JP4323676B2 - 重合性組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は重合性組成物に関する。さらには、該重合性組成物を重合して得られる硬化物、ならびに該硬化物からなる光学部品に関する。
さらに詳しくは、重合性化合物として特定構造の(メタ)アクリル酸エステル化合物を組み合わせて用いることを特徴とし、光、熱などによって重合硬化可能な重合性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無機ガラスは、透明性に優れ、光学異方性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明性光学材料として広い分野で使用されている。しかしながら、重くて破損しやすいこと、生産性が悪い等の問題があり、近年、無機ガラスに代わる光学用樹脂の開発が盛んに行われている。
【0003】
光学材料として基本的に重要な特性は透明性である。現在までに、透明性の良い工業的な樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ビスフェノールAポリカーボネート(BPA−PC)、ポリスチレン(PS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合ポリマー(MS)、スチレン−アクリロニトリル共重合ポリマー(SAN)、ポリ(4−メチルペンテン−1)(TPX)、ポリシクロオレフィン(COP)、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(EGAC)、ポリチオウレタン(PTU)等が知られている。
【0004】
PMMAは透明性、耐候性に優れ、かつ成形性も良好である。しかしながら、屈折率(nd )が1.49と小さく、吸水性が大きいという欠点がある。
BPA−PCは、透明性、耐熱性、耐衝撃性および高屈折性に優れるものの、色収差が大きく利用分野が限定される。
PSおよびMSは、成形性、透明性、低吸水性および高屈折性に優れるものの、耐衝撃性、耐候性および耐熱性に劣り光学樹脂としてはほとんど実用化されていない。
SANは比較的、屈折率が高く、機械的物性もバランスがよいとされているが、耐熱性にやや難があり(熱変形温度:80〜90℃)、光学樹脂としてはほとんど使われていない。
【0005】
TPXおよびCOPは透明性、低吸水性、耐熱性に優れるものの、低屈折率(nd =1.47〜1.53)で耐衝撃性やガスバリヤー性や染色性が悪いという問題がある。
EGACはジエチレングリコールビスアリルカーボネートをモノマーとする熱硬化性樹脂であり、汎用眼鏡レンズ用途には最も多く使用されている。透明性、耐熱性には優れ、色収差は極めて小さいものの、低屈折率(nd =1.50)で耐衝撃性に劣るという欠点がある。
PTUは、ジイソシアネート化合物とポリチオール化合物との反応で得られる熱硬化性樹脂であり、超高屈折率眼鏡レンズ用途には最も多く使用されている。透明性、耐衝撃性、高屈折性に特に優れ、且つ色収差も小さく、極めて優秀な材料であるが、唯一、熱重合成形時間が長い(1日〜3日)という欠点があり、生産性の点で問題を残している。
【0006】
上記の生産性を高めるために短時間で重合・硬化を行う目的で、臭素原子あるいは硫黄原子を含有するアクリル酸エステル類を用いて、光重合によって光学用レンズを得る方法などが提案されている(例えば、特開平4−161410号公報、特開平3−217412号公報など)。しかしながら、該方法によると、短時間での重合は可能となるものの、得られる樹脂は光学部品として決して満足されるものとは言えなかった。すなわち、例えば、眼鏡レンズとして用いた場合、高屈折率のものは、脆くて割れやすかったり、比重の大きい等の問題があり、それらの問題を克服した材料の開発が強く望まれていた。
【0007】
以上のように、従来の光学樹脂は優れた特徴を有しているものの、それぞれに克服すべき欠点を有しているのが現状である。このような状況下にあって、光学特性、機械的特性、熱的特性に優れ、かつ生産性が良好な高屈折率光学樹脂の開発が切望されているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の光学樹脂の欠点を解決し、光学特性(高透明性、高屈折率、高アッベ数)に優れ、熱的特性、機械的特性(耐衝撃性)が良好であり、且つ、短時間で重合・成形硬化が可能な高生産性の光学樹脂を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、▲1▼重合性化合物および重合開始剤を必須成分として含有してなる重合性組成物において、該重合性化合物として、下記式(1)(化4)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、下記式(2)(化5)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする重合性組成物に関する。
【0010】
【化4】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R5 はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、R6 はそれぞれ独立に硫黄原子を含有する置換基を表し、R7 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)
