JP3639006B2 - 電池電極製造用加圧装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばニッケル水素2次電池の正極用基材として用いられるニッケルメッキフェルトを加圧して無地部付け及びフェルト厚さの調整を行う電池電極製造用加圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ニッケル水素2次電池の正極は、図6に示すように帯状体のニッケルメッキフェルト100(図6(a))を無地部付け装置で加圧して適宜の間隔で無地部101を、幅方向に対して直交する方向に形成した(図6(b))後、調厚装置で全幅を加圧してフェルト厚みTを調整し(図6(c))、その後塗工機でニッケルメッキフェルト100の両側面に、二酸化ニッケル等の活物質に結着剤や水等を混ぜてペースト状にした活物質102を塗布し(図6(d))、その後無地部101に塗布された活物質102のみを掻き落した後残留する活物質102を乾燥機で乾燥させて、正極基材103(図6(e))を得、この正極基材を適当な大きさに裁断することによって形成されている。
【0003】
この正極基材103は、従来図7及び図8にそれぞれ示す製造装置により製造されている。これらの製造装置は、一端側に配置された巻出機からボビンに巻回収容された原料基材としてのニッケルメッキフェルトが繰り出され、他端側に配置された巻取機のボビンに成形品としての正極基材を巻取り収容するようになっており、この巻出機から巻取機へのニッケルメッキフェルトの移動過程で、無地部付け、フェルト厚みの調整、活物質の塗布、及び活物質の乾燥を行なうようになっている。
【0004】
すなわち、図7及び図8に示す製造装置は、一対の段付ローラ201,201を備えた無地部付け装置200,一対のフラットローラ301,301を備えた調厚装置300,塗工槽402及びドクターブレード401を備えた塗工機400,及び乾燥機500がニッケルメッキフェルト100の移動方向(図中矢印で示す)に沿って順次設けられており、巻出機(図示せず)から繰り出された帯状体のニッケルメッキフェルト100(図6(a)参照)を無地部付け装置200の一対の段付ローラ201,201で加圧することにより無地部101を形成した(図6(b)参照)後、調厚装置300の一対のフラットローラ301,301で加圧することによりフェルト厚みTを調整し(図6(c)参照)、その後塗工機400の塗工槽402を経由することによってニッケルメッキフェルト100の両面に活物質102を塗布する(図6(d)参照)と共にドクターブレード401で無地部101に塗布された活物質102のみを掻き落した後、乾燥機500でニッケルメッキフェルト100上に残留する活物質102を乾燥して正極基材103(図6(e)参照)を得、この正極基材103を巻取機(図示せず)のボビンに巻取り収容するようになっている。
【0005】
ところでニッケルメッキフェルト100は、ポリエステルフィルムをニッケルメッキした後、焼いてポリエステルフィルムを除去して製造されるもので、多孔質の毛布状の帯状体となっている。このためニッケルメッキフェルト100は、非常に伸び易くなっているので、製造工程における走行中の張力をできるだけ小さく、かつ安定に保つ必要がある。
【0006】
ところが従来の製造装置では、加圧装置を構成する無地部付け装置200及び調厚装置300がそれぞれ独立した駆動源で駆動されているため、両装置200,300の各ローラ201,301間の速度同調が難しく、このためニッケルメッキフェルト100の張力が安定しない。
【0007】
そこで、従来の加圧装置は無地部付け装置200と、調厚装置300との間にダンサーローラ機構600(図7参照)やアキュムメータ700(図8参照)等の張力調整機構を配置してニッケルメッキフェルト100の走行中の張力の安定化を図っている。
【0008】
なお、図7及び図8中、符号Rはニッケルメッキフェルト100(または正極基材103)を誘導するローラであり、図7中の符号800は塗工機400と調厚装置300との間のニッケルメッキフェルト100の張力を調整するダンサーローラ機構である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の電池電極製造用加圧装置は、無地部付け装置200と調厚装置300との間に張力調整機構を設ける必要があるため、構造が複雑化すると共に、大型化して据付けスペースの拡大化を招くという課題を有している。
【0010】
