JP5043518B2 - アスファルト改質材及びアスファルト組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、アスファルトを道路舗装材として使用した場合、アスファルトは温度依存性が大きいために、夏期の高温下においては塑性流動による変性を生じ易く、また冬期には硬化によるひび割れを生じるといったことや、タイヤチェーンなどによる摩耗が激しいといった問題があった。さらに、アスファルトは、一般に骨材との接合面における接着力が弱いために、骨材がアスファルトから剥がれ易いなどの問題も有していた。
また、近年、降雨時の滞水防止と交通騒音の削減を目的とした開粒度アスファルト混合物による排水性舗装も、社会的要請として実施されるようになってきた。排水性舗装とは、舗装表面の空隙率(一般密粒度)を20%前後(通常、アスファルト混合物では3〜6%程度)に高めることにより、舗装表面に透水性を持たせたものである。排水性舗装に使用されるバインダーは、耐久性の面から従来の耐流動対策用改質アスファルトに比べて、飛躍的に強い骨材の粘着力や把握力が要求されることから、一般的にある程度の分子量を有する重合体からなる改質材を用い、且つその改質材が多量に添加された高粘度の排水性舗装用改質アスファルトがバインダーとして用いられている。
このような問題点を解決するため、たとえば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体などのブロック共重合体を用いる検討がなされており、かなりの成果が認められている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、これらのブロック共重合体を用いる技術では新たな問題が生じた。すなわち、ブロック共重合体のアスファルトに対する溶解性が悪いために、例えば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体をアスファルトに完全に溶解させるには、少なくとも5時間以上加熱攪拌状態を維持しなければならない。このため、スチレン・ブタジエンブロック共重合体とアスファルトとの混合溶融に多大の時間と労力を要するとともに、予め両者を混合するためにプレミックス設備を用意しておく必要があるなどの問題点を有していた。
また、アスファルトに非晶性ポリオレフィンを添加することによる溶解混合性の改良効果が確認されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、このような非晶性ポリオレフィンの添加では、タフネスなどのバインダー特性を向上させる効果は不充分であり、また、排水性を高める要求に対する充分な性能は得られていない。さらに、非晶性ポリオレフィンの変性品をアスファルトに添加することによるタフネス向上の効果は確認されているが(例えば、特許文献7参照)、変性品を用いると製造工程が繁雑となり、コストアップの要因となるため、上記変性品の適用範囲が限定される。
すなわち本発明は、以下のアスファルト改質材、それを含むアスファルト組成物及び該アスファルト組成物の製造方法を提供するものである。
1. 以下の(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体からなるアスファルト改質材。
(a)テトラリン中、135℃において測定した極限粘度[η]が0.01〜0.9dl/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(c)立体規則性指数([mm])が50〜90mol%である。
2. 以下の(a)、(b)、(d)及び(e)を満たすプロピレン系重合体からなるアスファルト改質材。
(a)テトラリン中、135℃において測定した極限粘度[η]が0.01〜0.9dl/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(d)ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。
(e)GPC法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が20,000〜100,000である。
(a)テトラリン中、135℃において測定した極限粘度[η]が0.01〜0.9dl/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(d)ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。
(e)GPC法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が20,000〜100,000である。
(f)プロピレン/1−ブテンの共重合モル比が0.1/99.9〜99.9/0.1である。
4. (A)アスファルトと(B)上記1〜3のいずれかに記載のアスファルト改質材0.1〜30質量%を含むことを特徴とするアスファルト組成物。
5. (A)成分のアスファルトと(B)成分のアスファルト改質材とを90〜200℃の温度において混合することを特徴とする上記4に記載のアスファルト組成物の製造方法。
以下の(a)〜(c)は、プロピレン系重合体1を製造する際の触媒の選択や反応条件により調整することができる。後述する(a)、(b)、(d)及び(e)、並びに(a)、(b)、(d)、(e)及び(f)においても同様である。上記プロピレン系重合体1は高流動プロピレン系重合体であり、高流動プロピレン系重合体とは、特に(a)及び(d)が下記の条件を満たす場合の重合体を指す。後述するプロピレン系重合体2及びプロピレン−ブテン共重合体も高流動のものである。
この極限粘度[η]は、好ましくは0.05〜0.9dl/g、より好ましくは0.1〜0.9dl/gである。この極限粘度[η]が0.01dl/g以上であると重合体としての形態が十分に維持されると共に、目的とする物性が発現する。また、0.9dl/g以下であると、アスファルトとの粘度差が抑制されるため、加温、混合した場合、短時間で均一混合することができる。この極限粘度[η]は、(株)離合社のVMR−053型自動粘度計を用いて測定することができる。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
