JP2005066638A - 耐圧中子および耐圧中子の製造法 - Google Patents

耐圧中子および耐圧中子の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来、鋳造や成形に用いられる中子において、耐圧強度を有すると共に、除去しやすいものが望まれている。高い融点を持つ溶融塩で中空化したものは、水洗・精製の工程数の減少、ショットブラストによる除去も可能にできるが、中子の耐圧強度が低くなってしまう。低い融点を持つ溶融塩を使用する中子においては、熱容量の小さい薄肉部にしか使用できないものである。そこで、鋳造や成形に用いられる中子において、高いリサイクル性と製造が容易かつ除去性が高く耐圧特性においても優れる中子を構成することを課題とする。
【解決手段】表層部2が成形時の溶湯熱に耐え形状維持する高融点の溶融塩であり、その内部4に低温度で溶出する低融点塩を充填した中子5を、中子型内に高融点溶融塩を注入し、表面部2を凝固させた後に、内部の高融点溶融塩を除去して構成された内部空洞に低融点溶融塩を充填して製造する。
【選択図】図4

Description

本発明は、高圧鋳造、ダイカスト等、金属溶湯を金型キャビティー内に射出する射出成形に用いる耐圧中子およびその製造法に関する。
高圧鋳造、ダイカスト、射出成形等は、溶湯や樹脂を成形型へ注入して、様々な形状の物品を製造する成形技術である。そして、内部に中空構造等を構成するために中子を用いる手法が知られている。中子としては溶剤などによりバインダを溶解して洗い流す可溶性中子や、高温の水または高圧スチームで除去する塩中子が知られている。
塩中子において、溶湯や樹脂の熱による溶融を防ぐために、溶湯や樹脂の鋳込温度よりも高い融点を持つ溶融塩を使用するものがある。この塩中子では、鋳造や成形後の水洗除去において多くの時間を要すものである。そして、溶融塩をリサイクルする場合には、排水中からの溶融塩の精製が必要になり、多くの工程数とコストがかかるため、溶融塩の再利用に労力を要する。このような、高い融点を有する溶融塩の中子において、中子を中空化することで、水洗が容易となるとともに、溶融塩の使用量を少して排水よりの精製に係る工程数を削減するものも知られている。また、このような、中空構造の塩中子は、ショットブラスト等による除去も可能となるものである。
この他に、溶湯や樹脂よりも低い融点を持つ溶融塩を使用する中子も知られている。この中子では、鋳造や成形後粗材を熱処理することで、溶出除去が可能であり、中子の除去に係る労力を軽減できるものである。
そして、除去が容易であるとともに高い温度に耐える中子を構成するために、塩よりも高い融点のセラミックでコーティングしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、高温水および高圧スチームを用いて塩およびセラミックを同時に除去するものである。
特表2003−503210号公報
しかし、従来の技術において、高い融点を持つ溶融塩で中空化したものは、水洗・精製の工程数の減少、ショットブラストによる除去も可能にできるが、中子の耐圧強度が低くなってしまい、中空中子の使用可能条件は狭くなってしまう。
低い融点を持つ溶融塩を使用する中子においては、鋳造や成形時に溶湯や樹脂の熱により表面が溶融して形状が維持できなくなるので、熱容量の小さい薄肉部にしか使用できないものである。
そして、特許文献1に記載の技術においても、中子を構成するための工程において、圧縮などの工程があり、中子を成形するまでの工程が複雑であり、製造にコストがかかるものである。
本発明においては、中子の表層に高い融点を持つ溶融塩を用い、内部に低い融点の溶融塩を用いることにより、耐圧性を有するとともに除去容易な中子を構成するものである。
高い融点を持つ溶融塩は、鋳造時もしくは成形時に溶融しないだけ高い融点を持つものを用いるものである。そして、低い融点を持つ溶融塩は、高い融点を持つ溶融塩よりも融点の低いものであり、高い融点を持つ溶融塩よりも容易に除去できるものを用いるものである。また、鋳造もしくは成形時に流入する溶湯などの温度より融点の低いものを用いることにより、鋳造もしくは成形の工程において、低い融点を持つ溶融塩を容易に取り除くことができるものである。
さらに、本発明の中子においては、溶融塩中には、骨材として人工砂または自然砂等を用いることが可能であり、粘着材として粘土分を任意の量だけ含めることができるものである。これにより、溶融塩の使用量を低減して、リサイクル性を向上できるとともに、成形精度を向上することができるものである。
本発明においては、即ち、請求項1に示すごとく、表層が成形時の溶湯熱に耐え形状維持する高融点の溶融塩であり、その内部に低温度で溶出する低融点塩を充填した中子を構成する。
そして、請求項2に示すごとく、中子型内に高融点溶融塩を注入し、表面部を凝固させた後に、内部の高融点溶融塩を除去し、これにより構成された内部空洞に低融点溶融塩を充填して製造するものである。