【0011】
【化5】
(式中、R8 はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、R9 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)
【0012】
さらに、本発明は、▲2▼重合性化合物として、さらに、下記式(3)または(4)(化6)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする前記▲1▼記載の重合性組成物、
▲3▼前記▲1▼または▲2▼記載の重合性組成物を重合して得られる硬化物、ならびに、該硬化物からなる光学部品、光学用レンズに関する。
【0013】
【化6】
(上式中、R10、R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、mは1〜10の整数を表す)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の重合性組成物は、重合性化合物および重合開始剤を必須成分として含有してなる重合性組成物において、該重合性化合物として、前記式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、前記式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とするものである。
本発明に係る前記式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物は、分子内に硫黄原子を含有する置換基を有し、且つ、2級または3級炭素に結合するヒドロキシ基の(メタ)アクリル酸エステルであることを構造上の特徴とする新規化合物である。
【0015】
本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物において、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、より好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基、あるいはハロゲン原子を表す。
【0016】
該置換基R1 、R2 、R3 およびR4 の具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec- ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−n−プロポキシプロピル基、3−n−ブトキシプロピル基、3−n−ヘキシルオキシプロピル基、2−メトキシエトキシエチル基、2−エトキシエトキシエチル基、フェノキシメチル基、2−フェノキシエトキシエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2,2,2−トリクロロエチル基、
【0017】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec- ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシオキシル基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、シクロヘキシルエチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基、2−エトキシエチルオキシ基、2−n−ブトキシエチルオキシ基、3−メトキシプロピルオキシ基、3−エトキシプロピルオキシ基、3−n−プロポキシプロピルオキシ基、3−n−ブトキシプロピルオキシ基、3−n−ヘキシルオキシプロピルオキシ基、2−メトキシエトキシエチルオキシ基、フェノキシメチルオキシ基、2−フェノキシエトキシエチルオキシ基、クロロメチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、3−クロロプロピルオキシ基、2,2,2−トリクロロエチルオキシ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0018】
該置換基R1 、R2 、R3 およびR4 として、さらにより好ましくは、水素原子、炭素数1〜10の無置換の直鎖または分岐アルキル基、炭素数1〜10の無置換の直鎖または分岐アルコキシ基、フッ素原子あるいは塩素原子であり、
それらのなかでも、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、フッ素原子または塩素原子である。
該置換基R1 として、水素原子は特に好ましい。
【0019】
式(1)において、置換基R5 はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは、水素原子である。
また、式(1)において、置換基R6 はそれぞれ独立に硫黄原子を含有する置換基を表し、該置換基の構造中に少なくとも1個の硫黄原子を含有すること特徴とする。該置換基R6 として、具体的には、下記式(a)または式(b)で表される置換基が挙げられる。
R13 −O− (a)
R14 −S− (b)
(上式中、R13は少なくとも1個以上の硫黄原子を含有する1価の有機基を表し、R14は硫黄原子を含有してもよい1価の有機基を表す)
【0020】
