JP4326213B2 - 病害生物防除品の使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質基材中に、病害生物防除剤を内包し徐放するマイクロカプセル又は病害生物防除剤を含有し徐放するゲル物質を分散し、病害生物防除剤の徐放性、安定性、低刺激性を向上すると共に、マイクロカプセル及びゲル物質の散逸が抑制された病害生物防除品に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗菌剤、殺虫剤、防虫剤、忌避剤および殺鼠剤などの病害生物防除剤は、これまで多数開発され実用に供されている。更に、これらの病害生物防除剤の劣化を抑制するためや、病害生物防除剤を徐放し一定濃度の病害生物防除剤を長期間に渡り環境に供給するためや、皮膚などに対する刺激性を低減するために、これらの病害生物防除剤をマイクロカプセルに内包することが提案されている。
【0003】
例えば、広い範囲の細菌、カビ及び藻類などに対して優れた抗菌活性を示し、その作用が即効性を有することから、イソチアゾロン系化合物が工業抗菌剤として幅広く使用されている。このイソチアゾロン系化合物は皮膚刺激性が高い恐れがあり化学的安定性が不十分な場合があり、特にアルカリ性域において又は液中で還元性物質および求該試薬(硫化物、アミンなど)などが共存すると分解が加促される場合があるため、イソチアゾロン系化合物を包接化することにより、化学的安定化を図り、効果を持続させ、皮膚刺激性を抑制する方法が提案されている。
【0004】
具体的には、イソチアゾロン系化合物をメラミン又は尿素−グルタルアルデヒド反応物から得られるマイクロカプセルで内包することで、外的環境からイソチアゾロン系化合物を保護して安定化を図り、工業用防菌および防カビ剤などとしての使用時の効果を長期間持続させるとともに、イソチアゾロン系化合物の皮膚刺激性を軽減させることが特許文献1に記載されている。
【0005】
また、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類も、広い範囲の細菌、カビ、酵母および藻類などに対して優れた抗菌活性を示し、その作用が即効性であることから、工業用抗菌剤として使用されている。しかしながら、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類は、水中での安定性が不足する場合があるため、製紙用スライムコントロール剤などに限定されて使用される場合がある。また、皮膚刺激性が強い恐れや化学的安定性が不十分であり、特にアルカリ性域において、液中で還元性物質および求該試薬(硫化物、アミン等)等が共存すると分解が加速される場合があるため、適用する系によっては十分にその効果が発揮されない恐れがある。
【0006】
しかしながら、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類をマイクロカプセルに内包したりゲル物質に含有させることにより、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類を安定化でき、製紙用白水などのスライムコントロール剤としての用途ばかりでなく、工業用防菌および防カビ剤などの効力が長期持続することが要求される分野でも使用でき、皮膚刺激性を低減できると考えられる。
【0007】
また、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類も、広い範囲の細菌、カビ、酵母および藻類などに対して優れた抗菌活性を示し、その作用が即効性であることから、工業用抗菌剤として使用されている。しかしながら、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類は、水中での安定性が不足する場合があるため、製紙用スライムコントロール剤などに限定されて使用される場合がある。特にアルカリ性域において、液中で還元性物質および求該試薬(硫化物、アミン等)等が共存すると分解が加速される場合があるため、適用する系によっては十分にその効果が発揮されない恐れもある。
【0008】
しかしながら、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類をマイクロカプセルに内包したりゲル物質に含有させることにより、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類を安定化でき、製紙用白水などのスライムコントロール剤としての用途ばかりでなく、工業用防菌および防カビ剤などの効力が長期持続することが要求される分野でも使用できると考えられる。
【0009】
【特許文献1】
特開平07−082109号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上の様に、抗菌剤、殺虫剤、防虫剤、忌避剤および殺鼠剤などの病害生物防除剤をマイクロカプセルに内包したりゲル物質に含有することにより、これらの病害生物防除剤の劣化を抑制したり、病害生物防除剤を徐放し一定濃度の病害生物防除剤を長期間に渡り環境に供給したり、皮膚などに対する刺激性を低減できる。
【0011】
しかしながら、病害生物防除剤をマイクロカプセルに内包したりゲル物質に含有させたとしても、その効果が不十分であるため、病害生物防除剤の劣化を十分に抑制できなかったり、病害生物防除剤を十分に徐放できず、一定濃度の病害生物防除剤を十分に長期間に渡り環境に供給できなかったり、皮膚などに対する刺激性を十分に低減できない場合があった。
【0012】
また、病害生物防除剤を内包するマイクロカプセル及び病害生物防除剤を含有するゲル物質を大気中および水中などで使用している際中および使用後などにおいて、これらのマイクロカプセル及びゲル物質が散逸してしまい、十分に回収できない場合や、回収に多大な労力を要する場合があった。特に、病害生物防除剤がマイクロカプセル及びゲル物質に残存している場合や、残存している恐れがある場合は、これらのマイクロカプセル及びゲル物質の散逸が抑制されており、マイクロカプセル及びゲル物質を完全に回収することが望まれる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の様な不具合を解決するための本発明によれば、病害生物防除剤を内包し徐放するマイクロカプセル又は病害生物防除剤を含有し徐放するゲル物質が多孔質基材中に分散され担持された病害生物防除品の使用方法であって、
該病害生物防除剤として、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類または2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類を用い、
該病害生物防除品を水中で使用する、
病害生物防除品の使用方法が提供される。
【0014】
本発明においては、図1に示す様に、病害生物防除剤を内包し徐放するマイクロカプセル10又は病害生物防除剤を含有し徐放するゲル物質10を多孔質基材12中に分散させ担持させるため、多孔質基材が病害生物防除剤の放出速度制御材および保護材として働く。このため、病害生物防除剤の劣化を十分に抑制でき、病害生物防除剤を十分に徐放でき、一定濃度の病害生物防除剤を十分に長期間に渡り環境に供給でき、皮膚などに対する刺激性を十分に低減できる。
【0015】
また、マイクロカプセル又はゲル物質が多孔質基材中に分散され担持されていれば、病害生物防除剤を内包するマイクロカプセル及び病害生物防除剤を含有するゲル物質を大気中および水中などで使用している際中および使用後などにおいて、これらのマイクロカプセル及びゲル物質が散逸することが抑制される。このため、病害生物防除品の使用後にマイクロカプセル及びゲル物質を容易に回収できる。特に、病害生物防除剤がマイクロカプセル及びゲル物質に残存している場合や、残存している恐れがある場合は、これらのマイクロカプセル及びゲル物質の散逸が抑制されており、マイクロカプセル及びゲル物質を完全に回収することが望まれるが、これを実現できる。
