JP4328233B2 - 強化繊維シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維シートの製造方法に関する。
近年、車両などの軽量化および高強度化を図るべく、バンパーやボンネット等の車両部品の補強材料として、多数のカーボン繊維の集合物である縦帯体と横帯体を縦横に織って構成されたカーボンクロスをマトリックス樹脂内に埋設させたものを用いる場合がある。
このようなカーボンクロスを用いた車両部品は、その特性からF1や自動車レース用車両に搭載されることが多く、縦帯体と横帯体を縦横に織ることによって構成される強化繊維の織り目模様は、特に車好きの若者の間においてその外観そのものに大きな価値がある。このため、そのような織り目模様が表面に疑似的に印刷されかつ裏面に接着剤層が設けられたドレスアップシートが市販されており、かかるシートを車両の内装又は外装部分に貼り付けて、ドレスアップを図る場合がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−44186号公報(第3頁)
しかしながら、織り目模様が疑似的に印刷されているだけのドレスアップシートでは、表面が平坦で本物のカーボンクロス独特の凹凸が出ていないため、重厚感がなく品粗な外観になるという欠点がある。
そこで、本物のカーボンクロスの表裏にラミネート加工などによって合成樹脂のシートを貼り合わせ、本物のカーボンクロスを有する強化繊維シートとして製造することが考えられる。しかしこの場合、カーボンクロスは上述のように多数のカーボン繊維を縦横に織って構成されていることから、合成樹脂のシートをその表裏に接着する際にカーボンクロスが局所的にほどけ、縦帯体または横帯体に蛇行や捩れが発生し、その織り目模様が乱れることがあった。このようなことから、上記のように製造された強化繊維シートは、美観が損なわれてしまい、ドレスアップシートとして適したものとは言えなかった。
本発明は、このような実情に鑑み、本物の強化繊維クロスを用いてもその織り目模様を乱すことなく、高い美観を有する強化繊維シートを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の強化繊維シートの製造方法は、次の工程(a)〜(d)を含んでいる。
(a)多数の強化繊維の集合物である縦帯体と横帯体を縦横に織ることによって構成されたクロス層の上面に、標準メッシュ数よりも粗いメッシュ数のスクリーンをセットする第一工程
(b)乾燥後において豊富な柔軟性を示すインキを前記スクリーン上に供給してスクリーン印刷を行うことにより、そのインキを前記クロス層に含浸させる第二工程
(c)そのインキが含浸されたクロス層を乾燥させてクロス芯材を作製する第三工程
(d)前記クロス芯材の表裏両面に透明でかつ延性を有するホットメルト樹脂製の接着シート材を重ね、さらにその外側に透明でかつ延性を有する合成樹脂製のシート材を重ね、熱プレスにより前記シート材とクロス芯材とを接着する第四工程
上記のように、縦帯体と横帯体とからなるクロス層に対して通常よりも粗いメッシュによるスクリーン印刷を行うと、クロス層に対するインキの塗布量が非常に多くなり、インキがクロス層を構成する強化繊維に十分に含浸した状態になる。このため、乾燥後のインキが接着媒体となって縦帯体および横帯体を構成する強化繊維同士を互いに接合し、クロス層がほどけるのを防止できる。さらに、同インキの柔軟性によってクロス層が常温でも十分に変形する変形性能が発現されるようになる。以上のようにしてクロス層がほどけることなく常温でも十分な変形能を有するクロス芯材を得ることができる。
さらに、上記で得られるクロス芯材の表裏両面に前記接着シート材と前記シート材とを重ねて、熱プレスを行う。このとき、前記クロス芯材と前記シート材との間に重ね合わされているホットメルト樹脂製の接着シート材が溶融し、前記クロス芯材と前記シート材とを強固に接着する。これにより、クロス芯材の変形性能を損なうことなくその表面にシート材を貼り合わせて一体とされた強化繊維シートを得ることができる。このとき、上述したように当該クロス芯材のクロス層を構成している強化繊維同士は互いに接合されており、前記シート材を接着する際にもクロス層がほどけることがない。従って、クロス層の織り目模様を蛇行や捩れによって乱すことなく、強化繊維シートを製造することができる。
