JP4332599B2 - アドレノメデュリン前駆体の製造方法 - Google Patents

アドレノメデュリン前駆体の製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、アドレノメデュリン前駆体を、融合蛋白質を経由して製造する方法に関する。
背景技術
アドレノメデュリン(Adrenomedullin;AM)は、ヒト褐色細胞腫組織より単離されたペプチドで、C末端のアミノ酸がアミド化された52残基のアミノ酸(配列番号:2)からなる(Kitamuraら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、192、553、(1993))。本ペプチドは血管拡張作用を有しており、高血圧・喘息・不妊治療薬あるいは循環器系の診断マーカーとして有用であることが期待されている。現在は、ヒト組織より精製し製造する又はペプチド合成機により製造する方法が取られているが、組織からの精製や合成機を用いた方法では工業的な大量のAM製造は期待できない。
AMは、比較的分子量の小さいペプチドであるため、遺伝子組換え技術を用いて生産する場合、酵母や昆虫細胞、枯草菌等の分泌系を利用するか、大腸菌等の非分泌系が考えられる。後者を利用する場合は微生物内で分解を受けやすい。従って、AMのみを直接遺伝子組換え技術により製造することは困難である。
一方、目的とする蛋白質を得るために、保護蛋白質又は付加蛋白質と目的蛋白質からなる融合蛋白質を用いる方法は知られている。融合蛋白質をプロテアーゼを用いて限定分解することにより、目的蛋白質を得ることができる。この場合、目的蛋白質の精製にはクロマトグラフィーが用いられてきた(特開昭62−259595実施例6、特開平1−10999実施例7)。
該先行技術においては、下記工程により目的蛋白質であるα−型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(αhANP)を得ている。
1)形質転換体の培養・破砕
2)遠心分離による融合蛋白質を含む画分の沈殿
3)沈殿した融合蛋白質を可溶化剤で抽出・溶解
4)融合蛋白質の限定分解
5)カラムクロマトグラフィーにより夾雑物質を吸着・除去
6)目的蛋白質の単離
しかし、限定分解した段階で、クロマトグラフィーにより目的蛋白質を精製しても、目的蛋白質以外の夾雑物質(特に、限定分解に由来する不特定多数のペプチド断片)が混在するため、クロマトグラフィーによる精製には処理量や回収率に限界があり、目的蛋白質の効率的な回収は期待できなかった。従って、従来技術では工業的規模での目的蛋白質の回収に困難が伴い、目的蛋白質の生産には適していなかった。
発明の開示
本発明者らは、AMの効率的な大量生産を目的として研究した結果、本発明を見出し、これを完成した。
すなわち、本発明は、
(1)アドレノメデュリン前駆体を含む融合蛋白質を組換え体を用いて製造することを特徴とするアドレノメデュリンの製造方法;
(2)以下の工程を含むことを特徴とするアドレノメデュリンの製造方法:
(A)付加蛋白質及びアドレノメデュリン前駆体を含む融合蛋白質を組換え体を用いて製造する工程、および
(B)融合蛋白質をプロテアーゼにより限定分解し、アドレノメデュリン前駆体を含む沈殿物を得る工程;
(3)以下の工程を含むことを特徴とするアドレノメデュリンの製造方法:
(A)付加蛋白質及びアドレノメデュリン前駆体を含む融合蛋白質を組換え体を用いて製造する工程、
(B)融合蛋白質をプロテアーゼにより限定分解し、アドレノメデュリン前駆体を含む沈殿物を得る工程、および
(C)工程(B)で得られた沈殿物を溶解液に溶解することにより、夾雑物質を含まずにアドレノメデュリン前駆体を抽出する工程;
(4)工程(A)の融合蛋白質が、付加蛋白質、リンカーペプチドおよびアドレノメデュリン前駆体から成ることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の製造方法;
(5)工程(B)のプロテアーゼが、アドレノメデュリン前駆体内部に切断点を持たないアミノ酸またはアミノ酸配列を特異的に切断するプロテアーゼであることを特徴とする上記(2)から(4)のいずれかに記載の製造方法;
(6)工程(B)のプロテアーゼがグルタミン酸残基特異的プロテアーゼであることを特徴とする上記(2)から(5)のいずれかに記載の製造方法;
(7)グルタミン酸残基特異的プロテアーゼがBLase、V8 proteaseである上記(6)に記載の製造方法;
(8)工程(C)の溶解液がpH3.5〜4.5であることを特徴とする上記(3)から(7)のいずれかに記載の製造方法;
(9)工程(C)の溶解液が変性剤を含まないことを特徴とする上記(8)に記載の製造方法;
(10)配列番号:7に記載の核酸配列を有するベクターにより形質転換された宿主を用いることを特徴とする上記(1)から(9)のいずれかに記載の製造方法;
(11)宿主が大腸菌であることを特徴とする上記(10)に記載の製造方法;
(12)工程(C)のアドレノメデュリン前駆体の抽出を60℃〜90℃に加熱しておこなうことを特徴とする上記(3)から(11)のいずれかに記載の製造方法;
(13)工程(B)の沈殿が、pH7.0〜pH9.0の溶液中で行われることを特徴とする上記(2)から(12)のいずれかに記載の製造方法;
(14)工程(B)の沈殿が、硫安沈殿により行われることを特徴とする上記(2)から(12)のいずれかに記載の製造方法;
(15)工程(C)の溶解液が、酢酸ナトリウム溶液である上記(3)から(14)のいずれかに記載の製造方法;
(16)工程(A)の付加蛋白質が、チオレドキシン、セファロスポリン−Cデアセチラーゼの部分配列、メチオニンγリアーゼの部分配列、マルトース結合蛋白質、グルタチオン−Sトランスフェラーゼ、HdeB、YfiD、UspA、YjgF、YgiN、PtsHからなる群より選択される上記(1)から(15)のいずれかに記載の製造方法;
(17)融合蛋白質が、配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなる上記(16)に記載の製造方法;
(18)融合蛋白質をコードする遺伝子が、配列番号:9に記載の核酸配列を含むことを特徴とする上記(17)に記載の製造方法;
(19)以下の工程を含むことを特徴とするアドレノメデュリンの製造方法:
(a)配列番号:7に記載の核酸配列を有するベクターにより形質転換された宿主を培養する工程、
(b)工程(a)で培養された宿主を破砕し、融合蛋白質を含む不溶画分を遠心分離により得る工程、
(c)工程(b)で得られた不溶画分より可溶化剤を含む溶液で融合蛋白質を抽出する工程、
(d)該融合蛋白質をBLaseにより限定分解し、アドレノメデュリン前駆体を含む沈殿物を得る工程、および
(e)工程(d)で得られた沈殿物を、変性剤を含まないpH3.5〜4.5の溶解液に、60℃〜90℃で加熱して溶解することにより、夾雑物質を含まずにアドレノメデュリン前駆体を抽出する工程;
(20)配列番号:8に記載のアミノ酸配列からなるリンカーペプチドとアドレノメデュリン前駆体を含む融合蛋白質;および
(21)上記(20)に記載のリンカーペプチドとアドレノメデュリン前駆体をコードする核酸配列を含む融合蛋白質をコードする遺伝子、に関する。
本発明において、「アドレノメデュリン」とは、ヒト由来のアドレノメデュリンを意味する。アドレノメデュリンは、52アミノ酸残基(配列番号:2)からなり、そのC末端チロシン残基はアミド化されたペプチドである。
