JP4330698B2 - ガラス材料の回収システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術】
本発明は、ガラス資源のリサイクルのために、ガラス材料から金属不純物等を除去してガラス材料を回収する方法、およびこの方法に使用するガラス材料の回収システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス材料は、ガラス容器や、集積回路などの電子部品などに多用されている。これらのガラス材料には、ガラス瓶などのようにそのまま再加工せずに再利用できるものもあるが、そのすべてがリサイクルされているわけではない。また生体に有害な金属不純物を含んでいるガラス材料も多く、これらの金属不純物を含むガラス材料を再利用するには再加工する必要がある。
【0003】
従来、この種のガラス材料の再加工には、熱によりガラスを溶解し、再び所望の形状に加工する方法がごく一般的にとられている。また、ガラス瓶などの回収には、金属製、あるいはプラスチック製の蓋、添付ラベルなどと分別する必要がある。このリサイクルを目的とした、分別法としては、例えば、特開平9-099250号公報にあるように、ガラス瓶をまず破砕した後、鉄片を除去する。次に、再び破砕し寸法により分別収集している。また、特開平9-010750号公報にあるように、ガラス瓶のラベルを除去・洗浄した後に、ガラス瓶の色を検出して分別し、粉砕するとともにガラス原料、金属、異物に分別している。
【0004】
しかしながら、従来の熱溶解では、ガラス材料中に含まれる重金属などの不純物を除去して、再利用することは難しい。また、上述のように、ガラス瓶などの回収には、金属製、あるいはプラスチック製の蓋、添付ラベルなどと分別する必要があり、分別の手間・費用が多くかかってしまうという問題が依然として残る。また、従来のガラス瓶などは、その形状・用途などによっても分別する必要があった。さらに、分別しないで熱溶解する場合には、加熱のために多量のエネルギーを消費することや、金属、プラスチックともに熱溶解あるいは熱分解してしまうため、これらの酸化物や、熱分解物などがガラス材料に取り込まれてしまうという問題もある。
【0005】
一方、半導体工場などでは、酸化シリコン薄膜をエッチングする際に、多量のフッ化水素酸水溶液が使用されているが、これらフッ化水素酸水溶液の廃液を処理するためのコストや手間がかかるという問題がある。
なお、電子材料分野では、特開昭62-20876号公報、特開昭61-281047号公報、あるいは、1988年8月(第136巻、8号、ページ2013-2016)に発行されているジャーナルオブエレクトロケミカルソサエティー(Journal of Electrochemical Society,Vol.135,No.8,pp.2013-2016)にあるように、ケイフッ化水素酸(H2SiF6)水溶液をホウ酸(H3BO3) 水溶液やアルミニウム(Al)などを添加することによって過飽和状態を保持しながら酸化シリコン薄膜を形成する方法がある。この方法は、以下の式(1)から式(3)で示される化学反応式によって説明されている。
【0006】
【数1】
Figure 0004330698
【0007】
式(1)と式(2)は、ケイフッ化水素酸水溶液中に残留しているフッ化水素酸(HF)を消費させ、その結果、ケイフッ化水素酸水溶液を過飽和状態にするための反応式であり、それぞれ、ホウ酸、アルミニウムを添加したときの反応を示している。式(3)は、ケイフッ化水素酸の水溶液中での化学平衡式であるが、ホウ酸やアルミニウムの添加により、フッ化水素 (HF) が消費されることによって、式(3)の化学平衡が右に移行し、その結果、酸化シリコン(SiO2) が析出する。あるいは、水の添加により化学平衡を右に移行させることができ、その結果、同様に酸化シリコン(SiO2) が析出する。また、式(3)で示すように、ガラス材料をフッ化水素酸や、飽和状態にないケイフッ化水素酸に溶解せしめるときに発熱反応が起こることがわかる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、低消費エネルギーで、金属、金属酸化物などの不純物を含まないガラス材料を低コストで回収する方法とそのシステムとを提供することにある。また、反応時に発生する熱を暖房設備などの熱機関に積極的に利用することを目的とするものである。さらに半導体工場などで酸化シリコン薄膜のエッチング時に多量に使用され、廃棄されるフッ化水素酸水溶液を含む廃液の有効利用を図ることをも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
