JP4331521B2 - 標的検出装置及び標的検出方法、並びに、標的検出試薬 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よく確実にかつ簡便にしかも高感度に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法、並びに、標的検出試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を検出する各種の方法が検討されてきており、例えば、ELISA等のエンザイム・イムノ・アッセイ法などが知られている。しかし、これらにおいては、高価な蛍光標識や危険な放射線マーカー等を使用しなければならない等の問題があった。
近時、蛍光標識や放射線マーカーを使用せずに、各種標的を検出する検出層による干渉光の干渉色変化等を検出することにより、各種標的を検出する装置や方法が提案されてきている。例えば、非特異性蛋白質層の膜厚変化を干渉色変化としてエリプソメータ等により測定する装置が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。また、核酸鎖による光反射表面における厚み変化を干渉色変化として検出することが提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。また、光源から発した光を偏光子を介して試料表面に照射し、その反射光を偏光変調器により反射させ、偏光子を介して検出する装置が提案されている(例えば、特許文献6〜9参照)。また、非特異性蛋白質層の膜厚変化を干渉光の干渉色変化としてエリプソメータ等により測定すると共に該干渉光を偏光子を介して検出する装置が提案されている(例えば、特許文献10参照)。
【0003】
しかしながら、これらの場合、簡便かつ迅速な測定ができず、測定ノイズを拾い易く、測定誤差が大きく、測定感度が十分でないという問題があり、更に定量できないという問題がある。したがって、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を高価な測定装置等を用いることなく、測定誤差を小さくして効率よく簡便かつ迅速にしかも高感度に検出可能であり、更には定量も可能な標的検出装置及び標的検出方法、並びに、それらに好適に用いられる標的検出用試薬は未だ提供されていないのが現状であり、これらの開発が切に望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−122603号公報
【特許文献2】
特開2002−116208号公報
【特許文献3】
特公平7−32720号公報
【特許文献4】
特開平10−288616号公報
【特許文献5】
特開2001−235473号公報
【特許文献6】
特開昭61−34442号公報
【特許文献7】
特開平4−78122号公報
【特許文献8】
特公昭62−57936号公報
【特許文献9】
米国特許明細書第4,332,476号明細書
【特許文献10】
特開2002−122603号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を高価な測定装置等を用いることなく、測定誤差を小さくして効率よく簡便かつ迅速にしかも高感度に検出可能であり、更には定量も可能な標的検出装置及び標的検出方法並びに検出標的試薬を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 直線偏光を照射する光照射手段と、検出標的と配位結合可能であり、前記光照射手段から照射された直線偏光を、楕円偏光として放射可能であり、前記検出標的と配位結合したときに、前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光として放射可能な楕円偏光放射手段と、前記楕円偏光の進路に設けられ、前記楕円偏光を検出する楕円偏光検出手段とを有し、前記楕円偏光放射手段が、分子側鎖に検出標的と配位結合可能な標的捕捉部を有し、前記標的捕捉部が、下記構造式(8)で表される金属錯体であることを特徴とする標的検出装置である。
構造式(8)
〔化4〕
該<1>に記載の標的検出装置においては、前記光照射手段が直線偏光を照射する。前記楕円偏光放射手段が、前記光照射手段から照射された直線偏光を楕円偏光として放射する。前記楕円偏光放射手段は、前記検出標的と配位結合可能であり、該検出標的と配位結合したときに、前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光を放射する。前記楕円偏光検出手段が、前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光を検出する。このため、該楕円偏光検出手段が前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光を検出することにより、前記検出標的が前記楕円放射手段と配位結合したこと、即ち、試料等中における該検出標的の存在が検出される。
該<1>の記載における標的検出装置においては、前記楕円偏光放射体における標的捕捉部が、前記検出標的と配位結合することにより、前記光照射手段から照射された直線偏光が、前記検出標的と前記標的捕捉部とが配位結合する前とは異なる楕円偏光として放射され、該楕円偏光を前記楕円偏光検出手段が検出することにより、試料中等の前記検出標的が検出される。
【0007】
<2> 楕円偏光検出手段が、特定の楕円偏光のみ透過可能であり、特定の楕円偏光が透過したことを検出可能である前記<1>に記載の標的検出装置である。該<2>に記載の標的検出装置においては、前記楕円偏光検出手段が、特定の楕円偏光のみ透過可能である。このため、該楕円偏光検出手段を、前記検出標的が前記楕円偏光放射手段と配位結合する前においては、前記特定の楕円偏光を透過不可能とし、かつ、前記検出標的が前記楕円偏光放射手段と配位結合した後においては、前記特定の楕円偏光を透過可能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定し、その波長変化だけでは標的の存在を確認することが極めて困難な場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、前記楕円偏光検出手段が前記楕円偏光の透過を検出したことをもって前記検出標的が前記楕円偏光放射手段と配位結合したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在が容易にかつ簡便にしかも高感度に検出される。
【0008】
<3> 楕円偏光検出手段が、楕円偏光板を透過した楕円偏光のみ検出可能である前記<2>に記載の標的検出装置である。
【0009】
<4> 楕円偏光検出手段が、楕円偏光放射手段から放射される楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との強度差を測定する前記<1>から<3>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<4>に記載の標的検出装置においては、前記右回り円偏光と前記左回り円偏光との強度差を測定することにより、前記楕円偏光の存在が間接的に検出される。
【0010】
<5> 右回り円偏光と左回り円偏光との強度が、光電子増倍管によって検出される前記<4>に記載の標的検出装置である。該<5>に記載の標的検出装置においては、前記右回り円偏光と前記左回り円偏光との強度を測定することにより、これらの強度差から楕円偏光の存在が間接的に検出される。
【0011】
<6> 楕円偏光検出手段が、CDスペクトルの変化を測定する前記<4>から<5>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<6>に記載の標的検出装置においては、前記右回り円偏光と前記左回り円偏光との強度を測定することにより、CDスペクトルを測定することができる。前記楕円偏光放射手段が前記検出標的と配位結合することにより、前記楕円偏光放射手段が、前記検出標的と配位結合する前とは異なる円二色性を示すため、CDスペクトルが変化することにより、前記楕円偏光の変化を間接的に測定でき、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、前記楕円偏光検出手段が特定の楕円偏光を間接的に検出したことをもって前記検出標的が前記楕円偏光放射手段と配位結合したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。また、前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが配位結合する前後におけるCDスペクトルの強度差(例えば、前記楕円偏光放射体が棒状有機分子から形成されている場合には、棒状有機分子において観られる特有の波長(200〜220nm付近)についての強度差)と、前記楕円偏光放射手段による前記検出標的の捕捉量との関係を示す検量線を予め作成しておき、前記検出標的を含有する試料について該検出標的の含有量を測定したいときに、前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが配位結合する前後におけるCDスペクトルの強度差を測定すれば、前記検量線から前記楕円偏光放射手段により捕捉された前記検出標的の量を定量することができる。
【0012】
<7> CDスペクトルが、円偏光二色性分散計によって測定される前記<6>に記載の標的検出装置である。
【0013】
<8> 楕円偏光放射手段が、楕円偏光を反射光及び透過光の少なくともいずれかとして放射する前記<1>から<7>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<8>に記載の標的検出装置においては、楕円偏光検出手段が、反射光及び透過光の少なくともいずれかとして放射する前記楕円偏光の進路に設けられ、該標的検出装置は反射型タイプ又は透過型タイプの装置として設計される。
【0015】
<9> 楕円偏光放射手段が、膜状物を少なくとも有してなる前記<1>から<8>のいずれかに記載の標的検出装置である。該<9>に記載の標的検出装置においては、楕円偏光放射手段における膜状物において、前記光照射手段より照射された直線偏光が楕円偏光として放射される。
<10> 膜状物が基板上に配された前記<9>に記載の標的検出装置である。該<10>に記載の標的検出装置においては、前記膜状物が前記基板上に設けられているので、該膜状物の構造上の安定性、表面の平滑性などに優れている。
<11> 膜状物が照射された直線偏光を楕円偏光として放射可能な楕円偏光放射体で形成された前記<9>から<10>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<12> 膜状物が、楕円偏光放射体の単分子膜及び該単分子膜の積層膜のいずれかである前記<9>から<11>のいずれかに記載の標的検出装置である。
【0016】
<13> 楕円偏光放射体が、棒状有機分子である前記<12>に記載の標的検出装置である。
<14> 楕円偏光放射体が、光学活性を有する前記<12>から<13>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<15> 楕円偏光放射体が、生体高分子、芳香族ポリアミド、ポリアミド、ポリエステル、ウイルス、多糖類から選択される少なくともいずれかである前記<14>に記載の標的検出装置である。
<16> 生体高分子が、αへリックス型ポリペプチド、核酸(RNA、DNA)の少なくともいずれかである前記<15>に記載の標的検出装置である。
<17> 芳香族ポリアミドが、下記構造式(1)及び構造式(2)の少なくともいずれかである前記<15>から<16>に記載の標的検出装置である。
