JP4330643B2 - 圧縮機 - Google Patents
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本出願人は、すでに、二酸化炭素を冷媒として用いる圧縮機を提案しているが、この圧縮機では、二酸化炭素に対応するべく効率を高めるために、圧縮機ユニットを内蔵する低圧ハウジングの端部を、高圧貯油室として構成している。
すなわち、上述の圧縮機ではハウジングに、凹状の隔壁を介して、圧縮機ユニットと駆動手段とを内蔵する構成としている。
また、比較的低圧のハウジングに対し、高圧の貯油室を一体化するためには、強度の大きい隔壁を設けるため、大型化し、しかも、高圧貯油室と低圧のハウジングとの接合箇所が、歪みのために、接合強度が低下するという課題が生じるに至っている。
本発明は、上記背景から提案されたものであって、隔壁を備えた圧縮機において、接合部の強度を確保すると共に、隔壁内に貯油量を確保するためのオイルセパレータ機能を備え、信頼性に優れる圧縮機を提供することを目的とする。
しかも、圧縮機構部(13)に対して非接触で、且つ前記圧縮機構部(13)との間に間隙部(49)を介して設けた隔壁(14b)により、高温の貯油が圧縮機構部(13)側と熱的に遮断することができるため、圧縮機構部(13)が温度上昇しても、吸入冷媒の加熱による、性能低下を来たすことはない。
これにより、隔壁(14b)を、高圧室(39)の高圧に耐えうるものとすることができ、耐圧容器(14)が高圧の影響によって変形するのを抑制することができる。
高圧の貯油室を一体化し、高圧貯油室と低圧のハウジングとの接合箇所の変形を抑えて、接合強度が低下を抑えたので、高圧下で運転される二酸化炭素において特に有効となる。
図1に、本発明にかかる圧縮機を実施するための好適な一例として、スクロール型圧縮機10を示し、以下、説明する。
この圧縮機10は、密閉容器11内に電動機部12と圧縮機構部13とを収容し、外部の冷媒回路からの冷媒を圧縮すると共に、圧縮された冷媒からオイルを分離して外部の冷媒回路へ冷媒を戻すようにしたもので、圧縮機構部13などの可動部の構成部材に対し、運転に伴い、常時、オイルを供給回収する構成としている。
なお、この圧縮機10では、冷媒として二酸化炭素を用いるようにしている。二酸化炭素を冷媒とする場合、従来のフロン系冷媒と比較して効率上、より高圧化が必要であり、旋回スクロールと固定スクロールとが摺動する箇所に対する押圧力は過大なものとなるが、後述のように、運転時、常時、オイルを供給回収する構成としていることから、二酸化炭素を冷媒とすることを可能としている。
圧縮機10は、ハウジング11a内において支持部材15に固定された副軸受16と、主軸受17とによって略水平に支持されたシャフト18を、電動機部12によって回転するもので、このシャフト18の回転によって後述する圧縮機構部13を作動させる構成である。
また、円板部スクロール側端面19eと、可動スクロール21のボス部25が設けられた側の端面(以下、可動スクロール背面21aと称する)との間には、可動スクロール背面21aと円板部スクロール側端面19eとを摺動させるすべり軸受であるスラスト軸受30が配置されている。
また、吐出室32内には、固定スクロール23を軸方向に貫通する吐出口31を閉止することで、吐出された冷媒が逆流することを防止する吐出弁34が配置されている。
そのために、オイルの通路として吐出室32より下方の固定スクロール23に、貫通するようにオイル戻し通路40が形成されている。
またオイル通路42には、主軸受17及び副軸受16に対応する部位に径方向孔42a、42bがオイル通路42から分岐するように設けられている。
さらに、径方向孔42aの出口はシャフト18に設けられたシャフト溝18aに連通している。
また、真ん中の円筒19bには、シャフト18よりも上部のスラスト軸受30へオイルを導くため、シャフト18よりも上部において、径方向孔42aとスラスト軸受30とを連通させるオイル溝43が形成されている。