本発明において、「アドレノメデュリン前駆体」としては、アドレノメデュリンのC末端チロシン残基にグリシン残基を付加し、53アミノ酸残基(配列番号:4)からなるペプチド(AM−gly)が例示される。また、配列番号:2に記載のアミノ酸配列の1位のTyrから51位のGlyのC末端にアミノ酸残基1個を付加したペプチド(AM(1−51)−AA:AAは任意の1アミノ酸残基)も本発明の「アドレノメデュリン前駆体」に含まれる。
アドレノメデュリン前駆体がAM−glyの場合には、アミド化酵素によって、処理することにより、生理活性を有するAMを得ることができる。アドレノメデュリン前駆体がAM(1−51)−AAの場合には、AAをアミド化されたチロシン残基に置換することによって、生理活性を有するAMを得ることができる。
AM−glyをコードする遺伝子は、配列番号:3または配列番号:5に記載の核酸配列からなる。
本発明において、「融合蛋白質」とは、付加蛋白質およびAM前駆体を含むポリペプチドを意味する。好ましくは、付加蛋白質、リンカーペプチドおよびAM前駆体からなるポリペプチドを意味する。付加蛋白質は、融合蛋白質のN末端側に位置する。AM前駆体は、融合蛋白質のC末端側に位置する。リンカーペプチドは、付加蛋白質とAM前駆体との間に位置する。
「付加蛋白質」は、比較的分子量の小さなAMを分解から保護するために用いられる。従って、どのようなペプチドでも用いることができる。ただし、生産性の観点から、大腸菌由来のペプチドであり、N末端からアミノ酸50残基以上、200残基以下のペプチドが好ましい。付加蛋白質としては、チオレドキシン(Bio/Technology,11,187−193(1993))、セファロスポリン−Cデアセチラーゼ(Appl.Environ.Microbiol.,61,2224−2229(1995))の部分配列、メチオニンγリアーゼ(Anal.Biochem.138,421−424(1984))の部分配列、マルトース結合蛋白質(Gene,67,21−30(1988))、グルタチオン−Sトランスフェラーゼ(Gene,67,31−40(1988))、HdeB(J.Bacteriol.,175,7747−7748(1993))、YfiD(Nucleic Acids Res.,22,4756−4767(1994))、UspA(Mol.Microbiol.,,3187−3198(1992))、YjgF(Nucleic Acids Res.,23,2105−2119(1995))、YgiN(Science,277(5331),1453−1474(1997))、PtsH(J.Bacteriol.,170,3150−3157(1988))などが例示できる。「セファロスポリン−Cデアセチラーゼの部分配列、メチオニンγリアーゼの部分配列」とは、各分子のN末端部分配列よりなるペプチドを意味する。
本発明において「リンカーペプチド」とは、使用するプロテアーゼが認識するアミノ酸またはアミノ酸配列をC末端に有するペプチドである。好ましくはC末端にグルタミン酸残基を有するペプチドを意味する。リンカーペプチドとしては、アミノ酸4残基以上、20残基以下のペプチドが好ましい。配列番号:40〜46に記載するアミノ酸配列からなるペプチドが例示される。好ましくは配列番号:44に記載のアミノ酸配列が例示される。「リンカーペプチド及びアドレノメデュリン前駆体」は、好ましくは、配列番号:8に記載のアミノ酸配列からなる。配列番号:8記載のアミノ酸配列は、配列番号:44記載のリンカーペプチドのC末端に配列番号:4または配列番号:6記載のAM前駆体を付加した配列からなる。「リンカーペプチド及びアドレノメデュリン前駆体をコードする遺伝子」は、好ましくは、配列番号:8記載のアミノ酸配列をコードする配列番号:7に記載の核酸配列からなる。
融合蛋白質としては、付加蛋白質としてチオレドキシン、リンカーペプチドとして配列番号:44に記載のアミノ酸配列およびAM前駆体からなるペプチドが例示される。該融合蛋白質の好ましいアミノ酸配列を配列番号:10に示す。配列番号:10記載のアミノ酸配列は、配列番号:8記載のアミノ酸配列のN末端にチオレドキシンを付加した配列からなる。配列番号:10記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を、配列番号:9に示す。
更に、融合蛋白質としては、付加蛋白質としてUspA、リンカーペプチドとして配列番号:44に記載のアミノ酸配列およびAM前駆体からなるペプチドが例示される。該融合蛋白質の好ましいアミノ酸配列を配列番号:72、74、76に示す。配列番号:72、74、76記載のアミノ酸配列は、配列番号:8記載のアミノ酸配列のN末端にUspAの一部または全部を付加した配列からなる。配列番号:72記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を配列番号:71に、配列番号:74記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を配列番号:73に、配列番号:76記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を配列番号:75に示す。
本発明において、「融合蛋白質を限定分解するプロテアーゼ」とは、融合蛋白質の酵素的な切断によりAM前駆体を遊離することができるプロテアーゼを意味する。好ましくは「アドレノメデュリン前駆体内部に切断点を持たないアミノ酸配列を特異的に切断するプロテアーゼ」が例示され、更に好ましくは「グルタミン酸残基特異的プロテアーゼ」が例示される。
「グルタミン酸特異的プロテアーゼ」とは、グルタミン酸残基のC末端を特異的に切断するプロテアーゼである。このようなプロテアーゼとしては、BLase(Eur.J.Biochem.,204,165−171(1992))、V8 protease(J.Biol.Chem.,247,6720−6726(1972))、Streptomyces griseus由来のプロテアーゼ(J.Biochem.,104,451−456(1988))などが例示される。
「変性剤」としては、尿素、塩酸グアニジン、SDS、酢酸などが例示される。
「溶解液」としては、酢酸ナトリウム溶液を使用できるが、その他としてはグリシン−塩酸、りん酸水素ナトリウム−クエン酸、クエン酸−クエン酸ナトリウムなどの溶液が溶解液として例示できる。
「可溶化剤」としては、尿素溶液の他、SDSや塩酸グアニジンなどの試薬が例示される。
発明を実施するための最良の形態
本発明において、AMの製造は、以下の工程により行なうことができる。
1)形質転換体の培養・破砕
2)遠心分離による融合蛋白質を含む画分の沈殿
3)沈殿した融合蛋白質を可溶化剤で抽出・溶解
4)融合蛋白質の限定分解
5)AM前駆体のpH調整による沈殿又は硫安沈殿
6)溶解液によるAM前駆体の特異的抽出
7)AM前駆体のC末端アミド化
8)AMの精製
以下において、各工程につき説明する。
1)ベクターの作製および形質転換体の培養・破砕