酸化シリコンを主成分とするガラス材料を、フッ素イオンを含む溶液に溶解し飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を形成せしめるためのガラス溶解槽と、
前記の飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を過飽和状態にするための添加剤を溶解せしめるための添加剤溶解槽と、
該添加剤を添加せしめるための添加装置と、
ガラス材料を析出・沈殿せしめるための析出・沈殿槽と、
反応熱を回収せしめるための水浴槽と、
温水を循環せしめるためのポンプと、
フッ素イオンを含む溶液を供給するためのポンプと、
廃液回収のためのポンプとから成ることを特徴とするガラス材料の回収システムである。
【0010】
本発明においては、前記ガラス材料が溶解した溶液に、電界を印加しながら酸化シリコンを析出せしめることが好ましい。
また、前記フッ素イオンを含む溶液が、フッ化水素酸水溶液、飽和状態にないケイフッ化水素酸水溶液またはこれらの混合物であることが好ましい。
さらに酸化シリコンを析出せしめた後、得られた酸化シリコンを、不活性ガス、還元性ガス、水蒸気、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス、不活性ガスと水蒸気との混合ガスから選択される何れかの雰囲気中で熱処理することが好ましい。
【0011】
また、前記の酸化シリコンを主成分とするガラス材料は、金属および/または金属酸化物を不純物として含むものであってもよい。
さらに、前記ガラス材料が溶解した溶液に、アルミニウム、カルシウム、バリウム、ニッケル、亜鉛、銅、およびこれらの化合物、ホウ酸、マグネシウム化合物、水から選択される少なくとも1種を添加して、該溶液を過飽和状態にすることが好ましい。
【0012】
このような本発明は資源の有効利用を図ることを目的とするものであり、したがって、前記酸化シリコンを主成分とするガラス材料が、廃棄ガラスであることが好ましく、前記フッ素イオンを含む溶液が、工業的には廃棄処理されている廃液、特に酸化シリコン薄膜をエッチングする際に使用するフッ化水素酸水溶液の廃液であることが好ましい。
【0014】
本発明の回収システムにおいては、前記ガラス溶解槽が、攪拌装置を備えてなるものであってもよい。
また前記析出・沈殿槽が、電界を印加せしめるための電極を備えていてもよい。
さらに、前記添加剤溶解槽と、析出・沈殿槽との間に、ケイフッ化水素酸水溶液を循環せしめるための循環ポンプと、ゴミを除去せしめるためのフィルタとを設けてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラス材料の回収方法、およびこの方法に使用するガラス材料の回収システムについてさらに具体的に説明する。
本発明に係るガラス材料の回収方法は、酸化シリコンを主成分とするガラス材料を、フッ素イオンを含む溶液に溶解し、飽和状態、過飽和状態を経て、ガラス材料が溶解した溶液から酸化シリコンを析出せしめるものである。
【0016】
原料であるガラス材料は、酸化シリコン(SiO2)を主成分とする限り、形状、用途を問わないが、資源の有効利用の観点から、ガラス廃棄物を用いることが好ましい。このようなガラス廃棄物としては、たとえばガラス容器、ガラス窓等が用いられる。
これらのガラス廃棄物は、酸化シリコンに加え、ガラスの特性の改善あるいは着色のために、種々の金属、金属酸化物等の不純物を含むことがあるが、本発明においては、酸化シリコンのみを選択的に回収できるため、これらの不純物を含むガラス廃棄物も原料として用いることができる。また、ガラス容器では、金属製やプラスチック製の蓋、あるいは紙やプラスチック製の添付ラベルが付属しているものも原料として使用できる。紙やプラスチック製の不純物は、後述するフッ素イオンを含む溶液に溶解し難いので、容易に分離できる。また金属または金属酸化物等の不純物については、酸化シリコンの析出時に分離することができる。
