JP4323240B2 - 帯状体の巻取り方法及び装置 - Google Patents

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JP4323240B2 JP2003201882A JP2003201882A JP4323240B2 JP 4323240 B2 JP4323240 B2 JP 4323240B2 JP 2003201882 A JP2003201882 A JP 2003201882A JP 2003201882 A JP2003201882 A JP 2003201882A JP 4323240 B2 JP4323240 B2 JP 4323240B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサ素子の電極箔等の帯状体の巻取り方法及び装置に係り、特に巻取り開始時にモータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際にモータの電気的回転が始まるまでのわずかな時間だけモータ全体を機械的に回転させ、モータの回転開始後はモータの回転のみによって巻取りを行うようにして、帯状体の供給と巻取りの開始タイミングを同期させ、たるみ、巻締め及び巻きずれ等のない良質な巻上げを可能にした帯状体の巻取り方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサ素子を製造する工程において、陽極箔及び陰極箔に一定間隔でリード端子を夫々タブ付けしておき、陽極箔と陰極箔の間に電解紙を挟み込むようにして重ね、この状態で巻取りが行われる。このような電極箔等の帯状体の巻取りを行うための方法及び装置に関する従来技術は、例えば特許文献1から特許文献9に開示されている。
【0003】
このうち特許文献2、特許文献4及び特許文献9は、繰出しに関するものであって、特許文献3、特許文献5から特許文献8は、巻取りに関するものである。特許文献1は、繰出し及び巻取りの双方に関するものである。
【0004】
ところが従来、図2及び図2に示すように、電極箔等が円柱形に巻き取られて接着テープ1により固定された電解コンデンサ素子2において、2本のリード端子3,4を結ぶ線が、巻き取られた電解コンデンサ素子2の中心を通らず、例えば距離eだけずれてしまうという、巻きずれが生ずることがあった。
【0005】
この巻きずれは、帯状体の巻き始めにおける、巻取り軸の回転開始と、帯状体の押えが解除され該帯状体が繰出し可能となる瞬間とのタイミングがわずかにずれることにより生ずる。
【0006】
理想的には、巻取り軸が回転を開始して、帯状体に適度の張力が発生したところで、帯状体の押えが解除されることが望ましいが、巻取り軸を駆動するモータは回転開始の電気的信号が発せられてから実際に回転を始めるまでに極くわずかなタイムラグがあるため、その調整が困難であった。
【0007】
この電気的タイムラグにより、巻取り軸の回転開始よりも先に帯状体の押えが解除されると、該帯状体に適度の張力が作用せず、たるんだ状態で巻き取りが始まってしまい、これが巻きずれの発生につながっていた。
【0008】
逆に巻取り軸の回転開始が早すぎても、帯状体に過大な張力が作用してしまい、帯状体を損傷したり、巻締め状態となって巻きずれを生ずるおそれがあった。
【0009】
こうした巻きずれは、次工程の組立工程で不具合を生じさせ、歩留まりを低くしてしまうため、近年巻きずれ解消の要望は非常に強く、何らかの対策が必要とされていた。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−139593号公報
【特許文献2】
特開平5−237542号公報
【特許文献3】
特開平6−45177号公報
【特許文献4】
特開平7−10337号公報
【特許文献5】
特開平7−22300号公報
【特許文献6】
特開平9−293628号公報
【特許文献7】
特開平9−306799号公報
【特許文献8】
特開平9−315629号公報
【特許文献9】
特開2002−37495号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、帯状体の供給源から巻取り軸に対して帯状体を供給し該帯状体に所定の張力を与えながらモータにより巻取り軸を回転させて所定量の帯状体を巻取り軸に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時にモータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、巻取り軸を機械的にわずかに回転させ、帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させることによって、帯状体に適度な張力が作用した状態で該帯状体の巻取りが開始されるようにすることであり、またこれによって電解コンデンサ素子の巻取りにおいて、電極箔等の帯状体の巻きずれを防止して次工程の組立工程で不具合が発生しないようにし、歩留まりを向上させることである。
【0012】