本発明の目的蛋白質であるAM前駆体を含む融合蛋白質をコードする遺伝子を、適当なベクターに組み込むことにより、融合蛋白質を発現するための発現ベクターが作製される。融合蛋白質をコードする遺伝子は、付加蛋白質をコードする遺伝子、リンカーペプチドをコードする遺伝子及びAM前駆体をコードする遺伝子からなる。AM前駆体をコードする遺伝子の入手源としては、例えばpHAM−3(Biochem.Biophys.Res.Commun.,194,720−725,(1993))やヒトcDNAを使用することが出来る。生産性の向上を目的として、AM前駆体のアミノ酸配列には変化を与えないAM前駆体合成遺伝子を使用することもできる。AM前駆体合成遺伝子としては、AM−glyをコードする配列番号:5に記載の核酸配列を使用することもできる。付加蛋白質がセファロスポリン−Cデアセチラーゼである場合には、セファロスポリン−Cデアセチラーゼをコードする遺伝子の入手源としては、pCAH431やBacillus subtilis SHS 0133株染色体DNAを使用することができる。付加蛋白質がチオレドキシンである場合には、チオレドキシンをコードする遺伝子の入手源としては、例えば、pTrxFusやpThioHis(何れもInvitrogen社製)、E.coli JM109株の染色体DNAを使用することができる。HdeB、YfiD、UspA、YjgF、YgiN、PtsHについては例えば、E.coli JM109株の染色体DNAを使用することができる。リンカーペプチドをコードする遺伝子としては、合成DNAを使用することが出来る。
ベクターとしては、ファージ又はプラスミドが使用される。この発現ベクターを宿主に導入することにより、形質転換体が作製される。宿主としては、細菌、酵母、昆虫細胞および動物細胞が用いられる。本発明において、宿主としては、好ましくは細菌であり、さらに、好ましくは大腸菌が用いられる。
宿主が大腸菌の場合、目的の融合蛋白質を効率的に発現させるためには、宿主内で機能する適切なプロモーター(lac,tac,trc,trp,Pなど)とShine−Dalgarno(SD)配列を有する発現ベクター(pKK223−3,pBS,pDR540,pP−lambdaなど)や、さらに翻訳開始コドンATGや制御配列を備えたATGベクター(pTrc99Aなど)に目的の融合蛋白質を含む遺伝子断片を挿入すれば良い。
発現ベクターを適切な宿主細胞(例えば、E.coli JM103,JM109,JM110,HB101,C600,BL21株など)に導入することによって形質転換体が得られる。この形質転換体を適当な条件で培養し、形質転換体を常法により破砕することにより、所望の融合蛋白質を得ることができる。
2)融合蛋白質を含む画分の回収
菌体内に封入体を形成した融合蛋白質を含む画分の回収は、遠心分離によって行なうことができる。遠心分離は、常法に従って行なうことができる。または、膜を用いて回収することも可能である。封入体を形成しない場合には等電点沈殿やイオン交換樹脂を使った方法等で精製することができる。この場合下記3)の操作は必要ない。
3)沈殿した融合蛋白質を可溶化剤で抽出・溶解
不溶画分の融合蛋白質は、可溶化剤で抽出することができる。可溶化剤としては4〜10mol/lの尿素溶液の他、SDSや塩酸グアニジンなどの試薬が例示される。しかしながら、抽出液中にて、限定分解を行なうため、プロテアーゼの活性が失われない尿素溶液で抽出するのが好ましい。
4)融合蛋白質の限定分解
常法に従い、融合蛋白質をグルタミン酸残基特異的プロテアーゼにより切断し、目的蛋白質であるAM前駆体を得る。限定分解を行なうための、グルタミン酸残基特異的プロテアーゼとしては、BLase(Bacillus licheniformis Glu−specificendopeptidase)、V8 proteaseなどが例示できる。限定分解は、上述の抽出液の尿素濃度を透析または希釈により調節した後におこなうことが好ましい。好ましい尿素濃度は、0mol/L〜3mol/Lである。
5)AM前駆体のpH調整による沈殿又は硫安沈殿
プロテアーゼで処理した溶液中には、AM前駆体のみならず、限定分解に起因する不特定多数のペプチドの断片やその他多様な夾雑物質が混在している。従って、AMの効率的な生産には、夾雑物質の除去が不可欠である。従来技術においては、夾雑物質の除去が不十分なまま、クロマトグラフィーによる精製を行なっていたため、クロマトグラフィーの負担が高く、効率的に大量の純度の高い目的蛋白質を得ることが困難であった。
本発明においては、限定分解をpHを調整した溶液中で行うことで、夾雑物質を上清中に溶解させたまま、AM前駆体を沈殿させることにより、夾雑物質の除去に成功した。
AM前駆体であるAM−glyの等電点は、コンピューターによる計算では、10.0である。しかしながら、実際には、AM−glyはpH8.0前後で効率的に沈殿させることが可能であった。一方、この条件では、付加蛋白質は沈殿しなかった。pH9.0以上では、AM−gly内部に切断が生じる。pH7.0以下では、AM−glyの収率が低下する。したがって、AM−glyを沈殿により夾雑物質から分離するためには、pH7.0〜pH9.0の範囲、好ましくはpH8.0になるように調節することでAM−glyを効率的に分離することができる。また、AM前駆体であるAM(1−51)−AAも同様にpH調節により分離することができる。
このAM前駆体の沈殿による夾雑物質の除去方法としては、pHの調整による沈殿以外にも、硫安沈殿やエタノール沈殿や有機ポリマーを用いた沈殿によっても行なうことができる。
硫安沈殿により行なう場合には、20−30%飽和硫安の添加によりAM前駆体の沈殿形成を助けることができる。
6)AM前駆体の溶解液による抽出および夾雑物質の除去
上記AM前駆体の沈殿では、完全には夾雑物質を除去できない場合もある。本発明においては、AM前駆体をpH4.0程度に調整した溶解液に特異的に溶解することで、夾雑物質を沈殿物として除去することができる。該夾雑物質の除去は、変性剤不存在でも効率的に行なうことができる。溶解液としては、酢酸ナトリウム溶液を使用できるが、その他としてはグリシン−塩酸、りん酸水素ナトリウム−クエン酸、クエン酸−クエン酸ナトリウムなどの溶液が溶解液として例示できる。抽出は、加熱処理して行なうことが好ましい。この時の温度は、60℃〜90℃であることが好ましい。
7)AM前駆体のC末端アミド化
生理活性を有するAMを製造するためには、AM前駆体であるAM−glyのC末端をペプチジルグリシンアルファーアミド化酵素(Eur.J.Biochem.,201,551−559(1991))でアミド化するか、またはカルボキシペプチダーゼを使ってAM(1−51)−AA(AAは適切なアミノ酸残基)のC末端アミノ酸残基をTyr−NHと置換することができる。アミド化反応は、前述の抽出工程により得られたAM−gly溶解液を使用して行なうことができる。AM−glyのアミド化反応は、市販のアミド化酵素を用いることができる。アミド化酵素としては、ペプチジルグリシンアルファーアミド化酵素(和光純薬)などが例示できる。アミド化反応に必要な酵素量は、AM前駆体に対して1/1200量(W/W)以上でも、反応副産物を生成することなく行なうことができる。また、AM(1−51)−AAの置換反応は、カルボキシペプチダーゼ−Y(Carlsberg Res.Commun,,46,121−128(1981))、カルボキシペプチダーゼ−W−II(Carlsberg Res.Commun.,50,309−323(1985))、カルボキシペプチダーゼ−M−I(Carlsberg Res.Commun.,48,217−230(1983))、カルボキシペプチダーゼ−S−I(Carlsberg Res.Commun.,53,309−320(1988))などによって行なうことができる。
8)AMの精製