上記の強化繊維シートの製造方法において、スクリーン印刷に用いるスクリーンは、標準メッシュ数(各インキについて最良の印刷結果が得られるものとしてインキメーカーが定めたスクリーンのメッシュ数)の1/3以下でかつ1/4以上の粗さのメッシュ数に設定することが好ましい。
その理由は、当該スクリーンのメッシュ数が標準メッシュ数の1/3を超えると、クロス層に対するインキの含浸量が不足し、縦帯体と横帯体の接合強度が弱くなってクロス層がほどけ易くなるからであり、また、標準メッシュ数の1/4未満になると、今度はクロス層に対するインキの含浸量が多くなり過ぎ、強化繊維の束が膨潤して縦帯体と横帯体の太さが不揃いになる恐れがあるからである。
なお、クロス層に対するインキの塗布及び乾燥のサイクルは、これを1回だけ行う場合でも比較的好適な結果が得られるが、これを2回以上(特に2回が好適である。)繰り返して行うようにすれば、クロス層を構成する強化繊維全体に対してインキをくまなく含浸させることができる。
また、上記の強化繊維の製造方法において、シート材は、その厚みが30〜80μmに設定されていることが好ましい。
この厚みが30μm以下であるとクロス芯材を外部環境から保護する能力が低くなり、当該強化繊維シートの寿命を低下させる恐れがあるからである。また、80μm以上であるとクロス層の織り目の凹凸が目立たなくなり外観の重厚感が損なわれるからである。
以上のように、本発明によれば、本物の強化繊維クロスを用いてもその織り目模様を乱すことなく、高い美観を有する強化繊維シートを製造することができる。
次に、本発明に係る強化繊維シートの製造方法の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。この製造方法を適用して得られる強化繊維シート1は、図3(b)に示すようにカーボン繊維等の強化繊維を主原料としたクロス芯材4と、このクロス芯材4の表面に接着層5を介して強固に貼り合わされた、透明でかつ延性を有する合成樹脂等からなる多延性シート材6と、から構成されている。そして、この強化繊維シート1の製造方法においては、前記クロス芯材4を作製する工程と、その後この作製したクロス芯材4に前記多延性シート材6を貼り合わせる工程とに大別することができる。
ここでまずクロス芯材4を作製する工程について説明する。図1は、このクロス芯材4の作製方法を示す斜視図である。
すなわち、かかるクロス芯材4を作製するには、まず、図1(a)に示すように、クロス芯材4を主構成するクロス層13の上面にスクリーン18を有する刷版19をセットし、図1(b)に示すように、乾燥後において豊富な柔軟性を示す繋ぎ剤としてのインキ20をスクリーン18上に供給してスクリーン印刷を行うことにより、そのインキ20をクロス層13に含浸させる。かかるスクリーン印刷で用いる刷版19は、このインキ20の標準使用規格よりも粗いメッシュのスクリーン18を具備している。
上記のクロス層13は、極細のカーボン繊維の束からなる縦帯体11と横帯体12とを綾織りすることによって構成されたカーボンクロスであり、図2(b)に示すように斜め方向に引張ると縦帯体11と横帯体12とが簡単にほどけるようになっている。上記の綾織りとは、帯体の一方が他方の帯体と交差するときに、その他方の帯体を2本以上ずつ一定間隔を保ちつつ乗り越えているような織り方を言い、図2に示すような織り目模様を呈する。この綾織りの場合、曲面に沿わせることが容易であること、およびこの綾織りのカーボンクロスが自動車レース車両用部品にも多用されていることから、当該強化繊維シート1に好適に用いることができる。また、このカーボンクロスは、自動車部品等の樹脂成形製品の材料として市販されているもので、例えば、東レ株式会社製の「トレカクロス」を例示することができる。