構造式(1)
〔化5〕
構造式(2)
〔化6〕
<18> ポリアミドが、下記構造式(3)及び構造式(4)の少なくともいずれかである前記<15>から<17>のいずれかに記載の標的検出装置である。
構造式(3)
〔化7〕
構造式(4)
〔化8〕
<19> ポリエステルが、下記構造式(5)、構造式(6)及び構造式(7)から選択される少なくとも1種である前記<15>から<18>のいずれかに記載の標的検出装置である。
構造式(5)
〔化9〕
構造式(6)
〔化10〕
構造式(7)
〔化11〕
<20> ウイルスが、タバコモザイク病ウイルス、バクテリオファージの少なくともいずれかである前記<15>から<19>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<21> 多糖類が、アミロース、セルロースの少なくともいずれかである前記<15>から<20>のいずれかに記載の標的検出装置である。
【0017】
<22> 膜状物が塗布法、LB法、自己集積法、及びグラフト重合法から選択される少なくともいずれかの方法で形成された前記<9>から<21>のいずれかに記載の標的検出装置である。
<23> 基板が、半導体、セラミックス、金属、ガラス及びプラスチックスから選択される少なくとも1種で形成された前記<10>から<22>のいずれかに記載の標的検出装置である。
【0022】
<24> 光照射手段が、光源から出た光を直線偏光に偏光する前記<1>から<23>に記載の標的検出装置である。
<25> 光照射手段における直線偏光が、円偏光変調器によって、右回り円偏光と左回り円偏光とが交互に出るように変調される前記<24>に記載の標的検出装置である。
【0023】
<26> 検出標的と配位結合可能な標的捕捉部を少なくとも有してなり、照射された直線偏光を楕円偏光として放射し、前記標的捕捉部が前記検出標的と配位結合した後、前記楕円偏光と異なる楕円偏光を放射可能であり、該異なる楕円偏光を検出することにより該検出標的を検出するのに用いられ、前記標的捕捉部が、下記構造式(8)で表される金属錯体である標的検出試薬である。
構造式(8)
〔化12〕
該<26>に記載の標的検出試薬においては、前記光照射手段から照射された直線偏光を、前記標的捕捉部と前記検出標的とが配位結合した後に、前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光として放射する。このため、該標的検出試薬は、前記<1>から<25>に記載の標的検出装置における楕円偏光放射手段としても好適に使用可能である。
【0024】
<27> 標的検出試薬が、照射された直線偏光を楕円偏光として放射可能な楕円偏光放射体を有してなる前記<26>に記載の標的検出試薬である。
<28> 楕円偏光放射体が、標的捕捉部を有する前記<27>に記載の標的検出試薬である。
<29> 楕円偏光放射体が、棒状有機分子である前記<28>に記載の標的検出試薬である。
【0025】
<30> 検出標的と相互作用可能であり、楕円偏光として放射可能な楕円偏光放射手段に対して直線偏光を照射し、前記楕円偏光放射手段が、前記検出標的と相互作用したときに、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射させる楕円偏光放射工程と、前記楕円偏光放射手段が、前記検出標的と相互作用した後の楕円偏光を検出する楕円偏光検出工程とを含み、前記楕円偏光放射手段が、分子側鎖に検出標的と配位結合可能な標的捕捉部を有し、前記標的捕捉部が、下記構造式(8)で表される金属錯体であることを特徴とする標的検出方法である。
構造式(8)
〔化13〕
該<30>に記載の標的検出方法においては、前記楕円偏光放射工程において、楕円偏光放射手段に対して、直線偏光を照射し、前記楕円偏光放射手段が前記検出標的と相互作用するときに、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射させる。前記楕円偏光検出工程において、前記楕円偏光放射手段が前記検出標的と相互作用する前とは異なる楕円偏光を検出する。このため、該楕円偏光検出手段が検出した楕円偏光により、前記検出標的が前記楕円偏光放射手段と相互作用したこと、即ち、試料中等における該検出標的の存在が簡便にしかも高感度に検出される。
【0026】
<31> 検出標的と配位結合可能な前記<26>から<29>のいずれかに記載の標的検出試薬に対して直線偏光を照射し、前記標的検出試薬が、前記検出標的と配位結合したときに、前記検出標的と配位結合する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射させる楕円偏光放射工程と、前記標的検出試薬が、前記検出標的と配位結合した後の楕円偏光を検出する楕円偏光検出工程とを含むことを特徴とする標的検出方法である。該<31>に記載の標的検出方法においては、前記楕円偏光放射工程において、前記標的検出試薬に対して、直線偏光を照射し、前記標的検出試薬が前記検出標的と配位結合するときに、前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光を放射させる。前記楕円偏光検出工程において、前記標的検出試薬が前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光を検出する。このため、前記楕円偏光検出工程において、前記楕円偏光検出手段が楕円偏光により、前記検出標的が前記標的検出試薬と配位結合したこと、即ち、試料中等における該検出標的の存在が簡便にしかも高感度に検出される。
【0027】
【発明の実施の形態】
(標的検出装置)
本発明の標的検出装置は、光照射手段と、楕円偏光放射手段と、楕円偏光検出手段とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
【0028】
<光照射手段>
前記光照射手段は、直線偏光を放射する機能を有してなり、必要に応じて適宜選択したその他の機能を有してなる。
前記光照射手段は、直線偏光を照射する機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、光源から出た光をダブルプリズムモノクロメーターによって単色直線偏光として照射する装置、などが挙げられ、更に前記直線偏光を円偏光変調器(CDモジュレータ)によって、右回り円偏光と左回り円偏光とが交互に出るように変調できる機能を有するもの、などが好ましい。前記円偏光変調器により、前記直線偏光が前記右回り円偏光と前記左回り円偏光とが交互に出るように変調されることによって、前記楕円偏光放射手段に照射された前記直線偏光を楕円偏光として放射可能とする点で有利である。
【0029】
前記光源としては、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、キセノンランプ等のハロゲンランプ、などが挙げられる。
前記円偏光変調器としては、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、NH4H2PO4又はKH2PO4結晶に電圧をかけたときの複屈折率を用いたポッケルスセル、融解石英のひずみによる屈折率の異方性を利用したピエゾエラスティックモジュレーター、などが挙げられ、残留ひずみが少なく性能がよい点で、融解石英のひずみによる屈折率の異方性を利用したピエゾエラスティックモジュレーターが好ましい。
【0030】
<楕円偏光放射手段>
前記楕円偏光放射手段は、前記光照射手段から照射された直線偏光を楕円偏光として放射するとともに、検出標的と相互作用可能であり、前記検出標的と相互作用したときに、前記検出標的と相互作用する前とは異なる楕円偏光として放射する機能を有してなり、必要に応じて適宜選択したその他の機能を有してなる。前記放射は、反射光としてであってもよいし、透過光としてであってもよい。
【0031】
前記楕円偏光放射手段としては、前記機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、膜状物を少なくとも有してなるもの、などが挙げられる。
これらの中でも、膜状物を基板上に配されてなるもの、が好ましい。この場合、前記膜状物が前記基板上に配されているので、該膜状物の構造上の安定性、表面平滑性に優れ、検出誤差を小さくすることができ、また、前記膜状物のみを、他の前記機能を有する膜状物に代えて使用することができる点で好ましい。
【0032】
−基板−
前記基板としては、前記膜状物を表面に配置可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、検出誤差を小さくする観点からは、表面平滑性に優れるものが好ましく、例えば、半導体、セラミックス、金属、ガラス、石英ガラス及びプラスチックスから選択される少なくとも1種で形成されたもの、などが好適に挙げられ、また、干渉フィルタ、色素フィルタなども好適に挙げられる。なお、前記半導体としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリコンなどが好適に挙げられる。
【0033】
−膜状物−
前記膜状物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、楕円偏光放射体で形成されたもの、などが好適に挙げられる。
【0034】
−−楕円偏光放射体−−
前記楕円偏光放射体は、照射された直線偏光を楕円偏光として放射する機能を少なくとも有してなり、必要に応じてその他の機能を有してなる。
前記楕円偏光放射体としては、照射された直線偏光を楕円偏光として放射可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、棒状無機分子、棒状有機分子などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、200〜220nmの波長付近に特有のCDスペクトルを観察することができること、らせん構造中に標的捕捉部がある場合には、該標的捕捉部もらせん構造をとるため、前記標的捕捉部に前記検出標的が相互作用したときに、該らせん構造が大きく変化し、これに伴って円二色性も大きく変化すること、前記検出標的と相互作用しやすく、分子の加工が容易であり、前記膜状物の形成が容易であり、該膜状物の裏面の表面性状が平滑でない場合でもその反対面である表面における平滑性の維持が容易であること、などの点で棒状有機分子が好ましい。
【0035】
前記楕円偏光放射体としては、光学活性を有するものが、該楕円偏光放射体自体が、照射された直線偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との吸光度に差を生じさせることにより、楕円偏光として放射可能な点で好適である。ここで、物質に光が照射された場合に、照射された直線偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との吸光度に差を生じさせる現象のことを円二色性という。
【0036】
前記楕円偏光放射体としては、光学活性を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生体高分子、ポリアミド、芳香族ポリアミド、多糖類、ポリエステル、ウイルス、などが挙げられる。
【0037】
前記生体高分子としては、例えば、繊維状タンパク、αヘリックス型ポリペプチド、核酸(DNA、RNA)などが好適に挙げられる。該繊維状タンパクとしては、例えば、α−ケラチン、ミオシン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、絹フィブロイン等のαヘリックス構造を有するもの、などが挙げられる。
