JP4328411B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーエアコン用のコンデンサとして好適に用いられるマルチフロータイプの熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーエアコン等の冷却装置に採用されるコンデンサとして、マルチフロータイプと称されるヘッダータイプの熱交換器が多く採用されている。
【0003】
マルチフロータイプのコンデンサは、左右一対の垂直方向に沿うヘッダー間に、両端を両ヘッダーに連通接続する熱交換管路が並列状に多数配置されて、熱交換器コアが形成されている。更に両ヘッダー内に設けられた仕切部材によって、上記多数の熱交換管路が、数本ずつに区分けされて、複数のパスが形成されている。そしてヘッダー上部の冷媒入口から流入された冷媒が、各パスを順に通過してコア内を蛇行するように流通し、その流通時に外気との熱交換により徐々に凝縮液化された後、ヘッダー下部の冷媒出口から流出されるように構成されている。
【0004】
一方、このようなマルチフロータイプのコンデンサにおいて、近年、熱交換管路を、以下に示す特有構造の第1熱交換チューブにより構成することがある。
【0005】
この第1熱交換チューブは、内部に、チューブ長さ方向に延び、かつチューブ幅方向に並列状に配置された複数の冷媒通路を有するとともに、隣り合う冷媒通路間の仕切壁に、隣り合う冷媒通路同士を連通する複数の連通孔が形成されるものである。そしてこの第1熱交換チューブにおいては、上記連通孔を通って冷媒がチューブ幅方向にも行き来することにより、効率良く熱交換することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マルチフロータイプのコンデンサでは、熱交換管路を流れる冷媒は、徐々に冷却されて次第に凝縮液化されるものであるため、最終パスの熱交換管路のうち最下端に位置する管路の冷媒は、その多くが液状態となっている。このため、最下端位置の熱交換管路として、上記したように、仕切壁に連通孔が設けられた第1熱交換チューブを使用していると、連通孔が抵抗となって冷媒の圧力損失が増大し、冷媒がスムーズに流動せず、熱交換性能を低下させる恐れがあった。
【0007】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、冷媒をスムーズに流通させることができ、熱交換性能を一段と向上させることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、互いに平行に離間して配置される一対のヘッダー間に、両端を両ヘッダーに連通接続する複数の熱交換管路が並列状に配置されて熱交換器コアが形成される一方、前記ヘッダーの内部に設けられた仕切部材により、前記複数の熱交換管路が複数のパスに区分けされ、冷媒が各パスを順に通って前記熱交換器コア内を蛇行状に流通するようにした熱交換器において、前記熱交換管路が、チューブ内にチューブ長さ方向に延び、かつチューブ幅方向に並列に配置された複数の冷媒通路が設けられるとともに、隣り合う冷媒通路間に配置される仕切壁に、隣り合う冷媒通路同士を連通する連通孔が形成された第1熱交換チューブと、前記第1熱交換チューブよりも通路抵抗が小さい第2熱交換チューブとを具備し、前記複数の熱交換管路のうち、上流側に配置される管路が前記第1熱交換チューブをもって構成されるとともに、下流側に配置される管路が前記第2熱交換チューブをもって構成されてなるものを要旨としている。
【0009】
本発明の熱交換器においては、複数の熱交換管路のうち、ガス冷媒を多く含む冷媒が通過する上流側の管路を、熱交換効率が高い特有構成の第1熱交換チューブにより構成するとともに、液冷媒を多く含む冷媒が通過する下流側の管路を、通路抵抗が小さい第2熱交換チューブにより構成している。このため、ガス冷媒は、第1熱交換チューブを通って効率良く熱交換されるとともに、液冷媒は、第2熱交換チューブを抵抗なくスムーズに流通する。
【0010】
一方、本発明の熱交換器においては、第1熱交換チューブと、第2熱交換チューブとを以下のように配置することが可能である。
【0011】
すなわち、前記複数のパスのうち、最終パスに配置される熱交換管路を、前記第2熱交換チューブにより構成するとともに、最終パスを除く全てのパスに配置される熱交換管路を、前記第1熱交換チューブにより構成するものである。
【0012】