【0016】
なお、マイクロカプセル又はゲル物質から放出された病害生物防除剤は多孔質基材中の孔(図1の11)を通過して環境に放出されるため、マイクロカプセル又はゲル物質を多孔質基材中に分散させ担持させても、病害生物防除剤の放出性は損なわれない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】
(病害生物防除剤)
病害生物防除剤とは、細菌、カビ、ウイルス、昆虫、動物、植物などのなかで疾病および害などを生じるものを除去したり、これらからの防御を実現する薬剤を言い、抗菌剤、殺虫剤、防虫剤、忌避剤および殺鼠剤などの中から選択することができる。以下参考として様々な病害生物防除剤について述べるが、本発明では病害生物防除剤として特に1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類または2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類を用いる。
【0019】
抗菌剤としては、効力および安全性などを考慮し、無機系抗菌剤および有機系抗菌剤の中から注意深く選択する。
【0020】
無機系抗菌剤としては、金属および金属化合物系、無機・有機複合系、酸化物光触媒系などを使用する。
【0021】
金属および金属化合物系の抗菌剤は、(ア)耐久性が高い、(イ)安全性が高く、経口マウス急性毒性LD50が2,000mg/kg以上と非常に低く、変異原性および皮膚刺激性に関しても陰性あるいはきわめて弱く、低毒性である、(ウ)抗菌スペクトルが広い、(エ)微生物が耐性を獲得し難い等の優れた性能有するため好ましい。
【0022】
金属としては、銀、銅、亜鉛などを使用できるが、抗菌活性の観点から銀が好ましく、銀イオンが特に好ましい。
【0023】
また、これらの金属イオンと適当な担持体とを結合したものも使用できる。この様な抗菌剤としては、効力および安全性などの観点から、リン酸塩系、ケイ酸塩系、溶解性ガラス系などが用いられる。
【0024】
リン酸塩系としては、無機イオン交換体であるリン酸ジルコニウムZrO(HPO4)2を母体にイオン交換能により銀や亜鉛を結合させたリン酸ジルコニウム系;リン酸カルシウム系Ca3(PO4)2、ヒドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2を母体に銀を吸着結合させたリン酸カルシウム系などを使用する。
【0025】
ケイ酸塩系としては、結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライトNa2O・Al2O3・2SiO2・4.5H2Oの担持特性のイオン交換能を利用し、ゼオライト粒子に無数にある細孔の中に銀、銅、亜鉛をイオン状態のまま安全に担持させ、同時に徐放性を持たせたもので銀イオンなどを徐々に放出し抗菌性を長期に維持する耐久性を持たせたゼオライト系;シリカゲルSiO2・nH2O(微細構造がポーラスな構造として1gのものが450m2以上の表面積を持つ)にチオサルファイト銀錯体などを吸着結合させたり含有させシリカゲル系などを使用する。
【0026】
溶解性ガラス系としては、ケイ酸塩ガラスNa2O・SiO2・B2O3でB2O3成分を多くした溶解度の高いガラス担体に銀などを担持させ、ガラスの溶解にともなって銀の徐放をコントロールしたもの等を使用する。
【0027】
無機・有機複合系の抗菌剤としては、四級アンモニウム塩などの抗菌性有機物を無機物に担持させ徐放させるもの等を使用する。例えば、層状構造をもつリン酸塩の層間に存在するH+イオンを、イオン交換反応で四級アンモニウムイオンで置き換えたものである。有機系と無機系の中間系、混合系ともいえ、有機系抗菌剤の特徴を維持しつつ、安定性、耐候性、持続性などの向上を図ることができる。
【0028】
酸化物光触媒系の抗菌剤としては、アナターゼ型酸化チタン等を使用する。酸化物系光触媒は、400nm以下の光照射を受けると、電荷分離を起こし、電子と正孔を生ずる。正孔は空気中の水蒸気や酸素と反応してOHラジカルなどの活性酸素を発生し、この強力な酸化力により微生物を死滅させることができる。酸化物光触媒系の抗菌剤は、(ア)安全性が高い、(イ)病原体が分泌した毒素も分解される、(ウ)悪臭の原因物質のアンモニア、硫化水素、アセトアルデヒドなども分解され、脱臭・消臭される、(エ)NOXの酸化除去など環境浄化に有効であるなど好適な性質を有する。
【0029】
一方、有機系抗菌剤としては、合成系および天然系などを使用する。
【0030】
合成系の有機系抗菌剤としては、抗菌活性が高い、即効性がある、比較的安価である、カビに面接触するので防カビ性能に優れる等の観点から、含窒素複素環系、フェノール系、ビグアナイド系、ニトリル系、ハロゲン系、アニリド系、有機ケイ素四級アンモニウム塩系、四級アンモニウム塩系、アミノ酸系、有機金属系、エステル系などを使用する。
【0031】
含窒素複素環系抗菌・防カビ剤としては、5員環系のイミダゾール系およびチアゾール系抗菌・防カビ剤は、ベンゼン環と窒素あるいは硫黄を含む複素環構造を持った薬剤であり、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール(TBZ)、2−メチルカルボニルアミノベンツイミダゾールおよび2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンツチアゾール(TCMTB)等を使用する。
【0032】
TBZはカビに対して非常に高い活性を示し、毒性が低く好適である。
【0033】
5員環系のイソチアゾロン系抗菌・防カビ剤は、5員環に隣接する窒素と硫黄を含み、3位にケト基を有する構造を持っており化学的には安定な化合物である。2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)等が、細菌およびカビに非常に高い殺菌活性を示すため好ましい。
【0034】
6員環系のトリアジン系抗菌・防カビ剤は、6員環に3個の窒素を含む構造を持っており、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン等が、細菌およびカビに非常に高い殺菌活性を示すため好ましい。
【0035】
フェノール系抗菌・防カビ剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、ビオゾール、チモール等が好ましい。
【0036】
ビグアナイド系抗菌・防カビ剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、グルコン酸クロルヘキシジン等が好ましい。
【0037】
ニトリル系抗菌・防カビ剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)等が好ましい。
【0038】
ハロゲン系抗菌・防カビ剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート(IPBC)が好ましい。
【0039】
アニリド系抗菌・防カビ剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、トリクロロカルバニリドが好ましい。
【0040】
有機ケイ素四級アンモニウム塩系抗菌・防カビ剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、アンモニウムにトリメトキシル基を結合させたものが好ましい。
【0041】
四級アンモニウム塩系抗菌・防カビ剤(陽イオン活性剤)としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム)、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などが好ましい。なお、殺菌力とアルキル鎖長との関係はC16が最も強く、C14がこれに次いでいる。