【0017】
これらのガラス材料は、そのまま用いることもできるが、またフッ素イオンを含む溶液への溶解を促進するために、粒子状あるいは粉末状に粉砕して用いることが好ましい。
フッ素イオンを含む溶液としては、酸化シリコンを溶解する性質を有するものであれば特に制限されることなく種々のフッ素イオン含有溶液が用いられる。しかし、酸化シリコンの溶解性を考えると、フッ素イオン含有水溶液を用いることが好ましい。このようなフッ素イオン含有水溶液としては、フッ化水素酸水溶液、飽和状態にないケイフッ化水素酸水溶液またはこれらの混合物が好ましく用いられる。本発明においては、これらのフッ素イオン含有水溶液の純度は特に問題とはならないので、たとえば、半導体分野、特に酸化シリコン薄膜のエッチング時に多量に使用され、廃棄されるフッ化水素酸水溶液を含む廃液を用いることができる。
【0018】
本発明では、上記したガラス廃棄物のようなガラス材料を、フッ素イオン含有溶液に溶解する。ガラス材料の使用量は、その組成などにより様々であり、またフッ素イオン含有溶液の使用量も、その純度等により様々である。いずれにせよ、酸化シリコンが飽和するまで、ガラス材料をフッ素イオン含有溶液に溶解させる。
【0019】
なお、酸化シリコンの溶解は発熱反応であり、溶液温度の上昇に伴いガラス材料の溶解速度が高まるため、より短時間で酸化シリコンの回収が可能になる。また、この再の反応熱を回収し、工場やオフィスの暖房装置などの熱機関に利用できるという副次的な利点も有している。
本発明では、ガラス材料をフッ素イオンを含む溶液に溶解し、飽和状態とした後、過飽和状態を経て、溶液から酸化シリコンを析出させる。
【0020】
過飽和状態の達成は、温度制御によって行ってもよいし、また添加剤の添加により行ってもよい。
過飽和状態にするための添加剤としては、たとえばアルミニウム、カルシウム、バリウム、ニッケル、亜鉛、銅などの金属、およびこれら金属の化合物、ホウ酸、マグネシウム化合物、水などが、1種単独で、または2種以上を組合わせて用いられる。これらの中でも、特にアルミニウム金属、ホウ酸、水が好ましく用いられる。アルミニウム金属としては、飲料容器として多量に製造、廃棄されているアルミ缶を用いることができるので、資源の有効利用の観点からも特に好ましい。
【0021】
このような添加剤の使用量は、その種類、溶液温度等に応じ適宜に設定される。
添加剤としてホウ酸(H3BO3)あるいはアルミニウム金属を用いると、以下の反応式により飽和溶液中のフッ化水素が消費される。
【0022】
【数2】
Figure 0004330698
【0023】
この結果、下記式(3)の平衡が右に移行し、過飽和状態を経て酸化シリコン(SiO2)が析出する。
【0024】
【数3】
Figure 0004330698
【0025】
また、本発明においては、溶液に電界を印加しながら、酸化シリコン(SiO2)の析出を行うことが好ましい。具体的には、溶液の下部に正極が、溶液の上部に負極が位置するようにそれぞれの電極を設置し、電界を印加する。電極としては、金属イオンが溶出しない電極が好ましく用いられ、たとえば炭素電極あるいはテフロン樹脂で被覆したアルミニウム電極が用いられる。
【0026】
ガラス材料中の不純物の多くは、金属あるいは金属化合物であるが、上記のように電界を印加しながら酸化シリコン(SiO2)を析出させると、過飽和のケイフッ化水素酸水溶液中に溶解している金属カチオンが溶液上部の負電位に引き寄せられるために、析出する酸化シリコン中に金属カチオンが取り込まれ難くなり、金属あるいは金属化合物の量が少ない、純度の高い酸化シリコンが得られる。
【0027】
なお、析出する酸化シリコンは、ゲル状であっても粒子状であってもよく、また、シリコン基板などの基材上に薄膜として析出させ、回収してもよい。
かくして得られる酸化シリコンは、上記(3)式で示されるように、酸化シリコンのみを選択的に析出させたものであるので、不純物含量が少なく、さまざまなガラス製品の原料として使用できる。また、電界を印加しながら析出させた酸化シリコンにおいては、金属由来の不純物がさらに低減されるので、各種電子部品、光学材料の原料としても使用できる。
