JP4324933B2 - 平面研磨装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、磁気ディスク基板、ガラス基板その他の板状ワークピースを研磨加工するための平面研磨装置に関するものであり、特に、シリコンウエハの研磨中にウエハの厚みを計測し、当該シリコンウエハを所望の厚みまで精度良く研磨することができる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体ウエハや磁気ディスク基板等には、表面の平面度や平坦度だけでなく、仕上り厚さについても非常に高い精度が要求される。この要求を満たすため、それらの製造過程では、ラッピング装置やポリシング装置などの平面研磨装置を用いてラッピング加工やポリッシング加工が行われている。
【0003】
そして、ラッピング加工やポリッシング加工を行うためのラッピング装置やポリッシング装置は、その中でもバッチ処理を行うものについては一般に、円盤状をなす上下の定盤と、これらの定盤の外周側及び内周側に配設されたインターナルギア及びサンギアと、下定盤上に円周方向に等間隔で配設されて前記インターナルギア及びサンギアに噛合する複数の薄板状のキャリアと、を有し、各キャリアの保持孔に保持された板状ワークピースを上下の定盤間に挟み、各キャリアをインターナルギア及びサンギアで遊星運動させると共に、上下の定盤を互いに逆方向に回転させることにより、前記板状ワークピースを研磨加工するようになっている。このとき定盤と板状ワークピースとの間には、流体研磨剤たるスラリ液が供給される。
【0004】
ここで、シリコンウエハの研磨を行うウエハ研磨装置において、ラッピング装置とポリッシング装置の違いは、ラッピング装置が研磨クロスを使用しないのに対し、ポリッシング装置は上下の定盤の内側に研磨クロスを擁し、これによってシリコンウエハの研磨を行うことであるが、特にポリッシング装置においては、キャリアとウエハの相対的な厚み差を管理し、研磨の終端を判定することがウエハの平坦性を確保する上で重要である。また、クロスの厚みを管理して安定した研磨効果を得ることにより、製造歩留まりを向上することができる。
【0005】
これに関し、研磨中のウエハの厚みを計測しながら研磨を行うことによって高精度な研磨を実現する従来技術としては、特公平2−60467公報に開示されているような研磨装置があり、この装置によれば、加工中の上下の定盤間の間隔を測定し、それを所定仕上り寸法と比較して両者が等しくなったときにラッピング操作を停止するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような研磨装置では、定盤の摩耗やラップ材の介在等による影響を受け、板状ワークピースを所望の厚さに精度良く研磨加工することができないという問題があった。そしてそれを解決するために、特開平5−309559号公報に開示されている研磨装置では、上下の研磨定盤間のキャリア及びウエハを定盤より突出させるようにし、レーザービームを使用した2つの距離計測器をウエハを挟むように配置して、エアを噴射して付着物を除去しながら厚みを計測するようにしている。
【0007】
しかしながら、特開平5−309559号公報に開示されている研磨装置では、次のような問題があった。まず、ウエハを研磨盤から露出させる必要があることから、ウエハへの汚染物質の付着が懸念されることに加え、エア噴射によって飛散するスラリ液が周辺機器や人体、ウエハ自身へ付着してしまうという問題がある。そして、それを防止するためにカバーを設置するなどの対策が必要となるが、いずれにしても半導体製作工程上のクリーン度確保の観点からすれば望ましいものであると言うことはできない。
【0008】
また、特開平5−309559号公報に開示されている研磨装置ではウエハとキャリアの区別が困難であるため、ウエハのみの厚みを正確に測定することが難しく、また、研磨クロスの厚みが計測できないので、クロス(研磨クロス)の劣化を的確に把握することができないという問題もある。