また、従来の電池電極製造用加圧装置は、無地部付け装置200が張力調整機構の存在のため塗工機400から物理的に遠くなってしまうため、無地部付け装置200における無地部101の形成位置と、塗工機400におけるドクターブレード401による掻き落し位置とがずれる虞れがあり、この結果高精度の正極基材103を安定して得ることが難しいという課題をも有している。
【0011】
本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、その目的は構造が簡単でかつ小型化による据付けスペースの縮小化が図れると共に、無地部形成位置と塗工機における活物質の掻き落し位置との位置合せが容易で高精度の正極基材を安定して得ることができる電池電極製造用加圧装置を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ニッケルメッキフェルトを移動させながら段付ローラ及びフラットローラで順次加圧することにより、該ニッケルメッキフェルトにそれぞれ無地部付け及びフェルト厚みの調整を行なう電池電極製造用加圧装置において、前記段付ローラと前記フラットローラとが同一駆動源により駆動するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電池電極製造用加圧装置であって、前記段付ローラと前記フラットローラとが、両ローラ間のニッケルメッキフェルトの移動軌跡が直線状になるように設けられていることを特徴としている。
【0014】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電池電極製造用加圧装置であって、前記段付ローラ、フラットローラ、及び駆動源が架台にユニット化されていることを特徴としている。
【0015】
請求項1乃至3記載の発明は前記した構成になっているので次の作用を奏する。
【0016】
すなわち、請求項1記載の発明は、ニッケルメッキフェルトに無地部を形成する段付ローラと、前記ニッケルメッキフェルトのフェルト厚みを調整するフラットローラとを同一の駆動源で駆動するように構成したので、前記両ローラの速度同調が必然的に行われ、従来必要としたダンサーローラやアキュムレータ等の張力調整機構を要すること無く、前記両ローラ間における、ニッケルメッキフェルトに負荷される張力の安定化が図られ、全体構成を簡略化することができると共に、段付ローラと次工程の塗工機までのニッケルメッキフェルトの移動距離を可及的に短縮することができて、段付ローラによる無地部形成位置と塗工機における活物質の掻き落し位置との間の位置ずれが生じにくくなる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、ニッケルメッキフェルトのローラ間の移動軌跡が直線状になるように段付ローラとフラットローラを設けたので、段付ローラをフラットローラ、ひいては次工程の塗工機に、より接近させて設けることができる。
【0018】
さらに、請求項3記載の発明は、段付ローラ、フラットローラ、及び駆動源を架台にユニット化して一体構造としたので、構造の一層の簡略化と共に次工程の塗工機における活物質の掻き落し位置に対する段付ローラの位置決めを精確に行なうことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施の形態に基いて具体的に説明する。
【0020】
図1及び図2は、一実施の形態としての電池電極製造用加圧装置1を示す。この加圧装置1は、無地部形成部2と、調厚部3と、これら無地部形成部2及び調厚部3を駆動する駆動源4とが架台5にユニット化された一体構造となっている。
【0021】
無地部形成部2は、一端側に固設したギヤ6a,6a同士を噛合させ、かつ上下方向に所定の隙間を維持して架台5に平行に配置された一対の段付ローラ6,6と、架台5にブラケット17を介して取付けられ下側の段付ローラ6のギヤ6aと噛合するギヤ8bと駆動源4に連係するスプロケット8aとを有する従動部8とから構成されている。段付ローラ6は、軸方向に適宜の間隔に設けられた複数の大径リング6b,6b,…を有して形成されている。
【0022】
また、調厚部3は、一端側に固設したギヤ7a,7a同士を噛合させ、かつ上下方向に所定の隙間を維持して架台5に平行に配置された一対のフラットローラ7,7と、架台5にブラケット18を介して取付けられ下側のフラットローラ7のギヤ7aと噛合するギヤ9bと駆動源4に連係するスプロケット9aとを有する従動部9とから構成されている。フラットローラ7は軸方向同一径の平坦面を有して形成されている。
【0023】
