JP4326536B2 - 騒音制御装置 - Google Patents
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Description
しかるに、従来の技術は、振動板の一方に生じる音波のみを利用するものであり、振動板の他方に生じる音波、即ちバックキャビティに生じる音波は利用されておらず、バックキャビティ内に配置れた吸音材等によって熱等に変換されて無駄に喪失されてしまう。
また、バックキャビティに生じた音波が外部に漏れて、新たな騒音源となる不具合を回避するために、バックキャビティを形成するための容器(以下、サイレンサ)の消音性能および遮音性能を上げる必要があり、サイレンサの体格が大型化し、重量が重くなってしまう。
請求項1の手段を採用する騒音制御装置は、メイン音圧発生室から吸気通路に与えられるメイン音波と、バックキャビティからバックキャビティ排出通路を通って吸気通路に与えられるサブ音波との合成波によって、吸気騒音を抑制する。
即ち、振動板の一方に生じる音波(メイン音圧発生室に生じる音波)とともに、振動板の他方に生じる音波(バックキャビティに生じる音波)も利用して、吸気騒音を抑制することができる。
このように、バックキャビティに生じる音波が利用できるため、振動板を往復駆動する振動板駆動手段の消費エネルギーを抑えることができる。
また、バックキャビティに生じる音波(音エネルギー)が、吸気騒音の抑制に利用されて消費されるため、サイレンサに求められる消音性能および遮音性能を下げることができ、サイレンサの小型、軽量化を図ることができる。
一方、請求項1の手段を採用する騒音制御装置が発生する音波は、メイン音波とサブ音波の「合成波」であり、この「合成波」は吸気騒音に対して逆位相のものである。
メイン音波は、メイン音圧発生室から直接的に吸気通路内に与えられる音波であり、サブ音波は、バックキャビティ排出通路の通路抵抗と、排出側一方向弁のセット荷重の影響を受ける音波である。このため、両者の「合成波」には、吸気騒音と同様に、「爆発1次の周波数(吸気騒音に対して逆位相)」の他に、「爆発1次の周波数の倍数の周波数(吸気騒音に対して逆位相)」が現れる。
このように、請求項1の手段を採用する騒音制御装置は、「爆発1次の周波数(逆位相)」の他に、「爆発1次の周波数の倍数の周波数(逆位相)」を発生するため、吸気騒音を成す「爆発1次の周波数」と「爆発1次の周波数の倍数の周波数」を打ち消すことができる。
即ち、請求項1の手段を採用する騒音制御装置は、吸気騒音を広い周波数域において低減することができる。
吸気騒音は、「爆発1次の周波数」と「爆発1次の周波数の倍数の周波数」との合成波である。
一方、吸気騒音を打ち消す音波は、メイン音波とサブ音波の合成波であるため、メイン音波とサブ音波の合成具合が変化すると、合成波中に生じる倍数の周波数の現れ方が変化する。
これによって、バックキャビティ排出通路の通路抵抗を調整することができる。
このようにバックキャビティ排出通路の通路抵抗を調整することにより、「バックキャビティ排出通路の通路抵抗」と「排出側一方向弁のセット荷重」で変化する「メイン音波とサブ音波の合成波中に生じる倍数の周波数」を可変調整することができるようになり、吸気騒音を効率よく抑制することが可能になる。
請求項3の手段を採用する騒音制御装置のバックキャビティ吸込通路は、気化燃料を吸着保持するキャニスタ、あるいはオイルミストセパレータを介したクランクケースの少なくても一方に接続される。
振動板が振動すると、バックキャビティ吸込通路、バックキャビティ、バックキャビティ排出通路がエアポンプの作動を行う。このため、キャニスタに保持された気化燃料、あるいはクランクケース内のブローバイガスが、バックキャビティを介して吸気通路に導かれる。
このため、エンジンがポンプロスの低減のために低負圧化されたとしても、キャニスタに保持された気化燃料や、クランクケース内のブローバイガスを、吸気通路へ導くことができる。
上記請求項3を採用する場合、キャニスタに保持された気化燃料(HC混合気)や、クランクケース内のブローバイガス(HC混合気)は、バックキャビティ排出通路の開度調整バルブを通って吸気通路に導かれる。このように、HC混合気が吸気通路に導かれる場合、吸気通路に導かれるHC混合気の濃度が変化するとエンジン燃焼室の空燃比が変化してしまう。