【0009】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、研磨中(定盤回転中)にウエハの厚みおよびクロスの厚みを測定し、定盤を途中で停止させることなくウエハの仕上げ厚みや平坦度を正確に作りこむことができる平面研磨装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明に係る平面研磨装置においては、研磨定盤に計測用観察窓を設け、板状ワークピースを透過する波長を光源とする共焦点光学系を当該定盤に固定し、その計測スポットを上下に移動させ、片側から、ワークピース裏面、ワークピース表面、スラリ液表面の3点の位置の計測をすることによって、ワークピース厚み及びスラリ液厚みを精密に検出するようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明をシリコンウエハに適用する場合には、研磨定盤に計測用観察窓を設け、シリコンを透過する波長(波長1μm〜2μmの赤外線)を光源とする共焦点光学系を定盤に固定し、計測スポットを上下に移動させ、片側から、ウエハ裏面、ウエハ表面、スラリ液表面の3点の位置を計測することになる。
【0012】
ここで、研磨定盤に計測用観察窓を設けるという構成を採用することにより、スラリ液が飛散して共焦点光学系その他へ付着することが防止されている。そして、ウエハ表面と観察窓の間に常にスラリ液が安定して充填されるようにすることによって、計測エリアにおいて研磨中常に安定したスラリ液の厚みが得られ、計測が安定する。
【0013】
このような本発明によれば、特開平5−309559号公報に開示されている研磨装置のようにウエハをオーバーハングさせる必要がないので、ウエハ自体の露出汚染の問題が解消される。また、キャリア部分では赤外線がキャリアを透過せず、キャリア表面とスラリ液表面の2つの計測値しか得られないことから、ウエハを計測した場合のデータと容易に区別がつくことになり、ウエハのみのデータを処理して精度の良い計測を行うことが可能になることに加え、研磨クロスの研磨中の厚みも同時に計測できるようになる。
【0014】
より具体的には、本発明においては以下のような平面研磨装置を提供する。
【0015】
(1) 流体研磨剤を使用して半導体ウエハ、磁気ディスク基板、ガラス基板その他の板状ワークピースの両面を同時に研磨加工するための平面研磨装置であって、前記流体研磨剤を介在させて前記板状ワークピースを挟み込み、当該挟み込まれた板状ワークピースの表面を研磨加工するために水平運動をする一対の定盤と、この上下定盤の間に配置され、前記板状ワークピースを保持すると共に前記上下定盤に対して相対的に水平運動をするキャリアと、前記板状ワークピースに対して透過する波長を光源とし、前記一対の定盤内において前記板状ワークピースの厚み方向に移動可能な焦点を形成すると共にその共焦点ピンホールを前記一対の定盤外に備える共焦点光学計測装置と、を備え、前記一対の定盤の少なくとも一方には、前記透過光を透過する観察窓が設けられている平面研磨装置。
【0016】
ここで「共焦点ピンホール」というのは、共焦点が形成される位置に対応して設けられた小さな穴(ピンホール)若しくは細い隙間(スリット)のことを意味する。「一対の定盤」は、一般には上下の定盤(上定盤と下定盤)で構成されている。「流体研磨剤」とは、いわゆるスラリ液のような流動状の研磨剤を意味し、それ自身が板状ワークピース(ウエハ)のエッチングを行う能力を有していても有していなくてもよい。また、液体を分散媒体として固体粒子から成る研磨剤がその中に分散されたようなものであってもよい。本明細書で言う「研磨加工」には、いわゆるポリッシングのような精密研磨の他に、それよりも粗いいわゆるラッピングや所定の研削加工等も含まれる。
【0017】
(2) 前記一対の定盤と前記板状ワークピースとの間には研磨クロスが配置され、前記観察窓と前記板状ワークピースの間の研磨クロスには、前記観察窓に対応する位置に、当該研磨クロスの所定範囲が除去されて形成された窓穴が設けられている(1)記載の平面研磨装置。
【0018】