さらに駆動源4は、一端側にスプロケット4aを備えた減速機付モータからなり、ブラケット19を介して架台5に取付けられている。ブラケット19は複数の長孔19a及び上、下に取付けられた複数のねじ19bにより上下方向の位置調整が可能に架台5に取付けられている。この駆動源4は、そのスプロケット4aと、無地部形成部2における従動部8のスプロケット8aと、調厚部3における従動部9のスプロケット9aとに伝導チェーン10を懸架することにより駆動系を構成している。
【0024】
そしてこの加圧装置1は、無地部形成部2の段付ローラ6と調厚部3のフラットローラ7とが、両ローラ6,7間のニッケルメッキフェルト100の移動軌跡が直線状になるように設けられている。すなわち、段付ローラ6とフラットローラ7との間に他の張力調整機構が介在した場合、ニッケルメッキフェルト100の移動軌跡が蛇行して長くなるが、加圧装置1において前記移動軌跡が直線状になるように前記ローラ6,7を設けることによって前記移動軌跡が長くなるのを避けることができる。
【0025】
加圧装置1には段付ローラ6とフラットローラ7との略中間部位にニッケルメッキフェルト100の下面に当接する中間ローラ24が設けられると共に、ニッケルメッキフェルト100の移動方向(図1中矢印方向)に沿う入口側(図1の右側)及び出口側(図1の左側)にそれぞれブラケット22及び23を介して入口ローラ20及び出口ローラ21が設けられており、これら各ローラ20,6,24,7,及び21は加圧装置1の入口側から出口側に至るニッケルメッキフェルト100の移動軌跡が水平直線状になるように位置付けられて設けられている。なお、図1においては加圧装置1の出口側に設けられるダンサーローラ800が省略されている。
【0026】
図3及び図4を参照して更に詳しく説明する。
【0027】
無地部形成部2を構成する段付ローラ6,6は、図4に示すように主軸部に外挿された大径リング6bが同じく主軸部に外挿されたスペーサ6cにより適宜の間隔を維持して設けられることによって形成されており、大径リング6b同士を対向させて上下方向に配置されると共に両端を架台5のベアリング軸受25に回転自在に支持されて取付けられている。このとき大径リング6bはニッケルメッキフェルト100に形成される無地部101(図6(b)参照)の深さにより所望の外径のものが選択され、かつその設定間隔は無地部101の形成間隔に合致させて決定される。
【0028】
そして、段付ローラ6,6の内、上側段付ローラ6は図4に示すように架台5に上下動可能に取付けられている。すなわち上側段付ローラ6の両端を支持するベアリング軸受25を内設する軸受ケース26が架台5に設けた案内レール27に沿って上下動可能に設けられており(図3参照)、この軸受ケース26がハンドル11の作動で上、下動するボールねじ13の下端部に取付けられている。ボールねじ13はその中間部が架台5の上部に設けたギヤケース28内の動力伝達機構(図示せず)にノンバックラッシュ機構(図示せず)と共に連係しており、このギヤケース28を突き抜けた上端部が緩衝機構29に連結している。この緩衝機構29は、外キャップ33と内キャップ34とが相互に移動可能に組付けられ、かつ外キャップ33と内キャップ34との間に形成される間隙に圧縮ばね32を組付けて構成されており、ボールねじ13の上端部は内キャップ34の底部を突き抜けて外キャップ33にボルト35で締結されている。
【0029】
また、両側に位置するギヤケース28内の動力伝達機構同士は、両側の位相調整機構14を介して連結したシャフト12により連結されている。この位相調整機構14は、シャフト12に対する各動力伝達機構の角位相調整を行なうもので、この角位相調整により上側段付ローラ6の長手方向の倒れを補正することができる。
【0030】
このように構成された上側段付ローラ6の昇降機構によれば、ハンドル11を回転操作することによって、この回転を両側のギヤケース28内の動力伝達機構を介して各ボールねじ13に伝達して、両側にあるボールねじ13を同期して上下動させるようになっている。このボールねじ13の上下動は、上側段付ローラ6の両端部を軸支するベアリング軸受25を内設した両側の軸受ケース26及び緩衝機構29の上下動を伴ない、この結果上側段付ローラ6の上下動を行なうことかできる。
【0031】
そしてこの上側段付ローラ6の上下動により無地部形成部2のローラ6,6の間隙を調整することができる。すなわち、上方位置にある上側段付ローラ6をハンドル11を操作して下降させる。このときまず緩衝機構29の内キャップ34の底面がギヤケース28の上面に当接して緩衝機構29の下降が停止する。その後更にハンドル11を操作して上側段付ローラ6を下降させると、緩衝機構29の外キャップ33が圧縮ばね32のばね力に抗してボールねじ13と共に下降する。この上側段付ローラ6の更なる下降により、軸受ケース26に側方に突出させて設けたブラケット36の先端の突出部37が架台5に取付けたダイヤルゲージ15の接触子に当接し、このダイヤルゲージ15によりロール6,6間の間隙がデジタル表示されるようになっている。このダイヤルゲージ15は、例えば1μmの分解能を有するものが用いられ、このダイヤルゲージ15の表示を見ながらハンドル11を操作して無地部形成部2のローラ6,6の間隙を精度良く調整することができる。