前記多糖類としては、例えば、セルロース、アミロース、などが好適に挙げられる。前記セルロースとしては、例えば、ハイドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記ポリアミドとしては、例えば、下記構造式(3)、構造式(4)によって示されるもの、などが好適に挙げられる。
【0038】
構造式(3)
【化17】
【0039】
構造式(4)
【化18】
前記芳香族ポリアミドとしては、例えば、下記構造式(1)、構造式(2)によって示されるもの、などが好適に挙げられる。
【0040】
構造式(1)
【化19】
【0041】
構造式(2)
【化20】
前記ポリエステルとしては、例えば、下記構造式(5)、構造式(6)、構造式(7)によって示されるもの、などが挙げられる。
【0042】
構造式(5)
【化21】
【0043】
構造式(6)
【化22】
【0044】
構造式(7)
【化23】
【0045】
前記ウイルスとしては、例えば、タバコモザイク病ウイルス、バクテリオファージ、などが挙げられる。
【0046】
前記楕円偏光放射体の中でも、200〜220nmの波長付近に特有のCDスペクトルを観察することができること、また、らせん構造中に標的捕捉部があるときには、該標的捕捉部もらせん構造をとるため、前記標的捕捉部に前記検出標的が相互作用したときに、該らせん構造が大きく変化し、これに伴って円二色性も大きく変化すること、などの点で分子がらせん構造を有するらせん状分子が好ましい。この場合、前記膜状物の裏面の表面性状(例えば、前記基材の表面性状)が平滑でない場合でもその反対面である表(おもて)面(前記光照射手段による光の入射面)における平滑性の維持が容易であり、表面が平滑でない場合に生ずる測定誤差を小さくさせることができる。なお、前記表面の平滑性が維持される場合には、干渉色も観察できる。
【0047】
前記らせん状分子としては、上述したものの内、αヘリックス型ポリペプチド、DNA、アミロースなどが好適に挙げられる。
【0048】
−−−αヘリックス型ポリペプチド−−−
前記αヘリックス型ポリペプチドは、ポリペプチドの二次構造の一つであり、アミノ酸3.6残基ごとに1回転(1らせんを形成)し、4番目ごとのアミノ酸のイミド基(−NH−)とカルボニル基(−CO−)との間に螺旋軸とほぼ平行な水素結合を作り、7アミノ酸を一単位として繰り返すことによりエネルギー的に安定な構造を有している。
前記αヘリックス型ポリペプチドのらせん方向としては、特に制限はなく、右巻きであってもよいし、左巻きであってもよい。なお、天然には安定性の点から前記らせん方向が右巻きのものしか存在しない。
【0049】
前記αヘリックス型ポリペプチドを形成するアミノ酸としては、αヘリックス構造を形成可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該αヘリックス構造を形成し易いものが好ましく、このようなアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ヒスチジン(His)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0050】
前記αヘリックス型ポリペプチドは、前記アミノ酸を適宜選択することにより、親水性、疎水性、両親媒性のいずれにも設計可能であるが、前記親水性とする場合には、前記アミノ酸としては、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)などが好適に挙げられ、前記疎水性とする場合には、前記アミノ酸としては、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、イソロイシン(Ile)、チロシン(Tyr)、メチオニン(Met)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)などが挙げられる。
前記αヘリックス型ポリペプチドを構成するアミノ酸としては、特に制限はなく、例えば、L−アミノ酸、D−アミノ酸、これらの側鎖部分が修飾された誘導体などのいずれであってもよい。
【0051】
また、前記αヘリックス型ポリペプチドにおいては、該αヘリックスを形成する前記アミノ酸における、ペプチド結合を構成しないカルボキシル基を、エステル化することにより疎水性にすることができ、一方、該エステル化されたカルボキシル基を加水分解することにより親水性にすることができる。
【0052】
前記αヘリックス型ポリペプチドにおけるアミノ酸の結合個数(重合度)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、10〜5,000であるのが好ましい。
前記結合個数(重合度)が、10未満であると、ポリアミノ酸が安定なαヘリックスを形成できなくなることがあり、5,000を超えると、垂直配向させることが困難となることがある。
【0053】
前記αヘリックス型ポリペプチドの具体例としては、ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、ポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)、ポリ(n−ヘキシル−L−グルタメート)等のポリグルタミン酸誘導体、ポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)等のポリアスパラギン酸誘導体、ポリ(L−ロイシン)、ポリ(L−アラニン)、ポリ(L−メチオニン)、ポリ(L−フェニルアラニン)、ポリ(L−リジン)−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)、などが好適に挙げられる。
【0054】
前記αヘリックス型ポリペプチドとしては、公知文献等に記載の方法に準じて適宜合成乃至調製したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
【0055】
前記αヘリックス型ポリペプチドの一合成例として、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)60〕PLLZ25−PMLG60の合成例を示すと、次の通りである。即ち、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)60〕PLLZ25−PMLG60は、下記式で示したように、n−ヘキシルアミンを開始剤として用い、Nε−カルボベンゾキシ L−リジン Nα−カルボキシ酸無水物(LLZ−NCA)の重合を行い、続けてγ−メチル L−グルタメート N−カルボキシ酸無水物(MLG−NCA)の重合を行うことにより合成することができる。
【0056】
【化24】
【0057】
前記αヘリックス型ポリペプチドの合成は、上記方法に限られず、遺伝子工学的方法により行うこともでき、例えば、前記目的とするポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、この形質転換体を培養すること等により行うことができる。
前記発現ベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファージとのキメラベクター、などが挙げられる。
前記宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母菌等の真核微生物、動物細胞などが挙げられる。
【0058】
また、前記αヘリックス型ポリペプチドは、α−ケラチン、ミオシン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、絹フィブロイン等の天然の繊維状蛋白からそのαヘリックス構造部分を切り出すことにより調製してもよい。
【0059】
−−−DNA−−−
前記DNAは、1本鎖DNAであってもよいが、安定に棒状を維持することができる等の点で2本鎖DNAであるのが好ましい。
前記2本鎖DNAは、一つの中心軸の回りに、右巻きらせん状の2本のポリヌクレオチド鎖が互いに逆方向に延びた状態で位置して形成された2重らせん構造を有する。
前記ポリヌクレオチド鎖は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及びシトシン(C)の4種類の核酸塩基で形成されており、前記ポリヌクレオチド鎖において前記核酸塩基は、中心軸に対して垂直な平面内で互いに内側に突出した形で存在して、いわゆるワトソン−クリック型塩基対を形成し、アデニンに対してはチミンが、グアニンに対してはシトシンが、それぞれ特異的に水素結合している。その結果、前記2本鎖DNAにおいては、2本のポリペプチド鎖が互いに相補的に結合している。
【0060】
前記DNAは、公知のPCR(Polymerase Chain Reaction)法、LCR(Ligase chain Reaction)法、3SR(Self−sustained Sequence Replication)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等により調製することができるが、これらの中でもPCR法が好適である。
【0061】
また、前記DNAは、天然の遺伝子から制限酵素により酵素的に直接切り出して調製してもよいし、遺伝子クローニング法により調製してもよいし、化学合成法により調製してもよい。
【0062】
前記遺伝子クローニング法の場合、例えば、正常核酸を増幅したものをプラスミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファージとのキメラベクター等から選択されるベクターに組み込み、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母等の真核微生物、動物細胞などから選択される増殖可能な任意の宿主に導入することにより前記DNAを大量に調製することができる。
前記化学合成法としては、例えば、トリエステル法、亜リン酸法などのような、液相法又は不溶性の担体を使った固相合成法などが挙げられる。前記化学合成法の場合、公知の自動合成機等を用い、1本鎖のDNAを大量に調製した後、アニーリングを行うことにより、2本鎖DNAを調製することができる。
【0063】
−−−アミロース−−−
前記アミロースは、高等植物の貯蔵のためのホモ多糖類であるデンプンを構成するD−グルコースがα−1,4結合で直鎖状につながったらせん構造を有する多糖類である。
前記アミロースの分子量としては、数平均分子量で、数千〜15万程度が好ましい。
前記アミロースは、市販のものであってもよいし、公知の方法に従って適宜調製したものであってもよい。
なお、前記アミロースは、その一部にアミロペクチンが含まれていてもよい。
【0064】
前記棒状有機分子の長さとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
前記棒状有機分子の直径としては、特に制限はないが、前記αヘリックス型ポリペプチドの場合には0.8〜2.0nm程度である。
【0065】
前記棒状有機分子は、その全部が親油性(疎水性)又は親水性であってもよく、また、その一部が親油性(疎水性)又は親水性であり、他の部分が該一部と逆の親性を示す両親媒性であってもよい。
【0066】
前記膜状物は、前記楕円偏光放射体の単分子膜であってもよいし、該単分子膜の積層膜、自己集積膜、又はグラフト重合膜であってもよい。
前記単分子膜又はそれによる前記積層膜、自己集積膜、又はグラフト重合膜は、例えば、公知の塗布法によって、あるいは、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)、自己集積法、グラフト重合法、などに従って形成することができ、前記ラングミュア−ブロジェット法(LB法)の場合、公知のLB膜形成装置(例えば、日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリーズ社製のNL−LB400NK−MWCなどが好適に挙げられる)を使用することができる。
