JP4324275B2 - 粉体塗料の輸送供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、粉体塗料タンクから粉体塗料を吸引して、塗装ガンに送出する粉体塗料の輸送供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉体塗料タンク内の粉体塗料を塗装ガンに送出する場合、インジェクターが使用されている。
【0003】
インジェクター1は、図5に示すように、ノズル2から本体7内に圧縮空気Aを導入した際に、本体7内に生じる吸引力によって、粉体塗料タンク3から粉体塗料を吸引し、圧縮空気と共に、粉体塗料を吐出する装置であって、インジェクター1の吐出口4と塗装ガン5とは、通常ホース6によって接続されている。なお、本体7には、サブエアーBも導入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、塗装作業を行う場合、塗装ガン5をレシプロケータ装置によって被塗物に対して上下動させることが多い。ところが、塗装ガン5を上下動させると、インジェクター1と塗装ガン5とを繋いでいるホース6も上下動し、それによってホース6の曲がり量が絶えず変化し、ホース6内の空気抵抗(圧損)に変化が生じる。
【0005】
このため、インジェクター1の吸引力が刻一刻変化することになり、粉体塗料タンク3から吸引される粉体塗料の量が安定しないという問題があった。
【0006】
また、塗装ガン5を移動させないで、固定させた場合においても、ホース6の長さが変わったり、ホース6内を清掃したりすると、それによってホース6の圧損が変化するため、塗装ガン5から吐出される粉体塗料の量が変化するという問題があった。
【0007】
そこで、この発明は、塗装ガンとインジェクターとを繋ぐホースが移動したり、交換された場合においても、塗装ガンから吐出される粉体塗料の量を一定に保つことができる粉体塗料の輸送供給装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するために、粉体塗料タンクから粉体塗料を引き出して塗装ガンに送出するインジェクターを、吸引口が粉体塗料タンクに接続され、粉体塗料タンクから粉体塗料を吸引して圧縮空気と共に吐出口から送出するタンク側インジェクターと、吸引口がタンク側インジェクターの吐出口に接続され、タンク側インジェクターから吐出される粉体塗料を吸引して圧縮空気と共に吐出口から送出する中継インジェクターとに区分し、上記タンク側インジェクターの吐出口と中継インジェクターの吸引口とを繋ぐ輸送路を固定通路によって形成したのである。
【0009】
粉体塗料タンクに接続されたタンク側インジェクターの吐出口と、中継インジェクターの吸引口とを繋ぐ粉体塗料の輸送路を固定通路にした場合、タンク側インジェクターと中継インジェクターとの間の輸送路の抵抗が一定になる。即ち、固定通路の抵抗は、中継インジェクターと塗装ガンとの間の輸送路の抵抗が、塗装ガンの上下動によって変化しても、変化せず一定である。従って、タンク側インジェクターと中継インジェクターとの間の輸送路を固定通路にすることにより、タンク側インジェクターの吸引力を一定に保つことが可能となり、タンク側インジェクターから吐出される粉体塗料の量が一定となる。そして、タンク側インジェクターによって引き出された一定量の粉体塗料が中継インジェクターによって塗装ガンに送出されるので、塗装ガンからは一定量の粉体塗料が吐出される。
【0010】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
この発明に係る粉体塗料の輸送供給装置は、図1に示すように、粉体塗料タンク3から粉体塗料を引き出して塗装ガン5に送出するインジェクターを、タンク側インジェクター11と中継インジェクター21とに区分し、タンク側インジェクター11と中継インジェクター21とを繋ぐ粉体塗料の輸送路を、上下動したり、折れ曲がったりしない固定通路13にしたものである。
【0012】
上記タンク側インジェクター11は、本体12内に圧縮空気Aを噴出するノズル14を有し、本体12には、このノズル14から噴出する圧縮空気Aの吸引力が作用する吸引口15と、ノズル14から噴出する圧縮空気Aと共に、吸引口15から吸引した粉体塗料を吐出する吐出口16とが設けられている。上記タンク側インジェクター11の吸引口15は、粉体塗料タンク3に対して、引き出しパイプ17を介して接続されている。
【0013】
上記中継インジェクター21は、本体22内に圧縮空気Aを噴出するノズル24を有し、本体22には、このノズル24から噴出する圧縮空気Aの吸引力が作用する吸引口25と、ノズル24から噴出する圧縮空気Aと共に、吸引口25から吸引した粉体塗料を吐出する吐出口26とが設けられている。
【0014】
そして、上記タンク側インジェクター11の吐出口16と上記中継インジェクター21の吸引口25とが固定通路13によって繋がれている。この固定通路13としては、タンク側インジェクター11の本体12と、中継インジェクター21の本体22とを直結するように設けてもよいし、タンク側インジェクター11の吐出口16と中継インジェクター21の吸引口25とが固定されたホースによって繋がれるように設けてもよい。
【0015】
上記中継インジェクター21の吸引口25には、エアーの流入口27が設けられている。このエアーの流入口27から流入するエアー量を、図2に示すように、流入口27部分に設置した風圧センサー28によって検知し、エアーの流入口27から流入するエアー量に応じて変換器29及び電空弁30を制御して、ノズル24から噴出させるエアー量を調節して、中継インジェクターの吐出口26から塗装ガン5への搬送エアー量を適宜変更することができる。また、中継インジェクター21の流入口27から除湿、除油されたコンプレッサーのエアーを吸引口25の差圧によって強制流入させてもよい。