また他の目的は、上記方法において、巻取り開始時にモータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータの回転軸を固定したまま該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に回転させることで巻取り軸を機械的にわずかに回転させることによって、巻取り軸の巻取り開始の電気的遅れは元より機械的な遅れも皆無とし、適度な張力が帯状体に作用した状態で巻取りが開始されるという理想的なタイミングで巻取りを行うことができるようにすることである。
【0013】
更に他の目的は、上記方法において、巻取り開始時にモータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータが固定されたモータベースをわずかに回転させて該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に必要角度だけ機械的にわずかに回転させることで巻取り軸を回転させ、帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させ、巻取り終了後モータベースをモータの回転軸の回転方向と逆方向に機械的にわずかに回転させて初期位置に戻すことによって、次々と帯状体を巻き取って、組立工程で不具合が発生しない電解コンデンサ素子を製造できるようにすることである。
【0014】
また他の目的は、帯状体の巻取り中心となる巻取り軸と、該巻取り軸を回転駆動可能に構成され非駆動時に回転軸を固定可能に構成されたモータと、該モータが固定され該モータ全体を回転軸を中心に回動可能とするモータベースとを備え、巻取り開始時にモータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、モータベースを回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させるように構成することによって、電解コンデンサ素子の巻取り工程において、電極箔等の帯状体の巻きずれを防止し次工程の組立工程で不具合が発生するのを防止できる巻取り装置を提供することである。
【0015】
更に他の目的は、上記構成において、モータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間モータベースを回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させると共に巻取り終了後元の位置まで逆回転させるように構成された機械駆動部を備えることによって、帯状体を巻きずれなく次々と巻き取ることができるようにして、品質が安定し組立工程で不具合が生じない電解コンデンサを効率的に製造できるようにすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
【0017】
要するに本発明方法(請求項)は、帯状体の供給源から巻取り軸に対して前記帯状体を供給し該帯状体に所定の張力を与えながらモータにより前記巻取り軸を回転させて所定量の前記帯状体を前記巻取り軸に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時に前記モータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータの回転軸を固定したまま該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に回転させることで前記巻取り軸を機械的にわずかに回転させ、前記帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明方法(請求項)は、帯状体の供給源から巻取り軸に対して前記帯状体を供給し該帯状体に所定の張力を与えながらモータにより前記巻取り軸を回転させて所定量の前記帯状体を前記巻取り軸に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時に前記モータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータが固定されたモータベースをわずかに回転させて該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に必要角度だけ機械的にわずかに回転させることで前記巻取り軸を回転させ、前記帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させ、巻取り終了後前記モータベースを前記モータの回転軸の回転方向と逆方向に機械的にわずかに回転させて初期位置に戻すことを特徴とするものである。
【0019】
また本発明装置(請求項)は、帯状体の巻取り中心となる巻取り軸と、該巻取り軸を回転駆動可能に構成され非駆動時に回転軸を固定可能に構成されたモータと、該モータが固定され該モータ全体を前記回転軸を中心に回動可能とするモータベースとを備え、巻取り開始時に前記モータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、前記モータベースを前記回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させるように構成したことを特徴とするものである。
