JP4332612B2 - 熱電堆パターンを備える気体センサ - Google Patents

熱電堆パターンを備える気体センサ Download PDF

Info

Publication number
JP4332612B2
JP4332612B2 JP2003424926A JP2003424926A JP4332612B2 JP 4332612 B2 JP4332612 B2 JP 4332612B2 JP 2003424926 A JP2003424926 A JP 2003424926A JP 2003424926 A JP2003424926 A JP 2003424926A JP 4332612 B2 JP4332612 B2 JP 4332612B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pattern
sensor
conductor pattern
gas sensor
thermopile
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003424926A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005183795A (ja
Inventor
正 小林
壽一 長谷川
幸三 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EKO Instruments Co Ltd
Original Assignee
EKO Instruments Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EKO Instruments Co Ltd filed Critical EKO Instruments Co Ltd
Priority to JP2003424926A priority Critical patent/JP4332612B2/ja
Publication of JP2005183795A publication Critical patent/JP2005183795A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4332612B2 publication Critical patent/JP4332612B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は気体センサに係り、より詳細には、熱電堆パターンを備える水素センサに関する。
近年、燃料電池を使用した自動車の研究開発が国際的に広く推進されているが、数多の課題が指摘されている。大きな課題の一つが、燃料電池に使用される水素ガスの漏洩を検知でき、安価で、しかも信頼性の高いセンサを提供することであるが、未だにかかるセンサは存在しない。
さまざまな水素ガス検出原理が既に知られており、それぞれの原理、方法による水素センサも各種商品化されている。
しかし、これまでの製品はいずれも自動車用に供するにはサイズが大きすぎ、構造が複雑で製造コストが高価であるため、現状では、燃料電池車1台に1個設置される程度に留まっている(たとえば、非特許文献1参照)。
たとえば、従来技術の水素ガス検出原理の一例を説明すると、パラジウムあるいは白金の触媒作用を利用する方法がある。パラジウムを使用する水素ガスセンサの検出原理は、次のとおりである。すなわち、水素原子がパラジウム金属に吸収されると、水素濃度に応じてパラジウムの電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化をホイートストンブリッジなどにより測定し、水素濃度を換算する方法である。これは、抵抗変化測定方式と呼ばれるが、ホイートストンブリッジ等の回路を動作させるために電源が必要である(たとえば、非特許文献2参照)。
次に、従来技術の水素ガス検出原理の別の例を説明する。図1は、従来技術による温度差測定方式の水素センサの概略図である。図1(a)は、温度差測定方式を採用した水素センサの正面図であり、図1(b)は、その断面図である。水素センサ10は、アルミナ等のセラミック材料またはシリコンで作成されたセンサ基板12を備え、そのセンサ基板12の表面には、略半分程度の領域に、スパッタリングにより形成された白金薄膜の触媒層14が配設されている。そして、前記センサ10は、温度差を測定するため、高温側(触媒層のある領域)と、低温側(触媒層のない領域)とに、温度を測定する熱起電力材料16,18をさらに備える。センサの感度を高めるため、熱起電力材料16として、熱起電力(ゼーリック係数)が大きい酸化ニッケル等の酸化物熱電材料が使用されている(
たとえば、非特許文献3および4参照)。
しかしながら、酸化物熱電材料は、その製造に厚膜集積回路のプロセスを用いており、工程が複雑で、製品特性の均一化が難しいという課題がある。この製法では、まず複数の酸化物粉末を調合しビークルと混合してペーストを作成、それをスクリーン印刷して導体パターンを形成し、1000℃前後の高温で焼成して、酸化物熱電導体16とする。もう一方の熱電導体18を金の蒸着などで、別途に形成し、基板の約半分の領域にスパッタ法により白金薄膜14を形成すればセンサが完成する。2つの熱電導体16,18で構成される熱電回路により触媒領域(図1中のAの領域)の温度と、触媒なし領域(図1中のBの領域)との温度の差に相当する電圧が端子部(“+”と“−”端子)から得られる。