置換基R13は、好ましくは、少なくとも1個以上の硫黄原子を含有する、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基またはアシル基を表す。なお、該置換基R13は複素環含有の基をも包含する。
また、該置換基R14は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基またはアシル基を表す。さらに、高屈折率を得るためには、置換基R14が硫黄原子を含有することは、より好ましい。
【0021】
式(1)において、置換基R6 として、好ましくは、硫黄原子を含有している鎖状または環状のアルコキシ基、硫黄原子を含有しているアラルキルオキシ基、硫黄原子を含有しているアリールオキシ基、硫黄原子を含有しているアシルオキシ基、硫黄原子を含有していてもよい鎖状または環状のアルキルチオ基、硫黄原子を含有していてもよいアラルキルチオ基、硫黄原子を含有していてもよいアリールチオ基、硫黄原子を含有していてもよいアシルチオ基である。
【0022】
該置換基R6 としては、例えば、メチルチオエトキシ基、エチルチオエトキシ基、プロピルチオエトキシ基、ブチルチオエトキシ基、メチルチオエチルチオエトキシ基、メチルチオエチルチオエチルチオエトキシ基、2,2−ジメチルチオエチルオキシ基、2,2−ジエチルチオエチルオキシ基、2,2−ジプロピルチオエチルオキシ基、2,2−ジブチルチオエチルオキシ基、
3,3−ジメチルチオプロピルオキシ基、3,3−ジエチルチオプロピルオキシ基、2,2−ジプロピルチオエチルオキシ基、2,2−ジブチルチオエチルオキシ基、(1,3−ジチオラン−2−イル)メトキシ基、2−(1,3−ジチオラン−2−イル)エトキシ基、3−(1,3−ジチオラン−2−イル)プロピルオキシ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)メトキシ基、2−(1,3−ジチオラン−4−イル)エトキシ基、3−(1,3−ジチオラン−4−イル)プロピルオキシ基、(1,4−ジチアン−2−イル)メトキシ基、2−(1,4−ジチアン−2−イル)エトキシ基、3−(1,4−ジチアン−2−イル)プロピルオキシ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)メトキシ基、2−(1,3,5−トリチアン−2−イル)エトキシ基、3−(1,3,5−トリチアン−2−イル)プロピルオキシ基、
【0023】
4−メチルチオベンジルオキシ基、3−メチルチオベンジルオキシ基、2−メチルチオベンジルオキシ基、2,4−ジメチルチオベンジルオキシ基、3,4−ジメチルチオベンジルオキシ基、2,4,6−トリメチルチオベンジルオキシ基、
4−メチルチオフェニルエチルオキシ基、3−メチルチオフェニルエチルオキシ基、2−メチルチオフェニルエチルオキシ基、2,4−ジメチルチオフェニルエチルオキシ基、3,4−ジメチルチオフェニルエチルオキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェニルエチルオキシ基、
4−メチルチオフェニルオキシ基、3−メチルチオフェニルオキシ基、2−メチルチオフェニルオキシ基、2,4−ジメチルチオフェニルオキシ基、2,5−ジメチルチオフェニルオキシ基、2,6−ジメチルチオフェニルオキシ基、3,4−ジメチルチオフェニルオキシ基、3,5−ジメチルチオフェニルオキシ基、
2,4,6−トリメチルチオフェニルオキシ基、2,3,4,5,6−ペンタメチルチオフェニルオキシ基、
【0024】
メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、メトキシエチルチオ基、ブトキシエチルチオ基、メトキシプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2−メチルチオエチルチオ基、2−エチルチオエチルチオ基、2−プロピルチオエチルチオ基、2−ブチルチオエチルチオ基、メチルチオエチルチオエチルチオ基、メチルチオエチルチオエチルチオエチルチオ基、2,2−ジメチルチオエチルチオ基、2,2−ジエチルチオエチルチオ基、2,2−ジプロピルチオエチルチオ基、2,2−ジブチルチオエチルチオ基、3,3−ジメチルチオプロピルチオ基、3,3−ジエチルチオプロピルチオ基、2,2−ジプロピルチオエチルチオ基、2,2−ジブチルチオエチルチオ基、
(1,3−ジチオラン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,3−ジチオラン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,3−ジチオラン−2−イル)プロピルチオ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)メチルチオ基、2−(1,3−ジチオラン−4−イル)エチルチオ基、3−(1,3−ジチオラン−4−イル)プロピルチオ基、(1,3−ジチアン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,3−ジチアン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,3−ジチアン−2−イル)プロピルチオ基、(1,4−ジチアン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,4−ジチアン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,4−ジチアン−2−イル)プロピルチオ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,3,5−トリチアン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,3,5−トリチアン−2−イル)プロピルチオ基、