融点(Tm−D)が0℃以上であると、プロピレン系重合体が室温において固形状を維持することができるため、容易に取り扱うことができ、実用的である。融点(Tm−D)は、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。また、融点(Tm−D)が120℃以下であると、プロピレン系重合体1が適度の結晶性を有するものとなり、アスファルトとの相溶性が向上し、さらにアスファルトへの溶解のための熱量が少なくて済む。融点(Tm−D)は、好ましくは115℃以下、より好ましくは110℃以下である。
上記融点(Tm−D)は以下のようにして求める。すなわち、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃まで5℃/分で降温させ、−10℃で5分間保持した後、190℃まで10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを求める。
立体規則性指数([mm])の値が大きいほど、立体規則性が高いことを意味する。立体規則性指数([mm])が50mol%以上であると、プロピレン系重合体1が室温において固形状を維持することができるため、容易に取り扱うことができ、実用的である。立体規則性指数([mm])は、好ましくは55mol%以上である。また、立体規則性指数([mm])が90mol%以下であると、プロピレン系重合体1が適度の結晶性を有するものとなり、アスファルトとの相溶性が向上し、さらにアスファルトへの溶解のための熱量が少なくて済み、二次加工性も良好となる。立体規則性指数([mm])は、好ましくは85mol%以下である。
立体規則性指数であるメソトリアッド分率[mm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のトリアッド単位でのメソ分率である。
なお、13C−NMRスペクトルの測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置及び条件にて行うことができる。
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
(a)テトラリン中、135℃において測定した極限粘度[η]が0.01〜0.9dl/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
上記(a)及び(b)については、上記で説明したとおりである。
分子量分布(Mw/Mn)が3以下であると、プロピレン系重合体2における低分子量成分及び高分子量成分それぞれの増加が抑制される。高分子量成分の増加はアスファルトとの混合性の低下を引き起こし、また、低分子成分の増加は室温でのべたつき成分の増加を引き起こす。低分子量成分及び高分子量成分それぞれの増加が抑制されると、アスファルト改質材2をアスファルトに添加する際の取扱い性が良好であり、且つ夏期等の高温時においても耐久性の低下が抑制される。上記分子量分布は、好ましくは2.5以下である。
この分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、下記の装置及び条件で、質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)測定することにより求めることができる。
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
プロピレン系重合体2の質量平均分子量が20,000以上であると、プロピレン系重合体2の柔軟性が保たれるため、目的とする物性が発現される。また、この質量平均分子量が100,000以下であると、アスファルトとの粘度差が大きくなりすぎず、このため、加温下におけるアスファルトとの混合を均一に、且つ短時間で行うことができる。この質量平均分子量は、好ましくは20,000〜90,000、より好ましくは20,000〜80,000である。
(a)テトラリン中、135℃において測定した極限粘度[η]が0.01〜0.9dl/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(d)ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。
(e)GPC法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が20,000〜100,000である。
上記(a)、(b)、(d)及び(e)については、上記で説明したとおりである。
(f)プロピレン/1−ブテンの共重合モル比が0.1/99.9〜99.9/0.1である。
プロピレンと1−ブテンの共重合モル比を制御することにより、上記融点(Tm−D)を制御がすることができる。プロピレン/1−ブテンの共重合モル比は、好ましくは1/99〜99/1である。
上記のメソペンタッド分率[mmmm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチレン基及びメチン基のシグナルにより測定されるポリα−オレフィン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率である。メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。
なお、13C−NMRスペクトルの測定は、上記立体規則性指数([mm])の場合と同様の装置及び条件にて行うことができる。
本発明においては、メタロセン系触媒のなかでも、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物を用いたものが好ましく、なかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン系触媒を用いてプロピレンを単独重合又は共重合させる方法がより好ましい。具体的に例示すれば、(P)下記一般式(I)
上記一般式(I)において、Mは周期律表第3〜10族の金属元素を示し、具体例としてはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,イットリウム,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,パラジウム及びランタノイド系金属などが挙げられる。これらの中ではオレフィン重合活性などの点からチタン,ジルコニウム及びハフニウムが好適であり、末端ビニリデン基の収率及び触媒活性の点から、ジルコニウムが最も好適である。