本製法の問題点としては、酸化物特性のばらつき、スクリーン印刷の厚さのばらつき、白金薄膜スパッタ面の凹凸、ばらつきなどにより、センサ特性がばらつきやすい点が挙げられる。
インターネット、URL<: HYPERLINK http://www.wired.com/news/b usiness/0,1367,59482,00.html> Proceedings of the 1999 U.S. DOE Hydrogen Program Review NREL/CP-570-26938 申ウソウ、村山宣光「高性能普及形水素センサの開発」(Material Stage Vol. 2, No.10, 2003) Woosuck SHIN, Kiyohisa IMAI, Noriya Izu and Norimitsu MURAYAMA "Thermolelectric Thick-Film Hydrogen Gas Sensor Operating ay Room Temperature", Jpn. J. Appl. Phys. Vol 40 (2001) pp.L1232-L1234 part 2, No. 11B. 15 November 2001.
以上説明したように、従前の水素センサは、自動車用に供するにはサイズが大きく、または構造が複雑で製造コストが高価であるため、燃料電池車1台に1個設置される程度に留まっている。
安全確保のためには、燃料電池車1台についても動力システム周りの複数箇所にセンサを設置して水素ガス漏れを監視することが望ましいとされているが、経済的に許容されていないのが現状である。そのため、小型で、かつ、簡易な水素センサが要望されている。
そこで、上記事情に鑑み、水素センサの改良を鋭意研究した結果、触媒作用による気体の酸化反応の際の反応熱に起因する温度上昇を利用することにより、小型で、かつ、簡易な水素センサに係る発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第一の面および第二の面を備える、耐熱性の可撓性支持体と、第一の金属からなる第一の導体パターンと、前記第一の金属とは異なる第二の金属からなる第二の導体パターンとを含む熱電堆パターンであって、前記第一の導体パターンの一の端部と前記第二の導体パターンの一の端部とが連接部を介して連なり、前記第一の面に配設された熱電堆パターンと、前記第二の面に面状に配設される、気体の酸化反応に対して触媒作用を有する材料からなる薄膜と、を備え、前記支持体を介して、前記薄膜の形成領域に対向する第一の面状の領域内に、前記連接部が包含され、前記対向する第一面上の領域を超えた外側に、前記熱電堆パターンが延在する、気体センサを提供する。かかる構成により、触媒の気体の酸化反応に起因する熱が発生する領域と、熱が発生しない領域との温度差を検出する気体センサが実現される。好適には、前記耐熱性の可撓性支持体はポリイミドフィルムである。
本発明の好ましい態様によれば、前記気体センサにおいて、前記熱電堆パターンは、前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが交互に連接するように、前記第一の導体パターンの他の端部と連接する別の第二の導体パターンを、または前記第二の導体パターンの他の端部と連接する別の第一の導体パターンを、さらに備えることを特徴とする。熱電堆パターンを構成する第一の導体パターンと第二の導体パターンを繰り返すことにより、検出する温度差に起因する起電力を増幅させることが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、前記気体センサにおいて、前記気体が水素であり、前記気体の酸化反応に対して触媒作用を有する材料が、白金であることを特徴とする。これは、白金が水素を酸化反応させるという触媒作用を利用した、水素センサへの適用を可能とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記気体センサにおいて、前記第一の金属がコンスタンタンであり、前記第二の金属が、銅めっきされたコンスタンタンあること、または前記第一の金属と前記第二の金属を逆にした構成、あるいは、前記第一の金属がニッケルである、前記第二の金属が、銅めっきされたニッケルである、または前記第一の金属と前記第二の金属を逆にした構成を採用し、好適な熱電堆パターンを構成する。
また、本発明による気体センサの別の態様として、前述の気体センサと、熱抵抗体とを備え、前記気体センサを前記熱抵抗体に対して巻回させたセンサシステムを提供する。
なお、本発明に係る水素センサの応用としては、燃料電池車用に限定されるものではなく、水素貯蔵施設、据置き型の燃料電池システム等にも適用可能である。また、気体との酸化反応に対して触媒作用を有する材料を適宜選択すれば、水素気体以外の一酸化炭素や二酸化炭素等へも適用可能である。
本発明による気体センサによれば、抵抗変化測定方式で必要になるホイートストンブリッジの調整等によるメンテナンスが不要となり、電源も不要となるため、小型化の水素センサが提供される。
さらに、本発明による気体センサによれば、従来の温度差測定方式に用いられている酸化物熱電材料の熱起電力は、銅コンスタンタンのような熱電堆に比べて約10倍と高いが、銅コンスタンタン熱電堆では、その熱電堆素線の対数を増やして感度を高めることが容易であるため、感度の均一性、安定性は、従来の酸化物熱電堆材料に比べて格段に高い、気体センサを提供できる。