請求項1に示すごとく、表層が成形時の溶湯熱に耐え形状維持する高融点の溶融塩であり、その内部に低温度で溶出する低融点塩を充填した中子を構成するので、高融点溶融塩の使用量を減少できる。粗材成形後に、粗材より高融点溶融塩を除去する労力を軽減できる。さらに、内部に充填される低融点溶融塩により高い耐圧強度を維持することができる。そして、低融点溶融塩は成形された粗材を昇温することで溶出除去可能であり、除去に係るコストを軽減できるとともに、再利用を容易に行うことができるものである。
さらに、低融点溶融塩を溶出させた後の中子は、高融点溶融塩の層が残るのみとなり、ショットブラストなどのブラストによる破砕処理によって、水に溶解させることなく除去を行うことができ、再利用のためのエネルギーの節約を行える。また、ショットブラストの射出粒子に高融点溶融塩を用いることにより、ショット屑のリサイクル性を格段に向上できる。
また、金属溶湯による鋳造においては、溶湯の凝固時に、中子内の低融点溶融塩が溶湯の熱により溶解して、溶湯の溶融潜熱を奪うことで、中子接触部の溶湯の冷却速度が大きくなり、鋳造もしくは成形される粗材の強度が向上する。
請求項2に示すごとく、中子型内に高融点溶融塩を注入し、表面部を凝固させた後に、内部の高融点溶融塩を除去し、これにより構成された内部空洞に低融点溶融塩を充填して製造するので、耐圧中子を容易に構成できるとともに、高融点溶融塩の使用量を低減し、中子製造にかかるコストを大幅に低減できる。さらに、融点の異なる溶融塩を用いることにより、溶融塩の分別が容易になり、リサイクル性を重視した中子の製造工程を構成できる。
中子の形状維持特性を向上させると共に、除去を容易にすることを同時に満たすという目的を、高融点溶融塩を用いた耐圧中子により実現した。
次に、発明の実施形態について説明する。
図1はダイカストによる成形工程を示す側面断面図であり、図2は中子の内部排出除去工程を示す側面断面図であり、図3は中子表層部除去工程を示す模式図である。
図1において、ダイカストマシンを利用した射出成形を用いて中子の利用例について説明する。ダイカストマシンは、スリーブ12内に注入された溶湯をプランジャチップ13によりキャビティー14内に射出するものである。キャビティー14は固定型および可動型よりなる金型6と、中子5とを組み合わせることにより構成されるものである。そして、キャビティー14に溶湯7が満たされ、冷却されることにより、粗材8が得られる。
ダイカストにより成形された粗材8は、金型6より取出されて加熱される。粗材8を加熱することにより、粗材8が昇温して、図2に示すごとく、中子5の内部4が溶出される。中子5の内部4は表層部2より融点の低い融点の溶融塩を主剤として構成されるものであり、粗材8を構成する物質よりも低い融点を有するものである。
このため、粗材8を加熱し、内部4を構成する主材の溶融塩の融点に達すると、内部4が崩れて、粗材8の開口部を下に向けると、崩れた内部4が粗材8の外へと排出除去されるものである。
中子5の内部4が排出除去された粗材8において、表層部2は粗材8に付着している。この表層部2は、図3に示すごとく、ブラスト等を用いて除去するものである。粗材8の内部に付着した中子の表層部2に、ショットブラストのノズル9より射出される粒子をぶつけることにより、表層部2が破砕され、粗材8より除去されるものである。この構成において、ノズル9より射出する粒子に中子の表層部2を構成する溶融塩と同じ成分のものを用いることにより、表層部2を構成する溶融塩の回収効率を向上できるものである。
次に、中子5の構成について詳しく説明する。
図4は中子の構成を示す側面断面図である。
中子5は鋳造時もしくは成形時に溶融しないだけの高い融点を持つ溶融塩を表層とし、内部を鋳造もしくは成形される材料の融点よりも低い融点を持つ溶融塩で構成するものである。
中子5は、図4に示すごとく、表層部2と内部4とにより構成されるものである。
表層部2は、中子5において、溶湯と接触する部位に構成されるものである。表層部2は金型と中子とにより構成されるキャビティー内に溶湯を注入した際に、中子5と溶湯とが接触する部位に構成されるものであり、ほぼ均一の厚みに構成されるものである。表層部2は高融点溶融塩により構成されるものであり、キャビティー内に注入される溶湯や樹脂の温度に耐えて形状を維持するものにより構成されるものである。
内部4は表層部2の内部に構成されるものであり、中子5の中空部を充填して中子の耐圧強度を確保するものである。中子5の内部4は低融点溶融塩により構成されるものであり、ほぼ均一の厚みに構成された表層部2の内側に充填されている。内部4を低融点溶融塩により構成するので、中子を除去する際に溶湯もしくは樹脂の注入により構成される粗材を加熱することにより、低温域で内部4を溶出させることができるものである。これにより、中子5の排出作業を軽減できる。
表層部2を高融点溶融塩により構成するとともに、内部4を低融点溶融塩により構成するので、内部4の低溶融点溶融塩の溶融による吸熱により溶湯もしくは樹脂の冷却を行うことができる。例えば、金属溶湯の鋳造において、中子5内の低融点溶融塩が溶湯の熱で溶融して溶融潜熱を奪うことで、溶湯と中子との接触部における溶湯の冷却速度がおおきくなり、粗材の強度が向上するものである。
