JP4324430B2 - 緊張材端部蓋部材及びプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法 - Google Patents

緊張材端部蓋部材及びプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法 Download PDF

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本発明は、プレストレストコンクリートの構造体を挿通した緊張材の一端側を覆い、内部に固定剤を注入して硬化させるために用いる緊張材端部蓋部材及びそれを用いたプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法に関するものである。
従来、コンクリートに予め圧縮方向の力を与えておくプレストレストコンクリートの技術が知られている。この技術は、コンクリートに予めシース(中空パイプ)を埋め込んでおき、シースにケーブルを挿入し、このケーブルをジャッキで引張り、端部をチャックで締め付けて固定し、その後、シース内のケーブルとの隙間にモルタル等の固定剤を注入して固めるものである。これにより、ケーブルの引張力の反力として、コンクリートに圧縮力が与えられる。この技術によれば、圧縮に強いが引張に弱いというコンクリートの特性を改善することができる。そして、このプレストレストコンクリートの技術において、固定剤を注入する際には、ケーブルとチャックの隙間から固定剤が漏れてしまうのを防止するために、ケーブルの端部に液漏れ防止キャップが取り付けられる(特許文献1参照)。
実開昭63−171415号公報
しかし、この液漏れ防止キャップは伸縮性のあるゴム製の円筒で形成されていたため、剛性が弱いものであった。このため、液漏れを防止すべき箇所を強力にシールできず、固定剤を注入する際に、固定剤の圧力で液漏れ防止キャップが簡単に外れてしまったり、固定剤が漏れてしまうという問題があった。また、固定剤を注入した後は液漏れ防止キャップをいちいち取り外していたため、何百回ものキャップ取り外し作業を要するプレストレストコンクリートの橋梁の工事作業に、非常に手間が掛かってしまうという問題があった。逆に剛性を上げるためキャップを肉厚にすると、通常高度5m〜30mの現場で作業する作業者にとって重量が大きな負担になるし、キャップの取り付け自体が難しくなって、作業時間がかかる。また、軽量で剛性の高い材料は比較的高価となって、費用が増加する。そして、液漏れ防止キャップの径を遊びのない寸法にすると、内部に残った空気や水が排出できず、作業に手間取るという問題があった。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、シール性が高くキャップ取り外しが不要で作業性に優れた緊張材端部蓋部材を提供することを目的とする。
また、シール性が高く、緊張材端部蓋部材を取り付けることで、内部の空気や水が確実に排出でき、工期を大幅に短縮でき、作業性が高く、コストを大幅に低減することができるプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、プレストレストコンクリートの構造体のシースに緊張材を挿通し、固定具により引張り力を加えた状態で端部を保持し、端部及び固定具の一端側を覆って内部に固定剤を注入して硬化させるために用いる緊張材端部蓋部材であって、端部及び固定具の一端側の端面を覆う閉塞部と、該閉塞部から延長されて固定具の周囲に圧入される筒状部とを備え、筒状部の外周面には、リング状のフランジ部が該筒状部と一体形成されており、かつ、閉塞部には空気と水を通過させる気水排出部が設けられ、気水排出部が、通気性を有するとともに加圧することによって水を透過する通気透水性材料で形成されたフィルター要素を備えた構成を有している。
本発明によれば、高度なシール性能を有し作業性に優れた緊張材端部蓋部材を得ることができる。また、この緊張材端部蓋部材を使用して、シール性が高く、作業時に内部の空気や水が確実に排出でき、固定剤に空洞部分を残すことなく、乾燥を促進し、水の排出は圧力調整によって自在に調整でき、工期を大幅に短縮するとともに、作業性を向上することができ、コストを大幅に低減することができるプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法を提供できる。