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
以下、本発明に係る気体センサは、水素ガスを検知するセンサを例として説明するが、触媒作用による気体の酸化反応に起因する発熱現象を利用し、温度差を検知する熱電堆パターンを備えるセンサは、本発明の範囲の包含されるものである。
(第一の実施態様)
図2は、本発明による気体センサの第一の実施態様として、前記気体センサの基本構造の一例を示す図である。図2(a)は、基本構造の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のC−C線に沿った、基本構造の側断面図である。
図2に示す第一の実施態様の気体センサは、可撓性支持体の一方の面に熱電堆パターンを有し、その熱電堆パターンを有しない前記支持体の面の一部に、気体の酸化反応に対して触媒作用を有する材料を含む薄膜を形成させたセンサである。被検出気体の有無を、熱電堆パターンを備える前記支持体の面内の温度差として検出する方式である。
図2(a)に例示するように、本発明に係る気体センサ20は、耐熱性の可撓性支持体22を介して、前記支持体22の第一の面22a上に配設された熱電堆パターン25と、水素の酸化反応に対して触媒作用を有する材料を含み、前記支持体22の第二の面22bに、面状に配設させた薄膜28と、を備える。ここで、前記熱電堆パターン25は、第一の金属からなる導体パターン24(図2(a)において太線で表示)と、前記第一の金属とは異なる第二の金属からなる第二の導体パターン26(図2(a)において細線で表示)とを含み、連接部27を介して連なっている。ここで、連接部とは、各導体パターン24,26を構成する金属が連なって接し、結合している部分である。
本発明による気体センサ20において、熱電堆パターン25は、前記支持体22を介して、薄膜28の形成領域に対向する、熱電堆パターン25が配設される面上の領域Dを超えて、外側に延伸し、その場に存在する、つまり、延在することを特徴とする。このように、熱電堆パターン25が、対向する面上にて形成された薄膜28の形成領域が支持体を覆うよりも大きい領域を構成することを採用することにより、薄膜28の触媒作用により水素の酸化による反応熱を検知する領域を構成する。そのため、水素の存在を熱に変換して、その発熱を検出することにより、水素を検知することが可能にある。
また、本発明による気体センサ20では、熱電堆パターン25を構成する第一の導体パターン24と第二の導体パターン26とが連接する連接部が、対向する面22bにて面状薄膜28が形成する形成領域D内に包含される。かかる配置により、薄膜28にて発生する水素との反応熱が、前記支持体22を通じて、熱電堆パターン25へ伝播し、熱起電力に変換される。
このようにして、被検出気体の有無を、熱電堆パターンを備える前記支持体の面における温度差として検出する。具体的には、図2(a)に示す白金薄膜領域28で水素を含む空気に接触すると、かかる領域28で温度が上昇し、28以外の領域との温度差から生じる熱起電力が、図2(a)に示す端子部F,G間に生じる。
そして、予め、水素濃度と熱起電力との間で検量線を作成しておけば、生じた熱起電力から空気中の水素濃度を算出することが可能となる。
なお、本発明に係る気体センサ20は、構成自体が簡素であるため、センサ自体の小型化に適し、センサ全体としての厚さを35〜50μmという厚さに制御すれば、応答速度の迅速化を図ることができる、という利点がある。
本発明に利用する可撓性支持体22としては、耐熱性樹脂を含むフィルムであることが好ましい。特に、耐熱性の観点から、ポリイミドフィルムが好適である。ポリイミドフィルムの厚さは、以下に限定されるものではないが、25〜100μmであることが好ましい。
本発明に利用する熱電堆パターン25は、前述のように、相互に異なる二種類の金属材料から構成される。熱電堆パターン25を構成する第一の導体パターン24がコンスタンタンである場合、第二の導体パターン26は銅めっきされたコンスタンタンであることが好ましい。また、熱電堆パターン25を構成する第一の導体パターン24がニッケルである場合、第二の導体パターン26は銅めっきされたニッケルが好ましい。ここで、銅めっきされたコンスタンタンは、銅めっきの厚さを十分な厚さにすれば、銅パターンと同じ熱起電力を発生する。そのため、かかる構造の熱電堆は、銅・コンスタンタン熱電堆と同視できる。また、本発明に用いる熱電堆パターンの厚さは、以下の値に限定されるものではないが、5〜30μmであることが好ましい。
本発明に用いる水素の酸化反応に対して触媒作用を有する材料を含む薄膜28は、白金薄膜であることが好ましい。白金薄膜は、酸素の存在下、水素と酸化反応することにより、反応熱が発生する。この反応熱がポリイミドフィルムを介して熱電堆パターンへ伝播し、前記熱電堆パターンにて熱起電力が発生し、水素を検知することが可能となる。また、本発明に用いる白金薄膜の厚さは、以下の値に限定されるものではないが、10〜200nmであることが好ましい。
次に、本発明に用いる熱電堆パターン25の一つの製造方法について説明する。熱電堆パターンは、可撓性支持体であるポリイミドフィルムを利用して、フォトリソグラフィー技術により所望の導体パターンを形成させて製造することができる。