【0067】
前記楕円偏光放射体は、分子側鎖に前記検出標的と相互作用可能な標的捕捉部を有しているのが好ましい。この場合、楕円偏光放射体における該標的捕捉部が前記検出標的と相互作用することにより、前記光照射手段から照射された直線偏光を、前記楕円偏光放射手段が、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光として放射し、該楕円偏光を前記楕円偏光検出手段が検出することにより、試料中に存在する前記検出標的を検出することができる。
前記標的捕捉部としては、前記検出標的と相互作用可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、物理吸着及び化学吸着の少なくともいずれかにより前記検出標的と相互作用可能であるのが好ましい。
【0068】
前記標的捕捉部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記検出標的と相互作用可能な標的捕捉体、などから形成されているのが好ましい。この場合、前記標的捕捉体が直接、前記基板に結合等されて配置されるのではなく、該標的捕捉体が前記楕円偏光放射体の分子側鎖に結合等された上で該楕円偏光放射体が前記基板に結合等されて配置されるので、例えば、該標的捕捉部が有機物である場合には、無機物である前記基板等に直接、結合等させて配置させるよりも、同じ有機物である前記楕円偏光放射体との結合等を介して前記基板上等に配置させる方が容易であり、該標的捕捉部も安定である。また、該標的捕捉部は、前記基板の表面が平滑でなくても、平滑性良く配置されので、前記光照射手段より照射される直線偏光の受光面を平滑化することができる。
【0069】
前記標的捕捉部としては、前記検出標的を捕捉することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0070】
前記捕捉の態様としては、特に制限はないが、物理吸着、化学吸着などが挙げられる。これらは、例えば、水素結合、分子間力(ファン・デル・ワールス力)、配位結合、イオン結合、共有結合などにより形成され得る。本発明において、前記標的捕捉部が金属錯体で形成されている場合には、配位結合が好ましい。
【0071】
前記標的捕捉部の具体例としては、抗体、抗原、アレルゲン、酵素、酵素基質、補酵素、酵素阻害剤、ホスト化合物、ホルモン、ホルモンレセプター、蛋白質、血液蛋白質、組織蛋白質、細胞、細胞破砕物、核物質、ウイルス、ウイルス粒子、代謝産物、神経伝達物質、ハプテン、薬物、核酸、金属、金属錯体、微生物、寄生虫、細菌、ビオチン、アビジン、レクチン、糖、生理活性物質、生理活性物質受容体、環境物質、化学種又はこれらの誘導体、などから形成されるものが好適に挙げられる。
【0072】
前記検出標的としては、前記標的捕捉部が、前記酵素で形成されている場合には、前記検出標的は、例えば該酵素の補酵素であり、前記補酵素で形成されている場合には、例えば該補酵素を補酵素とする酵素であり、前記ホスト化合物で形成されている場合には、例えば該ホスト化合物のゲスト化合物(包接される成分)であり、前記抗体で形成されている場合には、例えば該抗体の抗原としての蛋白質であり、前記蛋白質で形成されている場合には、例えば該蛋白質を抗原とする抗体であり、前記核酸で形成されている場合には、例えば該核酸と相補的な核酸、チューブリン、キチン等であり、前記ホルモンレセプターで形成されている場合には、例えば該ホルモンレセプターに受容されるホルモンであり、前記レクチンで形成されている場合には、例えば該レクチンに受容させる糖であり、前記生理活性物質受容体で形成されている場合には、例えば該生理活性物質受容体に受容される生理活性物質である。
【0073】
なお、前記検出標的を含む試料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、糞尿等の排泄物、などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞や、試験管内での分裂卵細胞の一部を試料とすることもできる。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施したものを使用してもよい。
【0074】
前記ホスト化合物としては、分子認識能(ホスト−ゲスト結合能)を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、筒状(一次元)の空洞を有するもの、層状(二次元)の空洞を有するもの、かご状(三次元)の空洞を有するもの、などが好適に挙げられる。
【0075】
前記筒状(一次元)の空洞を有するホスト化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ジニトロジフェニル、ジオキシトリフェニルメタン、トリフェニルメタン、メチルナフタリン、スピロクロマン、PHTP(ペルヒドロトリフェニレン)、セルロース、アミロース、シクロデキストリン(但し、溶液中では前記空洞がかご状)などが挙げられる。
【0076】
前記尿素が捕捉可能な検出標的としては、例えば、n−パラフィン誘導体などが挙げられる。
前記チオ尿素が捕捉可能な検出標的としては、例えば、分岐状又は環状の炭化水素などが挙げられる。
前記デオキシコール酸が捕捉可能な検出標的としては、例えば、パラフィン類、脂肪酸、芳香族化合物などが挙げられる。
前記ジニトロジフェニルが捕捉可能な検出標的としては、例えば、ジフェニル誘導体などが挙げられる。
【0077】
前記ジオキシトリフェニルメタンが捕捉可能な検出標的としては、例えば、パラフィン類、n−アルケン類、スクアレンなどが挙げられる。
前記トリフェニルメタンが捕捉可能な検出標的としては、例えば、パラフィン類などが挙げられる。
前記メチルナフタリンが捕捉可能な検出標的としては、例えば、C16までのn−パラフィン類、分岐状パラフィン類などが挙げられる。
前記スピロクロマンが捕捉可能な検出標的としては、例えば、パラフィン類などが挙げられる。
前記PHTP(ペルヒドロトリフェニレン)が捕捉可能な検出標的としては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、各種高分子物質などが挙げられる。
前記セルロースが捕捉可能な検出標的としては、例えば、H2O、パラフィン類、CCl4、色素、ヨウ素などが挙げられる。
前記アミロースが捕捉可能な検出標的としては、例えば、脂肪酸、ヨウ素などが挙げられる。
【0078】
前記シクロデキストリンは、デンプンのアミラーゼによる分解で生成する環状のデキストリンであり、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンの3種が知られている。本発明においては、前記シクロデキストリンとして、これらの水酸基の一部を他の官能基、例えば、アルキル基、アリル基、アルコキシ基、アミド基、スルホン酸基などに変えたシクロデキストリン誘導体も含まれる。
【0079】
前記シクロデキストリンが捕捉可能な検出標的としては、例えば、チモール、オイゲノール、レゾルシン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等のフェノール誘導体、サリチル酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体及びそのエステル、コレステロール等のステロイド、アスコルビン酸、レチノール、トコフェロール等のビタミン、リモネン等の炭化水素類、イソチオシアン酸アリル、ソルビン酸、ヨウ素分子、メチルオレンジ、コンゴーレッド、2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸カリウム塩(TNS)などが挙げられる。
【0080】
前記層状(二次元)の包接化合物としては、例えば、粘土鉱物、グラファイト、スメクタイト、モンモリロナイト、ゼオライトなどが挙げられる。
【0081】
前記粘土鉱物が捕捉可能な検出標的としては、例えば、親水性物質、極性化合物などが挙げられる。
前記グラファイトが捕捉可能な検出標的としては、例えば、O、HSO4 −、ハロゲン、ハロゲン化物、アルカリ金属などが挙げられる。
前記モンモリロナイトが捕捉可能な検出標的としては、例えば、ブルシン、コデイン、o−フェニレンジアミン、ベンジジン、ピペリジン、アデニン、グイアニン及びこれらのリポシドなどが挙げられる。
前記ゼオライトが捕捉可能な検出標的としては、例えば、H2Oなどが挙げられる。
【0082】
前記かご状(三次元)のホスト化合物としては、例えば、ヒドロキノン、気体水化物、トリ−o−チモチド、オキシフラバン、ジシアノアンミンニッケル、クリプタンド、カリックスアレン、クラウン化合物などが挙げられる。
【0083】
前記ヒドロキノンが捕捉可能な検出標的としては、例えば、HCl、SO2、アセチレン、希ガス元素などが挙げられる。
前記気体水化物が捕捉可能な検出標的としては、例えば、ハロゲン、希ガス元素、低級炭化水素などが挙げられる。
前記トリ−o−チモチドが捕捉可能な検出標的としては、例えば、シクロヘキサン、ベンゼン、クロロホルムなどが挙げられる。
前記オキシフラバンが捕捉可能な検出標的としては、例えば、有機塩基などが挙げられる。
前記ジシアノアンミンニッケルが捕捉可能な検出標的としては、例えば、ベンゼン、フェノールなどが挙げられる。
前記クリプタンドが捕捉可能な検出標的としては、例えば、NH4+、各種金属イオンなどが挙げられる。
【0084】
前記カリックスアレンは、フェノールとホルムアルデヒドとから適当な条件で合成されるフェノール単位をメチレン基で結合した環状オリゴマーであり、4〜8核体が知られている。これらの内、p−t−ブチルカリックスアレン(n=4)が捕捉可能な検出標的としては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=5)が捕捉可能な検出標的としては、例えば、イソプロピルアルコール、アセトンなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=6)が捕捉可能な検出標的としては、例えば、クロロホルム、メタノールなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=7)が捕捉可能な検出標的としては、例えば、クロロホルムなどが挙げられる。
【0085】
前記クラウン化合物としては、電子供与性のドナー原子として酸素を持つクラウンエーテルのみではなく、そのアナログとして窒素、硫黄などのドナー原子を環構造構成原子として持つ大環状化合物を含み、また、クリプタンドを代表する2個以上の環よりなる複環式クラウン化合物も含まれ、例えば、シクロヘキシル−12−クラウン−4、ジベンゾ−14−クラウン−4、t−ブチルベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、18−クラウン−6、トリベンゾ−18−クラウン−6、テトラベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−26−クラウン−6などが挙げられる。
【0086】