【0042】
アミノ酸系抗菌・防カビ剤(両性活性剤)としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、ポリアミノモノカルボン酸系、モノアミノモノカルボン酸系、アルキルベタイン系のものが好ましく、中でも、アルキルジアミノグリシン塩酸系などのポリアミノモノカルボン酸系が好ましい。
【0043】
有機金属系抗菌・防カビ剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、有機ヒ素系の10,10’−オキシビスフェノキシアルシン(OBPA)、有機銅系のオキシン8−ヒドロキシキノリン(オキシン銅)、ソディウムオマージン、ジンクオマージン(ZPT)等が好ましい。
【0044】
OBPAは、酸、アルカリ、光にも安定な化合物であり、殺菌効果は非常に強く、細菌、カビ、酵母、藻類にまで広いスペクトルを有するため好ましい。
【0045】
オキシン銅は、細菌、カビ、酵母に広い抗菌スペクトルを有する。非常に毒性が低く、安定性が高いため好ましい。
【0046】
また、アミノ酸金属石けんは、アミノ酸という有機物を担持体として銀などの抗菌性金属を担持させた構造をしており、有機金属系抗菌剤として好ましい。
【0047】
有機金属系抗菌剤と無機金属系抗菌剤は担持体が有機と無機との違いであり、抗菌成分は銀を用いており抗菌力は似通った性質を示す。アミノ酸金属石けんはアミノ酸が担持体であり、安定性が高く好ましい。
【0048】
エステル系抗菌剤としては、毒性が低く、安全性が高く、安定性に優れるため、非イオン界面活性剤の脂肪酸モノグリセリドおよびショ糖脂肪酸エステル、中でも、パルミチン酸、ミリスチン酸エステル等が好ましい。
【0049】
天然系の有機系抗菌剤としては、抗菌活性および安全性のバランスに優れ、特に安全性が高いため、ヒノキチオール系、キトサン系、唐ガラシ抽出物、ユーカリ油、アリシン、硫化アリル、サポニン、イソチオシアン酸誘導体、ポリフェノール化合物などが好ましい。
【0050】
ヒノキチオールとしては、台湾ヒノキ油、青森産ヒバ油などの中に存在する結晶性物質で、4イソプロピル−2−ヒドロキシ−シクロヘプタ−2,4,6−トリエン−1−オンの7員環化合物などが好ましい。
【0051】
キトサンは、カニやエビの甲殻、昆虫類の外骨格、菌類の細胞壁などに含まれるキチンを加水分解して得られる塩基性多糖類で、キトサンは分子内にアミノ基を持つために反応性が高く好ましい。
【0052】
唐ガラシには抗菌性物質としてカプサイシンが含まれており、カプサイシンが抗菌作用を示す。
【0053】
ユーカリは、オーストラリアに自生する常緑高木であり、葉にはシネオールを主成分とするユーカリ油を含有し、抗菌作用を示す。
【0054】
ニンニク等のユリ科植物には、アリシンという抗菌性物質が含まれておりカビに対して著しい防カビ活性を示す。
【0055】
ネギ、タマネギ、ニラには硫化化合物である硫化アリルが含まれており、微生物に対して抗菌性を示す。
【0056】
ユッカはサポニンを多く含有し、抗菌作用を示す。
【0057】
西洋わさびは、イソチオシアン酸アリルおよびエステルを含有する。緑茶は、天然ポリフェノール化合物の1種のカテキンを含有する。これら有効成分により抗菌作用を有する。
【0058】
以上の様な抗菌剤のなかでも、広い範囲の細菌、カビ及び藻類などに対して優れた抗菌活性を示し、その作用が即効性を有することから、イソチアゾロン系化合物が工業抗菌剤として好ましい。
【0059】
イソチアゾロン系化合物としては、例えば以下の一般式(I)で表される化合物が好ましい;
【0060】
【化1】
【0061】
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子を表し、R2とR3とは縮合してベンゼン環を形成していてもよい)。
【0062】
更に、一般式(I)で表されるイソチアゾロン系化合物としては、例えば、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オン、2−メチルイソチアゾリン−3−オン、2−オクチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチルイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
【0063】
以上の様なイソチアゾロン系化合物は、必要に応じて包接化合物で包接することもできる。イソチアゾロン系化合物を包接することにより、イソチアゾロン系化合物の安定性および徐放性を更に向上できる。
【0064】
イソチアゾロン系化合物を包接する包接化合物としては、例えば、1,1,6,6−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、1,1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1,6,6−テトラキス(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラ(シクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボキシアミド、5,5’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキジフェニルメタン、デオキシコール酸、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノンなどの多分子系ホスト化合物などを使用する。
【0065】
一方、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類も、広い範囲の細菌、カビ、酵母および藻類などに対して優れた抗菌活性を示し、その作用が即効性であることから、工業用抗菌剤として好適である。
【0066】
1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類としては、例えば以下の一般式(II)で表される化合物が好ましい;
【0067】
【化2】
【0068】
(式中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を表す)。
【0069】
更に、一般式(II)で表される1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類としては、R4及びR5が、それぞれ独立に、水素原子、フェニル基またはハロゲン原子であるものが好ましい。
【0070】
より具体的には、4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン、4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン等が好ましい。
【0071】
また、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類も、広い範囲の細菌、カビ、酵母および藻類などに対して優れた抗菌活性を示し、その作用が即効性であることから、工業用抗菌剤として好適である。
【0072】
より具体的には、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド等が好ましい。
【0073】
殺虫剤としては、燐酸エステル化合物などの有機燐系殺虫剤、除虫菊(シロバナムシヨケギク)の花に含まれる殺虫剤成分であるピレトリン類およびこれに化学構造的に類似した合成化合物などのピレスロイド系殺虫剤、カルバミン酸エステル等のカーバメート系殺虫剤、昆虫成長制御剤(IGR)等を使用する。
【0074】
防虫剤としては、エンペントリン等のピレスロイド系防虫剤、パラジクロルベンゼン及びナフタリン等の昇華性芳香族系防虫剤、しょうのう等の植物由来精油類などを使用する。
【0075】