アミド化されたAMは、各種クロマトグラフィーで精製することができる。精製したAMは、凍結乾燥により長期保存が可能である。
実施例
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。
実施例1 Saccharomyces cerevisiaeを宿主とした発現
(1)発現プラスミドの作製
AM前駆体であるGlycine extended human adrenomedullin(以下AM−gly(配列番号:4)と略す)を培地中に分泌させることを目的として酵母用発現プラスミドを構築した。AM−gly構造遺伝子部分(配列番号:3)を次のように作製した。まず、TaKaRa EX Taq(宝酒造社製)を用いたポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)により、pHAM−3[Biochem.Biophys.Res.Commun.,194,720−725(1993)]を鋳型としてAM−gly遺伝子を含むSnaI−SalI断片を増幅した(プライマーとしてAMPCR2及びAMSalRを使用)。このDNA断片をpUC18のSmaI部位にクローニングしてpUC18/AM−glyとした。合成DNAプライマーはアマシャム・ファルマシア社製のDNA合成機(Gene assembler Plus)を用いて合成した。
Figure 0004332599
次に、pUC18/AM−glyをSnaI−SalI消化し、AM−gly断片を取得し、pUC18上にクローニングしたmating factor α 1(以下MF α 1と略す)シグナル配列の下流NaeI−SnaI間に挿入して融合した。このMF α 1signal−[KREAEA]AM−gly遺伝子をBamHI−SalIで切り出してpRS5402(第1図)のGAL1 promoter下流のBamHI−SalI間に挿入し、AM−gly分泌発現プラスミドpAMG2A01を構築した。
(2)発現菌株の評価
酢酸リチウム法によりS.cerevisiae BJ1991,SH2676,SH2779株をpAMG2A01で形質転換し、YNB(−Leu)平板培地(yeast nitrogen base 0.67%,glucose 2%,aminoacids 0.005% each(without leucine),adenine 0.0025%,uracil 0.0025%,pH6.0,2% agar)にストリークして形質転換体を得た。SH2676,SH2779株は大阪大学・原島俊先生より譲り受けた。これらの株をフラスコ培養し、生産性を調べた。培地はYPSG(3−6−2−0.5%)(yeast extract 3%,peptone 6%,sucrose 2%,galactose 0.5%,tryptophan 0.01%,polypropylene glycol #2,000 0.01%,pH7.2)を用い、培養24、32、48、56時間にそれぞれ0.5、1、0.5、1%のgalactoseを添加した。培養上清をウサギ抗AM抗血清(ペプチド研究所社製)によるドットブロットで分析した結果、pAMG2A01を保持するS.cerevisiae BJ1991株に約50mg/Lの生産性が認められた。
実施例2 Pichia pastorisを宿主とした発現
(1)発現プラスミドの作製
AM−glyを培地中に分泌させることを目的としてpPIC3(Invitrogen社製)のBamHI−NotI間にMF α 1signal−[KR]−AM−glyを含むBamHI−EaeI断片を挿入した。このプラスミドをpAMGPi01と名づけた。
(2)発現菌株の評価
エレクトロポレーションによりPichia pastorisKM71株(Invitrogen社製)をStuIまたはSacIで切断したpAMGPi01で形質転換し、MD平板培地(1.34% yeast nitrogen base,4×10−5% biotin,1% dextrose,2% agar)にストリークした。得られた形質転換体を24well plateを使って培養し、培養上清中のAM−glyをウサギ抗AM抗血清(ペプチド研究所社製)を使ったdot blotによりpositive cloneを選択した。得られたクローンを24well plate上で培養条件を変えて培養した結果、約100mg/Lの生産性を持つ株が得られたことが確認できた。前培養にはMD培地(1.34% yeast nitrogen base,4×10−5% biotin,1% dextrose)を用い、本培養はBMGY培地(1% yeast extract,2% peptone,1.34% yeast nitrogen base,4×10−5% biotin,1% glycerol,100mmol/L potassium phosphate,pH6.0)で培養した後、BMMY培地(1% yeast extract,2% peptone,1.34% yeast nitrogen base,4×10−5% biotin,1% methanol,100mmol/L potassium phosphate,pH6.0)に培地を交換して培養した。発現の誘導を維持するために約24h毎に培養中に1% methanolを添加した。
実施例3 大腸菌を宿主とした発現プラスミドの作製
(1)DNAプライマーの合成
AM−glyを大腸菌で融合蛋白質として発現させるために、異種蛋白質全配列または部分配列とAM−glyを融合発現するプラスミドを構築した。融合蛋白質の限定分解法としては、グルタミン酸残基特異的プロテアーゼであるV8 proteaseやBLaseを使った方法を想定し、Gluを介して連結した。構築に用いた以下のPCR用オリゴヌクレオチドを合成した。
センス側プライマー
Figure 0004332599
Figure 0004332599
アンチセンス側プライマー
Figure 0004332599
(2)CAH融合発現プラスミド構築
Cephalosporin−C deacetylase(以下CAHと略す)の発現プラスミドであるpCAH431[J.Biosci.Bioeng.,87,446(1999)]の0.2kbp VspI−XbaI断片と0.23kbp SspI−DraI断片を除去してpCAH4312を構築し、このプラスミドを基にした。まず、pCAH4312を鋳型として、TaKaRa EX Taq(宝酒造社製)を用いたPCRにより4種類の長さのCAHのN末端からの部分配列をコードする遺伝子を含むHpaI−NspV断片を増幅した(プライマーとしてHPAI−CAHとE41REV、E98REV、E162REV、E307REVの何れかを使用)。次に、pHAM−3を鋳型として同様にPCRによりAM−gly遺伝子を含むNspV−XbaI断片を増幅した(プライマーとしてNSPV−AMとAM−XBAIRを使用)。これらの増幅断片は、それぞれpMOSBlue T−vector(アマシャム・ファルマシア社製)にクローニングした。その後、HpaI−NspV断片とNspV−XbaI断片を該当する制限酵素で切り出し、pCAH4312のHpaI−XbaI間に挿入して4種類のプラスミドを作製した。HpaI−NspV断片としてCAH[1−39]−[FE]遺伝子断片を使用したものをpAME1101とし、以下CAH[1−96]−[FE]、CAH[1−160]−[FE]、CAH[1−305]−[FE]を使用したものをそれぞれpAME1102(第2図)、pAME1103、pAME1105と命名した。