又は、前記複数のパスのうち、最終パスに配置される熱交換管路を、前記第1熱交換チューブと第2熱交換チューブとにより構成し、最終パスを除く全てのパスに配置される熱交換管路を、前記第1熱交換チューブにより構成するものである。更にこのように構成する場合、前記最終パスの熱交換管路のうち、最下流位置に配置される管路を、前記第2熱交換チューブにより構成するとともに、残りの管路を、前記第2熱交換チューブにより構成することが好ましい。
【0013】
更に本発明においては、最下流位置に配置される熱交換管路のみを前記第2熱交換チューブにより構成する場合、前記第2熱交換チューブとして、単位通路断面積が、前記第1熱交換チューブに対し、3〜10倍のものを用いるのが、より一層好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
図1はこの発明の第1の実施形態である熱交換器が適用されたカーエアコン用コンデンサを示す正面図である。同図に示すように、このコンデンサのコア(10)は、離間して対峙した左右一対の垂直方向に沿うヘッダー(11)(11)間に、水平方向に沿う複数の熱交換管路(20)が、それらの両端を両ヘッダー(11)(11)に連通接続した状態で、上下方向に所定の間隔おきに配置される。更に熱交換管路(20)の各間及び最外側の熱交換管路(20)の外側にはコルゲートフィン(12)が配置されるとともに、最外側のコルゲートフィン(12)の外側に帯板状のサイドプレート(13)が配置されている。
【0015】
また、左側ヘッダー(11)の周壁上端部には、冷媒入口ユニオン(14)が連結されるとともに、右側ヘッダー(11)の周壁下端部には、冷媒出口ユニオン(15)が連結されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、ヘッダー(11)(11)の内部には、複数の仕切部材(16)が設けられ、各仕切部材(16)により、ヘッダー(11)(11)の内部がそれぞれ仕切られることにより、上記複数の熱交換管路(20)が数本ずつに区分けされて、3つのパス(P1)〜(P3)が形成される。
【0017】
本実施形態において、上記パス(P1)〜(P3)のうち、第1及び第2パス(P1)(P2)に配置される熱交換管路(20)は、第1熱交換チューブ(20A)により構成されるとともに、最終パス(P3)に配置される熱交換管路(20)は、汎用の第2熱交換チューブ(20B)により構成される。
【0018】
図3ないし図5に示すように、第1熱交換チューブ(20A)は、幅広コ字状の扁平な上側部材(21)と、幅広コ字状の扁平な外壁部を有する下側部材(22)とを備え、下側部材(22)に上側部材(21)が対向状態に外嵌接合され、全体として幅寸法に比べて厚み寸法が小さい扁平矩形状の断面を有している。
【0019】
下側部材(22)の底壁には、チューブ長さ方向に沿って延びる複数の仕切壁(25)が、幅方向に間隔をおいて一体形成されており、各仕切壁(25)によりチューブ内が、幅方向に仕切られて、チューブ内に、チューブ長さ方向に延びる複数の冷媒通路(26)が、チューブ幅方向に並列状に複数設けられている。更に下側部材(22)における仕切壁(25)の上端部には、長さ方向に所定の間隔おきに、連通孔(27)を構成する切欠部が複数設けられ、隣り合う冷媒通路(26)同士が、連通孔(27)を介して互いに連通されている。
【0020】
また本実施形態において、最終パス(P3)を構成する第2熱交換チューブ(20B)としては、ハモニカチューブ等を称される周知の押出チューブが用いられている。図6に示すように、このチューブ(20B)は、チューブ長さ方向に延びる複数の冷媒通路(36)が設けられるのみで、隣り合う通路(36)(36)は、仕切壁(35)により仕切られている。
【0021】
なお、本発明においては、第2熱交換チューブ(20B)としては、周知のチューブを用いることができ、例えばチューブ内に仕切壁がなくて冷媒通路が1本のものや、断面が円形のものも使用することができる。要は上記第1熱交換チューブ(20A)よりも液冷媒流通時の通路抵抗が小さいものであれば、どのようなチューブでも、第2熱交換チューブとして使用することができる。
【0022】
以上の構成のコンデンサにおいて、図1及び図2に示すように、冷媒入口ユニオン(14)から左側ヘッダー(11)の上部に流入された冷媒は、各パス(P1)〜(P3)を順に通って熱交換器コア(10)内を蛇行しながら流通し、その間に冷媒は、外気との熱交換により、徐々に冷却されて凝縮液化され、冷媒出口ユニオン(15)から流出される。このとき、第1パス(P1)及び第2パスを通過する冷媒は、その多くがガス冷媒であり、また最終パス(P3)を通過する冷媒は、液冷媒が多くなる。具体的には、第1パス(P1)を通過する冷媒の乾き度は100〜70%程度、第2パス(P2)を通過する冷媒の乾き度は70〜40%程度、最終パスを通過する冷媒の乾き度は40〜0%程度となるのが通例である。
