JP4323391B2 - 劣化・老化防止用アスファルト改質剤 - Google Patents
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Description
また、本発明は、アスファルト合材プラントにおけるアスファルトと骨材の混合時に、前記の劣化・老化防止用アスファルト改質剤をプラントミックス方式で添加して製造されることを特徴とするアスファルト組成物に関する。
改質剤としては、減圧残油とポリオレフィンワックスをあらかじめ混合して使用されるために分散が良好であり、ひいては性能が十分に発揮される。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤は、減圧残油とポリオレフィンワックスを配合することが必要である。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤に用いられる減圧残油は、原油を常圧蒸留した後に得られる常圧蒸留残油をさらに減圧蒸留して得ることが好ましい。原油の種類としては、ミナス原油、大慶原油などのパラフィン基原油、ベネズエラ原油などのナフテン基原油、アラビアンヘビー原油、カフジ原油、クウェート原油などの中間基原油などのような原油を好ましく挙げることができる。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤に用いられる減圧残油の25℃における針入度は、特に限定されるものではないが、40〜200(1/10mm)であることが好ましい。25℃における針入度の下限値は40(1/10mm)以上が好ましく、60(1/10mm)以上がより好ましい。針入度が40(1/10mm)未満であると、本発明のアスファルト改質剤を添加して得られるアスファルト組成物が硬すぎて逆に舗装体のひび割れが懸念されるようになる。一方、上限値は200(1/10mm)以下が好ましく、180(1/10mm)以下がより好ましい。針入度が200(1/10mm)を超えた減圧残油を使用した場合、本発明のアスファルト改質剤を添加して得られるアスファルト組成物の針入度が大きくなり過ぎ、耐わだち掘れ性に懸念が生じる。
なお、ここでいう25℃における針入度とは、JIS K2207「石油アスファルト−針入度試験方法」により測定される値である。
また本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤に用いられる減圧残油は、アスファルト合材プラントにおける使用時の安全上の点から引火点は260℃以上が好ましい。
なお引火点とは、JIS K2207「石油アスファルト−伸度試験方法」およびJIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法−クリーブランド開放式引火点試験方法」により測定される値である。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤に用いられるポリオレフィンワックスは、後述する所定の性状を有する以外は特に限定されるものではないが、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどがあげられる。なかでも、触媒重合技術によりエチレンを直接重合することにより得られるポリエチレンワックスが特に好ましく用いられる。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤に用いられるポリオレフィンワックスの軟化点は、120℃〜140℃であることが必要であり、120〜130℃がより好ましい。軟化点が140℃を越えると、本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤の溶融分散性が悪くなり、プラントでの添加時に均一に混合できなくなる恐れが生じる。また軟化点が120℃未満の場合、本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤を添加してもアスファルト組成物の針入度の低下抑制、すなわちアスファルトの劣化、老化を抑制できなくなる。
