。 本実施形態に係る鋳造方法における脱型工程を終えた後に実施する水溜め工程を示す要部断面図である。 本実施形態に係る鋳造方法における脱型工程で溶融塩中子と共に脱型した状態を示す鋳造品の断面図である。 本実施形態に係る鋳造方法における除水工程を示す要部断面図である。
符号の説明
1…固定型 2…可動型
3…上スライド型(上型) 4…下スライド型(下型)
5…溶融塩中子 6…外冷水噴出手段
7…エア噴射手段 31…上型面
42…下型面 45…堤状部
46…水溜め部

Claims (5)

  1. 上型面をもつ上型と、該上型面と対向する下型面をもつ下型と、型閉めされた該上型及び該下型間に配置され、水溶性でかつ鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のある溶融塩中子とを備えた鋳造型において、
    前記下型は、前記溶融塩中子の溶融物が付着する可能性のある前記下型面の付着部位に、該付着部位を囲むように設けられた堤状部により形成される水溜め部を有し、
    給水により前記水溜め部が満水となった状態において、該水溜め部の水深は、前記付着部位に付着した溶融塩の付着物水没させうる水深であると共に、該水溜め部内の水量は、高温となった前記下型からの受熱により該付着物を溶解させる温度まで水温を上昇させうる水量であることを特徴とする鋳造型。
  2. 前記水溜め部に向かってエアを噴射することにより該水溜め部内に溜められた水を除去しうるエア噴射手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の鋳造型。
  3. 上型面をもつ上型と、該上型面と対向する下型面をもつ下型と、型閉めされた該上型及び該下型間に配置され、水溶性でかつ鋳造時に自己の一部が溶融する可能性のある溶融塩中子とを備え、該下型は、該溶融塩中子の溶融物が付着する可能性のある該下型面の付着部位に、該付着部位を囲むように設けられた堤状部により形成される水溜め部を有し、給水により該水溜め部が満水となった状態において、該水溜め部の水深は、該付着部位に付着した溶融塩の付着物を水没させうる水深であると共に、該水溜め部内の水量は、高温となった該下型からの受熱により該付着物を溶解させる温度まで水温を上昇させうる水量である鋳造型を用いた鋳造方法であって、
    前記上型及び前記下型間に前記溶融塩中子を配置しつつ型閉めされた前記鋳造型のキャビティ内に溶湯を注入する注湯工程と、
    前記キャビティ内で前記溶湯を冷却、固化させて鋳造品を成形する鋳造工程と、
    前記鋳造型を型開きして、前記鋳造品を前記溶融塩中子と共に取り出す脱型工程と、
    給水により前記水溜め部に水を溜めて前記付着物を水没させるとともに、該水溜め部内の水に該付着物を溶解させる水溜め工程と、
    前記水溜め部に溜められた水が全部蒸発しきる前に該水溜め部内の水を除去する除水工程とを備えていることを特徴とする鋳造方法。
  4. 前記水溜め工程では、前記上型面及び前記下型面の少なくとも一方に噴射された型冷却
    用の冷却水を前記水溜め部に溜めることを特徴とする請求項3記載の鋳造方法。
  5. 前記除水工程では、エア噴射手段から前記水溜め部に向かってエアを噴射することにより、該水溜め部内の水を除去することを特徴とする請求項3又は4記載の鋳造方法。
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