(3)Thioredoxin融合発現プラスミドの構築
合成DNA(SYNTACS1、SYNTACA1)を用いてtac promotorから開始コドンを含むPvuII−EcoRI断片を作製し、pMOSBlue T−vector(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)にクローニングした。pCAH4312のtrp promoterとCAH遺伝子を含むEcoRI−XbaI断片を上記のプラスミドのtac promotorを含むSmaI−XbaI断片と置換してpATG2131を得た。なお、本置換時にpCAH4312のEcoRI末端をT4 DNA polymerase(宝酒造社製)で処理してSmaI切断末端とligationした。使用した合成DNAの配列を示した。
Figure 0004332599
次に、E.coli JM109株(宝酒造社製)より染色体DNAを抽出・精製後、TaKaRa EX Taq(宝酒造社製)を用いたPCR反応によりthioredoxin遺伝子(trxA)を含むXbaI−NaeI断片を増幅した(プライマーとしてPCRTRXS1とPCRTRXA1を使用)。pMOSBlueT−vector上にクローニングした。pUC18/AM−glyのAM−gly遺伝子の直前に合成DNAリンカー(5’−CTAGAGGATCCGCCGGCTCTGGTTCTGGTGAA−3’)(配列番号:24)を挿入してXbaI−AM−gly−SalI間の配列をXbaI−BamHI−NaeI−[GSGSGE]−AM−gly−SalIとした後、XbaI−NaeI間にtrxAを含むXbaI−NaeI断片をサブクローニングしてXbaI−thioredoxin−[GSGSGE]−AM−gly−SalIとした(NaeI部位は遺伝子内に含まれる)。一方、pATG2131のEcoRI−XbaI間にマルチクローニングサイト(KpnI−MluI−StuI−NotI−XhoI)(5’−AATTCGGTACCACGCGTAGGCCTGCGGCCGCCTCGAGTGATC−3’)(配列番号:25)を挿入してpATG2131Mとした。このプラスミドのEcoRI−XhoI間にXbaI−thioredoxin−[GSGSGE]−AM−gly−SalIを挿入してpAME3201とした(第3図)。なお、EcoRI及びXbaI部位は切断後、mung bean nuclease(宝酒造社製)により平滑化処理し、ligationした。また、SalIとXhoI部位は末端部位が同じであるためligationが可能である。
実施例4 各種融合蛋白質発現プラスミド保持株の評価
プラスミドpAME1101,pAME1102,pAME1103,pAME1105またはpAME3201を導入したE.coli JM109株について10μg/mLテトラサイクリンを含むmodified TBあるいはCAH−A培地を用いて試験管培養した。
modified TB培地
12g/L Bacto tryptone
24g/L Bacto yeast extract
40g/L glycerol
12.5g/L KHPO
2.3g/L KHPO
0.2g/L polypropylene glycol #2,
000(P−2000)
pH7.2
CAH−A培地
60g/L glycerol
10g/L casein acid hydrolysates
6g/L NaHPO
2.6g/L KSO
2g/L Bacto yeast extract
1g/L NHCl
1g/L KHPO
0.5g/L NaCl
13.2mg/L CaCl・2H
5mg/L FeCl・6H
0.2g/L polypropylene glycol #2,
000(P−2000)
40.7mg/L MgCl・6H
pH7.1
培養は28℃あるいは37℃、振とう数300min−1で実施した。得られた菌体を超音波破砕し、SDS−PAGEで分析した。この結果、それぞれの形質転換体の発現量は表1の通りであった。
Figure 0004332599
このようにCAH[1−96]−[FE]−AM−gly発現プラスミドであるpAME1102を導入した株に比較的高い生産量を持ち、また分子量も小さいため生産には適していると考えられた。これらの生産株は融合蛋白質を封入体として生産したので、pAME3201及びpAME1102保持株の生産する封入体について尿素濃度(2,4,8mol/L)、pH(6.0,6.5,7.0,7.5,8.0)を変化させ、溶解条件を調べた。E.coli JM109/pAME3201が生産するthioredoxin−[GSGSGE]−AM−gly融合蛋白質は比較的溶解しやすいことが分かったが、多くの類縁体蛋白質を生産した。また、E.coli JM109/pAME1102が生産するCAH[1−96]−[FE]−AM−glyは8mol/L尿素条件下で溶解可能であった。
実施例5 クロマトグラフィーによるAM前駆体の分離
(1)組換えAM−glyの調製
従来技術であるクロマトグラフィーを用いた場合、目的蛋白質がどの程度の収率で得られるかを確認するため、以下の試験を行なった。
3台の30−L jar fermentorを用いてE.coli JM109/pAME1102を培養し(total 60L CAH−A培地(10μg/mLテトラサイクリン)37℃,pH7.0)、菌体を遠心分離により回収した後、APV−Gaulin model 30CDを用いて破砕した。遠心分離により封入体を含む画分を回収し、6mol/L guanidine hydrochrolide,10mmol/L glycine−sodium hydride,pH9.0で溶解した。次に酢酸でpHを3.0に調整し、蒸留水で2倍に希釈して不溶化させた後、沈殿物を100mmol/L Tris−HCl,pH7.8で洗浄した。8mol/L urea,50mmol/L Tris−HCl,pH8.0に再溶解した後、CaClを2mmol/Lになるように添加し、pHを8.0に調整して溶液中の蛋白質の1/1000重量のBLase(Bacillus licheniformis Glu−specific endopeptidase)を添加して37℃で24h反応させた。この結果、融合蛋白質はほぼ完全に限定分解され、AM−glyが遊離した。尿素存在下で2回S−Sepharose FFカラムクロマトグラフィーを行ない(4mol/L urea,50mmol/L sodium acetate buffer,pH5.0で吸着、10mmol/L sodium acetate,pH8.0でNaCl濃度を上げて溶出)、続いて逆相HPLC(Cosmosil 15C18MS 50mm I.D.×500mm(ナカライテスク社製))を使用し10mmol/L sodium phosphate−phosphoric acid,pH2.5でアセトニトリル濃度23%−30%の濃度勾配により溶出した。精製したAM−glyは逆相HPLC(第4図)、リジルエンドペプチダーゼ(和光純薬社製)を用いたペプチドマッピング、またアミノ酸配列解析により分析した。逆相HPLCによる分析はCosmosil 5C18−AR−II(ナカライテスク社製)を使用し0.05% TFAを含む系で溶出液のアセトニトリル濃度24%−32%/30minの濃度勾配により溶出し、波長220nmにおける吸光度(A220)で検出した。この精製方法による収率はS−Sepharose FFカラムクロマトグラフィー22.7%、逆相HPLC8.6%であった。totalの精製収率は2%であった(表2)。