上記のような窓穴は、観察窓に対応する位置の研磨クロスを、観察窓に対応する形状(例えば、円形形状)に切り抜いたり、或いは繰り抜いたりすることによって形成することができる。そして、このような窓穴は、前記光源からの透過光を円滑に透過させるとともに、一定量の流体研磨剤(スラリ)を貯留する機能を備える。
【0019】
(3) 前記窓穴に通じる溝が前記研磨クロスの表面に配置されている(2)記載の平面研磨装置。
【0020】
因みに、この種の装置に使用される研磨クロスの表面には、流体研磨剤(スラリ)が研磨クロス全体にくまなく行き渡るように、流体研磨剤(スラリ)供給用の溝が最初から形成されているが、この溝が窓穴に通じるように設計されることにより、当該窓穴に流体研磨剤(スラリ)が適宜供給されることとなり、一定量の流体研磨剤(スラリ)を貯留する機能の担保の万全を図ることができるようになる。
【0021】
(4) 前記窓穴に前記流体研磨剤を供給する供給路を備える(2)または(3)記載の平面研磨装置。
【0022】
(5) 前記板状ワークピースはシリコンウエハである(1)から(4)いずれか記載の平面研磨装置。
【0023】
【発明を実施するための形態】
[基本原理]
図1は本発明に係る平面研磨装置の実施形態を示したブロック図である。この図1に示されるように、本発明に係る平面研磨装置においては、共焦点光学計測装置1が上定盤10に固定され、観察窓14を通して、「観察窓14とスラリ液12の界面」、「ウエハ13の表面」、並びに「ウエハ13の裏面」の3点の位置を計測する。赤外光源2から出射した光3は、ハーフミラー4を透過し、コリメートレンズ5で平行光になる。
【0024】
ここで、対物レンズ6を上下させることで計測スポット7を上下に振動させ、対物レンズ6の位置に対応する赤外線受光器9の出力を計測する。計測スポット7は観察窓14とスラリ液12の界面、ウエハ13の表面、および、ウエハ13の裏面など、計測対象の屈折率の異なる界面で強く反射するため、ちょうどそれらの界面と計測スポット7が一致したところで反射光が検出されることとなり、コリメートレンズ5と対物レンズ6の間の距離に対する受光強度のピークの関係から、図2に示されるように、ウエハ厚みやクロス厚みを計測することができることとなる。
【0025】
なお、このような本発明に係る平面研磨装置においては、キャリア17が回転してキャリア17自身が計測されるような位置関係となった場合には、赤外光源2の光はキャリア17を透過することができないので、「観察窓14とスラリ液12の界面」および「キャリア17の表面」の2つのピークしか観測されないこととなる。従って、特開平5−309559号公報に開示されている研磨装置とは異なり、本発明に係る平面研磨装置においては、ピークの本数を見ることにより、ウエハ13を計測しているのか、それともキャリア17を計測しているのか、ということを容易に区別することができることとなり、この判別結果に基づいてウエハのみの厚みを正確に計測することができる。
【0026】
[装置の基本構成]
本発明に係る平面研磨装置は、図1に示されるように、共焦点光学計測装置1が上定盤10に固定され、観察窓14を通して、「観察窓14とスラリ液12の界面」、「ウエハ13の表面」、並びに「ウエハ13の裏面」の3点の位置を計測する。この場合において、共焦点光学計測装置1は、波長1μmから2μm間にスペクトルを持つ赤外光源2を備える。これは、シリコンが1μm以下の波長の光は透過しない一方で、ハーフミラー4、コリーメートレンズ5、及び対物レンズ6に一般的に使われるガラス材は2μm以上の波長の光を透過しない、という事情によるものである。なお、赤外光源2としては、例えば1.3μmあるいは1.5μmの半導体レーザー光源が好適である。
【0027】
この一方で、装置は、反射光を受光する側の構成として、ハーフミラー4によって光路変更された反射光が共焦点を形成する位置にピンホール8を配置し、当該ピンホール8の向こう側に当該ピンホール8を通過してきた反射光を受光する赤外線受光器(赤外線センサ)9を備え付けたものを有している。また、この装置においては、対物レンズ6が上下方向に平行移動する。なお、対物レンズ6の上下移動手段は、例えば、同様の共焦点光学計測装置であるキーエンス社LT8010の音叉によるものなどが計測スピードの点で望ましい。