【0016】
次に、図3は、一つの粉体塗料タンク3に対して、タンク側インジェクター11を複数設置し、この複数のタンク側インジェクター11の吐出口16を、一つの共通する中継インジェクター21の吸引口25に固定通路13を介して接続した例である。このように、タンク側インジェクター11を複数設置し、それぞれのタンク側インジェクター11の吐出量を、種々変えることにより、複数のタンク側インジェクター11の切換えによって粉体塗料の吐出量を種々選択することができる。
【0017】
また、図4は、複数の粉体塗料タンク3にそれぞれ一つ以上のタンク側インジェクター11を設置し、これらのタンク側インジェクター11の各吐出口16を一つの共通する中継インジェクター21の吸引口25に固定通路13を介して接続した例である。この例によると、新粉を収容した粉体塗料タンク3と、回収粉を収容した粉体塗料タンク3をそれぞれ用意し、被塗物によって新粉だけ、あるいは回収粉だけ、あるいは新粉と回収粉を混合して塗装ガン5から吐出させることが可能となる。また、各粉体塗料タンク3に色の異なる粉体塗料、例えば3原色の粉体塗料を収容して、各色をタンク側インジェクター11によって引き出し、中継インジェクター21内で混合して、塗装ガン5から吐出させることも可能となる。この場合、新粉と回収粉、あるいは各色の粉体塗料の混合粉は、中継インジェクター21において充分に混合されて、塗装ガン5から吐出される。
【0018】
次に、図5に示す従来例と、図1に示すこの発明の粉体塗料の輸送供給装置について、粉体ホースの高さによる吐出量の変化を調べたところ、結果は表1の通りであり、この発明の装置が従来例よりも格段に吐出量の変化が少ないことが確認された。
【0019】
なお、実験データは下記の通りである。
(従来例)
・粉体ホース:内径13mm×長さ11m
・インジェクター圧
エアーA:3.0kg/cm2
エアーB:3.0kg/cm2
・インジェクターノズル径:φ1.7mm
・使用塗料 : A,B,C,D社(ポリエステル)
(本発明)
・粉体ホース:内径13mm×長さ11m
・タンク側インジェクター
エアー:0.25kg/cm2
インジェクターノズル径:φ1.0mm
・中継インジェクター
エアー:1.0kg/cm2
インジェクターノズル径:φ2.0mm
・使用塗料 : A,B,C,D社(ポリエステル)
【0020】
【表1】
Figure 0004324275
【0021】
また、図5に示す従来例と図1に示すこの発明の装置を使用して、下記の条件で、1200mmの高さの被塗物に塗装し、被塗物の平均膜厚、最大膜厚、最小膜厚を測定したところ、その結果は、表2の通りであり、この発明の装置の方が、膜厚変化が格段に少ないことが確認された。
(塗装条件)
・レシプロストローク:1500mm
・レシプロスピード:25m/min
・ハンガーピッチ:1200mm
・コンベアスピード:1.2m/min
・ガン吐出量:70g/min
・被塗物とのガン距離:200mm
・粉体ホース:内径13mm×長さ11m
・ガン電圧:−100kV
【0022】
【表2】
Figure 0004324275
【0023】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、塗装ガンが上下動し、それによって粉体ホースが曲がっても、インジェクターによって粉体塗料タンクから引き出される粉体塗料の量を一定に保つことができるので、均一な膜厚の粉体塗装が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る粉体塗料の輸送供給装置の一例を示す概略図
【図2】中継インジェクター部分の概略図
【図3】この発明の他例を示す概略図
【図4】この発明の他例を示す概略図
【図5】従来例の概略図
【符号の説明】
3 粉体塗料タンク
5 塗装ガン
6 ホース
11 タンク側インジェクター
12 本体
13 固定通路
14 ノズル
15 吸引口
16 吐出口
17 引き出しパイプ
21 中継インジェクター
22 本体
24 ノズル
25 吸引口
26 吐出口
27 流入口
28 風圧センサー
29 変換器
30 電空弁
A 圧縮空気

Claims (4)

  1. 粉体塗料タンクから粉体塗料を引き出して塗装ガンに送出するインジェクターを、吸引口が粉体塗料タンクに接続され、粉体塗料タンクから粉体塗料を吸引して圧縮空気と共に吐出口から送出するタンク側インジェクターと、吸引口がタンク側インジェクターの吐出口に接続され、タンク側インジェクターから吐出される粉体塗料を吸引して圧縮空気と共に吐出口から送出する中継インジェクターとに区分し、上記中継インジェクターの吸引口と吐出口とを互いに直交する方向に延びるものとし、上記タンク側インジェクターの吐出口と中継インジェクターの吸引口とを繋ぐ輸送路を固定通路によって形成し、上記中継インジェクターの吸引口の一端を開口させてエアーの流入口を設けたことを特徴とする粉体塗料の輸送供給装置。
  2. 一つの粉体塗料タンクに対してタンク側インジェクターを複数設置し、この複数のタンク側インジェクターの各吐出口を、一つの共通する中継インジェクターの吸引口に接続したことを特徴とする請求項1記載の粉体塗料の輸送供給装置。
  3. 複数の粉体塗料タンクにそれぞれ一つ以上のタンク側インジェクターを設置し、これらのタンク側インジェクターの各吐出口を一つの共通する中継インジェクターの吸引口に接続したことを特徴とする請求項1記載の粉体塗料の輸送供給装置。
  4. 上記エアーの流入口に、強制エアーを流入させる請求項1〜3のいずれかの項に記載の粉体塗料の輸送供給装置。
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