従って、AMの工業的製造においては、従来技術であるカラムクロマトグラフィーによる精製法を改良することにより高い収率を得ることは困難が伴うと予想された。
Figure 0004332599
実施例6 類縁体蛋白質生産能の排除
E.coli JM109/pAME1102はCAH[1−96]−[FE]−AM−glyの他に類縁体の蛋白質を高分子量側に少なくとも2つ生産することが分かった。宿主大腸菌をE.coli JM103,JM110,DH5,DH5 α,DH5 α F’IQ,BL21の各株に変更して問題の解決を試みたところ、E.coli BL21株を用いることで類縁体の生産量が低下した。次に、mRNAの2次構造をコンピューター予測した結果、終止コドンを中心とした9塩基よりなるinverted repeatがあり、2次構造が形成される可能性が強いことが明らかとなった。QuikChange Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製)を用い、stop codon(TGA)を部位特異的変異導入によりTAAまたはTAGに置換し2次構造を破壊した。また、同時にプロセスの精製操作を簡単にする目的で、CAH[1−96]部分に存在するGlu(17,26,33,34)をLysあるいはGlnに置換した。これらの株を試験管培養(10mL CAH−A培地、37℃、振とう数300min−1)し、SDS−PAGEで菌体の蛋白質を分析した結果、stop codonをTAAに置換した変異プラスミド保持株では類縁体蛋白質を生産しなくなった。TAGに置換した場合では2つの内1つの類縁体を生産しなくなり、1つの生産量が多くなった。pAME1102のGlu(17,26,33,34)をGlnに、stop codonをTAAに置換したプラスミドをpAME1102Qとした。
実施例7 BLaseによる限定分解効率の改良
(1)発現プラスミドの構築
融合蛋白質CAH[1−96](E17,26,33,34Q)−[FE]−AM−glyのBLaseによる限定分解の効率は高くないことが分かったため、融合蛋白質のAM−gly直前にペプチドを挿入し、BLaseによる限定分解効率を高める検討をした。BLaseの基質特異性は切断部位であるグルタミン酸残基(P)からN末端方向にPがPhe、PがAla、PがAspである場合に比較的切断反応が比較的速いことが報告されている[Eur.J.Biochem.206,103(1992)]。ここではAsp−Ala−Phe−GluのN末端に性質の異なる配列を接続したペプチドを中心に種々のリンカーペプチドを挿入して反応に適した配列を選択した。pAME1102QのAM−gly遺伝子の直前にあるNspV部位に合成DNAリンカーを挿入し、7種類のAM−gly直前の配列の異なる融合蛋白質生産プラスミドを構築した(pAME1102Q−I1〜7)。それぞれに使用した合成DNAは順に以下の通りである。
Figure 0004332599
Figure 0004332599
(2)BLaseによる切断反応
pAME1102Q−I1〜7を導入したE.coli JM109株を10mLのCAH−A培地(10μg/mLテトラサイクリン)で試験管培養(37℃)し、集めた菌体を超音波破砕して不溶性画分を遠心分離により回収した。8mol/L urea,2mmol/L CaCl,50mmol/L Tris−HCl,pH8.0で蛋白質濃度が1mg/mLになるように溶解し、2μg/mLのBLaseを添加して試験管中で37℃で2時間反応させた。30分および2時間にサンプリングしてBLaseの反応をSDS−PAGEで調べた結果、Asp−Ala−Phe−Glu配列の挿入によりBLaseの反応速度は高まり、CAH[1−96](E17,26,33,34Q)−[GSGSGDAFE]−AM−glyが最も切断されやすかった(表3参照)。数値はSDS−PAGE、クイック−CBB(和光純薬社製)で染色の後、デンシトメーターの測定値より算出した。
Figure 0004332599
実施例8 AM−gly合成遺伝子を使用した高発現株の造成
(1)発現プラスミドの構築
E.coli JM109/pAME1102の融合蛋白質の発現量は0.2−0.5g/L程度であるので、さらなる改良を行った。ヒト由来AM−gly遺伝子は大腸菌でのrare codonをいくつか保有しており、翻訳効率を下げる原因となっている可能性があった[Current Opinion in Biotechnology,,494(1995)]。この理由から、これらのアミノ酸コドンを高頻度で使われるコドンに置き換えたAM−gly合成遺伝子(配列番号:5)を用いてプラスミドを構築、発現させた。置換したコドンは、Leu11(CTC,12.1%→CTG,53.7%)、Arg12(CGG,9.6%→CGC,40.4%)、Gly19(GGG,12.3%→GGC,45.6%)、Ala17(GCA,19.3%→GCG,34.3%)、Thr34(ACA,11.5%→ACC,45.3%)、Pro43(CCC,13.3%→CCG,54.4%)、Arg44(AGG,3.2%→CGC,40.4%)、Pro49(CCC,13.3%→CCG,54.4%)である。使用頻度の高いコドンはGC含量が高くなる傾向があるため、mRNAの2次構造形成を促進する。これを防止するため、その他にもArg,Gly10,Arg17のアミノ酸コドンを置換した。また、終止コドンもTAAに置換した。CAH[1−96]−[FE]−AM−glyは溶解性が低く、精製操作において尿素等の変性剤の添加を必要とした。このため付加蛋白質はCAH[1−96](E17,26,33,34Q)−[GSGSGDAFE]と、溶解性が高いthioredoxinに[GSGSGDAFE]を付与したものにした。まず[GSGSGDAFE]−AM−gly合成遺伝子(配列番号:7)を含むNaeI−SalI遺伝子を下に示す4本の合成DNAを用いたPCR反応により作製し、pUC18上にクローニングした([GSGSGDAFE]−AM−gly/pUC18)。次に、thioredoxin遺伝子内部のClaI部位をアミノ酸置換を伴わない点変異の導入により消去したHincII−thioredoxin−NaeI断片を([GSGSGDAFE]−AM−gly/pUC18)のEcoRV−NaeI間に挿入し、thioredoxin−[GSGSGDAFE]−AM−gly/pUC18とした。最終的にpAME3201のCpoI−XbaI断片をthioredoxin−[GSGSGDAFE]−AM−gly/pUC18のCpoI−XbaI断片と交換してpAME3202を得た(第5図)。一方、pAME1102Q−I5のNspV−AM−gly−XbaI断片をthioredoxin−[GSGSGDAFE]−AM−gly/pUC18のNspV−AM−gly−XbaI断片と交換してpAME1111とした(第6図)。pAME1111の全融合蛋白質遺伝子を含むClaI断片をpAME3202と互いに交換してpAME3105(第7図)とpAME1201(第8図)を得た。プラスミドの構築で使用した合成DNAの配列は以下の通りである。下線部分は互いに相補する配列部分である。
Figure 0004332599
Figure 0004332599
(2)発現菌株の評価