発明を実施するための第1の形態は、プレストレストコンクリートの構造体のシースに緊張材を挿通し、固定具により引張り力を加えた状態で端部を保持し、端部及び固定具の一端側を覆って内部に固定剤を注入して硬化させるために用いる緊張材端部蓋部材であって、端部及び固定具の一端側の端面を覆う閉塞部と、該閉塞部から延長されて固定具の周囲に圧入される筒状部とを備え、筒状部の外周面には、リング状のフランジ部が該筒状部と一体形成されており、かつ、閉塞部には空気と水を通過させる気水排出部が設けられ、気水排出部が、通気性を有するとともに加圧することによって水を透過する通気透水性材料で形成されたフィルター要素を備えた緊張材端部蓋部材であり、リング状のフランジ部の内周面は剛性が高く、ここが支点となって筒状部が緩むことがなく、高度なシール性能を発揮することができ、かつ、固定剤に混入した空気と水を気水排出部から逃がすことができる。固定剤に空洞部分を残すことなく、乾燥を促進し、水の排出は圧力調整によって自在に調整できる。リング状のフランジ部がコンクリートとの密着力、固定力を増すため、緊張材端部蓋部材内の固定剤が硬化した後に、緊張材端部蓋部材を取り外さずに、そのまま外部にコンクリートを充填して硬化することができ、プレストレストコンクリートの構造体を造るとき従来のような工程が不要で、作業性を向上させることができる。
発明を実施するための第の形態は、プレストレストコンクリートの構造体のシースに緊張材を挿通し、固定具により引張り力を加えた状態で端部を保持し、第の形態の緊張材端部蓋部材の気水排出部を上方に向けた状態を保ちながら、該緊張材端部蓋部材の筒状部を固定具の周囲に圧入するとともに閉塞部によって端部及び固定具の一端側を覆い、さらにシース内及び緊張材端部蓋部材の内部に固定剤を注入して硬化させ、気水排出部のフィルター要素を介して内部の空気と水を排出するプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法であり、固定剤に混入した空気を通気部から効果的に逃がすことができる。
以下、本発明の実施例1について、図面に基づいて説明する。図1(a)から図1(c)は本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の断面図、図2は本発明の実施例1におけるプレストレストコンクリートの構造体の部分断面図、図3(a)から図3(d)は本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の装着状態図、図4は本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の断面図、図5(a)から図5(h)は、本発明の実施例1におけるプレストレストコンクリートの構造体の製造工程図である。
まず、実施例1の緊張材端部蓋部材の形状について説明する。図1(a)において、1は緊張材端部蓋部材、2は筒状部、2aは筒状部2の一方側の開口部、3は閉塞部、4はフランジ部、5はテーパー部、6は底部である。本発明の緊張材端部蓋部材1は、プレストレストコンクリートの構造体の製造において、モルタル(本発明の固定剤)等の液漏れを防止するものである。
緊張材端部蓋部材1は、ポリプロピレン、ポリエチレン、透明HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、透明ABS、耐衝撃性アクリル等の透明樹脂または半透明樹脂で一体成型されており、周囲にフランジ部4が設けられこれを持って圧入するとき開口部2aが拡開して圧入を容易に行える筒状部2と、モルタル等の液漏れを防ぐための閉塞部3とから構成される。なお、実施例1の筒状部2は円筒であるが、角筒などの他の筒型の形状にすることも可能である。ただし、製作容易性および強度の点から、筒状部2は円筒形状であることが望ましい。
閉塞部3は、傾斜した状態で筒状部2に連続する中空裁頭円錐形状のテーパー部5と、筒状部に略直交しテーパー部5に連続する円板形状の底部6とから成っている。なお、テーパー部5は、緊張材端部蓋部材を構成するための必須の構成ではないが、テーパー部5を設け、底部6の外形が筒状部2の内径よりも小さくなるように構成すると、緊張材端部蓋部材1が他の緊張材端部蓋部材1に入り込んだ状態で積み重ねることができるため(図1(b)参照)、緊張材端部蓋部材1の保管スペースを節約することが可能になる。さらに、緊張材端部蓋部材1を圧入して開口部2aを拡開するとき、テーパー部5の存在によって応力の集中を防ぐことができ、作業も楽になるし、緊張材端部蓋部材1の寿命も長くなる。