E1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及び珪素含有基〔>SiR−,>Si<〕(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。このXの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20の珪素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などのアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントニル基などのアリール基などが挙げられる。なかでもメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基やフェニル基などのアリール基が好ましい。
炭素数1〜20の珪素含有基としては、メチルシリル基、フェニルシリル基などのモノ炭化水素置換シリル基;ジメチルシリル基、ジフェニルシリル基などのジ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などのトリ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などの珪素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などの珪素置換アリール基などが挙げられる。なかでもトリメチルシリルメチル基、フェニルジメチルシリルエチル基などが好ましい。
炭素数1〜20のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、パルミトイル基、テアロイル基、オレオイル基等のアルキルアシル基、ベンゾイル基、トルオイル基、サリチロイル基、シンナモイル基、ナフトイル基、フタロイル基等のアリールアシル基、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸からそれぞれ誘導されるオキサリル基、マロニル基、スクシニル基等が挙げられる。
このような架橋基としては、例えば一般式
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中では、重合活性がより高くなる点から、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。
このような一般式(I)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(II)
上記一般式(II)において、M,A1,A2,q及びrは、一般式(I)と同じである。X1はσ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。このX1の具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1はルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。このY1の具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
R4〜R9はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R4〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
次に、(Q)成分のうちの(Q−1)成分としては、上記(P)成分の遷移金属化合物と反応して、イオン性の錯体を形成しうる化合物であれば、いずれのものでも使用できるが、次の一般式(III)又は(IV)で表されるのを好適に使用することができる。
([L2]k+)a([Z]-)b ・・・(IV)
(但し、L2はM2、R11R12M3、R13 3C又はR14M3である。)
[(III),(IV)式中、L1はルイス塩基、[Z]-は、非配位性アニオン[Z1]-及び[Z2]-、ここで[Z1]-は複数の基が元素に結合したアニオン、すなわち、〔M1G1G2・・・Gf〕-(ここで、M1は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔(中心金属M1の原子価)+1〕の整数を示す。)、[Z2]-は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組み合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R11及びR12はそれぞれシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基又はフルオレニル基、R13は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R14はテトラフェニルポルフィリン、フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは[L1−R10]、[L2]のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M2は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M3は、周期律表第7〜12族元素を示す。]
R10の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、ベンジル基、トリチル基等を挙げることができ、R11、R12の具体例としては、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等を挙げることができる。
R13の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基等を挙げることができ、R14の具体例としてはテトラフェニルポルフィン、フタロシアニン、アリル、メタリル等を挙げることができる。
また、M2の具体例としては、Li、Na、K、Ag、Cu、Br、I、I3等を挙げることができ、M3の具体例としては、Mn、Fe、Co、Ni、Zn等を挙げることができる。
一方、(Q−2)成分のアルミノキサンとしては、一般式(V)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(VI)
