JPH1076629A - 輪転印刷機の圧胴移動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】調整装置および調整作業を不要とすることがで
きるグラビア輪転印刷機の圧胴移動装置をを提供する。 【解決手段】同期軸９′に細径部３１を設け、圧胴１移
動時には１対の支持部材２ｂＬ，２ｂＲを同期して移動
させ、付勢時、圧胴１が版胴２１に接触した後は同期軸
９′をねじれ変形させることにより圧胴１を版胴２１に
一様に外接させるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、グラビア輪転印刷
機等の圧胴移動装置に係り、簡単な構成で圧胴を版胴に
一様に外接させることができる輪転印刷機の圧胴移動装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術を図３ないし図６により説明
する。図３はグラビア輪転印刷機の圧胴移動装置を示す
正面図、図４は同期軸部の断面図、図５は図３のＡ部断
面図、図６はグラビア輪転印刷機の全体を簡略に示す側
面一部断面図である。

【０００３】１は圧胴で、両端を支持部材２ａ，２ｂに
水平に支持され、回転自在である。３ａはラックで、一
方の端部は後述する調整装置のウォームホイルを介して
支持部材２ａに螺合し、他方の端部はシリンダ５ａのピ
ストンロッド４ａに接続されている。３ｂはラックで、
一方の端部は支持部材２ｂに接続され、他方の端部はシ
リンダ５ｂのピストンロッド４ｂに接続されている。６
は支持ブロックで、フレーム７に固定され、ピン６ａに
よりシリンダ５ａ，５ｂを支持している。８ａ，８ｂは
ガイドで、フレーム７に固定され、それぞれ支持部材２
ａ，２ｂを垂直方向に案内する。９は同期軸で、十分に
大きいねじり剛性を持ち、両端をフレーム７に配置され
た図示しない軸受に支持され回転自在である。１０ａ，
１０ｂはギヤで、図４に示すように、同期軸９に固定さ
れ、それぞれラック３ａとラック３ｂに係合している。

【０００４】次に、支持部材２ａのＡ部に配置されてい
る調整装置１１を図５により説明する。１２はウォーム
ホイルで、軸心部にラック３ａのねじ部３ｎに螺合する
ねじ部１２ｎを備えている。１３はベアリングで、ウォ
ームホイル１２の上下に配置され、ウォームホイル１２
を回転自在に支持する。１４はウォームで、ウォームホ
イル１２に係合している。１５はストッパで、ウォーム
ホイル１２の軸方向の移動を規制している。

【０００５】以下、図６により、印刷開始までの手順を
説明する。なお、同図において、２１は版胴で、表面に
は図示しない凹版が配置されており、軸心が水平になる
ようにしてフレーム７に支持され、回転自在である。２
２は紙またはフィルムの印刷物。２３は印刷前の印刷物
２２が巻かれた供給ロール、２４は印刷後の印刷物２２
を巻取る巻取りロールである。なお、予めシリンダ５
ａ，５ｂを動作させ、圧胴１を版胴２１から離間させて
ある。なお、図示をしていないが、供給ロール２３と圧
胴１との間および圧胴１と巻取りロール２４との間に
は、印刷物２２を案内するローラ群が配置されている。

【０００６】印刷物２２を供給ロール２３から引き出
し、圧胴１と版胴２１との間を通して先端を巻取りロー
ル２４に固定する。次に、シリンダ５ａ，５ｂを動作さ
せ、圧胴１を下方に移動させる。この場合、ピストンロ
ッド４ａ，４ｂの移動速度に差があっても、ラック３
ａ，３ｂがギヤ１０ａ，１０ｂに係合しており、同期軸
９のねじり剛性が十分に大きいから、支持部材２ａ，２
ｂは同期して、すなわち圧胴１は水平の状態で下降し、
所定の圧力（以下、印圧と呼ぶ。）で版胴２１に押し付
けられる。ここで、圧胴１の表面はゴムで被覆されてお
り、印圧が掛かった状態では、両者は面で接触する。こ
の状態で、図示しない駆動手段により版胴２１を回転さ
せると共に印刷物２２を同期させて移動させ、凹版の凹
部に配置されたインクを印刷物２３に転写させる。