なお、高融点溶融塩および低融点溶融塩中には、骨材として人工砂または自然砂などを用いることが可能であり、粘結剤として粘土分を任意の量含ませることが出来るものである。
次に、中子5の構成の過程について説明する。
中子型を用いた中子の形成過程について説明する。まず、中子型に高融点溶融塩を溶融状態で注入する。この際、中子型は高融点溶融塩の融点以下の温度に保持されており、高融点溶融塩は、中子の表層となるものである。
そして、金型表面に凝固した高融点溶融塩の層ができるまで、所定の時間経過後、中子を反転し、未凝固の溶融塩を排出する。これにより高融点溶融塩層を形成する。
次に、未凝固の高融点溶融塩が排出されてできた空洞部に、溶融させた低融点溶融塩を注入して中子の完成とする。なお、必要に応じて、低融点溶融塩を注入する前に、溶融塩の相互溶解を防止するオイルなどを高融点溶融塩に塗布することも可能である。
図5は中子型への高融点溶融塩の注入工程を示す側面図であり、図6は中子型より余剰の高融点溶融塩を排出する工程を示す側面図であり、図7は中子型への低融点溶融塩の注入工程を示す側面図であり、図8は中子型よりの中子取出し工程を示す側面図である。
中子の形成過程について、図5から8を用いて説明する。
図5に示すごとく、中子型1により、中子の形状にキャビティーが構成されるものである。そして、中子型1を高融点溶融塩の融点以下の温度に保ち、中子型1のキャビティー内に融解した高融点溶融塩32を注入する。高融点溶融塩の実例としては、エンジンのシリンダブロックの中空部を構成する場合などにおいて、融点800℃の塩化ナトリウムを用いることが可能である。
高融点溶融塩32は、中子型1のキャビティーを満たすまで注入される。中子型1が高融点溶融塩の融点以下の温度に保たれているので、中子型1と接触した部分の高融点溶融塩32が冷却されて、中子型1の内側面において凝固する。これにより、中子型1により構成されるキャビティー形状に沿って高融点溶融塩の層が形成されるものである。すなわち、高融点溶融塩を中子型1に注入し、所定の時間経過させることにより、容易に高融点溶融塩の層を構成できるものである。
次に、高融点溶融塩を注入された中子型1は、図6に示すごとく、所定の時間経過後に、反転されて未凝固の高融点溶融塩33が排出される。高融点溶融塩を溶解状態で排出するので、高融点溶融塩の再利用を容易に行うことが出来るものである。
この後に、図7に示すごとく、高融点溶融塩32で覆われたキャビティー内の空洞部に、溶融した低融点溶融塩34が注入される。そして、キャビティー内の空洞部を低融点溶融塩34により満たす。低融点溶融塩の例としては、融点330℃の硝酸カリウムを用いることができるものである。
そして、低融点溶融塩を凝固させた後に、図8に示すごとく、中子型1より中子5を取出すものである。これにより、表層を高融点溶融塩で構成し、内部に低融点溶融塩が充填された中子を構成することができるものである。
この他に、高融点溶融塩において、中空構造の中子を造型して、この中子の中空部に低融点溶融塩を充填して中子を構成することも可能である。
ダイカストによる成形工程を示す側面断面図。 中子の内部排出除去工程を示す側面断面図。 中子表層部除去工程を示す模式図。 中子の構成を示す側面断面図。 中子型への高融点溶融塩の注入工程を示す側面図。 中子型より余剰の高融点溶融塩を排出する工程を示す側面図。 中子型への低融点溶融塩の注入工程を示す側面図。 中子型よりの中子取出し工程を示す側面図。
符号の説明
1 中子型
2 表層部
4 内部
5 中子

Claims (2)

  1. 表層が成形時の溶湯熱に耐え形状維持する高融点の溶融塩であり、その内部に低温度で溶出する低融点塩を充填させたことを特徴とする耐圧中子。
  2. 中子型内に高融点溶融塩を注入し、表面部を凝固させた後に、内部の高融点溶融塩を除去し、これにより構成された内部空洞に低融点溶融塩を充填して製造することを特徴とする耐圧中子の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007144460A (ja) * 2005-11-28 2007-06-14 Toyama Prefecture 鋳造用コアの製造装置及びその製造方法
JP2012523571A (ja) * 2009-04-13 2012-10-04 マイクロニクス, インコーポレイテッド マイクロ流体臨床分析器
DE102012108079B3 (de) * 2012-08-31 2013-11-14 Hochschule Aalen Verfahren zur Herstellung hohler Salzkerne
CN104493130A (zh) * 2014-12-16 2015-04-08 瑞安市三义机械有限公司 一种多金属合金带泥芯压铸工艺

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