分離筒46上部側には、圧縮機構部13から吐出された冷媒を分離筒46内に接線方向に流入させる接続管37が接続される。
また分離筒46内の上部側には、外部冷媒回路(図示せず)にオイルが分離された冷媒を送り出す、分離パイプ47が装着されている。分離パイプ47は、上半部外径が、分離筒46内径に略等しく、下半部外径が分離筒46内径の略1/2程度としていて、この下半部外周面の位置において、接続管37が、分離筒46内壁の接線方向に冷媒が流入するように連通させている。
この場合、隔壁14bは、先端周縁部を容器外壁14aの先端縁部内周面に密接可能とするために、起立させた形状として、先端周縁部を容器外壁14aの先端縁部内周面との密接箇所に溶着している。
そしてこのような隔壁14bにおいて、先端周縁部の溶着箇所から中央箇所までの箇所は、圧縮機構部13から遠ざかる方向に、高圧貯油室39側に向かって徐々に凹む湾曲形状を呈している。
この送油管50は、固定スクロール23に、貫通するように形成されたオイル戻し通路40に連通接続されている。
圧縮機10の電動機部12を起動し、圧縮機構部13を作動させると、冷媒回路から還流される冷媒を、固定側渦巻26の最外周側に連通する吸入室(図示省略)に供給される。
吸入された冷媒は、可動側渦巻24と固定側渦巻26の噛み合いによって形成される複数の作動室22が、電動機部12のシャフト18が回転することによって、可動スクロール21が固定スクロール23に対して旋回して、体積を縮小することにより固定側渦巻26の最外周側に連通する吸入室(図示省略)に供給された冷媒を圧縮することができる。
この場合、冷媒には、圧縮機構部13における可動部を潤滑したオイルがミスト状に混在すると共に、高温高圧状態となる。また、以上のような動作により、圧縮機構部13は高温状態となる。
吐出管35を通過するときは、吐出管35外周が空間部36を介して固定スクロール23に設けているため、圧縮機構部13が動作によって固定スクロール23が高温化しても、通過する冷媒に対して与える、熱的影響を抑制することができる。
これにより、分離筒46内壁を進行することで、遠心力により、冷媒内のオイルが分離し、外部冷媒回路(図示せず)にオイルが分離された冷媒を送り出す一方、分離されたオイルは、分離筒46内壁を伝って流下し、分離筒46下端側の排出孔48を通って、高圧貯油室39における耐圧容器14にオイルを貯油することができる。
高圧貯油室39が高圧化しても、高圧貯油室39を形成する耐圧容器14は、ハウジング11aの軸方向一端側面である、肉厚の容器外壁14aと隔壁14bとによって形成され、しかも内壁の断面形状が略楕円形としているので、図2に示すように、耐圧容器14には、矢印で示しているように、全体に亘って内圧Pdがかかる。
このとき、圧縮機構部13を収容するハウジング11a側にも、内圧Psがかかる(Pd>Ps)。
これにより、耐圧容器14、ハウジング11aは、それぞれ内圧Pd、Psによって、外方向に二点鎖線で示すように変形が生じる。
その上、高圧貯油室39と圧縮機構部13を収容するハウジング11aとを仕切る隔壁14bは、圧縮機構部13の吐出室32を形成する遮蔽板33とは間隙部49を介在させており、しかも、先端周縁部の溶着箇所から中央箇所までの箇所は、高圧貯油室39側に向かって徐々に凹む湾曲形状を呈しているため、内圧Pdによる変形は抑えられる。
また、例え隔壁14bに内圧Pdによる変形が生じても、圧縮機構部13を収容するハウジング11aには、間隙部49が緩衝作用をなし、従来技術のように隔壁と固定側スクロールが接することなく、圧縮機構部13に対する高圧の影響を好適に回避することができる。