インキ20には、例えば帝国インキ製造株式会社製の商品名「セリコールSP2100AUクリヤー(別名、セリコールVKTインキのスクリーン印刷用オーバーコートクリヤー)」を用いており、その標準使用規格は180〜225メッシュ程度が適当とされているが、本実施形態では、刷版19のスクリーン18は、これらの標準使用規格の1/3以下の70メッシュ程度に設定してある。このように極めて目開きの粗いスクリーン18を用いることで、クロス層13の上にかなり多めのインキ20が供給される状態となり、その結果、十分な量のインキ20が確実にクロス層13の各繊維に含浸するようになる。
従って、上記のようにしてインキ20が十分に含浸されたクロス層13は、図2(a)に示すように、当該インキ20の乾燥後における接着性能によって縦帯体11および横帯体12を構成するカーボン繊維同士を互いに接合し、クロス層13がほどけるのを防止できる。また、この場合のインキ20は乾燥後において豊富な柔軟性を有することから、図2(b)に示すように、常温下においてクロス芯材4を斜めに方向に引っ張ると、縦帯体11と横帯体12が互いに傾斜して菱形状に変形するが、それらの接着状態は維持されたままであり、クロス層13がほどけて織り目模様が乱れることはない。
インキ20には「セリコールSP2100AUクリヤー」を用いたが、他に同社製の商品名「セリコールEGスクリーンインキ(別名、ポリエステル用グロスインキ)」等も使用しても良い。また、クロス層13を構成する縦帯体11及び横帯体12は極細のカーボン繊維の束よりなることから、クロス層13はそもそも水分を吸収し易い性質があり、このため、当該強化繊維シート1を後述するステッカー2として使用した場合に、ステッカー2の縁部から雨水が浸透して当該ステッカー2を膨潤させる恐れがある。そこで、上記繋ぎ剤に使用するインキは、クロス層13に撥水性を付与して製品の膨潤に伴う劣化を防止すべく、溶剤系の油性インキを使用するのが好ましく、或いは、油性インキに撥水シリコンを混合したものを使用することが更に好ましい。
なお、上記スクリーン印刷に用いるスクリーン18は、インキメーカーが定める標準メッシュ数の1/3以下でかつ1/4以上の粗さのメッシュ数に設定することが好ましい。その理由は、当該スクリーン18のメッシュ数が標準メッシュ数の1/3を超えると、クロス層13に対するインキの含浸量が不足し、縦帯体11と横帯体12の接合強度が弱くなってクロス層13がほどけ易くなるからである。
また、その反対に、スクリーン18のメッシュ数が標準メッシュ数の1/4未満になると、今度はクロス層13に対するインキの含浸量が多くなり過ぎ、強化繊維の束が膨潤して縦帯体11と横帯体12の太さが不揃いになる恐れがあるからである。
図7(a)は、このスクリーン印刷で使用するスクリーン印刷機22の一例を示している。この印刷機22は、中央部に刷版19のセット部23を有し、その上部をドクター24及びスキージ25が移動する構造になっている。なお、刷版19は、テトロン製のスクリーン18を具備している。
このインキ20の塗布後には、所定時間の養生を行ってインキ20の乾燥を待つ。この乾燥には、図1(c)に示すように、適宜の加熱装置26を用いて加熱を施すようにするとよい。図7(b)は、この加熱装置26の一例の外観を示したもので、熱風循環式の恒温槽(図示略)を内蔵したものとなっている。もっとも、この他の加熱方式のものを使用することも可能である。この場合の加熱温度は、30℃以上でかつ80℃以下とするのが好適である。その理由は、30℃に満たなかった場合には、インキ20が乾かないことがあり、80℃を超えると、溶剤成分が急速に抜けて波打ち現象が生じることがあるからである。インキ20が乾燥した後は、このインキ20を含浸させたクロス層13を再びスクリーン印刷機22にセットし、上記と同じ条件で、更に、乾燥後において豊富な柔軟性を有する同じインキ20の塗布を行うと共に、続いて、加熱装置26により、上記と同条件で同インキ20の乾燥を行う。