【0020】
また本発明装置(請求項)は、帯状体の巻取り中心となる巻取り軸と、該巻取り軸を回転駆動可能に構成され非駆動時に回転軸を固定可能に構成されたモータと、該モータが固定され該モータ全体を前記回転軸を中心に回動可能とするモータベースと、前記モータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間前記モータベースを前記回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させると共に巻取り終了後元の位置まで逆回転させるように構成された機械駆動部とを備えたことを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。本発明に係る帯状体の巻取り装置10は、図1から図5に示すように、巻取り軸11と、モータ12と、モータベース13と、機械駆動部14とを備えている。
【0022】
巻取り軸11は、図2及び図3に示すように、帯状体15の巻取り中心となるものであって、巻始めに帯状体15を通し巻取り終了後引き抜くことができるように、先端に割り11aが形成され、同軸上の中空軸16に軸受18を介して回動自在に支持されている。なお、先端の割り11aの部分は、巻取り軸11に対してねじ込み固定されているが、割り11aの部分を回転させることができる構成であれば、異なる取付け方でも、また一体成形でもよい。
【0023】
中空軸16は、外筒19内に差し込まれており、該外筒19内を軸方向に摺動可能に構成されている。中空軸16には、外筒19を貫通してカムフォロワ20が取り付けられており、該カムフォロワ20を動かすことにより、中空軸16を軸方向に摺動させることができるようになっている。
【0024】
外筒19は、回転テーブル21に貫通して固定されており、また巻取り軸11の後端側となる外筒19の外側には、軸受22を介して中空の従動軸23が取り付けられている。巻取り軸11の後端には、ねじ24により係合プレート25が固定されており、該係合プレート25が従動軸23に係合している。従動軸23の回転に伴い、係合プレート25を介して巻取り軸11が回転するようになっている。
【0025】
回転テーブル21は、軸受26によってベース板28に回動自在に支持されており、該軸受26の内外輪(図示せず)は、軸受押え29,30によって固定されている。回転テーブル21における、巻取り軸11の後端側の面には、平歯車32が固定されている。
【0026】
巻取り軸11は、図1に示すように、回転テーブル21の円周方向に、例えば3本均等に配列して取り付けられ、回転テーブル21には、巻取り軸11に適宜制動力を作用させるブレーキ33が取り付けられている。ブレーキ33は、例えば引張りばね34により付勢されて回動し、巻取り軸11に制動力を作用させるようになっている。
【0027】
各々のブレーキ33の近傍には、異なる方向に第1腕35a、第2腕35b及び第3腕35cが一体的に形成された揺動部材35が軸38を中心として揺動可能に配設されており、該揺動部材35の第2腕35b及び第3腕35cにはカムフォロワ36,39が夫々取り付けられている。揺動部材35が揺動してカムフォロワ39がブレーキ33に当接し、該ブレーキ33が回動すると、巻取り軸11に対する制動が解除されるようになっている。
【0028】
各々の揺動部材35の第1腕35aは、円弧ガイド40により案内されるブロック41に回動可能に取り付けられており、各ブロック41は1本の円弧部材42に固定されている。円弧部材42の1箇所には、ピン43が取り付けられ、該ピン43は軸44を中心として揺動可能に構成されたレバー45の長穴45a内に収められている。図示しないカムにより所定のタイミングでレバー45が揺動すると、ピン43が相対運動をし、円弧部材42及びブロック41を通じて、すべての揺動部材35が同期して揺動するようになっている。
【0029】
モータ12は、巻取り軸11を回転駆動可能に構成され、非駆動時に回転軸12aを固定可能に構成された、例えばブレーキ付サーボモータ又はステッピングモータ等であって、モータベース13に固定され、回転軸12aにはプーリ46が取り付けられている。
【0030】
モータベース13は、モータ12が固定され、該モータ全体を回転軸12aを中心に回動可能とするものであって、軸受48によって固定ベース49に支持されている。固定ベース49は、例えばベース板28にねじ50によって固定されている。
【0031】
機械駆動部14は、図1から図4に示すように、モータ12に回転開始の電気的信号が発せられてから、実際に該モータ12が電気的に回転し始めるまでの間、モータベース13を回転軸12aの回転方向と同方向に機械的に所定角度(わずかに)回転させると共に、巻取り終了後元の位置まで同角度(わずかに)逆回転させるように構成されたものである。
【0032】
モータベース13には、平歯車51が固定されており、該平歯車51にセクタギヤ52が噛合している。平歯車51とセクタギヤ52とのギヤ比は、例えば1:1である。セクタギヤ52は、軸受54により固定軸53に取り付けられており、軸受押え55により抜止めがなされている。固定軸53は、例えばベース板28に固定されている。