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
上記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水等の縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1) 有機アルミニウム化合物を有機溶媒に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2) 重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3) 金属塩等に含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4) テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、さらに水を反応させる方法等がある。
なお、アルミノキサンとしては、トルエン等の炭化水素系溶媒に不溶性のものであってもよい。これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(Q−2)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲が望ましい。この範囲にあれば、単位質量ポリマー当りの触媒コストがあまり高くならず、実用的である。触媒成分(Q)としては(Q−1)及び(Q−2)は、それぞれ単独で又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
R16 vAlJ3-v ・・・(VII)
[式中、R16は炭素数1〜10のアルキル基、Jは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である。]
で表される化合物が用いられる。
上記一般式(VII)で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド及びエチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
予備接触温度は、通常−20℃〜200℃程度、好ましくは−10℃〜150℃、より好ましくは0℃〜80℃である。予備接触においては、溶媒の不活性炭化水素として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等を用いることができる。これらの中で特に好ましいものは、脂肪族炭化水素である。
上記(P)触媒成分と(R)触媒成分との使用割合は、モル比で好ましくは1:1〜1:10000、より好ましくは1:5〜1:2000、さらに好ましくは1:10〜1:1000の範囲が望ましい。上記(R)触媒成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が無駄になるとともに、重合体中に多量に残存する恐れがある。
上記予備接触においては、オレフィン系化合物を共存させてもよい。共存させるオレフィン系化合物としては、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィン化合物が挙げられる。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン及び1−オクタデセンなどが挙げられる。オレフィン系化合物の添加量は、予備接触において使用する溶媒の0.5〜20質量%程度、好ましくは1〜15質量%である。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2,Al2O3,MgO,ZrO2,TiO2,Fe2O3,B2O3,CaO,ZnO,BaO,ThO2やこれらの混合物、例えば、シリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバー等が挙げられる。これらの中では、特に、SiO2,Al2O3が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩等を含有してもよい。
一方、上記以外の担体として、MgCl2,Mg(OC2H5)2等のマグネシウム化合物等で代表される一般式MgR17 xX1 yで表されるマグネシウム化合物やその錯塩等を挙げることができる。ここで、R17は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X1はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2であり、かつx+y=2である。各R17及び各X1はそれぞれ同一でもよく、又異なってもいてもよい。
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレン,ポリアリレート等の重合体やスターチ,カーボン等を挙げることができる。
また、担体の比表面積は、通常1〜1000m2/g、好ましくは50〜500m2/g、細孔容積は通常0.1〜5cm3/g、好ましくは0.3〜3cm3/gである。比表面積又は細孔容積のいずれかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。
担体の比表面積及び細孔容積は、例えば、BET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ,第60巻,第309ページ(1983年)参照)。
さらに、上記担体が無機酸化物担体である場合には、通常150〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
触媒成分の少なくとも一種を上記担体に担持させる場合、(P)触媒成分及び(Q)触媒成分の少なくとも一方を、好ましくは(P)触媒成分及び(Q)触媒成分の両方を担持させるのが望ましい。
このようにして得られた触媒は、一旦溶媒留去を行って固体として取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。また、本発明においては、(P)成分及び(Q)成分の少なくとも一方の担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることができる。
例えば、(P)分及び(Q)分の少なくとも一方と担体とさらに必要により上記(R)成分の有機アルミニウム化合物を加え、エチレン等のオレフィンを常圧〜2MPa加えて、−20〜200℃で1分〜2時間程度予備重合を行って触媒粒子を生成させる方法を用いることができる。