【0028】
なお、得られる酸化シリコンには、アニオン由来の不純物、特に微量のフッ素等が含まれることがある。このようなフッ素は、得られた酸化シリコンを、不活性ガス、還元性ガス、水蒸気、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス、不活性ガスと水蒸気との混合ガスから選択される何れかの雰囲気中で熱処理することで除去できる。
【0029】
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが用いられ、
還元性ガスとしては、水素ガスなどが用いられる。
熱処理温度は、採用する雰囲気によりさまざまであるが、一般的には300℃以上、好ましくは500℃以上、さらに好ましくは800〜1200℃、特に好ましくは850〜1000℃程度が適当である。
【0030】
次に本発明に係るガラス材料の回収システムについて、図1を参照しながら説明する。
本発明に係るガラス材料の回収システムは、
酸化シリコンを主成分とするガラス材料を、フッ素イオンを含む溶液に溶解し飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を形成せしめるためのガラス溶解槽1と、
前記の飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を過飽和状態にするための添加剤を溶解せしめるための添加剤溶解槽2と、
該添加剤を添加せしめるための添加装置7と、
ガラス材料を析出・沈殿せしめるための析出・沈殿槽3と、
反応熱を回収せしめるための水浴槽12と、
温水を循環せしめるためのポンプ13と、
フッ素イオンを含む溶液を供給するためのポンプ14と、
廃液回収のためのポンプ15とから成ることを特徴としている。
【0031】
原料である酸化シリコンを主成分とするガラス材料、フッ素イオンを含む溶液、および添加剤等は、上記と同様のものが用いられる。
水浴槽12は、反応熱の有効利用を図ることを目的としたものであり、水浴槽12中の温水をポンプ13で抜き出し、熱機関に送ることで反応熱をエネルギーとして有効利用できる。
【0032】
廃液には、フッ化水素酸、および金属カチオン等が含まれる。これを適宜に処理することで、フッ化水素酸、金属の回収を行ってもよい。得られるフッ化水素酸は、フッ素イオンを含む溶液として、ガラス溶解槽1に供給してもよい。
本発明の回収システムにおいては、前記ガラス溶解槽1が、攪拌装置6を備えてなるものであってもよい。攪拌装置6を設けることで、ガラス材料の溶解を促進できる。
【0033】
また前記析出・沈殿槽3が、電界を印加せしめるための電極4,5を備えていてもよい。電極材料としては、上述したように、炭素電極、テフロン被覆したアルミニウム電極等が好ましく用いられる。また電極は、析出・沈殿槽3の下部に正極が、析出・沈殿槽3の上部に負極が位置するように設置される。
さらに、前記添加剤溶解槽2と、析出・沈殿槽3との間に、ケイフッ化水素酸水溶液を循環せしめるための循環ポンプ10と、ゴミを除去せしめるためのフィルタ11とを設けてもよい。フィルタ11によって、原料中に含まれる紙、プラスチック等の難溶性不純物をゴミとして除去できる。
【0034】
なお、図1に示したガラス材料の回収システムは、基本的な機能を備えたものであり、その目的を達成するために、付加的な機器・設備、例えばガラス材料の破砕・粉末化装置、気化したフッ化水素酸の回収装置、回収後のガラス材料の熱処理装置などと合体したものであっても良い。また、析出したSiO2はゲル又は粒子として回収しても良く、基材上に析出させても良い。また、その他の回収装置やSiO2ゲル又は粒子、SiO2薄膜が形成された基材の洗浄装置などを付加してもよい。さらに、図1ではガラス溶解槽1と添加剤溶解槽2とを同一の水浴槽12内に設置しており、析出・沈殿槽3は水浴には設置していないが、これらは、添加剤の溶解度を高めるために添加剤溶解槽2を加熱し、その結果、析出・沈殿槽3に至るケイフッ化水素酸水溶液の過飽和度をより高めSiO2の析出速度を高めるためである。ガラス材料溶解槽1と添加剤溶解槽2とは、それぞれ独立の水浴槽を用いても良い。