図3は、本発明に係る気体センサのうち、可撓性支持体であるポリイミドフィルムに熱電堆パターンを形成させる工程図を示す。また、図4は、ポリイミドフィルム100上に形成される熱電堆パターンの製造工程を説明する概略図である。
工程S100にて、図4(A)に示すように、可撓性支持体である、厚さ35μmのポリイミドフィルム100に、15μm厚のコンスタンタンフィルム110を接着させる。その際に、コンスタンタンフィルムとポリイミドフィルムに気泡が混入しないように、ローラ等によりコンスタンタンフィルムを押圧しながら接着させることが好ましい。
図3の工程S101において、図4(B)に示すように、前記コンスタンタンフィルム110に対して銅メッキ処理を行い、該フィルム110上に約40μm厚の銅膜120を形成させる。
次いで、工程S102にて、所望の熱電堆パターンに相当するパターンを有するレジスト膜130を、前記銅120上に形成し(図4(C))、塩化第二鉄エッチング液によるエッチング処理を行い(工程S103、図4(D))、コンスタンタン及び銅の双方をエッチングし、工程S104にてレジスト膜130を、たとえば、水酸化ナトリウム溶液を用いて剥離すると、図4(E)に示すコンスタンタン110上に銅120を有するパターンが形成される。
図4(E)に示す導体パターンはコンスタンタン上に銅メッキされた構造を有する。以下の説明では、図4(E)の示す導体パターンの一部の領域のみの銅メッキされた部分を削除し、図2(a)に示すような、コンスタンタンからなる第一の導体パターン24と、コンスタンタンと銅とからなる第二の導体パターン26が交互に連接した熱電堆パターンの形成を説明する。
工程S105にて、図4(F)に示すように、所定のパターンを有する新たなレジスト膜140をポリイミドフィルム上に形成する。この場合におけるレジスト膜140の所定のパターンは、図2(a)に示すコンスタンタンからなる第一の導体パターン24及びコンスタンタンと銅とからなる第二の導体パターン26が交互に連接した熱電堆パターンを形成させるパターンを有することが必要である。
しかる後に、工程S106にて、塩化ジアミン銅、塩化アンモン、アンモニアガスその他を含むアルカリエッチャントにより銅のみをエッチングする(図4(G))。なお、このアルカリエッチャントは銅のみをエッチングし、コンスタンタンはエッチングされないものを選択する。
次いで、前述のレジスト膜140を剥離し(工程S107)、図2に示す所望の熱電堆パターンが形成される。なお、図4(H)は、図2(a)に示すE−Eラインにて切断した際の概略断面図の一部に相当する。
このように製造された、ポリイミドフィルム上に形成された熱電堆パターンとは反対の面に、白金をポリイミドフィルム上に付着させ、白金薄膜を形成させることが可能となる。ポリイミドフィルムに白金を付着させる方法としては、以下の方法に限定されるものではないが、化学蒸着法やスパッタリング法などが挙げられる。金属薄膜のフィルムへの接着性の観点から、スパッタリング法を利用することが好ましい。
フィルムへの白金薄膜を付着させる際、白金薄膜の形成領域は、ポリイミドフィルムを介して対向する面上に配設される熱電堆パターンの連接部(図2の参照番号27に相当)を包含し、かつ、熱電堆パターンの端部が、前記白金の形成領域よりも外側に存在するように付着させる。なお、スパッタリングによる白金薄膜の形成領域を制御することは、当業者には容易に理解される。
(第二の実施態様)
図5は、本発明に係る気体センサの別の実施態様の概略正面図である。図5に示す気体センサ200は、図2に示す気体センサと比して、熱電堆パターン24,26の形状と白金薄膜形成領域28の数および配置を変更したセンサである。具体的には、図5に示す気体センサ200は、第一の導体パターンと第二の導体パターンとからなる熱電堆パターンを、さらに繰り返す構造を採用している。
気体センサ200は、2つの白金薄膜領域28を備え、その領域が熱電堆の高温接点部(図5では、HJとして示される)に位置するように、熱電堆パターンを構成している。なお、図5に示すCJとは、低温接点部を示し、ポリイミドフィルムを介して対向する領域には白金薄膜を備えていない部分を指す。
図5に示すように、白金薄膜領域の個数を増やすことにより、白金薄膜領域1個の場合よりもセンサ感度を増大させることができる。なお、この効果は、センサの横方向(A矢印)伝熱の熱抵抗がセンサ面から空間への伝熱の熱抵抗に比べて同程度以上の場合に気体できる。横方向の熱抵抗があまり小さい場合はかえって感度が低下するので、白金薄膜領域の最適個数はセンサの材質、構造、および使用条件に依存する。
図6は、本発明に係る気体センサからの出力のシミュレーション結果の例を示す。図6の横軸は、気体センサの左端から右端への距離(任意の単位)であり、縦軸はセンサ感度の相対値を示す。図6に示す点線は、図5に示すB部分からなる白金薄膜領域を1個、備える気体センサからの出力のシミュレーション結果であり、図6に示す実線は、図5に示すB部分とC部分とからなる白金薄膜領域を2個、備える気体センサからの出力のシミュレーション結果である。このシミュレーションでは、点線のケースの白金薄膜領域1個分の面積と、実線のケースの白金薄膜領域2個分の面積を同じとした。また、白金薄膜領域間の熱抵抗は、図4の構造で寸法を仮定して求めた値を用い、センサ面から空間への伝熱の熱抵抗の値は文献値(センサー・アンド・アクチュエータ(Sensors and Actuators) B 73 (2001) p.1-26参照)などから推定したおおよその値を用いた。2個の白金薄膜領域の熱抵抗は、センサ面から空間への伝熱の熱抵抗の1/100程度となっている。