このフランジ部4は中空円板形状(リング状)の形状を有し、筒状部2の剛性を強化するために、筒状部2と連続して一体成型される。このフランジ部4が設けられることにより、緊張材端部蓋部材1のシール線となる部分に高い剛性が確保され、しかも液漏れを防止すべき箇所がシール線というより中空円板の幅のシール面として強力にシールされる。また、作業者がPC鋼材(本発明の緊張材)の端部及び後述するくさびコーン17等の固定具の一端側を覆って緊張材端部蓋部材1をキャップするとき、フランジ部4を摘んで取り付け作業をすることができるので、作業性が著しく向上する。さらに、フランジ部4が筒状部2と連続して一体的に設けられているので、1回の取り付け作業を行えばよく、例えば筒状部2とフランジ部4とを別体で製作して後から中空円板(リング)で締め付ける場合のような2度手間がかからないため、作業性に優れている。なお、一般に部材の断面2次モーメントは高さの増加に伴って著しく増加するので、フランジ部4の高さh(筒状部2の径方向の寸法)は、板厚tと同等程度あれば足りる。ただし、十分な剛性の確保と手で摘む部分の面積の確保という点から、フランジ部4の高さhは、板厚tの2倍から4倍程度が望ましい。リング状のフランジ部4の内周面は剛性が高く、ここが支点となって筒状部2が緩むことがなく、内部に加圧したモルタル等が注入されても高度なシール性能を維持するとともに、内部のモルタル等が硬化後にも確実に固定され密着力が維持できる。フランジ部4が、鉄筋コンクリートにおける鉄筋などの芯材のように、外部に充填するコンクリートとの密着力、固定力を増すため、緊張材端部蓋部材内のモルタル等が硬化した後に、緊張材端部蓋部材を取り外さずに、そのまま外部にコンクリートを充填して硬化することができ、プレストレストコンクリートの構造体を造るとき従来のようなキャップ取り外しの工程が不要で、作業性を向上させることができる。
筒状部2の内側には、後述するグリップ16への挿入を容易にするための面取り加工が施された誘い込み部2cと、グリップ16を保持する保持部2dと、グリップ16の端部が突き当たるストッパー部2eと、モルタル等の固定剤が充填される充填部3aが形成されている。なお、ストッパー部2eが設けられた筒部終端位置2bで筒状部2とテーパー部5が接続される。
ところで、テーパー部5には、空気と水を通過させる気水排出部が設けられており、この気水排出部から残留空気と固定剤に混入した水を排出することができるようになっている。この気水排出部は、テーパー部に設けられた貫通孔5aと、貫通孔5aを内側から塞ぐ通気透水性シート(本発明のフィルター要素)5bと、通気透水性シート5bをテーパー部5に結合させる結合部5cとからなっている(図1(a)のA部を拡大した図1(c)参照)。貫通孔5aは直径3mm程度の孔となっているが、この寸法・形状に限定されるものではない。また、貫通孔5aを複数設けても良い。通気透水性シート5bは、空気を通過させ、水分は圧力がかかったとき透過するものであれば材料は問わないが、例えば、連続性極細繊維に高熱を加えて結合させたポリオレフィン系不織布、例えばデュポンタイベック(登録商標)等のポリエチレン系不織布、あるいはポアロン(登録商標)等のPTFE等の繊維構造の多孔質シートが適当である。そして、通気透水性シート5bの厚さは、水透過性を調節するため0.1mmから0.2mm程度から選択するのが望ましい。このように気水排出部を、通気性を有し、水圧によって水を透過する通気透水性材料で形成するため、緊張材端部蓋部材1を装着するとき脱気しながら容易に圧入できるし、気水排出部を上方(鉛直方向)に配置することにより固定剤を充填したときも内部に残留する空気は皆無で、加圧された圧力により、固形成分を捕捉した状態で水分のみを排出して乾燥を促進することができる。結合部5cは、通気透水性シート5bをテーパー部5に結合させる機能を有するものであれば足りるが、ここでは、結合部5cとして両面テープを採用している。結合部5cとしては、他に、接着剤等、各種の結合手段を採用できる。
ところで、上述したように気水排出部を上方へ配置すると水やモルタル等と空気の比重差で空気の排出が円滑となる。従って、緊張材端部蓋部材1を横向きに使用する場合、気水排出部を上方へ向けて装着するか、複数の気水排出部を設けてその中の1つが上方に位置するようにすれば、残留空気を気水排出部から効果的に逃がすことができるため、望ましい。
次に本発明の緊張材端部蓋部材を使用するプレストレストコンクリート工法について説明する。図2は本発明の実施例1におけるプレストレストコンクリートの構造体の部分断面図である。図2において、10はコンクリート、11はシース、12はPC鋼材(緊張材)、13は支圧板、14はシール部材、15はパイプ、16はグリップ、17はくさびコーン、18はコンクリート被覆である。なお、図2は、プレストレストコンクリートの構造体として、橋梁などに用いられるプレストレストコンクリートの棒状体の片側の部分断面図を示しており、この棒状体の反対側も同様の構成となっている。