【0033】
セクタギヤ52には、図1及び図2に示すように、ロッドエンド58を介してロッド56が枢着されており、該ロッド56は図示しないカムによって押し引きされてセクタギヤ52を回転させるようになっている。
【0034】
モータ12に取り付けられたプーリ46の回転は、タイミングベルト59を介してプーリ60に伝達されるように構成されている。プーリ60は軸受61により軸62に取り付けられており、軸受押え63により抜止めがなされている。プーリ60には、歯車64が取り付けられ、該歯車64は、摩擦力により巻取り軸11を回転させる駆動ローラ65の軸66に取り付けられた歯車68に噛合している。
【0035】
駆動ローラ65の軸66は、揺動ブロック69に軸受70を介して回動自在に支持されており、該揺動ブロック69は、プーリ60の軸62に固定されている。軸62は、支持部71に軸受72を介して回動自在に支持されている。これにより揺動ブロック69は軸62を中心として揺動可能となっている。
【0036】
揺動ブロック69は、図1に示すように、略L字形に形成されており、自然状態では、図示しない弾性体により駆動ローラ65を巻取り軸11(従動軸23)に押し当てるように付勢されている。また揺動ブロック69は、揺動部材35の第2腕35bに取り付けられたカムフォロワ36に押されると揺動して、駆動ローラ65が巻取り軸11から離れるように構成されている。
【0037】
支持部71は、ベース板28に固定されている。支持部71には、巻取り軸11の軸方向に摺動可能なリニアガイド73が取り付けられており、該リニアガイド73には、巻取り軸11のカムフォロワ20に係合する係合ブロック74が取り付けられている。係合ブロック74には、図示しないベルクランクが取り付けられ、該ベルクランクを図示しないカムにより所定のタイミングで揺動させることにより、巻取り軸11を軸方向に移動させることができるようになっている。
【0038】
なお図示の実施例においては、回転テーブル21上の3箇所の巻取り軸11において巻取りを行うように構成されているが、これに限るものではなく、巻取り位置はそのうちの1箇所で行い、他の位置では巻取り後の後工程を行うようにしてもよい。
【0040】
そして本発明方法(請求項)は、帯状体15の供給源(図示せず)から巻取り軸11に対して帯状体15を供給し該帯状体15に所定の張力を与えながらモータ12により巻取り軸11を回転させて所定量の帯状体15を巻取り軸11に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時にモータ12に対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータ12が電気的に回転し始めるまでの間、該モータ12の回転軸を固定したまま該モータ12全体を該回転軸の回転方向と同方向に回転させることで巻取り軸11を機械的にわずかに回転させ、帯状体15の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させる方法である。
【0041】
また本発明方法(請求項)は、帯状体15の供給源(図示せず)から巻取り軸11に対して帯状体15を供給し該帯状体15に所定の張力を与えながらモータ12により巻取り軸11を回転させて所定量の帯状体15を巻取り軸11に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時にモータ12に対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータ12が電気的に回転し始めるまでの間、該モータ12が固定されたモータベース13をわずかに回転させて該モータ12全体を該回転軸の回転方向と同方向に必要角度だけ機械的にわずかに回転させることで巻取り軸11を回転させ、帯状体15の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させ、巻取り終了後モータベース13をモータ12の回転軸の回転方向と逆方向に機械的にわずかに回転させて初期位置に戻す方法である。
【0042】
本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。まず駆動ローラ65が巻取り軸11を回転させることができる状態になるまでの作用について説明すると、図6において、図示しないカムにより所定のタイミングでレバー45を矢印A1 方向に回転させると、円弧ガイド40により案内されて円弧部材42が矢印B1 方向に回動し、これに伴いすべての揺動部材35が矢印C1 方向に同期して揺動する。
【0043】
すると各々の第2腕35bのカムフォロワ36が揺動ブロック69から離れるので、該揺動ブロック69が矢印D1 方向に回動してすべての駆動ローラ65が巻取り軸11に接触し(実際に接触する場所は従動軸23)、また第3腕35cのカムフォロワ39が引張りばね34に抗してブレーキ33を回動させるので、すべての巻取り軸11に対する制動が解除される。
【0044】