バルブの前後差圧は、バルブを通過する流体の密度に比例する。このため、開度調整バルブの差圧を検出することにより、バックキャビティ排出通路から吸気通路に導かれるHC混合気の濃度を検出することが可能になる。これによって、吸気通路に導かれるHC混合気の濃度に基づいて、インジェクタから噴射する噴射量を補正することが可能になり、空燃比を高精度に制御することができる。
請求項5の手段を採用する騒音制御装置の振動板駆動手段は、ピエゾ素子を用いたピエゾアクチュエータである。
ピエゾアクチュエータは、ピエゾ素子の駆動電圧が高いものの、消費電力を低く抑えることができる。
請求項6の手段を採用する騒音制御装置の振動板駆動手段は、油圧の切替により可動する油圧アクチュエータである。
エンジンを搭載する車両は、油圧源となるオイルポンプを搭載しているため、そのオイルポンプの吐出する油圧によって振動板を駆動することができる。
なお、油圧が所定圧より高い場合にだけ油圧アクチュエータを作動させるように設けることにより、オイルポンプの能力を既存のまま適用することができる。また、無駄になる油圧を利用することにより、振動板を駆動するための消費エネルギーを抑えることができる。
請求項7の手段を採用する騒音制御装置の振動板駆動手段は、エンジンの回転によって機械的に駆動されるメカニカル駆動機構である。
吸気騒音の主成分である「爆発1次の周波数」は燃焼に伴う音成分であるため、吸気騒音を打ち消す音波(爆発1次の周波数に対して逆位相の周波数)は、エンジンのクランク角度に対応している。このため、エンジンの回転によって振動板を機械的に駆動して、振動板によって吸気騒音を打ち消すことができる。
エンジンの回転によって振動板を駆動するものであるため、車両に新たなアクチュエータを追加搭載する必要がない。
請求項8の手段を採用する騒音制御装置の振動板駆動手段は、振幅を増幅して振動板に伝える増幅機構を備える。
これにより、ピエゾアクチュエータ、油圧アクチュエータあるいはメカニカル駆動機構で発生する振幅が小さくても、その振幅を増幅することで、吸気騒音を打ち消すだけの音圧を得ることができる。
この騒音制御装置は、振動によって音波を発生させる振動板と、この振動板を往復駆動する振動板駆動手段と、吸気通路に連通するメイン音圧発生室と密閉されたバックキャビティとが振動板によって区画されるサイレンサと、バックキャビティとこのバックキャビティの外部とを連通し、バックキャビティの外部からバックキャビティに向かってのみ空気を通す吸込側一方向弁が設けられたバックキャビティ吸込通路と、バックキャビティと吸気通路とを連通し、バックキャビティから吸気通路に向かってのみ空気を通す排出側一方向弁が設けられたバックキャビティ排出通路とを備える。
そして、メイン音圧発生室から吸気通路に与えられるメイン音波と、バックキャビティからバックキャビティ排出通路を通って吸気通路に与えられるサブ音波との合成波によって、吸気騒音を抑制するものである。
(エンジン1の説明)
騒音制御装置が搭載されるエンジン1は、各気筒毎に混合気の吸入、圧縮、爆発、排気からなるサイクルを繰り返す周知のものであり、吸気管2を備える。
吸気管2は、空気の吸込口から各気筒内のエンジン燃焼室1aに燃焼用の空気を導く管であり、吸込口側から下流側(エンジン燃焼室1a側)に向かって、空気濾過用のエアフィルタ3が配置されたエアクリーナ4、および吸気量を調整するスロットル弁5等が設けられている。なお、図1中に示す符号6は、カムカバー7内のブローバイガス(HC混合気)を、エアクリーナ4におけるエアフィルタ3の下流側(クリーンサイド)に導くリターンパイプである。
以下において、騒音制御装置を複数の特徴毎に説明する。
先ず、騒音制御装置の基本構成を成す「第1の特徴」を説明する。
騒音制御装置は、吸気管2内(吸気通路)に生じる音波と逆位相の音波を発生させて、吸気騒音を抑制するものであり、(a)振動によって音波を発生させる振動板11と、(b)この振動板11を往復駆動する振動板駆動手段12と、(c)吸気管2内に連通するメイン音圧発生室13と密閉されたバックキャビティ14とが振動板11によって区画されるサイレンサ15と、(d)バックキャビティ14と外部とを連通し、外部からバックキャビティ14に向かってのみ空気を通す吸込側一方向弁16が設けられたバックキャビティ吸込通路17と、(e)バックキャビティ14と吸気管2内とを連通し、バックキャビティ14から吸気管2内に向かってのみ空気を通す排出側一方向弁18が設けられたバックキャビティ排出通路19と、(f)振動板駆動手段12の作動を制御する制御装置(図示しない)とを備える。