白金薄膜領域の数を2個に増やすと、出力ピークの高さは1個の場合よりも低くなるが、2つのピークから得られるセンサ出力の和は、白金薄膜領域が1個の場合の出力よりも大きくなることが分かる。
(第三の実施態様)
図7は、本発明に係る気体センサを利用した、本発明のさらに別の実施態様のセンサシステムを示す図である。図7(a)は、図2に気体センサと同様のセンサであって、本発明の第三の実施態様に使用されるセンサの一例を示し、一方、図7(b)は、図7(a)に示すセンサの折目に沿って折り曲げ、熱抵抗体に巻回させたセンサシステムの側断面図を示す。
図7(a)に示すように、気体センサ20の左端部をXとし、その右端部をYとして表示する。また、図7(a)において、HJとは、後述するように、白金薄膜28を形成されるべき領域の高温接点部の中心として、左右の折目間が高温接点部を形成する領域を指す。一方、CJとは、前記左右の折目から左右の端部までの領域を指し、後述する白金薄膜28が形成されない領域であり、低温接点部という。
図7(a)に示す折目に沿って折り曲げ、熱抵抗体30に対して巻回させて、センサ端部X,Yを接近または接着させて、本発明に係るセンサシステムを作製することができる。その後、図7(b)に示すように、熱抵抗体に巻回させたシステムの下面に、白金薄膜28をスパッタリング法等により付着させて、最終的に、本発明に係るセンサシステムを製造することができる。
本発明に用いられる熱抵抗体30としては、以下のものに限定されるわけではないが、アルミナなどのセラミック板、ポリエステル、ポリイミドなどの樹脂板、ガラス繊維強化エポキシ樹脂積層板などの積層板を挙げることができる。また、発砲樹脂など多孔質材料を用いることもできる。
具体的には、0.35mmピッチで、コンスタンタンと銅めっきコンスタンタンからなる熱電堆パターンを108対、35μmのポリイミドフィルムに形成し、ガラス繊維強化エポキシ樹脂積層板からなる熱抵抗体に巻回させた。次いで、白金薄膜を厚さ50nmとして形成し、本発明に係るセンサシステムを製造し、その性能結果を以下に示す。
図8は、本発明に係るセンサシステムの性能結果を示す図である。図8は、本発明に係るセンサシステムを用い、水素濃度を0〜6%へと変化した際のセンサ出力の測定結果を示す。また、センサ出力の測定は、常温状態(24℃)と、昇温状態(58℃および88℃)とで行った。図8から明らかなように、常温状態でも、水素濃度に比例したセンサ出力が得られたが、その出力値は、昇温状態のそれよりも低い。一方、昇温状態では、水素濃度が0%から水素の爆発限界4%までは、水素濃度にほぼ比例するセンサ出力が得られた。具体的には、水素濃度4%における、本発明に係るセンサ出力は、0.25mVであり、この値は、可動コイル型電圧計などの簡易電圧測定器などの簡易測定器でも指示可能なレベルである。また、水素濃度1%以下における出力値も、検出可能であることが判明した。
なお、本発明に係るセンサシステムにおいて、高感度で水素濃度を検出するためには、昇温状態での測定が望ましいが、昇温状態における温度については、一定温度以上であれば、広範囲な温度範囲にわたってセンサ感度はほとんど変化しないことも分かった。このことは、図6に示す58℃と88℃の感度曲線がほぼ一致することからも裏付けられるものである。また、図8中に示す実線は、58℃と88℃における感度曲線をプールして当てはめたものである。
さらに、上記の例では、熱抵抗体の厚さを0.4mmとしたが、熱抵抗体の厚さを薄くすれば、応答速度を高めることが可能である。なお、図8にて例示したセンサシステムは、熱抵抗体の厚さが0.4mmであり、そのセンサシステムの電気抵抗地は焼く400Ωであり、一般的な酸化物半導体の熱電素子よりも抵抗値が低く、その値が安定している。そのため、センサ電気回路の安定性を高めることができ、本発明に係る水素センサやセンサシステムをより実用的なセンサとする点で、有利であるといえる。
従来技術による温度差測定方式の水素センサの概略図を示す。図1(a)は、かかる水素センサの正面図であり、図1(b)は、かかる水素センサの側断面図である。 本発明による気体センサの第一の実施態様の構造を示す図である。図2(a)は、その基本構造の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のC−C線に沿った、基本構造の側断面図である。 本発明に係る気体センサのうち、ポリイミドフィルムに熱電堆パターンを形成させる工程図を示す。 本発明に係る気体センサに用いるポリイミドフィルム上に形成される、熱電堆パターンの製造工程を説明する概略図である。 本発明に係る気体センサの別の実施態様の概略正面図である。 本発明に係る気体センサからの出力のシミュレーション結果の例を示す。 本発明に係る気体センサを利用した、本発明のさらに別の実施態様のセンサシステムを示す図である。 本発明に係るセンサシステムの性能結果を示す図である。図中の△は、24℃における出力値であり、□は58℃における出力値であり、○は88℃における出力値を表す。
符号の説明
20…気体センサ、22…支持体、24…第一の導体パターン、25…熱電堆パターン、26…第二の導体パターン、27…連接部、28…薄膜、30…熱抵抗体、50…センサシステム、100…ポリイミドフィルム、110…コンスタンタンフィルム、120…銅膜、130,140…レジスト膜、