忌避剤としては、ジエチルトルアミド等の吸血昆虫用忌避剤;シクロヘキシミド、カプサイシン、メントール等のネズミ類用忌避剤などを使用する。
【0076】
殺鼠剤としては、ワルファリン、クマテトラリル、フマリン等のクマリン系殺鼠剤;燐化亜鉛剤、硫酸タリウム及びモノフルオル酢酸ソーダ等の塩類殺鼠剤;シリロシド系殺鼠剤;ノルボルマイド系殺鼠剤などを使用する。
【0077】
また、病害生物防除性が高いなどの理由から、病害生物防除剤として抗生物質を使用する場合もある。
【0078】
抗生物質としては、サワシリン、パセトシン、ヤマシリン、バカシル、ビクシリン、ペントレックス、タカシリン、バラシリン、ユナシン、バイシリン、オーグメンチン、バストシリン、ペントレックス、クルペン等のペニシリン系抗生物質;ケフレックス、ケフラール、セフゾン、トミロン、セフスパン、パンスポリン、バナン、セドラール、オラスポア、オラセフ、メイアクト、セフィル、セプチコール、ラリキシン等のセフェム系抗生物質;エリスロシン、クラリス、クラリシッド、ルリッド、ジョサマイシン、ミオカマイシン、リカマイシン等のマクロライド系抗生物質;ミノマイシン、ビブラマイシン、ヒドラマイシン、レダマイシン等のテトラサイクリン系抗生物質;ホスミシン、ユーコシン等のホスホマイシン系抗生物質;ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質;クラビット、タリビッド、バクシダール、トスキサシン、オゼックス、シプロキサン、スパラ、バレオン、メガロシン、フルマーク、ロメバクト等のニューキノロン系抗菌剤などを使用する。
【0079】
なお、以上に説明した病害生物防除剤は、必要に応じて、2種以上を併用することもできる。
【0080】
また、以上に説明した病害生物防除剤は、水系および有機系の適当な溶媒および媒体などに溶解および分散などさせて使用することもできる。
【0081】
水系溶媒および水系媒体としては、水、塩および安定剤などを含む水溶液などを使用する。
【0082】
有機系溶媒および有機系媒体としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;灯油、軽油、パラフィン油等の石油系溶媒;酢酸エステル、プロピオン酸エスエル、酪酸エステル、乳酸エステル、シュウ酸エステル、クロトン酸エステル、サリチル酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、リン酸エステル等のエステル類;ジメチルテレフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジノルマルアルキルフタレート等のフタル酸エステル;リン酸トリフェニル、セバシン酸ジベンジル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エステル;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ヒマシ油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油などの植物油;ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの界面活性剤などを用いることができる。
【0083】
これらの溶媒および媒体は1種で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、溶媒および媒体中における病害生物防除剤の濃度は、例えば合成樹脂エマルション、金属加工油、塗料、でんぷん液(スラリー及び糊)などの防腐などを目的として用いる場合、1〜10,000g/m3が好ましく、紙パルプ抄紙などの際のスライムコントロールを目的とする場合、0.1〜50g/m3が好ましい。また、一般に、冷却水系および紙パルプ抄紙系などのスライムコントロール剤、でんぷん及びカゼインなどの防腐防かび剤、SBRラテックス、塗料、接着剤などの製品防腐防かび剤、金属加工油使用系の防腐防かび剤、繊維加工品における糸への含浸・練りこみ等で使用する場合、0.1〜50質量%が好ましい。
【0084】
(マイクロカプセル及びゲル物質)
病害生物防除剤を適当な媒体中に分散および溶解などし、その表面にモノマー及びプレポリマーを配置し樹脂化して、カプセル壁を形成したりゲル化することで、病害生物防除剤を内包するマイクロカプセルや、ゲル物質で内包、コート及び含有などされた病害生物防除剤を調製できる。
【0085】
カプセル壁およびゲル物質としては、ゼラチン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ尿素、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリウレア等を使用する。
【0086】
マイクロカプセル及びゲル物質は、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被覆法などの化学的カプセル化方法および化学的ゲル化方法;コアセルベーション法、液中硬化被覆法、液中乾燥法、融解分散冷却法などによる物理化学的カプセル化方法および物理化学的ゲル化方法;パンコーティング法、気中懸濁化法、噴霧乾燥法などによる機械的カプセル化方法および機械的ゲル化方法などにより製造できる。
【0087】
例えば、界面重合法においては、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体とマイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体との何れにもカプセル樹脂壁またはゲル物質の原料が存在しており、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体に含まれる原料とマイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体に含まれる原料とが反応してカプセル樹脂壁またはゲル物質が形成される。
【0088】
また、in situ重合法においては、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体とマイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体との何れか一方のみにカプセル樹脂壁またはゲル物質の原料が存在しており、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体に含まれる原料のみが反応してカプセル樹脂壁またはゲル物質が形成されか、マイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体に含まれる原料のみが反応してカプセル樹脂壁またはゲル物質が形成される。
【0089】
以上の重合法において使用される界面活性剤は特に制限されず、アニオン性単量体、カチオン性単量体、ノニオン性単量体、アニオン性重合体、カチオン性重合体、ノニオン性重合体の何れでも使用できる。中でも、乳化能が高い、カプセル内包物の保護性が高い、カプセル樹脂壁の凝集性に優れる、カプセル樹脂壁形成反応を阻害しない等の理由から、アニオン性単量体、アニオン性重合体などが好ましい。
【0090】
具体的には、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコール、ヘキサエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カイゼン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油などを使用する。
【0091】