このように、柔軟性に優れた同じインキ20の塗布及び乾燥サイクルを2回繰り返すことで、クロス層13に対するインキ20の含浸がより確実となり、インキ20が乾燥した後のクロス芯材4の柔軟性を向上させることができる。なお、クロス層13に対するインキ20の塗布及び乾燥サイクルを2回繰り返す場合には、そのサイクルを表裏で1回ずつ行うようにすれば、表裏いずれか一方側からインキ20の塗布を繰り返す場合に比べてクロス層13に対するインキ20の含浸が更に確実となり、より好ましい。
上記のように作製されたクロス芯材4は、図3(a)に示すように、多数の強化繊維の集合体である縦帯体11と横帯体12とを縦横に織ってなるクロス層13に、繋ぎ剤としてのインキ20がその全厚に渡って含浸し、そのうえで更にクロス層13の表裏両面側へ盛り上がる状態となっている。すなわち、クロス芯材4の表面には、インキ20を盛り上がる様に塗布することによって繋ぎ補強層14が形成されている。もっとも、実際の繋ぎ補強層14は、表面側への盛り上がり量が図示できない程度に極めて小さいか、そのような盛り上がりが認められない場合もある。
次に、上記方法で作製されたクロス芯材4に前記多延性シート材6を貼り合わせる工程について説明する。この工程は複数のシート状の素材を貼り合わせることから、所謂ラミネート加工の一種であると言える。図3はクロス芯材4に前記多延性シート材6を貼り合わせる工程を模式的に示している。
かかる手順としては、クロス芯材4の表裏両面に透明でかつ延性を有するホットメルト樹脂製の接着シート材5を重ね、さらにその外側に透明でかつ延性を有する合成樹脂製の多延性シート材6を重ね、熱プレスにより前記多延性シート材6とクロス芯材4の繋ぎ補強層14とを接着する。
このクロス芯材4に重ねられる多延性シート材6と接着シート材5とには、透明でかつ延性を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂シートを用いている。この熱可塑性ポリウレタン樹脂(以下、ウレタン樹脂ともいう)は、常温で高い柔軟性を有しているので、例えば自動車ボディ等、曲率半径の緩いカーブ面に柔軟に追従させることができる。また、本実施形態で用いたウレタン樹脂は、共に無黄変性を有し、耐候性、耐加水分解性の高いものを使用している。このため、当該強化繊維シート1を自動車ボディ等の外装に使用したとしても長期に渡って劣化することがなく、また、クロス芯材4を外部環境から保護し、製品寿命を増大させることができる。
また、上記の接着シート材5には、ウレタン樹脂の中でもその融点が比較的低い温度(約100℃)であり主に熱溶融接着シートとして用いられる所謂ホットメルト樹脂を採用した。一方、上記多延性シート材6に用いるウレタン樹脂は、その融点が比較的高い温度(約160℃)であるものを用いている。また、本実施形態では、多延性シート材6、接着シート材5の厚みは共に50μmに設定した。
そして、これらを図3(a)に示すように重ね合わせた後、例えば熱プレス機を用い、約110℃に加熱しつつ表裏から圧力を加える。このとき、多延性シート材6は、その融点以下の温度で保持されているので溶融しない。一方、接着シート材5は、その融点以上の温度で保持されているのでクロス芯材4と多延性シート材6との間で溶融し、両者を貼り合わせる接着剤として作用する。そして、加熱しつつ加圧する状態を約30分保持した後、常温まで冷却すると、溶融していた接着シート材5は再凝固し、図3(b)に示すように、クロス芯材4の繋ぎ補強層14と多延性シート材6とを強固に接着する接着層5aとなる。この接着層5aは溶融前の接着シート材5と同様の延性を有しているので、クロス芯材4と多延性シート材6とをその変形性能を損なうことなく強固に貼り合わせることができる。このようにしてクロス芯材4に多延性シート材6を貼り合わせることで強化繊維シート1が得られる。
このとき、クロス芯材4のクロス層13を構成しているカーボン繊維同士は上述したように互いに接合されており、熱プレスによって多延性シート材6を接着した場合にもクロス層13がほどけることがない。よって、クロス層13の織り目模様を蛇行や捩れにより乱すことがなく、高い美観を有する強化繊維シート1を製造することができる。また、クロス芯材4と多延性シート材6とは熱プレス機により加熱しながらプレスされるので、高い密着度で貼り合わされ、その外観からは多延性シート材6の存在が目立たなくなる。よって外観上はあたかもカーボンクロスのみで構成されているかのような質感の高い強化繊維シート1とすることができる。