以下において、上記(a)〜(f)を個別に説明する。
振動板11は、サイレンサ15内においてメイン音圧発生室13とバックキャビティ14とを区画した状態を維持したまま往復移動可能に支持される。振動板11は、上述したように、振動板駆動手段12によって往復駆動される。振動板11がメイン音圧発生室13側に移動することで、メイン音圧発生室13が圧縮され、バックキャビティ14が拡張される。逆に、振動板11がバックキャビティ14側に移動することで、メイン音圧発生室13が拡張され、バックキャビティ14が圧縮される。即ち、振動板11が振動板駆動手段12により音波周波数で往復駆動されることで、メイン音圧発生室13およびバックキャビティ14のそれぞれに音圧波が発生する。
振動板駆動手段12は、ピエゾ素子(圧電素子:図示しない)を用いたピエゾアクチュエータ21と、このピエゾアクチュエータ21の発生した振幅を増幅して振動板11に伝える増幅機構22とからなる。
ピエゾアクチュエータ21は、充電と放電を行うことでピエゾ素子が変形あるいは膨張と収縮を行うことを利用して変位量を出力させる周知な電動アクチュエータの一例であり、制御装置によって充放電制御される。
具体的に、この実施例のピエゾアクチュエータ21は、ピエゾ素子を多数積層したものであり、充放電によりピエゾアクチュエータ21の伸縮量が変化するものである。
増幅機構22は、ピエゾアクチュエータ21の伸縮量を拡大して振動板11に伝える変位拡大手段を採用している。具体的に、増幅機構22は、大径室23と小径室24を成して油で満たされた油室と、大径室23の容積を可変可能なピストン25と、このピストン25をピエゾアクチュエータ21の変位方向に押し付けるリターンスプリング26とから構成されている。小径室24には、振動板11と一体に移動するシャフト27が差し込まれており、小径室24の容積が変化することで、振動板11が駆動される。なお、油室の油は、図示しないシール材等により油室の外部に漏れないように封入されている。
制御装置によりピエゾアクチュエータ21のピエゾ素子が充電されると、ピエゾアクチュエータ21が伸長してピストン25が大径室23の容積を縮小する側へ移動する。すると、大径室23と小径室24の径比により、ピエゾアクチュエータ21の伸長量が増幅されて振動板11に伝わり、振動板11がメイン音圧発生室13側に移動する。
逆に、制御装置によりピエゾアクチュエータ21のピエゾ素子が放電されると、リターンスプリング26の付勢力によりピエゾアクチュエータ21が収縮するとともに、ピストン25が大径室23の容積を拡大する側へ移動する。すると、大径室23と小径室24の径比により、ピエゾアクチュエータ21の収縮量が増幅されて振動板11に伝わり、振動板11がバックキャビティ14側に移動する。
サイレンサ15は、内部において上述した振動板11が往復駆動される容器であり、振動板11によって区画されたメイン音圧発生室13が、エアクリーナ4内のクリーンサイドに、直接あるいはダクト等を介して連通する。
なお、この実施例では、サイレンサ15のメイン音圧発生室13を、エアクリーナ4内のクリーンサイドに連通させる例を示すが、吸気騒音の出口となる吸気管2の吸込口側に連通させるなど、吸気管2内であればどこに連通させても良い。
バックキャビティ吸込通路17は、バックキャビティ14が負圧になった時(振動板11がメイン音圧発生室13側に移動して、バックキャビティ14が拡張された時)に、外部(後述するキャニスタ31内、オイルミストセパレータ35を介したクランクケース33内)からバックキャビティ14内に空気(後述するHC混合気)を導くためのパイプである。
バックキャビティ排出通路19は、バックキャビティ14が正圧になった時に、バックキャビティ14内で圧縮された空気を、エアクリーナ4内のクリーンサイドに導くパイプである。
バックキャビティ排出通路19の出口開口は、メイン音圧発生室13と吸気管2の連通部の近傍に開口するものであり、メイン音圧発生室13から吸気管2内に与えられるメイン音波と、バックキャビティ14からバックキャビティ排出通路19を通って吸気管2内に与えられるサブ音波とが、吸気管2内で合成されるようになっている。