カプセル樹脂壁およびゲル物質としては熱可塑性および熱硬化性の何れでも良く、カプセル及びゲル物質内包物の性質、所望のマイクロカプセル及びゲル物質の構造などを考慮して選択する。中でも、マイクロカプセル及びゲル物質の構造を制御し易いなどの理由から、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン−尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホンアミド樹脂、ポリスルホネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂などが好ましく、必要に応じて2種類以上の樹脂を併用できる。
【0092】
具体的には、例えば、尿素樹脂から作製する場合、メチロール化尿素系化合物を用いたin situ重合法、尿素系化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法、ハロゲン化カルボニル化合物とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0093】
また、メラミン樹脂から作製する場合、メチロール化メラミン系化合物を用いたin situ重合法、メラミン系化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0094】
また、ポリウレタン樹脂から作製する場合、イソシアネート化合物とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法、カルボニルモノオキシ化合部とアミン類とを用いた界面重合法、アミノ−カルボニルモノオキシ化合部を用いたin situ重合法などにより作製できる。
【0095】
また、ウレタン−尿素樹脂から作製する場合、イソシアネート化合物と水とを用いた界面重合法、イソシアネート化合物とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0096】
また、ポリアミド樹脂から作製する場合、アミノ酸誘導体を用いたin situ重合法、カルボン酸誘導体とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0097】
また、ポリエステル樹脂から作製する場合、カルボン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0098】
また、ポリエーテル樹脂から作製する場合、カルボン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0099】
また、ポリオレフィン樹脂から作製する場合、エチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン−ジビニルベンゼン等を用いたin situ重合法などにより作製できる。
【0100】
また、カプセル樹脂壁をポリスルホンアミド樹脂から作製する場合、スルホン酸誘導体とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0101】
また、ポリスルホネート樹脂から作製する場合、スルホン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0102】
また、エポキシ樹脂から作製する場合、エポキシドとヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法、エポキシドとアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。更に、プレポリマーからin situ重合法および界面重合法などによっても作製できる。
【0103】
また、ポリカーボネート樹脂から作製する場合、ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0104】
また、フェノール樹脂から作製する場合、芳香族ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法、尿素系化合物と芳香族ヒドロキシ化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0105】
なお、原料としては、上記以外にも、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、ポリアミン、ポリカルボン酸、多塩基酸クロライド、酸無水物、エポキシ化合物、ポリオール、(メタ)アクリル化合物、ポリサルファイド、有機アミン類、酸アミド類、水溶性エポキシ化合物、フェノール類、ホルマリン、ホスゲン、スピロアセタール系複素環状アミン、アルデヒド等も使用できる。
【0106】
以上に記載したカプセル樹脂壁のうち、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂などは熱硬化性樹脂である。また、ポリウレタン樹脂、ウレタン−尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホンアミド樹脂、ポリスルホネート樹脂およびポリカーボネート樹脂などは熱可塑性樹脂である。
【0107】
なお、以上に説明してきたカプセル化反応において、反応温度は、普通20〜100℃とする。特に、耐熱性に乏しい病害生物防除剤を使用する場合は反応温度を低くする。
【0108】
また、マイクロカプセル樹脂壁およびゲル物質を水溶性樹脂により作製することもできる。水溶性樹脂壁としては、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−無水マレイン酸系樹脂、スチレン−無水マレイン酸系樹脂、イソブテン−無水マレイン酸系樹脂、その他のオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、酢酸ビニル共重合体、アクリル系共重合体などを使用する。
【0109】
また、コラーゲン、コラーゲン誘導体、にわか、ゼラチン、アルブミン、アルブミン誘導体、カゼイン、大豆タンパク等のポリアミノ酸類;デンプン、加工デンプン、酸変性デンプン、酸化デンプン、アセチルデンプン、メチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、アミノアルキルデンプン、アミロース、アミロース誘導体、デキストリン、ブリテッシュガム等のデンプン類;セルロース等のセルロース類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類;硝酸セルロース、酢酸セルロース、ビスコース等のセルロースエステル類;アラビアゴム、トラガントゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、グアーゴム、コンニャクマンナン、アルギン酸、ふのり等の複合多糖類なども使用する。
【0110】
これらは、コアセルベーション法、液中硬化被覆法、液中乾燥法などにより製造できる。
【0111】
以上の様にして得られるマイクロカプセル及びゲルの体積平均粒子径は、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましく、一方、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。なお、マイクロカプセルの体積平均粒子径は、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて、体積基準により測定することもできる。
【0112】
なお、マイクロカプセル及びゲル物質は、必要に応じて、2種以上を併用することもできる。
【0113】
病害生物防除剤として包接化合物で包接されたイソチアゾロン系化合物を使用する場合、マイクロカプセル及びゲル物質としては以上の化合物の中でもイソチアゾロン系化合物の効果を損なわないため、メラミン樹脂または尿素−グルタルアルデヒド反応物などが好ましく、イソチアゾロン系化合物を保護および徐放する観点から、マイクロカプセル化されていることが好ましい。
【0114】