【０００７】なお、調整装置１１は以下の場合に使用す
る。すなわち、版胴２１は印刷物２２の印刷内容に応じ
て、最適な径のものが選択される。しかし、版胴２１の
中には円筒度が劣っているものもある。円筒度が劣って
いると、印圧が軸方向に均一に掛からず、印刷ムラが発
生する。そこで、圧胴１を下降させたとき、圧胴１の一
方の側が版胴２１に接し他方の側に隙間（例えば、０．
２ｍｍ）がある場合には、図示しない手段によりウォー
ム１４を回転させる。すると、ウォームホイル１２は軸
方向の移動を規制されているから、ねじ部３ｎ，１２ｎ
の螺合により支持部材２ａがラック３ａに対して上下に
移動する。この場合は、支持部材２ａを０．２ｍｍ移動
させて圧胴１の軸心を傾け、圧胴１の外周を版胴２１の
外周に均一に外接させる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記調整装置
１１は構造が複雑で、高価である。また、版胴２１を交
換するごとに圧胴１の位置を調整をしなければならない
こともあった。

【０００９】本発明の目的は、上記した課題を解決し、
調整装置および調整作業を不要とすることができる輪転
印刷機の圧胴移動装置を提供するにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、側面にラック
（３ｂＬ）（３ｂＲ）を備え一方の端部が圧胴（１）の
一端を回転自在に支持し他方の端部がフレーム（７）に
支持された移動手段（５ａ）（５ｂ）に接続された１対
の支持部材（２ｂＬ）（２ｂＲ）と、２個のギヤ（１０
ａ）（１０ｂ）が前記１対のラック（３ｂＬ）（３ｂ
Ｒ）と係合するように位置決めされ両端を前記フレーム
（７）に回転自在に支持された同期軸（９′）と、を備
え、前記１対の支持部材を同期して移動させるととも
に、印刷時圧胴を版胴に対して付勢させるようにした輪
転印刷機の圧胴移動装置において、前記同期軸（９′）
に細径部（３１）を設け、圧胴移動時、前記１対の支持
部材（２ｂＬ）（２ｂＲ）を同期して移動させ、かつ付
勢時、圧胴が版胴に接触した後は前記同期軸（９′）を
ねじれ変形させることにより圧胴を版胴に一様に外接さ
せる、ように構成することを特徴とする。

【００１１】［作用］前述した従来の圧胴移動装置にお
いて、同期軸（９）がなければ、シリンダの圧力がその
まま版胴に加わる。そして、圧力設定が同じであれば、
圧胴を版胴に軸方向に均一に当接させることができる。
すなわち、同期軸は圧胴（１）の上下移動時は必要であ
るが、圧胴が版胴（２１）に当接した後は不要である。
そこで、上記した課題は、同期軸（９′）に細径部（３
１）を設け、圧胴移動時には１対の支持部材（２ｂＬ）
（２ｂＲ）を同期して移動させ、付勢時、圧胴（１）が
版胴（２１）に接触した後は同期軸（９′）をねじれ変
形させることにより圧胴を版胴に一様に外接させるよう
に構成することにより解決される。

【００１２】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照
するためのものであるが、本発明の構成を何等限定する
ものではない。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態を図１によ
り説明する。図１はグラビア輪転印刷機の圧胴移動装置
を示す正面図、図２は同期軸部の断面図である。なお、
図３〜６と同じものおよび同一の機能のものは同一の符
号を付してある。また、ラックと支持部材は図１におい
て左右同じものを使用するため、説明上シリンダ５ａ側
のものにＬを５ｂ側のものにＲを付して区別する。

【００１４】９′は同期軸で、前述した同期軸９の両端
部（フレーム７に保持されている図示しない軸受と係合
する部分とギヤ１０ａ，１０ｂを保持する部分３０）以
外の部分に細径部３１を設けたものである。なお、細径
部３１の径はｄで、両端はそれぞれ両端部に滑らかな曲
線で結ばれている。また、直径ｄは、同期軸３０のねじ
れ量が、印圧が最も小さいときでも支持部材２ｂＬ，２
ｂＲを版胴２１の円筒度の公差以上移動させることがで
きるように決めてある。