【0028】
なお、装置の下定盤18の中にはウオータージャケット16が配置されており、研磨時に発生する熱の吸収を行うようにしている。
【0029】
[基本動作]
以上のような構成を備える本発明に係る平面研磨装置によれば、赤外光源2から出射した光3は、ハーフミラー4を透過し、コリメートレンズ5で平行光になる。そして、対物レンズ6を上下させることで計測スポット7を上下に振動させ、対物レンズ6の位置に対応する赤外線受光器9の出力を計測する。
【0030】
ここで、計測スポット7は、観察窓14とスラリ液12の界面、ウエハ13の表面、および、ウエハ13の裏面など、計測対象の屈折率の異なる界面で強く反射するため、丁度それらの界面と計測スポット7が一致したところで、反射光が対物レンズ6、コリメートレンズ5を経由し、ハーフミラー4で反射して更にピンホール8を通過して、赤外線受光器9に受光される。言い換えれば、共焦点光学系においては、計測スポット7と界面が一致しない場合には、界面で反射した光はピンホール8で蹴られてしまうので、反射光は赤外線受光器9に受光されない。従って、対物レンズ6を上下方向に平行移動させた場合には、コリメートレンズ5と対物レンズ6の間の距離に対応する赤外線受光器9の出力は図2のようになる。
【0031】
このようにして得られた「観察窓14とスラリ液12の界面」、「ウエハ13の表面」、並びに「ウエハ13の裏面位置」を基にしてウエハ13の厚みを計算するのであるが、その場合には、観察窓14、スラリ液12、ウエハー13の屈折率の影響と、観察窓14、スラリ液12の厚みを考慮する必要がある。
【0032】
[その他の構成]
本実施の形態において、観察窓14は、観察窓固定ねじ19で固定され、上定盤10に対しOリングシール15を施して設置している。そして、観察窓14の下側(ウエハ13側)には、当該観察窓14の下側に一定量のスラリ液12を保持するための窓穴11Xaが配置されている。本実施の形態において、この窓穴11Xaは観察窓14の下部の研磨クロス11を所定の範囲を円形に切り抜いて形成し、この窓穴11Xaの部分に一定量のスラリ液12が貯留されるようにしている。また、光源2から照射された赤外線は、この窓穴11Xaの部分を通過する。
【0033】
ここで、本装置の実施に際しては、研磨時の研磨クロス11の厚みを考慮し、観察窓14の下面とウエハが接触しないように観察窓14下面の突出量を設定しておく必要がある。また、窓穴11Xaにおけるスラリ液12の一定量の貯留を確保し、同時に、当該部分に気泡が入ってこないようにするために、窓穴11Xaが形成されるクロス11の表面に溝11Xbを設けて、ここから十分な量のスラリ液が円滑に供給されるようにしてもよい(図3)。なお、これと同様の目的を達成するために、より積極的な構成として、窓穴11Xaの付近に出口を備えるスラリ液供給路10aを上定盤10内に設けるようにしてもよい(図4)。
【0034】
なお、本発明に係る平面研磨装置においては、共焦点光学計測装置1は、上下どちらの定盤に設置してもよい。ここで、共焦点光学計測装置1を回転する定盤に取り付ける場合には、図7に示すように、計測装置1への電源を供給する手段として、計測装置1と共に上定盤10上にバッテリー22を設置するようにする実施形態(図7左側)や、定盤回転軸20に組み込んだ回転電極21による電力供給を行う実施形態(図7中央)などが考えられる。なお、計測装置1による計測データは、無線ユニット23によって無線でデータ処理装置24に転送するようにすると好適である(図7右側)。また、上定盤10上にバッテリー22や無線ユニット23を取り付けた場合には、それらを防護するためのカバー25を設置するのが好ましい。
【0035】
[厚み計測]