上記の各種発現プラスミドpAME3202,pAME1111,pAME3105,pAME1201をE.coli JM109株及びBL21株に導入し、形質転換体を培養後、各株の融合蛋白質生産性を試験管培養で調べた。培地には10μg/mLテトラサイクリンを含むmodified TBまたはCAH−A培地を10mL使用し、28℃または37℃、300spmで培養した。誘導型プロモーター(tac promoter)を用いた場合には波長650nmにおける濁度(OD650)の値が2−3の時にIPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を終濃度1mmol/Lになるように添加した。この結果、宿主にBL21を用い、thioredoxin−[GSGSGDAFE]−AM−gly(配列番号:10)をtrppromoterの支配下で発現させた場合(pAME3105)にCAH−A培地、37℃の条件で培養すると最も高い発現量が得られた。一方このプラスミドを保持するE.coli JM109株をは生産量が低かった。rare codonをcodon biasの高いcodonに置換した合成遺伝子を有するE.coli JM109/pAME3202株はヒト由来の遺伝子を導入したpAME3201形質転換株と比較して顕著に発現量が増大していた。またE.coli BL21株を宿主とした場合でも培養温度を37℃に上げるとpAME3201保持株にはほとんど生産性がなくなるのに比べ、pAME3202保持株は生産性を維持することができる。
実施例9 発現菌株の培養
前培養したE.coli BL21/pAME3105を2−L jar fermentor中の1.2L CAH−A培地(10μg/mLテトラサイクリン)に植菌し、37℃、pH6.25、通気1vvm、攪拌600rpmで培養を開始、培養8時間で攪拌数を800rpmに上げた。培養24時間で菌体を破砕後、遠心分離により回収、洗浄した封入体中には培養液当たり2.5g/Lの蛋白質が存在した。得られた封入体中の融合蛋白質の純度が80%を超えていることから融合蛋白質の発現量は2g/L以上となる。
実施例10 効率的なAM−gly粗精製法の構築
(1)沈殿化によるAM−glyの分離
E.coli BL21/pAME3105を培養し、集菌後破砕、遠心分離により封入体を含む画分を回収した。次に中性pH域の緩衝液で洗浄した後、6mol/L urea,2mmol/L CaCl,50mmol/L Tris−HCl,pH8.0で溶解した。透析によりurea濃度を0.5mol/Lまたは1mol/Lにした後、蛋白質濃度を1mg/mLに調整し、BLaseによる限定分解反応を行った。この結果、反応の進行と共に溶液が白濁する現象が認められた。HPLCによる分析の結果、AM−glyが特異的に不溶化、析出していることが明らかとなった。1mol/L urea存在下でBLase反応時の蛋白質濃度を10mg/mLに上げ、反応後5℃で16h静置することで収率は87%まで上昇した(表4)。また同条件で溶解後、2mmol/L CaCl,50mmol/L Tris−HCl,pH8.0を用いた希釈によりurea濃度を1mol/Lに調整し、終濃度2mg/mLの蛋白質濃度で処理した場合でも同等の効率でAM−glyを回収することができた。同様にpHの検討を7−10の範囲で行った結果、pH9以上ではAM−gly内部での切断が認められ、またpH7では収率が低下した(第9図)。また低濃度尿素存在下でBLase反応することができるようになったことからBLaseの使用量も大幅な削減が可能になり、SDS−PAGEによる分析の結果から蛋白質濃度10mg/mLで1/5000(w/w)のBLase添加により1hの反応で限定分解はほぼ終了した。融合する相手の蛋白質であるthioredoxinも分子内に5個のグルタミン酸残基を持つが、2mol/L以下のurea濃度条件下ではこれらの部位での切断速度は極めて遅い。また、硫安の添加によりAM−glyの沈殿形成を助けることができた。20−30%硫安の添加により95%以上のAM−glyを回収することができた(表4)。遊離されたthioredoxinはこの条件で溶解性を保つことができる。
(2)抽出によるAM−glyの粗精製
沈殿したAM−gly析出物について溶解条件を調べた。変性剤非存在下でもpH2.5またはpH4.0で効率的に溶解することが可能であり(第10図)、pH4.0で溶解した場合には多量の夾雑物を除くことができた。さらに、加熱抽出(80℃,30min)することで溶解効率を高めることができ、BLaseの失活、及びその他の夾雑蛋白質の除去に効果があった。同じ方法を使ってpH2.5で溶解した溶解液の吸光度と比べると、溶解されたAM−gly量が同じなのに対してA280は22%,A260は13%であり、顕著な精製効果が認められた。50mmol/L sodium acetate,pH4.0で抽出した溶液(6mg/mL AM−gly)を逆相HPLCで分析(A220)したところ(第11図)、この溶解液中のAM−gly純度は約90%であった。分析条件は実施例5に示した方法を使用した。また、得られたAM−glyは全て分子内S−S結合が架かった酸化型として得られた。この方法による回収率は83%であり、抽出操作を繰り返すことにより、さらに回収率を上げることができた(表4、2回で回収率93%)。一方、この析出物は弱アルカリ性の緩衝液(2mmol/L Tris−HCl,pH8.0)や蒸留水では溶解せず、沈殿に混入したthioredoxin分子や尿素、硫安を洗浄により除去することができた。これらの結果から、本方法を用いた場合には従来のカラムを用いた方法や通常の等電点沈殿では通常期待できない程高い収率で純度の高いAM−gly溶液が調製できた。この方法はカラム精製に比べ操作が単純であるため工業的スケールへのスケールアップが容易である。また、製造期間が短縮でき、さらに、高価なカラム樹脂を必要としないことからも製造コストを大幅に削減することが可能であると考えられる。
Figure 0004332599
実施例11 他の付加蛋白質の検討
ここまでに示した方法を用いたAM−glyの調製方法がのチオレドキシン分子以外の付加蛋白質を用いて可能であることを確認するために他の付加蛋白質の検討を行った。まず大腸菌用ATGベクターを作製した。pCAH4312を鋳型としてtrppromoterを含む部分をPCRにより増幅し、pMOSblue T−vector(アマシャム・ファルマシア社製)にクローニングした。pCAH4312のEcoRI−XbaI間にクローニングされたtrppromoterを含むSmaI−XbaI断片を挿入し、pATG1131とした。EcoRI切断末端はT4 DNA polymeraseで平滑化処理の後、SmaI切断末端と連結した。PCRに用いたプライマーの配列を示す。
センス側プライマー
Figure 0004332599
アンチセンス側プライマー
Figure 0004332599
大腸菌由来で、菌体内での生産量が比較的多くて分子量が小さく、やや等電点の低いタンパク質をターゲットとし、HdeB、YfiD、UspA、YjgF、YgiN、PtsHを検討に用いた。HdeBに関しては分泌シグナルが存在するのでシグナルを除いた形での断片取得も行った。いずれもE.coli JM109株の染色体DNAを鋳型にしたPCRにより該当遺伝子部分を増幅し、得た断片をpUC18上で[GSGSGDAFE]−AM−gly遺伝子(実施例8)の5’末端に融合した後、pATG1131のEcoRI−XbaI間にクローニングした。EcoRI切断末端はMung Bean Nucleaseで平滑化処理し、また連結する各蛋白質の遺伝子側の5’側も必要なものはMung Bean NucleaseまたはT4 DNA polymeraseにより平滑化処理して野生型の5’配列を持つ遺伝子として組込んだ。付加蛋白質遺伝子の3’側の連結にはNaeI切断配列を使った都合上Ala残基が付与された。PCRに用いたDNAの配列を以下に示す。