また、(P)成分と担体との使用割合は、質量比で、好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましい。(Q)成分〔(Q−1)成分又は(Q−2)成分〕と担体との使用割合、又は(P)成分と担体との使用割合が上記範囲を逸脱すると、活性が低下することがある。
このようにして調製された重合用触媒の平均粒径は、通常2〜200μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μmであり、比表面積は、通常20〜1000m2/g、好ましくは50〜500m2/gである。平均粒径が2μm以上であると重合体中の微粉の増大が抑制され、200μm以上であると重合体中の粗大粒子の増大が抑制される。また、比表面積が20m2/g以下であると活性の低下が抑制され、1000m2/g以下であると重合体の嵩密度の低下が抑制される。
また、本発明で用いる触媒において、担体100g中の遷移金属量は、通常0.05〜10g、特に0.1〜2gであることが好ましい。遷移金属量が上記範囲内であると、活性の低下が抑制される。
このように担体に担持することによって工業的に有利な高い嵩密度と優れた粒径分布を有する重合体を得ることができる。
重合条件については、重合温度は通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは0〜130℃である。また、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(P)成分(モル比)が好ましくは1〜108、特に100〜105となることが好ましい。さらに、重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は常圧〜20MPa(G)、より好ましくは常圧〜10MPa(G)である。
重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の種類、使用量、重合温度の選択、さらには水素存在下での重合等がある。重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶媒下で行うことができる。
本発明のアスファルト組成物には、必要に応じて、通常、アスファルト組成物に添加される他の添加剤、例えば各種ゴム、石油樹脂等の粘着性付与樹脂、有機系耐ブロッキング剤、無機系耐ブロッキング剤、剥離防止剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤などを添加することができる。
各成分の混合温度は、本発明のアスファルト改質材であるプロピレン系重合体の融点を超えていることが望ましい。従って、混合温度を90℃以上とすることにより、アスファルト改質材であるプロピレン系重合体が溶融するので、アスファルトとの混合性が良好となる。また、混合温度が200℃以下であると、熱エネルギー効率が良好となり、且つ施工時にアスファルト改質材がローラー付着するなどの不具合が生じることもない。このような観点から、この混合温度は、好ましくは100〜190℃、より好ましくは110〜180℃である。
本発明のアスファルト組成物を例えば道路舗装用として用いる場合は、通常、この組成物に骨材及びフィラーを混合したアスファルト混合物として使用される。骨材及びフィラーとしては、一般道路舗装用のものを使用することができる。
実施例1
(1)(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
シュレンク瓶に(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩3.0g(6.97mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し−78℃に冷却した。ヨードメチルトリメチルシラン2.1ml(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間撹拌した。
溶媒を留去し、エーテル50mlを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.88mmol)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に上記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.88mmol)とエーテル50mlを入れた。−78℃に冷却し、n−ブチルチリウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.54mol/L、7.6ml(1.7mmol))を滴下した。室温に上げ12時間撹拌した後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40mlで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た(収率73%)。
1H−NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.04(s,18H,トリメチルシリル),0.48(s,12H,ジメチルシリレン),1.10(t,6H,メチル),2.59(s,4H,メチレン),3.38(q,4H,メチレン),6.2-7.7(m,8H,Ar-H)
1H−NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.0(s,18H,トリメチルシリル),1.02,1.12(s,12H,ジメチルシリレン),2.51(dd,4H,メチレン),7.1-7.6(m,8H,Ar-H)
加熱乾燥させた内容積10Lのステンレス鋼製オートクレーブに、ヘプタン5L、トリイソブチルアルミニウム5mmol、メチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート15μmol、及び上記(1)で製造した(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド3μmolを投入した。