本発明に係る平面研磨装置においては、上定盤10を回転させながら対物レンズ6を上下させ、観察窓14とスラリ液12の界面、ウエハ13の表面、および、ウエハ13裏面の3点の位置を計測することによって、ウエハ等の厚み計測を行う。対物レンズ6の上限振動周波数は、ウエハ13の移動速度を考慮した上で、十分な速さを有することが望ましい。例えば、一つのケースとして、ウエハの移動速度が1000mm/sであった場合には、対物レンズ6の上限振動周波数を500Hzとしたときには、1回の計測でウエハが移動する距離は2mmとなるということを考慮する必要がある。
【0036】
そして、本発明に係る平面研磨装置においては、図2に示されるように、観察窓14とスラリ液12の界面、ウエハ13の表面、および、ウエハ13裏面の3点の位置は、赤外線センサ9の受光強度における3つのピークとして表れる。ここで、これらの3つのピークは、対物レンズ6の移動位置に対応して表れるので、対物レンズ6の移動位置(即ち、コリメートレンズ5と対物レンズ6の間の距離)から、ウエハ13の厚みやスラリ液12(研磨クロス11)の厚みを算出することができる。なお、本装置によって逐次計測されたデータについては、必要に応じて積分処理をし、平均の厚みを求めるようにしてもよい。
【0037】
ここで、キャリア16の回転によってキャリア16の部分が観察窓14の下に位置することとなって、当該観察窓14からはキャリア自身が計測されるというな位置関係となっているような場合には、キャリア16については赤外線を透過しないために、センサ9の出力は、図5に示されるように、2つのピークしか観測されないようになる。従って、赤外線受光器(赤外線センサ)9によって検出されるピークの数を判別することによって、キャリア16の部分を計測しているのかそれともウエハ13の部分を計測しているのかということを容易に区別することができる。このため、本発明に係る平面研磨装置によれば、キャリア16の部分とウエハ13の部分を明確に区別して、ウエハ13のみの厚みを的確に計測し、それを正確に知ることができる。
【0038】
ところで、ポリッシング装置のような平面研磨装置においては、観察窓14とスラリ液12の界面からウエハ13の表面までの距離は、実質的には研磨クロス11の研磨時の厚みを測定しているのと等価であるので、この厚みの経年的な変化を計測することによって、研磨クロス11の消耗を定量的に知ることができる。そして例えば、定められた厚み以下に研磨クロス11が磨耗してしまった場合には、研磨クロス11の寿命と断定し、クロス交換を実施するのが望ましい。
【0039】
なお、研磨クロス11を構成するクロス材の反射率が高い場合には、図8(a)及び(b)並びに図9に示されるように、ウエハ裏面付近の受光ピークは、ウエハ裏面での反射と研磨クロス11のクロス材表面26での反射との区別がつきにくくなる場合があり、ウエハ厚みの計測値の誤差を生じる可能性がある。この場合においては、研磨クロス表面26の位置は、微視的に見れば、場所毎にウエハ裏面と密着している場合とウエハ裏面との間にミクロンオーダーの隙間をもっている場合とが存在するので、このような場合には、ウエハ厚みのデータを予め決められた回数取得し、その最小値を有効なウエハ厚みのデータとして処理することにより、クロス材表面の反射によって生じる誤差を最小にすることができるようになる。
【0040】
[他の平面研磨装置等への適用等]
本発明をラッピング装置(ラップ研削盤)などの研磨クロス11を用いない板状ワークピース基盤の研磨装置へ適用する場合には、図6に示す様に、観察窓14を上定盤10の表面より後退させて設置する等の構成を採用することにより、観察窓14とウエハの間にスラリ液12が絶えず安定して充填された状態にしておくようにするとよい。
【0041】
なお、本発明は、ウエハのみならず、ガラス基板など光を透過する特性を持つ板状基盤の研磨工程において、外部装置を汚染しない状態で、研磨中にその厚みを計測し、管理する用途に適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上のような本発明に係る平面研磨装置においては、研磨中(定盤回転中)にウエハ等の板状ワークピースの厚みおよび研磨クロスの厚みを測定し、定盤を途中で停止させることなくウエハ等の板状ワークピースの仕上げ厚み、および平坦度を正確に作り込むことができる。また、研磨クロスの厚みを的確に計測することができ、これによって研磨クロス劣化の判定を適切に行うことができるようになる。