【0035】
【発明の効果】
本発明を用いることにより、比較的簡単に、そのままで再利用可能なガラス材料と、体に有害な金属などの不純物を含有するガラス材料とを同時に処理できるので、ガラス材料を主成分とするものであれば、形状・用途などは問わず、かつ、室温程度の温度でも金属不純物を除去してガラス材料を再利用できるという利点がある。室温程度の温度でガラス材料の再生が可能となるため、エネルギー消費量を低く抑えることができる。
【0036】
また、プラスチックや紙、あるいはこれらから成る添付ラベルはケイフッ化水素酸水溶液あるいはフッ化水素酸水溶液には溶解しにくいこと、金属がフッ化水素酸と反応し固定化されることから、ガラス瓶と、金属製、あるいはプラスチック製の蓋、添付ラベルなどと分別する必要が無くなるという利点があり、分別による手間・費用が省けるという効果がある。一方、半導体分野で大量に使用されているフッ化水素酸(HF)水溶液を回収し、本発明の目的で利用すれば、この廃液を処理するためのコストや手間が低減できるという利点もある。
【0037】
またガラス材料が溶解したフッ素イオン含有溶液を過飽和にするための添加剤としてアルミニウムを用いる場合には、近年、リサイクルの対象でもあるが、多用されているアルミニウム缶を利用することができる。これにより、さらにコストの低減が図れる。なお、アルミニウム缶は種々の印刷がされているが、そのままフッ素イオン含有溶液に投入しても何ら問題はない。
【0038】
さらに、ガラス材料をフッ素イオンを含む溶液に溶解せしめるときに生じる反応熱を回収し、工場やオフィスの暖房装置などの熱機関に利用できるという副次的な利点も有している。また、この反応熱により、ガラス材料の溶解速度が高まり、より短時間で回収可能となる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、SiO2ゲルの析出のために用いた過飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液と、SiO2ゲル中に含まれる金属不純物元素の定量は、誘導プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma Mass Spectroscopy)法により行った。この分析方法は、ppbレベル以下の分析を行うために、本実施例のように多量の金属不純物を含む場合には、希釈してサンプリングを行う必要がある。本実施例では、この過飽和水溶液を濃度50%の半導体用フッ化水素酸水溶液で1000倍に希釈してサンプリングを行い、分析値を1000倍して原液の不純物濃度を算出した。また、析出させたSiO2ゲルも同様にフッ化水素酸水溶液で約5倍に希釈して分析した後、元のSiO2ゲル中の不純物濃度に換算した。なお、希釈に用いたフッ化水素酸水溶液中の金属不純物濃度は、本実施例で分析を行った元素について、全て0.1ppb以下である。
【0040】
【実施例1】
まず、実施例1においては、ケイフッ化水素酸水溶液に各種の金属酸化物を添加し、SiO2を析出させたときの金属不純物の除去性能を調べた。
濃度約40%(約3.8mol/リットル)の工業用ケイフッ化水素酸水溶液100cc(H2SiF6として54.7g)に水酸化クロム(Cr2O3)、酸化第二鉄(Fe2O3)、水酸化アルミニウム{Al(OH)3}、酸化アンチモン(Sb2O3)、水酸化銅{Cu(OH)2}、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)の粉末を、それぞれ約0.005mol/リットルの濃度なるようにマイクロ天秤で秤量して添加し攪拌した。
【0041】
この後、酸化シリコン粉末10gを添加し24時間十分に攪拌・溶解させ、各種の金属酸化物を含んだ飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を形成した。この溶液は金属酸化物を含んだガラス材料をケイフッ化水素酸水溶液又はフッ化水素酸水溶液に溶解したときの状態を擬似的に形成したものである。形成した飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を23℃の温度に保ち、過飽和状態にするための添加剤として濃度約0.1mol/リットルのホウ酸(H3BO3)水溶液を20cc添加した。ホウ酸水溶液を添加して数秒後から綿状のゲルが形成され始めた。この状態で48時間放置し、ゲル状のSiO2を析出させた。形成したSiO2ゲルは純水で十分洗浄した。