制御装置は、振動板駆動手段12のピエゾアクチュエータ21を充放電制御するものであり、ピエゾアクチュエータ21の充放電量・充放電サイクル・充放電タイミングをエンジン1の運転状態に応じて制御することで、吸気管2内に発生するメイン音波とサブ音波の「合成波」の音圧・周波数・位相を制御するものである。
ここで、「吸気騒音」は、「爆発1次の周波数の音波」と「爆発1次の周波数の倍数の周波数の音波」とからなる。
吸気管2内に生じる「吸気騒音」のうちの「爆発1次の周波数の音波」は、エンジン回転数に関わるものであり、「爆発1次の周波数の位相」は、吸気バルブ1bの開弁タイミングに関わる。
一方、騒音制御装置が発生するメイン音波とサブ音波の「合成波」は、制御装置がピエゾアクチュエータ21に与える充放電信号に基づき発生する。
具体的に、制御装置は、エンジンECU(図示しない)から与えられる「クランク角回転信号」に基づいてピエゾアクチュエータ21の充放電を制御するものである。
さらに具体的に制御装置は、サイレンサ15と吸気管2の連通部位(吸気騒音を打消す部位)と、エンジン回転数による位相遅れのマップを参照して、ピエゾアクチュエータ21の充放電時期を補正し、吸気管2内に生じる「吸気騒音」のうちの「爆発1次の周波数の音波」に対して逆位相の「合成波」を吸気管2内に発生させる。
吸気管2内に生じる「爆発1次の周波数の音波」に対し、「合成波」が逆位相で発生していれば、エアクリーナ4のクリーンサイド(サイレンサ15と吸気管2の連通部位)において、吸気騒音となる圧力脈動が低減する。しかるに、「爆発1次の周波数の音波」に対して「合成波」が逆位相からズレた状態では、圧力脈動の低減効果が弱まる。
制御装置は、この作用を利用して「合成波」の発生時期を修正するものであり、制御装置は、エアクリーナ4のクリーンサイドの圧力脈動を検出するための圧力センサ28が接続されている。そして、制御装置は、圧力センサ28によって検出される圧力脈動が、予め設定されたエンジン運転状態に対する目標レベルより大きい場合(圧力脈動が大)に、圧力センサ28によって検出される圧力脈動が最小となるように、ピエゾアクチュエータ21の充放電時期を修正するものである。
本実施例の騒音制御装置は、上述したように、メイン音圧発生室13から吸気管2内に与えられるメイン音波と、バックキャビティ14からバックキャビティ排出通路19を通って吸気管2内に与えられるサブ音波との「合成波」によって、吸気騒音を抑制する。即ち、振動板11の一方に生じる音波(メイン音圧発生室13に生じる音波)とともに、振動板11の他方に生じる音波(バックキャビティ14に生じる音波)も利用して、吸気騒音を抑制する。
このように、メイン音圧発生室13からだけでなく、バックキャビティ14で生じた音波をも利用することができるため、振動板11を往復駆動する振動板駆動手段12の消費エネルギーを抑えることができる。
また、バックキャビティ14に生じる音波(音エネルギー)が、吸気騒音の抑制に利用されて消費されるため、バックキャビティ14を構成するサイレンサ15に求められる消音性能および遮音性能を下げることができ、サイレンサ15の小型、軽量化を図ることができる。
吸気管2内に生じる「吸気騒音」は、上述したように、「爆発1次の周波数(基音)」と「爆発1次の周波数の倍数の周波数」とからなる。
一方、本実施例の騒音制御装置が発生する音波は、メイン音波とサブ音波の「合成波」であり、この「合成波」は吸気騒音に対して逆位相のものである。
メイン音波は、メイン音圧発生室13から直接的に吸気管2内に与えられる音波であり、サブ音波は、バックキャビティ排出通路19の通路抵抗と、排出側一方向弁18のセット荷重の影響を受ける音波である。このようにして生成される「合成波」には、吸気騒音と同様に、「爆発1次の周波数(吸気騒音に対して逆位相)」の他に、「爆発1次の周波数の倍数の周波数(吸気騒音に対して逆位相)」が現れる。
このように、本実施例の騒音制御装置は、「爆発1次の周波数(逆位相)」の他に、「爆発1次の周波数の倍数の周波数(逆位相)」を発生するため、吸気騒音を成す「爆発1次の周波数」と「爆発1次の周波数の倍数の周波数」を打ち消すことができる。即ち、騒音制御装置によって、吸気騒音を広い周波数域において低減することができる。