なお、ここでいう軟化点とは、JIS K2207「石油アスファルト−軟化点試験方法」により測定される値である。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤に用いられるポリオレフィンワックスの結晶化度は、80〜95%であることが必要である。結晶化度が80%未満であると、ポリオレフィンワックスを配合してもアスファルト組成物の劣化、老化を抑制することはできない。かかる理由から、ポリオレフィンワックスの結晶化度の下限値は85%以上が好ましい。一方、結晶化度が95%を越えると、ポリオレフィンワックスを配合後の劣化・老化防止用アスファルト改質剤の伸度が低下し、アスファルト舗装用合材の初期の耐ひび割れ性に懸念が生じる。かかる理由から、ポリオレフィンワックスの結晶化度の上限値は、90%以下がより好ましい。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤は減圧残油100質量部に対し、ポリオレフィンワックスを20〜200質量部配合することが必要である。ポリオレフィンワックスの配合量の上限値は、減圧残油100質量部に対し200質量部であり、150質量部以下であることがより好ましい。200質量部を超えた場合、プラントでの混合時に速やかにポリオレフィンワックスが溶融分散しなくなる恐れが生じる。一方、ポリオレフィンワックスの配合量の下限はアスファルト100質量部に対し20質量部であり、40質量部以上であることがより好ましい。20質量部未満の場合、本劣化・老化防止用アスファルト改質剤を添加してもアスファルト組成物の針入度の低下、すなわちアスファルト組成物の劣化、老化を抑制できなくなる。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤の製造方法は、特に限定されるものではないが、加熱溶融釜、高せん断ミキサー、バンバリーミキサー、ヘンシルミキサー、単軸押出機、二軸押出機、ロールミル、ニーダーなどの混合機を用いて、アスファルトとポリオレフィンワックスを混合し、次いでペレタイザー、押出し成形機、加工成形機、プレス成形機などで成形する。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤の形状は、特に限定されるものではなく、任意の形状で使用できる。例えば、ペレット状、板状、ひも状、ブロック状などが挙げられるが、プラントでの混合性を考慮した場合、ペレット状であることが好ましい。劣化・老化防止用アスファルト改質剤のペレット化は、例えばアスファルトとポリオレフィンワックスを加熱溶融釜で混合した後、押出機を用いてひも状に押出した後、ペレタイザーなどで裁断加工することにより達成できる。ペレットのサイズは、プラント混合において速やかに溶融分散することを可能とするために、1〜50mm、好ましくは1〜20mm、さらに好ましくは1〜10mmである。
一般にアスファルト舗装用合材を製造する時、プラントでは骨材とアスファルトを加熱混合するが、本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤のプラントでの添加量は、このアスファルト100質量部に対して、5〜30重量%であることが望ましい。より好ましくは10〜20重量%である。本劣化・老化防止用アスファルト改質剤の添加量が5重量%未満の場合、本劣化・老化防止用アスファルト改質剤を添加しても針入度の低下、すなわちアスファルトの劣化、老化を抑制できなくなる。
一方、本劣化・老化防止用アスファルト改質剤の添加量が30重量%を超えると、プラントでの混合が難しくなり不均一なアスファルト舗装用合材しか製造できなくなる。
本発明の劣化・防止用アスファルト改質剤の混合方法は特に制限はないが、本発明の特徴をより生かす方法としてプラントでの混合(プラントミックス)が適当である。プラント(アスファルト合材製造プラント)での混合の具体的な方法としては、(1)アスファルト合材プラントで、骨材とアスファルトを予め混合し、次いで本発明のアスファルト改質剤を加え混合する方法、(2)骨材、アスファルトおよび本発明のアスファルト改質剤を同時に混合する方法、(3)骨材と本発明のアスファルト改質剤を最初に混合し、次にアスファルトを加え混合する方法等が挙げられる。本発明のアスファルト改質剤は、予め一定量のアスファルトとポリオレフィンワックスが均一に混合されてなるので、プラントにおける大量のアスファルト、骨材との均一な混合が容易である。
また、本発明のアスファルト改質剤はプラントでの混合以外に、プレミックス方式、すなわち、アスファルトと本発明のアスファルト改質剤を予め混合し均一とした後に、アスファルト合材プラントで骨材と混合し使用することも可能である。但し、本発明のアスファルト改質剤の特徴をより効果的に生かせる方法はプラントでの混合である。