一方、病害生物防除剤として1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類または2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類を使用する場合、マイクロカプセル及びゲル物質としては以上の化合物の中でも、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類および2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類の効果を損なわないため、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが好ましく、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類および2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類を保護および徐放する観点から、マイクロカプセル化されていることが好ましい。
【0115】
これらのマイクロカプセル化は、例えば次に示す方法によって行うことができる。すなわち、例えば、ゼラチン等の水溶性ポリマーで内包物を包括し、その濃厚相を分離・硬化するように壁膜を形成させるコアセルペーション法;分散状態の内包物にモノマーを植え付け、これと連続相を形成する溶液の水溶性モノマーとを、それらの界面で重合反応させ、内包物を含有した壁膜を形成させる界面重縮合法;内包物に重合触媒を吸着させ、外部側から初期重縮合物を包囲させるように反応させ、壁膜を形成させるインサイチュ重合法;気中に分散した内包物に壁剤を噴射被覆して壁膜を形成させる気中懸濁被覆法などが用いられる。
【0116】
(多孔質基材)
多孔質基材の材質としては、固化した状態で病害生物防除剤を内包し徐放するマイクロカプセル又は病害生物防除剤を含有し徐放するゲル物質を十分に担持し、病害生物防除剤の拡散および効果を阻害しないものを注意深く選択する。
【0117】
また、病害生物防除品は循環水などの水中および大気などの気体中で使用されるが、水中で使用する場合や大気中の水分および降水などを考慮して、固化後の多孔質基材が非水溶性であることが好ましい。
【0118】
更に、マイクロカプセル及びゲル物質を多孔質基材の原料に混合し分散し、その後に固化して多孔質基材とする際に、高温の加熱および高圧などマイクロカプセル及びゲル物質が劣化する方法を必要としないことが好ましい。
【0119】
以上の様な観点から、多孔質基材としては、天然石膏、化学石膏などの石膏;セメント、モルタル、コンクリートなどのセメント含有物;紙粘土、油粘土、泥粘土、焼き粘土などの粘土;層状珪酸塩などの粘土鉱物;炭酸カルシウム、石膏カルシウムなどのチョーク様物;硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤;アニオン型ポリアクリルアミド系高分子凝集剤、ノニオン型ポリアクリルアミド系高分子凝集剤、アニオン型ポリアクリル酸ソーダ系高分子凝集剤、カチオン型ポリアクリルアミド系高分子凝集剤、カチオン型ポリアクリル酸エステル系高分子凝集剤、両性型ポリアクリル酸エステル系高分子凝集剤、カチオン型ポリメタクリル酸エステル系高分子凝集剤などが好ましい。
【0120】
これらの多孔質基材は放置および乾燥などで容易に固化するため、これらの多孔質基材の原料にマイクロカプセル及びゲル物質を混合し分散し賦形し、その後に容易に固化して病害生物防除品を作製することができ、マイクロカプセル及びゲル物質の劣化は少ない。
【0121】
なお、マイクロカプセル又はゲル物質の病害生物防除品全体に占める割合は、病害生物防除剤の十分な効果を実現する観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。一方、病害生物防除品の十分な強度などを実現する観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
【0122】
また、病害生物防除剤の病害生物防除品全体に占める割合は、病害生物防除剤の十分な効果を実現する観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上が更に好ましい。一方、病害生物防除剤の効果が強過ぎるなどを回避するの観点から、75質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましい。
【0123】
(用途分野)
以上に説明してきた病害生物防除品においては、病害生物防除剤の徐放性、安定性、低刺激性が向上されており、マイクロカプセル及びゲル物質の散逸が抑制されているため、例えば、冷却水系および紙パルプ抄紙系などのスライムコントロール剤;でんぷん及びカゼインなどの防腐剤;SBRラテックス、塗料および接着剤などの製品防腐剤;金属加工油使用系の防腐剤などとして、幅広い分野で極めて有効に使用できる。
【0124】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例1、2および12は参考例である。また、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用する。
【0125】
(実施例1)病害生物防除品1
5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンを5,5’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキジフェニルメタンで包接した。5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンは25質量%、5,5’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキジフェニルメタンは75質量%であり、これを50質量%含む水系分散液(A)を調製した。
【0126】
一方、スチレンとアクリル酸との割合が1モル:1モルのスチレン−アクリル酸共重合体のエチルエステル化合物(総カルボン酸に対し5%をエステル化させたもの)を60℃で3時間加温しながら溶解し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.0に調整した10質量%水溶液(B)を得た。
【0127】
更に、25質量%グルタルアルデヒド水溶液58.4質量部を10質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH6に調整し、この水溶液にメラミン4.6質量部を加え、撹拌しながら60℃で2時間加温し、カプセル原料水溶液(C)を得た。
【0128】
次に、水系分散液(A)を攪拌しながら水溶液(B)を添加し60℃で2時間加熱した後に、攪拌を続けながらカプセル原料水溶液(C)添加し60℃で4時間加熱し、マイクロカプセルを30質量%含むカプセルスラリーを調製した。
【0129】
得られたカプセルスラリー100質量部に硫酸カリウム(和光純薬社製)3.5質量部を混合し攪拌し、更にA級石膏(吉野石膏社製)70質量部を室温で添加し3分間混合し、型に流し入れ、加圧などすることなく40℃の乾燥機で24時間乾燥して病害生物防除品1を得た。
【0130】
なお、病害生物防除品1中におけるマイクロカプセルの割合は25質量%であり、病害生物防除品1中における病害生物防除剤の割合は7.5質量%であった。
【0131】
病害生物防除品1を水中に浸漬して5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンの分解も確認されず、腐敗防止効果が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0132】
(実施例2)病害生物防除品2