またプレス芯材4の表裏両面に多延性シート材6を貼り合わせることにより、強化繊維シート1の外観を良好に保つとともに熱プレスの作業性を向上させることができる。多延性シート材6を一方面側のみに貼り合わせて熱プレスを行うと、他方面側はクロス芯材4が直接熱プレス機に接触するため、インク20が熱プレス機に染み出すことがあり、強化繊維シート1の外観を悪化させるだけでなく、著しくその作業性をも悪化させてしまうからである。
図8は、クロス芯材4と多延性シート材6とを貼り合わせるための熱プレス機の一例の外観を示している。この熱プレス機30は、平板31の上面に当該重ね合わせたシート材をセットし、上蓋32を閉じた後、加熱および加圧するものである。また、熱プレス機は上記のようなものに限定されず、ロールプレス機等を用いることもできる。
本実施形態では、熱プレスの条件は上述したように加熱温度を110℃、保持時間を30分と設定することで好適な結果が得られた。この熱プレスの条件は、接着シート材5および多延性シート材6に用いる合成樹脂の種類やその厚み等により好適な値が異なってくるが、保持時間は、15分〜40分が好ましい。この時間が15分以下であると接着シート材5の溶融が不十分となり接着強度が不足する恐れがある。また、40分以上であると接着シート材5の溶融が進みすぎ、強化繊維シート1の外観を損ねる恐れがあるからである。
また、本実施形態の多延性シート材6の厚みは、50μmに設定したが、30〜80μmの範囲で設定することが好ましい。この厚みが30μm以下であるとクロス芯材4を外部環境から保護する能力が低くなり、当該強化繊維シート1の寿命を低下させる恐れがあるからである。また、80μm以上であるとクロス層13の織り目の凹凸が目立たなくなり外観の重厚感が損なわれるからである。接着シート材5の厚みも50μmに設定したが、30〜80μmの範囲で設定することが好ましい。この厚みが30μm以下であると接着層5aの厚みが不十分となり、接着強度が不足する恐れがある。また80μm以上であると接着層5aの厚みが厚くなり、クロス層13の織り目の凹凸が目立たなくなり強化繊維シート1外観の重厚感が損なわれるからである。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、クロス層13を構成する強化繊維は、ガラス繊維やケブラー繊維等のカーボン繊維以外のものを使用することができる。また、同クロス層13は、縦帯体11と横帯体12とを綾織りにしたものだけでなく、それらを平織りにしたものを採用することにしてもよい。また、本実施形態では、接着シート材5としてのホットメルト樹脂にウレタン樹脂を用いたが、例えば、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂からなるホットメルト樹脂を用いても良い。また同様に、多延性シート材6にはウレタン樹脂を用いたが、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂からなるシート材を用いても良い。
上記のようにして製造された強化繊維シート1は、本物の強化繊維クロスをが用いられているとともに高い美観を有し、非加熱で比較的自由に変形させることができるので、例えば図4〜6に示すドレスアップシートの原料シートとして利用される。図4は、本発明に係る強化繊維シートの製造方法により得られた強化繊維シート1を用いてステッカーとして構成した一例を示している。このように、強化繊維シート1は、その一方の表面側に粘着性の接着剤層7を塗布し、この接着剤層7の裏面に剥離シート8を貼り合わせることにより、車両の内装又は外装部分等に後付け的に貼り付けて使用するドレスアップシートとしてのステッカー2として利用することができる。