特に溶着部の強度は、溶着部拡大図に示されるように、ハウジング11aと容器外壁14aが開口する部位の根元に最も、応力が集中し、その開口角θ1が小さいことが重要であり、後述の図3のような従来の構成に対し、隔壁14bが容器外壁14aの先端部の内径側への縮小を防止するため、θ1<θ2となり強度が向上するのである。また隔壁14bは圧力により圧縮機構部13側方向へ変形しようとする際、隔壁14bの外周部は、容器外壁14aとの溶着部で外側へ拡大しようとするが、容器外壁14aさらにはハウジング11aが外周で支えとなることにより、外側へ拡大することを抑え、結果として隔壁14bの圧縮機構部13側への変形も抑えることができる。
さらに、ハウジング11a内の、耐圧容器14を構成する隔壁14bと、圧縮機構部13の吐出室32を形成する遮蔽板33間の間隙部49により、動作中の圧縮機構部13の高温化の影響を極力抑えることができる。
さらに、オイルは径方向孔42aの出口のシャフト溝18aに至り、径方向孔42aとスラスト軸受30とを連通させるオイル溝43に至り、スラスト軸受30へオイルを導くことができる。
スクロール収納部28に戻ったオイルは、可動スクロール21と固定スクロール23の摺動面に供給され、作動室22で冷媒と共に圧縮され、再びオイルセパレータ38によって冷媒から分離され、高圧貯油室39における耐圧容器14にオイルを貯油することができる。
その上、高圧貯油室39と圧縮機構部13を収容するハウジング11aとを仕切る隔壁14bは、圧縮機構部13の吐出室32を形成する遮蔽板33とは間隙部49を介在させており、しかも、先端周縁部の溶着箇所から中央箇所までの箇所は、高圧貯油室39側に向かって徐々に凹む湾曲形状を呈しているため、内圧Pdによる変形は抑えられる。
しかも、上述の圧縮機構10は、高い圧力下で運転が必要な二酸化炭素を冷媒として用いても、性能低下を来たすことはない。
先ず、図3では、圧縮機構10におけるハウジング11aと、高圧貯油室39における容器外壁14aとを、ハウジング11aの一端側周囲と容器外壁14aの先端縁部近傍の外周とを溶着し、隔壁がない例を示している。
このような構成では、ハウジング11a内の圧力Psによって、二点鎖線で示すように、全体が変形する。従って、ハウジング11aと容器外壁14aとの溶着箇所も大きく変形し、溶着箇所の強度が懸念されることとなる。
特にハウジング11aは外側へ、容器外壁14aの先端部は内側へ変形するため開口角θ2が大となり、溶着部への応力集中が生ずる。
図5では本発明と同様に凹状の隔壁を有するが、3者の接合は、隔壁が最も外側になりその内方にハウジング及び容器外壁が溶着されているため、加圧時の変形でそれぞれθ5、θ6が大となり、本発明に比較し強度的に劣る。
また、図5では、隔壁の外径側への拡大をハウジングの円筒面で外側で支えておらず、変形が大きく、固定スクロールとも接触しており、圧縮機への影響が懸念される。
このため、耐圧容器14を構成する容器外壁14aを、ハウジング11aを構成する他の壁面に比較して肉厚が大であっても、高圧貯油室39における高い圧力で、図示するように変形を来たし、溶着箇所が変形によって拡大することがわかり、このような構成では、本発明の課題は達成されないことが容易にわかる。
すなわち、図4では、ハウジング11aは外側へ、容器外壁14aの先端部は内側へ変形するため開口角θ3が大となり、溶着部への応力集中を生ずる。
また、隔壁14b側の先端部は内径側へ、容器外壁14aも内径側へ変形するため隔壁14bと容器外壁14aの溶着部のθ4が拡大して応力が集中し、ハウジング11a側と隔壁14b側の両方の溶着部の強度が低下する。
11 密閉容器
11a ハウジング
11b 第3円筒部
12 電動機部
13 圧縮機構部
14 耐圧容器
14a 容器外壁
14b 隔壁
15 支持部材
16 副軸受
17 主軸受
18 シャフト
18a シャフト溝
19 ミドルハウジング
19a,19b,19c 円筒
19d 円板部
19e 円板部スクロール側端面
20 クランク機構
21 可動スクロール
21a 可動スクロール背面
22 作動室
23 固定クスロール
24 可動側渦巻
25 ボス部
26 固定側渦巻
27 クランク室
28 スクロール収納部
29 偏心部
30 スラスト軸受
31 吐出口
32 吐出室
33 遮蔽壁
34 吐出弁