【0025】
ベンジルチオ基、4−メチルベンジルチオ基、4−メトキシベンジルチオ基、
4−メチルチオベンジルチオ基、3−メチルチオベンジルチオ基、2−メチルチオベンジルチオ基、2,4−ジメチルチオベンジルチオ基、3,4−ジメチルチオベンジルチオ基、2,4,6−トリメチルチオベンジルチオ基、4−メチルチオフェニルエチルチオ基、3−メチルチオフェニルエチルチオ基、2−メチルチオフェニルエチルチオ基、2,4−ジメチルチオフェニルエチルチオ基、3,4−ジメチルチオフェニルエチルチオ基、2,4,6−トリメチルチオフェニルエチルチオ基、
フェニルチオ基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニルチオ基、
4−メチルチオフェニルチオ基、3−メチルチオフェニルチオ基、2−メチルチオフェニルチオ基、2,4−ジメチルチオフェニルチオ基、2,5−ジメチルチオフェニルチオ基、2,6−ジメチルフェニルチオ基、3,4−ジメチルフェニルチオ基、3,5−ジメチルフェニルチオ基、2,4,6−トリメチルフェニルチオ基、2,3,4,5,6−ペンタメチルチオフェニルチオ基、
チアゾリン−2−イルチオ基、
【0026】
メチルチオメチルカルボニルオキシ基、メチルチオエチルカルボニルオキシ基、(1,3−ジチオラン−2−イル)カルボニルオキシ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)カルボニルオキシ基、(1,3−ジチアン−2−イル)カルボニルオキシ基、(1,4−ジチアン−2−イル)カルボニルオキシ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)カルボニルオキシ基、
4−メチルチオベンゾイルオキシ基、チオフェン−2−カルボニルオキシ基、チアゾール−2−カルボニルオキシ基、
メチルチオメチルカルボニルチオ基、メチルチオエチルカルボニルチオ基、
(1,3−ジチオラン−2−イル)カルボニルチオ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)カルボニルチオ基、(1,3−ジチアン−2−イル)カルボニルチオ基、(1,4−ジチアン−2−イル)カルボニルチオ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)カルボニルチオ基、
ベンゾイルチオ基、4−メチルチオベンゾイルチオ基、チオフェン−2−カルボニルチオ基、チアゾール−2−カルボニルチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(1)において、R7 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。
【0027】
式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、下記式(1−A)、(1−B)または(1−C)(化7)で表される構造であり、好ましくは、式(1−A)または式(1−B)で表される構造であり、式(1−B)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物は特に好ましい。
【0028】
【化7】
(上式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 およびR7 は前記に同じ)
本発明に係る式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例として、下記第1表(表1〜表20)中に示された化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】
【表9】
【0038】
【表10】
【0039】
【表11】
【0040】
【表12】
【0041】
【表13】
【0042】
【表14】
【0043】
【表15】
【0044】
【表16】
【0045】
【表17】
【0046】
【表18】
【0047】
【表19】
【0048】
【表20】
【0049】
本発明に係る式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物は、反応それ自体は公知である合成化学的手法に従って製造される。すなわち、代表的には、下記スキーム(c)(化8)で表される経路により好適に製造される(例えば、特願平11−169511号公報などに詳しい)。
【0050】
【化8】
【0051】
すなわち、より詳しくは、前記式(5)で表されるジグリシジル化合物に対して、R6 −Hで表される硫黄原子を含有する化合物〔含硫化合物、より詳しくは下記式(6−a)または(6−b)で表される化合物〕を作用させ、式(7)で表されるジヒドロキシ化合物を合成中間体として製造する。
R13 −OH (6−a)
R14 −SH (6−b)
(上式中、R13、R14は前記と同じ)
【0052】
この式(7)で表されるジヒドロキシ化合物に対して、例えば、