図5は、上記ステッカー2を自動車の外装部分に貼り付けた態様を示している。図中、自動車40のBピラー(前席ドアガラスと後席ドアガラスとの間に位置する屋根とボディをつなぐ支柱)外部41、42とCピラー(後席ドアガラスと後部クォータガラスとの間に位置する屋根とボディをつなぐ支柱)外部43とにステッカー2が貼り付けられている。このように、このステッカー2によって本物のカーボンクロスの織り目模様によるドレスアップを簡単に実現することができる。また、このステッカー2は、あらかじめ自動車40のBピラー外部41、42とCピラー外部43の形状に一致するように裁断されているので容易かつ美麗にステッカー2を貼り付けることができ、その商品価値を高めることができる。
また、このステッカー2は、車両の外装又は内装部分だけでなく、ノートパソコン等の電子機器や置物類等の家庭用品といったあらゆる品物に貼り付けて使用することができる。
また、図6に示すように、強化繊維シート1は、その一方の表面側に、図示しない接着剤又は縫製等の結合手段を介して発泡樹脂等よりなるクッション層9を設けることにより、車両の座席のドレスアップシートとしての外皮3として使用することもできる。
なお、上記クロス芯材4は、マトリックス樹脂内に埋設することによって成型製品の補強材料として使用することができ、この場合には、多延性シート材6を貼り合わせる必要はなく、クロス芯材4だけで強化繊維シート1が構成される。
以上説明したように、本発明によれば、強化繊維クロスを埋め込んだ成形製品を、高品質に製造することができる。
クロス芯材の作製工程を示す斜視図である。 クロス芯材の一部を拡大した平面図であり、(a)は変形前の通常状態、(b)は斜め方向に引張った後の変形状態を示す。 クロス芯材に多延性シート材を貼り合わせる工程を模式的に示す断面図である。 ステッカー(ドレスアップシート)の内部構造を模式的に示す断面図である。 ステッカーを自動車の外装部分に貼り付けた状態を示す外観図である。 外皮(ドレスアップシート)の内部構造を模式的に示す断面図である。 (a)はスクリーン印刷機の一例を示す側面図であり、(b)は加熱装置の一例を示す正面図である。 熱プレス機の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 強化繊維シート
4 クロス芯材
5 接着シート材
6 多延性シート材(シート材)
11 縦帯体
12 横帯体
13 クロス層
18 スクリーン
20 インキ

Claims (4)

  1. 次の工程(a)〜(d)を含む強化繊維シートの製造方法。
    (a)多数の強化繊維の集合物である縦帯体(11)と横帯体(12)を縦横に織ることによって構成されたクロス層(13)の上面に、標準メッシュ数よりも粗いメッシュ数のスクリーン(18)をセットする第一工程
    (b)乾燥後において豊富な柔軟性を示すインキ(20)を前記スクリーン(18)上に供給してスクリーン印刷を行うことにより、そのインキ(20)を前記クロス層(13)に含浸させる第二工程
    (c)そのインキ(20)が含浸されたクロス層(13)を乾燥させてクロス芯材(4)を作製する第三工程
    (d)前記クロス芯材(4)の表裏両面に透明でかつ延性を有するホットメルト樹脂製の接着シート材(5)を重ね、さらにその外側に透明でかつ延性を有する合成樹脂製のシート材(6)を重ね、熱プレスにより前記シート材(6)とクロス芯材(4)とを接着する第四工程
  2. 第二工程のスクリーン印刷に用いるスクリーン(18)は、標準メッシュ数の1/3以下でかつ1/4以上の粗さのメッシュ数に設定されている請求項1に記載の強化繊維シートの製造方法。
  3. クロス層(13)に対するインキ(20)の塗布及び乾燥を2回以上繰り返す請求項1もしくは2に記載の強化繊維シートの製造方法。
  4. シート材(6)は、その厚みが30〜80μmに設定されている請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊維シートの製造方法。
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