【0032】
他方、調厚部3を構成するフラットローラ7,7は、無地部形成部2の段付ローラ6,6と同様に、その両端部を架台5に設けたベアリング軸受に回転自在に支持されて取付けられている。このときフラットローラ7,7の内、上側フラットローラ7は前述した上側段付ローラ6と同様に案内レール27に沿って上下動する軸受ケース26を介して架台5に上下動可能に設けられており、上側段付ローラ6と同様なハンドル16,ボールねじ13,緩衝機構29からなる昇降機構により上下動するように構成されている。そして調厚部3におけるフラットローラ7,7の間隙も無地部形成部2と同様に、下降する軸受ケース26に側方に突出させて設けたブラケット37の先端の突出部37がダイヤルゲージ15の接触子に当接したときのデジタル表示により精度良く調整することができる。
【0033】
なお、図中符号30及び31は、それぞれ駆動系及び位相調整機構14を含む連結シャフト系を覆うカバーを示し、符号38は一対の段付ローラ6及び一対のフラットローラ7のそれぞれのローラ間隙の調整後ハンドル11及び16の不用意な回動をロックするためのクランプレバーである。
【0034】
このように構成された加圧装置1は、図5に示すように電池電極製造工程においてニッケルメッキフェルト100の移動方向(図中矢印で示す)に沿った塗工機400の直前に配置され、無地部形成部2で巻出機から繰り出されたニッケルメッキフェルト100に無地部101(図6(b)参照)を形成すると共に、調厚部3でニッケルメッキフェルト100のフェルト厚みを調整した後、塗工機400を経て乾燥機500へ送るようになっている。このとき用いる加圧装置1は、出口ローラ21を設けた側にニッケルメッキフェルト100の張力を調整するダンサーローラ機構800が設けられている。
【0035】
すなわち、加圧装置1は、駆動源4が作動すると、この駆動源4と伝導チェーン10で連係された従動部8,9が共に駆動すると共に、この従動部8及び9にそれぞれ噛合する一対の段付ローラ6,6及び一対のフラットローラ7,7が駆動するようになっている。この一対の段付ローラ6,6及び一対のフラットローラ7,7の駆動により、入口ローラ20を経て加圧装置1内に送り込まれたニッケルメッキフェルト100は、無地部形成部2で一対の段付ローラ6,6で加圧されて無地部101(図6(b)参照)を形成した後、水平直線状の移動軌跡に沿って調厚部3に送られ、この調厚部3で一対のフラットローラ7,7で加圧されてフェルト厚みを調整し、その後出口ローラ21及びダンサーローラ機構800を経て塗工機400へ送られるようになっている。
【0036】
塗工機400では、塗工槽402を経由して無地部101を含んだニッケルメッキフェルト100の両面に活物質102が塗布された(図6(d)参照)後、無地部101に塗布された活物質102のみをドクタブレード401で掻き落す。その後乾燥機500に送られてニッケルメッキフェルト100上に残留する活物質102を乾燥して正極基材103(図6(e)参照)を得ることができる。なお、図5中、符号Rはニッケルメッキフェルト100(または正極基材103)を誘導するローラである。
【0037】
このように加圧装置1は、無地部形成部2の一対の段付ローラ6,6と、調厚部3の一対のフラットローラ7,7を同一の駆動源4で駆動するようにしたので、両ローラ6,7の速度同調が必然的に行われ、従来必要としたダンサーローラ(図7参照)やアキュムレータ(図8参照)等の張力調整機構を要すること無く、無地部形成部2と調厚部3との間のニッケルメッキフェルト100に負荷される張力の安定化を図ることができる。
【0038】
また、加圧装置1は、段付ローラ6,フラットローラ7,及び駆動源4を架台5にユニット化して一体構造とし、しかも他の張力調整機構を不要としたので、構造の簡略化に伴なう装置全体の小型化により据付けスペースの縮小化をも達成できる。
【0039】
さらに加圧装置1は、他の張力調整機構を介在させる必要が無いので、ニッケルメッキフェルト100の移動軌跡が直線状になるように無地部形成部2と調厚部3とを設けることができ、このようにすることによって、無地部形成部2と次工程の塗工機400までのニッケルメッキフェルト100の移動距離を短縮でき、この短縮できた分無地部101の形成位置と塗工機400における活物質102の掻き落し位置との間の位置ずれが生じにくくなり、無地部101と活物質102の塗布部位とが明確に区画された高精度の正極基材103(図6(e)参照)を得ることができる。