前記クラウン化合物が捕捉可能な検出標的としては、例えば、Li,Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属などの各種金属イオン、NH4+、アルキルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、芳香族ジアゾニウムイオンなどが挙げられ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。また、該クラウン化合物が捕捉可能な検出標的としては、これら以外にも、酸性度が比較的大きいC−H(アセトニトリル、マロンニトリル、アジポニトリルなど)、N−H(アニリン、アミノ安息香酸、アミド、スルファミド誘導体など)、O−H(フェノール、酢酸誘導体など)ユニットを有する極性有機化合物などが挙げられ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。
【0087】
前記ホスト化合物の空洞の大きさ(径)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選定することができるが、安定した分子認識能(ホスト−ゲスト結合能)を発揮し得る観点からは0.1nm〜2.0nmであるのが好ましい。
【0088】
なお、前記ホスト化合物は、例えば、単分子系ホスト化合物、多分子系ホスト化合物、高分子系ホスト化合物、無機系ホスト化合物などに分類することもできる。
前記単分子系ホスト化合物としては、例えば、シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレーン、シクロトリペラトリレン、スフェランド、キャビタンド、環状オリゴペプチド、などが挙げられる。
前記多分子系ホスト化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ペルヒドロトリフェニレン、トリ−o−チモチド、などが挙げられる。
前記高分子系ホスト化合物としては、例えば、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、などが挙げられる。
前記無機系ホスト化合物としては、例えば、層間化合物、ゼオライト及びHofmann型錯体、などが挙げられる。
【0089】
前記抗体としては、抗原と特異的に抗原抗体反応を生じるものであれば特に制限されず、多クローン性抗体であっても、単クローン性抗体であってもよく、更にはIgG、IgM、IgE、IgGのFab’、Fab、F(ab’)2、なども含まれる。
【0090】
前記抗原としては、特に制限はなく、前記抗体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス抗原、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、HLA抗原、などが挙げられる。
【0091】
前記血漿蛋白としては、例えば、免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)、補体成分(C3,C4,C5,C1q)、CRP、α1−アンチトリプシン、α1−マイクログロブリン、β2−マイクログロブリン、ハプトグロビン、トランスフェリン、セルロプラスミン、フェリチンなどが挙げられる。
【0092】
前記腫瘍マーカーとしては、例えば、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、CA125、CA15−3、SCC抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、PIVKA−II、γ−セミノプロテイン、TPA、エラスターゼI、神経特異エノラーゼ(NSE)、免疫抑制酸性蛋白(IAP)などが挙げられる。
【0093】
前記アポ蛋白としては、例えば、アポA−I、アポA−II、アポB、アポC−II、アポC−III、アポEなどが挙げられる。
【0094】
前記ウイルス抗原としては、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)関連抗原、C型肝炎ウイルス(HVC)関連抗原、HTLV−I、HIV、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルスなどが挙げられる。
前記HCV関連抗原としては、例えば、HCVc100−3リコビナント抗原、pHCV−31リコビナント抗原、pHCV−34リコビナント抗原などが挙げられ、それらの混合物が好ましく使用できる。前記HIV関連抗原としては、ウイルス表面抗原などが挙げられ、例えば、HIV−I env.gp41リコビナント抗原、HIV−I env.gp120リコビナント抗原、HIV−I gag.p24リコビナント抗原、HIV−II env.p36リコビナント抗原などが挙げられる。
また、ウイルス以外の感染症としては、MRSA、ASO、トキソプラズマ、マイコプラズマ、STDなどが挙げられる。
【0095】
前記自己抗体としては、例えば、抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体、抗核抗体、リュウマチ因子、抗ミトコンドリア抗体、ミエリン抗体などが挙げられる。
【0096】
前記凝固・線溶因子としては、例えば、フィブリノゲン、フィブリン分解産物(FDP)、プラスミノゲン、α2−プラスミンインヒビター、アンチトロンビンIII、β−トロンボグロブリン、第VIII因子、プロテインC、プロテインSなどが挙げられる。
【0097】
前記ホルモンとしては、例えば、下垂体ホルモン(LH、FSH、GH、ACTH、TSH、プロラクチン)、甲状腺ホルモン(T3、T4、サイログロブリン)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾール)、性腺ホルモン(hCG、エストロゲン、テストステロン、hPL)、膵・消化管ホルモン(インスリン、C−ペプチド、グルカゴン、ガストリン)、その他(レニン、アンジオテンシンI,II、エンケファリン、エリスロポエチン)などが挙げられる。
【0098】
前記血中薬物としては、例えば、カルバマゼピン、プリミドン、バルプロ酸等の抗てんかん薬、ジゴキシン、キニジン、ジギトキシン、テオフィリン等の循環器疾患薬、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン等の抗生物質などが挙げられる。
【0099】
前記タンパクとしては、多くの重金属、特に亜鉛、カドミウム、銅、水銀などに高い親和性を示す低分子量(約6,000〜13,000)のもの、などが好適に挙げられる。これらのタンパクは、動物の肝臓、腎臓、その他の組織中に存在し、最近では微生物体内にも存在することが見出されている。また、これらのタンパクは、システイン含有量が多く、芳香族の残基を殆ど含まないアミノ酸分布を呈しており、生体内においてカドミウム、水銀などの解毒化機能を有する物質であるとともに、亜鉛,銅など生体に必須の微量金属の貯蔵と、生体内における分布にも関与している重要な物質である。
【0100】
前記重金属としては、例えば、アルキル水銀化合物(R−Hg)、水銀又はその化合物(Hg)、カドミウム又はその化合物(Cd)、鉛又はその化合物(Pb)、六価クロム(Cr6+)、銅又はその化合物(Cu)、亜鉛又はその化合物(Zn)、シアン、六価クロム、砒素、セレン、マンガン、ニッケル、鉄、亜鉛、セレン、スズなどが挙げられる。
【0101】
前記金属錯体としては、前記検出標的と相互作用可能な限り特に制限なく目的に応じて適宜選択できるが、例えば、下記構造式(8)で示されるもの、などが挙げられる。
【0102】
構造式(8)
【化25】
【0103】
なお、前記構造式(8)で示される金属錯体は、下記構造式(9)、構造式(10)、構造式(11)、などのように未配位部を有していてもよく、H2O、OH−、などの配位子を有していてもよい。
【0104】
構造式(9)
【化26】
【0105】
構造式(10)
【化27】
【0106】
構造式(11)
【化28】
【0107】
前記標的捕捉体を前記楕円偏光放射体の側鎖に結合させる方法としては、特に制限はなく、前記標的捕捉体、前記楕円偏光放射体の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル結合やアミド結合等の共有結合を利用する方法、蛋白質をアビジン標識し、ビオチン化した補足構造体と結合させる方法、蛋白質をアビジン標識し、ビオチン化した補足構造体と結合させる方法、蛋白質をストレプトアビジン化した補足構造体と結合させる方法等の公知の方法が挙げられる。
【0108】
本発明の標的検出装置においては、これらの方法により、各種所望の前記標的捕捉体を前記楕円偏光放射体に容易に結合させることができるので、該標的捕捉体を前記基板に直接結合させる場合と異なり、該標的捕捉体又は前記検出標的を広い範囲から自由に選択することができ、該検出装置は、検出目的、検出標的の種類等の如何に拘らず、広く適用可能であり、また、該標的捕捉体の表面の平滑性を維持することができる。更に、前記楕円偏光放射体が、棒状有機分子である場合には、200〜220nmの波長領域に特有のCDスペクトルを観察することができ、また、らせん構造中に標的捕捉部があるときには、該標的捕捉部もらせん構造をとるため、前記標的捕捉部に前記検出標的が相互作用したときに、該らせん構造が大きく変化し、これに伴って円二色性も大きく変化するため、前記標的捕捉部が、前記検出標的と相互作用したことを高感度に検出できる。
【0109】
前記共有結合を利用する方法としては、例えば、ペプチド法、ジアゾ法、アルキル化法、臭化シアン活性化法、架橋試薬による結合法、ユギ(Ugi)反応を利用した固定化法、チオール・ジスルフィド交換反応を利用した固定化法、シッフ塩基形成法、キレート結合法、トシルクロリド法、生化学的特異結合法などが挙げられるが、共有結合などのより安定した結合には、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して方法が好ましく、化学的結合剤・架橋剤などを使用する方法がより好ましい。
【0110】
このような化学的結合剤・架橋剤としては、例えば、カルボジイミド、イソシアネート、ジアゾ化合物、ベンゾキノン、アルデヒド、過ヨウ素酸、マレイミド化合物、ピリジルジスルフィド化合物などが挙げられる。これらの中でも、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N’−ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネート、ビスジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−マレイミドフェニル)ブチレート、イミノチオラン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水物、メチル−3−(4’−ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル−4−メルカプトブチリルイミデート、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
【0111】
本発明の楕円偏光放射手段20の概略図を図1に示す。基板24上に楕円偏光放射体21が形成され、該楕円偏光放射体21は、検出標的(図示せず)と相互作用可能な標的捕捉部22を側鎖に有してなる。前記標的捕捉部22が前記検出標的(図示せず)と相互作用することにより、前記光照射手段から照射された直線偏光を、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光として放射することができる。該楕円偏光を検出することにより、前記楕円偏光放射手段20が前記検出標的と相互作用したことを検出することができる。
【0112】
本発明において、前記楕円偏光放射手段は、前記楕円偏光を透過光として放射してもよいし、前記楕円偏光を反射光として放射してもよい。前者の場合、前記標的検出装置を反射型タイプの装置にすることができ、後者の場合、前記標的検出装置を透過型タイプの装置にすることができる。