5,5’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキジフェニルメタンで包接された5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンに代えて、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンで包接された4,5−ジクロロ−2−オクチルイソチアゾリン−3−オンを使用し、これを尿素−グルタルアルデヒド反応物でマイクロカプセル化し、石膏に変えて硫酸バンドを使用する以外は病害生物防除品1と同様に病害生物防除品2を作製した。
【0133】
得られた病害生物防除品2を水中に浸漬して4,5−ジクロロ−2−オクチルイソチアゾリン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4,5−ジクロロ−2−オクチルイソチアゾリン−3−オンの分解も確認されず、腐敗防止効果が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0134】
(実施例3)病害生物防除品3
フタル酸ジブチルに、4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンとテレフタル酸クロリドとを溶解して、第1液を得た。次いで、ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:PVA217)水溶液中に第1液を乳化し、O/Wエマルジョンを調製した。一方、水に、炭酸ナトリウムとジエチレントリアミンとを溶解して、第2液を調製した。
【0135】
その後、O/Wエマルジョンをかきまぜながら、ゆっくり第2液を加え、さらに24時間攪拌を続け、ポリアミドを膜材とする平均粒子径10μmで30質量%の4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンを内包するマイクロカプセルを含むカプセルスラリーを調製した。
【0136】
得られたカプセルスラリーに硫酸カリウム(和光純薬社製)を混合し攪拌し、更にA級石膏(吉野石膏社製)を室温で添加し3分間混合し、型に流し入れ、加圧などすることなく40℃の乾燥機で24時間乾燥して病害生物防除品3を得た。
【0137】
なお、病害生物防除品3中におけるマイクロカプセルの割合は40質量%であり、病害生物防除品3中における病害生物防除剤の割合は15質量%であった。
【0138】
得られた病害生物防除品3を水中に浸漬して4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0139】
(実施例4)病害生物防除品4
テレフタル酸クロリドの代わりに、日本ポリウレタン製MDI(ミリオネートMR200)と日本ポリウレタン製HDIとを加えた第1液を用いた以外は、病害生物防除品3と同様に病害生物防除品4を作製した。
【0140】
得られた病害生物防除品4を水中に浸漬して4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0141】
(実施例5)病害生物防除品5
テレフタル酸クロリドの代わりに、日本ポリウレタン製MDI(ミリオネートMR200)と日本ポリウレタン製HDIとを加えた第1液を、クラレ製ポリビニルアルコール(PVA217)水溶液中に加えて乳化し、O/Wエマルジョンを調製した以外は、病害生物防除品3と同様に病害生物防除品5を作製した。
【0142】
得られた病害生物防除品5を水中に浸漬して4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0143】
(実施例6)病害生物防除品6
アジピン酸ジブチルに4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンを溶解しA液を調製した。次に、ゼラチン水溶液中にA液を乳化し、O/Wエマルジョンを調製した。得られたO/Wエマルジョンを10%炭酸ナトリウム水溶液でpH8〜9にし、住友化学製メラミンホルムアルデヒド(商品名:Sumirezレジン607syrup)を添加した。その後、クエン酸でpHを5.5に調製し、70℃で2時間混合し、平均粒子径12μmで40質量%の4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンを内包するマイクロカプセルを含むカプセルスラリーを調製した。
【0144】
得られたカプセルスラリーとポリ塩化アルミニウムとを混合し固化して、病害生物防除品6を得た。なお、病害生物防除品6中におけるマイクロカプセルの割合は50質量%であり、病害生物防除品6中における病害生物防除剤の割合は30質量%であった。
【0145】
得られた病害生物防除品6を水中に浸漬して4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0146】
(実施例7)病害生物防除品7
アジピン酸ジブチルに4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンを溶解しA液を調製した。次に、ゼラチン水溶液中にA液を加えて乳化し、O/Wエマルジョンを調製した。これを攪拌しながらアラビアゴム水溶液を加えたのち酢酸でpH4.3に調整し、油滴表面にコアセルベートを生成させた。さらに、ホルマリン溶液を加え60℃2時間攪拌し、平均粒子径10μmで40質量%の4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンを内包するマイクロカプセルを含むカプセルスラリーを調製した。
【0147】
得られたカプセルスラリーとノニオン型ポリアクリルアミド(繰返構造単位:−CH2・CH・CO・NH2−、重量平均分子量:1,100万)とを混合し固化して、病害生物防除品7を得た。なお、病害生物防除品7中におけるマイクロカプセルの割合は50質量%であり、病害生物防除品7中における病害生物防除剤の割合は30質量%であった。
【0148】
得られた病害生物防除品7を水中に浸漬して4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4−フェニル−5−クロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0149】
(実施例8)病害生物防除品8
アジピン酸ジブチルに2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドを溶解し、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドが25質量%のA液を調製した。このA液をゼラチン水溶液に加えて乳化し、O/Wエマルジョンを調製した。得られたO/Wエマルジョンを炭酸ナトリウム溶液でpH8.5に調整し、住友化学製メラミンホルムアルデヒド(商品名:Sumirezレジン607syrup)を添加した。次に、クエン酸でpH5.5に調製し、70℃で2時間攪拌し、メラミン樹脂を膜材とする平均粒子径10μmのマイクロカプセルを含むカプセルスラリーを調製した。
【0150】
得られたカプセルスラリーとカチオン型ポリアクリルアミド(共重合体の繰返構造単位:−CH2・CH・CO・NH2−及び−CH2・CH・CO・OCH2・CH2・N(CH3)3Cl−、重量平均分子量:750万)とを混合し固化して、病害生物防除品8を得た。なお、病害生物防除品8中におけるマイクロカプセルの割合は50質量%であり、病害生物防除品8中における病害生物防除剤の割合は30質量%であった。
【0151】
得られた病害生物防除品7を水中に浸漬して2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0152】
(実施例9)病害生物防除品9