▲1▼(メタ)アクリル酸類〔(メタ)アクリル酸またはその酸ハロゲン化物誘導体など〕を反応させる方法、
▲2▼ハロロプロピオン酸類(例えば、3−クロロプロピオン酸、3−ブロモプロピオン酸、3−クロロ−2−メチルプロピオン酸、3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸など)またはその酸ハロゲン化物を反応させてハロプロピオン酸エステル化合物とした後、脱ハロゲン化水素して(メタ)アクリル酸エステル化する方法、等を代表例とする、公知の各種エステル化法によって、式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物は好適に製造される。
【0053】
また、本発明に係る式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、ビスフェノールA)ジグリシジルエーテルに対して(メタ)アクリル酸を作用させて得られる。
本発明の重合性組成物は、重合性化合物として、前記式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、下記式(2)(化9)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする。
【0054】
【化9】
(式中、R8 およびR9 は前記に同じ)
【0055】
本発明の重合性組成物に必須成分として含まれる重合性化合物の重量全体における式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、特に限定するものではないが、通常、1〜99重量%であり、好ましくは、5〜95重量%であり、より好ましくは、10〜90重量%であり、さらに好ましくは、20〜80重量%であり、含有量として25〜75重量%は特に好ましい。
また、重合性組成物に必須成分として含まれる重合性化合物の重量全体における式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、特に限定するものではないが、通常、5〜99重量%であり、好ましくは、10〜90重量%であり、より好ましくは、20〜80重量%であり、さらに好ましくは、25〜75重量%である。但し、式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステルと式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルの総和が100%を越えることはない。
【0056】
本発明の重合性組成物における重合性化合物として、式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは、それぞれ異なる複数の(メタ)アクリル酸エステル化合物を併用しても差し支えない。
さらに、本発明の重合性組成物は、所望の効果を損なわない範囲で必要に応じて、重合性化合物として式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する以外に、各種公知の重合性を有する化合物(重合性モノマーまたはオリゴマー等)を含有していても差し支えない。
【0057】
本発明の重合性組成物に含有されていてもよい公知の重合性化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N−n−ブチル−O−(メタ)アクリロイルオキシエチルカーバメート、アクリロイルモルホリン、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
【0058】
2,2−ビス(4−アクロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタアクロイルオキシフェニル)プロパン、
ビス(4−アクロイルオキシフェニル)メタン、ビス(4−メタアクロイルオキシフェニル)メタン、4,4’−ビス(2−アクロイルオキシ)フェニルスルフィド、4,4’−ビス(2−メタアクロイルオキシ)フェニルスルフィド、
2,2−ビス(4−アクロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタアクロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−アクロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−メタアクロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、
ビス(4−アクロイルオキシエトキシフェニル)メタン、ビス(4−メタアクロイルオキシエトキシフェニル)メタン、ビス[4−(2−アクロイルオキシプロポキシ)フェニル]メタン、[4−(2−メタアクロイルオキシプロポキシ)フェニル]メタン、
4,4’−ビス(2−アクロイルオキシエトキシ)フェニルスルフィド、4,4’−ビス(2−メタアクロイルオキシエトキシ)フェニルスルフィド、
4,4’−ビス(2−アクロイルオキシプロポキシ)フェニルスルフィド、4,4’−ビス(2−メタアクロイルオキシプロポキシ)フェニルスルフィド、
4,4’−ビス(2−アクロイルオキシエトキシ)フェニルスルフォン、4,4’−ビス(2−メタアクロイルオキシエトキシ)フェニルスルフォン、