帯状体15は、図10に示すように、ガイドローラ75,76及び戻止めローラ77,78及び案内ピン79等により案内されて、帯状体供給源(図示せず)から供給されるが、巻取り開始前には、巻取り軸11から離れた位置で帯状体押え80,81により挾持されており、戻止めローラ78も戻止めローラ77に当接して帯状体15を押さえている。
【0045】
巻取り開始直前には、図3及び図11に示すように、図示しないカムにより、係合ブロック74が動かされ、カムフォロワ20が移動し、これに伴って中空軸18及び巻取り軸11がその軸方向に引き込まれる。そして帯状体押え80,81が帯状体15を挾持したまま、該帯状体15を引き出しながら矢印E方向に移動し、帯状体15の先端付近が巻取り軸11の割り11aの真上に位置する。
【0046】
次に図示しないカムにより、係合ブロック74が上記と逆方向に動かされることにより、カムフォロワ20を介して巻取り軸11が突出状態に復帰し、割り11aの間に帯状体15が入った状態となる。
【0047】
電解コンデンサ素子の製造工程における帯状体(電極箔等)15の巻始めにおいては、図12に示すように、巻取り軸11が矢印F方向に回転し始めて、帯状体15が矢印E方向に引かれて該帯状体15にわずかな張力が発生した瞬間に、帯状体押え80,81が矢印G及び矢印H方向に離れることが望ましく、モータ12の回転開始が電気的に遅れると帯状体押え80,81が離れた後に巻き始められることになって、たるみや巻きずれが生じてしまう。
【0048】
本願発明では、モータ12に回転開始の電気的信号が発せられてから、実際に該モータ12の回転軸12aが回転し始めるまでのわずかな時間だけ、機械駆動部によってモータ12自体を機械的にわずかに回転させるようにして、モータ12の回転開始の遅れをなくし、理想的な巻取り開始のタイミングを実現させている。
【0049】
図6、図8及び図9に示すように、巻取り開始時において、モータ12には回転開始の電気的信号が送られているが、電気的遅れ(ミリ秒単位)によってまだ回転軸12aは回転を始めていない。
【0050】
このとき図示しないカムにより、ロッド56が矢印I1 方向に引かれ、セクタギア52が矢印J1 方向に回動する。カム駆動によるので、電気的な遅れは元より機械的な遅れも全くない。これにより該セクタギヤ52と噛合している平歯車51が矢印K1 方向に回転するので、モータベース13も同方向に瞬時に回転する。このときモータ12の回転軸12aは、電気的信号が到達するまでは固定されており、モータベース13と共にモータ12自体が矢印K1 方向に回転する。
【0051】
これによりプーリ46も同方向に回転するので、図3にも示すように、その回転がタイミングベルト59を介してプーリ60に伝達され、該プーリ60、軸62及び歯車64が矢印K1 方向に回転する。
【0052】
歯車64には、駆動ローラ65の軸66に固定された歯車68が噛合しているので、該駆動ローラ65が矢印L方向に回転する。駆動ローラ65は従動軸23に押圧されているので、従動軸23は駆動ローラ65と逆方向に回転する。
【0053】
機械駆動部14によるモータ12自体の機械的回転は、該モータ12の回転開始までのミリ秒単位の電気的遅れを補うことができればよいので、何回転もする必要はなく、その回転角度はわずかでよい。わずかな回転角度とは、例えば45°乃至180°である。その調整は、ロッド56の長さの調節により行う。なお上記の機械的回転角度は一例であり、プーリ46,60間の減速比、歯車64,68間の減速比によっても任意に変えることができる。
【0054】
モータ12の機械的回転が終了する頃、モータ12に回転開始の電気的信号が到達し、回転軸12aが電気的に回転し始める。これにより、図12に示すように、巻取り軸11が矢印F方向に回転し始めて帯状体15にわずかに張力が作用したところで、帯状体押え80が矢印G方向に、帯状体押え81が矢印H方向に互いに離間し始め、理想的なタイミングで巻取りが開始される。
【0055】
その後間もなく、図13に示すように、戻り止めローラ78が矢印M方向に移動し始め、該戻り止めローラ78,77による押えが解除されて、図14に示すように、各帯状体15が矢印N,O,P,Q方向に夫々供給されて巻取りが進行する。このときのタイミングチャートは、例えば図9に示す通りであり、例えば帯状体押え80,81が離れた直後に戻止めローラ78が戻止めローラ77から離れ始める。なお、このタイミングチャートは一例であり、本願発明はこのようなタイミングで動作するものに限定されるものではない。
【0056】
巻取りが終了に近づくと、図15に示すように、帯状体押え80,81が矢印R方向に移動し、帯状体15を切断する態勢に入る。所定量の巻取りが行われると、モータ12が停止して巻取り軸11の回転が停止する。ここで図7及び図8に示すように、図示しないカムによりレバー45が矢印A2 方向に回動し、円弧部材42が矢印B2 方向に回動する。
【0057】
これに伴って円弧ガイド40に取り付けられたブロック41も矢印B2 方向に移動するので、揺動部材35が矢印C2 方向に揺動し、カムフォロワ36が揺動ブロック69に当接して該揺動ブロック69を矢印D2 方向に回動させるので、駆動ローラ65が巻取り軸11から離れる。
【0058】
またこのときカムフォロワ39がブレーキ33から離れるため、引張りばね34によりブレーキ33が回動し、巻取り軸11に当接する。