センス側プライマー
Figure 0004332599
アンチセンス側プライマー
Figure 0004332599
構築した発現プラスミドを保持するE.coli BL21株を試験管培養(10mL CAH−A培地(5μg/ml tetracycline)、37℃、振とう数300min−1)した。培養終了液の菌体総蛋白質についてSDS−PAGE、CBB染色した結果、分泌シグナルを残したHdeBを用いた場合以外はいずれも[GSGSGDAFE]−AM−glyと融合したタンパク質の生産が確認できた。中でもUspAを用いた場合の発現量は高く、このプラスミド名をpAME9101とした。
実施例12 低分子化したUspAを用いたAM−glyの融合発現
UspA−[A]−[GSGSGDAFE]−AM−gly発現プラスミドpAME9101と同様の方法を用いてUspAのN末端部分配列を使用したプラスミドを作製した。発現量が大幅に低下しない範囲で付加蛋白質の分子量を下げれば生産効率を上げることが可能となる。部分配列としてはUspA[1−84]、UspA[1−65]、UspA[1−59]、UspA[1−57]を用い、これらの領域のPCRに用いたプライマーの配列を以下に示す。
センス側プライマー(共通)
Figure 0004332599
アンチセンス側プライマー
Figure 0004332599
各プラスミドを保持するE.coli BL21株を実施例11と同じ方法で試験管培養したところ最も分子量を小さくしたUspA[1−57]−[A]−[GSGSGDAFE]−AM−gly(配列番号:71、72)でも発現可能であり、さらに封入体の溶解性を高めるためにAspを導入して等電点を低くしたUspA[1−56]−[DD]−[GSGSGDAFE]−AM−gly(配列番号:73、74)もまた発現可能であった。2−L jar fermentorを用いてpAME9105(UspA[1−84]−[A]−GSGSGDAFE]−AM−gly発現プラスミド)、pAME9107(UspA[1−56]−[DD]−[GSGSGDAFE]−AM−gly発現プラスミド)をそれぞれ保持するE.coli BL21株について培養したところ、前者が2.2g/L、後者が1.6g/Lの生産性を示した。生産量の測定はSDS−PAGEのゲルをCBB染色し、BSAを標準としてデンシトメーターで測定した。培養は1.2LのCAH−A培地(5μg/ml tetracycline)を用い、32℃、通気1vvm、攪拌800rpmで行った。
実施例13 AM−gly生産確認
実施例12の培養液より調製したUspA[1−84]−[A]−[GSGSGDAFE]−AM−gly(配列番号75、76)、UspA[1−56]−[DD]−[GSGSGDAFE]−AM−glyの封入体画分を用いて実施例9、10と同様の方法を用いてAM−glyの生産を試みたところ、生産可能であることが確認できた。封入体は溶解性の問題から8mol/L urea,50mmol/L Tris−HCl,pH8を用いて溶解し、25mg/mlの蛋白質濃度に調製した後、50mmol/L Tris−HCl,pH8を用いて2.5mol/L ureaまで希釈してBLase反応を行った。反応終了後、20%硫安を添加して一晩4℃に保存し、遠心分離によりAM−glyを含む沈殿物を回収した。AM−glyの抽出は50mmol/L sodium acetate,pH4.0を用いて80℃、15分行った。実施例9、10ではBLase切断後付加蛋白質は上清中に残存したが、この場合ではBLaseによって分解されてAM−glyと共に沈殿化した。しかしながら調製されたAM−gly溶液のSDS−PAGE、CBB染色でUspA部分配列に由来する断片の存在は確認されず、このような場合にでもBLase消化・AM−glyの沈殿化・抽出よりなる当生産方法は応用できることが確認できた。
産業上の利用可能性
本発明によれば、AMを遺伝子組換え技術により、効率的に大量生産することが可能となる。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
第1図は、pRS5402の構造を示す。
第2図は、pAME1102の構造を示す。
第3図は、pAME3201の構造を示す。
第4図は、実施例5で調製したAM−glyの逆相HPLC溶出パターンを示す。
第5図は、pAME3202の構造を示す。
第6図は、pAME1111の構造を示す。
第7図は、pAME3105の構造を示す。
第8図は、pAME1201の構造を示す。
第9図は、種々のpH条件でのAM−glyの不溶化による回収率の変化を示した。
第10図は、種々のpH条件でのAM−gly沈殿物からのAM−glyの抽出効率を示した。
第11図は、AM−gly抽出液の逆相HPLC溶出パターンを示す。

Claims (8)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とするアドレノメデュリンの製造方法:
    (A)付加蛋白質としてUspA、リンカーペプチドとして配列番号:44に記載のアミノ酸配列およびアドレノメデュリン前駆体から成る融合蛋白質を組換え体を用いて製造する工程、
    (B)融合蛋白質をBLaseにより限定分解し、pH7.0〜pH9.0の溶液中でアドレノメデュリン前駆体を含む沈殿物を得る工程、および
    (C)工程(B)で得られた沈殿物を、pH3.5〜4.5の変性剤を含まない溶解液に溶解することにより、アドレノメデュリン前駆体を抽出する工程。
  2. 配列番号:7に記載の核酸配列を有するベクターにより形質転換された宿主を用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 宿主が大腸菌であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  4. 工程(C)のアドレノメデュリン前駆体の抽出を60℃〜90℃に加熱しておこなうことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程(B)の沈殿が、硫安沈殿により行われることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  6. 工程(C)の溶解液が、酢酸ナトリウム溶液である請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  7. 融合蛋白質が、配列番号:72、配列番号:74または配列番号:76のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
  8. 融合蛋白質をコードする遺伝子が、配列番号:71、配列番号:73または配列番号75のいずれかに記載の核酸配列を含むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
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