【0042】
より具体的には、本発明に係る平面研磨装置においては、研磨中にウエハ等の板状ワークピースの厚みを計測し、仕上げ厚みになったら研磨を終了するので、確実に仕上げ厚みを管理することができ、研磨取りしろの過不足や平坦度の劣化を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る平面研磨装置の実施形態を示したブロック図である。
【図2】 共焦点光学計測装置によって「観察窓14とスラリ液12の界面」、「ウエハ13の表面」、並びに「ウエハ13の裏面」の3点の位置を計測する際の原理を説明するための図であり、対物レンズ6を移動させた場合に、対物レンズ6の位置に応じて変化する赤外線受光器9の受光量を図示したものである。
【図3】 窓穴11Xaの構成を示す斜視図である。
【図4】 スラリ液供給路10aの構成を説明するための断面図である。
【図5】 キャリア16の回転によってキャリア16の部分が観察窓14の下に位置することとなって、当該観察窓14からキャリア自身が計測されている場合の赤外線受光器9の受光量の変化を示す図である。
【図6】 本発明をラッピング装置(ラップ研削盤)などの研磨クロス11を用いない板状ワークピース基盤の研磨装置へ適用した場合の実施形態を示すブロック図である。
【図7】 本発明に係る平面研磨装置の電源、データの伝送方法等を説明するためのブロック図である。
【図8】 研磨クロス11を構成するクロス材の反射率が高い場合の誤差の補正の原理を説明するための一部断面図である。
【図9】 図8と相俟って研磨クロス11を構成するクロス材の反射率が高い場合の誤差の補正の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 共焦点光学計測装置
2 赤外光源
3 光
4 ハーフミラー
5 コリメートレンズ
6 対物レンズ
7 計測スポット
8 ピンホール
9 赤外線受光器(赤外線センサ)
10 定盤
10a スラリ液供給路
11 研磨クロス
11Xa 窓穴
11Xb 溝
12 スラリ液
13 ウエハ(板状ワークピース)
14 観察窓
15 Oリングシール
16 ウオータージャケット
17 キャリア
18 下定盤
19 観察窓固定ねじ
20 定盤回転軸
21 回転電極
22 バッテリー
23 無線ユニット
24 データ処理装置
25 カバー
26 クロス材表面

Claims (3)

  1. 流体研磨剤を使用して半導体ウェハ、磁気ディスク基板、ガラス基板その他の板状ワークピースの両面を同時に研磨加工するための平面研磨装置であって、
    前記流体研磨剤を介在させて前記板状ワークピースを挟み込み、当該挟み込まれた板状ワークピースの表面を研磨加工するために水平運動をする一対の定盤と、
    この上下定盤の間に配置され、前記板状ワークピースを保持すると共に前記上下定盤に対して相対的に水平運動をするキャリアと、
    前記板状ワークピースに対して透過する波長を光源とし、前記一対の定盤内において前記板状ワークピースの厚み方向に移動可能な焦点を形成すると共にその共焦点ピンホールを前記一対の定盤外に備える共焦点光学計測装置と、
    を備え、
    前記一対の定盤の少なくとも一方には、前記透過光を透過する観測窓が設けられ、
    前記一対の定盤と前記板状ワークピースとの間には研磨クロスが配置され、
    前記観測窓と前記板状ワークピースの間の研磨クロスには、前記観測窓に対応する位置に、当該研磨クロスの所定範囲が除去されて形成され、流体研磨剤が貯留される窓穴が設けられ、
    前記窓穴に前記流体研磨剤を供給する供給路を備えている平面研磨装置。
  2. 前記窓穴に通じる溝が前記研磨クロスの表面に配置されている請求項1記載の平面研磨装置。
  3. 前記板状ワークピースはシリコンウェハである請求項1または請求項2記載の平面研磨装置。
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