ポルトランドセメント等のセメント、砂等の細骨材、および砂利等の粗骨材等からなるコンクリート10には、中空パイプとしてのシース11が埋め込まれている。このシース11には、コンクリート10に圧縮力を与えるための、鋼棒、ピアノ線の束等からなり引張強度の高い緊張材としてのPC鋼材12が挿通されている。このPC鋼材12は、図示しないジャッキ等の緊張手段で引張力が与えられた後に、くさびを用いる公知のフレシネ工法によって、後述するような状態で固定されている。なお、緊張材として、FRP等の非金属材料を用いてもよい。また、緊張材に引張力を与える方法としては、フレシネ工法を例示しているが、これに限られるものではなく、ナット定着法である公知のディビダーク工法や、ループ式定着法である公知のバウルーレオンハルト工法等、種々の方法を採用することができる。
支圧板13にはパイプ挿入用の穴が設けられており、これにパイプ15を挿入し、このパイプ15から、シース11とPC鋼材12との隙間にモルタルやセメントペーストないしグラウト等の流動性を有する固定剤を充填するようになっている。なお、モルタルは、セメントと水と砂等の細骨材とを混合したものであり、セメントペーストは、セメントと水とを混合したものである。コンクリート10と支圧板13との間の隙間はシール部材14によってシールされており、固定剤が漏出しないようになっている。
グリップ16は、PC鋼材12に挿通した状態で支圧板13に当接している。このグリップ16の内部にはくさびコーン17が嵌め込まれ、くさびの効果により、くさびコーン17がPC鋼材12を締め付けて把持している。PC鋼材12を把持したくさびコーン17は、PC鋼材12が有する引張力によって、コンクリート10の方向(図2における左方)へ押し当てられている。これによって生ずる力が、グリップ16、支圧板13、シール部材14を介して、コンクリート10に作用している。このようにして、コンクリート10には圧縮力が作用している状態となっている。
グリップ16には本発明の緊張材端部蓋部材1が被せられており、パイプ15から固定剤を充填する際、PC鋼材12、グリップ16、くさびコーン17等に存在する隙間からモルタル等の固定剤が漏出するのを防止するようになっている。充填部3aに固定剤が十分に充填されたか否かは、緊張材端部蓋部材1が透明樹脂または半透明樹脂によって形成されているので、目視によって確認できるようになっている。
そして、本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材1は、固定剤の充填後、緊張材端部蓋部材1を取り除かず、緊張材端部蓋部材1の上から更にコンクリートを覆って固めてコンクリート被覆18を形成するという特徴を有している。従来のプレストレストコンクリートの構造体を造る工程においては、作業員が5m〜30mの空中で多数の橋桁で緊張材端部蓋部材1を取り外す必要があり、時間的、コスト、安全性の点で課題を有していた。シールを確実にする必要から、緊張材端部蓋部材1がグリップ16に強固に嵌合するため、従来は取り外す際に破壊する必要があった。作業の面でもコストの面でもこの工程は負担の大きなものであった。
しかし、実施例1のように、固定剤の充填後、緊張材端部蓋部材1の上から更にコンクリートを覆って固めてコンクリート被覆18を形成した場合には、鉄筋などの芯材のようにフランジ部4が抵抗となって密着力を増し、コンクリート被覆18内における緊張材端部蓋部材1のPC鋼材12の軸方向への動きをフランジ部4が抑制するので、プレストレストコンクリートの構造が安定する。このとき、フランジ部4、筒状部2の外面及び閉塞部3の外面を凹凸を有する粗面にすると、コンクリート被覆18との付着性ないしなじみが良くなり、密着力を上げることができる。また、緊張材端部蓋部材1を、金属やABS樹脂等の塩素を含まない非塩素含有材で形成すると、いわゆる塩害によるコンクリートの劣化を防止することができ、プレストレストコンクリートの構造体の長寿命化を実現できる。