上述したように、本実施例の騒音制御装置の発生する「合成波」には、「爆発1次の周波数(逆位相)」の他に、「爆発1次の周波数の倍数の周波数(逆位相)」が含まれる。 合成波の一方のメイン音波は、メイン音圧発生室13から直接的に吸気管2内に与えられる音波であり、合成波の他方のサブ音波は、バックキャビティ排出通路19の通路抵抗と、排出側一方向弁18のセット荷重の影響を受ける音波である。
ここで、バックキャビティ排出通路19の通路抵抗、または排出側一方向弁18のセット荷重の少なくても一方を変化させると、サブ音波の発生具合が変化する。そして、サブ音波の発生具合を変化させることで、「爆発1次の周波数の倍数の周波数(逆位相)」の現れ方を変化させることができる。
図2(a)は、排出側一方向弁18のセット荷重を高めて、メイン音波Aに対してサブ音波Bの位相を45°遅らせた例である。このように設定すると、合成波Cには、図2(a’)に示すように、「爆発1次の周波数」と、「爆発1次の周波数の整数倍の周波数」が現れる。
図2(b)は、排出側一方向弁18のセット荷重をほぼ0(ゼロ)にして、メイン音波Aに対してサブ音波Bの位相を135°遅らせた例である。このように設定すると、合成波Cには、図2(b’)に示すように、「爆発1次の周波数」と、「爆発1次の周波数の偶数倍の周波数」が現れる。
具体的に、この実施例の騒音制御装置は、サブ音波の発生具合を変化させて、「爆発1次の周波数の整数倍の周波数(逆位相)」の現れ方を変化させる手段として、バックキャビティ排出通路19の開度調整を行うことで、バックキャビティ排出通路19の通路抵抗を変化させる開度調整バルブ29を備えている。
本実施例の騒音制御装置のバックキャビティ吸込通路17は、燃料タンク(図示しない)の気化燃料を保持するキャニスタ31内と、キャニスタ出口パイプ(エバポライン)32を介して連通するとともに、エンジン燃焼室1aからブローバイガスが漏れ出るクランクケース33内とクランクケース接続パイプ(ブローバイライン)34を介して連通する。なお、クランクケース接続パイプ34には、ブローバイガス中に含まれるオイルミストを分離するオイルミストセパレータ35が設けられている。
このため、エンジン1がポンプロスの低減のために低負圧化されても、キャニスタ31に保持された気化燃料(HC混合気)や、クランクケース33内のブローバイガス(HC混合気)を、吸気管2へ導くことができる。このため、エンジン燃焼室1aからクランクケース33内に吹き抜けてくるブローバイガスが大気中に放出されたり、ブローバイガスがエンジンオイルを劣化させる不具合を回避できる。
本実施例の騒音制御装置は、キャニスタ31に保持された気化燃料(HC混合気)と、クランクケース33内のブローバイガス(HC混合気)とが、バックキャビティ排出通路19に設けられた開度調整バルブ29を通って吸気管2内に導かれる。
ここで、HC混合気が吸気管2内に導かれると、HC混合気の濃度変化により、エンジン燃焼室1a内の空燃比が変化してしまう。
バルブの前後差圧は、バルブを通過する流体の密度に比例する。このため、開度調整バルブ29の差圧を検出することにより、バックキャビティ排出通路19から吸気管2内に導かれるHC混合気の濃度を検出することができる。エンジンECUは、差圧センサ36によって検出される差圧から、吸気管2内に導かれるHC混合気の濃度を算出し、算出したHC濃度に基づいて、インジェクタから噴射する噴射量を補正することにより、空燃比を高精度に制御することができる。
本実施例の騒音制御装置は、上述したように、振動板駆動手段12の駆動源としてピエゾアクチュエータ21を用いたものである。
ピエゾアクチュエータ21は、ピエゾ素子の駆動電圧が高いものの、消費電力を低く抑えることができる。これによって、騒音制御装置の消費電力を抑えることができる。即ち、少ない消費電力で吸気騒音を下げることができる。
本実施例の騒音制御装置における振動板駆動手段12は、上述したように、ピエゾアクチュエータ21の出力(振幅)を増幅して振動板11に伝える増幅機構22を備える。
これにより、ピエゾアクチュエータ21の伸縮量が少量であっても、その伸縮量(振幅)を増幅することで、吸気騒音を打ち消すだけの音圧を得ることができる。
上記の実施例では、振動板駆動手段12の駆動源としてピエゾアクチュエータ21を用いる例を示したが、他の振動発生装置を用いても良い。