【0023】
ここで、本実施形態においては、第1及び第2パス(P1)(P2)に配置される熱交換管路(20)を、通路仕切壁(25)に連通孔(27)が設けられた第1熱交換チューブ(20A)により構成しているため、ガス冷媒が、連通孔(27)を通ってチューブ幅方向にも自在に行き来し、効率良く熱交換される。更に最終パス(P3)に配置される熱交換管路(20)を、通路仕切壁(35)に連通孔のない第2熱交換チューブ(20B)により構成しているため、液冷媒は、抵抗なくスムーズに流通する。
【0024】
このように本実施形態のコンデンサによれば、第1及び第2パス(P1)(P2)においては、ガス冷媒が、効率良く熱交換されるとともに、最終パス(P3)においては、液冷媒が、スムーズに流通するので、高い熱交換性能を得ることができる。
【0025】
<第2の実施形態>
図7はこの発明の第2の実施形態である熱交換器が適用されたカーエアコン用コンデンサを示す正面図である。同図に示すように、この熱交換器は、複数の熱交換管路(20)が4つのパス(P1)〜(P4)に区分けされる。そして最終パス(P4)に配置される熱交換管路(20)のうち、最も下流側(下端側)に配置される管路(20)が、丸パイプからなる第2熱交換チューブ(20C)により構成されるとともに、それ以外の全ての熱交換管路(20)が、上記の第1熱交換チューブ(20A)により構成されている。
【0026】
ここで、第2熱交換チューブ(20C)としては、その単位通路断面積が、第1熱交換チューブ(20A)よりも大きいものが使用されており、具体的には、第2熱交換チューブ(20C)として、その単位通路断面積が、第1熱交換チューブ(20A)の単位通路断面積に対し、3〜10倍程度のものを使用するのが好ましい。すなわち、第2熱交換チューブ(20C)の単位通路断面積が小さ過ぎる場合には、液冷媒をスムーズに流通させることが困難になる恐れがあり、逆に単位通路断面積が大き過ぎる場合には、それに見合う効果が得られない恐れがある。
【0027】
その他の構成は、上記第1の実施形態と同様であるため、同一又は相当部分に同一又は相当符号を付して、重複説明は省略する。
【0028】
図7及び図8に示すように、このコンデンサにおいて、冷媒入口ユニオン(14)から流入された冷媒は、各パス(P1)〜(P4)を順に通ってコア(10)内を蛇行状に流通し、その間に冷媒は、外気との熱交換により、徐々に冷却されて凝縮液化される。このとき、第1ないし第3パス(P1)〜(P3)を通過する冷媒は、ガス冷媒が多く、そのガス冷媒が、上記の第1熱交換チューブ(20A)を通過して、効率良く熱交換される。更に最終パス(P4)を通過する冷媒は、多くの液冷媒中にガス冷媒が混在するものであるが、本実施形態においては、最終パス(P4)の最下端位置に、通路断面の大きい第2熱交換チューブ(20C)を配置しているため、ガス冷媒は、第1熱交換チューブ(20A)を通過して、外気と効率良く熱交換されて液化され、冷媒出口ユニオン(15)に導かれる一方、液冷媒(RL)は、第2熱交換チューブ(20C)を抵抗なく通過して、スムーズに冷媒出口ユニオン(15)に導かれる。
【0029】
このように本実施形態のコンデンサによれば、ガス冷媒は第1熱交換チューブ(20A)を通って効率良く熱交換されるとともに、液冷媒(RL)は第2熱交換チューブ(20C)をスムーズに流通するので、高い熱交換性能を得ることができる。
【0030】
なお、上記第2の実施形態においては、最終パス(P4)の最下端位置の熱交換管路(20)を、丸パイプ製の第2熱交換チューブ(20C)により構成しているが、本発明はそれだけに限られず、図9に示すように、最終パスを、丸パイプからなる1本の第2熱交換チューブ(20C)により構成するとともに、それ以外の熱交換管路(20)を上記の第1熱交換チューブ(20A)により構成するようにしても良い。
【0031】
また、本発明においては、最終パスの熱交換管路のうち、2本以上の管路を第2熱交換チューブにより構成するとともに、残りの管路を第1熱交換チューブにより構成するようにしても良い。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明の熱交換器によれば、複数の熱交換管路のうち、ガス冷媒を多く含む冷媒が通過する上流側の管路を、隣り合う冷媒通路間の仕切壁に連通孔が設けられた第1熱交換チューブにより構成するとともに、液冷媒を多く含む冷媒が通過する下流側の管路を、通路抵抗が小さい第2熱交換チューブにより構成しているため、ガス冷媒は、第1熱交換チューブを通って効率良く熱交換されるとともに、液冷媒は、第2熱交換チューブを抵抗なく通過してスムーズに流通するので、熱交換性能を向上させることができるという効果がある。