【0113】
<楕円偏光検出手段>
前記楕円偏光検出手段は、前記楕円偏光の進路に設けられ、前記楕円偏光放射手段により放射される楕円偏光の存在を検出する機能を有してなり、必要に応じて適宜選択したその他の機能を有してなる。
前記楕円偏光検出手段としては、前記機能を有する限り特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)特定の楕円偏光のみを透過可能であり、該楕円偏光が透過したことを検出可能であるもの、(2)楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との強度の差を測定することによって間接的に前記楕円偏光を検出可能なもの、などが好適に挙げられる。
【0114】
前記(1)の場合には、前記検出標的が前記楕円偏光検出手段と相互作用する前においては、前記特定の楕円偏光を透過不可能とし、かつ前記検出標的と前記楕円偏光放射手段とが相互作用した後においては、前記特定の楕円偏光のみ透過可能にすることにより、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、前記楕円偏光検出手段が前記特定の楕円偏光の透過を検出したことをもって、前記検出標的が前記楕円偏光放射手段と相互作用したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。
【0115】
更に、透過光量の大小(透過光の強度)によって前記検出標的の定量も行うことができる。即ち、前記特定の楕円偏光の透過光量(透過光の強度)と、前記楕円偏光放射手段による前記検出標的の捕捉量との関係を示す検量線を予め作成しておき、前記検出標的を含有する試料について該検出標的の含有量を測定したいときに、前記特定の楕円偏光の透過光量(透過光の強度)を測定すれば、前記検量線から前記楕円偏光放射手段により捕捉された前記検出標的の量を定量することができる。
【0116】
また、前記(2)の場合には、前記楕円偏光検出手段が、前記楕円偏光放射手段と検出標的とが相互作用する前後における楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との強度の差を測定することにより、前記特定の楕円偏光を間接的に検出することができ、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、前記楕円偏光検出手段が前記特定の楕円偏光を間接的に検出したことをもって、前記検出標的と前記楕円偏光放射手段とが相互作用したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。
【0117】
更に、前記楕円偏光検出手段が、前記楕円偏光放射手段と検出標的とが相互作用する前後における楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との強度差を測定することによっても、前記検出標的の定量を行うこともできる。即ち、前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが相互作用する前後における楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との強度の差と、前記楕円偏光放射手段による前記検出標的の捕捉量との関係を示す検量線を予め作成しておき、前記検出標的を含有する試料について該検出標的の含有量を測定したいときに、前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが相互作用する前後における楕円偏光の前記右回り円偏光と前記左回り円偏光との強度の差を測定すれば、前記検量線から前記楕円偏光放射手段により捕捉された前記検出標的の量を定量することができる。
【0118】
前記(1)のものの具体例としては、楕円偏光板と、該楕円偏光板を透過した楕円偏光を検出可能な光検出センサーとの組合せ、などが好適に挙げられる。この場合、前記楕円偏光検出手段と前記検出標的とが相互作用する前においては、前記特定の楕円偏光を透過不可能とし、かつ前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが相互作用した後においては、前記特定の楕円偏光のみ透過可能にすることにより、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、前記楕円偏光検出手段が前記特定の楕円偏光の透過を検出したことをもって前記検出標的と前記楕円偏光放射手段とが相互作用したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。
【0119】
前記楕円偏光板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を使用してもよい。
前記光検出センサーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CdSセル、フォトダイオード、光電管、焦電センサー、CCDセンサー、PSDセンサーなどが挙げられる。
【0120】
前記(2)のものの具体例としては、光電子増倍管などが好適に挙げられる。この場合、前記楕円偏光放射手段が検出標的と相互作用する前後における楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との強度の差を光電子増倍管によって測定することにより、前記特定の楕円偏光を間接的に検出することができ、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、前記楕円偏光検出手段が前記特定の楕円偏光を間接的に検出したことをもって、前記検出標的が前記光楕円偏光放射手段と相互作用したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。
【0121】
前記右回り円偏光と前記左回り円偏光との強度を測定することにより、CDスペクトルを測定することができる。
前記CDスペクトルは、右回り円偏光と左回り円偏光とのモル吸光係数の差(モル円二色性Δε)を波長(nm)に対してプロットしたものである。なお、円二色性は、モル楕円率[θ]によっても表され、モル円二色性Δεとの関係で以下の式が成り立つ。
[θ]=3300Δε
前記楕円偏光放射手段が前記検出標的と相互作用することにより、前記楕円偏光放射手段が、前記検出標的と相互作用する前とは異なる円二色性を示すため、CDスペクトルが変化することにより、前記楕円偏光放射手段が放射する楕円偏光の変化を間接的に測定でき、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、前記楕円偏光検出手段が特定の楕円偏光を間接的に検出したことをもって前記検出標的が前記楕円偏光放射手段と相互作用したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。
また、前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが相互作用する前後におけるCDスペクトルの強度差(特に、前記楕円偏光放射体が棒状有機分子から形成されている場合には、前記棒状有機分子において観られる特有の波長(200〜220nm付近)についての強度差)と、前記楕円偏光放射手段による前記検出標的の捕捉量との関係を示す検量線を予め作成しておき、前記検出標的を含有する試料について該検出標的の含有量を測定したいときに、前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが相互作用する前後におけるCDスペクトルの強度差を測定すれば、前記検量線から前記楕円偏光放射手段により捕捉された前記検出標的の量を定量することができる。
【0122】
前記CDスペクトルを測定する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円偏光二色性分散計等が挙げられる。
【0123】
本発明の標的検出装置の概略図を図2に示す。この図2に示す標的検出装置は、光照射手段と、楕円偏光放射手段と、楕円偏光検出標的手段と、を有する。前記光照射手段は、光源19、反射鏡1〜6,スリット7〜9、第一プリズム10、第二プリズム11、レンズ14,CDモジュレーター15及びフィルタ18を有する。前記楕円偏光放射手段は、試料箱17中に含まれている。前記楕円偏光検出手段は、光電子増倍管16を有する。
光源19から照射された光は、反射鏡1及び反射鏡6に向かって進行する。反射鏡6に向かって進行した光は、反射鏡6によって反射される。光源19から直接照射された光及び反射鏡6によって反射された光は、反射鏡1に向かって進行する。反射鏡1に向かって進行した光は、反射鏡1によって反射され、反射鏡2に向かって進行する。反射鏡2に向かって進行する光は、スリット7によりスリット光となり、反射鏡2によって反射され、第一プリズム10に向かって進行する。第一プリズム10に向かって進行する光は、光軸水平方向にのみ結晶軸を有する第一プリズム10によって分光され、反射鏡3に向かって進行する。反射鏡3に向かって進行した光は、反射鏡3によって反射され、反射鏡4に向かって進行する。反射鏡4に向かって進行する光は、スリット8によりスリット光となり、反射鏡4によって反射され、第二プリズム11に向かって進行する。第2プリズム11に向かって進行する光は、光軸垂直方向にのみ結晶軸を有する第二プリズム11によって、光軸垂直方向に分光され、反射鏡5に向かって進行する。反射鏡5に向かって進行する光は、反射鏡5によって反射され、楕円偏光放射手段を含む試料箱17に向かって進行する。楕円偏光放射手段を含む試料箱17に向かって進行する光のうち、異常光13は、スリット9によって遮断され、常光12のみがスリット9によりスリット光となる。スリット9を通過した常光12は、レンズ18及びフィルタ14を通過し、単色直線偏光となる。該単色直線偏光は、CDモジュレーター15によって右回り円偏光と左回り円偏光とが交互に出るように変調され、楕円偏光放射手段を含む試料箱17に照射される。前記光照射手段から照射された単色直線偏光は、楕円偏光放射手段を含む試料箱17に照射され、前記楕円偏光放射手段によって楕円偏光として放射される。該楕円偏光は、光電子増倍管16によって検出される。次に、楕円偏光放射手段を含む試料箱17に検出標的を導入したとき、前記光照射手段によって照射された単色直線偏光は、前記楕円偏光と前記検出標的とが相互作用する前とは異なる楕円偏光として放射される。その結果、光電子増倍管16が、前記楕円偏光放射手段と前記検出標的とが相互作用する前後における楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光との強度差を測定することにより、検出標的の存在を間接的に検出できる。
【0124】
本発明の標的検出装置においては、前記光照射手段が直線偏光を照射する。前記楕円偏光放射手段が、前記光照射手段から照射された直線偏光を楕円偏光として放射する。前記楕円偏光放射手段は、前記検出標的と相互作用可能であり、該検出標的と相互作用したときに、前記検出標的と相互作用する前に放射される楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射する。前記楕円偏光検出手段が、前記楕円偏光放射手段が放射する楕円偏光を検出する。このため、該楕円偏光検出手段が、前記楕円偏光放射手段が前記検出標的と相互作用したときに、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を検出することにより、前記検出標的が前記楕円放射手段と相互作用したこと、即ち、試料等中における該検出標的の存在が検出される。