具体的な一例を示すと、振動板駆動手段12の駆動源として、油圧の切替により可動する油圧アクチュエータを用いても良い。
車両は、油圧源となるオイルポンプを搭載している。このため、そのオイルポンプの吐出する油圧によって振動板11を駆動することができる。これにより、吸気騒音を打ち消すためのエネルギー源を容易に確保することができる。なお、この場合、油圧が所定圧より高い場合にだけ油圧アクチュエータを作動させるように設けても良い。このように設けることにより、オイルポンプの能力を既存のまま適用することができる。また、無駄になる油圧を利用することで、振動板11を駆動するための消費エネルギーを抑えることができる。
吸気騒音の主成分である「爆発1次の周波数」は燃焼に伴う音成分であり、吸気騒音を打ち消す音波(爆発1次の周波数に対して逆位相の周波数)は、エンジン1のクランク角度に対応している。このため、エンジン1の回転によって振動板11を機械的に駆動して、振動板11によって吸気騒音を打ち消すことができる。
エンジン1の回転によって振動板11を駆動するものであるため、車両に新たなアクチュエータを追加搭載する必要がない。
2 吸気管(吸気通路を形成する管)
11 振動板
12 振動板駆動手段
13 メイン音圧発生室
14 バックキャビティ
15 サイレンサ
16 吸込側一方向弁
17 バックキャビティ吸込通路
18 排出側一方向弁
19 バックキャビティ排出通路
21 ピエゾアクチュエータ
22 増幅機構
29 開度調整バルブ
31 キャニスタ
33 クランクケース
35 オイルミストセパレータ
36 差圧センサ
Claims (8)
- 内燃機関の吸気通路に生じる音波と逆位相の音波を発生させて、吸気騒音を抑制する騒音制御装置において、
この騒音制御装置は、
振動によって音波を発生させる振動板と、
この振動板を往復駆動する振動板駆動手段と、
前記吸気通路に連通するメイン音圧発生室と密閉されたバックキャビティとが前記振動板によって区画されるサイレンサと、
前記バックキャビティとこのバックキャビティの外部とを連通し、前記バックキャビティの外部から前記バックキャビティに向かってのみ空気を通す吸込側一方向弁が設けられたバックキャビティ吸込通路と、
前記バックキャビティと前記吸気通路とを連通し、前記バックキャビティから前記吸気通路に向かってのみ空気を通す排出側一方向弁が設けられたバックキャビティ排出通路とを備え、
前記メイン音圧発生室から前記吸気通路に与えられるメイン音波と、前記バックキャビティから前記バックキャビティ排出通路を通って前記吸気通路に与えられるサブ音波との合成波によって、吸気騒音を抑制することを特徴とする騒音制御装置。 - 請求項1に記載の騒音制御装置において、
この騒音制御装置は、
前記バックキャビティ排出通路の開度調整を行う開度調整バルブを備えることを特徴とする騒音制御装置。 - 請求項2に記載の騒音制御装置において、
前記バックキャビティ吸込通路は、気化燃料を吸着保持するキャニスタ、あるいはオイルミストセパレータを介したクランクケースの少なくても一方に接続されることを特徴とする騒音制御装置。 - 請求項3に記載の騒音制御装置において、
この騒音制御装置は、
前記開度調整バルブの上流側と下流側の差圧を検出する差圧センサを備えることを特徴とする騒音制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の騒音制御装置において、
前記振動板駆動手段は、ピエゾ素子を用いたピエゾアクチュエータであることを特徴とする騒音制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の騒音制御装置において、
前記振動板駆動手段は、油圧の切替により可動する油圧アクチュエータであることを特徴とする騒音制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の騒音制御装置において、
前記振動板駆動手段は、前記内燃機関の回転によって機械的に駆動されるメカニカル駆動機構であることを特徴とする騒音制御装置。 - 請求項5〜請求項7のいずれかに記載の騒音制御装置において、
前記振動板駆動手段は、振幅を増幅して前記振動板に伝える増幅機構を備えることを特徴とする騒音制御装置。
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