次に、図3を用いて、緊張材端部蓋部材1の取り付け作業時における力の作用状態を説明する。図3(a)から図(d)は本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の装着状態図である。図3(a)に示すように、緊張材端部蓋部材1の挿入初期は、保持部16の外形に対して余裕を持って大きめに設定された誘い込み部2cから、スムーズに挿入が開始される。次に、図3(b)に示すように保持部2dがグリップ16に接触すると、フランジ部が存在する点(A点)を固定端として、いわゆる片持ち梁に類似した変形挙動、すなわち拡開動作を行う。この際、実施例1においてはフランジ部4が設けられているため、作業者がフランジ部4を持って曲げモーメントを加えるとさらに効果的な拡開動作となる。なお、ここでは理解を容易にするために、変位を誇張して図示している。ところで、フランジ部4の存在により、フランジ部が存在するA点は断面2次モーメントが極めて大きくなっているので、近似的に固定端とみなすことができる。したがって筒状部2への強制的な開口変位に対して生じる力が比較的小さい挿入初期は、簡単に挿入が進行するが、フランジ部4が存在するA点に近づくにつれて、グリップ16には緊張材端部蓋部材1による大きな保持力が発生する。作業者はフランジ部4からの曲げモーメントを徐々に小さくする必要がある。そしてフランジ部4が存在するA点に到達すると、その保持力は極めて強力になる(図3(c))。しかし、フランジ部4は終端近傍(ストッパー部2eの近傍)に設けられているので、底部6をハンマー等で打ち込むことにより、装着を完了することができる(図3(d))。
なお、フランジ部4は、筒状部2の外側に筒状部2と連続して一体的に設けられている限りにおいて、筒状部2のどの位置に設けても構わないが、図3(d)に示すように、フランジ部4が筒状部2を2対1に内分する点もしくはその周辺に設けると、緊張材端部蓋部材1の簡単な装着と緊張材端部蓋部材1によるグリップ16の確実な保持とのバランスがとれるので望ましい。
また、図4に示すように、保持部2dにスペーサ2Aを嵌め込むように構成し、このスペーサ2Aの厚さ乃至形状を、グリップ16の外径乃至形状に応じて変更するようにすれば、多種多様なグリップ16に装着できるようになるので望ましい。なお、このスペーサ2Aの端部を面取りすると、グリップ16への装着が容易になる。
次に、図5を用いて本発明の緊張材端部蓋部材1を用いたプレストレストコンクリートの構造体の製造方法について説明する。図5(a)から図5(h)は、本発明の実施例1におけるプレストレストコンクリートの構造体の製造工程図である。まず、シース11が埋め込まれた型枠19を準備し、シース11の周囲にフレッシュコンクリート(液状コンクリート)を供給する(図5(a))。そして、このフレッシュコンクリートを硬化した後に型枠19を取り除いて、シース11が埋め込まれたコンクリート10を準備する(図5(b))。次に、シース11にPC鋼材12を挿入し(図5(c))、図示しないジャッキ等で引張応力を与えた状態で、PC鋼材12の端部を前述したグリップ16等で固定する(図5(d))。続いて、グリップ16に本発明の緊張材端部蓋部材1の気水排出部を上方に向けた状態で装着し(図5(e))、シース11とPC鋼材12との間に固定剤を充填して硬化する(図5(f))。
その後、緊張材端部蓋部材1の周囲に型枠20を設け、型枠20に液状コンクリートを供給することにより、緊張材端部蓋部材1の周囲を液状コンクリートで覆った後、液状コンクリートを硬化させる(図5(g))。そして、型枠20を取り外すと、プレストレストコンクリートの棒状体が完成する(図5(h))。このようにして、プレストレストコンクリートの構造体を製造する。
この製造方法によると、緊張材端部蓋部材1を取り外す必要がなくなるので、作業を簡略化することができる。また、緊張材端部蓋部材1を、金属またはABS樹脂等の塩素を含まない非塩素含有材で形成すれば、塩害が生じにくくなるので、プレストレストコンクリートの棒状体の長寿命化を実現することができる。
また、このようにして製造したプレストレストコンクリートの構造体は、プレストレストコンクリートに緊張材端部蓋部材1を埋め込んだ構造となっており、簡易に製造でき、かつ、緊張材端部蓋部材1が芯材としてプレストレスコンクリートになじんで一体となって、構造的に安定したものとなっている。
なお、プレストレストコンクリートの構造体の例として、実施例1においては、プレストレストコンクリートの棒状体を示したが、これに限られるものではない。例えば、プレストレストコンクリートの梁、橋桁、橋梁、または、プレストレストコンクリートのセグメント(個片)をつなぎ合わせて製作するプレストレストコンクリートの板状体等であっても構わない。