4,4’−ビス(2−アクロイルオキシプロポキシ)フェニルスルフォン、4,4’−ビス(2−メタアクロイルオキシプロポキシ)フェニルスルフォン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、
4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィドのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、
【0059】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルトリスイソシアヌレート、(メタ)アクリロキシプロピルトリス(メトキシ)シラン等の一官能または多官能(メタ)アクリレート類;
ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、イソプロペニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル化合物類;
エチレングリコールジアリルカーボネート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル基含有化合物類など各種公知の重合性モノマー;
あるいは、ポリウレタン(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、ポリエーテル(メタ)アクリレート類など各種公知の重合性オリゴマー等が例示される。
【0060】
本発明の重合性組成物においては、式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の重合性化合物として、下記式(3)または式(4)(化10)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物の少なくとも一種を含有することは好ましいことである。
【0061】
【化10】
(上式中、R10、R11、R12およびmは前記に同じ)
【0062】
式(3)、式(4)において、R10、R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。また、式(4)において、mは1〜10の整数を表し、好ましくは、1〜8の整数であり、より好ましくは、1〜4の整数であり、さらに好ましくは、1〜3の整数であり、整数1は特に好ましい。
式(1)および式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の上記重合性化合物の使用量は、特に限定するものではないが、本発明の効果をより達成するために、重合性化合物全体の重量において、通常、80重量%以下であり、好ましくは、70重量%以下であり、より好ましくは、60重量%以下であり、さらに好ましくは、50重量%以下である。
【0063】
本発明の重合性組成物に必須成分として含有する重合開始剤としては、特に限定するものではなく、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤などを使用することができる。
かかる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン,4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等を例示することができる。これらは単独で使用することも、あるいは、2種以上を併用することもできる。
該光重合開始剤の使用量は、重合性化合物100重量部に対して、0.001〜50重量部であり、好ましくは、0.01〜30重量部であり、より好ましくは、0.1〜10重量部であり、さらに好ましくは、0.2〜5重量部である。
【0064】
熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、tert−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物ならびにアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などを例示することができる。
該熱重合開始剤の使用量は、重合性化合物100重量部に対して、通常、0.001〜50重量部であり、好ましくは、0.01〜30重量部であり、より好ましくは、0.1〜10重量部であり、さらに好ましくは、0.2〜5重量部である。
【0065】
本発明の重合性組成物は、具体的には、重合性化合物として、式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を必須成分として使用し、必要に応じて、前述した公知の各種重合性化合物を併用して、さらに上記重合開始剤を添加した後、混合・溶解させることにより、得られる。
該重合性組成物は、必要に応じて重合前に不溶物、異物などを濾過により除去して、さらに減圧下で十分に脱泡して重合、硬化に使用される。
【0066】
また、重合性組成物を製造する際には、所望に応じて、内部離型剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色顔料(例えば、シアニングリーン、シアニンブルー等)、染料、流動調節剤、無機充填剤(例えば、タルク、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等)、などの公知の各種添加剤を添加することも可能である。
【0067】