次に、水素を0.03Mpa(G)の圧力となるように導入し、攪拌しながら温度を70℃に昇温し、全圧で0.8MPa(G)までプロピレンガスを導入した。重合反応中、圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンガスを供給して90分間重合した。重合が終了してから20分経過後に内容物を取り出し、減圧下で乾燥させることによってポリプロピレン(アスファルト改質材I)2000gを得た。
得られたアスファルト改質材Iについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表1に示す。
(3)アスファルト組成物の製造
160℃にて加熱溶解したアスファルト(出光興産株式会社製、A80)に、上記(2)で得られたアスファルト改質材Iを表3に示す割合となるように混合し、撹拌することによってアスファルト組成物を製造した。アスファルトとアスファルト改質材Iとの混合状態を確認した後、液状のアスファルト組成物を25℃にて24時間放冷した後、以下の方法により、アスファルト組成物のタフネスを測定した。結果を表3に示す。
日本道路協会編の「舗装試験法便覧」に記載される方法に準じてタフネスを測定した。金属半球面をアスファルト組成物中に埋め、24時間室温にて放置した。引張り試験機で金属半球面を引き抜くときの仕事量において前半のピーク面積部分からタフネスを算出した。この金属球を引抜く時に必要な瞬間最大力をタフネスピークトップとした。
実施例1(2)においてメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート15μmolの代わりに、メチルアルミノキサン(アルベマール社製)のトルエンスラリー(2mol/L)2.5mlを使用し、水素を0.5MPa(G)の圧力になるように導入し、重合温度を60℃、重合時間を60分とした以外は実施例1(2)と同様にしてプロピレンの重合を行った。重合反応終了後に内容物を取り出し、減圧下で乾燥させることによってポリプロピレン(アスファルト改質材II)1200gを得た。
得られたアスファルト改質材IIについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表1に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材IIを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例2において、水素の圧力を0.4MPa(G)とした以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン(アスファルト改質材III)1140gを得た。
得られたアスファルト改質材IIIについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表1に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材IIIを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例3において、アスファルト改質材IIIを表3に示す割合に変えた以外は、実施例3と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
(1)(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
窒素気流下、200mlのシュレンク瓶にエーテル50mlと(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’− ジメチルシリルレン)ビスインデン3.5g(10.2mmol)を加え、ここに−78℃でn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.60mol/L、12.8ml)を滴下した。室温で8時間攪拌した後、溶媒を留去した。得られた固体を減圧乾燥させることにより白色固体5.0gを得た。この固体をテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解させ、ここへヨードメチルトリメチルシラン1.4mlを室温で滴下した。水10mlで加水分解し、有機相をエーテル50mlで抽出した後、有機相を乾燥させ溶媒を留去した。ここへエーテル50mlを加え−78℃でn−BuLiのヘキサン溶液(1.60mol/L、12.4ml)を滴下した後、室温に上げ3時間攪拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン30mlで洗浄した後減圧乾燥させた。この白色固体5.11gをトルエン50mlに懸濁させ、別のシュレンク中でトルエン10mlに懸濁させ四塩化ジルコニウム2.0g(8.60mmol)を添加した。室温で12時間攪拌した後、溶媒を留去した。残渣をヘキサン50mlで洗浄した後、残渣をジクロロメタン30mlから再結晶化させることにより黄色微結晶1.2gを得た(収率25%)。
1H−NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.09(s,-SiMe3,9H),0.89,0.86,1.03,1.06(s,-Me2Si-,12H),2.20,2.65(d,-CH2-,2H),6.99(s,CH,1H),7.0-7.8(m,ArH,8H)
加熱乾燥させた内容積10Lのステンレス鋼製オートクレーブに、ヘプタン4L、トリイソブチルアルミニウム2mmol、メチルアルミノキサン(アルベマール社製)のトルエンスラリー(2mol/L)2.5ml及び上記(1)で製造した(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド5μmolを投入した。
次に、水素を0.03Mpa(G)の圧力となるように導入し、攪拌しながら温度を60℃に昇温し、全圧で0.8MPa(G)までプロピレンガスを導入した。重合反応中、圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンガスを供給して90分間重合した。重合が終了してから20分経過後に内容物を取り出し、減圧下で乾燥させることによってポリプロピレン(アスファルト改質材VI)700gを得た。