【0042】
SiO2ゲルの析出のために用いた過飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液と、SiO2ゲル中に含まれる金属不純物元素を上記の方法により定量した。分析結果を表1に示す。
過飽和のケイフッ化水素酸水溶液中の金属不純物濃度に比べて、SiO2ゲル中に含まれる金属不純物濃度は、すべて減少しており、ほとんどの金属不純物が除去された。
【0043】
【表1】
Figure 0004330698
【0044】
【実施例2】
実施例2では、実際にガラス瓶を粉末状に粉砕したものをフッ化水素酸水溶液に溶解して飽和水溶液を調製した。まず、49%の濃度のフッ化水素酸水溶液100ccに25gの粉砕したガラス粉末を溶解し、24時間攪拌したものをケイフッ化水素酸の飽和水溶液とした。ガラスの添加量は、従来技術の説明で述べた化学反応式(3):
【0045】
【数4】
Figure 0004330698
を基に計算した結果(245g/リットル)を考慮した。続いて、この飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を過飽和にするための添加剤として実施例1と同様に濃度約0.1mol/リットルのホウ酸(H3BO3)水溶液20ccを温度23℃に保たれた飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液に添加した。ホウ酸水溶液を添加してから数秒後には綿状のゲルが形成され始めた。この状態で、24時間放置し、実施例1と同様にSiO2ゲルを形成した。
形成したSiO2ゲルと、SiO2ゲル形成に用いた過飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液に含まれる金属不純物元素を定量した。結果を表2に示す。実施例1と同様に、過飽和のケイフッ化水素酸水溶液中の金属不純物濃度に比べて、SiO2ゲル中に含まれる金属不純物濃度は減少し、ほとんどの金属不純物が除去された。
【0046】
【表2】
Figure 0004330698
【0047】
また実施例2では、フッ化水素酸水溶液にガラス粉末を溶解するときの溶液の温度変化も調べた。結果を図2に示す。溶液温度は、約20分間で49.8℃に達しており、ガラスを連続的に添加すれば、この温度を保持することができる。ここで、フッ化水素酸水溶液(49%)の比熱c:0.78 cal/g・℃、比重d:1.195g/cc、温度変化量t(℃):t2−t1= 35.3℃(t2= 49.8,t1= 14.5)、液量m = 100(cc) を用いると、発熱量H = mcdtより、H ≒ 3.29kcalとなり、仕事量に換算すれば、1.382x104Jとなる。最高温度49.8℃に達するまでの時間が20分間であるので1秒間の仕事量は11.52J/sとなり、電力に換算すると11.52Wとなる。これがフッ化水素酸水溶液100cc当たりであるので、1リットル当たりでは、10倍の115.2Wの電力が得られることになる。この発生した反応熱を回収すれば、暖房システムなどに適用可能である。
【0048】
この計算では、ケイフッ化水素酸水溶液の比熱が不明であるために、フッ化水素酸水溶液として計算した。溶解途中にケイフッ化水素酸に変化することは考慮されていないため、正確な値ではないが、少なくても初期状態ではフッ化水素酸の濃度はケイフッ化水素酸の濃度よりも高いので、ある程度は信頼できる値である。
【0049】
【実施例3】
本発明で回収されるSiO2には、数%のフッ素が含まれており、用途によっては、このフッ素を除去する必要がある。本実施例では、実施例2で述べた方法で形成したSiO2ゲルからフッ素を除去する目的で、水素ガス雰囲気で熱処理する場合について述べる。まず、SiO2ゲルを合成石英製容器に入れ、窒素ガス雰囲気中で自然乾燥させた後、これを温度約900℃に保たれた電気炉に水素ガスと窒素ガスとの流量比を1:10として混合ガスを連続的に流し、この電気炉内に合成石英製容器(乾燥SiO2ゲル入り)を入炉し60分間の熱処理を行った。SiO2ゲルに含有していたフッ素の濃度は約0.01%に減少した。