【0040】
この加圧装置1を組込んだ製造工程により、厚さ約2mmのニッケルメッキフェルト原材料を加圧装置1で加圧して無地部厚さ0.15mm±0.01、調厚厚さ1.00mm±0.01のニッケルメッキフェルトを得、このニッケルメッキフェルトを塗工機及び乾燥機を経て移動させることにより正極基材を製造したところ、張力変動に起因する損傷を生じないニッケルメッキフェルトを有し、かつ無地部と活物質の塗布部位とが明確に区画された高精度の正極基材を得ることができた。
【0041】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように本発明よれば、次の効果を奏する。
【0042】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、無地部形成用の段付ローラと、フェルト厚み調整用のフラットローラとの速度同調が必然的に行われ、従来必要としたダンサーローラやアキュムレータ等の張力調整機構を要すること無く前記両ローラ間におけるニッケルメッキフェルトに負荷される張力の安定化が図られ、全体構成を簡略化できると共に、段付ローラと次工程の塗工機までのニッケルメッキフェルトの移動距離を可及的に短縮することができて、段付ローラによる無地部形成位置と塗工機における活物質の掻き落し位置との間の位置ずれが生じにくくなり、この結果構造が簡単でかつ小型化による据付けスペースの縮小化が図れると共に、無地部形成装置と塗工機における活物質の掻き落し位置との位置合せが容易で高精度の正極基材を安定して得ることができる電池電極製造用加圧装置を提供することができる。
【0043】
また、請求項2記載の発明によれば、ニッケルメッキフェルトの移動軌跡が直線状になるように段付ローラとフラットローラとを設けたので段付ローラを、フラットローラ及び次工程の塗工機に、より接近させて設けることができ、この結果請求項1記載の発明の効果に加えて一層の小型化を図ることができると共に、無地部形成位置と活物質の掻き落し位置との位置合せが一層容易となって高精度の正極基材を得ることができる電池電極製造用加圧装置を提供することができる。
【0044】
さらに、請求項3記載の発明によれば、段付ローラ、フラットローラ、及び駆動源を架台にユニット化して一体構造としたので、構造の一層の簡略化と共に次工程の塗工機における活物質の掻き落し位置に対する段付ローラの位置決めをより一層精確に行なうことができるようになり、この結果請求項1又は2記載の発明の効果に加えて装置の一層の小型化と正極基材の一層の高精度化が達成でき、かつ据付性も向上した電池電極製造用加圧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態としての電池電極製造用加圧装置の正面図である。
【図2】図1のZ矢視の左側部分図である。
【図3】図1の電池電極製造用加圧装置の拡大背面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。
【図5】図1の電池電極製造用加圧装置を用いた電池電極製造工程の概略説明図である。
【図6】電池電極製造工程の各工程における基材の部分斜視図である。
【図7】従来の電池電極製造工程の概略説明図である。
【図8】従来の他の電池電極製造工程の概略説明図である。
【符号の説明】
1 電池電極製造用加圧装置
2 無地部形成部
3 調厚部
4 駆動源
5 架台
6 段付ローラ
7 フラットローラ
100 ニッケルメッキフェルト
101 無地部
Claims (3)
- ニッケルメッキフェルトを移動させながら段付ローラ及びフラットローラで順次加圧することにより、該ニッケルメッキフェルトにそれぞれ無地部付け及びフェルト厚みの調整を行なう電池電極製造用加圧装置において、
前記段付ローラと前記フラットローラとが同一駆動源により駆動するように構成されていることを特徴とする電池電極製造用加圧装置。 - 請求項1記載の電池電極製造用加圧装置であって、
前記段付ローラと前記フラットローラとが、両ローラ間のニッケルメッキフェルトの移動軌跡が直線状になるように設けられていることを特徴とする電池電極製造用加圧装置。 - 請求項1又は2記載の電池電極製造用加圧装置であって、
前記段付ローラ、フラットローラ、及び駆動源が架台にユニット化されていることを特徴とする電池電極製造用加圧装置。
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