以下、本発明の実施例2について、図面に基づいて説明する。図6は本発明の実施例2における緊張材端部蓋部材の部分断面図である。図6において、21は緊張材端部蓋部材、22は筒状部、23は閉塞部、24はフランジ部、25はテーパー部、26は底部である。実施例2における緊張材端部蓋部材21も、実施例1と同様に、プレストレストコンクリートの構造体の製造において、モルタル等の液漏れを防止するものであり、実施例1と同様の機能のフランジ部24を有する。また、その他の各部位の機能も、実施例1における同一名称の部位と同様の機能を有している。
実施例1と異なるのは、緊張材端部蓋部材21が金属のプレス加工ないし製缶加工技術を用いて製作されているという点である。この緊張材端部蓋部材21は、フランジ部24が金属の折り曲げによって形成されている。また、緊張材端部蓋部材21の外面を部分的に波加工することによって、粗面を作り出している。すなわち、緊張材端部蓋部材21は、折り曲げ形状のフランジ部24と波形状の外面を備えている。また、このように緊張材端部蓋部材21を鉄、アルミニウム等の金属材料で製作すると、緊張材端部蓋部材21の材料に塩素を含まないため、軽量でコンクリートの馴染みがよく、いわゆる塩害によるコンクリートの劣化を防止することができ、プレストレストコンクリートの構造体の長寿命化を実現できるので望ましい。
本発明は、プレストレスコンクリート構造体を設置するプレストレストコンクリート工法において、装着が容易で、消耗品ではなくそのまま芯材としても機能する緊張材端部蓋部材を提供できる。また、この緊張材端部蓋部材を使用することで、緊張材端部蓋部材を取り除く工程が不要で、固定剤に空洞部分を残すことなく、乾燥を促進し、水の排出は圧力調整によって自在に調整でき、工期を大幅に短縮でき、作業性が高く、コストを大幅に低減することができる新しいプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法を提供できる。
(a)本発明の実施の形態1における緊張材端部蓋部材の断面図、(b)本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の断面図、(c)本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の断面図 本発明の実施例1におけるプレストレストコンクリートの構造体の部分断面図 (a)〜(d)本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の装着状態図 本発明の実施例1における緊張材端部蓋部材の断面図 (a)〜(h)本発明の実施例1におけるプレストレストコンクリートの構造体の製造工程図 本発明の実施例2における緊張材端部蓋部材の部分断面図
符号の説明
1、21 緊張材端部蓋部材
2、22 筒状部
2A スペーサ
2a 筒部終端位置
2b 開口部
2c 誘い込み部
2d 保持部
2e ストッパー部
3、23 閉塞部
3a 充填部
4、24 フランジ部
5、25 テーパー部
5a 貫通孔
5b 通気透水性シート
5c 結合部
6、26 底部
10 コンクリート
11 シース(中空パイプ)
12 PC鋼材(緊張材)
13 支圧板
14 シール部材
15 パイプ
16 グリップ
17 くさびコーン
18 コンクリート被覆
19、20 型枠

Claims (2)

  1. プレストレストコンクリートの構造体のシースに緊張材を挿通し、固定具により引張り力を加えた状態で端部を保持し、前記端部及び前記固定具の一端側を覆って内部に固定剤を注入して硬化させるために用いる緊張材端部蓋部材であって、
    前記端部及び前記固定具の一端側の端面を覆う閉塞部と、該閉塞部から延長されて前記固定具の周囲に圧入される筒状部とを備え、
    前記筒状部の外周面には、リング状のフランジ部が該筒状部と一体形成されており、かつ、前記閉塞部には空気と水を通過させる気水排出部が設けられ、
    前記気水排出部が、通気性を有するとともに加圧することによって水を透過する通気透水性材料で形成されたフィルター要素を備えたことを特徴とする緊張材端部蓋部材。
  2. プレストレストコンクリートの構造体のシースに緊張材を挿通し、固定具により引張り力を加えた状態で端部を保持し、請求項記載の緊張材端部蓋部材の気水排出部を上方に向けた状態を保ちながら、該緊張材端部蓋部材の筒状部を前記固定具の周囲に圧入するとともに閉塞部によって前記端部及び前記固定具の一端側を覆い、さらに前記シース内及び前記緊張材端部蓋部材の内部に固定剤を注入して硬化させ、前記気水排出部のフィルター要素を介して内部の空気と水を排出することを特徴とするプレストレストコンクリート工法の緊張材端部処理方法。
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