【００１５】以下、動作を説明する。シリンダ５ａ，５
ｂを動作させ、圧胴１を下方に移動させる。この場合、
ピストンロッド４ａ，４ｂの移動速度に差があっても、
ラック３ｂＬ，３ｂＲとギヤ１０ａ，１０ｂの係合が滑
らかで、支持部材２ｂＬ，２ｂＲとガイド８ａ，８ｂと
の摺動抵抗が小さければ、同期軸３０のねじり剛性が小
さくても、圧胴１は水平に下降する。すなわち、同期軸
３０のねじれ剛性は、支持部材２ｂＬ，２ｂＲとガイド
８ａ，８ｂとの摺動抵抗より大きく、同期軸３０がねじ
れることなく、支持部材２ｂＬ，２ｂＲとの移動を一体
的に規制する。

【００１６】そして、例えば、版胴２１の円筒度が劣る
ことにより、圧胴１が支持部材２ｂＬ側で版胴２１に当
接し、支持部材２ｂＲ側に隙間ができたとする。この場
合、シリンダ５ｂの圧力がラック３ｂＲを介してギヤ１
０ｂに加わるから、同期軸３０はねじれ、支持部材２ｂ
Ｒはさらに下降して、圧胴１の軸心が傾き、圧胴１の外
周が版胴２１の外周に均一に外接する。さらに、同期軸
３０がシリンダ５ｂによりねじられることにより、その
反力がシリンダ５ａ側に加わる結果、印圧も一定にな
る。

【００１７】なお、細径部３１の直径ｄは、同期軸３０
のねじれ量が、印圧が最も小さいときでも支持部材２ｂ
Ｌ，２ｂＲを版胴２１の円筒度の公差だけでなくラック
３ｂＬ，３ｂＲとギヤ１０ａ，１０ｂとのピッチの最大
公差以上移動させることができるようにを決めればさら
に効果的である。また、本実施の形態では、図１に示す
ように、同期軸３０の両端部を除き中央部を一様に細く
したが、必要なねじれ量が得られれば任意の形状に形成
してもよい。また、上記実施の形態は、グラビア輪転印
刷機について説明したが、他の輪転印刷機にも適用でき
ることは勿論である。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明による同期
軸は、上下移動時は同期用として働き、圧胴が版胴に圧
接する時点でねじれ変形して版胴を圧胴に倣わせるよう
に動作する。この結果、調整装置が不要となり、装置全
体のコストを下げることができ、また、調整作業が不要
となって、作業性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るグラビア輪転印刷機
の圧胴移動装置の正面図。

【図２】本発明の実施の形態に係る同期軸部の断面図。

【図３】従来のグラビア輪転印刷機の圧胴移動装置の正
面図。

【図４】従来の同期軸部の断面図。

【図５】図３のＡ部断面図。

【図６】従来のグラビア輪転印刷機の全体を簡略に示す
側面一部断面図。

【符号の説明】

１ 圧胴 ９′ 同期軸 ２ｂＬ，２ｂＲ 支持部材 ３ｂＬ，３ｂＲ ラック ５ａ，５ｂ 移動手段（シリンダ） ７ フレーム ２１ 版胴 ３１ 細径部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 側面にラックを備え一方の端部が圧胴の
   一端を回転自在に支持し他方の端部がフレームに支持さ
   れた移動手段に接続された１対の支持部材と、２個のギ
   ヤが前記１対のラックと係合するように位置決めされ両
   端をフレームに回転自在に支持された同期軸と、を備
   え、前記１対の支持部材を同期して移動させるととも
   に、印刷時圧胴を版胴に対して付勢させるようにした輪
   転印刷機の圧胴移動装置において、 前記同期軸に細径部を設け、 圧胴移動時、前記１対の支持部材を同期して移動させ、 付勢時、圧胴が版胴に接触した後は前記同期軸をねじれ
   変形させることにより圧胴を版胴に一様に外接させるよ
   うに構成することを特徴とする輪転印刷機の圧胴移動装
   置。