本発明の硬化物、ならびに、該硬化物からなる光学部品は、上記重合性組成物を重合、硬化して得られるものである。これらの方法として、従来から公知の各種方法が採用され好適に実施されるが、代表的には、上述のようにして得られた重合性組成物をモールド中に注入し、熱または光によって開始されるラジカル重合反応を用いる注型重合などが挙げられる。
該モールドは、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等からなるガスケットを介した鏡面研磨した二枚の鋳型により構成される。鋳型としては、ガラスとガラス、ガラスとプラスチック板、ガラスと金属板等の組み合わせの鋳型が挙げられる。また、ガスケットとしては、上記の軟質熱可塑性樹脂(ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等)を用いる以外に、2枚の鋳型をポリエステル粘着テープ等で固定してもよい。また、鋳型に対して、離型処理など公知の処理方法を行ってもよい。
【0068】
ラジカル重合反応としては、前述したように、熱による重合反応(熱重合)、紫外線などの光による重合反応(光重合)、ガンマ線による重合反応等を利用する方法、あるいは、これらの複数を組み合わせた方法などが例示される。
これらの方法の中で、熱重合は数時間から数十時間を要するのに対して、紫外線などによる光重合は数秒〜数分で硬化が可能であり、本発明の光学部品の製造時における生産性を高める点を考慮すると、好ましい方法である。
熱重合を行う場合、重合温度は重合開始剤の種類など重合条件によって影響されるので、限定されるものではないが、通常、25〜200℃、好ましくは、50〜170℃である。
【0069】
光学レンズの成形方法としては、上述したように、例えば、光または/および熱による注型重合を行いレンズを得る方法が挙げられる(例えば、特開昭60−135901号公報、特開平10−67736号公報、特開平10−130250号公報など)。
すなわち、前述の方法により製造された本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する重合性組成物を、必要に応じて、適当な方法で脱泡を行った後、モールド中に注入し、通常、光照射して重合させる方法により、好適に実施される。また、熱による重合では、低温から高温へ徐々に加熱して重合させる方法により、好適に実施される。
【0070】
得られた光学レンズは、必要に応じて、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、防曇性付与あるいはファッション性付与の目的で、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理(例えば、フォトクロミックレンズ化処理など)など公知の各種物理的または化学的処理を施されてもよい。
【0071】
光ディスクや光磁気ディスクなどの光情報記録媒体用の基板の成形方法としては、例えば、前記の方法で得られる一般式(1)および(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む重合性組成物を、ディスク基板用型キャビティ内に注入し、これをラジカル重合方法等で重合させ、必要に応じて後熱処理する方法(特開昭58−130450号公報、同58−137150号公報、同62−280008号公報など)、両面ガラス型内で光重合する方法(特開昭60−202557号公報)、真空注型または注液完了後、加圧して液状樹脂を熱重合させる方法(特開昭60−203414号公報)など、従来から公知の方法などが挙げられる。
【0072】
本発明の上記重合性組成物を光重合して得られる硬化物、該硬化物からなる光学部品は、重合・硬化に要する時間が数分から数時間であり、既存のポリジエチレングリコールジアリルカーボネート、ポリチオウレタンに代表される熱硬化性の光学用樹脂と比較して短時間で重合成形が可能であって、生産性が高いことが特徴の一つである。
【0073】
さらに、本発明の硬化物および光学部品は光学特性、機械的特性、熱的特性に優れ、且つ、高屈折率であるという特徴を有している。該光学部品としては、例えば、矯正用眼鏡レンズを代表とする各種プラスチックレンズ、光情報記録媒体基板、液晶セル用プラスチック基板、光ファイバーコーティング材料などが具体的な形態として挙げられる。
【0074】
【実施例】
以下、製造例および実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、以下の各実施例において製造した重合性組成物、該重合性組成物を硬化して得られる硬化物および光学部品(レンズ)の物性評価は、下記の方法により行った。
・粘度 :重合性組成物の粘度を、B型粘度計を用いて測定した。
・外観 :目視により色味、透明性を観察した。
・屈折率、アッベ数:プルフリッヒ屈折計を用いて20℃で測定した。
・耐衝撃性 :中心厚1.5mmのマイナスレンズの中心部に、高さ127cmから28.3gの鉄球を落下させて、割れの有無を調べた。
○:レンズに割れが全くない
×:レンズに割れが生じた
【0075】
実施例1