【0050】
【実施例4】
実施例4では、実施例1および実施例2の知見を基にして、図1に示すようなガラス材料の金属不純物除去システムを組み立てた。本システムは、酸化シリコンを主成分とし、金属、及び/又は、金属酸化物を不純物として含むガラス材料を溶解し飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を形成せしめるためのガラス溶解槽1と、前記の飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を過飽和状態にするための添加剤を溶解せしめるための添加剤溶解槽2と、再びガラス材料を析出・沈殿せしめるための析出・沈殿槽3と、電界を印加せしめるための正電極4、および負電極5と、前記、飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を攪拌するための攪拌装置6と、添加剤を添加せしめるための添加装置7と、ケイフッ化水素酸水溶液を循環せしめるための循環ポンプ8、9、10と、フィルタ11と、反応熱を回収せしめるための水浴槽12と、温水を循環せしめるためのポンプ13と、フッ化水素酸水溶液、又は飽和状態にないケイフッ化水素酸水溶液を供給するためのポンプ14と、廃液回収のためのポンプ15とから成っている。
【0051】
また電界を印加せしめるための電極として、テフロン樹脂で被服されたアルミニウム電極を用いた。正電極4を析出・沈殿槽の下部に設置し、負電極5を溶液表面近傍に設置した。電極間隔を15cmとし、正負電極間に50Vの直流電圧を印加した。実施例1と同様にSiO2ゲルを析出させ、実施例1と同様の金属不純物濃度を分析したところ、すべての金属不純物濃度が0.05ppm以下であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス材料の回収システムの概略図である。
【図2】フッ化水素酸水溶液にガラスを溶解したときの溶液温度の変化(実施例2)を示す図である。
【符号の説明】
1…ガラス材料溶解槽
2…添加剤溶解槽
3…析出・沈殿槽
4…正電極
5…負電極
6…攪拌装置
7…添加剤添加装置
8,9,10…循環ポンプ
11…フィルタ
12…水浴槽
13…温水循環ポンプ
14…給液ポンプ
15廃液回収ポンプ

Claims (4)

  1. 酸化シリコンを主成分とするガラス材料を、フッ素イオンを含む溶液に溶解し飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を形成せしめるためのガラス溶解槽と、
    前記の飽和状態のケイフッ化水素酸水溶液を過飽和状態にするための添加剤を溶解せしめるための添加剤溶解槽と、
    該添加剤を添加せしめるための添加装置と、
    ガラス材料を析出・沈殿せしめるための析出・沈殿槽と、
    反応熱を回収せしめるための水浴槽と、
    温水を循環せしめるためのポンプと、
    フッ素イオンを含む溶液を供給するためのポンプと、
    廃液回収のためのポンプとから成ることを特徴とするガラス材料の回収システム。
  2. 前記ガラス溶解槽が、攪拌装置を備えてなることを特徴とする請求項に記載のガラス材料の回収システム。
  3. 前記析出・沈殿槽が、電界を印加せしめるための電極を備えてなることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス材料の回収システム。
  4. 前記添加剤溶解槽と、析出・沈殿槽との間に、ケイフッ化水素酸水溶液を循環せしめるための循環ポンプと、ゴミを除去せしめるためのフィルタとを備えてなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス材料の回収システム。
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