【0125】
本発明の標的検出装置は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よくしかも確実にかつ簡便に検出することができ、更にはこれらの定量も行うことができ、診断装置、分析装置、定量装置等として好適に使用することができる。
【0126】
(標的検出試薬)
本発明の標的検出試薬は、前記検出標的と相互作用可能な標的捕捉部と、照射された直線偏光を楕円偏光として放射する機能とを少なくとも有してなり、更に必要に応じてその他の機能を有する。
【0127】
本発明の標的検査試薬は、前記機能を有する限り特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の標的検出装置における楕円偏光放射手段が有してなる楕円偏光放射体を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を有してなるもの、などが好ましい。
【0128】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、溶媒、分散媒、防腐剤、防カビ剤、精製水、などが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、イソプロパノール、エタノール、6から24の炭素数を有する脂肪酸のトリグリセリド、グリコールエーテル、ポリアルキレングリコールエステル、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記分散媒としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1.4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ニトロメタン、ジミチルスルホキシド、スルホランなどの脂肪族溶媒やベンゼン、トルエン、ナフタレン、クロロベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ピリジン、ニトロベンゼン等の芳香族溶媒などの低分子量有機化合物、オリゴマーあるいはポリマー、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン塩、ポリクワテリウム1、ポリクワテリウム6、ポリクワテリウム7、ポリクワテリウム16、ポリクワテリウム22、ベンザルコニウム塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防カビ剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗微生物活性成分、イソチアゾロン系化合物、イソチアゾロン系化合物の包接化合物、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0129】
本発明の標的検出試薬は、照射された直線偏光を、前記標的捕捉部が前記検出標的と相互作用した後に、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射する。なお、直線偏光を照射する手段としては、例えば、本発明の標的検出装置における前記光照射手段を好適に用いることができる。また、前記楕円偏光を検出する手段としては、本発明の標的検出装置における前記楕円偏光検出手段を好適に用いることができる。
【0130】
本発明の標的検出試薬は、例えば、検出標的を含む試料等中に導入して使用した場合に、例えば、前記光照射手段によって照射された直線偏光を、前記標的捕捉部が前記検出標的と相互作用したときに、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射し、該楕円偏光を前記楕円偏光検出手段が検出することにより、前記楕円偏光を検出することができ、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、前記楕円偏光検出手段が特定の楕円偏光を検出したことをもって、前記検出標的が前記標的検出試薬と相互作用したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。
【0131】
本発明の標的検出装置は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よくしかも確実にかつ簡便に検出することができ、更にはこれらの定量も行うことができ、診断装置、分析装置、定量装置等として好適に使用することができる。
【0132】
(標的検出方法)
本発明の標的検出方法は、楕円偏光放射工程と、楕円偏光検出工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の標的検出方法は、本発明の標的検出装置又は本発明の標的検出試薬を使用して好適に実施することができる。
【0133】
前記楕円偏光放射工程は、前記検出標的と相互作用可能な▲1▼楕円偏光放射手段又は▲2▼標的検出試薬に対して直線偏光を照射し、前記▲1▼楕円偏光放射手段又は前記▲2▼標的検出試薬と、前記検出標的とが相互作用したときに、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射させる工程である。
【0134】
前記楕円偏光放射手段としては、上述した本発明の標的検出装置における前記楕円偏光放射手段を好適に使用することができる。この場合、前記楕円偏光検出手段と前記検出標的とが相互作したときに、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を簡便かつ確実に放射できる点で好ましい。
【0135】
前記標的検出試薬としては、上述した本発明の標的検出試薬を好適に使用することができる。この場合、前記検出標的試薬と前記検出標的とが相互作用したときに、前記検出標的と相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を簡便かつ確実に放射できる点で好ましい。
【0136】
前記楕円偏光検出工程は、前記楕円偏光放射工程によって放射される楕円偏光を検出させる工程である。
前記楕円偏光検出工程においては、上述した本発明の標的検出装置における前記楕円偏光検出手段を好適に使用することができる。この場合、前記楕円偏光放射工程から放射される、前記楕円偏光放射手段又は前記標的検出試薬と前記検出標的とが相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を、前記楕円偏光検出工程によって検出させることにより、通常の分光法によるスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、簡便かつ確実に検出可能であり、該楕円偏光を検出したことをもって、前記検出標的と、前記▲1▼楕円偏光放射手段又は前記▲2▼標的検出試薬とが相互作用したこと、即ち試料等中における該検出標的の存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができる。
【0137】
本発明の標的検出方法においては、前記楕円偏光放射工程において照射された直線偏光を楕円偏光として放射させる。前記楕円偏光検出工程において、前記楕円偏光放射工程によって放射された楕円偏光を検出させる。このため、前記楕円偏光放射工程において、前記▲1▼楕円偏光放射手段又は前記▲2▼検出標的試薬と、前記検出標的とが相互作用する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光が放射され、該楕円偏光を前記楕円偏光検出工程において検出させることにより、前記検出標的が前記楕円放射手段と相互作用したこと、即ち、試料等中における該検出標的の存在が検出される。
【0138】
本発明の標的検出方法は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を効率よくしかも確実にかつ簡便に検出することができ、更にはこれらの定量も行うことができ、診断、分析、定量等として好適に用いることができる。
【0139】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0140】
(実施例1)
−楕円偏光放射手段の作製−
ポリ−γ−メチル−L−グルタメート(PMLG)(シグマアルドリッチジャパン社製)の二塩化エチレン(EDC)(和光純薬社製)溶液をフラットシャーレに流延し、40℃、溶媒蒸気圧下でキャストした後、室温で24時間真空乾燥を行い、PMLG膜を形成した。得られたPMLG膜を2−アミノピリジン溶液に含浸し、真空下、50℃で30分間、アミノリシス反応を行うことにより、γ―メチル−L−グルタメート側鎖に2−アミノピリジンを導入した。反応後、該膜をメタノールで洗浄することにより、厚みが50μmである(Nω−2−ピリジルメチル−L−グルタミン/γ−メチル−L−グルタメート)共重合膜を得た。該共重合膜とCuCl2・H2OとをTFE(トリフルオロエタノール)溶液中で錯体形成反応させることにより、該共重合膜中のN−2−ピリジルメチルプロピオンアミド(2PPr)基とCu2+とが等モル錯体形成反応した標的検出試薬を調製した。
【0141】
−CDスペクトルの測定−
前記石英ガラス上に配した検出標的試薬中に、検出標的であるポリ−4−ビニルピリジン(P4VP)を2.0×10―3residue M(Cu錯体残基として換算)添加し、十分に混合した。そして、前記検出標的混合前と混合後のCDスペクトルを、窒素気流中、円偏光二色性分散計(日本分光社製、J−820)を用いて測定した。結果を図3に示す。なお、前記検出標的混合後、8時間経過した後において、CDスペクトルが安定したため、このときのCDスペクトルを図3に示した。また、CDスペクトルの測定条件としては、以下の通りである。即ち、前記光照射手段において、光源としては、キセノンランプを用い、プリズムとしては、ダブルプリズムを用い、変調器としては、ピエゾエラステレックモジュレーター(PEM)を用いた。また、前記楕円偏光検出手段において、測定波長範囲は、190〜800nmとし、測定モードは、スペクトル測定とした。更に、前記検出標的試薬及び前記検出標的の混合物は、長さ0.01dmのセルに入れて測定した。図3中、縦軸は、モル楕円率[θ]を示し、横軸は波長λを示し、[θ]の絶対値の値が大きいほどCD活性であることを示す。ここで、前記モル楕円率[θ]は以下の式で計算される。
[θ]=θM/Lc
(式中、θは実測の楕円角(度)を示し、Mは分子量を示し、Lはセル長(dm)を示し、cは濃度(溶媒g/100cm3溶液)を示す。)
また、前記モル楕円率[θ]は、楕円偏光の右回り円偏光と左回り円偏光とのモル吸光度の差を表すモル円二色性Δε(dm3mol−1cm−1)と、の関係においては、以下の式が成り立つ。
[θ]=3300Δε
【0142】