【0059】
ここで、図16に示すように、帯状体押え80が矢印T方向に、帯状体押え81が矢印U方向に移動し、互いに当接することで、帯状体15が挾持固定されると共に、切断される。このとき帯状体押え81も矢印S方向に移動し、帯状体押え77との間に帯状体15を挾持して押さえた状態となる。
【0060】
この後、図18に示すような、接着テープ1が貼付されて電解コンデンサ素子83となり、完成する。本願発明に係る帯状体の巻取り装置10を使用して巻取りを行うことにより、図19に示すように、たるみや巻締め等による巻きずれが生じることがなく、リード端子84,85を結ぶ線が、巻き取られた電解コンデンサ素子83の中心を通るように巻き取ることが可能である。
【0061】
そして図17に示すように、回転テーブル21が、矢印B1 方向に120°回転して別の工程が行われ、更に120°回転して取り出され、その後は例えば電解液の真空含浸工程(図示せず)に送られ、電解液の含浸完了後は、一連の組立て工程(図示せず)に送られ、例えば電解コンデンサとして完成する。
【0062】
また駆動ローラ65が巻取り軸11から離間した後、図7及び図8において、図示しないカムにより、ロッド56が矢印I2 方向に押され、セクタギア52が矢印J2 方向に回動することにより、モータベース13が矢印K2 方向に回動して初期位置まで戻される。これにより再び巻取りを行うことができる状態に復帰する。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、上記のように帯状体の供給源から巻取り軸に対して帯状体を供給し該帯状体に所定の張力を与えながらモータにより巻取り軸を回転させて所定量の帯状体を巻取り軸に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時にモータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、巻取り軸を機械的にわずかに回転させ、帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させるようにしたので、帯状体に適度な張力が作用した状態で該帯状体の巻取りが開始される効果があり、またこの結果電解コンデンサ素子の巻取りにおいて、電極箔等の帯状体の巻きずれを防止し得ると共に、次工程の組立工程で不具合が発生しないようにし得、歩留まりを向上させることができる効果がある。
【0064】
また上記方法において、巻取り開始時にモータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータの回転軸を固定したまま該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に回転させることで巻取り軸を機械的にわずかに回転させるようにしたので、巻取り軸の巻取り開始の電気的な遅れは元より機械的な遅れも皆無にでき、適度な張力が帯状体に作用した状態で巻取りが開始されるという理想的なタイミングで巻取りを行うことができる効果がある。
【0065】
更に上記方法において、巻取り開始時にモータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータが固定されたモータベースをわずかに回転させて該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に必要角度だけ機械的にわずかに回転させることで巻取り軸を回転させ、帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させ、巻取り終了後モータベースをモータの回転軸の回転方向と逆方向に機械的にわずかに回転させて初期位置に戻すようにしたので、次々と帯状体を巻き取って、組立工程で不具合が発生しない電解コンデンサ素子を製造できる効果が得られる。
【0066】
また帯状体の巻取り中心となる巻取り軸と、該巻取り軸を回転駆動可能に構成され非駆動時に回転軸を固定可能に構成されたモータと、該モータが固定され該モータ全体を回転軸を中心に回動可能とするモータベースとを備え、巻取り開始時にモータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、モータベースを回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させるように構成したので、電解コンデンサ素子の巻取り工程において、電極箔等の帯状体の巻きずれを防止し得、次工程の組立工程で不具合が発生するのを防止できる巻取り装置を提供できる効果がある。
【0067】
更に上記構成において、モータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間モータベースを回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させると共に巻取り終了後元の位置まで逆回転させるように構成された機械駆動部を備えたので、帯状体を巻きずれなく次々と巻き取ることができ、品質が安定し組立工程で不具合が生じない電解コンデンサを効率的に製造できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1から図19は、本発明に係り、図1は帯状体の巻取り装置の正面図である。