35 吐出管
36 空間部
37 接続管
38 オイルセパレータ
39 高圧貯油室
40 オイル戻し通路
41、42 オイル通路
42a,42b 径方向孔
43 オイル溝
44 低圧貯油室
45 オイル戻し孔
46 分離筒
47 分離パイプ
48 排出孔
49 間隙部
50 送油管
Claims (8)
- 冷媒を圧縮する圧縮機構部(13)をハウジング(11a)に内蔵し、このハウジング(11a)内部が吐出圧より低圧とした圧縮機(10)において、
圧縮機構部(13)により圧縮された圧力がかかる高圧室(39)を備え、
前記高圧室(39)は、前記ハウジング(11a)内の一端側壁面を前記ハウジング(11a)の他の壁面に比較して肉厚とした容器外壁(14a)と、
前記ハウジング(11a)内において前記圧縮機構部(13)に隣接して、前記容器外壁(14a)とで前記高圧室(39)を仕切る隔壁(14b)を有する耐圧容器(14)を備え、
前記隔壁(14b)は、前記圧縮機構部(13)に対して非接触で、且つ前記圧縮機構部(13)との間に間隙部(49)が画成されるように、前記ハウジング(11a)の内方で接合されていることを特徴とする圧縮機。 - 前記耐圧容器(14)において、前記隔壁(14b)は、断面形状が前記高圧室(39)内に向けて凸状に湾曲する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
- 前記隔壁(14b)は前記容器外壁(14a)の内方で接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機。
- 前記容器外壁(14a)と前記隔壁(14b)とにおいて、前記容器外壁(14a)は、前記ハウジング(11a)の軸方向一端内周面に、先端縁部を嵌入密接可能とする形状として、前記ハウジング(11a)の一端と、嵌入した容器外壁(14a)の先端縁部近傍の外周部とを溶着する一方、
前記隔壁(14b)は、前記容器外壁(14a)の先端縁部内周面に密接すると共に、前記隔壁(14b)の先端周縁部を、前記容器外壁(14a)の先端縁部内周面との密接箇所に溶着する構成としたことを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1に記載の圧縮機。 - 前記高圧室(39)は高圧側の貯油室を構成することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1に記載の圧縮機。
- 冷媒として二酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1ないし5記載のいずれか1つに記載の圧縮機。
- 冷媒を圧縮する圧縮機構部(13)をハウジング(11)に内蔵した圧縮機であって、
前記ハウジング(11)は、少なくとも一端が開放された円筒状の円筒ハウジング(11a)と、前記円筒ハウジング(11a)の前記一端内部に挿入されて溶接により接合された耐圧容器(14)とからなり、
前記円筒ハウジング(11a)内部には、前記圧縮機構部(13)から吐出される冷媒の吐出圧よりも低い圧力が印加され、
前記耐圧容器(14)内部には、前記圧縮機構部(13)から吐出される冷媒の吐出圧に相当する圧力が印加される圧縮機において、
前記耐圧容器(14)は、前記円筒ハウジング(11a)の前記一端に挿入されて溶接される周縁部を備えたお椀状の容器外壁(14a)と、前記周縁部の内側にはめ込まれて溶接された隔壁(14b)とからなり、
前記隔壁(14b)は、前記圧縮機構部(13)に対して非接触で、且つ前記圧縮機構部(13)との間に間隙部(49)が画成されていることを特徴とする圧縮機。 - 前記隔壁(14b)は、前記圧縮機構部(13)から遠ざかる方向に湾曲し、
前記圧縮機構部(13)の端部は、前記隔壁(14b)の湾曲部内部に位置することを特徴とする請求項7に記載の圧縮機。
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