図3において、前記検出標的(P4VP)の混合前においては、側鎖2PPr基がCD活性な場合に帰属されるピーク(250nm以上の波長に観られるピーク)は存在しない。即ち、側鎖2PPr基がCD活性でないことを示している。一方、前記検出標的(P4VP)の混合後においては、250nm以上の波長において、2つの励起子分裂スペクトルが観られる。前記励起子分裂スペクトルの一つ、即ち、第一励起子分裂スペクトルは、351nmに[θ]の極大値をもち、かつ、294nmに[θ]の極小値をもつ。該第一励起子分裂スペクトルは、側鎖2PPr基における、脱プロトン化アミドからCu2+への電荷移動に帰属される。一方、他の励起子分裂スペクトルは、即ち、第二励起子分裂スペクトルは、270nmに[θ]の極大値をもち、かつ、255nmに[θ]の極小値をもつ。該第二励起子分裂スペクトルは、側鎖2PPr基のピリジン環に帰属される。前記第一励起子分裂スペクトル及び第二励起子分裂スペクトルが観られたことにより、側鎖2PPr基と、前記検出標的が相互作用して、前記2PPr基がCu2+を介してP4VPに固定化されたことが判る。更に、205nmの波長において、側鎖2PPr基におけるC=Oに帰属される負のピークの著しい増加が観られた。このピークは、前記側鎖2PPr基と、前記P4VPとが相互作用することにより、前記側鎖2PPr基の揺らぎが制御されていることを示唆している。なお、205nm付近の負のピークは、前記検出標的試薬に、前記検出標的(P4VP)混合後、徐々に増加していったが、前記検出標的(P4VP)を混合後、8時間経過後に最大となり略一定となった。この結果により、前記検出標的(P4VP)のすべてが、前記側鎖2PPrと完全に相互作用をしたことが判る。
以上により、図4に示すように前記検出標的試薬30(側鎖に2−アミノピリジンを有するγ―メチル−L−グルタメート)と前記検出標的31(P4VP)とが相互作用したことを検出することができた。
【0143】
(実施例2)
−検出標的の定量−
実施例1において、検出標的であるポリ−4−ビニルピリジン(P4VP)の導入量を1.0×10―4residue Mから各々4.0×10―4、10.0×10―4、20.0×10―4、40.0×10―4residue Mに変更した以外は、実施例1と同様にして楕円偏光の検出を行った。このときの前記検出標的(P4VP)の導入量(residue M)と、前記側鎖2PPr基におけるC=Oに帰属される負のピーク(205nm付近)の強度との関係を図5に示す。
この図5は、前記検出標的(P4VP)の物質量(residue M)と、前記側鎖2PPr基におけるC=Oに帰属される負のピーク(205nm付近)の強度との関係を示す検量線である。即ち、前記検出標的(P4VP)の含有量が不明である試料を、前記楕円偏光放射手段に導入したときに、前記側鎖2PPr基におけるC=Oに帰属される負のピーク(205nm付近)の強度を測定することにより前記試料中の前記検出標的(P4VP)の物質量(residue M)を測定することができる。
【0144】
(参考例1)
−標的検出試薬の調製−
γ−ベンジル−L−グルタメート(シグマアルドリッジ社製)20g(84.3mmol)を含むTHF(テトラヒドロフラン)溶液450mlを60℃で加熱しながら窒素を通気した後、トリホスゲン(和光純薬社製)9.0g(30.3mmol)を添加し、60℃で15分間反応させた。得られた反応溶液を空冷し、減圧濃縮した後、ヘキサンを加えてγ−ベンジル−L−グルタメート−N−カルボキシ酸無水物(BLG−NCA)を結晶化させ、該BLG−NCAの結晶を濾別し、更にヘキサンで洗浄した後、真空乾燥してBLG−NCAの白色結晶17.2gを得た。このとき、収率は78%であった。
該BLG−NCAの白色結晶17.2g(63.5mmol)をDMF(N−N−ジメチルホルムアミド)15mlに溶解し、更に重合開始剤としてn−ヘキシルアミン28μlを添加し(このときNCA:重合開始剤が300:1となる)、室温で2日間攪拌して重合反応をさせた。なお、重合反応の終期は、赤外分光スペクトル(測定手段)を測定したときに、ヘリックス構造に観られる特徴的なピーク(1650cm−1及び1546cm―1に観測されるアミドピーク)が観測され、更に、BLG−NCAに観られる特徴的なピーク(1780cm−1及び1850cm−1に観測されるエステルピーク)が消失したときとした。重合反応させて得られた溶液15mlをジエチルエーテル500ml中に滴下し、白色結晶を析出させ、該白色結晶を遠心分離により分離した後、ジエチルエーテルで更に洗浄し、ポリベンジル−L−グルタメート(PBLG300−Hex)16.3gを得た。このとき、収率は95%であった。なお、GPC分析をした結果、重合度は300であり、また、Mw/Mn(分子量分布)は1.10であった。
次に、前記PBLG300−Hex10.0g(0.15mmol)に、BLG残基に対して100mol%に相当するKOH(2.4g)を含む水溶液/メタノール/2−プロパノール(1:2:2)溶液50mlを添加し、室温で2日間攪拌してベンジル残基を加水分解した。その後、NMR(核磁気共鳴分光法)により前記ベンジル残基の加水分解率(100%)を確認し、塩酸をpHが7になるように添加して加水分解を停止させて、沈殿物を得た。該沈殿物を濾過した後、濾過物を希塩酸により洗浄し、真空乾燥させ、ポリ−L−グルタメート(PLGA300−Hex)の白色粉末4.5gを得た。このとき、収率は76%であった。
次に前記PLGA300−Hex4.5g(0.15mmol)をジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した溶液15mlに、5−(ビオチンアミド)ペンチルアミン(PIERCE社製)0.12g(0.36mol)、及びN−N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.073g(3.24mol)を添加し、80℃で5時間加熱攪拌して、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾別した後、1NのHClを添加した。得られた白色粉末を濾別し、更に真空乾燥して、検出標的試薬である側鎖にビオチンを有するポリ−L−グルタメート(PLGA270)(bio−LG30)−Hex)3.5gを得た。このとき、収率は60%であった。
【0145】
−CDスペクトルの測定−
実施例1において、石英ガラス上に配した検出標的試薬を、側鎖にビオチンを有するポリ−L−グルタメート(PLGA270)(bio−LG30)−Hex)水溶液(濃度8.4×10−6M)に、ポリ−4−ビニルピリジンを、ビオチン基と同モル数のアビジン(重量平均分子量:68,000、濃度9.1×10−7M)に代えた以外は実施例1と同様にしてCDスペクトルを測定した。結果を図6に示す。なお、前記検出標的試薬(側鎖にビオチンを有するポリ−L−グルタメート)に、前記アビジンを導入してすぐにCDスペクトルが変化した。これにより、前記検出標的試薬と、前記アビジンとが10分以内に相互作用したことが判る。
図6の結果から、205nm付近の波長、及び223nm付近の波長におけるピークの強度は、前記検出標的試薬(側鎖にビオチンを有するポリ−L−グルタメート)に前記アビジンを導入する前よりも減少したことが判る。この強度変化は、ポリ−L−グルタメート中のαヘリックス構造が変化したことに起因することから、前記側鎖にビオチンを有するポリ−L−グルタメートとビオチンとが結合したことが判る。なお、このときの前記側鎖にビオチンを有するポリ−L−グルタメートとビオチンとの結合の概略図を図7に示す。
【0146】
(参考例2)
参考例1において、ビオチン基と同モル数のアビジン(重量平均分子量:68,000、濃度9.1×10−7M)から、各々ビオチン基に対して、0.1、10.0倍モル数のアビジンに代えた以外は参考例1と同様にしてCDスペクトルを測定した。結果を図8に示す。図8の結果から、前記ビオチン基に対して0.1倍モル数のアビジンを用いた場合においても、前記ビオチン基に対して同モル数及び10.0倍モル数のアビジンを用いた場合と同様なCDスペクトルの変化が観察されたことから、前記ポリ−L−グルタメート1分子につき、前記アビジンが1分子結合しただけでも、CDスペクトルが大きく変化することが判る。
【0147】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決し、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種標的を高価な測定装置等を用いることなく、測定誤差を小さくして効率よく簡便かつ迅速にしかも高感度に検出可能であり、更には定量も可能な標的検出装置及び標的検出方法、並びに、それらに好適に用いられる検出標的試薬を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、楕円偏光放射手段の概略図である。
【図2】 図2は、本発明の標的検出装置の概略図である。
【図3】 図3は、実施例1における標的検出試薬と検出標的との配位結合する前後におけるCDスペクトルのデータである。
【図4】 図4は、標的検出試薬と検出標的が配位結合したときの一例を示す概略図である。
【図5】 図5は、P4VPの物質量(residue M)と、参考例1において作製された楕円偏光放射手段の側鎖2PPr基におけるC=Oに帰属される負のピーク(205nm付近)の強度との関係を示す検量線である。
【図6】 図6は、参考例1における標的検出試薬と検出標的との相互作用する前後におけるCDスペクトルのデータである。
【図7】 図7は、標的検出試薬と検出標的が相互作用したときの一例を示す概略図である。
【図8】 図8は、参考例2における標的検出試薬と検出標的との相互作用する前後におけるCDスペクトルのデータである。
【符号の説明】
1 反射鏡
2 反射鏡
3 反射鏡
4 反射鏡
5 反射鏡
6 反射鏡
7 スリット
8 スリット
9 スリット
10 第一プリズム(光軸水平)
11 第二プリズム(光軸垂直)
12 常光
13 異常光
14 レンズ
15 CDモジュレーター
16 光電子増倍管
17 楕円偏光放射手段を含む試料箱
18 フィルタ
19 光源
20 楕円偏光放射手段
21 楕円偏光放射体
22 楕円偏光捕捉体
24 基板
30 検出標的試薬
31 検出標的
32 側鎖にビオチンを有するポリ−L−グルタメート
33 アビジン
Claims (4)
- 直線偏光を照射する光照射手段と、検出標的と配位結合可能であり、前記光照射手段から照射された直線偏光を、楕円偏光として放射可能であり、前記検出標的と配位結合したときに、前記検出標的と配位結合する前とは異なる楕円偏光として放射可能な楕円偏光放射手段と、前記楕円偏光の進路に設けられ、前記楕円偏光を検出する楕円偏光検出手段とを有し、
前記楕円偏光放射手段が、分子側鎖に検出標的と配位結合可能な標的捕捉部を有し、
前記標的捕捉部が、下記構造式(8)で表される金属錯体であることを特徴とする標的検出装置。
構造式(8)
- 検出標的と配位結合可能な標的捕捉部を少なくとも有してなり、
照射された直線偏光を楕円偏光として放射し、前記標的捕捉部が前記検出標的と配位結合した後、前記楕円偏光と異なる楕円偏光を放射可能であり、該異なる楕円偏光を検出することにより該検出標的を検出するのに用いられ、前記標的捕捉部が、下記構造式(8)で表される金属錯体である標的検出試薬。
構造式(8)
- 検出標的と配位結合可能であり、楕円偏光として放射可能な楕円偏光放射手段に対して直線偏光を照射し、前記楕円偏光放射手段が、前記検出標的と配位結合したときに、前記検出標的と配位結合する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射させる楕円偏光放射工程と、前記楕円偏光放射手段が、前記検出標的と配位結合した後の楕円偏光を検出する楕円偏光検出工程とを含み、
前記楕円偏光放射手段が、分子側鎖に検出標的と配位結合可能な標的捕捉部を有し、
前記標的捕捉部が、下記構造式(8)で表される金属錯体であることを特徴とする標的検出方法。
構造式(8)
- 検出標的と配位結合可能な請求項2に記載の標的検出試薬に対して直線偏光を照射し、前記標的検出試薬が、前記検出標的と配位結合したときに、前記検出標的と配位結合する前に放射する楕円偏光とは異なる楕円偏光を放射させる楕円偏光放射工程と、前記標的検出試薬が、前記検出標的と配位結合した後の楕円偏光を検出する楕円偏光検出工程とを含むことを特徴とする標的検出方法。
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