【図2】帯状体の巻取り装置の部分縦断面側面図である。
【図3】帯状体の巻取り装置における巻取り軸及びその近傍の縦断面図である。
【図4】巻取り軸と駆動ローラとが接触している状態を示す部分縦断面図である。
【図5】機械駆動部を除く帯状体の巻取り装置の正面図である。
【図6】巻取りを行っているときの帯状体の巻取り装置の作用を示す正面図である。
【図7】巻取り終了後に駆動ローラが巻取り軸から離れ、ブレーキにより巻取り軸に制動力が作用している状態を示す正面図である。
【図8】巻取り軸を機械的に回転させている状態を示す正面図である。
【図9】巻取り開始時のタイミングチャート図である。
【図10】巻取り開始前の巻取り軸と帯状体の状態を示す正面図である。
【図11】巻取り軸の割りに帯状体が入った状態を示す正面図である。
【図12】巻取り軸が機械的に駆動されて巻取りが始まり、帯状体押えが離れ始めた状態を示す正面図である。
【図13】モータによる巻取りが始まり、帯状体押えが更に離れた状態を示す正面図である。
【図14】モータによる巻取りが行われ、帯状体押えが完全に離れた状態を示す正面図である。
【図15】巻取りが終了し、帯状体押えが帯状体をカットする位置まで移動する状態を示す正面図である。
【図16】帯状体押えが帯状体をカットすると同時に、帯状体が戻らないように押さえて保持し、また送りローラも移動して帯状体を押さえた状態を示す正面図である。
【図17】回転テーブルの回転に伴って工程が移る状態を示す正面図である。
【図18】巻きずれの生じていない電解コンデンサ素子の斜視図である。
【図19】巻きずれの生じていない電解コンデンサ素子の平面図である。
【図20】図20及び図21は、従来例に係り、図20は巻きずれが生じた電解コンデンサ素子の斜視図である。
【図21】巻きずれが生じた電解コンデンサ素子の平面図である。
【符号の説明】
10 帯状体の巻取り装置
11 巻取り軸
12 モータ
12a 回転軸
13 モータベース
14 機械駆動部
15 帯状体

Claims (4)

  1. 帯状体の供給源から巻取り軸に対して前記帯状体を供給し該帯状体に所定の張力を与えながらモータにより前記巻取り軸を回転させて所定量の前記帯状体を前記巻取り軸に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時に前記モータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータの回転軸を固定したまま該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に回転させることで前記巻取り軸を機械的にわずかに回転させ、前記帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させることを特徴とする帯状体の巻取り方法。
  2. 帯状体の供給源から巻取り軸に対して前記帯状体を供給し該帯状体に所定の張力を与えながらモータにより前記巻取り軸を回転させて所定量の前記帯状体を前記巻取り軸に巻き取る帯状体の巻取り方法において、巻取り開始時に前記モータに対して回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、該モータが固定されたモータベースをわずかに回転させて該モータ全体を該回転軸の回転方向と同方向に必要角度だけ機械的にわずかに回転させることで前記巻取り軸を回転させ、前記帯状体の供給開始と巻取り開始のタイミングを同期させ、巻取り終了後前記モータベースを前記モータの回転軸の回転方向と逆方向に機械的にわずかに回転させて初期位置に戻すことを特徴とする帯状体の巻取り方法。
  3. 帯状体の巻取り中心となる巻取り軸と、該巻取り軸を回転駆動可能に構成され非駆動時に回転軸を固定可能に構成されたモータと、該モータが固定され該モータ全体を前記回転軸を中心に回動可能とするモータベースとを備え、巻取り開始時に前記モータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間、前記モータベースを前記回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させるように構成したことを特徴とする帯状体の巻取り装置。
  4. 帯状体の巻取り中心となる巻取り軸と、該巻取り軸を回転駆動可能に構成され非駆動時に回転軸を固定可能に構成されたモータと、該モータが固定され該モータ全体を前記回転軸を中心に回動可能とするモータベースと、前記モータに回転開始の電気的信号が発せられてから実際に該モータが電気的に回転し始めるまでの間前記モータベースを前記回転軸の回転方向と同方向に機械的に所定角度回転させると共に巻取り終了後元の位置まで逆回転させるように構成された機械駆動部とを備えたことを特徴とする帯状体の巻取り装置。
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