Claims (6)

  1. 第一の面および第二の面を備える、耐熱性の可撓性支持体と、
    第一の金属からなる第一の導体パターンと、前記第一の金属とは異なる第二の金属からなる第二の導体パターンとを含む熱電堆パターンであって、前記第一の導体パターンの一の端部と前記第二の導体パターンの一の端部とが連接した連接部を介して連なり、前記第一の面に配設された熱電堆パターンと、
    前記第二の面に面状に配設される、気体の酸化反応に対して触媒作用を有する材料からなる薄膜と、を備え、
    前記支持体を介して、前記薄膜の形成領域に対向する第一の面上の領域内に、前記連接部が包含され、前記対向する第一の面上の領域を超えた外側に、前記熱電堆パターンが延在する、気体センサ。
  2. 前記熱電堆パターンは、前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとが交互に連接するように、前記第一の導体パターンの他の端部と連接する別の第二の導体パターンを、または前記第二の導体パターンの他の端部と連接する別の第一の導体パターンを、さらに備える、請求項1に記載の気体センサ。
  3. 前記気体が水素であり、前記気体の酸化反応に対して触媒作用を有する材料が、白金である、請求項1または2に記載の気体センサ。
  4. 前記第一の金属がコンスタンタンであり、前記第二の金属が、銅めっきされたコンスタンタンである、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の気体センサ。
  5. 前記第一の金属がニッケルである、前記第二の金属が、銅めっきされたニッケルである、請求項1または3のうち何れか一項に記載の気体センサ。
  6. 請求項1ないし5のうち何れか一項に記載の気体センサと、熱抵抗体とを備え、
    前記気体センサを前記熱抵抗体に対して巻回させたセンサシステム。