本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤は、プラントで骨材とアスファルトとの混合時に更に添加し使用するものであるが、アスファルトに限らず、アスファルトに熱可塑性エラストマーなどを配合した改質アスファルト、さらに熱可塑性エラストマーの添加濃度を高めた高粘度アスファルトに対しても有効に作用する。すなわち、改質アスファルトと骨材、もしくは高粘度アスファルトと骨材をプラントで混合するにあたり、本発明の劣化・老化防止用アスファルト改質剤を添加することで、改質アスファルト、高粘度アスファルトの劣化、老化も抑制することができる。
ついで、得られたペレットを骨材とアスファルトと共に常法により加熱混合し、これを道路舗装のために施工するものである。
[実施例および比較例]
実施例1〜2および比較例1〜5に使用した減圧残油A、Bの性状を表1に、ポリオレフィンワックスA〜Cの性状を表2に示す。なお、以下では、減圧残油をストレートアスファルトと称することがあり、更に単にアスファルトということもある。
新日本石油(株)根岸製油所 ストレートアスファルト80-100。減圧残油Aの性状を表1に示す。
(減圧残油B)
新日本石油(株)根岸製油所 ストレートアスファルト40−60。減圧残油Bの性状を表1に示す。
(ポリオレフィンワックスA) 三井化学(株)社製 ハイワックス100P
(ポリオレフィンワックスB) 三井化学(株)社製 ハイワックス400P
(ポリオレフィンワックスC) 三井化学(株)社製 ハイワックス220P
アスファルト改質剤A〜Eの原料の配合割合を表3に示す。
アスファルト改質剤A〜Eは、表1、2の減圧残油AとポリオレフィンワックスA〜Eを表3に示す配合割合でもって150℃の加熱溶融釜で30分間混合し、アスファルト改質剤を調製した後、このアスファルト改質剤を二軸押出機を用いてペレット化した。ペレット製造時の加熱温度は150℃、製造されたペレットは直径5〜7mm程度であった。
アスファルトの軟化点測定用リングに試料(アスファルト組成物)を適当量注ぎ入れ、日光のあたる屋外に7週間放置した。1週間後、アスファルトの表面状態を目視観察し評価した。すなわち暴露試験前と変化が見られない場合を○、変化が見られる場合(具体的には試料表面にしわが生じたり、試料表面の光沢がなくなったりした場合)を×とし評価した。
薄膜加熱試験はアスファルトの劣化をシミュレートする試験である。具体的にはアスファルト合材プラントでアスファルトと骨材を混合するときにアスファルトが受ける熱劣化をシミュレートする試験であり、JIS K2207「石油アスファルト−薄膜加熱試験」に準拠し実施した。すなわち規定の薄膜加熱試験皿にアスファルト試料を50g入れ、163℃、5時間試験を行った。
薄膜加熱試験+PAV試験はアスファルトの老化をシミュレートする試験である。具体的には、供用後5年から10年を経た舗装体中のアスファルトが受けた老化をシミュレートする試験である。米国のアスファルト規格試験である、SHRP PAV(Pressure Aging Vessel)試験に準拠し実施した。すなわち、薄膜加熱試験後の試料(アスファルト組成物)を100℃、2.07MPaの空気雰囲気で20時間試験を行った。
アスファルトの耐劣化性、耐老化性は針入度残留率を指標に評価した。すなわち、アスファルトの針入度が劣化後、老化後にどれほど残留するかを該指標により判断した。すなわち針入度残留率が大きい試料ほど、針入度の低下が小さく、耐劣化性、耐老化性に優れた試料といえる。
薄膜加熱試験後の針入度をオリジナルの針入度で除し100を掛けた値を、劣化試験後の針入度残留率と定義し評価した。試験の判定は、劣化試験後の針入度残留率が70%以上であるとき○、70%未満であるときを×とした。
実施例1、2はオリジナルの伸度、暴露試験後の試料の表面状態、劣化試験後ならびに老化試験後の針入度残留率、いずれも評価基準を満足しており問題は見られない。
比較例1、2はアスファルト改質剤を配合していないため耐劣化性、耐老化性に劣る試料である。すなわち暴露試験にて試料表面にしわが生じ、光沢が失われた。また劣化試験後の針入度残留率が70%を大きく下回り、かつ老化試験後の針入度残留率が50%を大きく下回った。
すなわち暴露試験にて試料表面にしわが生じ、光沢が失われた。また劣化試験後の針入度残留率が70%を大きく下回り、かつ老化試験後の針入度残留率が50%を大きく下回った。
Claims (2)
- 減圧残油100質量部に対し、軟化点が120〜140℃、結晶化度80〜95%であるポリオレフィンワックスを20〜200質量部配合してなる劣化・老化防止用アスファルト改質剤。
- アスファルト合材プラントにおけるアスファルトと骨材の混合時に、請求項1記載の劣化・老化防止用アスファルト改質剤をプラントミックス方式で添加して製造されることを特徴とするアスファルト組成物。
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