得られたアスファルト改質材VIについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表1に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材VIを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例2において、水素の圧力を0.4MPa(G)とし、かつ水素を導入する前に1−ブテン80gを導入した以外は、実施例2と同様にしてプロピレン−ブテン共重合体(アスファルト改質材VII)1180gを得た。
得られたアスファルト改質材VIIについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表2に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材VIIを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例2において、水素の圧力を0.4MPa(G)とし、かつ水素を導入する前に1−ブテン200gを導入した以外は、実施例2と同様にしてプロピレン−ブテン共重合体(アスファルト改質材VIII)1210gを得た。
得られたアスファルト改質材VIIIについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表2に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材VIIIを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例2において、水素の圧力を0.4MPa(G)とし、かつ水素を導入する前に1−ブテン2.64kgを導入した以外は、実施例2と同様にしてプロピレン−ブテン共重合体(アスファルト改質材IX)1150gを得た。
得られたアスファルト改質材IXについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表2に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材IXを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
アスファルト(出光興産株式会社製、A80)について、タフネスの測定を行った。結果を表3に示す。
実施例2において、水素の圧力を0.1MPa(G)とした以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン(アスファルト改質材IV)980gを得た。
得られたアスファルト改質材IVについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表1に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材IVを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
実施例2において、水素の圧力を0.06MPa(G)とした以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン(アスファルト改質材V)810gを得た。
得られたアスファルト改質材Vについて、上述した方法により物性を測定した。結果を表1に示す。
次に、実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりにアスファルト改質材Vを表3に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造し、同様の測定を行った。結果を表3に示す。
市販のスチレン−ブタジエン系エラストマー(旭化成ケミカルズ株式会社製、タフプレンA)をアスファルト(出光興産A80)に、表3に示す割合で混合し、撹拌することによってアスファルト組成物を製造した。アスファルトとスチレン−ブタジエン系エラストマーとの混合状態を確認した後、液状のアスファルト組成物を25℃にて24時間放冷した後、アスファルト組成物のタフネスを測定した。結果を表2に示す。
実施例1(3)において、アスファルト改質材Iの替わりに市販のポリプロピレン(プライムポリマー株式会社製、ポリプロピレンH−50000、極限粘度[η]=0.60dl/g、[mmmm]=96mol%、融点(Tm−D)=161℃)を表2に示す割合で用いた以外は、実施例1(3)と同様にしてアスファルト組成物を製造した。アスファルトとポリプロピレンとの混合状態を確認したところ、不溶部が認められ、均質液状とならなかった。
Claims (8)
- 以下の(a)〜(e)を満たすプロピレン系重合体からなるアスファルト改質材。
(a)テトラリン中、135℃において測定した極限粘度[η]が0.01〜0.9dl/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(c)立体規則性指数([mm])が50〜90mol%である。
(d)ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求めた分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。
(e)GPC法により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が20,000〜100,000である。 - 以下の(f)を満たすプロピレン−ブテン共重合体からなる請求項1に記載のアスファルト改質材。
(f)プロピレン/1−ブテンの共重合モル比が0.1/99.9〜99.9/0.1である。 - 融点(Tm−D)が0〜110℃であるプロピレン系重合体からなる請求項1に記載のアスファルト改質材。
- 前記プロピレン系重合体のメソペンタッド分率[mmmm]が、20〜80mol%である請求項1に記載のアスファルト改質材。
- 前記プロピレン系重合体がプロピレン単独重合体である請求項1に記載のアスファルト改質材。
- 前記プロピレン系重合体のプロピレン/1−ブテンの共重合モル比が1/99〜99/1である請求項2に記載のアスファルト改質材。
- (A)アスファルトと(B)請求項1〜6のいずれかに記載のアスファルト改質材0.1〜30質量%を含むことを特徴とするアスファルト組成物。
- (A)成分のアスファルトと(B)成分のアスファルト改質材とを90〜200℃の温度において混合することを特徴とする請求項7に記載のアスファルト組成物の製造方法。
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