JP2003424926A 2003-12-22 2003-12-22 熱電堆パターンを備える気体センサ Expired - Lifetime JP4332612B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003424926A JP4332612B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 熱電堆パターンを備える気体センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003424926A JP4332612B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 熱電堆パターンを備える気体センサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005183795A JP2005183795A (ja) 2005-07-07
JP4332612B2 true JP4332612B2 (ja) 2009-09-16

Family

ID=34784973

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003424926A Expired - Lifetime JP4332612B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 熱電堆パターンを備える気体センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4332612B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009133636A (ja) * 2007-11-28 2009-06-18 Tdk Corp 水素ガスセンサ
JP6685043B2 (ja) * 2016-04-20 2020-04-22 学校法人 東洋大学 熱電式水素センサ
US10935514B2 (en) * 2017-08-10 2021-03-02 International Business Machines Corporation Low power combustible gas sensing

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2929789B2 (ja) * 1990-08-10 1999-08-03 三菱マテリアル株式会社 触媒燃焼式ガスセンサ
JP2001099801A (ja) * 1999-09-29 2001-04-13 Yazaki Corp 接触燃焼式ガスセンサ
JP4238309B2 (ja) * 2001-09-07 2009-03-18 独立行政法人産業技術総合研究所 可燃性ガスセンサ
JP2005098845A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Tdk Corp ガスセンサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005183795A (ja) 2005-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1853446B (zh) 加热器及利用pcb制造加热器的方法
US8156789B2 (en) Gas sensor chip and gas sensor provided therewith
TW506942B (en) Gas sensor and fabrication method thereof
JP4820528B2 (ja) 触媒センサ
US10697920B2 (en) Gas sensor
KR20030055341A (ko) 가스 센서 및 가스 농도의 검출 방법 및 장치
JP2007271556A (ja) 接触燃焼式ガスセンサとその検知素子および補償素子
JP4801396B2 (ja) ガスセンサ及びガスセンサの製造方法
JP2008275588A (ja) 可燃性ガスセンサ
JP6213866B2 (ja) 薄膜型水素ガスセンサ
WO2009081814A1 (ja) 燃料電池および温度測定方法
JP4332612B2 (ja) 熱電堆パターンを備える気体センサ
JP6243040B2 (ja) 被酸化性ガスを検出するセンサ
JP4798961B2 (ja) ヒータデバイス及びこれを用いた気体センサ装置
KR100906496B1 (ko) 가스 센서 및 그 제조 방법
JP2008203263A (ja) 放射センサ素子、センサフィールドおよび放射センサ素子の製造方法
JP2009079907A (ja) 接触燃焼式ガスセンサ
JP2007255960A (ja) 可燃性ガスの干渉を無くすガス検知方法及びガス検知センサ
JP3204365B2 (ja) マイクロヒータ及びcoセンサ
JP4900319B2 (ja) 薄膜ガスセンサ、ガス漏れ警報器、薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法
JP2004325218A (ja) 温度制御装置および温度制御方法ならびにそれらを用いたガス検出装置
JP2008233030A (ja) 可燃性ガスセンサ及びそれの製造方法
KR101992022B1 (ko) 반도체식 가스센서
JP2005098742A (ja) 接触燃焼式水素センサー
JP5129553B2 (ja) 水素検知素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090501

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090519

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4332612

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150703

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term