【0033】
本発明においては、最終パスの熱交換管路を、第2熱交換チューブにより構成し、それ以外の熱交換管路を、第1熱交換チューブにより構成する場合、又は最終パスの熱交換管路を、第2熱交換チューブと第1熱交換チューブとより構成し、最終パス以外の熱交換管路を第1熱交換チューブにより構成する場合には、上記の効果を、より確実に得ることができるという利点がある。
【0034】
特に、最下流位置の熱交換管路を、第2熱交換チューブにより構成し、それ以外の熱交換管路を、第1熱交換チューブにより構成する場合には、上記の効果を、より確実に得ることができるという利点がある。
【0035】
更に本発明においては、第2熱交換チューブとして、特定の単位通路断面積を有するものを使用する場合、上記の効果を、より一層確実に得ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態である熱交換器が適用されたカーエアコン用コンデンサを示す正面図である。
【図2】第1実施形態のコンデンサにおける冷媒経路を示す正面図である。
【図3】第1実施形態のコンデンサに適用された第1熱交換チューブを分解して示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の能第1熱交換チューブを示す断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】第1実施形態のコンデンサに適用された第2熱交換チューブを示す断面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態である熱交換器が適用されたカーエアコン用コンデンサを示す正面図である。
【図8】第2実施形態のコンデンサにおける冷媒経路を示す正面図である。
【図9】この発明の第3の実施形態である熱交換器が適用されたカーエアコン用コンデンサの下部を示す正面図である。
【符号の説明】
10…熱交換器コア
11…ヘッダー
16…仕切部材
20…熱交換管路
20A…第1熱交換チューブ
20B、20C…第2熱交換チューブ
25…仕切壁
26…冷媒通路
27…連通孔
P1〜P4…パス

Claims (5)

  1. 互いに平行に離間して配置される一対のヘッダー間に、両端を両ヘッダーに連通接続する複数の熱交換管路が並列状に配置されて熱交換器コアが形成される一方、前記ヘッダーの内部に設けられた仕切部材により、前記複数の熱交換管路が複数のパスに区分けされ、冷媒が各パスを順に通って前記熱交換器コア内を蛇行状に流通するようにした熱交換器において、
    前記熱交換管路が、チューブ内にチューブ長さ方向に延び、かつチューブ幅方向に並列に配置された複数の冷媒通路が設けられるとともに、隣り合う冷媒通路間に配置される仕切壁に、隣り合う冷媒通路同士を連通する連通孔が形成された第1熱交換チューブと、前記第1熱交換チューブよりも通路抵抗が小さい第2熱交換チューブとを具備し、
    前記複数の熱交換管路のうち、上流側に配置される管路が前記第1熱交換チューブをもって構成されるとともに、下流側に配置される管路が前記第2熱交換チューブをもって構成され
    前記複数のパスのうち、最終パスに配置される熱交換管路が、前記第1熱交換チューブと第2熱交換チューブとにより構成されるとともに、
    最終パスを除く全てのパスに配置される熱交換管路が、前記第1熱交換チューブにより構成されてなることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記最終パスの熱交換管路のうち、最下端位置に配置される管路が、前記第2熱交換チューブをもって構成されるとともに、残りの管路が、前記第1熱交換チューブをもって構成されてなる請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記第2熱交換チューブが、前記第1熱交換チューブに対し、3〜10倍の単位通路断面積を有する請求項2に記載の熱交換器。
  4. 前記第2熱交換チューブは、チューブ長さ方向に延びる複数の冷媒通路が設けられるとともに、隣り合う通路が仕切壁によって仕切られたハモニカチューブによって構成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
  5. 前記第2熱交換チューブは、押出チューブによって構成される請求項4に記載の熱交換器。
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