アジピン酸ジブチル160質量部に4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン40質量部を30℃で溶解し、A液を調製した。このA液を、荒川化学工業製2質量%スチレン無水マレイン酸の加水分解物(商品名:ポリマロンKS−1570)水溶液300質量部中に添加し、TKホモミキサーM型(特殊機化工業製)で乳化し、O/Wエマルジョンを調製した。得られたO/Wエマルジョンを攪拌機(スリーワンモーター)で攪拌しながら、住友化学製メラミンホルムアルデヒド初期重合物(商品名:Sumirezレジン607syrup)80質量部を添加した。次に、クエン酸でpHを5.5に調整し、70℃で2時間攪拌し、メラミン樹脂を膜材とする平均粒子径10μmの4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンを16.2質量%内包するマイクロカプセルを42.4質量%含むカプセルスラリーを調製した。
【0153】
得られたカプセルスラリー100質量部に硫酸カリウム(和光純薬社製)3.5質量部を混合し攪拌し、更にA級石膏(吉野石膏社製)70質量部を室温で添加し3分間混合し、型に流し入れ、加圧などすることなく40℃の乾燥機で24時間乾燥して病害生物防除品9を得た。
【0154】
なお、病害生物防除品9中におけるマイクロカプセルの割合は33.3質量%であり、病害生物防除品9中における病害生物防除剤の割合は5.4質量%であった。
【0155】
得られた病害生物防除品9を水中に浸漬して4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0156】
(実施例10)病害生物防除品10
アジピン酸ジブチル160質量部に4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン40質量部を溶解しA液を調製した。このA液を、5質量%ゼラチン水溶液300質量部に添加し、TKホモミキサーM型(特殊機化工業製)で乳化し、O/Wエマルジョンを調製した。次に、O/Wエマルジョンを攪拌機(スリーワンモーター)で攪拌しながら5質量%アラビアゴム水溶液200質量部を加えたのち、酢酸でpH4.3に調整し、油滴表面にコアセルベートを生成させた。更に、37質量%ホルマリン溶液10質量部を加え60℃2時間攪拌し、ゼラチン・アラビアゴムを膜材とする平均粒子径10μmの4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンを17.4質量%内包するマイクロカプセルを32.2質量%含むカプセルスラリーを調製した。
【0157】
得られたカプセルスラリー100質量部に硫酸カリウム(和光純薬社製)3.5質量部を混合し攪拌し、更にA級石膏(吉野石膏社製)70質量部を室温で添加し3分間混合し、型に流し入れ、加圧などすることなく40℃の乾燥機で24時間乾燥して病害生物防除品10を得た。
【0158】
なお、病害生物防除品10中におけるマイクロカプセルの割合は27.5質量%であり、病害生物防除品10中における病害生物防除剤の割合は4.8質量%であった。
【0159】
得られた病害生物防除品10を水中に浸漬して4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、4,5−ジクロロ−1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オンの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0160】
(実施例11)病害生物防除品11
アジピン酸ジブチル180質量部に2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド20質量部を溶解しA液を調製した。このA液を、荒川化学工業製2質量%スチレン無水マレイン酸の加水分解物(商品名:ポリマロンKS−1570)水溶液300質量部に添加し、TKホモミキサーM型(特殊機化工業製)で乳化し、O/Wエマルジョンを調製した。得られたO/Wエマルジョンを攪拌機(スリーワンモーター)で攪拌しながら住友化学製メラミンホルムアルデヒド初期重合物(商品名:Sumirezレジン607syrup)80質量部を添加した。次に、クエン酸でpH5.5に調整し、70℃で2時間攪拌し、メラミン樹脂を膜材とする平均粒子径10μmの2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドを8.1質量%内包するマイクロカプセルを42.4質量%含むカプセルスラリーを調製した。
【0161】
得られたカプセルスラリー100質量部に硫酸カリウム(和光純薬社製)3.5質量部を混合し攪拌し、更にA級石膏(吉野石膏社製)70質量部を室温で添加し3分間混合し、型に流し入れ、加圧などすることなく40℃の乾燥機で24時間乾燥して病害生物防除品11を得た。
【0162】
なお、病害生物防除品11中におけるマイクロカプセルの割合は33.3質量%であり、病害生物防除品11中における病害生物防除剤の割合は2.7質量%であった。
【0163】
得られた病害生物防除品11を水中に浸漬して2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドの分解も確認されず、抗菌作用が持続した。また、皮膚刺激性は確認されなかった。更に、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できた。
【0164】
(実施例12)病害生物防除品12
100質量部のベンゼンに1.2質量部のヘキサメチレンビスクロロホルムに溶解し、10質量部の水に0.2質量部のシクロヘキシミドと0.1質量部のヘキサメチレンジアミンとを溶解したものを滴下し乳化する。これを1時間反応させ、シクロヘキシミドを含有し平均粒子径10μmのポリウレタン樹脂からなるゲル物質を得る。
【0165】
得られたゲル物質とアニオン型ポリアクリル酸ソーダ(繰返構造単位:−CH2・CH・CO・ONa−、重量平均分子量:700万)とを混合し固化して、病害生物防除品12を得る。なお、病害生物防除品12中におけるゲル物質の割合は60質量%であり、病害生物防除品12中における病害生物防除剤の割合は5質量%である。
【0166】
得られた病害生物防除品12を水中に浸漬してシクロヘキシミドの徐放性を確認したが、6ヶ月以上の間急激な濃度低下はなく、シクロヘキシミドの分解も確認されず、忌避作用が持続する。また、皮膚刺激性は確認されず、使用中および使用後にマイクロカプセルが水中に散逸することはなく、簡単に回収できる。
【0167】
【発明の効果】
病害生物防除剤を内包し徐放するマイクロカプセル又は病害生物防除剤を含有し徐放するゲル物質を多孔質基材中に分散し担持することにより、病害生物防除剤の徐放性、安定性、低刺激性を向上すると共に、マイクロカプセル及びゲル物質の散逸を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の病害生物防除品を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
10 マイクロカプセル又はゲル物質
11 孔
12 多孔質基材
Claims (3)
- 病害生物防除剤を内包し徐放するマイクロカプセル又は病害生物防除剤を含有し徐放するゲル物質が多孔質基材中に分散され担持された病害生物防除品の使用方法であって、
該病害生物防除剤として、1,2−ジチアシクロペンタ−4−エン−3−オン類または2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド類を用い、
該病害生物防除品を水中で使用する、
病害生物防除品の使用方法。 - 前記多孔質基材は非水溶性である請求項1記載の病害生物防除品の使用方法。
- 前記多孔質基材は石膏、セメント含有物、粘土、粘土鉱物、チョーク様物、無機凝集剤、高分子凝集剤からなる群より選ばれる1種以上の固形物より主になる請求項1または2に記載の病害生物防除品の使用方法。
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