重合性化合物として、下記式(1−1)(化11)で表されるアクリル酸エステル化合物25.0g、下記式(2−1)(化11)で表されるビスフェノールAジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート2.0g、下記式(3−1)(化11)で表されるテトラシクロドデシルアクリレート1.0g、下記式(4−1)(化11)のエチレングリコールジメタクリレート6.0gを用いて調製した混合物に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン 720mg(前記重合性化合物の全体重量に対して、0.2重量%)を添加して、よく混合して溶解させた。
得られた無色透明液体の重合性組成物の粘度は380cpsであった。
該重合性組成物を減圧下で十分に脱泡し、フィルター(1ミクロン径)で濾過した後、ガラスモールドとテープよりなるモールド型に注入した。メタルハライドランプ(80W/cm)により紫外線を60秒間照射して重合を行った後、さらに110℃で1時間加熱処理(アニール)を行った。この後、室温まで放冷し、直径50mm、中心厚保1.5mmのマイナスレンズを得た。
該レンズは無色透明であり、屈折率(ne)は1.596、アッベ数(νe)は41.6であった。TMA法によるガラス転移温度(Tg)は110℃であり、落ち込みは認められなかった。また前記の方法による耐衝撃性試験の結果、レンズの割れは認められなかった。
【0076】
【化11】
【0077】
実施例2〜3
実施例1に記載の方法と同様にして、下記第2表(表21)に示した組成の重合性組成物を調製してレンズを作製した。該レンズの物性評価の結果を第2表に示した。
なお、実施例3で用いた化合物は下記式(d)(化12)で表される化合物である。
【0078】
【化12】
【0079】
比較例1
実施例1において、重合性化合物として式(1−1)、(2−1)、(3−1)および式(4−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用する代わりに、公知(特開平4−161410号公報に記載)のアクリル酸エステル化合物である2,5−ビス(アクリロイルオキシエチルチオメチル)−1,4−ジチアン(以下、DTAETと称する)24gおよびジメチロールトリシクロデカンアクリレート(以下、DCPAと称する)6gを使用する以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、重合性組成物を調製し、レンズを作製した。該レンズの物性評価の結果を第2表に示した。
【0080】
比較例2
実施例1において、重合性化合物として式(1−1)、(2−1)、(3−1)および式(4−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用する代わりに、公知(特開平3−217412号公報に記載)のアクリル酸エステル化合物である1,4−ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン(以下、XDMETと称する)24gおよび2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン(以下、BSAMと称する)6gを使用する以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、重合性組成物を調製し、レンズを作製した。該レンズの物性評価の結果を第2表に示した。
【0081】
比較例3
実施例1において、重合性化合物として式(1−1)、(2−1)、(3−1)および式(4−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用する代わりに、公知(特開63−248814号公報に記載)の(メタ)アクリル酸エステル化合物である1,3−ビス[2−メタクリロイルオキシ−3−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)プロポキシ]ベンゼン(以下、BMPBと称する)18gおよびクロロスチレン(以下、CSTと称する)12gを使用する以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、重合性組成物を調製し、レンズを作製した。該レンズの物性評価の結果を第2表に示した。
【0082】
【表21】
【0083】
【発明の効果】
本発明の重合性組成物は、重合性化合物として特定構造の(メタ)アクリル酸エステル化合物を組み合わせて用いることが特徴であって、光、熱などによって重合硬化可能な重合性組成物である。また、本発明の重合性組成物を硬化して得られる光学部品は、光学特性に優れ(透明性、高屈折率、高アッベ数)、熱的特性、機械的特性が良好であり、且つ、短時間で重合・成形硬化が可能(高生産性)であり、矯正用眼鏡レンズを代表とする各種プラスチックレンズ、光情報記録媒体基板、液晶セル用プラスチック基盤、光ファイバーコーティング材料等として有用である。
Claims (5)
- 重合性化合物および重合開始剤を必須成分として含有してなる重合性組成物において、該重合性化合物として、下記式(1)(化1)で表される含硫(メタ)アクリル酸エステル化合物、および、下記式(2)(化2)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする重合性組成物。
- 請求項1または2に記載の重合性組成物を重合して得られる硬化物。
- 請求項3記載の硬化物からなる光学部品。
- 光学部品が光学用レンズであることを特徴とする請求項4記載の光学部品。
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